邂逅
某サイトで話してた、快斗の探偵版・「名探偵KAITO」です。でも・・・なんでリクエストした本人が書いてるんだろ・・・(笑)だぁからぁ、くぬぎは文章へたくそなんだってば。現役退いて久しいんだからぁ(苦笑)
日差しの眩しさに目をこすりながら、少年は青く澄んだ空を見上げた。
「う・・・ねむ・・・」
空とこの時間に似つかわしくないあくびが出てくる・・・。
「何よ、快斗!こおんな気分のいい朝に・・・!」
「・・・しょーがねーだろ、昨日は遅くまでチャットしてたんだから・・・」
呆れ顔の青子に、快斗は・・・やはりあくびをしながら返事をする。
「それって、今度の連休に会う人達と?」
「・・・んだよ、他に誰がいるっつーんだよ」
「ふーん、そっかぁ!・・・どんな人達?」
自分が行くわけでもないのに、青子も興味津々といった様子である。
「どんな・・・って、別に・・・普通の人達だよ。仕事してる人もいりゃ、高校生もいるし・・・。」
「仕事?どんな?」
「ん・・・マジシャンとか・・・ふつーのサラリーマンに、女子高生・・・。」
「マジシャン・・・あ、わかった、マジック談義で盛り上がったんでしょう!」
「・・・そんなとこ。それより、おめーは休み中どうしてんだよ?」
ついでに友達も誘っていいかと、昨日チャット仲間には話しをしてある。
青子に予定がないなら一緒に行きたい・・・
快斗は少し期待して、表面上には出さずに青子の返事を待った。
「・・・・・・行きたい・・・けど・・・」
・・・青子の表情を見て、さすがに幼なじみは察した。
「何だよ、予定あんのか・・・別にいいんだぜ!・・・他の奴誘うから。」
「・・・他の奴って・・・紅子ちゃん?」
おずおず・・・とした意外な青子の言葉に、快斗は微笑を漏らした。
「ばぁ〜っかか、おめーは!・・・男に決まってんだろ!」
そうは言いつつも、男友達も誘う気は毛頭なかった。
・・・青子じゃなきゃ、誘わないと付け加えれば快斗の気持ちも伝わっただろうに・・・。
青子はホッとして、軽口を言い返す。
「・・・もしかして、快斗、そっちの気があったりして・・・!!」
「アホ子はやっぱアホ子だな!!」
「なによ〜!!」
明日からの連休・・・しばらくオアズケになるじゃれあっこが始まった。
重い荷物を肩にかけて、快斗はプラットホームに降り立った。
さすがに緑が多いだけあって、東京よりは幾分暑さも和らいでいるが、やはり、「あっち〜・・・」という一言が出てきた。
今の今迄、冷房の効いた涼しい列車の中にいたのだ。無理もない・・・。
重い荷物を、どかっと足元に置いて、とりあえず休憩である。
「あっつ〜い!」
どこからか、女性の声も快斗に同意する。
はは、おれだけじゃねーじゃん・・・
快斗は苦笑しながら声のした方を見た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!!!
快斗は必死で動揺を隠した。
見覚えのある彼女は、チビ探偵にくっついていた、あの彼女だ・・・。
いつだったかは、あの彼女本人に変装したこともあった。
なんで、よりにもよってこんな所へ・・・!?
しかも、変装もしてない自分と鉢合わせに・・・!!?
今回は快斗の小さい頃からの知り合いの家にお世話になるので、変装はしてこなかったのである。
『まさか・・・あのガキついてきてねーだろーな・・・』
快斗は慎重に、蘭の周りをチェックする・・・。
だが、快斗の心配は無用だったようで、彼女は一人だった。
「あ、コナン君?・・・今駅に着いたとこだよ!お父さんに、私の旅行中もお酒飲み過ぎないでって伝えておいてね!」
携帯で家に電話をかけている蘭の後ろ姿・・・。
一人で旅行・・・?
