再会

よっぽど気に入ったらしいです、くぬぎ・・・(笑)2書いてら(^^;)

「あれ・・・?」
快斗は見覚えのあるその後ろ姿に驚きを隠せなかった。
周りに奴の姿は・・・・・・・・ない・・・
快斗は彼女の後ろに近づき、そっと後ろから目隠しをする。
「きゃ・・・!!!」
はっと振り返ると、彼女は快斗の顔を意外そうに・・・でも嬉しそうに見上げた・・・。

「快斗君・・・!」
「よお、蘭!・・・久しぶり!」

あれから二人が顔を合わせるのは初めてだ。
「・・・今日は探偵君は?」
「・・・コナン君なら友達とサッカー見に行くって出かけたけど・・・」
「そっか・・・おれの事黙ってくれてたんだな・・・さんきゅ」
「快斗君悪い人には思えなかったんだもん。・・・事情があるんでしょ?だから・・・」
蘭の笑顔を目の当たりにして、快斗はまた安堵感を味わっていた。
こいつには不思議な魅力がある・・・
「何見てたんだ・・・?」
「あ・・・なんでもないの!!」
快斗がさっきまでの蘭の視線の先を辿る・・・。
「・・・パソコン?」
しまったという表情で、蘭は快斗に背を向けた。

はは〜ん・・・なるほど・・・

余裕の快斗の表情に、蘭は慌てふためいて弁解する。
「だって・・・こないだのお礼言おうと思っても連絡の取りようがないんだもん!!」
「・・・おれに会いたかった・・・って事?」
「・・・・・・違うもん・・・あれば便利だろうなと思って・・・」
「・・・ふくれんなよ、おれは会いたかったんだぜ?・・・蘭に・・・」

一瞬、二人の間の時が止まった・・・。

「なぁんてな!・・・探偵君に見つかったらただじゃ済まなそうだ!」
「もー・・・!一瞬びっくりしちゃったよ!」
本気だったとは言えないか・・・
快斗は自嘲気味に笑う。
「な・・・おめー今暇?・・・」
「うん・・・誰かさんに置いてきぼりくらっちゃって暇ですよー?」
「じゃ、一緒にどう?」
「・・・うん!」
差し出された快斗の左腕を、蘭は嬉しそうに掴んだ。

