クリスマスの奇跡・3
 
 
 しかし彼女の話にはまだ続きがあった。
「ところで河内君は、冬休みは何をするつもりなの?」
 どうやら彼女は、これを本題に俺に話し掛けていたらしい。
 そして、俺の悩みそのものでもあった。
「ん・・・・俺か?えっと・・・・」
 待てよ。これからクリスマスや正月と、巡り巡って行事があるという時に、予定なし!なんて、言いにくいな。どうしよう。
「お、俺は・・・・いや、でもその前に人の予定なんてどうでもいいじゃないか。まぁ、いろいろなんだから」
「ふーん、いろいろか・・・・」
 どうやらうまいことごまかすことができたらしい。でもいつまでも俺のことで引っ張られないようにと、俺は質問をそのまま返した。
「そういう相原はどうなんだよ。どうせクリスマスになっても一人ぼっちなんだろ?」
 実はそれが今自分の置かれた立場だったりするし。
「あっ、失礼なこと言わないでよ。私その日は彼氏とデートだもん!河内君と一緒にしないでよねーっ」
 うっ、見透かされたか?うーん、たぶんその場のノリからだとは思うけど。
 いや、問題はそれだけじゃない。彼女に彼氏が存在しているとは今までの付き合いからして到底思えないのだ。
「うそつけ、お前がデートだぁ?そんなの信じられるか!」
 仁王立ちして、腰に手を当ててそんなこと言われても説得力に欠けるし、何と言っても真実味がない。冗談で言っているような、そんな気がしてならない。
 だまされてばかりだったから今度も、と隅では思っていたのかもしれない。
「あっ、もしかしてヤキモチー?」
 甘い顔すればすぐにつけあがるし。調子のいいのが彼女の悪いところだな。
「なに言ってんだよ、うぬぼれるなよな。俺は間違ってない、そう、間違ってないぞ!」
「なに一人で納得してるのよ。本当に、本当なんだからぁ!」
 ああ、なんて低次元な戦いなんだ。お互いに同じような文の組み立てをしてしまっていることに気付いてしまった俺には、心に突き刺さる半端でないショックが襲ってくる。
 一方彼女の方はそのまま五・六歩下がる途中だった。
「おい、まだ話は終わってないぞ!」
「とにかく、本当なんだもん!信じてくれないなら、もういい!」
 彼女はそのまま、俺の目の前から立ち去り始めた。
 そんなことするからうそバレバレなんだよ、あいつ・・・・
 ちなみに彼女は相原理恵という。今の言い合いでもわかる通り、彼女は俺の中で一番、女友達として仲がいいと思っている。言っておくが、気軽に何でも言い合えるというだけだ。深い意味は何もないぞ、うん。
 ただ、これまた今の話の時のように、ちょっと性格に問題がある。特に間違いを認めないことがよくある。一度言ったらそれを突き通す、そんな感じがある。まあ言ってみれば素直じゃないんだな。
 けれどなぜか憎めない。それに俺は、相原のことをそんなに悪く思っては・・・・
 するとそこで、相原は俺の方に向き返していたのに俺は気付いた。
「べーだ!」
 見てみれば、俺に向かって舌を出してあっかんべの状態。
 くっ、やっぱり前言撤回!