不思議に思いながらも
『・・・ややこしい事になる前に、退散退散・・・』
と快斗は重い荷物を再び持ち上げると肩にかけ、改札口へと歩き始めた。
ふと蘭の方を見やると・・・蘭は重そうな鞄をさげて、大変そうに階段を上ってきている。
「女って、なんであんなに荷物がいるんだよ・・・」
半分呆れていた快斗だったが、蘭が鞄で足元が見えず、転び掛けた様子を見て、ちっと舌打ちしながらも、蘭に声をかけた。
「おい・・・!」
快斗に突然話し掛けられて、蘭はびっくりしたように快斗を見上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・しんい・・・・・・・・??」
「荷物貸せ・・・持ってってやるから・・・!」
これくらいのコンタクトでは、あのガキもいないし、彼女は気付かないだろう・・・。
ましてや、地の快斗ならなおさらである。
快斗は注意深く、なるべく青子に接しているのと同じように、つっけんどんな態度を取る。
「何やってんだよ!・・・そんなスピードじゃ、日が暮れっちまうぞ!!」
初対面の相手だと分かり、戸惑いつつも蘭は鞄をひったくられ、快斗の後をついて改札へ・・・。
「ほら!・・・あんまりチンタラしてんじゃねーぞ!この辺は民家もないし、物騒なんだからな!」
「あ・・・ありがとう・・・あの、地元の方ですか?」
「へ?・・・いや、違うけど・・・前にも来たことがあっから・・・。道でも聞きたいのか?」
「あ、ええ・・・そうなんです!あの、西村さんの別荘ってどちらでしょう・・・」
西村さんの別荘・・・
その言葉に、快斗は唖然とした。
目的地まで一緒かよ・・・・・・・!!!!
だが、蘭が気付いた様子はない。
この分なら心配は要らなさそうだ。
「・・・おれもそこに行くんだよ。なんなら、一緒にタクシーでも拾うか?ここから30分ほどで着くから。」
「え!?わあ!そうなんですか!?・・・嬉しい!」
蘭のホッとした様子に、快斗は思わず笑みをこぼした。
蘭は、笑みをこぼすようになった快斗に少し安心して、打ち解けて笑い掛ける。
まったく・・・青子もこの子ほど素直ならかわいいだろーに・・・
「で?・・・あんたのハンドルネームは?」
「あ、私、代理なんです・・・。チャットに参加してたのは私の友人で、園子っていうんですけど・・・。ハンドルとかは聞いてないから・・・」
「・・・代理?」
「ええ、私の名前は毛利蘭なんです。」
知ってるよ
快斗は含み笑いをしながら、余裕の表情で蘭に笑い掛ける。
「あ、わかった・・・。ランさんのお友達って事か。」
「・・・・・・・え?」
「多分あんたからとったんだな。ランって彼女のハンドルネームは。」
蘭の顔から血の気が引いていく。
道理で、園子が蘭に行って欲しいなんて言っていたわけである。
「あの・・・」
「心配すんなよ。別にランさんはおめーに関して変な事は話してねーから。・・・ちなみにおれは黒羽快斗。ハンドルネームはこなんだ。」
「えええっ!!?」
蘭の素っ頓狂な大声に、やっと捕まえたタクシーの車内がびりびりと音を立てる。
「なんだよ、でけー声出して・・・?」
「あのね、あのね、うちにもコナン君って子がいるの!」
「へえ、弟?」
快斗は知っていてとぼけてみせた。
「ううん、預かってるだけなんだけど・・・」
快斗がこなんと名乗ったのは、園子のランというハンドルネームを見たからなのである。
コナンと新一の事情を知っている快斗にとって、園子のランとの言葉のやり取りは実に楽しい物だった。
植物の蘭からとったと言っていたハンドルに、女子高生だというランの日常の出来事の話・・・。