花屋に書店、公園・・・と二人は思い付くまま気の向くままに楽しんでいた。

少しはしゃぎつかれた二人は、喫茶店に寄る事にした。
店内の涼しい空気がはしゃぎつかれた二人を穏やかにしてくれる・・・。
「何になさいますか?」
ウエイトレスの声も穏やかに響く。
「あ、おれホット・・・蘭は?」
「あ、私も同じ物を・・・」
「少々お待ち下さい・・・」
ウエイトレスには若いカップルに見えたのだろう、二人に微笑みかけるとテーブルを後にした。
「で・・・?おれに連絡を取りたかった理由は?」
「あ・・・・・・うん・・・・」
蘭は返事に困って、視線を泳がせた。
「どーせおめーの事だから、おれがあの後で落ち込んでるんじゃねーかって心配してたんだろーけどよ」
はっと蘭は快斗の顔を見詰めた。
「・・・図星か。おれなら元気だぜ?・・・周りが落ち込んでる余裕なんてくれねーしな!」
明るく笑う快斗に、いつしか蘭も明るい笑顔を返すようになっていた。
「どうだ、あの魔法・・・効いたか?」
「え・・・あ・・・」
蘭が快斗のまっすぐな視線に、この間のシーンを思い出してしまって視線を逸らす・・・。
「・・・効かなかった・・・?」くすっと微笑みかけながら蘭の表情を覗き込む。
「・・・・・・う〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・」
聞き覚えのある声に、蘭がはっとした。
「あ・・・・・・・・・!!」
指を指す蘭の驚きように快斗もただならぬ雰囲気を感じながらゆっくりと振り返った。
テーブルを区切る植木の向こうに見え隠れしているのは・・・見覚えのある私服の・・・
「た・・・高木刑事!!?」
「あ・・・あれっ、蘭さん!!??」
「どうしたんですか・・・こんな所で・・・」
唖然ととしている高木と蘭を見比べて、快斗はきょとんとしている。
「・・・あ・・・工藤君とデートしてたんですか?」
「あっ・・・この人は・・・」
蘭は言いよどんだ。
快斗の本名を出してしまってもいいのだろうか・・・。
それによってキッドとして不利な状況になったりはしないだろうか・・・。
蘭の心中を察するように、快斗は高木の前に歩み出ると口調をいつもとほんの少し変えた。
「・・・おひさしぶりです、高木刑事・・・!」
「あ、お久しぶり・・・デート?」
「ええ・・・まあ、そんなとこです」
一瞬、蘭も目の前にいるのが誰なのか分からなくなってしまうほど、その快斗の仕種は新一によく似ていた。
「・・・高木刑事は?」
「僕はちょっと学生時代の友人に頼まれて・・・なんか変な暗号を解いてくれだとか・・・・・。刑事だからってそうそうこんなモノに頭を使ったりしないから無理だって言ってるんだけどね?」
「そう言わずに頼むよ、高木〜・・・。これが解けないとじいさん笑われっぱなしで一生を終えた事になるんだ・・・!!」
高木の友人は情けなさそうな声を出している。
「あ、石動・・・こちらは工藤君って言ってね、よく捜査に協力してもらってるんだ!向こうの女性は蘭さん。あの毛利探偵の娘さんだよ!」
「あ・・・どうも!はじめまして!」
二人がお辞儀をすると
「・・・・・・・・・・・どうも・・・・・・」
と、その友人も顔を覗かせて丁寧にお辞儀を返した。
暗号・・・書くのはお手の物なんだけどな・・・・・・。
快斗は引きつりながら微笑んだ。
「ん、工藤君・・・髪型変えたの?」
「あ・・・これは・・・寝癖です・・・。寝坊して慌ててたもんだから・・・。それより暗号はいいんですか?」
「あっ、ああ・・・そうだった!」
「非番も大変ですね、高木刑事!」
くすくすと笑う快斗に、蘭は唖然としていた。
「ん・・・?どうしたんだよ、そんな顔して・・・」
「あ、うん・・・なんか・・・そっくりだなぁと・・・」
「当たり前だ、前に工藤新一の事は調べ尽くしたんだからな・・・。顔は元々似てるし、やりやすいぜ、あいつになりすますのなんか・・・!」
そこまで言って、快斗ははっとした。
しまった・・・奴になりすまして、こいつには一度会ってるんだった・・・!
「?」
きょとんとする蘭に慌てて、快斗は「あ、工藤がこういう場面に事件に首を突っ込まないわけねーから・・・ちょっと行ってくるな!」と高木刑事の方に行く。
「あ・・・工藤君、ちょうどいい所へ・・・」
「なんですか?・・高木刑事・・・」
「これ・・・君ならどう思う?」
「どれです・・・?」
快斗が覗き込んだ紙は、どうやら遺書のようだった。
「うちのじいさん、暗号とか大好きで・・・それに、じいさんがこんな程度の遺産しか持ってないなんて、そんなはずはないんだ・・・。きっと、じいさんイタズラ心でこんな遺書を書いたと思うんだけど・・・」
「でも、親族の連中は皆呆れて帰ったんだろ?」
「いや・・・・・・そうなんだけどさ、でも、俺が知ってるじいさんは、イタズラ好きの子どもみたいな人だったから・・・・・・・。親族の連中はいかれたじいさんとしか見てなかったけど・・・でも、俺はじいさんのそんな所が好きだったんだ・・・・・。死んでまで笑い者にされたくないんだ・・・・!!」
石動は、俯いてテーブルの下でぐっとこぶしを握った。
「ちゃんとじいさんに遺産が・・・・・ちゃんとした遺産があったって事を証明して・・・見返してやりたいんだ!!」
「石動はじいさんっ子だったからなぁ・・・・・・」
ふっと高木刑事がだだをこねる子どもをなだめるように、石動を優しく見つめた。
・・・・しゃーねーな・・・・解いてやるか・・・・・。
快斗も、その石動の様子に、くすっと微笑んで、遺書を手に取った。

『遺産証明書の所在が知りたければ、つぎの遺産目録を参考にして探し当ててみる事だ。探し当てた者にその全ての遺産を相続するものとする。』

≪三井の頭 何時の頭 風の頭 非違の頭 世の頭≫

『一、なかなか手に入らない骨董品』
『二、野ざらしになっている田舎の土地の権利書』
『三、暮らしに困らない程度の現金』
『四、空の領収書』
『五、濫発した会社の債権』

