株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


保護されるべき高齢者が家から出て行っても無関心。無関心のまま、
年金だけはもらい続ける、根性・性根の悪さが、はびこっている。


2010年8月15日 日曜日

不明「100歳以上」242人…読売全国調査 8月15日 読売新聞

全国で「100歳以上」の高齢者が相次いで所在不明になっている問題で、不明者の数は14日現在、20都道府県(52市区町)で計242人に上っていることが、読売新聞の全国調査で判明した。

 世帯構成が確認できた中で、住民登録上、家族と「同居」している世帯が過半数を占めた。所在確認の調査を継続している自治体もあり、不明者数はさらに増えるとみられる。

 全国調査では、住民登録上の「現住所」に住んでいないか、家自体がなくなっていた「100歳以上」の高齢者で、親族でも所在を知らなかったり、親族とも連絡が取れなかったりしたケースを集計。自治体が「居住実態がない」として職権で住民登録を抹消した場合も含めたが、死亡が確認された人は除外した。都道府県別では、兵庫県の108人が最多。市区町村別では、神戸市の102人、大阪市45人、京都市18人と続いた。東北・北陸を含む27県での所在不明は判明していない。

 神戸市で「125歳」の女性の不明が確認されたほか、大阪市の「119歳」男性や、いずれも大阪府東大阪市の「119歳」の女性と「115歳」の男性が相次いで所在不明となっていた。

 厚生労働省によると、生存が確認されている国内最高齢者は佐賀県在住の113歳の女性だが、今回の調査では、この女性と同じ年齢かそれ以上の高齢者の不明が、少なくとも20人以上、確認された。

 住民登録上の世帯構成と不明になったとみられる時期の居住実態についても、各自治体に調査した。判明した78人のうち、42人が妻や子供らとの同居で、36人が独居と、同居が過半数を占めた。

 こうした同居家族の多くは、自治体の調査に対し、「(本人が)家を出て行ったまま、居場所は知らない」などと話していた。残る164人については、自治体が明らかにしないか未調査のケース。

 調査結果を公表していない自治体を含め、多くの自治体が、「さらに詳しい調査を進める」としている。


明日ありと思う心のあざ桜夜半に嵐の吹かぬものかは  8月12日 釈勝叡

 明日ありと思う心のあざ桜夜半に嵐の吹かぬものかは

 大阪府は、12日、住民登録されている100歳以上の高齢者64人の所在が確認できていないと発表した。

 京都市では、100歳以上となる高齢者19人の所在が確認できていないことが、12日取材で分かった。

 何故、100歳以上の括りで所在確認しているのか。

 90歳以上、80歳以上の行方不明者はゼロとでも考えているのか。

 70歳以上の高齢者の所在を確認するよう望む。

 日本人の平均寿命が大きく変わる事態である。

 御長寿大国日本から、高齢者行方不明大国日本への転換となる。

 嫌な渡世である。

 「子どもやお年寄り、立場の弱い人を護り大切にしましょう。」が、単なるスローガンに止まり、

 子どもやお年寄りに冷たい日本。

 年間3万人を超える自殺者に無関心な日本。

 子どものいじめ問題を放置し、解決する方向に向かえず、小説や映画で、いじめ問題をネタにする日本。

 就職難・ワーキングプアの若い社会人に「自己責任論」を、押し付け続ける日本。

 パワハラ・セクハラがまかり通る日本。

 弱い立場の者に、情け容赦の無い仕打ちを、平然と行うのが、

 現在の日本の偽らざる実情である。

 「心の貧困」問題が、社会に大きく暗く横たわっているのが、

 現在の日本である。

 平均寿命が、70歳でも80歳でも、

 自分が平均寿命まで生きられると思うのは、

 大きな大間違いである。

 「明日、生きている。」「明日、死んでいる。」

 どちらが、確実な事態だろう。

 御開山・親鸞聖人は、出家得度される際に、

 「今晩はもう遅いから、明日、お得度されたら如何か。」と言葉をかけられて、

 「明日ありと思う心のあざ桜夜半に嵐の吹かぬものかは」と返答された。

 今晩、大嵐が吹けば、嵐に吹き飛ばされ死んでしまうかも知れないのは、

 親鸞聖人の時代も、現在も、同じことである。

 仏教・仏法に出会うことが、現在人に必要なのである。

 「死生観」を生活にどう取り戻すのか。

 身近な人・家族の死から学ぶのである。

 日頃は、他人ごととしか思っていなかった死という現実から、

 私もまた、まぬがれることが出来ない者であること。

 愛別離苦の苦しみ・悲しみから、形あるものは頼りに成らず、分かれていかなければならないことを教えていただくのである。

 「生命の尊さ」を亡くなった方が、教えて下さるのである。

 私にも生命がある。

 生まれてから死ぬまでの一つながりの、世界にたった一つしかない生命であり、

 途中で、取り替えたり、誰かと代わってもらう事の出来ない生命である。

 だから、生命は尊いのである。

 亡くなられた方が、身を持って示して下さる最後の教えである。

 保護されるべき高齢者が、家から出て行っても、無関心。

 無関心のまま、年金だけはもらい続ける、根性・性根の悪さが、はびこっている。

 そんな社会で、どうやって自分の生命の尊さに気づくことが出来るのか。

 自分の生命の尊さに気づくことが出来ない個人は、

 他人の生命を尊重することなど出来ない。

 何時までもカネを拝んでいないで、

 仏様を拝んでみたらどうか。

 阿弥陀様は、現在の日本の姿を見て、泣いてくださっている。



(私のコメント)
100歳以上の行方不明者が250人近くいたと言う事ですが、独居老人が行方不明になったということではなく78人のうち多くが家族がいたり同居者がいた。にもかかわらず行方不明になっても捜索願も出されず、年金や遺族手当てなどは受け取っていたと言うケースが多いのだろう。

読売新聞の記事によれば大阪府や兵庫県に集中しているのは異常なのですが、大阪や兵庫に親不孝者が多いのはヤクザがらみの組織的な犯罪でも隠されているのではないだろうか? これはあくまでも100歳以上の調査結果であり65歳以上の年金受給者全員を調べるべきだろう。

年金には年に一回ハガキなどで生存確認などが行なわれていましたが、家族が代筆してしまえば年金はそのまま振り込まれる。しかし健康保険や介護保険など調べればおかしいと気がつくはずだ。年金受給者本人が家を出て行ったまま家族がしらないと言うのは明らかにおかしい。70歳以上のお年寄りが家族に黙って家出すると言う事が考えにくい。

年金受給者は現在では4000万人いるそうですが、団塊の世代が受給するようになればもっと増える。110歳以上の年金受給者は50人から100人くらいいると言う事ですが、どういう事なのだろうか? 全ての年金不正受給者を調べれば数千人レベルで発覚する事もありえるだろう。親がなくなっているにもかかわらず年金だけは不正に受け取るのは犯罪行為ですが、とんでもない親不孝者でもある。

学校崩壊・家庭崩壊・地域社会崩壊は社会問題化していますが有効な解決手段が見つからない。昔の家族制度に戻す事も不可能だろうし学校も家庭も地域もバラバラになり弱いものが孤立して見捨てられている。全てが金銭で換算されて家族や学校や会社も金銭だけの繋がりでしかない。カネが無ければ誰も相手にしてくれない世界は新自由主義の世界でもある。

特に家庭は崩壊している事は高齢者所在不明事件や育児放棄事件などにニュースとして現れていますが、親子と言えども他人同然の家庭であり、家族の絆などテレビドラマぐらいしかないのかもしれない。だから老人たちも数千万円の貯蓄をしっかりと握りしめて使おうとはしない。子供といえども信用が出来ないからだ。

学校で道徳や倫理などは教えられていますが、学級崩壊が起きているような状況は将来社会人になって行けば社会崩壊が起きるということだ。だから親が子を殺し、子が親を殺して年金を不正にもらう不心得者が出てもおかしくはない。国家がセーフティーネットを充実させる必要がありますが、民主党はいつの間にか新自由主義政党に変わってしまったようだ。国民の生活が第一と言ったスローガンは忘れ去られてしまった。

孤立した社会では、たとえ近所で児童虐待が起きていても通報すらされずに児童が死んでいる。児童相談所もあまり機能しているとは言えず弱い立場の児童が虐待されていても救える人がいない。このような人心の荒廃は何が原因で起きているのだろうか? それは宗教の不在が人心の荒廃を招いているのだろう。

おかしな新興宗教やカルト宗教が蔓延るのも心の空白を埋めるためなのでしょうが、既存の仏教が廃れてしまった事も人心の荒廃に結びついているのだろう。東京のお寺の行事に時々参加することがありますが来ている人は60歳以上のお年寄りばかりで若い人はほとんどいない。若い人の家庭で仏壇のある家庭はどれだけあるだろう?


