暗中

やっと事件だ・・・。くぬぎ、忘れてたんじゃないのかと思われてたりして〜(^^;)

「どうしたんですか?」
快斗のセリフに、歩が答える。
「それがね・・・どうも五十嵐さんお風呂の水出しっぱなしで寝ちゃってるみたいなのよ・・・」
「下の天井にしみが出てて、気がついたんだけどね」
ゆうきと二人で見つけたそうで、西村と歩、ゆうきの三人で呼びかけているのだが・・・
「起きてくれないの・・・」
「困りましたねぇ・・・内側から本人に開けてもらうしか方法がないんですけど・・・」
「合鍵とかないんですか?」
歩がもっともな意見を述べた。
「・・・うちはペンション風の作りだけど、・・・いずれマジシャンとして現役を退いてからペンション経営でもしようと思って購入した別荘なんですが・・・もともとは鍵なんてつけてなかったんですよ。この鍵は皆さんがいらっしゃるからと取り付けたばかりの・・・いわば間に合わせの鍵なんで、合鍵は作ってありませんし。・・・内側から開けるか、本人が開けるかしないと開けられませんよ。鍵は五十嵐さんに渡してしまっているから・・・」
「隣のベランダから飛び移ったら中に入れないですか?」
隣と言うと、蘭の部屋である。蘭の部屋と五十嵐の部屋のベランダの間隔は約80cm、飛び移れない距離ではない。
「まあ・・・窓が空いていれば・・・」
「じゃ、おれが窓の方から起こしてきてやるよ。」
快斗は危ないよと止める西村に、にこっと微笑みかけると
「大丈夫だよ・・・こういうの、慣れてっから!・・・おっさんにゃ無理だって!待ってな!!」
と蘭から鍵を受け取り、ベランダへと飛び移った。

ベランダに面した窓は鍵が掛かっていて開かない・・・。
快斗は中にいる五十嵐に呼びかけることにした。
「五十嵐さん!・・・五十嵐さん、起きて下さい・・・!!」
中からの応答はない・・・。
「なかなか起きねー人なのかな〜・・・ん?」
快斗が異変に気付いた。
・・・部屋の床は一面水浸しだ。

『まさか、風呂に入ったまま、風呂場で寝ちまったのか・・・?』

快斗が一層声を大きくするが、反応は全くと言っていいほどない・・・・・・。

ガラスに耳を当てると微かにシャワーの音がする・・・。
ふと、窓際まで来た水に目を落とす・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ?」

ほんのわずかだが、色がついている・・・。

赤い・・・・・・・

さすがに様子がおかしい・・・。

「おっさん!・・・中の様子が変なんだ・・・ガラス割って入るぜ!」
快斗の話し振りに緊急を感じて、蘭は部屋に置いてあった馬の置物を快斗に投げて渡した。
「さんきゅ!蘭!!」
置物をハンカチにくるんで、なるべく小さく窓を割る・・・。
小さな割れ目から、手を差し込んで、快斗は窓の鍵を開け、中に入ると水溜まりに構わず部屋の中に入り、風呂場に直行した。

「五十嵐さん!?」

快斗の呼びかけに答える様子はない・・・。
五十嵐は真っ赤な湯船の中に服のまま漂っていた・・・。
「駄目だ・・・死んでる・・・」
快斗は、ドアの方の鍵を外して、廊下へと出た。
「五十嵐さんは?」
西村達四人は快斗の脇をすり抜けて、部屋の風呂場へ入り、真っ赤な湯船の中に浮かぶ死体を目の当たりにした。

「・・・・え、ええっ・・・!?」
「うそ・・・!!」
「五十嵐さん・・・・・・!!?」

とりあえず、風呂の水を止めようと、ゆうきが風呂場に入る・・・。

「五十嵐さん!!」
西村が、五十嵐の身体を抱き起こす・・・。
西村の白いTシャツが、赤く染まっていく。
しかし、既に息絶えた五十嵐の反応はあるはずもない・・・。
西村の持ち上げた五十嵐の手首に、刃物で切った跡が水に混ざりきっていない鮮血と共に、生々しく口を開いていた。
女性達の悲鳴が、室内に響く。

浴槽には赤く染まった水があふれていた・・・。

「ま、待って下さい!!皆さんそのまま・・・外に出てください!何も触らないで・・・!!」
蘭の声に驚き、西村も歩もゆうきも・・・快斗も蘭を見た。
「あの・・・一応変死ですから、警察を呼んで下さい・・・。それから、警察が来るまで現場をこのままにしておかなきゃいけないんです・・・何も触らないようにして、このまま部屋を出て下さい・・・。」
現場でいつも小五郎が言うセリフ・・・だった。
まさか、自分が言う事になるなんて・・・
震える語尾に気がついたのは快斗だけだった。
西村は、慌てて手を拭くのに使っていたタオルを、元通りに掛け直した。
「私の父・・・探偵で元刑事なんです。現場をそのままにしておかなきゃいけないって事、警察の方にも聞いて知ってますから・・・」
精一杯の平静を装って、蘭は全員を部屋の外に出した。

