立ち止まった冬景色






癒えない傷は無い

忘却する事はあっても


だけど、全てに忘れ去られた時、人はホントに死を迎えるのかもしれねーな・・・






命日が近づくにつれ、打つメールの数も増える。

受け取る相手の無いメールは、亡き友の元へ・・・ちゃんと届いているのだと。そう信じて。

他愛も無い事

相談事

生きていたならお前に話していただろうけれど。今はそれも叶わないから。

いや・・・生きていた頃より、オレはお前にオレという人間を曝け出しているのかもしれない。

そう思うと自然と笑みが零れた。

「・・・何笑ってるの?」

ついこの間同僚になったばかりの女刑事が覗き込む。人のする事にいちいち文句は多いけれど。気にかけてくれてるのだろうと思うとムゲに出来ない。そんな不思議なヤツだった。

「そう?・・・これから聞き込みに行くわよ?」

そう言いながら手に取ったスーツの上着から。カチャンと音を立ててソレが落ちた。

「ん・・・?」

オレがそれを拾い上げると。目の前の彼女は明らかに顔色が変わっていた。

「これがどうかしたのか?」

よく見れば。その錆び付いて古ぼけた手錠は・・・つい最近、オレの目の前で彼女が懐から出して使っていたソレとは別物だ。

「なんで二つも持ってんだ?」

何気なく尋ねると。「父の形見なのよ」と返す言葉。

思わず視線を向けると、「殉職した父の形見なの。お守り代わりに持ってんのよ、悪い!?」とさっき一瞬見せた弱気な姿はどこへやら・・・といった勝気な表情を見せた。

「へぇ―――殉職した親父の形見をお守り代わりにねぇ・・・」

改めて見れば。傷も所々について・・・。その一つ一つが生きた証を表しているかの様に主張している。

「ちょっと返してよ! どーせそんなのいつまでも持ってないで吹っ切らなきゃ前に進めないって言いたいんでしょ?」

彼女の言葉は。

恐らく、既に誰もがそう言ってきたのだろう。


・・・オレも散々言われている言葉だ。



「いや・・・忘れるこたぁねーよ・・・前へ進めるかはあんた次第・・・」



それはまるで、自分に言い聞かせて・・・奮い立たせているかの様な言葉。




「あんたが忘れちまったらあんたの親父は・・・本当に死んじまうぜ?」




そう言うと。

ちょっと驚いて目を見開いた彼女は小さくオレの名前を呼んで。

その手に無事戻った手錠をそっと握り締めた。


今年も命日が近づいて。自然と増えるアイツへのメール。


その中に、オレと同じ様に、胸の中に大切な人を宿らせている女刑事の事も紛れ込む様になって。



らしくないとアイツが天国で笑っている様な


そんな気がした。















松田刑事登場記念〜。
というか・・・サンデーで問題の場面を読んだ際に一気に殴り書きした一文です^^;
36巻のラストファイルがそれに当たります〜〜


死んでしまった人間には敵わない

確かにそういう面もあると思います。


でも、生きていなければ出来ない事がある。

・・・死んじゃだめ。

どんなにカッコわるくても。




photo by kunugi