〜的場均調教師トークショーReport bQ〜
2001.3.20(月)/渋谷プラザエクウス
ライスシャワー(出会い)
−初めての印象は−
体が小さくて、すごく操縦しやすく乗りやすい馬でした。
−皐月賞8着の後、見とおしはどうでしたか−
NHK杯のゴールに入った直後にダービーでの乗り方は決めていました。
でもまさかダービーで2着にくるとは、思ってなかった。
−ダービーの裏話−
僕の一番上の兄貴の嫁さんの弟が、僕がダービーに乗るので応援馬券を買うって一番上の兄貴に
頼んだんですけど兄貴はやめろ、やめろ、やめろって反対してね。
いや〜いかに僕の信用がないか。
−でも馬券当たったんですよね−
義理のお姉さんが本人が応援馬券で買うっていうんだから買っといてあげなさいって言ったら
当たっちゃってね。感謝されましたけどね。大きなハナ差ですよね。
−ダービーが終わってミホノブルボンに近づきましたね−
セントライト終わって、僕乗らなかったんですけど、あのレースを見て随分成長してくれたなぁ。
もしかしたらブルボンと少し差は詰まってくれるんじゃないかなと期待してました。
−京都新聞杯では−
僕、セントライト乗らなかったんです。飯塚先生に「乗らなくていい」って言われちゃって。
いやぁ〜まいったな〜と思いました。冷たくされちゃってね。「いいんだお前忙しいから乗らなくって」なんて。
菊花賞、菊花賞と思ってたので、いやぁ〜それ言われた時はショックでしたよ。
まいったな〜先生怒っちゃったなぁ〜って思ってね。
まあそれでもお願いして、そしたら「しょうがないなっ」て言ってくれてね。
京都新聞杯終わって、だいぶ差は詰まったなって感じました。
ライスシャワー(H4年菊花賞 やっと勝った)
−菊花賞はどうでした−
血統的な部分だとか、馬体からして3000になればもしかしたら逆転できるんじゃないかな?
逆転したいな。最後の一冠ものにしたいなと思いました。
−レースはミホノブルボンですね−
京都新聞杯終わってからずっと菊花賞のこと考えてました。自分の思い描いていたとおりになってくれた。
ブルボンの隣の外枠にあたったらいいなと思ってたので、枠順発表見て勝つ確率は高くなったなと。
一周目の4コーナーさえ無事に回ればと思ってたのでスタンド前通る時はターフビジョン見ながら走ってた。
ライスの直線の映像をじっと見つめる的場さん。
−会心の勝利でしたね−
そうですね。このレースは本当に今までのレースの中でも随分競馬をなめて乗ってたのかな?
それだけ自分に余裕を持って乗れたな。
二週目の4コーナーまわった時に、よしよしライス勝てっかもしれねえぞと、心理的に楽でした。
頑張って頑張って走ってくれました。
−ここまでライスシャワーがやれる馬と気づいたのはいつですか−
菊花賞トライアル終わったときにもしかしたら菊花賞っていうのはありました。
でも初めて跨ったときにこんなにすごい馬になるって思えなかった。情けないですよね。
−でも的場さんと共に馬も成長し的場さんが育てていった部分もあるのでは−
いえいえ、僕はつかまってるだけですから、育ててくれたのは川島厩務員ですから。
ライスシャワー(H5年天皇賞春 渾身の仕上)
−次は翌年の天皇賞ですね−
でもその前の有馬記念も期待してたんですけど、情けない乗り方しちゃいまして。
競馬終わってからライスに悪いことしたなぁと思いました。勝った負けたは別にしてあの馬の
力を信じて乗ってれば…トウカイテイオーが気になっちゃって。
−その時は考えこんじゃったのですか−
その時は先生に申し訳なくてあやまったんですが、あんまり怒った素振りはなかったです。
だからゆるしてくれるのかな?と思い来春の天皇賞で挽回しなくちゃなと思いました。
−レースはどうでしたか、的場さんメジロマックイーンは大好きなんですよね−
初めてマックイーン見たときから惚れちゃいましてねえ。
−マックイーンの外から攻めるのは作戦だったのですか−
マックイーンの内に入れば武君にしめられるのはわかってましたから、外からかわそうと思ってました。
−マックイーンに勝った感想は−
有馬記念のこともあったので嬉しかったです。ちょっと違った嬉しさがありました。
4歳の函館で見た時にマックイーンのこと見て惚れたので厩務員さんに、
「いい馬だね〜これはきっとすごい馬になるよ」って言ってたら天皇賞のライスの追いきりの時に栗東に行ったら
マックイーンの厩務員さんが覚えててくれて、「的場君に誉められた馬だから良くなって本当によかったって」
言ってもらえて嬉しかった。
−ブルボンに勝ったときとマックイーンに勝ったときと違いましたか−
違いましたね。有馬記念のことがあって、僕自信が気持ちがはいりすぎてた部分があって、
その分ライスにはきつかったかなと思う。でもマックイーンに正攻法で勝てたのが嬉しかったです。
ライスシャワー(H7年天皇賞春 ありがとう相棒)
−その2年後また天皇賞を制しますがその時は−
自信は全然なかったです。馬の調子も若干良くなってきたけど勝てるとは思えなかった。
前走の日経賞もインターライナーに負けちゃいましたからね。まいったな〜って。
でも日経賞の時は馬場が悪かったし、天皇賞が頭にあったのでここで馬場の悪い内を通って馬に
疲労を残すのは嫌だったので例え着順が悪くても馬場の良いところを走らせてあげたいなと思ってました。
−それでは天皇賞ですが二周目の3コーナーで先頭でしたね−
無謀な乗り方ですよね。どうしようかなってずっと思いながら乗ってたんです。
どうすっかなぁ?行く?って言ったら、ライスがすーっと行きましたからね。
−これで負けたら騎手が批難されましたね−
非難はあつまると思ってました。ハナ差頑張ってくれたおかげで非難されずにすみました。
それでもゴール入って戻ってきた時に飯塚先生に、「早いぞっ」ていきなり言われました。
−ゴールして手が上がったのは蛯名騎手でしたが内と外離れてましたね−
でも僕は残ったと思ったんですけど蛯名君が手をあげてたから、え〜残ってないかなと思いつつ
もし差されてたらインタビュー受けないで急いで帰らなきゃと思ってました。
−批難されるところを頑張って僕を助けてくれたってコメントしてましたね−
あれで差されてたら人生変わってましたからね。あんな無謀な乗り方する騎手には
乗せられないってことになっちゃいますからね。あれがハナ残ってたことは後の騎手人生が左右されますからね。
頭が下がるおもいです。
−ステイヤーですけどスピードもありましたね−
状態が良ければ2000mでも他の馬には負けないと思ってます。
でもマックイーンに勝った後なかなか馬が立ち直ってくれなくて周りや新聞にステイヤーだとか
終わっちゃったとか言われたりすると本当は違うんだよと言いたかったです。
−マイルでも大丈夫でしたか−
名スプリンターや名マイラー相手だときついけどそこそこやれたと思う。
でも2000mあればどの馬にも負けないと能力はあると思ってました。
残念ながら立ち直らなくて実績が伴わなかったのでステイヤーといわれるのは
しょうがないと思うけど関係者にとっては馬の能力を知ってるだけに悔しいですよね。
ライスのことを一番知っているのは僕達ですから
−ライスシャワーは精神力もすごかったですか−
マックイーンに勝った時は厩舎に行った時、怖かったです。
サラブレッドってこんなに目つきが変わるもんなんだと思いました。
あんなに眼光の鋭い馬って初めてでした。あの時の目は忘れられないです。