葬式仏教のバチあたり 4月14日 釈勝叡

現在の子育ての困難をスピリチュアルで解決する事は出来ない。

 学校崩壊・家庭崩壊・地域社会崩壊は、

 それぞれ単独に存在するのではなく、

 縁起の道理で、互いに寄り合い関連し合っている。

 マスメディアが、教師バッシングを繰り返すことで、

 「教育というモノ」全体が劣化してしまったのである。

 そこで、釈勝叡は、「子育てには、宗教が必要である。」と、

 子育てに宗教の知恵を取り戻す事を提案している。

 教育評論家・マスメディアが教師バッシングを繰り返した行いと、

 「葬式仏教」という言葉で、伝統教団を非難する行いは、

 同質の行いである。

 「葬式仏教」という言葉を多用すれば、

 「宗教というモノ」の値打ち・有難さ・価値が低下する事態になる。

 「葬式は、要らない」論が、世に広く受け入れられている事態が一つの証左である。

 日本は、政治三流・経済三流・教育三流。

 さらに、宗教三流の国に成り果てねばならないのか。

 人間の叡智・能力を遥かに超えた大いなる存在がおられる。

 人間の営みを超えた、森羅万象のあまねく存在を統べておられる大いなる存在を、

 神仏と呼び、尊ぶのが、宗教の本質である。

 「葬式仏教」という言葉で、神仏をビクともさせることは出来ない。

 神仏は、大いなる存在であり、人間の言葉くらいでは、揺らぐことは無い。

 しかし、「葬式仏教」という言葉は、日本社会を揺らがせる。

 神仏を尊ぼうとする気風を低下させるのだ。

 人間の発する言葉で、社会が、神仏の有り難味を見失っていく。

 神仏に対する冒涜なのである。

 これが、「葬式仏教」という言葉の現在的意味である。

 神仏を冒涜する者には、罰が待ち受けている。

 「葬式仏教」という言葉の使用者は、そこまで理解出来ているか。



(私のコメント)
今日は8月15日で終戦記念日ですが、武道館で宗教色のない慰霊式が行なわれている。これで死んでいった兵士や市民の霊が浮かばれるのだろうか? 靖国神社と言う戦死した兵士の為の慰霊の為の神社がありながら総理大臣も天皇陛下も靖国神社には参拝しない。それでは死んでいった250万人の兵士の霊は浮かばれないだろう。

信教の自由が誤解されて、政府の宗教的な行為が出来なくなってしまった。地鎮祭ですら宗教的行事だとして憲法違反になるそうですが、日本の仏教寺院や神社から国や地方は切り離されてしまっている。その一番の象徴が靖国神社ですが韓国や中国から批判されるとして首相や天皇も参拝できない。

「葬式仏教」と言う言葉は、仏教に対する侮辱であり信教の自由に対する違反行為だ。人間の生死を司るには宗教は必要であり、「葬式仏教」と言う言葉は死者に対する侮辱でもある。だから親が死んでも行方不明として年金を不正に受給するものも出てくる。まさに日本全体が仏罰によって崩壊の危機にある。




結果的に日本で生産するより高くなってしまったんだと思う。95万円で
販売している現行マーチの12Sコレットのスペックと比べれば明々白々。


2010年8月14日 土曜日

タイ製日産マーチ、日本勢首位を奪回 7月輸入車販売 8月6日 フジサンケイビジネスアイ

日本自動車輸入組合が5日発表した7月の輸入車販売実績は、タイで生産する小型車「マーチ」の輸入を始めた日産自動車が、日本車メーカーとして14年1カ月ぶりに首位を獲得した。

 国内自動車各社は新興国での生産を拡大しているが、現地メーカーのつくる部品の品質が向上し、輸入による低コストのメリットが引き出せるようになった。今後、マーチのような例が増える可能性もある。

 日産の7月の輸入車販売台数は5514台。マーチの輸入を始めたことで、26台だった前年同月の約212倍に増えた。シェアは25.4%で、前月まで6カ月連続トップだった独フォルクスワーゲンを2位(22.5%)に抑えた。3位は独BMW(ミニを除く)の12.4%だった。

 国内自動車メーカーが、輸入車販売で首位になったのは、「アコードワゴン」を米国から輸入していたホンダがトップだった1996年6月以来。

 同組合が発表した輸入車全体の7月の販売台数は56.6%増の2万1683台で、9カ月連続で前年同月を上回った。このうち、日本車は6354台で、「マーチ効果」で4倍に増えた。


新型マーチ価格99万円は高いか!? 安いか!?タイで生産するマーチ、衝撃的な価格を考察! 8月14日 現代ビジネス

国沢光宏の考察 評価が定まるまでは「待ち」か

 結論から書けばマーチは「高い」と思う。タイの日系企業のあいだじゃ有名な話なのだけれど、当初日産としちゃ90万円くらいの価格設定にすることを狙っていたらしい。ところがラインを立ち上げてみたら品質的に厳しく、加えて日本側からの強いリクエストもあって日本仕様は部品をグレードアップ(タイヤなんかタイ仕様とまったく違う)。

さらに入念な完成検査をすることになったそうな。そのうえ、日本に上陸した後、再度PDI(納車前点検)するというのだから驚く。

 結果的に日本で生産するより高くなってしまったんだと思う。こらもう95万8650円で販売している現行マーチの12Sコレットのスペックと比べれば明々白々。

 なんせ現行マーチに搭載されるエンジンは、スムースに回る4気筒の90馬力。次期型は大幅にコストダウン可能な3気筒で79馬力ときた。

 しかも変速機は軽自動車と同じ低コストタイプ。おそらく日本で生産したなら、現行の12Sコレットより大幅に安く作れたことだろう。

しかもタイ生産のマーチ、装備も超ショッパイ。決定的なのが窓ガラスだ。何と! フロントガラスすらUVカットじゃないのだ。それこそ女性はウデに何か巻いて走らないと日焼けする。夏場の屋外に居るのと同じですから。UVカットガラスを採用していないクルマ、今や軽自動車でも珍しいです。

 参考までに書いておくと、前述の現行12SコレットならフロントガラスはUVカット。さらにフロントドアに断熱のUVカットまでオゴってたりして。

 ということで買うなら122万9550円のアイドリングストップ付き12Xということになるが、119万7000円で買えるフィットのGより高いとなれば、「う〜ん!」と悩む。

マーチと同じ3気筒エンジンを搭載するヴィッツのBSエディションも106万円。チョイ乗りの多い人や、エアコンを使う夏場&雨の日などは実用燃費も大差ないと考えます。いろんな意味で新型マーチは安定した評価が定まるまで「待ち」だと思う。

 意外や、100万円を切った価格で登場する新型マーチだが、渡辺氏、国沢氏ともに「いちがいに安いとはいえない」という評価であった。

 とはいえこれはあくまで書面上のスペックを見て考えたこと。クルマは実際見て、触って、乗って、走ってナンボ。デビュー後に再びジックリ、マーチの買い得感をチェックしたい。

 また本企画ではもう1点。それはマーチの最大の特徴であるタイ生産について。もしマーチが販売的に成功したら、今後この手法は主流になっていくのだろうか? 再び渡辺陽一郎氏に聞いてみた。

