ひまわり




蝉の声が身体に纏わりつくかの様に降り注ぐ。

見上げた空は、陽射しを肌に突き立てる。


今年の夏の陽射しは、気のせいかいつもより攻撃的で―・・・もうじき服部と色が変わらなくなるかもなと思うと、少し不安になった。


目の前の大きな武道館が歓声に包まれる。

「工藤新一」の姿としても、あまり来る事はできなかったし、来ても、蘭に気付かれたくはなくて、こっそりと見ているだけだったのだが・・・

その翌日、試合結果を報告してくる蘭の笑顔は、・・・からかってやりたくなるくらい嬉しそうだった。


―けれど


工藤新一がいなくなって、代わりにおれがその報告を受ける様になっても、蘭はあの時のままの笑顔で報告をする事はなくなった。


それは、蘭にとって「工藤新一」が重要な存在を占めているという事で・・・おれにとって、嬉しい事ではあるかもしれないけれど



けれど―・・・



視線の先にそれを見つけて、考えるより先に足がそっちに向かった。




「コナン君、次の試合だからね!」
そう駆け寄ってくる蘭に、はい、と手にしたそれを手渡した。


「えっ?」
黄色い花弁の向こうに見えた蘭は、ひどく驚いて。

「これ・・・新一にーちゃんから!」

「え・・・?新一!?来てるの!?」

「さっきまでいたんだけど・・・でも、急いでたみたい。それで、これを渡しておいてって預かったの」

「そう・・・もういないの・・・」

「あのね、新一にーちゃん、ホントは試合見たかったって」

沈んだその表情に、思わずそれが口に出てしまった。


「・・・ほん・・・と・・・?」


ここにはいないと知った時、一瞬曇ったその表情が

その、手にしたひまわりに照らされる様に、花が咲くかの様にゆっくりと柔らかくなって


「・・・だから、試合頑張ってね?」

その言葉に、蘭はふっと微笑を向けて、花束をそっとおれの手に戻した。

「これから試合だから、コナン君、預かっててくれる?」

「うん・・・!」



いつか、花の力を借りなくても―・・・

「いつも見ている」事を伝えたい



どうか、涙がこれ以上、君の頬を塗らす事の無い様に・・・



視線の先で勝利を収めた蘭に、会場から歓声が上がった。










日記に書いていたひまわり、実はこっちが本命だったんですね^^;

あっちは園子ちゃん視点にしてみたのですが・・・ああ、後編が書けなかったです。情けない・・・。