FINAL MILD/MINI LOVE DRAMA
「…暑いな、ずいぶん」
「うん、暑いね…今年は日差しが強い日が続くね」
肌も悲鳴を上げるほどお日様のパワーを感じるある夏の日、私は男友達の家にお邪魔していた。
といっても、いくら友達だからといってそう簡単に2人きりになることは、もちろんできない。
それでもこの人と一緒にいることができるのは、もちろん…
「好きなのか?」
「えっ!な、な、なにいきなり…」
「ん?こういう恋愛小説が好きなのかって聞いただけなんだけど」
そう、今まで私と彼は「MINI LOVE DRAMA」という、恋愛ものの短編小説がたくさん載せてあるインターネット上のホームページを訪れて、一緒に見ていた。
それをいきなり「好きなのか?」って、ちょうど私が考えていたことに対する答えを返されたようで、少しどころか息が止まりそうなほどに驚いてしまった。
「あっ、そっか…それのことか。うん、こういうの憧れちゃうんだ…」
「他に何があるっていうんだ…」
「まーまー、いいじゃない。ちょっと意識飛んでていきなり声かけられてびっくりしただけ」
正直に言うことはできなかった。なぜならまだ、言うときではないから。
「意識飛ぶって…そりゃそうだよ、ただでさえ暑い部屋でこんなストーリーなんか見てたら、余計に暑くなるっつの」
私は…それだけじゃないけど。
「でも、何度読んでもいいと思わない?どれでもいいから、こういうシチュエーションになってみたいなあ」
そう言いながら、私はすでに準備していた。
あの物語と同じシチュエーションを…
そう、だからさっきは言うべきところではなかった。あのストーリーを、成功させたくて。
でも、どうしても言い出すことができなかった。
今までの物語の主人公やヒロインたちも、こんな思いをしてきたのかな。
でもそろそろ、時間切れ。
「もう帰らなきゃいけないんじゃないのか?」
「う、うん…」
覚悟は決めているはずなのに。
「暗い夜道は危険だぞ」
「う、うん…」
たった1つのアクションを起こすだけなのに、それができない。
「…どうした、ちょっと顔色が悪いような」
今、何もしなかったらこの先だってきっとできない!
「あ、あの私…!」
「そうだ、忘れてた」
私なりに自分を高ぶらせていよいよ…と思った瞬間だった。彼の声に、私の動きを止められた。
せっかくのチャンスだったのに…と思っていたのも束の間だった。
「ほら、暑中見舞い」
彼が渡してきた、1枚のはがき。
そこには…私と同じ気持ちが、追伸のように書かれていた。
「お前の考えていることなんてお見通しなんだよ」
そう言って、後ろに回していた私の手を指差す。私の手には、彼に渡そうと思っていた暑中見舞いのはがき。
「バレてたんだ…」
「オリジナルに限りなく近づいただろ?」
私は恥ずかしいながらも、彼の不器用に振る舞う優しさを嬉しく思いながら、彼を見つめた。
「まあ、そのはがきはまた1年後にでも見せてくれよ」
彼が、私の目線から逃げるように目をそらして、暑さからなのか分からないけど、心持ち顔を赤くさせながら言った。
私たちだけのMINI LOVE DRAMAは、これからも少しずつ、続き重なっていく。
この物語に終わりなんてない。
だから、私たちの送る最後の言葉は…
……………To Be Continued!!