シチュエーションは、23巻のFILE10のラスト近く、事件を解決した直後と、あの平次を蘭が冷やかした直後・・・つまり、ラストのコマ以降ですね(^^;)

朝焼け

「素敵・・・!こんなにたくさん星が見れる所が東京にあったなんて・・・!」
そう言った蘭の横顔は、日が昇り始めた夜の闇と、満天の星々に彩られていて、コナンでなくても、思わず見とれてしまう・・・。
「ホント・・・すごく綺麗だね・・・!」
コナンの演技をしながら、新一も同意してみせる。

蘭の周りで、星々が髪飾りのように、風に揺られる髪の隙間から煌いている・・・

「・・・・・・・・綺麗だね・・・・・・」
海の向こうに、誰かを見ているように、蘭は遠い目をして水平線の彼方の太陽を見詰めていた。

新一の姿なら、抱きしめてしまえるのに・・・・・・

こんなおいしいシチュエーションはそうそうない・・・

改めて、今の自分の身体を呪わずにはいられない。

そんな蘭の横顔に、一瞬かすめた思いを振り払いながら、コナンは笑顔を向けた。

「こういう景色を一緒に観たい人がいるって幸せだよね・・・」

先にそうぽつりと呟いたのは蘭だった。

「それって・・・新一にーちゃんの事・・・?」
心のどこかに期待を持って、コナンは蘭に問い掛ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
蘭はそれには答えず、ただ黙って海の向こうを見つめていた。穏やかな微笑みを見せて―・・・

コナンは、蘭のその横顔を、じっと見詰めていた。
「・・・・・・・ね、コナン君は好きな子出来た?」
「え!!?」
「ほら、前に・・・コナン君と初めて会った日に、話してたじゃない?・・・・・・そういえば、コナン君の返事、まだ聞いてなかったなあって・・・」

『お願いだから一人にしないで・・・』

ほんの少し前に聞いた蘭のセリフが、胸に重く響く・・・。

この問いに、コナンとして答えるべきだろうか・・・それとも、新一として・・・・・・・・・・

揺れるコナンの心中を刺すかのように、光が辺り一面に溢れ始めた。

「あ・・・・・・・・・・」

「うわあ!綺麗!!」
燃えるような朝焼けに、蘭の肌も赤く染まる―・・・

夜の闇は次第に薄くなって、空の色も変化していく。

いつか、この夜の様に暗闇も明けて、光の中で蘭に真実を告げられる日が来るのだろうか・・・

背中からの光に、勇気づけられている様な感覚を覚えた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いるよ、ずーっと昔っから・・・・・・・」
声にならない声で、新一はそう答えた。はしゃいでいる蘭には届かないように気をつけて・・・。





「な〜んや、お前ら・・・仲ええやないか!!」
さっきの光景を見ていたらしい、平次がコナンに・・・というよりは新一に詰め寄ってきた。

さっきまで蘭に、和葉との事を冷やかされていた仕返しとばかりに、笑顔満面で詰め寄って来ている。

このヤロー・・・蘭に詰め寄るわけにいかねーから、おればっか攻撃して来やがって・・・

あからさまにムッとするコナンに、平次は変わらずにやにや笑い続けている。

当然、蘭に詰め寄られるよりは、自分に詰め寄って来てくれた方がありがたいのだが・・・。

コナンは、手すりによじ登って腰掛けた。
とにかく、これ以上屈み込んで平次に茶化されるのは嫌だった。

「あのなあ・・・コナンと蘭じゃ年が違いすぎるだろ・・・!常識で考えろよな!」
コナンはあくまでも冷静に切り返す。
「あ・・・せやけど・・・・・・・・・なんや、あのねーちゃん・・・・・・・・・・・」
不自然に言葉が途切れ、平次は考え込んでいる様子だった。
「?・・・・・・・・蘭がどうかしたのか?」
「あ、いや・・・勘違いやったらええんやけどな・・・・・・・、なんや、あのねーちゃんのお前見る目ぇが、工藤見とんのと変わらへん感じやったから・・・ちょっと気になったんやけど・・・」
「え・・・・・・・・・?おいおいおい、小学生が恋愛対象になるわけねーだろ!」
苦笑しつつ、コナンが否定する。
「いや?あのねーちゃんの様子からすると、お前も恋愛対象として見てんのと違うか?」
無責任な微笑みを浮かべ、平次はあまりありがたくない発言をしてくれる―・・・。

『お願いだから一人にしないで・・・』

再び、あの蘭の言葉が脳裏をよぎった。

「大変やなぁ・・・コナンも工藤も同じ人間やのに、恋敵やなんて・・・のお!工藤っ!」

ばしっ・・・

平次が茶化して放った一撃が、コナンの額にヒットした。

ただでさえ動揺していたコナンは、不意をつかれ、バランスを失って後方にのけぞる・・・。

「あ・・・」
「・・・あ??」

「ああああああ!!!!」

叫び声と共に、海面へと吸い込まれるように、コナンは一直線に海に落ちて行った。

「大丈夫か、工藤っ!!!」
苦笑しつつ、心配して声を掛ける平次に、コナンが怒鳴り返す。
「バーロー!!!!てめーが落ちたからって人まで落とすなっ!!!」
「まあ、ええやないか!東西の名探偵、仲良く海に落ちたっつー事で!」
「・・・て・・・てめえ・・・覚えてろよ・・・!」

すっかり明るくなった空に、小さな探偵はひきつった微笑みを向けた―・・・。

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いかがなものでしょうか・・・(^^;)
9,10月のカレンダー元に書きました。あ、あと23巻も・・・。
あんまりらぶらぶにはなりませんでしたが(^^;)

主役海に落としてるし・・・(をい)