Under20,Over20 4
「な、なんでそれを?」
バレていてはしかたがないので、おれは課題をやる手を止めて風中にその事実を知るまでの経緯を聞くことにした。
「なんでって…見たからだけど?」
あの現場を見たのか!?それはただ話を聞いているだけよりタチが悪い。
おれはがっくりと首を落とした。
「手がかかる妹さんね」
もはや彼女のその言葉には絶句せざるを得なかった。
「風中までそんなこと言うのか…」
もちろん風中も今までに起こっていたことも知らないだろうし、単なる冗談で言ったつもりなのだろう。
しかし3回も同じことを言われたおれの身にもなって欲しい。
だが今回の相手が風中とあっては、おれもあんまり強く出ることが出来ない。ひどいものだ。
「仕方ないじゃない。端から見ていると仲のいい兄妹に見えるよ。少なくとも、私は」
「くるみとおれが仲がいいって?おいおい、やめてくれよ」
いくらなんでも、そう思われるのはイヤだ。
「でも、くるみちゃん可愛らしいし。お兄さんとしてはちゃんと守ってあげないと」
そう、くるみは可愛い…らしい。
これは直樹をはじめとするさまざまな人らにさんざん言われている。
もちろん、おれは認めてなどいないが。
しかし、そんなに可愛いのならくるみの周りで浮いた話の1つや2つ出ていてもおかしくないと思うのだが、一切聞いたことがない。
もしくは、その話自体がガセネタなのか。
その辺はっきりしないのが、不思議なところではある。
「可愛いのか?あいつが?」
改めて本気で言っているのか確かめる意味でも、おれは風中に聞いてみる。
「うん、とっても。空下君こそ、あまりにも近すぎてくるみちゃんの魅力に気づいてないだけじゃない?」
即答だった。
うーむ、近すぎるっていうだけの問題ではないような気がするのだが。
「あ。というか…」
まだ風中は何かを言おうとしている。その時再びおれにイヤな予感が走っていた。
「くるみちゃんは空下君にとって空気みたいな存在なんだと思うよ。いないと困るってトコが。なかなかお似合いだよ」
さっきから一言一言に軽く刺されるものがあったが、今の一撃は心にズシリとのしかかった。
結局、くるみや直樹と同じようなことを言われたんだな…おれ。
さすがに今回は相手が誰であろうと関係がなかった。
「か・ぜ・な・かぁ〜?」
「ふふ、場も和んだところで私は席に戻ってるね。じゃ、最後のあがきがんばってね。あ、それと授業が始まるまでにそれ、返してね。じゃね」
「あっ、おい!」
風中はさっさと席に戻ってしまった。
なんでこうもおれの周りにはこんなにも逃げ足の早い人が多いんだ?
しかもまた、3人にまるで打ち合わせをしてたかのように同じことを言われつづけ精神はボロボロ。
そんなにくるみとおれって、そんな感じに見えるのか?
おれの前では、まだ直樹が苦痛に悩まされているのか、顔をゆがめてうずくまっていた。