コナンの初推理

ばたばたと家中を駆け回る音で、コナンは目を覚ました。

窓の外は日が沈みかけたといったばかり・・・。

昼寝をしていたコナンはその止まらない足音に好奇心を抱き、むくっとベッドから起き上がると階下へと急いだ。

コナンは、まだ半分眠い目をこすりながら、たくさんのおじさんに囲まれている蘭の所へと歩み寄った。
「あ、コナン、ごめんね・・・起こしちゃった・・・?」
「・・・このおじさんたちは・・・?」
「あのね・・・おじいちゃんの小説の載る出版社の人達なの。おじいちゃんがどこに行ったのか知らない?」
コナンはきょとんとしながら首を横に振る。
「・・・そう・・・」
考えてみれば当然なのだが、コナンは新一の両親が出かける前からずっと寝ていたのだ。
「じゃあ、やっぱりこの暗号文を解くしかないですね・・・」
編集の一人が諦め半分といった口調でそう漏らす。

「あんごー・・・?」

「そうなの・・・。お父さんにだけは居所が分かるようにって、おじいちゃんたち暗号を残していってくれたんだけど、お父さん、急な事件で出かけちゃってていないの・・・。困ったわね・・・。」

暗号・・・その言葉がコナンの知的欲求を刺激してくれたようである。

「ちょっと僕にも見せて?」
と喜びに潤んだ目で蘭におねだりする。
蘭は「はいどうぞ」とコナンのおねだりに苦笑しながら暗号文をコナンに手渡した。

その紙には、TO SHINICHIという文字と「空の井に七に道のに戸と近い身」と意味不明の短い一文が書き記されていた。

「・・・・・・どうしたんですか?・・・お子さん・・・?」
編集の一人がコナンの嬉しそうな様子を見て、不思議そうに蘭に尋ねた。
「好きなんですよ、こういう暗号だとか・・・。父親の影響で・・・」
蘭と編集の会話の合間も、コナンはプレゼントを開けているような表情で、暗号文を右手に握り締め、左手をあごの下で握っていた。


蘭は、そんなコナンの様子を見ていて、くすっと笑みをこぼしていた。

・・・・・・誰かさんそっくり・・・

やがて、コナンの微笑みの変化が、はっきりと見てとれた。

「・・・・・・わかった!おじいちゃんたちのいるとこ!」
「えっ!!?」

大勢の編集者達が、コナンの意外な言葉に驚いた。

「ほら、このあんごーね・・・このままじゃ読めないけど、パソコンで読むんだ!」

「パソコンで・・・?」

「ほら!パソコンって、キーボードに字が書いてあるでしょ?あれを、この順番に打つの。もちろん、ローマ字入力にしながら、キーボードのかな文字を見てね!このTO SHINICHIはそのヒントだと思うよ?」
一瞬編集者達の目が点になった。
もちろん、蘭も例外ではない。
コナンの話だと、新一と暗号解読ゲームを繰り返している内に覚えたのだという。

「そういえば、どこかで息子さんが小説家をしている自分の父親の居場所を探しあてた・・・って話を聞いた事があったっけな・・・。工藤先生の話だとか聞いたんだけど・・・。血は争えない・・・って事か?」
「さすが、平成のホームズの一人息子・・・!」

早速パソコンに向かって、コナンは暗号に従って、文字を打ち込む・・・。

「からのいに、しちにみち・・・のにとと、ちかい、み・・・」

パソコンの画面に、意味が通る文章が出てきた。

「・・・時計台の喫茶店・・・!!」
驚いた編集者達は、画面を覗き込んでいる。
「時計台の喫茶店・・・っていったら、おじーちゃんとおばーちゃんが結婚する前によくふたりででーとしてたっていってたとこだよね?」
コナンのそのセリフに、編集者達は喜びを隠し切れなかった。
「ホントですか、おくさん!!どこにあるんです!?」
蘭にその場所を確認して、編集達は急いで飛び出していった。

蘭は、コナンと目を合わせると、くすっと笑った。

「・・・子どもは親の背中を見て育つ・・・か。名推理ね、コナン!」

蘭の賛辞の言葉に、コナンは照れくさそうに微笑む。

新一が帰ってきて、その事を知ったらどんな表情するかしら・・・

蘭は、コナンを抱きしめながら、新一の帰りを待っていた。

UP 00.4.26.

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う〜ん・・・暗号がてきとーなんですけど、この時計台っていうのは、例のキッドの盗んだ時計台の事です。なんか気に入ったデザインのものだったので、どこかで使ってみたかったんですね。推理小説家と名探偵、空手都大会優勝者・・・それから女優・・・コナン、環境に恵まれてますなぁ(笑)父を超える世界最強の名探偵となるやも(爆)