おしえて、恋のイロハ。
Extra Teach 話の終わりは、まだまだ。

 
 
「まったく、世話のかかるやつらだったぜ」
 僕は、卒業式の日まで何をやっているんだろうか。
 暗闇の公園の片隅で見つめ合っている2人を見て満足しているほど、僕もお人よしではない、
 ただ、なかなかくっつかないのを見ていると無性にストレスがたまってくる。とても口を出さずにはいられなかったのも事実だった。
「そうだったな…竹内、おれも同感だ」
「うそつけ、お前はこのみさんを狙ってるから好都合だっただけだろ」
 隣にいる、最近突然茶髪に染めだした男に容赦なくツッコミを入れる。
 僕は今高校を卒業したばかりで、隣の男は大学生。1つ年上のはずだが、どうも幼なじみというせいか丁寧な扱いはしにくい。
「ずいぶんな言い方だな…気持ちもないのに告白なんかするような神経の持ち主よりはまだマシだと思うんだが?」
「何を言ってるんだ。こうやってめでたしめでたし、で終わっただろ?」
「まあ、そうなんだが…」
「それよりもこれでチャンスができたじゃないか、さっさとくっついてしまえ」
「簡単に言ってくれるんだな。どれだけ苦労しているか知らんくせに」
 あまり頻繁には会っていないけど、まあ確かにこのみさんのあの性格はとっつきにくいものがあるかもしれない。
「…頑張れ」
「よく分かって頂けたようで。で?竹内は浮いた話の1つでもないのかよ」
「ないな」
「即答かよ」
 そう言われても、ないものはない。
 女の子にはまるで縁がないしな…あえて言うならば、近葉さんとくっつけようと勝手に応援しだした後輩と、その当人の近葉さんくらいか。
 
 近葉さん、か…
 確か高校入ってすぐのことだったな。
「むー」
 女の子が机に身を預け、一瞬どこから聞こえてくるのかわからないほどの妙に通りやすいうなるような声を出している。
「どうした?」
「きゃあっ!」
 いや、突然叫ばれても。と思ったりもする。
「な、なにどうした」
「おどかさないでよ、もう…」
「できればこっちが言いたいセリフなんだが…」
「こっちよ」
「こっちだ」
 少し前にも繰り広げたような気がするこのやりとり。
 しばらくして、気づいたんだよな…部活の先輩である木下さんに想いを寄せていて、それで悩んでいたってことを。
 クラスが一緒だったのは最初の1年間だけで、その後は違っている。なのになぜかよくふざけあうようなことがずっと続いて…近葉さんは相手こそ言わなかったけれど、その想いをかなえる手伝いができればいいな、と思えた。
 
 この気持ちは、一体なんだったのか。
 今でも、よくわからない。
「その顔は、誰かにふられたような顔だな」
 隣の男が口を出してくる。
「…そうなのかもな」
 それは、ただ言葉で言った時とは違う…というかむしろ僕の方が形式上ふった側だったはずなのに。
 ふられた、という感覚。それはそう言われてみると確かにしっくりくるものがあった。
「ま、お互い頑張ろうや」
 様子を察してくれたのか、気持ち悪いくらいに優しい口調で言われる。
「そうだな」
 でも僕も素直に、そう思える。
 まだ、僕の物語は始まったばかり。
 
 話の終わりは、まだまだ。
 
 

          

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