誰も何も触ったりしなかった事を確認しながら、蘭も全員の後ろについて、部屋の外に出た。
「と、とにかく・・・警察・・・電話しなきゃ・・・西村さん!!」
歩に言われ、西村が電話をかけに走って行った。

ドアの前で西村を待っている間に、残りのメンバーも顔を出した。
「なんかあったのか・・・?」
寝ぼけ眼で現れた峰岸と木戸に、ゆうきが呆れ顔で事情を説明する。
すぐには信じられないといった様子だった二人も、皆の表情に、深刻な事態を飲み込んだ。
「五十嵐さんが自殺?・・・でもどうして・・・」
「そこまでは・・・」
「でも、自殺なら遺書とかあるはずなのに、何も無かったわよ?ね、蘭さん」
「え、ええ・・・確かに・・・。ためらい傷もありませんでしたね、そういえば・・・。」
「大体、服を着たまま湯船に入ってるなんて、いくら自殺するにしたっておかしくない!?それに、浸かっていたの、水だったんでしょ?・・・いくら暑いこの時期だからって・・・」
歩の言葉に蘭が言葉を選びながら答える。
「変といえば・・・変ですよね・・・」
「・・・鍵が掛かってたんじゃないのか?」
歩の言葉に、男二人が反論する。
「ほら、こういうのって、よくドラマとかであるじゃない?・・・旅行中の密室殺人!って感じで。被害者が健康そのものの20代男性だから、犯人は力の強い男の方が可能性は高いわね。」
「・・・俺達は容疑者ってわけか!?」
歩の無責任なセリフに、男二人は苛立ったらしい。
「歩さん〜・・・!自殺の可能性だってあるわけですから・・・」
快斗も呆れ半分で苦笑しつつたしなめる。
「あ、あの、皆さん落ち着いて下さい・・・」
躊躇いながら、蘭が仲裁する。
「こんなこと言われて黙ってられるかよ!」
「でも、あなた達なら動機は十分じゃない?・・・チャット中によくケンカしてたしね」
「あれは・・・単なる意見の食い違いだろ!?動機なんてものになるかよ!?」
「分からないわよ?・・・根にもってた・・・って事もあるだろうから」
歩は平然と男二人を相手に言い返す。そんな歩に苛立ち、掴みかかろうとした木戸の腕を制したのは快斗だった。
「・・・・・・・・・・・・彼女は可能性があると言っているだけです。それとも、何か疑われるような心当たりでも?」
「このガキ・・・!」
大の男に胸座を掴まれても眉一つ動かさない快斗に、木戸の方が内心不利を感じていた。
「何も無いなら堂々としてたらどうです?」
「そうよ・・・大人気無いわよ、高校生相手に・・・!」
ゆうきに言われて仕方なく・・・といった風に、ちっと舌打ちしながら、木戸は快斗をつかんでいた手を離した・・・。

「だけどよぉ、他殺だとしたら、いっちばんあやしいのは隣の部屋にいた奴じゃねーのか?・・・な、おじょーちゃん!」
「え・・・私・・・ですか?」
突然指をさされて、蘭は戸惑った。
「ああ、そうだよ!・・・探偵の娘だとか言うし、こういう密室トリックなんかいくらでも思い付きそうじゃねーか?」
威圧してくる木戸に、歩が呆れながら話しかける。
「蘭ちゃんはあたしたちと初対面なのよ?・・・・・・・・・動機がないでしょ、動機が!!」
「そんなもん、分かるかよ!・・・あるかもしれねーじゃねーか!!!それに、この子の部屋のベランダからは簡単に飛び移れたんだろ!?その隣の部屋に飛び移れるベランダって言ったら他にないじゃないか!」
そう、確かに、蘭の部屋から五十嵐の部屋はベランダも80cm程度で、飛び移れない間隔ではないのだが、蘭の部屋から反対隣の歩の部屋までは4m近い間隔が開いていた。・・・助走も出来ないベランダで飛び移れるような距離ではない。
「動機なら私達の方がいっぱいあるじゃない!!!」
「・・・あの〜お取り込み中に申し訳ないですが、こいつが犯人だって事はありえないですよ?」
快斗が思わず口を挟んだ。
「なんでそう言いきれるんだよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・昨夜・・・正確には西村さん達の話し声で目が覚めるまで・・・・・・・一晩中ずっと俺と一緒にいましたから。」
「え・・・・・・・?」
「そっ、そうなの?蘭ちゃん!!」
「ええ、ずっと一緒でした・・・」
「おれが寝てる隙にって犯行もありません。こいつ熟睡してたし、おれはこうして・・・抱きかかえるようにして寝てましたから。こいつが動けばすぐに分かりますよ。」
さすがに木戸も毒気を抜かれた。
歩とゆうきは顔を赤らめて、急に元気になった。
「やっる〜!!快斗君ったらぁ!!!」
「へ?」
「そーよ!!!良かったわね!!!」
「ん?」
二人はやっと自分達の発言に誤解された事に気付いた。
「ちっ違うんです!!私達そんな仲じゃ・・・!!!」
「言葉のあやっつーか・・・とにかく、なんもなかったっすから!!!」
「いいわよいいわよ、そういう事にしといてあげるから!」
ゆうきの発言に、二人は更に真っ赤になる・・・。
「違うんですってば!!!なんにもなかったです!!!」
「無理に否定しようとするとこが怪しいんだよね〜・・・」
「そうそ!・・・うまくいって良かったじゃない!」
「とっ・・・とにかく、ここでケンカしても仕方ないでしょう?ね、木戸さん、歩さん!!」
「快斗君の言う通りだよ!・・・あきら、大人げ無いよ?歩さんも探偵に憧れてるのはわかるけど、そーゆー場合じゃないと思うけど?」
「ま・・・まぁ・・・」
ぎくしゃくした雰囲気が一気に明るくなり、木戸の苛立ちも和らいできたようである。
「ま、ここはこの明るいニュースに免じて!」
ゆうきの言葉に、快斗と蘭の二人が赤くなって必死に否定する。

