Under20,Over20 17
 
 
 とにかく、これ以上この話を引っ張っても利益がなさそうなので、おれは話を流すことにした。
「へいへい、わかったよ。まったくかわいげのないやつだな」
 それでもさりげなく毒をはいておくことは忘れなかったけど。
「でも、それが〜あなたの〜いいト・コ・ロ♪でしょ?」
 こいつ…ぜんぜんこたえていないどころかおれの皮肉をポジティブに考え出したぞ。
 これにはさすがにまいった。おれでは到底手に負えない、と思った瞬間だった。
 そりゃ勝てないわけだわ…と改めて納得しつつも、おれは苦しまぎれに言葉を重ねてみる。
「ふ、古いネタ持ち出すんだな…おまえそれでも年頃の女かよ」
 年頃の女という言い回しもどうかと自分で言っておきながら気付いたものの、あえて気にしないことにしておく。
「そんなの別にいいでしょ…って、ああっ!もうホントに行かないと遅刻しちゃう!じゃあお兄ちゃん、私もう行くね。お兄ちゃんもあまりヒマばかりもてあましてないで、私のように汗水たらしながら働いたほうがいいよ」
「へいへい、肝に銘じておきまする」
 さすがに時間に間に合わないとか言われてしまうと、おれも邪魔するわけにはいかない。そこまで人間腐りたくないからな。もっとくるみには言っておきたかったが。
「も〜、ホントにわかってるのかな?ま、いいや。お兄ちゃんも出かけるなら戸締りの確認ちゃんとするんだよ!」
「子供じゃないんだからそんなこと言うなよ…」
 せっかくのおれの心遣いなのに、くるみは言いたい放題だな。まったく…
「きゃはは、じゃね〜!」
 ともあれ、時間がないというのは本当らしく、くるみは特にこの後何も起こすことなく、道を歩いていった。
 しかしやはり歩いている姿を見ていると、外見はどう包み込んでいても子供だよな、やっぱり。ハイヒール慣れはしていないだろうから、当然と言えば当然か。
 と、その時くるみが立ち止まったかと思うと、こちらを振り向いた。
 そして、大きく右手を左右に振っている。
 やれやれ…やっぱり子供だよ、あいつは。
 でも、ちょっとうらやましく思う。きっとくるみは20歳になろうとこんな調子のままでいるのだろう。いろいろと悩んでいる自分の方がバカらしくなってきそうだ。
 そんな考えをめぐらせた後、よく目をこらすと、くるみが口をとがらせている様子が見て取れた。
 仕方ないな、とおれが小さく手を振ると、満足したようで、スキップしてまた道のりを歩いていった。
 まったく単純なやつだよ。やっぱりちょっとうらやましいけど。
「さて、と…」
 おれももうそろそろ急がなくては。