マーチの手法は主流にはなりえない

 海外生産車は販売の主力にはなり得ないだろう。グレードやメーカーオプションが限定されるからだ。

 例えばハンガリー製のスプラッシュは1グレードだけで、メーカーオプションはない。インドネシア製のタウン/ライトエースバンも、メーカーオプションは寒冷地仕様とそのセットオプションのみ。

 次期マーチもグレードの数を減らし、メーカーオプションのカーナビを削り、カーテンエアバッグとプライバシーガラスに限っている。その不備を国内装着のディーラーオプションで補うわけだ。

 仮にグレードやメーカーオプションを増やすと、組み合わせが膨大になり、国内生産車と同様に受注生産が中心になる。しかしその場合海外から船で運ぶので、納期も2〜3カ月に長引く。しかし日本車は海外ブランド車と違って法人需要が多く、納期の遅延は販売面で不利だ。

 コストの上昇も避けたい。そうなるとカーナビ情報と連動させて変速制御するATなど、生産ラインで装着するオプション装備は設定しにくい。したがって低価格車しか対応できないのだ。

 そして次期マーチでは、最上級の12Gにはカーテンエアバッグとプライバシーガラスを標準装着し、メーカーオプションを設けない。これも海外生産への対応だ。販売現場では、12Xに前述のオプション装備を付けたいユーザーには、納期の遅延などを理由にすべてを標準装着した12Gを推奨する。

 つまり低価格を求める顧客には12S、アイドリングストップが希望なら12X、カーテンエアバッグなども欲しいなら12Gと区分して、基本的にオプションパーツを装着しない在庫車から選ばせる。

 それでもボディカラーは9色と多い。販売比率の低い12Gや4WDで個性的な色彩を選ぶと、納期が長引く心配がある。

 オプションの選択肢は大幅に減り、納期遅延が最大の不安として残る。これでは販売の主流になるのは難しいだろう。



(私のコメント)
新聞やテレビなどのマスコミ記事はどうしてもスポンサーである企業の悪口は書きにくいだろう。むしろ半分コマーシャルのようなヨイショした記事になりやすい。製品の評価を知りたければネットなどでの書き込みを見たほうが本当の評価を知る事ができる。新型の日産マーチもタイ製ということで話題になっていますが、99万円の価格は決して安くはない。

タイヤや窓ガラスなどには安物が使われていて安くする事に力点が置かれているが、それでも一番安いモデルも99万円もする。オプションなどをつければ120万円くらいになってしまうだろう。最近の円高とタイのバーツなどの相場からすれば70万円くらいで売られてもおかしくはないのですが、自動車にかんしては海外生産はかえって高くつく。

自動車の生産のその国の生産技術のレベルがものを言うから、日本やドイツで作る車が安くて高性能な車を作ることが出来る。新興国でも自動車生産が行なわれていますが主要なパーツは輸入しなければならないし、部品の原材料なども輸入しなければならない。ガラスや鉄なども自動車で使われる原材料は他のものとは違う。

日本はアジア各国に資本供与して技術提供してアジアの工業化の推進役になっていますが、中国や韓国などが工業国になり自動車や家電製品などの輸出基地になっている。韓国などもヒュンダイの自動車やサムスンなどの家電製品も輸出好調だ。しかしそれに伴って対日赤字も増える。主要部品や原材料などを日本から輸入しているからだ。


韓国の対日貿易赤字が過去最高 今年上半期 8月13日 共同通信

【ソウル共同】韓国銀行(中央銀行)と関税庁は13日、今年上半期(1〜6月)の同国の対日貿易赤字が180億7100万ドル(約1兆5600億円)と、半期として過去最高に達したことを明らかにした。

 同期の対日貿易は、輸出が128億3400万ドルで、輸入は309億500万ドルだった。日本からの部品や素材の輸入が増えたことが、赤字拡大の原因。

 聯合ニュースは「韓国の(世界への)輸出が増えれば、輸出品の生産に必要な日本製の部品や素材の輸入が増え、対日貿易赤字が増える」と指摘している。


対日貿易赤字、1000億円突破[経済] 7月26日 NNA

日本の財務省が26日発表した貿易統計(速報値、通関ベース)によると、6月のタイの対日輸出額は前年同月比31.9%増の1,640億円だった。輸入額は同67.0%増の2,667億円。


(私のコメント)
タイなども同じであり、自動車を生産しても主要部品や原材料などは日本から輸入しなければならないから結局は日本で作るよりもコストが高くなってしまう。つまりパソコンに例えればパソコンを輸出すればするほどインテルやマイクロソフトが儲かるような仕組みを日本は取っている。インテルが使っている半導体の素材も住友化学が作っているから同じ構造だ。

日本が円高や貿易摩擦などを回避するには中国や韓国に技術供与してDRAMや液晶パネルなど韓国製や中国製の情報家電製品が世界に溢れるようになりましたが、液晶パネルに使われるガラスなども普通のガラスとは違ったガラスを使うから日本メーカーから調達しなければならない。DRAMの素材も同じだ。

もちろん素材を売るよりも製品を世界に売って行ったほうがはるかに利益率が高く、サムスンは日本メーカーを合わせたよりも多くの利益を上げている。一番おいしいところを韓国や中国が持っていってしまっているから日本は目立たない。韓国や中国はそれだけ研究開発費をカットできるからコストも安く出来る。

ニュースによればタイ製の日産マーチが輸入車のトップになったと言う事ですが、実際にマーチが市場に出ての評価を待ったほうがいいだろう。現行のマーチは4気筒の90馬力のエンジンなのに新型マーチは3気筒の79馬力エンジンでいかにコストダウンで苦労しているかが分かる。

このクラスの車を乗るのは女性が多いと思うのですが、紫外線をカットするUVガラスが使われていない。現行の国産モデルならUVカットに断熱ガラスが使われている。見た目にはほとんど区別がつかないからわからないだろうと言う事ですが、実際に乗って見れば違いがはっきり分かる。タイヤなども実際に乗ってみないと分かりませんが、かなりコストを削ったタイヤらしい。

自動車などは新車の内は違いが分かりませんが、乗っているうちに乗り心地は悪いし故障ばかりで費用がかさむようでは自動車は売れなくなる。マイカーブームの中国でも価格の安い国産車よりも日本製の車が売れている。日本製といっても現地生産であり輸入すると関税で高くなってしまうが、それでも売れる。

韓国や中国は日本から距離も近く人的交流も盛んで部品や素材なども手に入れやすい。ASEAN諸国となると距離も少し遠くなり工業化は不利ですが、工業化すればするほど韓国のように対日赤字が増えていくだろう。中国には日本企業が多く進出して製品の逆輸入が多くなって来ていますが、韓国人は馬鹿だから日本企業をみんな追い出してしまった。トヨタやホンダの工場が韓国にあれば逆輸入車が増えて貿易も均衡していただろう。

タイは韓国よりかは反日的ではないので日本企業も多く進出しており、いずれは製品輸入などで対日赤字は減っていくだろう。日産のマーチはその例でもあるのですが、韓国は自動車なども国産に拘っているから対日赤字が増える一方だ。日本も主要な技術や素材の企業秘密は守るだろうから韓国は輸出すればするほど対日赤字が増える経済になってしまう。





来月を念頭に調整中だった中国の胡錦濤国家主席の米国訪問が、
米空母の演習や南シナ海を巡る米中関係の悪化を受けて延期となった


2010年8月13日 金曜日

<中国>胡主席の訪米延期か 米中関係悪化受け…香港紙報道 8月10日 毎日新聞

【北京・米村耕一】来月を念頭に調整中だった中国の胡錦濤国家主席の米国訪問が、米空母の演習や南シナ海を巡る米中関係の悪化を受けて延期となった模様だと10日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。

