おっしゃ、こーい!(笑)ちょっと時間的にもやばそうなので視点2つに分けて長文で進めちゃうねvvv くぬぎ HP 2001/12/04 22:26

なんなんや、一体・・・

和葉のヤツ何をいつまでも怒っとんねん・・・。話聞いてへんかったんは、さっき謝ったやんか・・・

自然と平次の眉間に皺が深く刻まれる。苛立つ気持ちをぶつけるかの様に、目の前の料理に乱暴にフォークを突き刺すと、ガチャンと大きく音がした。

その音に和葉も驚いて後ろを振り向いたけれど。口を開きかけたけれど。それでも何も言おうとはせず・・・。少し視線を落として、また前を向いた。

・・・いつもやったら、こないな時「静かにしとき」とか「ホンマに落ち着きあらへんなァ」とか、やかまし言うやんか・・・何なんや、一体・・・

さっきから、聞こえない二人の会話がやけに気になって。推理にも料理にも集中出来ないでいた。多分、周りの客の迷惑を考えての事なのだろうという事は分かってはいたのだが・・・どう見ても必要以上に顔を近づけて、くすくすと笑い声が混じりながらの二人の会話は、恋人同士のソレである。


・・・膝の上のソイツはオレらと同い年なんやで?東の高校生探偵なんやで?

工藤にはお前もいっぺん会うとるやんか

・・・・・・・・・・あ、あン時『工藤君てホンマにカッコええね』て言うとったな・・・。


工藤も工藤や、何考えてんねん・・・

お前の大事なねーちゃんの前やないか、そないな姿やから構わへんとか、そういう問題や無いやろ?

このねーちゃんがどんな想いでお前を待っとるか・・・傍に居るお前が知らんワケやないやろが・・・


前口上の後、探偵役がすっと指したその指先をきっかけに・・・再び舞台にスポットライトが当たった。ちょっと長いと感じる前口上は、この舞台の道具を並べる為の時間稼ぎだったに違いない。その規模からして、あまり大きくは無い劇団、といった所だろう。

室内の壁・・・に見立ててあるのであろう、大きな板作りのその壁には、木製の古ぼけたドアが取り付けてある。部屋の中らしき舞台の中央には、一つのテーブルと、二つの椅子が配してあった。

その他には壁際に、食器棚と、小さな壁掛けの絵が配置してあって。舞台としては、まあシンプルな方である。おそらくそれは、この観客のどのテーブルからも見やすいように、との配慮なのだと読み取れた。

そやけど、この規模やとそないに役者は入られへんやろな・・・

そう思い、ふと溜息を吐くと。ドアが開いて二人の男が入って来た。

一人はコートを手に。もう一人は鞄を手にしている所を見ると、どうやら二人とも、この設定された家の主では無いらしい。会話の中から、そこが三人目の男の借りているマンションの地下室で、ドアの他には窓一つ出入り口が無いと知らされた。

ほんの一室しかない地下室というのはいかがなものかと思われるが・・・演劇としてこの小さなスペースしかない事を考えれば、その辺はさらりと流しておくしかないだろう。

「・・・すごい・・・」
隣に座った蘭から、思わず感嘆の溜息が出たのは、その彼らの演技力の所為だった。彼らの演技によって、壁一枚の空間が、完全な密室と化している。平次自身も、確かに上手いと感じていた。こんな小さな舞台では勿体無いと思える程に。

「・・・ディクソンカー・・・」
ぼそっと呟いたその言葉に、向かい側に座っていた蘭が反応した。
「・・・ディ・・・?」
「・・・・・・これと同ンなじトリック使た小説の作者の名前や・・・」
「どうして分かるの?まだ劇始まったばっかりなのに・・・」
「・・・考えてもみィ、2人しか居らん状況で被害者が死んだら、加害者は相手しか居らへんやんか。そんなん謎解きにもならへん。・・・それやったら出る答えは一つ、や」

