星の降る夜。
君が君で居られる様に
いつも笑っていてくれる様に
側に居る
外見を、真実を、虚飾で飾り立てていても
この気持ちだけは本物だからー・・・
心臓の音が跳ね上がるー・・・
暗闇の中、きっと他に何処にも音は無いのだろうけれど。自分の鼓動がやけに大きくて。
ドアの前で深呼吸・・・
思い切る為に、その後軽くふっと息を吐いた。
・・・よし
コンコンと軽いノックの音が、静かな空気にやたら響いた。
・・・最近夜遅くまで起きているのは知っていたから。上手くすれば何とか・・・なるかもしれない。
今年は時間が時間だし、半分諦めていたのだけれど。
「・・・はい?」
ノックの呼びかけに答えるその声は。寝ていた所を起された物では無かった。内心、ほっとしながらそっとドアの外から声を掛けた・・・。
「蘭ねーちゃん・・・?起きてる・・・?」
「あ、コナン君?どうしたの?」
時計の針は、その日付を変えてから既に1周を越えている。
こんな時間に、女性の部屋に入るものではないという常識は持ち合わせているのだけれど。でも、今日だけは特別。
何もやましい事なんて無いから。
そう言い聞かせても心拍数は跳ね上がったままで。
鼓動で蘭の声も聞き取りづらかった。
「・・・・・・・・あの、・・・・・・ちょっと、いい・・・?」
勧められるままに、そっと開いたドアから中へ入れば。机の上に教科書と参考書が並べられていた。
やっぱり邪魔だっただろうか・・・。
「眠れないの?」
蘭の表情を確認する。・・・迷惑がってはいない様だ。
「・・・うん」
「遅くにコーヒーなんて飲むからよ」
嗜める様に蘭は笑うけれど。・・・それはオレなりに張った伏線だった。
子どもがこんな夜中に起きているのはどう考えても不自然だったから。昼に寝たフリを続けて。寝る前にねだって、強いコーヒーを飲んだ。
もちろん、昼寝なんてしなくても、そんなモノを飲まなくても。徹夜には慣れていたし、夜明けまで起きている自信はあったのだけれど。
「・・・勉強?」
「うん。・・・数学、コナン君には算数って言った方が分かりやすい、かな・・・」
背伸びをして覗き込んだ教科書は、どこか懐かしかった。
立ち聞きするつもりは無かった。偶然だった。
おばさんへの電話で。
眠くて仕方無い位に自分を追い詰めてからでないと、怖い夢を見るのだと・・・そう打ち明けていた。
『離れてるのって怖いね・・・』と。ぽつんと呟いた娘に、母親が何と答えたのかまでは分からないけれど。
その、離れてる相手というのは、オレの事だろうと思うのは・・・自意識過剰だろうか。
ふとあげた視線が・・・微笑む蘭の視線とぶつかって。心拍数がまた上昇した。
「見てて分かる?」と聞かれて、ついうっかり「ああ」と答えかけ・・・「わ、分かんないよ」と訂正する。
危ない危ない・・・
忘れかけていたこの状況と、こんな夜中に蘭の部屋に忍び込む目的を思い出すには十分過ぎたー・・・。
「あ・・・あの・・・ね?」
「うん?」
「蘭ねーちゃん・・・もうちょっと起きてる・・・?」
「うん、もう少し」
眠くなった?という問いかけに、首を横に振って・・・
落ち着かずに、足を少しぶらぶらさせながら・・・本当の狙いを言葉に出した。
「・・・一緒に居ていい・・・・・・?」
工藤新一にそんな事を言われたのなら断られるかもしれない。けれど・・・今のオレはこの姿だから・・・それに甘えて賭けに出た。
一瞬躊躇った蘭は、予想通りの返事をくれて。
オレは安心して小さな溜息を吐く。
「でも、コナン君、明日も学校だから・・・私に付き合ってなくて良いから、眠くなったら寝てね?私のベッド、使って良いから・・・」
バーロ、使えるかっての、と心の中で悪態を吐きながら「はぁい」と表面だけは良い返事を返す。
よし、第1段階は作戦成功。