 同紙は「訪米準備のための米中間の事務レベル協議が予定通り進んでいない」との中国外交官の発言を引用。「胡主席の訪米が近く実現する可能性は低い」との分析を伝えた。

 オバマ米大統領は今年6月にカナダで行われた米中首脳会談で胡主席に訪米を要請、胡主席も受諾していた。

 米中関係は、先月下旬に米韓合同軍事訓練に米国が原子力空母を派遣したことや、中国が領土紛争を抱える南シナ海の安定についてクリントン国務長官が「米国の国益」と発言したことを受けて急速に冷え込んでいる。


【オピニオン】米国務長官と太平洋軍中枢部が対中姿勢を硬化─試される行動 8月12日 マイケル・オースリン WSJ

【ホノルル】米国は南シナ海の領土問題に関与する、とのクリントン国務長官の発言の分析にアジアウォッチャーはこの数週間、忙殺された。長官の対中姿勢の硬化を歓迎しているのは軍のエリートで、とりわけ太平洋で前方展開している関係者が多い。

これがオバマ政権の対中政策の根源的な変化を示しているかどうかは疑問だ。米太平洋軍はこの数年間、中国の不透明な軍事力増強が米国と同盟国に及ぼす脅威よりも、中国との「対話」についてより多くの見解を表明していた。しかし、今は違う。ロバート・ウィラード太平洋軍司令官は今年行われた議会証言で、中国の「衰えない」軍事力増強について指摘し、「(太平洋での)われわれの行動の自由と衝突するよう計画されている」ようだ、と結論付けた。

 統合参謀本部議長のマイク・ムレン海軍大将は先月、中国の行動が「関心の対象」から「懸念の対象」に変化した、述べた。パトリック・ウォルシュ海軍太平洋艦隊司令官は、中国の領土権の主張は、南シナ海の重要な貿易航路を「リスク」にさらしている、と話した。太平洋軍の見解には歴代大統領の姿勢が概ね反映している。

 筆者が先週話を聞いた太平洋軍に配属されている当局者と民間従業員の多くが、この見方に同意している。こうした前方に展開する関係者はホノルルとワシントンの上役に対し、「いかなる海域をも中国に渡すことがないよう」行動によって発言をバックアップするよう期待している。前方の当局者は、南シナ海での中国の領土権の主張を引き合いに出した。中国はフィリピンとベトナムに所属する島を不法に占拠し、インドネシアやベトナムの沖合いで漁船と小衝突を起こしてる、と。

 米当局者の最近の厳しい発言は、少なくとも太平洋における米国の同盟国には有益だ。これらの多くが中国の興隆とこの地域への米国の関与について懸念している。日本は中国海軍が日本の諸島付近に出現しているとして中国政府に抗議している。オーストラリア国防省は、太平洋における米国の「一極支配」の終えんと、自国の国防への影響について懸念を表明。台湾は、向けられている数千発のミサイルを除去するよう中国に要求し続けている。

 オバマ政権にとっての次のステップは、言葉と行動を合致させることだ。太平洋軍と東南アジア諸国は、米政府のレトリックが行動を伴わない可能性を懸念している。米国は年間350回の港湾訪問を実施し、様々な国との数多くの合同海上訓練を主催し、先月にはインドネシアと軍事協定を復活させたが、これらは事後的な反応に過ぎないとして、懸念する声が上がっている。こうした声の背後に、ゲーツ国防長官による予算削減の動きや、今後四半世紀にわたる米潜水艦と水上艦の就役数減少を予想させる造船トレンドがある。

 米国は同盟国に対する伝統的なハブ・アンド・スポーク・アプローチを再考することで、こうした懸念を軽減することが可能だ。米国と地域における最も緊密なパートナーである日本、韓国、オーストラリアとの3カ国、および4カ国協議の開催を一層強く推し進める必要がある。協議はミサイル防衛や対潜水艦戦、海上パトロールといった中核的な安全問題に焦点を当てるべきだろう。同時に米政府は戦略地政学上、重要な地点に位置するインドネシア、ベトナム、マレーシアなどと戦略的な結びつきを強化する必要がある

 クリントン長官の発言は対中政策のみならず、安定性を維持し、安全を追求し、さらにアジア太平洋地域により民主的な将来をもたらす米国の責任に対する政策の新リアリズムを提唱しているのかも知れない。長官の発言は良いきっかけだ。この発言に命を吹き込むことが、次の課題だ。



(私のコメント)
最近の米中関係が変調をきたしているようですが、中国の胡錦濤国家主席の米国訪問が延期となった模様だ。国家のトップレベルの訪問延期となるとただ事ではないのですが、アメリカ政府の態度変更には何があったのだろうか? オバマ大統領とクリントン国務長官は中国超重視外交であり、アジアの重大課題から世界の主要問題まで、米国がまず中国と協議して決めようと言う姿勢であった筈だ。

それは去年の5月頃までは変更が無かった。それが秋ごろになると台湾への武器輸出解禁やダライ・ラマとの会見など中国政府が嫌がる事をするようになった。いったいこの間に何の変化があったのだろうか? それは8・30衆議院選挙で日本で民主党政権が誕生した事だ。300議席を越える大勝であり何が原因だったのだろうか?

戦後においては日米同盟がアジアにおける最重要であったはずのアメリカが、オバマ政権の誕生で中国を最重要国であるとの発言が日本に大きな変化をもたらした。つまりアメリカは日本を切り捨てて中国を事実上の同盟国とみなした。ジャパンバッシングやジャパンパッシングや最近ではジャパンディッシング日本切り捨てまで言われ始めていた。

マイケル・オースリン氏が言い始めた言葉ですが、日本を切り捨てたと言う事は自民党が切り捨てられたのであり、自民党は人材が払底してしまって首相が一年も持たずに交代してしまう。国民もあきれ果てて民主党にやらせてみようと政権交代したのでしょう。その結果、鳩山政権が誕生して沖縄の普天間基地問題が見直される事になった。

米中が接近している状況なら、沖縄の海兵隊基地が無くなる事は中国にとっても利益になることであり、アメリカにとってもグアムへの移転が決まっていた事でもあり、移転費用として日本政府が7000億円も出す事もニュースになっていた。だから普天間基地移転問題もグアムへの全面移転で決着が付く事も可能性としてあった。

鳩山首相は駐留無き安保論者であり、沖縄の海兵隊基地がグアムへ移転に成功すれば在日米軍基地返還運動が日本全国で起きる可能性があった。このような運動が日本で起きる事はアメリカ政府の想定外だったのだろう。在日米軍基地が無くなればいくらアメリカが中国を最重要国としても、アメリカがアジアからはじき出される事を意味している。

「株式日記」ではこのような米中G2体制に対して、日本も対中接近して日中関係が親密になれば戦争が起きる可能性は無くなり、在日米軍基地の存在も必要なくなるから日中が接近する外交戦略を提言してきました。鳩山政権はまさしく中国には600人の大訪中団を訪問させて日中関係の親密さをアピールする半面で、沖縄の米軍基地の海外移転を図ろうとした。

これに対してアメリカのゲーツ国防長官が乗り込んできて烈火のごとく怒り狂って、晩餐会もキャンセルして帰って行きましたが、アメリカ政府もまさか日本がアメリカ離れを模索するとは考えてもいなかったことだろう。日本の協力無しにアメリカの対アジア外交はなしえないのであり、アメリカは日本に見捨てられれば西太平洋からも撤退して本土まで引き揚げざるを得なくなる。

日本が米軍基地を提供しているのは中国やロシアの脅威があるからであり、アメリカが日本の頭越しに中国と親密化すれば日本はアメリカに基地を提供する必要性が無くなる。米中G2体制は日本のみならずASEAN諸国やオーストラリアやインドなどにも反発を招く事になりオバマ政権は外交面で世界的に孤立することに始めて気がついたようだ。

中国の軍事的な拡大は日本のみならず台湾や韓国やASEAN諸国にも大きな脅威となり、アジアでは軍拡競争が行なわれるようになった。このような中国の軍拡に対してアメリカは見て見ぬ振りをして、チベット暴動やウイグル暴動における人権弾圧に対しても発言を控えてきた。これでは何の為に米原子力空母の母港を貸しているのか意味が無くなる。