工藤も気づいとるやろな・・・ちょっとがっかり、っちゅートコやろか・・・

まあ・・・ディナーショーの余興なのだから、そんなものかもしれないと思う。古今東西、推理小説というのは膨大な数が出ていて。『誰も思いついていないトリック』なんてものは、おそらく相当な仕掛けでもない限り、そうそう簡単に思いつくものでは無いという事も。そして、こんな小さな舞台で簡単にそれが出来る様なものではないという事も。

・・・そう思いながら移した視線の先には、舞台を見ながら、膝の上の相手と会話を交わしているらしい、その背中・・・。

長いつきあいだから・・・背中だけで、和葉が今どれだけ楽しそうに話しているのかが読み取れる。

・・・怒っとるんと違うんかい・・・


思わず呟いたそれは。自分でも驚く程に怒りを含んだ言葉だと。後で気づいた・・・。



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背中に鋭く刺さる棘を感じながら、ふと見上げれば。一見楽しそうに振舞う彼女の笑顔・・・。
せめて推理ショーに意識を向けていないと、やっていられない気持ちなのだと。その笑顔に込められた想いを垣間見た。

「これから何が起こるんやろね・・・」

・・・既に読めているこの先の、用意されたその『真実』に。・・・気づかないフリをして「どうなっちゃうんだろうね」と答えれば・・・「どっちが先に解けるか、競争せえへん?」と無邪気に笑う。
「・・・ボクだけじゃ分かんないよ」
「あ、それやったら、アタシと一緒に考えよ?気がついた事、お互いに言うて一緒に考えれば解けるんちゃう?」

その方が気が紛れるかもしんねーしな・・・

うん、と頷くと。彼女は一層良い表情で笑った。

背中の気配には気づいているけれど。敢えて無視させてもらう。ちょっと位妬かせた方が、この二人には良い刺激かもしれない。

おそらく、自分のその感情の湧き出る源が何なのかすら、当の本人は気づいていないのだろうけれど。


そんなに怒るくれーなら・・・もっと彼女の事大事にしてやれよ・・・

お前はオレとは違うだろ?

嘘を吐いたり・・・声を変えたりしなくても、面と向かって優しい言葉のひとつやふたつ位かけてやれるじゃねーかよ・・・

こんなにオメーを想う彼女に。ほんの少し・・・気持ちの欠片ぐれー見せてやっても良いんじゃねーの?


・・・オレもそうだったから・・・

オレも、こんな状況になる前は、いつでも、いつまでも・・・その傍らに一緒に居られると。そう信じてたから。・・・そうタカを括ってたから。

服部には・・・いや、背中の彼女にはこんな想いをして欲しくない。

蘭の様に泣いて欲しくは・・・と、ちらっと蘭を見れば。何故か不安そうな眼差し・・・でオレを見ていた。

「・・・?」

舞台の上では、家の主の置手紙に「待っている間」として書かれていた通り、ワインで乾杯する二人の役者の姿があった。

そして、それは思い描いていた通りの展開を見せて。

二人の役者が眠りについた時、舞台の照明がゆっくりと落ちて・・・再びスポットライトを浴びた探偵役が、「それでは再び舞台に幕があがるまで、しばしの間ご歓談と、料理をお楽しみください」と挨拶をしながら合図をする。それをきっかけに出てきたホテルの給仕達が、小さなロウソクに灯りを灯して回りはじめた。

平和主義なわたくしめには難しい展開なのよう(^^; つかさ HP 2001/12/06 22:06
ロウソクの灯りだけで照らし出される会場内は薄暗く、舞台からテーブルの方に向き直っても
互いの表情ははっきりとは読み取れなかった。

蘭の今の顔・・・なんだろう・・・やっぱり推理物の話じゃつまらなかったのか・・・な?

揺らめく光の中、給仕達が早足で皿を並べ始めていた。
もう一度舞台の方を振り返ってみる。今頃あの役者の二人はこの暗闇の中、どうしているのだ
ろう。この先の展開は予想がついているにもかかわらず、なんとなく気になった。

本当にこのまま、終わるのだろうか?

