2year memories
「よし、ちょっと休憩…っと」
僕はひとつ息をついて、今まで1時間ほど向かい合っていたノートパソコンから離れるようにイスを回した。
そのまま、壁にかかっているカレンダーを見る。日付は…7月31日。
もうそんなに経つのか…と、少し感慨にふける。
明日は、インターネットを始めてから…もとい、ホームページを立ち上げてから丸2年になる日なのだ。
プロバイダに契約する前からHTMLの本を買って勉強していた頃のことを思い出す。
今ではホームページ管理にはビルダーソフトを使うようになり、インターネットの活用に至っては時刻表の検索、発車直前に鳴るメロディーをmidiで聴いたり、さらには特急券の予約までできるようになった。
…なんだか電車のことばかりにかたよっているように感じるけれど、気のせいだろうか。
今こそあまりホームページも更新しなくなってしまったが、思い返すとホームページ立ち上げ時で初心者なりに躍起になっていた頃、いろいろと教えてくれた人がいる。
その頃専門学校に通っていて、あれから2年…すでに卒業もしてしまい、それから一度も会っていない。
今、どうしているだろうか。
そんな思いを張り巡らせていると、小さな部屋にメールを着信を知らせる音が響いた。
件名は…『2周年おめでとう!』
「あっ、きたきた…」
ちょうどネット生活が始まった頃、向こう側からの間違いメールが一転、メールフレンドになった女の子からのメッセージだった。
『私たちのやりとりもちょうど2年経ったってことだよね!ホームページの内容もその頃に比べると格段によくなった気がするよ。』
僕はメールの文字相手にうんうんとうなずいていた。なにせ最初に立ち上げた頃は、それはもうお粗末なものだったのだ。
見づらい、重い、縦に長い。
3拍子がそろった上、検索サイトに登録もしなかったので、1日0ヒットということも不思議ではなかった。
ちょうど2年前からの付き合いなせいか、この人のメールを読んでいると、当時のことを鮮明に思い出せる。
そんなことを考えながら読み進めていると、最後の一文にこう書き記してあった。
『私たちの付き合いも2周年だということを祝して…初OFF会!しませんか?』
とても、魅力的な誘いだった。
そうして僕は、彼女と会った。
ところがその彼女に会ったとたん…魅力的とだけでは片付けきれない、度肝を抜かれるような出来事に遭遇した。
「久しぶりだね…元気してた?」
2年前に…ネットを始める時にいろいろと教えてくれた人だったのだ。
「ところであれは…本当に間違いメールだったわけ?」
「そんなわけないじゃない…もう、相変わらず鈍感」
「えっ?」
「もういいっ!昔からそうだったもんね、全然気付かないなんて」
「え…む、昔から?」
「何も思っていないなら…わざわざ家になんて手伝いに行かないわよ!」