うらしまたろう
昔々、ある所に浦島太郎・・・じゃなくて、高木ワタルという名の、正直な若者がおりました。
高木刑事がある朝浜を歩いていると・・・子ども達が小さなカメのジンをいじめているのを見つけました。
「・・・・・君達、何をしてるんだい?」
不思議そうに覗き込む高木刑事に、小さな子ども役の元太君が言いました。
「へへ〜、おれ達悪者を退治してるんだぜ!?」
「・・・・・・・ねえ、悪者って、相手は小さなカメじゃないか・・・逃がしてあげようよ」
「だって、こいつ悪い奴なんだぜ!?おれ達正義の味方なんだもん!!」
必死になって訴える元太君に、高木刑事はそっと跪いて目線を合わせて言いました。
「・・・君だって叩かれたり蹴られたりしたら痛いだろう?」
突然変な事を言い出すと言わんばかりに子ども達は不審な人を見るように、高木刑事をじっと見つめました。
「・・・・・・・・そんなのあたりまえじゃないですか!」
「・・・・・・だったら、このカメの気持ちになってごらん?・・・・・・自分より大きな相手に囲まれていじめられたらどんな気持ちだろう?何もしていない自分を悪者だって言われたらどんな気持ちだろう・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・例え本当に相手が悪い人だったとしても、相手にそんな辛い思いをさせてはいけない・・・そう思わないかい?」
子ども達にやっと高木刑事の気持ちが伝わったようです。
子ども達はカメをそっと放してくれました。
「・・・・・・・・・良かったな・・・・海へおかえり・・・・」
高木刑事の笑顔を振り返り振り返りしながら、カメは海に戻っていきました。
それから数日経ったある日、高木刑事が釣りをしていると、海の中からカメのジンが甲羅をしょって現れました。
「高木さん、高木さん・・・この間は助けていただいてありがとうございました。お礼に竜宮城へ連れていってあげましょう。乙姫様もあなたさまに会いたいとおっしゃっておられます・・・。」
「・・・これはこれはご丁寧にどうも・・・」
高木刑事はぺこぺこと頭を下げながら、ジンの甲羅の上に乗ります。
「じゃ・・・ちゃんと捕まっていてくださいよ?」
そう告げるとジンはゆっくりと海の中へ泳ぎ出しました。
海の中は、今まで見た事も無いような美しい光景が広がっていました。
「どうです?・・・海の中も綺麗なものでしょう?」
「え・・・ええ・・・・・すごい!・・・こんな綺麗な光景、佐藤さんにも見せてあげたいですね・・・!」
高木刑事の素直な反応に、ジンはにっこり微笑んでいます。
コナン君が見たら卒倒するような笑顔です。
哀ちゃんが見たら、間違いなく「あなた誰?」と尋ねる事でしょう。
「・・・・・・・乙姫様はどなたが?」
「行ってみれば分かりますよ・・・」
やがて辿り着いた竜宮城に、高木刑事は案内されました。
「・・・・・・・・やっぱり高木君だったのね!」
嬉しそうに出迎えてくれたのは佐藤刑事でした。
「さ・・・佐藤さん!乙姫ってもしかして・・・!」
「・・・・・・・ふふ、似合う?」
佐藤刑事はにっこり微笑みながら、くるりと高木刑事の前で回ってみせました。
「に・・・似合います、勿論です!!」
「でも良かった・・・高木君が浦島太郎で・・・。誰がやるのかって心配だったの・・・」
佐藤刑事はこっそり高木刑事に耳打ちしました。
「・・・はい!がんばらせていただきますので!」
とてもいい返事を返してくる高木刑事に目を細めながら、佐藤刑事はゆっくりと城の中を案内していきました。
「でね、こっちが春の部屋なの。そっちのが夏で・・・」
「どこも綺麗ですね!」
「・・・・・・・・あら、部屋だけ?」
「そっ・・・・・・・・そんな事は・・・・!・・・・さ、佐藤さんも綺麗です!」
「やだ、ごめん、からかっちゃって・・・高木君って返ってくる反応が一々純粋でかわいいんだもの・・・」
笑いながら、佐藤刑事は答えます。
「えっ・・・そんな・・・・・・」
「冗談よ!・・・・ホントにかわいいわね!」
くすくす笑う佐藤刑事を、高木刑事は赤くなりながら見ていました。
「・・・・・あ、もうこんな時間だ・・・。僕、帰らせていただきますね・・・」
「えっ、もう!?」
「ええ・・・・・明日も仕事ですし。ビデオを返却に行かなきゃいけませんしね。」
仕方ないわねと微笑みながら、佐藤刑事は高木刑事に漆塗りの箱を手渡しました。
「・・・・・佐藤さん、これ・・・・って?」
「・・・玉手箱よ!・・・・・・・・絶対開けないでね?おじいさんになっちゃっても知らないから!」
「そんな危ない物、渡さないで下さいよぉ」
「まぁま、いいからいいからっ♪」
明るく笑い飛ばしながら佐藤刑事は玉手箱を高木刑事に・・・半ば強引に渡しました。
「・・・・・・・・・じゃ!また仕事でね!」
「・・・佐藤さんも、遅刻しないようにして下さいよ?」
「竜宮城で乙姫してて遅刻しましたって?」
「目暮警部に怒られそうですね・・・!」
くすくすと笑い合いながら、高木刑事は竜宮城を後にしました。
岸に戻ると、その光景は少しも変化していませんでした。
「あれ・・・?原作では・・・」
きっと佐藤刑事の心遣いだったのでしょう。
「・・・そうだ・・・」
ふと、手に持っている玉手箱の事が気になりました。でも、絶対開けないでねと他ならぬ佐藤刑事に言われたのですから、開けるわけにはいきません。
「・・・・・・・・・・うちがそのまま残ってる事だし、とりあえず帰りましょうか・・・」
そして、玉手箱を大切そうに抱えて、高木刑事は家へ帰っていきました。
あれから五日、神棚の玉手箱を見上げては幸せに浸っていた高木刑事でしたが、だんだんと様子がおかしい事に気付いて、神棚から玉手箱を降ろしました。
「なんだ・・・・・・・・なんか変な匂いが・・・。まさか、死体とか入ってたり・・・しないか、まさか、はは・・・・・」
高木刑事はとにかく玉手箱を開ける事にしました。
指が玉手箱にかかります・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・おじいさんになっちゃったら・・・・・・・・どうしよう」
苦笑しながら、高木刑事は思い切って蓋を開けました。
中から出てきたのは白い煙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく、異様な匂いを発しているお弁当でした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・腐ってる・・・・・・・・・・・」
そう、佐藤刑事が持たせてくれたのは、手作りのお弁当だったのです。
「お弁当ならお弁当だと言って下されば・・・・・・・・」
多分、佐藤刑事は恥ずかしくて開けないでねと言っていたのでしょう。
たこさんウインナも、たまごやきも、明らかに異様な匂いを発して腐っている事を告げています。
「・・・・・・・・・・・・女性って・・・・・・・やっぱり難しい・・・・・・・・・・・・・」
佐藤刑事の手料理を食べ損なって、高木刑事は玉手箱の前で深く深く首をうな垂れていましたとさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おしまい?
わはは、遊んでみました♪
ゆかっチさんの発案と、まるちゃねいさまの案を融合してみました♪
こんなもんでどうでしょう(笑)
名作もくぬぎの手にかかると台無し(^^;)ぐはっ!!!