ど、動機!?ええとええと・・・おろおろ・・・と、とにかく長文で進めてしまいますわっ!!! くぬぎ HP 2001/12/18 23:39
「ディクスン・・・?」
思わず繰り返したその言葉に、コナン君が「あ、高木刑事は読んだ事無いんだね?・・・じゃあ、ネタばれしない様にお話するね」と微笑んだ。

いや・・・ネタばれって・・・ボクは君達みたいに推理小説マニアじゃないから良いんだけどと返すと、「これからもしかしたらって可能性もあるでしょ?どんな小さな可能性も潰すのは勿体無いと思うから。・・・それに、多分事件そのものとは関係無いだろうしね」とそう返ってきた。

太田と呼ばれた、被害者の隣に座っていた男性が、「ボウズの言う通りだな」と呟く。・・・悪い人じゃなさそうだ。・・・そんな事を警部に言ったら「どんな小さな可能性をも疑うのが刑事の仕事だろう」と叱られそうだという思いが頭を過ぎって、慌てて気を引き締めた。

「劇の中の話じゃ、オレが被害者で、アイツが犯人じゃないかって疑われる役だったんだよ。スポットライトが当たって、あいつがむくっと起き上がる・・・でもって、オレは死体となって発見されて。一緒に居た月島が勿論疑われる。」

太田さんはつかつかと舞台の縁にまで歩くと、胸を張り、ぐっと背筋を伸ばした。


「さあ、ここに集いし名探偵の皆様!真実を突き止めて彼の無実を証明してみせて下さい!」


それはあまりに堂々とした声で。舞台に居た人間だけでなく、会場に居た人間が殆どが、一瞬にして彼に注目した。

そこにいるのは紛れも無く『名探偵』だと誰もが思っただろう。


上手い・・・!


ブラウン管の中の俳優の演技とは違うけれど。その彼の演技に思わず鳥肌が立った。あの目暮警部ですら、隣で思わず言葉を失っていた程に・・・。
彼がこっちに振り返った瞬間、さっきの名探偵の影は姿かたちも無く・・・一瞬、幻を見たのかと、そう思った。

「・・・探偵がこう観客に呼びかける・・・そして謎を解いてもらう。・・・こういう筋書きだったんだ。・・・何の因果か、現実じゃ被害者と容疑者が逆になっちまったってワケだな・・・」

その証明のつもりなのか、懐から取り出されたそれは・・・血糊のついたボーガンだった。
ハンカチでそっとくるんで受け取ったそれは、その先端は乾ききってはいるものの、赤く染まっていた。・・・現場で見慣れたその色に、一瞬ぞっとする程似ていたけれど。それは本物を見慣れた人間になら、落ち着いて見ればすぐに分かるものだった。

「失礼ですが・・・お芝居で使うのなら、先端を外して刺さってる様に見せかけるのが普通じゃありませんか?」
「・・・あのな、警部さん・・・コントじゃねーんだから・・・それに、劇ン中じゃそいつも重要なヒントになるんだ。だから外さなかったんじゃなく、外せなかったんだよ・・・」

「それはどういう意味ですか・・・?」
問い掛けた目暮警部に、太田さんはにやっと笑って、「あんたもディクスンカーの小説を読めば分かるさ」と告げた。

「警部・・・死因ですが・・・」
千葉が監察医から聞いたそれを、警部にそっと耳打ちする。微かに『毒』という言葉がちらっと出て。服部君が興味を惹かれたらしく、監察医の方へと向かった。・・・彼の事だから、自分の目で確かめようとでも思ったのだろう。それより、いつもなら一緒に行動しているはずのコナン君が、今回は行動を別にしている方が不気味だった。