「おい、くど・・・ぼうず。めし食うで。はよ席戻り」
「あ、うん」
とげのある口調で服部に言われて、慌てて和葉の膝から降りた。
「ええやないの、一緒に食べるんやから」
「食べにくいやろが、ぼけ」
・・・ったくしゃーねーな。さっき反省して謝ったんじゃなかったのかよ。
服部の席を横切りながら、太ももを思い切りつねってやった。
「・・・っっ!」
「どうしたの?平次兄ちゃん」
にっこりと、身につけたお子様スマイルで笑ってみせる。
バーロ、頭冷やせよな、いいかげん。

「ねえねえ、早く食べよーよ。ぼくお腹空いちゃったよ」
わざと両手にフォークとナイフを持って、机を叩いてみせる。
「ほんまやね。蘭ちゃん、はよ食べよ。おいしそうやね〜」
「あ、うん」
どこか気のない返事でうなずいた蘭は、やはり元気が無いように見えた。
・・・やっぱり変だ。

「ね、ねえ、蘭姉ちゃん。この後お話どうなっちゃうんだろうね。僕と和葉姉ちゃんはね、
お酒飲んだ二人がね、酔ってけんかしちゃうと思うんだけど。蘭姉ちゃんはどう思う?」
「そうね・・・」
ナプキンを膝の上に広げながら。強い視線で見つめてくる蘭の口から出た言葉は。

「もしそうなら。早く元の関係に戻れるといいと思うな」

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どうしてこんなに気になるのだろう。いつもの自分の場所が捕られたような気がして、
こんな嫌な気持ちになるのだろうか。
和葉のコナンに向ける視線と。赤らめた顔のコナンの笑顔に。

変なの、どうして苦しいの?

「蘭姉ちゃんはどう思う?」

どう思う?私は・・・こんなの嫌。こんな気持ちは嫌。
でも。あの場所は。コナン君がいる場所は。和葉ちゃんの所ではなく私の所であってほしい。
そう思ってしまうなんて。どうしてだろう?
私はこんなに欲の深い人間だったのか。
それでも思ってしまったのは事実。

「もしそうなら。早く元の関係に戻れるといいと思うな」

だーれーがー平和主義?ああ!平×和かあ!!(膝ぽむ) くみくみ HP 2001/12/07 13:20
…ったく。

舌打ちしたなるで。
あんな風に他のオンナと仲良うしとるとこねーちゃんに見せたら。どない思うか考えとけっちゅーねん!

薄暗がりの会場に。
テーブルごとに灯された明かりは。如何にもクリスマス・ディナーを演出するに相応しいムードのあるものだったけれど。
こと。自分の座っているこのテーブルひとつに関して言えば。甘い感傷なんぞ遥か彼方のそのまた向こう。
仄灯りに阻まれたお互いの表情を読み取ろうとして…。或いは読み取られまいとして。雰囲気というなら肌にぴりぴりと…。イヤな刺激を感じる…

『…早く元の関係に…』

気付かんかい!工藤! 

ツネられたところをナフキンの上から擦りながらちらりと小さな姿を見やれば。
離すことを許さない必死な視線に射抜かれて身動き一つできずにいるのが見て取れた。
そうや。ねーちゃん!!もっと言ったり!!

「…あはは… そーだよねー。ケンカはよくないよね…」

…気の抜けた。少しピントのずれた返事をする工藤にカクリと脱力する。
どこまでニブくできとるのや?

正体を知られてはマズいと。距離を置くその関係が感度を悪くさせているのを差し引いたとしても。
自分に向けられる想いにあまりにも無自覚過ぎるで…
おまえホンマにオレと並び称される「東の名探偵」なんか?
どんなに隠しても。
どれほど姿形が変わってしまっても。
その何処かにおまえ本来のモノがあるから。一番傍で見ていた彼女が。それを敏感に感じとるんや。
悲しい顔させてどないすんねん!

と。
ふいにほっそりとした白い腕が工藤に向けて伸ばされた。

「え?………」

手の中にはナフキン。
指先で器用に口元についたソースをやさしく拭い取る。

「……ほら。まだついてる…」

小首を傾げて少しだけ身を乗り出し。ふふふと笑う。とても楽しそうに…

「ホンマ仲良しさんやなあ」

ポツリと零したのは和葉だった。