それらの転機となったのが韓国の哨戒艦沈没事件ですが、中国と関係の深い北朝鮮の潜水艦によって沈められたらしい。黄海で起きた事件ですが黄海は中国が内海として主張している場所だ。だからアメリカの原子力空母が黄海に入られる事は領海に侵入されるようなものであり、中国の抗議で黄海における演習は日本海側で行われる事になった。

その事がさらに哨戒艦沈没が自作自演とかの疑いを持たれる原因ともなったのですが、アメリカ国内の批判に晒されてしまった。このようなアメリカ政府の及び腰な態度は密約説が出るほどになり、黄海が中国の領海である事の既成事実になりつつあった。もしこれが認められれば南シナ海の南沙諸島などの領土領海争いにも飛び火する。

南シナ海は太平洋とインド洋とを結ぶ海であり、南シナ海の中国の領有はアメリカの利益にも反する。中国は海南島に潜水艦の基地を建設していますが、インド洋への通り道に潜水艦を配置してアメリカの第七艦隊を監視するつもりなのだろう。ここまで来るとオバマ大統領もクリントン長官も黙って見ている訳には行かなくなったのかもしれない。

中国にしても軍部強硬派を押さえる事が出来なくなった兆候かもしれませんが、中国の微笑外交は破綻しつつある。そこにクリントン長官のベトナム発言が出た訳ですが、それに対する中国の返答が胡錦濤主席の訪米延期だ。オバマー胡錦濤会談は年に数回も行なわれて親密さをアピールする事が多かったのですが、中国も引っ込みが付かなくなって来ている。

このまま米中が新冷戦体制に入っていくのかは注意して行かなければなりませんが、単なるベトナムへのリップサービスかも知れず、中間選挙を睨んで中国強硬姿勢を示しただけなのかもしれません。クリントン大統領もブッシュ大統領も選挙の時は対中強硬姿勢で大統領になると対中融和外交に転換するのが常だった。

しかし日本がアメリカ離れを模索するようになるとアメリカのアジア外交は元も子もなくなるのであり、アメリカは鳩山・小沢体制を引き摺り下ろして菅直人に首を挿げ替えた。しかし菅政権も安定せず参院選挙で大敗した。沖縄問題であまりにも強引な態度を見せることは日本国民の反発を招く元であり、オバマは対日政策を間違えたのだ。

オバマは鳩山首相が会談を申し込んでも断るまでになり日米関係は亀裂が入ってしまった。菅首相では沖縄の基地問題は解決しないだろう。だからアメリカ政府はある程度の譲歩を日本に示して関係を改善する必要がある。アメリカにも沖縄の海兵隊基地不要論が出て来ているが、マスコミはこの事を報道しない。




日銀が10日の金融政策決定会合で追加金融緩和を見送ったのに対し、
FRBは事実上の追加金融緩和で円高が進み、85円を突破した。


2010年8月12日 木曜日

米FRBがMBS償還金を国債に再投資へ、景気に慎重な見方 8月11日 ロイター

[ワシントン 10日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は10日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、失速しつつある景気回復のてこ入れに向け、満期を迎えるモーゲージ担保証券(MBS)の元本を長期国債に再投資する方針を示した。

 FRBは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くとともに、広く予想された通り、超低水準の金利を長期間(for an extended period)維持する意向を確認した。

 声明では「物価が安定した状況での景気回復を支援するため、FOMCは政府機関債とMBSの元本償還分を長期国債に再投資することによって、FRBの証券保有額を現在の水準で維持していく」と説明した。

 今回のMBSを再投資する決定は、数カ月前に刺激策からの出口戦略について協議していたFRBにとって、大きな方針転換を意味する。 

 アナリストや投資家の多くはMBS償還資金の再投資を見込んでいたものの、大半は再投資先として米国債ではなくMBSを予想していた。

 一部のアナリストからは、景気減速の兆しが強まれば、FRBは一段と踏み込んだ政策措置を打ち出す可能性もあるとの見方が浮上している。

 バークレイズ・キャピタルのエコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は「見通しの悪化が続けば、FRBは新たな資産買い入れに踏み切る公算が大きい」と述べた。

 ただ、ロイターが実施した米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)調査によると、FRBが10日に発表した再投資に加え、いずれ新たな米国債買い入れを実施すると予想した回答は13社中5社にとどまった。 

 FOMC声明は米経済について、生産および雇用の回復ペースが「過去数カ月間に減速した(has slowed)」とし、一段と慎重な見方を示した。6月の前回会合では、経済回復が「進んでいる(proceeding)」としていた。

 今回のFOMCでは、カンザスシティー地区連銀のホーニグ総裁が再び反対票を投じた。低金利を長期間維持する方針の表明をめぐり、同総裁が異議を唱えるのは5回連続となる。

 ホーニグ総裁は経済について他のメンバーよりも楽観的な見方を示した。米経済は「緩やかに回復している」とし、FRBのバランスシート縮小を妨げる必要はないとの見解を示した。 

 <不安を伴う選択肢> 

 FRBは期間2─10年をはじめとする国債への再投資により、国内証券保有額を2兆0540億ドル程度に維持する見通し。

 FRBの保有するMBSや政府機関債が毎年どの程度の規模で満期を迎えるかをめぐり、投資家の間では1000億─1500億ドルとの見方が出ている。これは少額ではないが、景気に大きな刺激をもたらすには不十分とみる向きが多い。

 LPLフィナンシャルの最高投資責任者バート・ホワイト氏は「実際の効果は象徴的な効果よりも弱くなる」と指摘。FRBは今回の措置によって「景気の二番底を回避するためにすべての可能な対策を講じる用意があることを市場に示している」との見方を示した。

 再投資先としてMBSではなく国債を選んだことは、特定のセクターを支援する政策に反対してきたよりタカ派的なFRB当局者の立場を踏まえた譲歩の可能性もある。 

 FRB当局者はこれまでに、景気回復がつまずいた場合、FRBとして取り得る措置は複数あると表明しており、超過準備預金金利の引き下げや、長期間の低金利維持へのコミットメントを強めることなどに言及してきた。

 資産の追加買い入れもあり得るが、これには欠点がないわけではない。FRBは紙幣発行により政府が抱える多額の財政赤字をマネタイズしているとの批判にさらされる可能性がある。


円高加速 注目集まる日銀「次の手」 協調介入困難、長期債・オペ焦点 8月12日 フジサンケイ ビジネスアイ

日銀が10日の金融政策決定会合で追加金融緩和を見送ったのに対し、米連邦準備制度理事会(FRB)は事実上の追加金融緩和に舵を切り、「出口戦略」を転換した。これに反応して11日の東京外国為替市場は円高が進み、一時8カ月ぶりに85円を突破した。市場には、「1995年4月につけた過去最高値の1ドル=79円75銭も視野に入った」との観測もあり、政府・日銀の「次の一手」に注目が集まっている。

 ◆東証9300円割れ

 国内企業業績の足を引っ張る急激な円高は、株価の下落要因にもなり、日経平均株価の終値は前日比258円20銭安の9292円85銭まで下げた。

 「想定為替レートを1ドル=85円よりも円高に設定している企業はなく、これ以上の円高はリスク要因」(日銀幹部)で、輸出関連企業にとどまらず、ほぼ全面的に売られた。

 事態を重く見た直嶋正行経済産業相は同日、円高についての緊急ヒアリング調査を国内企業200社に行うと表明した。

 これ以上の円高に歯止めをかけるため、ささやかれ始めたのは、政府・日銀がドルを買って円を売る「為替介入」。ただ、輸出産業主導の景気回復を目指す米オバマ政権はドル安を容認する方向で、協調介入は現実的でなく、「日本だけで単独介入しても、効果は限定的」(第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミスト)といえる。

