・・・ちょっと待て。らぶらぶになりかけてますが(笑・・・っていいのか?^^;) くぬぎ HP 2001/11/28 02:29
あの暗号を解いた服部には、迂闊なオレが面白かったのだろう・・・。『何も言うな』と睨みつければ、意味深ににやりと笑って。変に事情を知っている服部がすぐ側に居るというのは、正直、こういう時には困る。
でもまあ、この後は『まあ、がんばれや』と。いつものアイツなら冷やかす様にそう返すのだけれど。・・・今日はちょっと違った。

一瞬オレをちらっと見て。そして蘭へと移された視線は、どことなく物憂げだったから・・・。その蘭を見る目が何故か気になって。オレの目も、服部に釘付けになっていた。

「・・・平次、聞いとるん!?」
隣に座る彼女の大声で我に返ったらしく・・・「あ?」と寝ぼけた様な返事をした。
「やっぱり聞いてへんかったんやん・・・!」
「悪い、何や?」
服部に悪気は無いのだというのは、彼女にだって分かっていたのだろうけれど・・・。恐らく、服部の視線が蘭に向けられていたのに気がついたのだろう。

「もうええ・・・まだ時間あるんやろ?・・・ちょっと表行って来るわ・・・!」
唖然とした空気の中、彼女を追おうと席を立ちかけた蘭を。「大丈夫や、放っとき」と服部が止めた。
「でも・・・」
「どうせトイレか、表の店や。すぐ戻って来よるわ」
おいおい、お前本当に西の高校生探偵か?と言いたくなる甘い読み。どうして自分の周りの事にはこうも疎いんだと、内心腹が立った。「でも、和葉ちゃん、コート忘れて行ったわよ?」と蘭が言えば「それやったらトイレやろ」と返して。それも、つつかれた所為だろうか・・・ちょっと不機嫌な声で。

テーブルに妙な緊張感が漂って。・・・恐らく、事情がわかっていない蘭が行っても仕方が無いだろうとオレが先に席を立った。
「どこ行くんや?」
ムッとしながら問う服部に、にっこりと。お子様スマイルで答える。
「・・・ボクもトイレ」
・・・ちょっとお節介かなとは思ったけれど。でも、きっと・・・彼女は戻って来づらいはずだから。服部の機嫌なんて知ったこっちゃねー。

受付のある扉から外に出ると、吹き抜けになったフロアの下。待合用のソファの群れの中に、彼女の姿を見つけて。

追ってきたオレの姿に、あっと小さく声をあげて、彼女は指先でそっと目尻を拭った。泣いて・・・いたのだろうか・・・。
だけど。次に振り向いた時には、いつもの彼女の笑顔に戻っていた。

「こんなんいつもの事やねんから・・・気にせんでええよ?」

泣いている女性は現場で何度も目の当たりにしてきたし。母さんも蘭も相当な泣き虫だから。女性の涙には慣れていたはずなのだけれど。・・・原因が分かっているだけに、何だかバツが悪い。
「・・・おおきにな、アタシの事、迎えに来てくれたんやね」と・・・服部の彼女にしては出来すぎだよな、という言葉がそれに続いた。
「蘭ねーちゃんも心配してるよ・・・?」

帰ろう?と手を差し伸べると。彼女はふっと悲しそうに微笑んだ。
「コナン君、蘭ちゃんの事、ホンマに好きなんやなぁ・・・」
「えっ・・・!」
思わぬ言葉に、途端に頬が熱を持って。否定するより先に図星です、と、その顔色で白状してしまった。
「隠さんかてええよ・・・アタシも好き。蘭ちゃんて女の子らしいし。かわええし。・・・守ってあげたいて思えるタイプやし・・・アタシとは正反対・・・」

そんな風に誰かと比較して自分を落とす彼女は、らしくない・・・と思った。

「蘭ちゃんが羨ましいわ・・・」
「どうしたの?和葉おねーちゃん・・・ヘンだよ?」
「・・・アタシ魅力無いねん」
「え?」
「・・・・・・平次な、ホテル入ってから蘭ちゃんの事ばっか見て。アタシの方なんて見てへんねん・・・さっきかて、蘭ちゃん見ててアタシの話すら聞いてへんねやもん・・・こんなめかしこんできて、何や、アタシアホみたいやね」

「・・・違うと思うよ・・・」
言おうかどうしようか。迷ったけれど。・・・でも、まあ・・・この場合、どちらかと言えば、オレは服部より彼女の味方になりたかったから。

「多分ね、平次にーちゃん、・・・目のやり場に困ってたんだと思うよ?」
「・・・・・・目のやり場て」
「ほら、平次にーちゃん、和葉おねーちゃんがコート脱いだ後から露骨に不機嫌になって視線外してたじゃない?あれってそういう事なのかなーって・・・」

・・・勿論、以前の水着姿と同等だとして、プラスアルファを差し引いて考えても。あいつが彼女を意図的に視界から外していたのはそういう理由だろう。

「その・・・さっきもね、言ったみたいに、和葉おねーちゃんすごく綺麗なんだけど・・・その服、身体のね、線が・・・・・・その」

言葉が・・・上手く表現出来る言葉が見つからなくて。もごもごとやっていると、彼女がぷっと笑い出した。
「コナン君てかわええね―・・・同い年くらいやったらなー。勿体無いわー」
同い年くらいだったらどうだと言うのだろう・・・と。軽く溜息を吐く。・・・まあ、実際に中身は同い年なんだけれど。・・・工藤新一の姿でそんな事を言ったらただのヘンタイ扱いだよなと。心の中で苦笑する。