現実の彼らの会話をなぞるような会話に楽しさを覚えていた。
まさか、その本人の友人で直接本人に出くわすとは夢にも思わなかったが・・・。
「その子は?・・・それに見ず知らずの男がいるって所によく一人で来る気になったな。親は心配してねーか?」
「あ、コナン君なら家にいるの。この旅行の事情を園子から聞いて知ってるからついてくって聞かなかったんだけど、こっそり抜け出して・・・。お父さんには園子と一緒にいる事になってるから、安心して送り出してもらえたし、いざとなったら私、空手の都大会で優勝してるから」
都大会優勝・・・そういえばそうだったな
快斗の頬を冷や汗が流れた。
それにしても・・・
『今ごろ探偵君は・・・どれだけ心配している事だろーな・・・』
事情を知っている快斗は、青ざめているコナンを想像して、笑いをかみ殺していた。
なんだかんだと素っ気無い態度を取りつつ、快斗は蘭との会話を楽しんでいた。
蘭もそれは同じらしく、素直な笑顔で応える。
蘭は、青子に似た容姿のせいもあるのだろう・・・話しやすいし、親しみやすかった。
また、それは蘭にも共通して言える事だった。
新一に似ている外見・・・一見つっけんどんな話し振りに、蘭は懐かしい物を感じていた。
タクシーを降りる時は、もう着いたのかと驚いたほどだった。
「あ・・・いらっしゃい!」
別荘の扉を開けて、迎えてくれたのは家主の西村寿弘だった。
「久しぶり!快斗君!・・・・・・・・・そちらは蘭さん・・・かな?」
「え、ええ・・・、あの・・・」
蘭が説明しようとすると、快斗がそれを制した。
「ま、色々事情があるみてーだぜ?こちらは我らがランさんのモデルになった蘭さん本人。」
「ああ、その事情はメールで聞いたよ。・・・なんでも、こっそりアメリカに行くとかなんとかって・・・。」
「そうなんです・・・。彼女は私の家に泊まってる事になってて・・・。」
「で、園子ちゃん、代理に本人をよこすって言ってたから。・・・僕は、西村です。ハンドルネームは「犬」で、園子ちゃんのお父さんとは昔からの知り合いでね。園子ちゃんからもよろしく頼まれてるから、安心して自分の家にいるつもりでいてね。」
西村のその優しい笑顔は、彼が蘭の想像していた通りの人物である事を証明してくれた。
園子に以前手品を・・・あのオフ会に向かう車中でしてみせた手品を教えてくれた人だと、蘭も以前から西村の事は聞いていた。
あの時の手品は、・・・西村も散々苦労して色々教えてくれたのだが・・・不器用にも園子がマスターできたのはあれだけだったという・・・。そんな園子にも優しく接して色々教えてくれた、優しいおじさまだと園子自身も太鼓判を押していた。蘭も、園子の言う優しいマジシャンに会ってみたかったのだ。
青年実業家といった風情の西村は、蘭と快斗をそれぞれの部屋へと案内してくれた。
その途中、チャット仲間の面々に遭遇しては、「あれぇ?こなん君じゃん!・・・何、ほんとにランちゃんとつきあってたの?」と冷やかされ、その度に二人で赤くなって否定して事情を説明してまわった・・・。
「ほら、ここが快斗君の部屋・・・こっちが蘭ちゃんの部屋だよ。室内の物はすべて自由に使ってくれていいから・・・。」
普段はペンションをしているといった感じの明るいログハウスを、蘭も気に入ったようで、西村を相手にはしゃいでいる声が隣の快斗の部屋にまで届いていた。
「びっくりしたよ・・・蘭ちゃんが快斗君と来るなんて・・・」
「偶然ですよ・・・駅で荷物が重くて困ってたら助けてくれて・・・」