 最後に介入が行われたのは2004年3月16日だが、当時も米政府から日本の円安誘導に批判が集まり、介入をストップした経緯がある。

 代わって焦点に浮上しているのが、追加金融緩和策だ。日銀が政策金利をこれ以上引き下げることは難しいが、追加緩和策によって日米の金利差を広げ、円安・ドル高に誘導しやすい。

 ◆「秋ごろ」の観測

 有力な選択肢は、長期国債の買い入れ。「資金を市場に潤沢に出して、うまく循環するようにする。徐々に買い増すほうがいい」(農林中金総合研究所の南武志・主任研究員)。日銀の長期国債の保有残高をお札の発行残高よりも下に抑える「銀行券ルール」撤廃も視野に入る。

 もう一つは現在、金融緩和策として行っている「固定金利オペ」の拡充だ。現在は20兆円規模の資金を金融機関に期間3カ月で貸し出しているが、「一部を6カ月のものに入れ替え、金融緩和の長期化にメッセージを出す」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)というものだ。

 今後、日銀の「無策」への批判は避けられそうにない。追加緩和の時期については、「9月短観の結果や、エコカー補助制度などの効果切れが見え始める秋ごろ」との観測も上がる。円高が一層進み、臨時会合を開かざるをえない局面も予想され、日銀は待ったなしの対応を迫られている。(山口暢彦)


(私のコメント)
FRBがMBSや国債を買い込んで紙幣を市中に大量にばら撒いているのに対して、日銀は何もしないから円高ドル安が止まりません。日銀がFRBに対してドルをばら撒くのはやめてくれと申し入れるべきですが出来ないでしょう。中国もドルペッグのために人民元を大量に売って紙幣をばら撒いている。アメリカや中国でだぶついたお金は円買いに向かいます。

中央銀行が紙幣をばら撒けばインフレになりますが、中国はインフレになろうと輸出の為にはドルペグを維持しなければならない。中国が人民元を切り上げられないのは昨日も書いたように技術を盗んで安く売らなければ売れないからです。いくら安くても故障ばかりする中国車よりも高くても信頼性の高い日本車を中国人は買っている。

アメリカ人も同じでドルを刷りまくってもインフレにならず金利も高くならないから紙幣をばら撒かなければ馬鹿みたいなものです。日本は超低金利状態が15年も続いているのに日銀はインフレを恐れて紙幣をばら撒く事はしない。紙幣をばら撒くと言うのはFRBのように国債や証券を買い紙幣を市中に放出する事です。

銀行は国債や証券を日銀に売っても運用先が見つからないからまた国債を買いこんでしまう。政府は国債を発行して公共事業などを行なっていますが今では40兆円から20兆円に公共事業は減ってしまっている。国債の発行残高は900兆円を越したそうですが銀行などが買いまくっているから金利は低いままだ。

これだけ発行残高が増えれば国債は危ないんじゃないかという警戒が出てもおかしくは無いのですが、円高が進む一方では通貨に順ずる国債が値崩れする事は理論的にありえない。つまり円高はもっと国債を発行してもかまわないと言う信号なのですがマスコミが国の借金が900兆円で大変だと騒ぐから日銀が及び腰になってしまう。

信用のない新興国が国債を発行しようとすれば金利を高くしなければならず、発行するには限界があります。それに対して日本やアメリカは経済大国であり紙幣がだぶついている状態では国債は金利が低くてもいくらでも売れる状態だ。市場のマインドが冷え込んでいてリスクに敏感な状態では銀行も国債しか買うものがない。

国債をどれだけ発行できるかは金利と為替相場がバロメーターになりますが、円が独歩高になってドルとユーロが安くなっている。日銀が金融の量的緩和をしないからですが、日銀は金利や為替相場を見ながら通貨の量的な調整を柔軟に行なわなければ円高が一方的に進んでしまう。

基本的には日本の経常黒字が続いているから円も高くなります。それでだぶついた投機資金が円買いに向かう事になります。日本もアメリカも超低金利だから為替投機で儲けようというヘッジファンドが円を買います。ドルとユーロの通貨の切り下げ合戦で円が一手に為替価値を切り上げている。FRBがドルをばら撒けばECBも国債を買い込んでユーロをばら撒いている。

このような通貨の切り下げ合戦が行なわれるのは景気が低迷しているから輸出で景気回復させようという目論見があるからだ。しかし日本だけは円安にして景気回復というシナリオは無いようだ。政府日銀が円売りドル買い介入しなくとも日銀が資金を大量に放出すればその資金の一部は金利の高い通貨に向かって行く。

日本は900兆円の国債残高があるのだから日銀はそれだけ資金放出余力があるとも言える。日銀が900兆戦の国債を全部買い取って市場に資金を供給したらどうなるだろうか? 多くが資金運用先がなくてまた戻ってくるでしょうが一部は円キャリートレードが起きて円安になる。

マスコミは盛んに900兆円の国債を借金と言っていますが、金利の付く通貨であり現金に次ぐ信用力があるものであり、その円が高くなっていることは国債の信用度も高くなっていることだ。しかし日銀が900兆円の国債を一気に買い戻せばそれだけの通貨が市場にあふれる事になる。だから国債は通貨の缶詰のようなものであり借金ではない。

日本が戦争に負けて工場もインフラもみんな灰になってしまえば国債は無価値になり超インフレになりましたが、現代において日本の工場やインフラが一気に灰になる事はありえないからインフレになる事は無い。それだけ生産過剰でデフレギャップが生じているから国債を発行して事業を行なってギャップを埋めなければGDPは縮小していってしまう。

欧米もこれからは過剰な借金や過剰な設備や過剰な雇用を解消して行かなければなりませんが、一気に解消しようとすれば大恐慌になってしまう。だから政府は公共事業を増やしてGDPが萎まないようにしなければなりません。つまり日本のように長期間の停滞を余儀なくされるだろう。

新興国は発展余地がありますが、先進国からの投資が続いているうちはいいが新興国バブルが破裂して信用不安が起きれば新興国は元の木阿弥になってしまう。結局は先進国は投資先がなくなり国債しか買うしかなくなる。巨大なデフレギャップが出来ているのだから金利も上がるはずも無く国債の残高が増えても金利負担はごく小さいままだ。

日本が金利を高くしようと思ったら工場や生産設備を解体するか爆弾で処分するしかデフレギャップは解消せず、金利は上がりようがない。唯一考えられるのは石油がストップして工場の生産が止まれば一気にインフレになることだ。その為には脱石油体制を推進する事であり、その方面への国家的な投資を進めなければなりません。

しかし脱石油の体制は遅々として進んでいませんが、石油の値段はじりじりと上がり続けるだろう。昨日もテレビで水野和夫氏が石油の値上がりが低成長の原因と言っていましたが、世界的に経済成長の時代は終わっている。これからの経済成長は脱石油がどれだけ進んだかによるだろう。

具体的に言えば自動車が石油から電気に切り替わらなければ脱石油は成り立たない。発電も火力から原子力やエコロジーなものに切り替えていかなければ脱石油は出来ない。新興国バブルも石油の高騰が引き金となって崩壊して行くだろう。円が高くドルやユーロが安くなるのは日本が一番省エネが進んでいるからだ。




スホイ27のエンジンを中国が自主開発したとする戦闘機「殲11B」に
勝手に搭載、空母搭載用の国産戦闘機「殲15」もスホイ33のコピー


2010年8月11日 水曜日

中国でのライセンス契約破棄検討 ロ戦闘機違法コピーで 7月28日 共同通信

【北京共同】中国の軍事動向に詳しい民間軍事研究機関、漢和情報センター(本部カナダ)は28日、ロシアが中国によるロシア製戦闘機スホイ27の違法コピーに反発、中国でのライセンス生産契約の破棄を真剣に検討していることを明らかにした。

 ロシア軍事産業界の幹部は同センターに対し、ライセンス生産されたスホイ27のエンジンを中国が自主開発したとする戦闘機「殲11B」に勝手に搭載したと指摘。加えて中国が最近開発した空母搭載用の国産戦闘機「殲15」もスホイ33のコピーであることから「中国に対する最後の信用を失った」と語った。

