ぱーてぃー

その日・・・は蘭はキッチンから締め出しを食らった。

キッチンを占拠しているのは言うまでもなくコナンと新一だ。
ちょっとでも覗こうとすると、「おかーさんはダメ――――!!」とコナンの声が家中に響く。

まったく、何をしているのやら・・・

今日はコナンの誕生日だから、手作りケーキを焼いて、お友達を呼んであげようと思ってたのに・・・

蘭の思いも知らず、二人は朝っぱらからずっとこの調子なのだ。
蘭はガタガタと大きな物音に混じって、ガラスの割れるような音がするたびにコナンが怪我でもしたのではと心配になった。

と、そこへトイレに出てきた新一が、蘭のいる部屋を通りかかった。
「あ、新一・・・一体二人で何してるのよ・・・!」
相変わらず蚊帳の外といった雰囲気で、蘭がむくれている。

最近、コナンの言葉におとこどーしが増えて、蘭は孤独感を味わっているのだ。

「コナンの大事な人を招待してパーティーするんだとさ!・・・おれはその手伝いかな?」
あ、そう・・・
新一のはしゃぎようとは裏腹に、蘭はあまりの孤独感に目が潤んできた。
「・・・蘭?」
でも、新一やコナンに涙を見られるのは癪だ。
「・・・・・・・・・・・・・・ちょっと出かけてくるわ」

ひとりにされて悲しい思いをしているというのに、それでもコナンのお祝いにと寄ったのはケーキショップだった。
「・・・この苺の一番大きいの下さい・・・」
ろうそくは何本ですか?と親切そうな店員が尋ねる。
蘭はふっと悲しそうな笑みを浮かべながら、7本です・・・と答えた。
バースデーケーキを買うような表情には見えなかったのだろう、店員は不思議そうな顔で蘭を見ていた。

ケーキの箱を抱えながら、蘭は今夜のメニューをあれこれ考えていた。
「あ、でもきっとキッチンは使えないわね・・・。」
でも、コナンのために、友達を呼ぶ位はしたい。
じゃ・・・とりあえず・・・友達を呼ぶのに何もなしじゃいけないから・・・とフライドチキンの詰め合わせを買う。
あとはサラダと、ご飯物・・・ま、ご飯は炊いたばかりだから・・・
頭の中で少しずつ今夜のパーティーのメニューが組みあがっていく。

準備も万端に整い、家に帰った頃には日が傾きかけていた。

「ただいま〜・・・」
両手に抱え切れないほどの買い物をして帰った蘭を迎えたのは、コナンと新一の「やべ!もう!?」といった、あまり嬉しくない言葉だった。

なによ・・・帰ってきちゃまずかったわけ・・・!?

蘭の怒りに火がついた。
両手いっぱいの買い物の数々を、玄関にひょいひょいと置くと、蘭は怒りに燃えてリビングに入った。

いない・・・

ただ単に勘が当たらなかっただけ・・・なのだが、その事がより一層蘭の怒りに拍車を掛ける。

「ここね!!?」

蘭が勢いよく書斎のドアを開ける・・・と同時に、クラッカーがパンパンと蘭に向かって破裂する。
「な・・・何!!?」
面食らう蘭に、コナンが蝶ネクタイのあの姿でご挨拶を始めた。

「え〜・・・と、ほんじつは・・・まことにおひさまもよく・・・なんだっけ・・・?」
「お日柄も!」と新一が突っ込みをいれている。
懐かしいその人の面影に、蘭の目から涙が溢れ出した。
「・・・・・・・・・・コナン君〜・・・!!!」
違うのだ。悲しいのではなく、ほっとしたのだ。
誰よりも身近にいて、一番辛い時には誰よりも支えてくれていた、懐かしいその姿に・・・。

「おかあさん、泣いちゃったよ・・・?」
コナンは困ったように新一を見上げている。
「・・・うれしかったんだよ」
新一はコナンの肩にそっと手を置いた。
コナンは事情を知らない・・・
当然のごとく、きょとんとしていた。

新一は、蘭の前にそっと座りこんで、蘭の涙を拭った。
「コナンが7歳になったら頼むつもりだったんだ・・・」
「で・・・でも、今日はコナンの誕生日なのに・・・別の日でも・・・」
「うん、だから、大事な人を呼んでパーティーしたかったんだってさ!」
むせび泣く蘭の肩に手を置きながら、新一はそっと囁いた。

「これは内緒だって言われてたけど・・・コナンの大事な人・・・お前だってさ!」

「あのね、学校で先生が言ってたんだ・・・!誕生日は、自分のお祝いもあるけど、生んでくれたお母さんにかんしゃする日でもあるんだよって!・・・でね、おとーさんとふたりでおかーさんを喜ばせてあげようってがんばったんだよ!」

テーブルの上には二人で作ったといういっぱいの御馳走が並んでいた。

とても三人では食べきれないほどの・・・

UP 00.4.25.

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さて、三人では食べきれないほどの御馳走+蘭の持ち切れないほどの買い物・・・食べきれたんでしょーか・・・(笑)これより先は皆様の御想像におまかせします(^^)