「ああ、快斗君はいい子だろう?小さい頃からあの子の事を知ってるけど、ホントに優しい子なんだよ。・・・蘭ちゃんに決まった人がいないんなら、どうだい?僕が取り持ってあげようか」
「え・・・っ」
驚いたのは蘭だけではなかった。
「おい!おっさん!・・・変な事言ってんじゃねーよ!!」
真っ赤になった快斗が怒鳴り込むと、西村は吹き出した。
「ああ、ごめんごめん・・・!さっき見てたらいい雰囲気だと思ってさ・・・。どうだい?快斗君・・・蘭さんに会ってみて・・・」
言葉に詰まった快斗を救ってくれたのは、他ならぬ蘭だった。
「そ・・・それより・・・・・あの、お二人は快斗君が小さい頃からの知り合いなんですか?」
「ああ、快斗君の父親と僕は同じ師匠の下でマジックを習ってね・・・。彼は本当に素晴らしい才能の持ち主だったんだ・・・!そして、快斗君もその才能を受け継いでいる・・・。」
「快斗君もマジックができるの・・・!?」
「それがどーしたんだよ・・・」
照れた快斗は、わざとつっけんどんにそう答える・・・。
「すっご〜いぃ!!あのね、私マジック好きなの!子どもの頃ショーにも行った事があってね!・・・素敵よね、マジックって!なんだか夢を見てるみたいで・・・!!」
青子とは少し違った反応に、快斗は戸惑いつつも素直に言葉を返すようになっていた・・・。
「・・・オレもそう思う・・・。おやじのように世界的なマジシャンになって世界中で今のあんたみてーな表情をする奴が見てーんだ・・・」
それは、漠然と描いていた快斗の将来だった。
奴等の・・・正体を暴いたら・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・叶わぬ夢かもしれないのだが・・・
「・・・・・・素敵ね・・・・・・!」
蘭の返す笑顔に、ほっとしつつ、快斗は夢が少しはっきりしてきた事を実感した。
「さあ、荷物を置いたら夕飯の支度ができるまで、リビングで皆さんと談笑しておいで・・・」
西村に薦められて、快斗は親しみを込めた笑顔を蘭に向けた。
「さ・・・行くか!・・・皆を紹介するよ!」
その笑顔に新一を見たような気がして、戸惑いつつも蘭は差し出された快斗の手を握り返した。
リビングでは、もう既に何人かのお客が集まってきていた。
既に快斗も顔見知りの人物もいたが、何人かは新顔だった。
テーブルを囲んで、ソファに丸く座る・・・。
「さて、ボードリーダーの「犬」こと西村さんは今食事の支度をして下さっていますが・・・自己紹介を始めましょうか。僕が「こなん」の黒羽快斗です。」
「・・・あなたが・・・!」
初対面のお姉さんが、思わず声をあげる・・・。
「ほんとに高校生だったんだ・・・!」
「高校2年生です。・・・で、あなたは出来損ないの名探偵さんですね!」
快斗にそう言われた彼女はあらばれちゃったのね・・・と小声で呟くと自己紹介を始めた。
「ええ、出来損ないの名探偵、黒川歩よ。仕事はOL・・・。年は27よ]
蘭と歩に、快斗は常連のメンバーの紹介を始めた。
「こちらが、らびっとさんこと峰岸泰三さん、31歳、独身。職業、西村さんに同じく、マジシャン・・・。その後ろにいる彼は、チャイナリングの木戸あきらさん。彼は会社員で、独身、36歳・・・。その隣にいるのはシルクの冴島ゆうきさん。あきらさんの彼女で、18歳、学生・・・。あと・・・来ていないのはエスケープさんかな?で、後のお二人は・・・」
「ランさんのお友達の蘭さんと、しみじみ緑茶さん・・・ですよね?」
「ええ・・・本名は五十嵐雄平。26歳、独身・・・会社経営をしてます・・・。」