 こうしたコピーは両国が2008年12月に兵器に関する知的財産権保護協定を締結した後に行われているという。

 スホイ27の中国でのライセンス生産は04年に開始した。


コピーに失敗?中国新戦闘機  5月17日 産経新聞

中国軍系国有航空機メーカーが生産した新型戦闘機「殲11B」16機が飛行時の異常振動などのために軍側に受け取りを拒否されていることが17日、分かった。 中国の軍事動向に詳しい専門誌「漢和防務評論」(本部カナダ)最新号(6月号)が 伝えた。

 「殲11B」は中国側がロシアの戦闘機「スホイ27」の技術を基に開発したとされ、ロシア側と知的財産権をめぐりトラブルになった経緯があるが、技術転用に失敗した 可能性がありそうだ。

 製造したのは遼寧省にある「瀋陽航空機」で、2009年に16機生産。しかし納品の直前に空軍パイロットがテスト飛行したところ振動があり、受け取りを拒否した。


中国、高速鉄道輸出に積極的 「先輩」日本は複雑 8月4日 朝日新聞

【北京=古谷浩一】中国が「高速鉄道」の輸出にアクセルを踏み始めた。政府主導で積極的な売り込みを展開。対象国との経済貿易関係の拡大を狙う。アジア周辺国との関係では、政治的な影響力の増大につなげる戦略的な動きとも受け止められている。

 「中国の鉄道は、海外進出戦略の実施を加速する。関係企業を積極的に組織し、国外の鉄道プロジェクトの輸出市場を開拓。国際的に高速鉄道の技術を分かち合いたい」

 中国鉄道省の何華武総工程師は7月末、北京での記者会見で、政府が主導して鉄道技術を輸出する姿勢を訴えた。

 同省は米国、ロシア、ブラジル、サウジアラビアなどとの鉄道建設協力の調整チームを立ち上げたことを明らかにする。「数十カ国が自国の鉄道プロジェクトへの我が国の参加を希望している」(王志国・鉄道次官)といい、トルコやベネズエラの高速鉄道建設計画に中国企業が関与を始めているとされる。

 政府をあげての後押し姿勢は鮮明で、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が7月に訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した後、両国は100億ドルに上る鉄道関係の合意文書に調印したと伝えられた。

 中国は2000年以降、高速鉄道の建設を重視してきた。日本の新幹線「はやて」を基に製造された車両などが導入されたが、鉄道省は「海外技術に基づく自主開発」との位置づけだ。

 高速鉄道の輸出推進の狙いについて、商務省国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は「『メード・イン・チャイナ』が貿易相手国の国家インフラになることで、中国製品がさらに浸透する。中国ブランドの印象も向上する」などと中国紙に利点を強調する。

費用面での競争力の強さは無視できない。ベトナム国会は6月、ハノイ―ホーチミン(約1600キロ)の高速鉄道建設計画案を否決した。同案は日本の新幹線方式を採用する見通しだったが、560億ドルといわれる投資額に「負担が大きい」との反対が出たためだ。中国の高速鉄道なら、「費用は新幹線の半分」(中国紙)とされる。

 海外進出を強める背景には、政治的な狙いも指摘される。鉄道省は7月、雲南省から国境を接するミャンマー(ビルマ)やラオスにそれぞれ国際高速鉄道を建設する計画を明らかにした。詳細は不明だが、自由貿易協定(FTA)の実施が始まった東南アジア諸国との輸送能力の拡大を目指すもの。実現すれば、両国における中国の政治的な存在感が一層高まることは間違いない。

 中国の専門家の中には、(1)中国北部からロシアへ(2)中国西部からカザフスタン経由で中央アジア諸国へ(3)中国南部からベトナム経由で東南アジア諸国へ……との三つの国際高速鉄道の建設の必要性を訴える論調も出てきている。

■価格競争力、中国にかなわず

 中国の高速鉄道の一部は日本の新幹線技術をもとに導入された経緯があり、中国にとって日本は先輩格。その中国が積極的な鉄道輸出を進め、日本と競合し始めていることに、日本の鉄道関係者は複雑な心境だ。

 7月に告示されたブラジルの高速鉄道計画。ルラ大統領が2016年のリオデジャネイロ五輪までの開通を目指す国家プロジェクトだ。リオ―サンパウロ間のエコノミークラスの料金を一番安く設定出来る事業者が落札するとの見方が地元で飛び交う。

 日本は価格競争力では中国にかなわない。運行や建設まで受注者が担うなどリスクが高い案件ともいわれ、日本の企業連合は採算を慎重に見極めている。

ブラジルを含めて、中国は政府首脳によるトップセールスなど国家あげての融資などで受注獲得に貪欲(どんよく)だ。経済協力開発機構(OECD)非加盟で国際ルールの縛りを受けにくいことも営業活動の自由度を高めている。前原誠司国交相も米国やベトナムに直接出向いてトップセールスを重ねているが、国交省幹部は「中国の影は常につきまとう。対抗手段を真剣に考えないといけない」と危機感を募らせている。(澄川卓也、サンパウロ=平山亜理)


(私のコメント)
中国がスホイ27のコピーに失敗したと言う記事は中国らしい記事ですが、ロシアも中核部品であるエンジンとコンピューターはライセンス生産の対象外だった。そこで中国は国産のエンジンを開発して取り付けたら上手く行かなかったと言う事でしょう。国がそこまでえげつない事までするのは信じられませんが、こんな事を繰り返していたらどの国からも相手にされなくなって行くだけだ。

日本においても新幹線の技術が盗まれて米国、ロシア、ブラジル、サウジアラビアなどへの高速鉄道への参入を目指していると言う事です。トルコやベネズエラなどは既に話がかなり進んでいるようだ。中国はOECDなども関係はなくルール破りの商売で世界中荒らしまわっています。しかしこんな事を繰り返していればいずれは袋叩きに遭うでしょう。

中国がこのようにやりたい放題してこれたのもアメリカが甘やかしてきたからで、中国がいくら知的所有権を侵害してもアメリカはこれと言って制裁はしてこなかった。一番分かりやすいのはドルと人民元のレートを四分の一まで切り下げた事を認めたことに現れている。それにはアメリカの思惑などがあったからでしょう。

スホイ27に限らず戦車や潜水艦やミサイルなどに到るまでロシアのコピーなのですが、ロシアも中国に対しては外交関係を最優先してみて見ぬ振りをしてきました。確かに中国は巨大な国だから先行投資の意味で技術供与などが行なわれて来ました。アメリカ側も只のように安い人件費で生産が出来るのだからそれなりのメリットがあったからでしょう。

しかし中国は最近になって増長してきて外国の企業に対して排斥的な動きをするようになってきた。日本を追い越して世界第二位の経済大国になったということで、外国の技術援助は無くてもやって行けると言う思い上がりが見えるようになった。だから日本企業の工場でも賃上げストライキが起きるようになって、これも一種の日貨排斥運動でしょう。

日本はこのように戦前から中国人の不満に火がつき始めたら手に負えなくなってくるのを知っているから慎重なのですが、欧米資本は中国人の本性を知らない人が多い。典型的なのはアメリカであり中国が経済発展すれば洗練された民主主義国家になるという神話だ。だから知的財産権の侵害にも見て見ぬふりをしてきた。

はたして中国はこれらの先進国の技術を上手く吸収して自律的な発展につなげていけるのだろうか? 確かに自分で技術を開発するよりも先進国の技術をパックってやったほうが手軽に出来るから中国人は自分で開発するよりも盗んだほうが手っ取り早いと考える。中国とはそういう国だ。歴史を見れば分かる。

その点ではヨーロッパ人やアメリカ人は中国の歴史をほとんど知らないから国の大きさだけで惑わされてしまう。中国には近代国家になるだけの基礎条件に欠けている様に見える。確かに最近の新興国は景気が良くて近代化が順調なように見える。しかしそれが定着するかは別問題であり、治安が悪く人々は法や道徳を守らなければ近代国家とはなり得ない。