「和葉おねーちゃんは蘭ねーちゃんとは違う人だもん。・・・和葉おねーちゃんは和葉おねーちゃんにしか無い魅力があるんだと思うよ?・・・だから、誰かと比べて自分をいじめないで・・・?」

ね?と笑いかければ。気持ちと一緒に涙腺も緩んだのだろう。彼女の目から、ぽろっと涙が零れた・・・。


「・・・推理ショーがそろそろ始まっちゃうよ?帰ろう?」

そう言って再び差し伸べた手を。今度は彼女も、涙を拭った手で・・・微笑みながら握り返した。
標準語なへーちゃん・・・なんか違う(^^; 2001/12/02 01:26
工藤が出て行ってから。やけに周囲の観客の声が聞こえてくる気がした。
理由は簡単。会話がないから。和葉の声が聞こえなくなったから。

「・・・遅いね、コナン君たち」
いい加減この無言の間に堪えられなくなったのだろう。毛利の姉ちゃんが控えめに声を掛けてくる。
大人気ないとは・・・思う。
工藤が和葉を追いかけて行った時も。本気で止められるものなら止めていた。
しかし。内心連れ戻しに行った工藤に期待してしまったのも、事実。
自分でもらしくないと、思う。

「悪いとは・・・思ってんねん。すまんな、姉ちゃん」
帽子のつばで顔を隠そうと思い、頭に手を伸ばした時点で、被っていない事に気づく。
普段被っているキャップ帽。こんな席で被っているはずなどないのに。
上げた手で、そのままがしがしと頭をかく。

「男の人って皆こうなのかなあ」
「?」
毛利の姉ちゃんが小さく首を傾げながら問う。
「・・・素直じゃないのね」

天井を仰いで目を細めている。何かを・・・誰かを思い出しているに違いない。
「かっこつけすぎるのよね、どうしてかしら?女の子はね、たった一言聞きたいだけなのに」
そう言って。まっすぐこっちを見つめて。ふっ、と笑った。

どきっとした。
工藤は彼女のこんなところにひかれたのかもしれない。
ふと、そんな事を思った。
こんな事思うなんて・・・やっぱり、らしくないと思いつつ。

「ただいまー」
振り返ると。いつもの笑顔で和葉がそこに立っていた。
「ごめんねー蘭ちゃん、遅おなって。トイレ混んでたんやわ」
ようやく見ることの出来た和葉の目は赤くて。こっちを向こうとはしなかった。

「全くや、遅すぎんねん。もうショー始まってしまうわ」
今度はまっすぐと。むっとした和葉の視線を捕らえて。
「でも・・・悪かったわ。すまん」
言うだけ言って前を向き直ると。先に席に着いた工藤がにやりと笑った。
なんだか負けたような気がして。嫌がる工藤の小さな頭をがしがしとなでてやった。

その時、急に会場の明かりが消えて。

はっとなってステージの方に向き直ると。
スポットライトが舞台上の一人の人物を照らし出した。

「見事難問題を解き明かした名探偵諸君!私の用意したミステリーショーへようこそ!」
                                                           

収拾…つけずに。もめもめvv(結構楽しんでたり…ふふふ) くみくみ HP 2001/12/04 13:08
ショーの開会を高らかに宣言したその人物は舞台の上で鮮やかな紳士の一礼をする。
しっかし。まあ…その出立ときたら。

「予告通り新たなる謎を用意させて頂きました。これは私が既に解決しまっているものではありますが…」

はは〜ん。なるほど?
提示される謎は今度は実際にあった事件…という設定なわけだ。
それで探偵さまの登場…ってか?
オレだって紛れもなくシャーロキアンだけれど。探偵役を振られてホームズのコスプレをするような偏った質のモンじゃねーぞ。
思わずそう文句を言いたくなるほど。上から下までスキのない身なり。そう完璧な… って…あれ?

「難題であることを確約致します」

身軽に。1メートル程の高さの舞台から飛び降りて。取り巻いている観客のテーブルへと歩み寄る。
スポットライトが移動してその場所を確実に知らせてはくれるのだが…

み…見えねえ…

舞台にいてくれればよかったのに。何の趣向かそこから下りてしまってはテーブルの中央に飾られた艶やかな生花の影にもなってどうにも視界が開けない。
なんとかならないかとごそごそと体を動かしていると。

「なんや?どないしたん?」

隣の席の服部が気付いて小さく声をかけてきた。

「いや…なんでもねえよ…」

背が低くて花の所為で見えません…なんて言えっかよ!!
諦めて腰を下ろすことにする。
と。その服部の向こうから振り向いた彼女が手招いた。

「?」

他のテーブルの観客に邪魔にならないよう。音を立てずにそっと席を立ち近づく。
なあに?と言おうとした途端。ふわり…と体が浮いた。

「か…和葉ねーちゃん!?」
「見えへんのやろ?」
「いや。あのっ…。だってっ…」
「ええやろ?いっつも蘭ちゃんの膝にかて乗ってるやん…」
「でもでもっ!!」
「しーっ。静かにせな。周りのひとに迷惑やで」
「……………」

答えに窮して黙り込んだ。
落ちないようにと廻された彼女の手がやわらかな枷となって身じろぎもできない。
背中と…
脚が感じる… 女のこの…
いい匂いもしたり…

おい…
しっかりしろオレ!!
舞台と。探偵に意識を集中すれば…。いずれ忘れる…。

………はあ。
内心でため息をついた時。背後からのキツい視線を感じた。