ほんの少しだけ流行る気持ちを押さえながら、窓の外と時計を見比べるー・・・
あと1時間・・・いや、40分くらい、かな・・・
蘭の邪魔にならない様に、窓際のベッドの脇に座ると、空を眺めた。
時間つぶしに、と持ち込んだ推理小説を、蘭から見えない様にこっそり開く。
蘭は・・・まだ眠くならないのだろうか・・・と、時々ちらっと様子を見るけれど。
まっすぐ参考書に向かっているあの様子からすると、もう少しこの状況は続きそうだった。
・・・ま、オレにとっちゃ好都合・・・だけど
いつもなら夢中になって時間すら忘れてしまうけれど・・・今日はソレが気になって。
集中出来ないのなら、いっそ読まずに過ごそうと、窓の外を眺めた。
それは確かに夜空ではあるけれど。街灯やスモッグの所為だろう・・・。中途半端に薄暗い。
大丈夫だろうかと少し心配になったけれど・・・
とりあえず、こればかりはオレにどうにかできる問題じゃないから。
オレに今出来る事は、これくらいしかないから
だからせめて・・・
・・・どうか
そう呟いた時、光が一瞬瞬いた。
「・・・来た・・・・・・」
机に向かう蘭の後ろをそっと抜けて、部屋の電気を消す。
「きゃ・・・なに、コナン君・・・?」
突然周りが暗くなって驚いた蘭の手を・・・ぎゅっと握って導く。
「こっち・・・来て、蘭ねーちゃん・・・!」
窓際に蘭を座らせて。天を指差す・・・一瞬瞬く星の中から、空に弧を描いて星が消えた。
「・・・あ」
流れ星、と蘭が呟き終わるその前に、もう一つ星が流れて。戸惑う声に笑みが零れた。
「・・・しし座流星群だよ、蘭ねーちゃん」
「・・・・・・綺麗・・・!」
「うん。今年は東アジアでたくさん見られるかもしれないって、・・・イギリスで研究してる人が予測してたんだ」
「あ、もしかして・・・それでコーヒーにお昼寝して・・・?」
ちょっと違うけれど・・・素直にうん、と返事をする。
「もう・・・授業中寝てちゃダメよ?」
「はぁい」
「・・・で、これ・・・どれくらいまでなの?」
「んと・・・明け方の4時くらいまで・・・かな」
仕方ないわね、と微笑うと・・・蘭は自分のベッドから毛布と布団を下ろして。窓の外を見ているオレをすっぽりと、自分ごと包み込んだ。
「あったかいね」
ちょっとその距離に戸惑ったけれど。
流れる星を見ている内に、蘭の呼吸が規則正しくゆっくりとしたものになって―・・・かなり不安定になっているその頭を、そっと伸ばした手で自分の肩に乗せた。
今のオレに出来る精一杯はこんな些細な事だけだというのが辛い所だけど。
開け放した窓の下。
隣で微笑む寝顔。
オレの気持ち。
小さな切り取られた世界。
ここだけは暖かかった。
あとがき。
今年は11月19日の午前2時から4時まで。東アジアでしし座流星群が見られるそうです^▼^つまり、日曜の日付が変わって月曜から月曜の早朝までですv
月も暗いそうで、観測には良い条件が揃っているとかvvvダストの帯に地球がぶつかると予測されているので、気象条件さえなんとかなれば流星群が楽しめるかもしれませんvvvあ、南のしし座の方向からですのでvvv(だからしし座流星群なのだそうです^^;・・・ペガサスから来たら「ペガサス流星拳」なのでしょうか(しみじみ)
前日は日曜なので、寝たおして(こら)真夜中に起きて見るのも一興かとv(一驚の間違いだろう(−−;))
裏の松江のオフれぽにくっつけたお話が、コナン君にとって痛すぎる物でしたので。くぬぎなりにちょっとフォローです^▼^;
新一にーちゃんが思っている程、コナン君は無力じゃないと思うんです^^
蘭ちゃんの中で、確かに新一にーちゃんの占めてる割合は大きいでしょうけれど、コナン君だって大切な人なのだから^^
それでも、やっぱり新一にーちゃんに帰って来て欲しい。
でも、コナン君がいなくなるのは嫌・・・
複雑です(;;)