「あー・・・太田さん、このボーガンですがちょっと貸していただいて宜しいですか?」
「ん?ああ、別に構わないけど・・・」

ボーガンを手にしたまま、遺体の側に行った警部は、監察医にそのボーガンを見せながら何か話している。

「・・・なんだろ・・・」
ぽろっと口にした一言に、足元に居るコナン君が挑戦的に微笑んだ。・・・そう、あの表情で。

「多分、遺体の何処かに何かの傷があったんだよ。恐らく、それが死因だと特定された。・・・ボーガンはその傷口に合うかどうか確かめる為に借りた。・・・そんなトコかな」

「毒なら・・・被害者はワインを飲んでたんだろう?そこに入れたとか、他にも・・・」
「ワインには、入れられなかったんだよ。・・・被害者はお酒があまり好きじゃないから、一口飲んですぐ眠った演技に入るんだから、飲まなくても済んだんだもん。・・・被害者が飲むかどうか分からないワインに毒は入れられないでしょ?・・・さっき、匂い嗅いだだけだけど、特にワイン自体にヘンな匂いとかは無かったし、即効性の毒でもなければ、被害者が苦しんでる声が、太田っておにーさんにも聞こえてたはずだよ」
「でも、眠っている演技が演技じゃなく、毒によるものだったら・・・?」
「それは無いよ。だって、眠る前に一回口をつけただけなのに、被害者のワイングラスには口をつけた跡が2つ残ってたもの。・・・確か、唇も指紋と同じ様に一人一人跡が違って、それが本人の物かどうか判別できるんだよね?」
思わず、えっ?と聞き返すと、トメさんが「よく知ってるなぁ」と横から声をあげた。
「そ、そうなんですか・・・?」
「足の裏とかもそうだ・・・ちょっと知られた物なら、掌紋なんてのもある・・・捜査に関係ない所じゃ、網膜なんかもそうだな・・・」
相変わらず、その外見に似合わない程の知識量に驚かされる。
「って事は、被害者は暗転された直後、ワインに2度目に口をつける時までは確実に生きてたって事だよね。ゆっくり効くって毒なら、被害者はこぉんな風に苦しんで倒れたり、もがいたりもしたはずだもん」

そのコナン君の言葉と演技に、太田さんに視線を向けると、彼は静かに首を振った。

「いや・・・別に何も変わった事なんて無かったぜ?・・・まあ、オレは暗転されてる間も顔を上げたりはしなかったけどな。」
「・・・一度もですか?」
「・・・・・・『死体』が起きたらおかしいだろ・・・あの暗転も、この推理劇にはどうしても重要な間だったんだよ。つまり、暗転中、劇も演技も止まっているワケじゃなかったんだよ。オレは特に、なりきる事でその世界に入るタイプだし。」

「どうしてなんですか・・・?」
思わずぽろっと零れた疑問に、太田さんは驚いて僕を見た。
「・・・何が?」
「い、いえ・・・太田さん程の役者さんなら、・・・さっきの演技を見ても、もっと、こう・・・探偵役とか、良い役貰ってても良いんじゃないですか?」
しまった、口にするつもりなんて無かったのに・・・と躊躇いながら疑問を失礼の無い様に言葉にする。太田さんは肩を竦めながら、皮肉っぽく微笑った。

「ああ、・・・・・・テレビとは違うんだよ。何が難しいって、『死体』程、舞台の上で演じるのが難しいものなんて無いぜ?そいつは『物』も同じだけど。・・・そこには意思もなく、感情もなく、動作もなく・・・全てが無い。もし僅かでも『無』の中に異質な流れを感じ取られたならぶち壊しだ。テレビなら、例え映ったとしてもほんの僅かな時間だし、やり直しがきくからな・・・舞台ならそうはいかない・・・だろ?」
「・・・そういうものなんですか・・・」
「まあ、オレの持論だからな。・・・でも間違っちゃいないだろ?それに、脚本を書いてるのもオレだし。団長もオレなんだ。・・・一番演技力を要されるのに地味、なんて配役、他の誰に押し付けても揉めるからな」

遠くを見た彼に、コナン君が「揉めたの?」と問い掛けた。

「・・・演技の事や、配役の事で揉めるなんてしょっちゅうさ・・・誰もが皆、良い役をやりたい。それは当然の事だし・・・もっと上を目指すのも当然の事だしな。チャンスを掴んでのし上がれたって奴も・・・」

「・・・・・・・・・・陽介・・・」

太田さんの言葉を切るかの様に、ふっと舞台の下から声を掛けたのは女性・・・。深く帽子を被った、真っ白いワンピースに身を包んだ女性だった。
「真央・・・お前何でこんなトコに・・・」
どうやら、太田さんも知っている女性らしい。それにしても室内で帽子?と訝しげに向けた視線の中、彼女はゆっくりと帽子を取った。

「・・・ま、真央って・・・大地真央!!?」

「高木刑事、知ってる人?」
コナン君には、さっきまでの知識とは、どうやら別物らしい。こっちの騒ぎを聞きつけて戻ってきた服部君が、「女優の大地真央や、知らへんのか?」と代わりに答えてくれた。
「大地真央って言ったら、実力派で有名なんだよ!今やゴールデンタイムのドラマの常連と化してるんだから!」
「役柄は地味な役が多いんやけど、その演技は天下一品て有名なんや。・・・人当たりもエエて評判やし、CMにもちょこちょこ出とるで?」

