優しい雨

街路樹の葉を優しく濡らすように、朝から雨が降り続いていた。

特に予定もなく、コナンは推理小説を手に取った。
気が晴れない空の色に、小五郎が不機嫌そうに煙草の煙を吐き出す―・・・。
コナンはと言うと、少しずつ小説の中の世界へと引き込まれていって、周りの雰囲気など目に入らなかった。

自分の今の境遇に似た物語の行く末は、胸が痛くなるような結末を控えているのが手に取るように分かる。

「・・・何読んでるの?」

突然声を掛けられて、コナンは現実に引き戻された。

「・・・あ、推理小説だよ?」
「・・・・・・ふ〜ん・・・」
小学1年生の子どもが読むにはどう考えても不似合いな本を、蘭が覗き込んだ。
やばい・・・
コナンが慌てて本を閉じる。

蘭の所にいるようになって、食事などの心配もなく、自分の時間が持てるようになったのは嬉しい事だったが、好きな推理小説を迂闊に読んでいられないのが難点だった。

「随分難しい本読んでたのね・・・」
「あっ、知らない漢字とかは勘や雰囲気で読んでるから・・・」
慌ててごまかす。

これ以上追求されたらどうごまかそう・・・

ひきつりながらも笑顔を見せ、動揺をひた隠しに隠す―・・・

だが、そんな心配は杞憂だった。

「ねえ、コナン君・・・デートしない?」
にっこり微笑んでの蘭の言葉に、コナンは一瞬耳を疑った。
「・・・・・・・・・・・・・え?」
聞き返すコナンに、蘭は苦笑しながら話を続けた。
「あ、それとも私とじゃ嫌かな・・・?」
「・・・嫌じゃないけど・・・」
怪訝そうにコナンは蘭の真意を探ろうと様子を伺った。
「・・・駅前にね、すっごくおしゃれな洋菓子屋さんが出来たの。そこ、中で喫茶店もしててね、一度行ってみたいなあって思ってたの・・・どう?」
「でも、おじさんは・・・」
コナンがきょろきょろと辺りを見回したが、小五郎の姿がどこにもない・・・。
「あら、お父さんなら大分前に麻雀に出かけたわよ?」
「あ・・・あ、そう・・・」
「ね、行こ?」
蘭の微笑みに、コナン・・・新一が勝てるはずもなかった。

蘭は着替えを済ませると、部屋から出てきた。
「あ・・・」
蘭のお気に入りのワンピースだった。
赤い色が白い肌に映えて、蘭によく似合っている。そのワンピースは新一の姿だった頃、よく目にしていたので覚えていたのだ。

でもどうして?

あのワンピースは、蘭にとって特別な日にしか着ないはずだった。

「新一」がいなくなってから、その姿を目にするのは初めてだった。

「さ、行こ?」
「う・・・うん・・・」
蘭の差し掛けてくれた傘に、コナンが寄り添うように入る―・・・。

身長差があるので、傘を差しているにも関わらず、コナンの身体も蘭の身体も雨で濡れ始めた。

コナンの姿では、蘭と一緒に傘に入って歩く事すらままならない―・・・

コナンは、胸の奥に鈍い痛みを感じながら、自嘲した。

まるで、今の自分の境遇を思い知らされているようだった。

「濡れちゃうよ、蘭ねーちゃん・・・僕、傘持ってくるから待ってて?」
そう言い出したコナンを、蘭は微笑んで止めた。
「ね、待って、コナン君・・・」
「え?」
「こんな小降りの雨だもん・・・傘なんて差さなくても私は平気・・・コナン君、私の傘使っていいわよ?」
「駄目だよ!蘭ねーちゃんが使って?僕は平気だから」
強い瞳で反論してくるコナンに、蘭はふっと微笑んだ。
「・・・じゃあ、いっそ・・・差さずに行こうか!」
「え!?」
その発言に驚くコナンの目の前で、蘭はくるくると手際良く傘をたたんで巻き上げる―・・・。

どうしてと尋ねるコナンに、蘭は微笑んで答える。
「だって、コナン君だけが濡れるのは嫌だもの・・・」
「二人分の傘があれば濡れなくて済むんじゃない?」
コナンは苦笑しながらそう問う。
「・・・傘が二つあったらその分コナン君と私の距離が離れちゃうじゃない?」

小雨程度だったら、それでも大丈夫かもしれないが・・・

コナンは、再び自分の今立たされている境遇を雨を通して見ていた。
「もしも・・・」
「え?」
「・・・もしも、もっとたくさん降ってたら?」

蘭の足枷にしかならないようなこの身体が、蘭を守り切れるだろうか・・・

・・・守り切れると胸を張って言えるような状況ではなくなってしまったら?

最悪でも、自分の命を懸けてでも蘭の事は守り切るつもりだが、蘭は今の姿の自分にちゃんと守らせてくれるのだろうか・・・

願いを込めた視線を受け、蘭はふっと微笑んでコナンの目線に合わせるようにしゃがみこんだ。

「もしも、もっとたくさん降ってても・・・」
「!!!??」

コナンの身体が、ふわっと宙に浮いた。

「・・・こうしてれば、雨に濡れないで済むわよ?」

抱き上げられたコナンは、蘭の身体の柔らかさに赤面した。

「ね?・・・一人で濡れるより、二人で濡れない方法をいくらでも考えればいいわ・・・一緒に考えればいいもの・・・ね?」
蘭の優しい声が、耳元で甘く響く―・・・。

「や・・・やだよ、カッコ悪いよぉ、降ろして蘭ねーちゃんっ!」
真っ赤になって反論するコナンに、蘭は苦笑する。

「カッコ悪くてもいいよ、・・・・・・コナン君が一人で濡れるよりは」

蘭の甘い声は、優しく木々を潤す雨と共に、コナンの心に柔らかく染みていった。

知らず知らずの内に、コナンは微笑んでいた。

「あ、やっと笑った・・・!」
コナンの微笑みに、蘭が嬉しそうに声をあげた。
「え?」
きょとんとするコナンに、蘭は嬉しそうに話す―・・・

「なんだか、小説読んでる時のコナン君、すっごく辛そうだったわよ?」

・・・なるほど、それで気分転換のきっかけを作ってくれたってのか・・・

蘭の微笑みに、コナンは苦笑した。

「ねえ、蘭ねーちゃん・・・僕ね、蘭ねーちゃんの事大好きだよ?」

ぽつりと呟いたコナンの声は、優しい雨に柔らかく吸い込まれていった。

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う〜ん、比喩が多くて分かりづらいもの書いてしまいましたねえ(^^;)
しかもタイトルどころか、内容が180%変わってしまってますしぃ(←文字化けしたのかもぉ♪(をい))

くぬぎ、雨の日嫌いじゃないんですよ・・・むしろ好きと言った方がいいかもしれません(^^///)

晴れてる日のありがたみも分かるし、それに、雨が降ってて気付く事もあるし

小さい頃、雨が降って、地面に出来る小さな水の流れを見てるのが好きでしたv(変な子どもぉ(笑))
いつも見ている風景とは違った光景に、どきどきしてたりして

それは今でも変わりありませんけどね(いい加減オトナになれって(^^;))

どーせなら嬉しい事も嫌な事も全部ひっくるめて楽しんじゃお!というのーてんきな性格は昔っかららしいです(笑)