「三匹のこぶた」

 昔々あるところに、三匹の可愛いこぶたが住んでいました。お母さんぶたの蘭と共に、一番上の平次、二番目のコナン、三番目の哀です。
 ある日、お母さんぶたの蘭は、三匹のこぶたを集めて言いました。
「ねえ、みんな。みんなも大きくなったし、そろそろ自分でお家を持たなくちゃ。頑張ってお家を作って私に見せてほしいんだけど……。」
「おっしゃあ!まかせときぃ!家くらいちゃちゃっと一軒建てたるわぁ!」
 平次が張り切って言い、コナンと哀もとりあえず同意しました。
 そこで、三匹のこぶたのお家作りが始まったのです。

 一番上の平次は、家の材料にワラを選びました。
 そして、作り始めたその日の内に、お家を作り上げてしまったのです。
「なんや、意外と簡単やったなあ。ほんなら、あいつの家でも見に行こか……。」
 平次はコナンの家へ向かって歩いて行きました。

「おーい、くど……やのうてコナン!家、もう出来たんか?」
 平次は一生懸命に木を運んでいるコナンに言いました。
「バーロォ!この様子見て、分かんねえのかよ?」
 コナンはぶっきらぼうに言いました。
「なんや、そんなに怒らへんかったんてええやろ。」
 平次はどすんとコナンの家の前に腰を下ろしました。
「おいっ、座ってんじゃねえよ。邪魔なんだよ。」
 コナンは木の端で、平次を突付きました。
「あ、何すんねん!オレは兄さんやで?そんな態度とると、おかんに言いつけるぞ、こらっ。」
 平次は言います。
「うっ!」
 コナンは戸惑いました。大好きな蘭母さんに自分の悪口を言われては大変です。いつもお母さんの前では良い子に振舞ってきたのが、全て水の泡になってしまいます。
「ん?言いつけられたくないんやったら、お茶でも出しぃや。」
 平次はあぐらをかいて、偉そうに言います。
 コナンは仕方なく、家作りを一時中断して、お茶を入れる準備をしました。

 そんなわけで、コナンの家作りが終了したのは、翌日の午後になってしまいました。

「とりあえず、何とかできたな……。」
 コナンは平次と共に、出来上がった自分の家を眺めました。
 木で出来た家は多少弱そうにも見えましたが、平次の家に比べたらマシでした。
「そういや、あいつはどうしたんや?あいつの家、まだ見てへんやったやろ?」
 平次がコナンに言いました。
「……またどうせ趣味の悪い家を作ってるんじゃねえのか?」
 コナンはため息混じり言いました。
「ほんなら、一緒に見にいこか……。」
 平次がそう言って、二人は哀の家へ向かいました。

 二人が哀の家の前に来ると、哀の家にはまだ屋根がありませんでした。そう、家はまだ出来ていなかったのです。哀は家の周りをせわしなく動いていました。
「何や、まだ出来てへんのか。駄目やなあ、オレなんか昨日の内に出来てもうたんやで?」
 平次が笑いながら言います。
「良いのよ、家は一生もの、きちんと作らなきゃいけないから……。」
 哀はくすりと笑って言いました。
「どうせお前の作る家なんてろくなもんじゃねえんだろ?」
 コナンが呆れながら言います。
「さあ、それはどうかしら?今に分かるわよ……。ごめんなさいね、私、お兄さんたちに構っていられるほど暇じゃないの。ああ、忙しい。」
 哀はそう言って、またせわしなく動き始めました。

