Under20,Over20 5
 
 
 授業は、やはり眠いものである。
 最後にあがいていた課題のほうは結局終わらず、先生に正直に話したところ、
『では、明日までに必ず書いてきてください。ただし、5枚追加ですからね』
 と、なんとか提出期限をのばしてもらった。
 まあ、枚数追加の上に減点ももちろんされるだろうが、それはやらなかったおれが悪いのでしかたがない。
 とは言うものの、家に帰ってからやろうとは思わないだろうし…今日学校に残ってやっていくことにするかな。
 自分でも珍しいことを言い出して、けっこう驚いているけど。
 そういうこともあり、その学校終了までの体力温存のためにも、授業は単なるヒマの持て余しとなってしまった。かなり矛盾しているかもしれないが。
「おい、修一…修一っ!」
 この授業は自由席。ゆえにおれの隣の席に座っていた直樹が、シャーペンでおれをつつきだした。
「んだよ直樹。人がせっかく気持ちよくなりだした時に」
「あのなあ、今は気持ちよくなる時間じゃないっつの」
 実は直樹は大学の授業に関してはものすごくまじめだったりする。
 それはおそらく、入りたくて入った学部だから…だろうな。
 というか、それ以外に考えられん。
「風中さんのことを考えてたんだろ」
 シャーペンの先をおれのほうに向け、直樹が気持ち悪い笑いを向けてくる。
「ん?ま、まあな」
 変に反論しても話がこじれるだけだ。おれはただ本当にボーッと気持ちよくなっていただけのことだったのだが、あえてそういうことにしておいた。
 直樹には、すでにバレバレなほどおれの風中への想いは知られている。特に他言はされていないようなので、今のところは安心できているが。
「そうかそうか、学内恋愛大いに結構。まあがんばってくれ。こっちもこっちなりにやらせてもらう」
「あれ、初耳だな?直樹も女に興味があったのか」
 おれは普通に驚いてしまった。おれのことは直樹に知られていても、直樹からそんな話を聞いたことがなかったのだ。
 しかも、自分の口から言い出してくるとは。
「おれがホモみたいな言い方をするなって。それに今の言葉だって深い意味はないんだぞ。これからのことだ、これから。変な意味に取るなよな…」
 しかし、なんだか怪しいぞ。おれが風中のことを考えていたと知るなり妙に安堵の表情を浮かべているように見える。そんな気がしたのだ。
 もちろんそれは推測でしかないから、下手に言い出すことはできないけど。
 なんとなしに、探りを入れるくらいはしておくかな。
「直樹、お前さ…」
「しっ!今は授業中だぞ。静かに…」
 しかし、見事に止められてしまった。
 というか、元はといえば直樹から話しかけてきたんじゃないのか?
 直樹の言葉に納得はいかなかったが、確かにこれ以上話していても危険なだけなので、おれもそれ以上話しかけることはしなかった。