夏祭り大作戦!
次々と打ち上げられる花火が昼夜を逆転するほどにあたりを照らし、いつもはひっそりとしている道も今日は人であふれかえって、出店や柔らかいちょうちんの灯りも手伝って、花火に負けないほどの明るさが私たちを包む。
そう、今日は夏祭り。
普段はまったく着ないような浴衣も、せっかくだし親に手伝ってもらいながら背伸びして身にまとって。
もちろん、そこまでして1人で歩くのは寂しいから、普段から付き合いのある男友達も女友達も誘っていた。
その時、私には誘いついでにある作戦が浮かんでいた。今日こそ、その作戦を実行する日だった。
私はさっそく、周りの友達に気づかれないよう花火の音でごまかして、隣にいる男友達に声をかけた。
「そろそろ…じゃない?」
彼が首をわずかに縦に振る。
前から決めておいたOKの合図。
「よしっ、今だ!」
一層大きな、迫ってきそうなほどの花火に友達が見とれている間に、彼は私の手をとる。
そして、友達の…もっと詳しく言えば、あとたった2人。男の友達と、女友達が1人ずつ。
大きな花火の火花が消えて、我に返った2人はすぐに私たちがいないことに気づいて、遠くにいる私でもわかるほどのリアクションが見えた。
「うまくいったみたいだな」
彼が満足そうに言った。
「そうみたいね。あの2人、なかなか2人きりにならないから、もう私イライラしちゃって」
「はははっ、まったくその通りだ」
そう、今残してきた2人は、友達より先に進んでいるのが周りからも見てわかるくらいなのに、本人たちはまるでお互いの気持ちをわかっていないみたいで。
だから今隣にいる男友達に、このチャンスを逃す手はないって相談したわけ。
「もう何も言わずにくっつけってのな」
彼が、まったくもってその通りだと思うことを言う。
でも、そんな同感をしている余裕は、どうもなさそうだった。
「あっ、気づかれそう…ごめん、ちょっと」
私は、たとえ気づかれてもこっちに寄ってこないようにする対策をすでに考えていた。
「おい、ちょ、ちょっと…」
さすがに焦っているようだけど。
「何よ、腕組みぐらいで動揺しないでよね」
「腕組みぐらいって…」
彼の言うことはもっともかもしれない。私が言った言葉は、ちょっとだけ強がり。
でも、そうしないと…
「でもどうやらこっちには来ないみたいだな。確かに近づける雰囲気じゃないもんな」
「うん…」
私の作戦は、失敗してしまうかもしれないから。
「ん?どうした?」
私は、彼の腕を強くつかんでいた。
チャンスなのは、私も同じ。
「ねえ、聞いてほしいことがあるんだ…」
私は、彼に向かって顔を上げて…
そう。
これが、私の本当の作戦。
「私は…あなたが好き」
私の心を映すように、また1つ、あたりを照らす大きな花が開いた。