ごーごーかじゅはッ ふぉー









和葉ちゃんは時々平次くんの携帯を借りて電話を掛けています。電話の相手は蘭ちゃんです。

「元気出しィ、工藤くん、ちゃんと帰ってくるて約束してくれたんやろ?」
「あー、そらま、夕方には帰ってくるわなー・・・」
「はぁ?平次何言うてんの?・・・蘭ちゃん今落ち込んでんねやから、冗談なんか言うとる場合ちゃうて!」
「・・・・・・」

こんな時、「和葉ちゃんが自分の置かれている状況を、綺麗すっぱり忘れている」という事に気がついているのは平次くんだけの様です。










こんな小さなってしもたけど、平次の、何か役に立てることあらへんかな、と和葉ちゃんは考えました。

でも、こんな小さくなった身体じゃ、出来ることなんて思いつかなくて。思い切って平次くんに聞いてみると、たったひとこと。

「なんも。」

それじゃ不満だと和葉ちゃんが文句を言うと、「笑とって」だそうです。








 

和葉ちゃんの涙が止まらない夜は、平次くんは和葉ちゃんを包み込むように手を添えて寝ます。潰してしまったりしない様に。怪我をさせたりしない様に。寝返りもうたず。

そっと、そっと。

起きた時、和葉ちゃんがいつもどおりに笑える様に。






  

小さな小さな泡立て器に、小さなボウルと小さなスポンジ。

平次くんのために出来ること。

和葉ちゃんは一生懸命です。

スポンジを焼くのも、こんな小さな身体じゃどう頑張っても出来ないので、買って来てもらったスポンジなのですが。生クリームを泡立てるのだって、一番小さな泡立て器でも、和葉ちゃんの倍は大きいのですから大変です。簡単に泡立てられるホイップクリームにしとけ、と言う平次くんに、それじゃアカンのん!と譲らない和葉ちゃん。

いっぱいいっぱいあったかくって優しいキモチをもらってるんやから。なんとかなりそうな事くらい、全力でせな、って思うんですって。

手伝ったろか、と言う平次くんの手を、アタシがせな、意味ないんやもん、と断って。必死になって頑張って。出来たクリームは少しゆるいけれど、なんとか、形にだけはなりました。

スポンジがつぶれちゃいそうなほどに大きいいちごを乗せて、できあがりです。












  

それは小さな小さなケーキで。平次くんの口にはひとくちくらいでしかなかったんですけれど。でも、平次くんはとてもとてもうれしくて。

おでこをこつんとくっつけながら、平次くんは囁くように言いました。


和葉、ありがと、な



ごーごーかじゅはッ4