外野の騒ぎも眼中に入らないといった様子で、彼女は太田さんだけを見ていた。

「・・・・・・違う・・・よ、ね・・・?陽介じゃない・・・よね?」

「・・・お前も来てたのか・・・」
「ね?違うんだよね?」
「・・・・・・迷惑だから来るなっつってるだろ・・・・・・何度言ったら分かるんだよ」

彼の眉間には自然と、深く皺が刻まれて・・・大地真央は対照的に悲しそうに、舞台の上に立つ彼から、俯く事で視線を逸らしていた・・・。

よおーっし、違う視点でいってみよお〜(><。)でも短くてごめん(−−; つかさ 2001/12/19 22:36
冗談じゃない。俺の計画が台無しだ。
今回の劇がディクスンカーの推理小説を題材にする事が決まったときから、
おれはずっとこの計画を練ってきたんだ。
大胆かつ綿密に。会場の下調べもした。毒薬も足がつかないように遠まわりに
苦労して手に入れたものだ。下準備も完璧だったのだ。

そして。何より観客を魅了するストーリィを作りたかった。
誰も実行できないだろうストーリィを描きたかった。
役者として最高の舞台を作りたかった。
最高の殺人劇の主人公に・・・。

それなのに。

事件となれば警察がやってくるのはわかっていた。しかし。観客席を見た時。
この計画に対して、初めて自信が揺らいだ。
なぜ西の名探偵と言われる、あの高校生探偵がいるんだ?間違いない、いつか
新聞で見たことがあった。

しかし。今更後には引けない。
今日を逃したら、今までの準備も無駄となってしまう。

・・・やるしかない。

大丈夫。計画は完璧だ。
何より証拠が見つかるはずもない。だれも気づくはずがない。

あいつに知らしめる為に。
あいつに俺の役者としての力を理解させる為に。

さあ・・・幕は上がった。名探偵諸君、君たちにこの謎が解けるかな?

お…女のひとが出てこなあい!! び…びじゅあるに問題がっ… あ。コナンちゃんいるから。ま。いっかvv くみくみ HP 2001/12/20 22:47
「刑事さん。さあ訊問でもなんでもどうぞ。できれば座らせて頂きたいものですけれどね。どうせ長いお話になるんでしょう?」

現れた美しいひとに目を奪われていた一同は。その言葉にはっと我に返り。「現在最も容疑者に近い人物」の挑戦的な言に眉を顰めた。
もっとも…
そこにいた全ての人間が彼女に気を奪われていたわけではない。
陽介と真央の会話への辺りの反応を興味深げに見つめていた者たちも…いた。

「これは…。なんやワケ有りってトコやな。なあ。工藤」

上体を傾けて囁くように話かける。
それにちらりと視線をやって。ぷいっと逸らしたのは小さな影だ。

「ひとが何人か集まれば諍いも起きるさ。ましてやスポットが当たる当たらないで大きく揺れる…そんな世界なんだろ?」
「なるほど?更にきれーなねーちゃんまで付いてくれば…。まあそんなところやろな。で?」
「で?…ってなんだよ?」
「目星はついとんのか?」
「死因もはっきりしてねえのに。んーなこと軽々しく言えっかよ」
「なんや。奥歯にモノが挟まったような言い方やないけ」
「おまえなあ。いつもみてーに懐いてねーで自分で推理しろっての」
「………」

傍をするりと抜け出すと。とことこ舞台の上を歩いて。馴染みの鑑識員に再び近づいた。

「ねえ。トメさん」
「おう。ぼーず。どーした?」
「あのおにーさん。何処かを刺されて亡くなっちゃったの?」
「ああ死因だな。こう首のこの辺りに針で刺されたような小さな跡がみとめられてるぞ」

手を延ばして。ここら辺な。と小さな頭を抱え込んで指先で触って見せる。

「じゃあ。ここなら刺されたことそのもので死因になったんじゃないんだね。」と問えば。「そう。死体の状態からみて毒によるものというのは確かなようだ。」と答えが返った。「たぶん刺したその針状の凶器の先に毒物が塗ってあったんじゃないかな」とも…

「で?見つかったの?その凶器…」
「いや…」
「まだなんだ?」
「ああ。…と言うことはだな。あの若いのには非常に不利な状況になるってわけだ」
「そう…だね」

ちらりと動いた視線の先には。目暮警部相手に何やら話込んでいる陽介の姿があった。

「ありがと」
「おう。あんまり危ないことするんじゃないぞ?」
「うん!」

じゃあな。と手を上げて。仕事へと戻ってゆく。
老練な鑑識員の手腕は誰もが認めるもので。その緻密な作業には鬼とまで評されるものがあったのだが…
ちろちろと物騒な事件現場を動き回る小さな姿を止める訳でもなく。咎める訳でもなく。
不思議な関係ができあがっている。




