★ウズベキスタンのプログレサイト「Progressor」のレビュー

【序文】
“HEAP”は日本のバンド、モーソフのデビューアルバム。モーソフというバンド名はモーニングとソフトマシーンに由来する。
「モーニング」が何を意味するのかはよく分からないが、
あの有名なイギリスのバンドはおそらくこのバンドのインスピレーションの主な源となっているのだろう。

【概略】
明らかにバンドの音楽はオリジナルで、ソフトマシーンのどのアルバムとも比較することはできない。
最初の2曲 ”cosθ”と”UNDER DOG'S BLUES”はそれほど印象的ではない。
これらは、スタイルとしてはクラシック・ジャズ・フュージョンで、全楽器の技巧的なソロが組み込まれており、楽曲としてはとても良い。
一方で、反復が多く、明らかにテンポ変更に欠けており、これが安直に過ぎている。
この2曲を聴いて、なぜかReturn to Foreverの有名な”Hymn to the Seventh Galaxy”のタイトル曲とそれに似た曲が思い出された。
このHymn to the Seventh Galaxyはチック・コリアがRTF名義でリリースした他のどのアルバムとも違って、全く古さを感じさせない。
いずれにしても、この2曲はHeap(ポンコツ)って感じでは無いんじゃないか?

3曲目の”HEAP SUITE”から全てががらっと変化し、ここからは曲順を経るごとに前の曲よりもどんどん良くなっていく。
音楽はより複雑に難解にそしておもしろくなっていき、思いもよらない形でテーマとテンポが頻繁に変化し、
驚くほど多様なドラミングに併せてベース、ギター、キーボード(主にピアノ)と金管楽器の巧みなソロが、
並外れた放物線を描いて互いに交差し、リスナーの注意を引き付けて離さない。

ジャズ・フュージョンとRIOのブレンドのような”HEAP SUITE”にまだメロウなパートが残るとしても、
このアルバムの最後の曲”Aflo Zone”と”DADA”は非常に厳選され、かつ、完全に予測不能なアレンジから成り立っており、ただ陶酔させられる。
これらの2曲はHenry Cowの最後の(そして個人的にはベストの)アルバム”Western Culture”によって開拓されたRIOの方向性をもって
仕上げられている。
超傑作と呼ばれるにふさわしい作品。

【結論】
最初の2曲を聴いた後、正直、この若いバンドがアルバムの後半に出てくるようなこんなにも複雑で非常に好奇心をくすぐる音楽を演奏するとは
思ってもいなかった。
これを追求していけば最初の音から最後の音まで素晴らしいものになると確信している。
結論として、”HEAP”は本年の最も壮麗なデビュー作品の内の一つと呼ばれるに十分以上の力を持っている。