雄平の視線が、蘭とばっちり合った。
均整のとれた目鼻立ちにじっと見つめられ、蘭は戸惑った。
「蘭さんは?」
「あ・・・私は・・・17歳、高校2年生です・・・。あの、皆さんもご存知だと思うんですけど、こちらのチャットに寄らせていただいている友人が急用でこられなくなってしまって・・・私がその代理に・・・」
「へえ・・・彼氏はいるの?」
歩が冷やかし半分に声をかける。
蘭は彼氏の言葉に新一の顔を思い浮かべてしまって、顔に全身から血の気が集まってくるのが分かった。
「・・・あ、いるんだ・・・こなん君・・・もとい、快斗君、かわいそーに・・・」
「歩さん、冷やかすのはナシですよ!」
赤くなった蘭をかばうかのように、快斗は蘭と皆との間に何気なく自分の身体で壁を作る。
蘭は正直、ほっとしていた。と同時に、快斗の優しさに触れ、嬉しい気持ちが確かにそこにあった。
「夕飯にはまだ早いんですが・・・時間があいてるんで、お茶にしません?・・・コーヒー入れましたけれど、皆さん砂糖はいくつです?」
シュガーポットとコーヒーメーカーを手に、部屋に入った西村が全員に問い掛ける。
「あ・・・あたし、一杯!」
歩が一番に名乗りをあげる。
「あ、私手伝います・・・」
「でも、お客様にこんな事をしていただくのは・・・」
「でも・・・していただいてるばかりじゃ気になりますし・・・」
「そうですか?・・・それじゃ、お願いします。」
蘭が西村の手からコーヒーポットを受け取り、カップに注ぎ始める。
「じゃあ、あたしは夕飯の手伝いでもしよっかな〜!・・・あたしが作れるもんって言ったら・・・なんにもないけど・・・野菜剥くくらいは出来るよ?」
歩が苦笑しながら進み出た。
「あ・・・じゃあ、私も!」
ゆうきも申し出る。
「ありがたいけど・・・料理はもうほとんど出来てるから、じゃあ、盛り付けと配膳をお願いしますね」
「はい!お茶飲んだらキッチンに行って手伝う・・・でいいよね、蘭さん、歩さん!」
蘭と歩はゆうきの言葉に明るく笑顔で頷く。
「西村さん、折角女性陣が3人もいるんだから、手が必要な時は言って下さいよ!?食事の支度は全部手伝いますから!!」
「おれも数に入れていいぜ?・・・おっさんの腕前は知ってるからさ・・・。」
「どういう意味だい?快斗君??」
「この別荘に初めて招待された時のカレー・・・ニンジン生だったもんな・・・と思って・・・」
「失礼だなぁ・・・あれからは上達してるよ?」
「・・・・・・・・・・・・じゃ、毒味してやるよ」
「はは・・・じゃ、お願いしますね・・・」
西村は微笑みながら、砂糖をひとさじ入れると、コーヒーカップを必死に笑いをこらえている歩に渡した。
続いて、ゆうき、木戸、峰岸、五十嵐・・・それぞれの手にコーヒーが行き渡る・・・。
「快斗君はブラックだよね。・・・蘭さんは?」
「あ・・・私、自分で砂糖入れますから」
遠慮がちに、蘭は自分で砂糖を入れ、コップを手にした。
「快斗君にマジックでもしてもらうと場が盛り上がるんだけどな!」
西村の発言に、周囲がどっと沸く。
「おっさんだってプロじゃねーか!プロが2人もいるんだ、俺が出る幕はねーよ!」
快斗が謙遜して笑う。
部屋中に温かい雰囲気が満ちていた。
「さっきはありがとう・・・・・・」
部屋に戻る途中、蘭が快斗に声をかけた。
「ん?」
「かばってくれたんだよね・・・」
にこっと微笑みながら、蘭はお礼を言う・・・。
「だから、ありがと!」
「別に・・・なんて事ねーよ!・・・困ってんのかと思ったからさ・・・余計な世話だったかもしれねーけどさ・・・」
