★ドイツの『Progressiverockworkd』のレビュー

Morsof(モーニングマシーン&ソフト娘。) - HEAP

レビュー: David Cisco,

やれやれ、ポセイドンとMuseaがまたやってくれたよ。
この日本とフランスのレーベルは手を組んで、世界中のプログレッシブロック&
ジャズの財産を山分けしてきた、それも大々的に。
ニッポン−フレンチ−ジャガノート(支配神)の強力な音楽がそこらのレコード棚
から溢れかえるようになって、もう2年になる。実際、この多くは日出ずる国
からの音楽だった。日本の音楽は内容と演奏が過激なものが多くて、免疫のない
プログレッシブロックのリスナーにとっては挑戦的過ぎるところも確かにある。
これもそれも日本人が音楽的にジャズに傾倒しがちなのが原因だろう。
あんまりにも即興的で実験的な日本人のジャズ探求には、普通の
プログレロッカーはヘッドフォン外して、がっかりするわ、唖然とするわで、
うんざりしちゃうだろう。

ジャズ好きにとってラッキーだったのは、ポセイドンとミュゼアの協定が
実際、宝の山だったということだ。
Morsof(カンタベリーの巨人、ソフトマシーンと日本のポップグループ、
モーニング娘。に由来する)はサックス/ベース/ドラムのトリオ。彼らが
リリースしたHEAPはジャズファンを喜ばせる、ちょっと変わった面白い作品だ。
最初に言っとくけど、これはこうるさいプログレロッカーを蹴倒すアルバム
だよ。自分自身はジャズへの変わらぬ愛情があるし、Steve Hackett、Dream
Theater、Neal Morseに対しても同じような気持ちを感じてるから、この
アルバムも全く問題なく気に入ったよ。Morsofは明らかにソフトマシーンへの変
わらぬ愛情を抱き(モーニング娘の部分は多分いい加減
にくっつけたんだろ)、彼らに敬愛の情を示しながらも思い切った演奏
をしてる。これ聴いたらソフトマシーンもとても嬉しく思うだろう。

HEAPは短くうるさいトリオ曲、Cosθで始まる。中盤まではファニーというより
ファンキーなアンサンブルで、その後はキチガイじみたスピード狂だ。

Underdog's Bluesはもっと親しみやすいところに踏み込んでくる。ボンヤリ
とした不思議なグルーヴとRhodesピアノの粋なフレーズで始まり、続いて
ファジーなブルースギターのソロ、そしてビッグバンドスタイルのホーンズで終
わる。

Heap Suiteは13分に渡る4つのムーブメントからなる組曲で、ベース主導の
グルーヴに始まり、フリー・フォームの中間部につながる。ここは、Rich
スタイルのドラムとランダムなピアノコードと音、それに羊がエクスタシーを感
じているようなあわれな音を奏でるサキソフォンの間でキチガイじみた(また
キチガイかよ?)即興が繰り広げられる。楽に聴ける音楽ではないが、この
パートを聴いてビートニクス時代の即興音楽を思い出した。と、言っても悪く
言ってるわけじゃない、子供の頃はこういう音楽を、実際なんていうか、楽
しんでいたわけだから。

Afro Zoneは全く違ったレベルのグルーヴを展開する。高校の頃好きだっ
たOsibisaやMandrillにすごく良く似た感じだ。これはファンク・アップした
ベースリフ、パーカッションのポリリズム、ワウギター、
ビッグホーンセクションで進んで行く、とてもファンキーな曲。最近
じゃあまり聴くことのできないソウルフルなグルーヴだ。

DADAはこのアルバムをBrand Xのスタイルで華々しく締めくくる。サックスと
ドラムの速射型の集中砲火に始まり、躁病っぽいサックスのアタックとジェフ
べック・スタイルのギターの混ざり合ったいかした組曲へとなだれ込む。

さて、よく注意してたら、何度かMorsofはキチガイ集団
だってほのめかしてることに気付いただろ?Heapを聴いた限りでは、実際、
そう思うよ。でも、それは悪いことじゃない。ジャズ、ロック、
フランク・ザッパも忘れずに、むちゃくちゃ良い音楽がここにある。Morsofは
一流の素晴らしいバンドであり、Heapはワイルドなジャズファンにとっては宝の
山(heap)だ。
Groovy, Baby!

評価: 5点中 4.25