遺体に残った針で刺されたような跡。
見つからない凶器。
舞台の上にはふたりの役者。
暗転の後も続く劇。
点灯後も起き上がらなかった被害者。

「違うんだよね?」…大きく見開いた目。
「死体」役は難しい。そう言った。
「揉めたの?」そう問えば否定せずに…


まだ。
何かがひっかかってる。
そう。
何か違和感が…

もやもやしたものが形を取ろうとしていた時。

「警部!!ここに。こんなものがっ!!」

白い手袋に覆われた指先に。きらりと光る細いモノ。

「太田さんの上着から。針が発見されました!!」

あ、蘭ちゃんがっ蘭ちゃんがっどこだっ(^^; くぬぎ HP 2001/12/22 14:50

「えっ・・・!?」

高木刑事の指先のそれに、太田の表情が一瞬にして変わった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ・・・なんでそんな物がオレの上着に・・・?」
「別室でちょっとこれについて話をお聞かせ願えますか・・・太田さん」

目暮警部の手を振り解いて、太田はまっすぐ向き直った。
「・・・オレじゃない・・・オレには月島を殺す動機なんて・・・」
「・・・お前は月島に嫉妬してたんだろ?お前は全然上の世界には上がれない・・・月島よりオレの方が上手いのに・・・ってな。月島はお前の目の上のコブだったんだ、その凶器が出てきたのが良い証拠だろ?暗闇の中、お前しか奴に近づけなかったんだから!」
「・・・星崎さん・・・!」

目暮ですら止めようとした程、勝ち誇ったかの様な星崎の言葉に・・・表情すら失って太田は目を見開いていた。

「違う・・・違うわよ、団長はそんな・・・そんな・・・・・・」
間に立とうとした真央を、ぎらりと太田の鋭い視線が射抜いた。

「お前に団長と呼ばれる筋合いは無い。・・・今のお前は劇団とは無関係な人間だ。」
太田を『団長』と呼んだ真央は、あまりに冷たく響くその声にびくっと身じろぎすると、目に涙を潤ませた。

「・・・・・・団長・・・」
劇団の若い団員が、その集団の中から一人、歩み寄った。他の団員も同じ様に向ける、その不安そうな眼差しに、さっきとは打って変わった優しい笑みを向けた。
「・・・大丈夫だ。それより、オレが動けない間・・・お前がオレの代理だ。・・・後の事を頼む」
「はい・・・・・・」

「まあまあ、まだこれが凶器と決まったワケじゃありませんから・・・」
そう言う目暮の言葉も虚しく響くだけで。残された余韻と、団員の女性がすすり泣く声が、部屋の中に漂っていた。


なんであんな冷たい事言うんやろ・・・

自分の境遇と重ね合わせて。何より、その気持ちが共鳴して。思わず和葉は真央に声をかけた。

「・・・これ、良かったら使て・・・」

おずおずと差し出されたハンカチに、真央は躊躇いながら手を伸ばした。

「ありがとう・・・」
こうして見ると。相手がブラウン管の向こうでいつも見ている虚像とはとても思えず・・・すごく身近な存在だと映る。
「・・・好きなんやね」
「えっ・・・?」
「・・・アタシもな、ああいうきっつい事言われてんねん・・・いつも・・・・・・それやから、さっきの見て何となくそうかな〜て思ててん・・・」
そう話し掛ける和葉の笑顔に・・・気が緩んだのだろう。ぼろぼろと大粒の涙が真央の頬を伝った。

「真央・・・」

おずおずと話し掛けたのは星崎だった。

「・・・星崎君・・・」
「真央があんな奴の為に泣く事ない・・・あんな、他の人間なんて踏み台位にしか思ってない奴なんかの為に・・・」
思わずきょとんと見返した真央に、星崎が浴びせ掛ける様に話し続ける。

「・・・・・・真央が必要なくなったから辞めさせたなんて・・・」
「・・・え?」
「それを聞いた時、太田が信じられなくなったよ・・・!」
「・・・・・・・・・・・ちょっと待って・・・・・・団長が・・・そんな事を・・・?」
「そういう奴なんだよ、アイツは・・・!自分は高度な役を演じて、他の奴には・・・!」
「違う!・・・違う!・・・星崎君、ちゃんと団長の事見てたの!?あなた、団長のどこを見てたの!」

悲鳴の様なその真央の言葉が会場に響いた。

それでなくても、和葉が事件の鍵を握っていそうな人物とそこに居たから。自然と二人の探偵の意識もそこに注がれていて。


・・・一筋の光をそこに見つけた。



そうか・・・だから・・・・・・!




・・・名探偵の頭の中で、最後のパズルのピースがはまった・・・