真正面から礼を言われて、快斗は照れてつっけんどんな態度を取る・・・。
「ううん!・・・すごく嬉しかったよ!」
「いるんだろ・・・・・・?」
「え?」
「好きな奴・・・」
蘭の返事は無かった。だが、蘭の顔色を見れば、答はそこに出ていた。
「う・・・うん・・・。好きというか・・・すごく気になってる人はいるんだけど・・・なんか・・・・・・」
蘭の瞳に涙が潤み始めた。
『あ・・・やべ・・・泣く・・・!』
そう判断してうろたえた快斗は、他の客の階段を上ってくる足音に驚き、慌てて自分の部屋に蘭を入れてドアを閉める・・・。
「しっ、静かにしてろ・・・」
どやどやとそれぞれの部屋に入っていく声や物音が静まると、快斗はやっとほっと一息ついた。
不思議そうにそんな快斗を見つめる蘭に、快斗はぶっきらぼうに答える。
「おれが女の子泣かせたなんて思われるのはやだからな!・・・それに、相手がおめーだし・・・何言われるか分かったもんじゃねー」
「・・・ごめんね、快斗君・・・」
「や、素直に謝られるとこっちも困るんだけどよ・・・あ、そだ、名前快斗でいーぜ?おれも蘭って呼ぶから。」
「うん・・・快斗く・・・」
君と続けかけて、蘭は慌てて快斗と言い直した。
途端に呼んだ本人も、呼ばれた本人も全身ゆでだこのように赤くなる・・・。
「だぁあ!赤くなんなよ!こっちまで照れんじゃねーか!!」
「ごめ・・・!やだ、どーして・・・」
「も、いい!好きなよーに呼べ!」
照れ隠しに蘭の所から窓の方へと一直線に歩き、快斗はベランダに出た。
昼間の空気とは打って変わって、気持ちいい風が頬を撫でる・・・。
紅潮した快斗の頬の熱を奪い去っていく・・・。
「おい・・・蘭!こっち来てみろよ!」
「えっ、何?」
「いーから!こっち来いって!」
快斗に呼ばれるままに部屋を横切って、蘭もベランダに出た。
空には・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・満天の星がひろがっている・・・・・・・・・。
「う・・・わぁ!すごーい・・・!!」
「な!」
蘭の笑顔が戻ってきた・・・。
快斗は心底ほっとしている自分に気がついた。
「・・・よけーな事かもしんねーけどよ・・・、悩んでるんなら、言っちまえよ・・・少しは楽になるかもしれねーぞ・・・?」
自分の心を見透かすような快斗のセリフに、蘭は驚いて快斗の顔を見詰めた。
「悩んでるんだろ・・・?好きな奴の事で・・・」
「う・・・うん・・・」
蘭は言おうか言うまいか悩んでいたのだが・・・
「・・・大丈夫だよ、おれに話したって・・・内緒にしててやっからさ!」
快斗の笑顔が決心を揺らぎ無いものにしてくれた・・・。
「あのね・・・」
蘭は、今までの事を洗いざらい話した。
快斗は黙って頷きながら、蘭の話にただただ耳を傾けてくれていた。
再び姿を消した新一の事を話し終えると、深い溜息をついた・・・。
「・・・・・・で?まだ続きがあるんだろ・・・・・・?」
快斗の言葉にどきっとした。
「・・・まだ何かあるんだ。おめーが・・・泣きたくなるような何か・・・」
快斗の目の奥に自分の顔が映っているのが分かった。
鏡よりも真実の自分がそこに映っている・・・。
「・・・まだ・・・疑ってるの・・・ううん、私はコナン君を新一だって思ってる・・・でも、どうして・・・?どうして私には何も言ってくれないの?灰原さんにはなんでも話してるみたいなのに・・・私には隠してる事が多すぎるよ・・・」
蘭の瞳から、とうとう涙が溢れ出した・・・。
拭おうともせず、蘭は涙を流して快斗に重ねた新一に問い掛ける・・・。
