47 ごめんなさい、事件進めるの難しい・・・(ーー; つかさ 2001/12/16 20:50
会場に入るときらびやかなシャンデリアに並んだテーブルの上のグラスやディナーが目に
飛び込んできた。客は若い男女が多いようだ。
仕事中とはいえどうしても思ってしまう。
(・・・いいなあ、僕も佐藤さんと来れたらいいのに・・・)
そんな事を思いながら目暮警部の後ろを歩いていると。急に足を止めた警部の背中にぶつ
かった。
「全く・・・どうしていつもこうなんだ・・・」
「す、すみません!勤務中に不謹慎でありました!」
心の中を読まれたのかと思い、思わず敬礼してしまうと。あきれ顔で警部が「なーにをいっと
るのかね、高木君」と言い、ステージの方を指差した。
「あれだよ、あれ」
警部の肩越しに指差す方向を見ると。警部の言葉に納得した。
ああ、なるほどね。ほんとに、どうしていつもいるんだろうな・・・。

ステージ上で、タキシードを着ているところから役者らしい男性と話しているのは、どの
事件現場に行っても見かける小さな探偵に違いない。
こちらに気づいたコナン君は、ふっと子供の顔に戻り手を振っってみせた。
軽く手を上げて見せると。前を歩いていた警部はかつかつと靴を鳴らしながら、ステージに
近づいていった。

「なあーんで君たちがいるのかね?」
「ああ、警部ハン。おひさしゅう♪」
「僕たちもこのディナーに来てたんだよ」
「そうじゃなくてだな、なんで事件現場に勝手に踏み込んでるかと聞いとるんだ!」
「ま、そない細かい事はええやんか。な、警部ハン。それよりこの事件、案外おもろい事に
なっとるで」

コナン君の横に立っていた大阪の高校生探偵は、親指を立て倒れている被害者を指した。
倒れている被害者の唇は青白く、すでに息絶えているのがわかった。そしてその近くには
かけたワイングラスが落ちていた。絨毯に描かれた赤い筋。それはこのグラスからこぼれた
赤ワインのあとのようだ。
「おもろい?」
「ああ、このステージは正面は客席に囲まれ、後ろは給仕のにーちゃん達が常に歩き回って
んねんで。壁はなくても、これは明らかに密室殺人なんや」

50 動機にいきつけへんかったやないか! 平ちゃん出番がないのでここでなりきってみよー!!(べしっ☆) くみくみ HP 2001/12/18 13:26
「密室…」

これだけ大勢の目がある場所で。如何に暗転して視界が利かなかったとしても。よりによって殺人なんてコトに及ぶ犯人の気が知れない。
全く何だってこんな。舞台の上でだなんて…

「高木くん…。1課の人間がそんなでどうするんだ!シャキっとせいシャキっと!!」
「は…はいっ」

ぼーっとしているように見えたのだろう。目暮警部の怒声が響いた。
その場に居合わせた少年探偵たち(どーしてこんなに事件遭遇率が高いんだ?君達は?)に目を向ければ。
片眉を上げて呆れたような表情の在阪探偵と。
にこ。と小さな名探偵が笑顔で視線に応じた。

「こんにちは。高木刑事」
「やあ。コナンくん。…また大変な事件に巻き込まれたんだね」
「う〜ん。えへ」

ぽり。と幼い指先で頬を掻く仕種が可愛らしい。…だが。これにダマされちゃいけないんだ。

「『事件』って言ったんだけど。まだ『事件→殺人』…とも決まった訳じゃないのかな?」
「え?」
「基本的に密室…今の場合はちょっと特殊だけど…ってコトは外部から何も成し得ない状態を指すでしょ?」
「…ああ…そうだね…」
「じゃあ。まず『自殺』も『事故』含めて考えた方がいい… きっと」

ああ。そうか。と思わず手を打つ。
なんだかね。君達がいると話が何時もそっちに流れていくからさ… つい…
この時ちらりとコナン君は服部君に向けて視線を走らせた。

「『密室殺人』と決めてかかるのは。イロイロ調べてからじゃないと…ね?」

小さく首を傾げてみせる。服部くんは…それに眉を寄せた。

「現場保存が大事かなって。…密室って言ったってここは雪で閉ざされた別荘でもないし。嵐に阻まれた孤島でもないから。高木さんたちがすぐ掛けつけてくれるでしょ?だから外見の観察しかしてないの。詳しいコト解んないし。あ…。平次にーちゃんは確認の為に触ってるけど。…それから。この人もね」

コナン君が指差した先には。これでもか!と言わんばかりの「名探偵」が立っていた。

「あなたは?」
「…は…はい。この月島と同じ劇団に所属している星崎といいます」
「劇団?」
「はい。このディナーショーの演出でミステリものの劇をこの舞台で上演していたんです。あ!僕はほとんど舞台の上には乗ってませんからね!こいつが…。月島が照明をあててもピクリとも動かないから。仕方なしにアドリブで彼の肩に触れて揺さぶっただけなんですよ!」
「ほー?」
「嘘じゃないですよ!ほら。そこの…ぼうやに訊いてもらってもいい。ああ。それより一番近くで見ていた太田ならはっきり解るハズだ。舞台の上にいたんだから…」
「え?」
「だから。月島とふたりで演じていたんですよ。ここでね!」

「………星崎…。おまえオレを疑ってんのかよ?」

興奮した声は自然大きくなり。「密室内で被害者といたただひとりの人物」と名指しされた不快な叫びはその本人の耳にも届いてしまったらしい。
あ…。「被害者」と仮定するのもまだだよな。なにせコナンくんが…

…などと考えている間に。太田と呼ばれたその人物がつかつかとこちらに歩み寄り。状況説明をしてもらっていた月島氏の胸倉を掴んだ。

「冗談じゃねーぜ。何でオレが月島を殺さなきゃならねえんだよ!あん?」
「誰もそんなこと言ってないじゃないか!ただ…舞台の上にはおまえと月島がいた…って言っただけだろっ!!」
「ミエミエなんだよ。おまえの考えてることなんざ…」
「なんだよ!どう言う意味だよ」
「ほー?言って欲しい訳?」

まあまあ。…と慣れた手つきで掴み合っているふたりの間に目暮警部が割って入る。
こちらにちらりと目くばせ…。僕もですかあ…
人と人がいがみ合う場面は苦手だ。こんな職業についていてそんなことは勿論言ってはいられないんだけど。
あの…と声をかけながら警部の声なき命に仕方なく従おうとすると…

「…状況がまだ判然としてしていないんです。ゆっくりお話を伺って。それから亡くなられた月島さんの死因も検証しなければなりません。それからですよ?誰が犯人か?…なんてことはね」

高く。幼い。…でも酷く落ち着いた声が修羅場と化しそうになっている関係者にかけれれた。
一同が振り向く。

「もともとこの劇は。ディクスンカーの密室モノが土台になってるんでしょ?」

え?何?

「そうやったな。ここでは最初っから「殺人」が起こるはずやったんや」

は?君達は何を言ってるんだ?

「ああ。その通りだよ。オレは被害者のハズだったのさ。…犯人なんて冗談じゃねーよ」