伝染








空に向かってまっすぐに登る

それでも僅かな風に小さくたなびいてゆらめいて


ゆっくりと大きくなって、いつか空と同化する。


少しずつ色を含んで、深みを帯びた空の色は、何もかもを優しく抱きとめて・・・全てを無に返す。



瞼を閉じれば、いつか見たその光景が鮮やかに蘇る。



そして、ゆっくりと目を開ければ



早くも葉が散り始めた工藤家の庭で、掃除をしながら仰いだ空は、落ち葉を燃やす煙が支配して・・・あの夜の光と同じ様に、ゆらりゆらりと空へと伸びていく。




「・・・・・・今年は行けなかったなぁ」


蘭の言葉にふと我に返った。



「どこに?」と聞くと、「花火大会」と返ってきた。


ああ・・・来年も行こうなって話してたんだっけ


蘭がすごく嬉しそうで、見ているこっちも嬉しかったから、胸の中に鮮やかに、蘭の笑顔をはっきりと覚えている。


こんな身体じゃなけりゃ行けたんだけどな・・・


空の色が胸の中に流れ込んできたかの様に、薄暗く染まる。




「見たかったなあ・・・」


ぽつんと呟く蘭の言葉が痛い―・・・


「・・・新一のあの嬉しそーな顔」




・・・え?



「また花火を観に行ったら同じ表情見せてくれるかなーって思って楽しみにしてたんだ―・・・」


きっとすごく花火が好きなのね、と笑ったその表情に


違うんだけど・・・と意識が遠のきかけた。


それでも優しい気持ちは心に宿って

暖かい気持ちと笑顔は伝染するものなのだと


そう思うと、変に胸の中が温いと感じた。








人の嬉しい気持ちと暖かい気持ちって、伝染すると思うのはくぬぎだけでしょうか・・・^^;

逆に、イライラしている感情なんて、その場にいると伝染しやすいのでしょうけれども・・・


大切な人の笑顔は嬉しいもので、その笑顔を見たいばかりに喜んでくれそうな事をしたくなりません?




いつも優しい気持ちを忘れないでいたいなぁと思うくぬぎでした^^