その騒動が発覚したのは、2、3日後の夕方の報道番組での事だった。

阿笠博士の家に集まって、のんびりとお茶を飲みながらゲームでも、と集まった彼らは、光彦の取り出したビデオテープにきょとんとした。
「とにかく、これ・・・見て下さい!」
がちゃんとデッキがテープを飲み込む僅かな動作の間も、光彦は落ち着きが無かった。
「ヤイバーの新作の映画予告かあ?」
元太の呑気なチャチャに、光彦が「そんなんじゃないんです!」とぴしゃりと言ってのけた。
「ボクは知らなかったんですけど・・・」
光彦の母親が、新聞のテレビ欄の予告を見て録画予約していたらしい。光彦はまだ観ていなかったが、母親の方から、光彦が通っていた幼稚園で何か騒動があったそうだと教えられたのだ。

聖夜の奇跡、とタイトルを打たれたその報道は、一般の人からの投稿ビデオらしく、画面は御世辞にも綺麗とは言いがたかったけれど。紛れも無く、あの幼稚園だ。

「なんだ?・・・・・・これ・・・オレ達の事か?」
「何だか大騒ぎになっちゃってたみたいなんです・・・!」
「そうみたいね・・・。誰かさんが『どうせやるんなら』なんて凝ったトリック使うから・・・」
「オレの所為だってのかよー・・・」

どうしましょう、プレゼントを置いてきたわけで、物を取ってきたわけではありませんけれど、これって立派に不法侵入ですよね、とオロオロする光彦に、元太がバンと胸を叩いて見せた。

「大丈夫だって、オレ達がやったって証拠なんてドコにもねーんだからよー!それに、悪い事なんてしてねーんだぜ?」
「そうよ・・・他の誰かならいざ知らず、こっちには名探偵がついてるんですもの。」
「でも、こんな騒ぎになるなんて・・・」
「・・・大丈夫だよ、光彦・・・。彼らは『犯人』を探そうなんて思ってねーみてーだし。」

え?と振り向く画面の中では、先生の「不思議ですよねー」という嬉しそうな声と。あの小さな帽子を被せられた真っ白い子ウサギが写されて、リポーターの声が被った。
「この幼稚園で起こった不思議な出来事を、子ども達はこう話してくれました。」
そのリポーターの言葉の後、ぱっと子ども達の笑顔が大写しにされたのを見て、それまで黙って見ていた歩美が、あっと声をあげた。

「この子・・・!この子なの!サンタクロースなんて居ないんだって言ってた子・・・!」
歩美の言葉に、どれどれ、と探偵団全員がテレビ画面を覗き込むと、そこには頬を真っ赤にして、テレビカメラに必死に訴えかける、別人の様な彼の姿があった。

「オレらさー、知ってんだ!犯人はサンタさんなんだぜ!?」
「サンタさんにしか出来ないよね、こんなこと!」
「うさぎのはらのくりすますの歌が届いたんだ!」

子ども達は、クリスマスが終わった後も卒園するまではサンタクロースに御礼の気持ちを込めて歌を毎日プレゼントしていくのだと話してくれました、とリポーターが纏めると、キャスターが「彼らの気持ちと、感謝の歌声が皆様にも届きますように」と締めた。

「もう届いてるぜー」
おどけながらの元太の言葉に、雰囲気がどっと明るくなった。

小さなサンタクロース達が、その後でこっそりコーラで打ち上げパーティをしたという事は、内緒の話。