蘭の頬に手を触れ、快斗は涙を拭いながら、蘭と青子を重ねて見ていた。
それは快斗に対する言葉でもあったからである・・・。
「・・・・・・そいつ、おめーの事大切に思ってるんだよ・・・。その相手の存在が半端じゃねーからこそ言ってやれない事だってあるんだぜ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・そんなのわかんないよ・・・・・・・・・・・・・!言ってくれなきゃわかんないよ・・・・・・・・!」
涙が止まらず、蘭の頬を滴り落ちる・・・。
「おめーが・・・今も騙されたフリしてやってんのは・・・分かってるからだろ、本当の事を・・・」
蘭が、首を躊躇いながら横に振る・・・。
「・・・分かんねーか?・・・聞いてねーのか?そいつの気持ち・・・・・・」
快斗にさえ分かっているのに・・・
『たく、あのやろー、何をぐずぐずしてやがるんだ・・・・・・・!!!』
奥歯に力が入った・・・。
「今はもう・・・新一の気持ちどころか・・・考えてる事が・・・わかんなく・・なっちゃっ・・・」
言葉が不自然に途切れる。
最初、それは涙をこらえているせいかと思ったのだが・・・
「・・・?」
快斗が覗き込むと、蘭は涙を流しながら、両目を閉じて、かわいい寝息を立てていた。
「・・・疲れてたのかな・・・?」
とにかく、ベッドに寝かせてやろう・・・
立ち上がりかけた快斗は、シャツの裾をつんと引っ張られる感覚に気付いた。
「ん・・・?」
蘭が、快斗のシャツを握っていた。
心細い・・・
蘭の手から、そんな気持ちが伝わってきた。
「しゃーねーな・・・」
快斗は背にしていたベッドからそのままの姿勢でシーツを引き摺り下ろすと、蘭の身体にかけ、自分の肩に持ってきた。
二人でくるまるには少し小さいシーツを、快斗は蘭の身体を抱きかかえるようにして覆った。
「あいつは・・・気付いてんのか・・・?・・・おめーのこんな気持ちに・・・」
寝息を立てている蘭に、返事が期待できるはずもない・・・。
「・・・・・・。」
苦しそうな寝顔の蘭の耳元に、快斗はこほんと小さく咳払いをして、新一の・・・蘭の求めている声で囁いた。
「・・、・・・。・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・。」
聞き取れるか聞き取れないかの小さな声でのその言葉に、蘭の表情がほんの少し柔らかくなった・・・。
「・・・せめて夢の中では本音のあいつに会えるといいな・・・」
快斗の腕の中、蘭は穏やかに眠りについていった。
「ん・・・?」
人の話し声で目が覚めた。
どうやらあのまま本気で眠ってしまったらしい。
窓の外からは明るい日差しが差し込んでいる。
「・・・なに・・・?」
蘭も、快斗に続いて目を覚ました・・・。
「なにかあったのかな・・・?」
蘭の言葉に胸騒ぎを覚えながら、快斗は会話が続いている廊下へと出た。
蘭に青子を重ねる快斗。快斗に新一を重ねる蘭・・・。四人の思いを素直に言葉に出せるなら、こういった状況かな、と。書きたい事はまだあるんですけど(笑)
あ、作中の黒川歩はくぬぎの本名じゃありませんよー(^^;)出来損ないの名探偵ってハンドルは確かにくぬぎのハンドルですけど(笑)モデル?・・・ええ、すぐになんでも首突っ込みたがる癖だけね(笑)あ、迷探偵なとこもか!(ーー;)他にハンドルが思い付かなかったんだも〜ん♪(おいおい)名前はてきとーに出てきたんですが・・・。知り合いから取ったのでもないし・・・(^^;)
進む