「ああ・・・・・・・・・簡単ですよ」
快斗は口元に手をやりながら、微笑んだ。
「えっ、工藤君、分かったの??」
「・・・・≪三井の頭 何時の頭 風の頭 非違の頭 世の頭≫音読して、みいの頭、いつの頭、ふうの頭、ひいの頭、よの頭・・・ですよね?これの通りに一からの文字の頭をつないで読むと・・・・?」
高木が文字を目で追いながら、言葉をつなげる・・・。
「く、ら・・・の・・・なか!!」
「これだけじゃないと思いますよ?・・・・・・・・まだ何かキーワードがあると思いますが・・・・・・・・・・・・これ・・・・かな?」
快斗は遺書の入っていた封筒を手に取った。
「すいません・・・これ、ちょっと切り開いてもいいですか?」
「えっ・・・・・・・ええ・・・・・」
快斗は封筒を受け取ると、蘭の方に戻ってきた。
「・・・終わったの?」
「あと少しってとこかな?・・・・・なあ、蘭・・・ハサミ持ってねーか?」
「あ、うん・・・あるよ?ソーイングセットのでよければ・・・はい!」
蘭から鋏を受け取ると、快斗はイタズラ好きの子どものような表情で、内袋と封筒の間を覗き込んで、確認してから封筒を切り開いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ほおら・・・・・出てきたぜ・・・・・?」
封筒の中には薄墨で書いた文字が出てきた。
「?・・・なんて書いてあるの・・・?」
「≪中に鼠、縁の下に蛇、天井裏に牛と虎≫『そこは鬼門である』だとさ。・・・・・・・なるほどな」
「なるほどな・・・って、解けちゃったの!?」
「ああ・・・簡単さ。・・・・・・・高木刑事と石動さんの所で解いてやるよ。おめーも来るか?」
「う・・・うん・・・」
蘭は、快斗の背中を追うように、高木刑事達の席にやってきた。
「どうだった?工藤君?」
「やっぱり僕の睨んだ通り・・・まだメッセージがありましたよ。・・・これです。」
快斗がテーブルの上に封筒を広げる。高木刑事と石動はのめりこむようにして覗き込んだ。
「また意味不明な・・・」
「そうでもないですよ?・・・・・・・・ほら、これは方向を示してるんです。動物の名前は方角ですよ。『鼠』は『子』で、北。『蛇』は『巳』で東、『牛と虎』は『丑寅』で北東。鬼門は、北東ですよね。・・・・・・・・とすると?」
「天井裏!!?」
高木刑事の表情がぱっと明るくなる。快斗は高木刑事ににこっと微笑んだ。
「・・・・・・そうです。これに、遺書をプラスして、『倉の中』『天井裏』・・・・・つまり、倉の中の天井裏です。石動さんのお探しの物はそこにあると思いますよ?」
「さすが、平成のシャーロックホームズ!!」
高木が頬を赤くして快斗に賛辞を送る。
「いえいえ・・・・・・・これくらいは簡単ですよ」
平成のルパンと呼ばれるのにはキッドで慣れているが、ホームズと言われたのは初めてだった。
早速と急ぐ石動について、高木刑事もすぐに出ていった。
また、店内にゆっくりとした雰囲気が漂いはじめた。
「・・・・・・・・さ、おれ達も出ようか?」
快斗の言葉に、蘭はにっこりと微笑んだ。

店を出て、ゆっくりと歩き出した快斗の背中を追うように蘭が続く。
快斗は追いついた蘭の歩調に合わせて、少し歩くペースを落とした。
金色の木の葉がひらひらと二人の間を舞う・・・。
「すごかったよ、快斗君!!・・・・・・・・・・・・・まるで・・・・・・・」
頬を真っ赤にして喜ぶ蘭に、快斗は苦笑して皮肉を言う。
「・・・・・・・・・・・・・・工藤本人みたいで?」
快斗の皮肉に、蘭はきょとんとしている。
「・・・・・・・・・・・違った?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・違うわよ!・・・・・ホントの探偵みたいって言おうと思ったのに・・・・・・・」
すねた蘭の表情に、快斗は苦笑しつつ、弁解する。
「悪かったよ・・・おれに工藤を重ねて見てたんじゃねーかなと思ったら・・・ちょっとイライラしちまったんだ・・・」
「・・・・・・・・え・・・?」
きょとんとする蘭の表情が、快斗のイタズラ心を刺激した・・・・・・・。
「・・・・・・・・・ふたつもじ・・・牛の角もじ、すぐなもじ、ゆがみもじとぞ君はおぼゆる・・・・・・・・・・・」
「?」
「・・・・・・・おれからおめーへの暗号・・・・・・・・分からねーならそれでいいから・・・・・・・・」
「・・・・・・・・なに、それ?」
突然ザッと風が吹いて、降り積もった金色の木の葉が舞いあがる・・・・・・・・。
「・・・お互い好きな相手がいるのにな・・・どーしておめーの事がこんなに気にかかるんだろーな・・・」
耳の側で唸る風の音と、風に舞う金色の葉で、快斗の表情も、言葉も、蘭には届かなかった。
「えっ、何!?・・・・・・聞こえないよ!?」
「・・・・・・・・・・それまでの宿題だぜ?」
やっと聞き取れたのはこの言葉だけだった。
「・・・・・・・・・・・・・・宿題??」
金色の嵐が収まったと思ったら、蘭の前から快斗の姿が消えていた。
「快斗君!!?」
既に去ってしまった後である。
蘭は溜息を吐きながら、快斗が立っていた辺りをじっと見つめていた。

