MILD 24
DIARY
8月31日、はれ。
今日は夏休み最後の日。
私は、電話の前である決心を固めていたの。
「今日こそ、彼に好きって伝えるんだからっ!」
私自身に与えていた、夏休みの宿題。
その提出期限は、今日までだから。
えっとまず、彼が電話に出たら自分の名前は言わなくちゃ。そしていきなりじゃ彼も困るだろうから「プールにでも行かない?」って誘ってみようかな、なんて考えながら。
あっ、だけど夏休みの宿題に追われていたらどうしようって不安にもなったけど。
私だってこのままじゃ宿題終わらないよ、と自分に言い聞かせて。
いろいろ考えながら、1つ1つ彼の電話番号のボタンを押して…ボタンを押すたびに、指がふるえる。
そして、最後の数字を押し終わって…しばらくして、私の部屋と彼の部屋がつながる。
「もしもし?」
その声を聞くだけで、私の胸がトクンと1つ波を打ったのを感じてた。
でも今はそんなことに負けている場合じゃないよね。えっと…そうそう。さっきのシミュレーション通り、まずは自分の名前を言うんだよね。
「ああ、久しぶり。どうしたの?」
そんな彼の言葉に、私は舞い上がっちゃったのかな。「明日から学校だね」って、普通の言葉を投げかけてしまった。
「え?ああ…そうだな。ちょっとかったるいけど…楽しみと言えば楽しみだな」
うん、私も…あなたに会えるのがとても楽しみなんだよ。
そう言いたかったけど、やっぱり言えないよね。
あ…違う違う!私が言いたいのはそういうことじゃないんだってばっ!
1人焦ってしまって、その後の私がとんでもないことを言ってしまったの。
「あ…あの!今からプールに行かない!?」
言った瞬間に、私の顔が熱くなって、そして固まってしまった。
確かにシミュレーション通りの展開なんだけど…そうじゃないよ、あまりにも突然すぎるよ。
ほら、彼だって困ってる。しばらく、何も返事がないんだもん。
ああ、もうダメだぁ…と思った時。
「…うん、行こうか」
その言葉を不意に聞いた私は、また違った意味で顔が熱くなったのを感じた。
耳を疑って、私はまた聞き返したの。
そしたら…
「楽しみにしてる。今すぐ準備するから」
自分自身に与えていた、私だけの宿題。
その、答えは…
「解くことができた、と書けますように。8月30日、はれ…」
夏休み中毎日書き続けてきた日記も、あと1日。
その日記帳の、1日前の8月30日の日記を私は見返していた。
自分に言い聞かせるために書いた、1日だけ未来を描いた日記。
今日の日記に、昨日と同じことが書けますように。
「今日こそ、彼に好きって伝えるんだからっ!」
私は電話の前で、決心を固めていた。