真っ赤になった二人を冷やかす全員を不思議そうに見ながら、西村が戻ってきた。
「?快斗君、蘭ちゃん・・・どうしたんだい?」
そう尋ねる西村に、歩が面白がって、くすくす笑いながら、そっと耳打ちしようとする。
「あ、西村さん、あのね!!」
「歩さん!!!」
赤くなった快斗に怒られ、歩はてへっと舌を出す・・・。
一人事情が飲み込めない西村に、歩はこそっと「帰ったらメールでお話しますね!」と耳打ちした。
「警察は・・・?」
「あ、すぐ来るって言ってたけど・・・一番近い所からでも1時間はかかると思うよ?」
「それじゃ、現場はこのままにして、とりあえずリビングにでも移動してましょう。」
快斗の提案で、全員がリビングへと向かった。
快斗は、最後尾の蘭の所へそっと近づいて話しかけた・・・。
「ごめん・・・なんか変な事になっちまって・・・」
「え?ううん、こっちこそ・・・助けてもらちゃって・・・ごめんね、私なんかとこんな噂になっちゃったら困るでしょ・・・?」
「そんなこたねーよ!!おめーの方こそ困んだろ、・・・例の彼氏の耳にでも入ったら・・・」
「新一になんて、黙ってれば分からないわよ。園子の方の弱みは握ってるんだし・・・バラしたりできないでしょ!」
蘭の発言に、ふっと快斗が笑う。
「ん?・・・なあに?」
「いや、園子さんのランちゃんとは随分イメージ違ってたから・・・つい。理想の王子様とか言ってたから、結構夢見るお嬢様って感じだと思ってた・・・。」
「あ・・・王子様って・・・怪盗キッド?」
「・・・・・・・・・そ」
怪盗キッド本人とは知らず、そう告白したラン。会ってみたいと思ったきっかけの一つでもあった。
「やっぱりね!」
ころころと笑う蘭を見ていた快斗は、自分でも気付かない内に微笑んでいた。
「そっか、おめーにも話してたんだ・・・」
「うん!京極さんって彼氏ができるまでは、いっつも騒いでたんだよ!」
「そういえば、結構ミーハーっぽかったもんな・・・メールの内容とか」
共通の園子の話題で、少し二人の気分が明るくなった。
「・・・でも・・・私はキッドより快斗君の方がいいと思うんだけどな!」
瞬間、快斗の顔が真っ赤に染まった。
「なっ・・・・なに言ってんだよ・・・!!おだてても何もでねーぞ!?」
新一には絶対言えないセリフだ・・・
そう思うと、蘭はくすっと少し悲しげに微笑んだ。
蘭のそんな笑顔を見た快斗は、ぽんと軽く蘭の頭に手を置いた。
「・・・そーゆー事は、彼氏に言えって」
自分の気持ちを見透かした上での発言なのか、それともからかっているのか・・・快斗の言葉は微妙に蘭に響いた。
でも、どちらにしろ・・・悪い響きではなかった。


うはは、らぶらぶしてます(笑)でも第1章書き加えたから、それ程らぶらぶでもないっしょ?(さびしーよるはごめんだー♪←(注)いいわけ・・・と言いたいらしい・・・古いって(−−;))園子の王子様は怪盗キッド!というのは京極さんが出てきても変わらないと思うんだけど・・・くぬぎとしてはそうであって欲しいなぁ(笑)園子の言う通り、京極さんは王子様って柄じゃなさそうなんだもん(^^;)どっちかっつーと騎士のイメージ?・・・あ、いかん、新一とかぶる煤i^^;)や、彼はトランプ王国のスペイド王子だからいいのよ(爆笑)

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