「何してんの、蘭ねーちゃん?」
聞きなれた声に、蘭は慌てて振り返った。
「コナン君・・・!!」
「・・・・・こんな所でぼーっとして・・・」
「コ、コナン君こそ・・・・・サッカーは・・・?」
「試合なら終わったよ?・・・・・・蘭ねーちゃんはどうしてこんな所にいるわけ?」
「あの・・・・・・・・・散歩してたの・・・・・」
「ふ〜ん・・・・・・・・・・・一人で・・・・・・・・・・?」
別にやましい事は何もないのだが、会っていた相手が相手である。蘭は視線を逸らしながらごまかした。
「あ、あ・・・のね、ちょっと友達に会ってたの・・・」
「ふ〜ん、それって新一にーちゃんの知ってる人?」
「あ・・・・・うん、多分・・・・・・・・・・」
長年の付き合いである。蘭の嘘くらい、すぐに見抜けたが、肝心の相手までは分かるはずも無かった。
「ふ〜ん・・・・」
「あっ・・・ねえ、コナン君なら分かるかな・・・『ふたつもじ、牛の角文字』・・・なんだっけ・・・『すぐなもじ』?・・・『ゆがみもじとぞ君を覚ゆる』って暗号解ける?」
ぴくっとコナンの表情に一瞬動揺が走った。
「・・・・・・・・・・・・・それって、誰から言われたの・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「あっ・・・えっと・・・・・その・・・・・・・・」
「男の人・・・だよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ・・・・・・・・言った人の性別って関係あるの?」
「まあね・・・」
話すに話せない・・・。蘭のそんな様子から、コナンは相手が男である事を読み取った。・・・赤くなった蘭の頬を見れば、コナンは苛立ちを隠せるはずが無かった。
「・・・・・・・・・・あっ・・・・・そ・・・・・・・・・・・・ならいいよ、教えてあげないも〜ん・・・・・・・・」
「・・・・・・どういう意味?・・・・・・・ねえ、コナン君?」
「・・・一つだけ教えておいてあげる・・・『君を』じゃなくて、『君は』だよ!」
「どういう意味?どうして怒ってるの??」
「・・・・・・・・・・・・・別に怒ってなんかないよ!」
そう言いつつも、コナンの頭の中では既に暗号は言葉にされて渦巻いていた。

「ふたつもじ」、つまり上下に分かれたふたつ筆跡から成る文字で「こ」、「牛の角文字」とは、牛の角の形に例えて、天に向かってまっすぐ二本伸びた形で「い」、すぐなもじ・・・つまりまっすぐな文字で「し」、ゆがみ文字で「く」・・・・・・・つまり、「恋しく君は覚ゆる」・・・・・・あなたを恋しく想っていますって意味だ・・・。徒然草の六十二段にある歌だ。
こんな説明をして他人と蘭の仲を取り持つ義理は、どこにもない。

せいぜいふられりゃいーんだよ!

あ・・・待てよ?
ふられるってのは、蘭が相手の出した暗号を解けなきゃ無理なんじゃないのか・・・?
コナンの気持ちにも気付かず、蘭は一生懸命快斗の出した暗号を解こうと考えていた。
「・・・・・・・・・・・・・」
こんなに一生懸命解こうとしてるって・・・・・・・・事は・・・・・・・・・少しは脈ありって事じゃ・・・!!!!???
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
コナンの視線に気付いて、蘭がコナンを見た。
「・・・・・・あ・・・・なんでもないよ・・・・・・・」

新一からの電話が久しぶりにかかってきたのは、その夜の事だった―・・・

UP00.6.27

ははは、トリック思い付かなかったから暗号モノです(笑)

まるちゃねいさまに献上するKAITOとは別物です〜・・・

ちょっと短編書きたくなったのね(^^;)
・・・・・・・・・・・・・・・・・先に仕上がっちゃったけど(−−;)(そりゃ短編だからね(苦笑))

あ、今回もコナン出てきてますねえ・・・(好きだから(^^;))

快斗・・・新一にーちゃんにケンカ売ってるし・・・(笑)

くぬぎ