「ま、どうせ大したもん作れへんねん。オレの家が一番やな。」
 平次が自慢げにそう言うと、コナンが平次を睨みました。

 そしてその翌日……。
「ふーん。あのこぶたたちがそれぞれ家を作ったのか……。」
 森のおおかみが望遠鏡でこぶたたちの作った家を眺めていました。
「それじゃあ、いっちょ。仕事に取り掛かると致しますか。」
 おおかみキッドはそう言って望遠鏡をしまうと、平次の家に向かってハンググライダーで飛んで行きました。
 平次の家に着いたキッドは、そっと中の様子を伺いました。中からは平次の鼻歌が聞こえてきます。
「ずいぶん呑気じゃねえか。でも、遠慮はしないぜ!」
 キッドはそう言うと、得意のマジックで、平次の家のワラを吹き飛ばしてしまいました。
「な、何や!?」
 驚いたのは平次です。せっかく自分の家を作り上げたと言うのに、家の中にいたはずの自分はのっぱらに放り出されてしまったのですから。
「よぉ。」
 キッドの言葉に、平次ははっとしました。
「……!?おおかみやっ!」
 平次は叫びました。
 前に蘭母さんから聞いたことがあります。おおかみは自分たちを食べてしまう怖い生き物だと……。
「どうも、はじめまして。」
 キッドがそう丁寧に挨拶をすると、平次は一目散にコナンの家へ駆けて行きました。
「あ、こらっ!待ちやがれ!」
 キッドも平次を追いかけます。
「待てっ言われて待つ奴がおるか、あほ!」
 平次は駆けて駆けて、コナンの家に逃げ込みました。
「くどっ……ちゃう、コナン!大変や!おおかみや!オレの家、壊されてしもた。」
 平次は半泣きになりながら言います。
「お、おおかみ!?」
 コナンは叫びました。
「……し、心配ねーよ。いくらおおかみだって、ここまでは……。」
 コナンがそう言ったときです。
「ここまでは、何だって?」
 コナンが振り向いた先にはキッドがいました。
「ど、どうしておおかみが!?」
 コナンが叫びます。
「ふん、窓が空いてたんだよ。」
 キッドは半ば呆れて言いました。
「ま、窓が……。」
 コナンは冷や汗を浮かべて言いました。そう、平次の話に気を取られ、つい忘れていたのでした。
「あ!あれは何!?」
 コナンは窓の外を指差しました。
「あん?」
 キッドが振り向いたその瞬間、コナンは平次を引っ張って、玄関から飛び出しました。向かった先は、哀の家です。

 コナンたちが哀の家へ着くと、哀の家は丁度出来上がったところのようでした。
「助けてくれ!」
 コナンは叫びました。
「あら?どうしたの?」
 哀が尋ねます。
「おおかみが来たんだ。かくまってくれ。」
 コナンと平次は懇願しました。
「……全く、仕方ないわね。どうぞ。」
 哀はマイペースで、コナンと平次を自分の家へ招き入れました。

「全く、オレとしたことが、あんな単純な手に引っかかるなんて……。」
 キッドは自分に文句を言いつつ、哀の家までコナンと平次を追って来ました。
 そして、家の周りをくるりと回って、どこか侵入できそうな場所を探しました。
 キッドが初めに目星をつけたのは大きなガラスの窓。ガラス切りで、ガラスを切って、中へ入ろうと思ったのです。
 しかし、ガラスが切れません。
「無駄よ……。」
 突然聞こえてきた声に、キッドは驚きました。
「あなたの真上にあるスピーカーからよ。」
 間違いなくそれは哀の声で、キッドが窓の中を覗くと、マイクを持った哀がいました。
「無駄って……どういうことだ?」
 キッドは聞き返しました。
「この家の窓ガラスは全て拳銃だって打ち抜けない強化ガラスを使っているの。そんなものじゃあ、切れないわよ?」
 窓ガラス越しに、哀は微笑んでいます。そして、その隣では、平次がキッドにあかんべえをして見せました。
 ただでさえ不愉快だったキッドが更に機嫌を損ねたのは言うまでもありません。
「ふんっ。じゃあ、他の方法を探してやるよ。ぜってえにお前ら全員とっ捕まえてやるからな!特にその黒い奴!」
 キッドはガラス越しに平次を指差しました。
 家の中の平次はどきっとします。

「まあ、この家の中に入れないと分かれば、いつか諦めるわよ。」
 哀はそう言って、台所でコーヒーを入れ始めました。

「くそぉ、絶対何かあるはずだ……。」
 キッドは家の周りをうろうろしながら言いました。そして、日も暮れて、いい加減にあきらめようと思ったそのとき、屋根の上のあるものに気付きました。
 そう、煙突です。
「あそこからなら入れるかもしれねえな!」
 キッドはそう言うと、屋根の上に登り始めました。

「なあ、本当に大丈夫なのか。」
 コナンは心配になって哀に言いました。
「問題ないわ。外の様子も全て監視カメラで監視しているし……。あら?あのおおかみ、煙突から入る気ね。」
 哀が監視カメラのモニタを見て言うと、コナンは暖炉を見て、慌てて数歩下がりました。
「平気よ。セキュリティは完璧だから。」
 哀はくすりと笑って、監視カメラのモニターのあたりにある、スイッチをいくつか押しました。

 少しして、煙突からキッドの声がしました。
「今とっ捕まえてやるぜ!」
 そう声がしたかと思うと、暖炉にキッドの足が見えました。
「お、おい!どどどどど、どうするんだよ!?」
 コナンは慌てて叫びます。
「心配ないわ。」
 哀はそう言って、また何かのを押しました。
 すると、暖炉の周りに煙が噴いて、キッドの悲鳴が聞こえました。
「うわっ!何だ!?」
 しばらくすると、煙が引いて、何だか前と雰囲気の違うキッドがそこにいました。
「こ、これ……。」
 自分の体を見たキッドは慌てました。それを目撃したコナンと平次は、驚いて声が出ません。
「……どう?APTX4869を改良して作った幼児化の煙よ。この煙はAPTX4869の錠剤と同じ成分を持っていてね、肌から成分を通すように改良したの。」
 哀は小さくなったキッドに向かって言います。
「なっ!?」
「小さくなっちゃえば、おおかみもペットの犬も同じよね。はい、お手。」
 哀がそう言って手を出すと、
「わん。」
 とキッドは哀の手のひらに自分の手を乗せてしまいました。
「げっ!?何でオレこんなこと……。」
 キッドは慌てます。
「ああ、言い忘れたわ。あの煙にはもう一つ効能があってね、あの煙を浴びると私の言うことは全て聞いてしまうようになるのよ。今日からこき使ってあげるわ。楽しみね。」
 哀は微笑みました。

「じょ、冗談じゃなねえよ!オレはおおかみだぞ!こぶたごときの言いなりになんかなるもんか!」
 キッドは叫びました。
「はい、おかわり。」
 哀がそう言うと、キッドはまた、
「わん。」
 と、手を出してしまうのでした。

「ちっきしょー!オレはただこぶたたちにマジックを見せて驚かそうとしただけなんだぞ!」
 完全無敵、完全防備の哀の家に、キッドの情けない悲鳴が響き渡りました。


 その後、おおかみキッドがどうなったかは知りませんが、こぶたたちはいい召使が出来て、とても幸せに暮らしたと、ある記録に残っています。

 おしまい。

*あとがき的独り言

 他の書きかけ小説に詰まって、書いてみました。(^^;)
 ネットサーフィンを終えて、夜にとっとと……。ほとんど間を空けることなく書いたもので、意外と気分は乗っていたようです。
 まあ、それで良いものが出来たとは思っていませんが。(^^;)
 キャスティングは本当にテキトー。哀ちゃんのメカハウスはお気に入りなんですけどね。

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くぬぎ

おおおっ!!三番目の哀ちゃん!!・・・・・・ふふふ、大爆笑させていただきましたよ〜(>▼<、)
キッドのオオカミがナイスですねえ(^^ )
そんな召し使いならくぬぎも欲しい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!(絶叫)