中国人は日本製品を排斥すべきか? 2007年5月1日 シナコムの掲示板

この問題は少し変だ、私にもわからない。

中国には日本資本の企業で働いている人が100万人いるという。私もかつて日資企業で働いたことがある。
日資企業は日本へ帰れ、日本製品を排斥せよ、これは中国人の誰もが持ったことのある心の声だ。日本人は、なんと言うか、憎くてたまらない。

仮定してみよう、もし我々が日本企業をみな追い出したら、100万人以上の同胞が失業の危機に直面する。
中国大陸の企業がこの100万人を受け入れることができるというのは間違いだと思う。


中国の会社はみなに日本企業並みの待遇を与えられない。中国企業が与えるのは、食うだけがやっとの水準だ。
私は国営企業で働いたことがあるが、国営企業と日資企業はまったく違う世界だ。日資企業はどこでもすべて中国の労働法に準拠している。

国営企業は、脱税や申告漏れは普通のこと、強制的な残業は日常茶飯事だ。
数年前から現在まで、給料不払い現象は珍しくない。給料不払いは何を意味するか?従業員の食い扶持が断たれることを意味する。高級幹部ならまだいいが、普通の従業員や農民の出稼ぎは、給料がなければ食う金もない。

とくに、見知らぬ土地に来たばかりの人ならなすすべがない。

日資企業は非常に計画性があり、いつ何が必要だといえばその時間に届く。合理的な理由さえあれば最もいいものを買う、急ぎの必要があれば空輸する。

国営企業といえば、必要なものがあれば、こちらで同意を得てあちらではんこを捺してもらわなければならない。

しかも日本企業は浪費を嫌う。会社が儲ければ社員旅行や会食をすることはよくあるが、従業員には絶対金を出させない。
損失を出す会社もあるが、みなが努力して赤字をなくせば、社長は奨励金を出す。

国営企業はどうだ?? 
待遇を見てみるに、中国企業はまだ農民の出稼ぎを搾取していると思う。普段から超過勤務を強制するし、ある会社などは週末に休日出勤をしなければ、欠勤扱いにする、これはどういう道理か。

給料: 日資企業の給料は絶対に国営企業よりも高い。しかも日本人は非常に人間的で、超過勤務を決して強制しない。超過勤務しなければならないときは、小声で聞く、明日時間がありますかと。
国営企業はどうだ?? 上ですでに述べた。

日本企業は上役が部下に大変優しい。役職があれば必ず何々班長、何々技術員と呼び、なければ何々さんと呼ぶ。けっして大声で罵らず、怒鳴らない。中国の上役が部下にお辞儀をしているのを見たことがあるだろうか。

中国人が集まれば普通徒党を組む。勘定を払うときは親分風を吹かせる。
私が日本人と一緒に食事をしたとき、勘定のときは非常に礼儀正しく財布を出す。彼らの間ではおごりおごられるということがない。コネと争いがない。

中国人はといえば、人が自分を尊重しなければその人をやっつける。自分が好いといえば好くないものでも好い。


現在中国企業で使っている設備や部品はほとんど日本企業から来ている。多くの技術をはじめ、もし我々が日本製品を排斥すれば、我々の機械はどうやって動かす? 中国の電気製品で何年か使って動かなくなったり壊れたりしなかったものがあるか、ないだろう。

ここまで書いてきて、私の心はとても痛む。
友人が私に言う。中国人は強大にならなければならない。もし中国の製品が日本のものより良ければ、みなが日本製品を排斥すると言う必要がない。もし国営企業が我々を人間扱いするなら、私も日本企業で働いたりしない。

もちろんこの友人の話は極端で、ないものねだりだ。
我々が日貨排斥をするという出発点は間違っていない。ただ対象が間違っているだけだ。





アメリカの上位2%ほどの富裕層にクリントン政権に支払っていた税率
にもどすのを頼むか,それとも国の基盤が崩壊するにまかせるか。


2010年8月10日 火曜日

明かりの消えるアメリカ 8月8日 ポール・クルーグマン

アメリカ中で明かりが消えていっている――文字どおりに.『コロラド・スプリングズ』のヘッドラインには,街灯の3分の1を消して節約にはげむ試みが紹介された.フィラデルフィアからフレズノまで,全米で同じことが行われたり検討されている.

一方で,エリー運河から州連絡高速道路システムまで,かつて先見の明ある輸送機関への投資で世界を驚嘆させたこの国は,いまでは道路をつぶしているありさまだ:多くの州で,地方政府は維持できなくなった舗装道路を砂利道に戻していってる.

そして,かつて教育を重んじた国が――すべての児童に基本教育を与えた最初の国が――いまや教育を切り詰めている.教師たちは解雇され,各種プログラムは取り消されていっている.ハワイでは,学年度そのものが劇的に短縮されつつある.しかも,あらゆる徴候は今後のさらなる削減を示している.

「他にどうしようもないんだ」と聞かされる.基本的な政府機能――過去何世代にもわたって提供されてきた基礎サービス――の費用はもうまかなえないんだ,とね.たしかに,景気後退で傷手を受けた州・地方政府が金欠なのは事実だ.でも,政治家が少なくともいくばくかの増税を検討する気にさえなれば,そう大した金欠ってわけでもない.

それに,インフレから守られた長期国債をほんの1.04%の低利で売れる連邦政府は,ちっとも金穴なんかじゃない.連邦政府は地方政府に援助を提供してぼくらの子どもたちとインフラの未来を守ることができるし,そうすべきだ.

ところがワシントンはほんの申し訳程度の助けしか出してない.それも,しぶしぶにだ.赤字削減を優先しなくちゃならん,と共和党員や「中道」民主党員は言う.ところがその二の句を継いで言い放つ言葉ときたら「富裕層減税は維持すべし」だ.この先10年間にわたって7000億ドルの予算コストでね.

実質的に,われらが政治階級の大多数は,優先順位をはっきりさせてるわけだ:アメリカの上位2%ほどの富裕層にクリントン政権の好況時に支払っていた税率にもどすのを頼むか,それとも国の基盤が崩壊するにまかせるか(道路なら文字どおりの「崩壊」だし教育なら比喩的な意味ので「崩壊」ですな),この2択をつきつけられた彼らは後者を選んでいる.

これは,短期でも長期でも破滅的な選択だ.

短期では,州・地方での削減は経済の脚を大いに引っ張り,とてつもない高失業率を永続化してしまう.

オバマ大統領のもとで浪費的なまでに政府支出がなされてるとかわめく声を聞くときには,州・地方政府のことに留意しなきゃいけない.そりゃまあ,みんなが思うほどでないにせよ,連邦政府はたしかに支出を増やしてる.でも,州・地方政府は支出を削減しているんだよ.両方を足し合わせると,実は大規模な支出増加は失業手当みたいなセーフティネット・プログラムでなされているだけ.これは不況が深刻なせいでコストが急増したから増えてるんだ.

つまり,刺激策は失敗したとさんざん吹聴されてるけど,政府支出全体をみてみれば,刺激策なんてほとんど打たれてないのがわかるんだよ.州・地方政府の削減がつづく一方で連邦政府の支出が尻すぼみになっているいま,支出増加から反転しつつある.

でも,富裕層減税をつづけるのだって財政刺激の一種にはちがいないんでしょー? いや,それはないって.教員の職を守れば,まちがいなく雇用援助になる.そうじゃなく億万長者にもっとお金をあげたってそのお金の大半は死に金になるのがオチだ.

じゃあ,経済の未来はどうなんだろう? 経済成長に関するあらゆる知識は,教育水準の高い人口と高品質インフラが決定的に重要だと告げている.いま台頭しつつある国々は,道路,港湾,そして学校の改良に猛烈に力を注いでいる.ところがアメリカではその逆をやってる.

どうしてこうなった? 反政府のレトリックを30年間もつづけた論理的帰結ってもんだね.なにかっていうと,課税で集まったお金はかならず無駄金で公共部門はなにもちゃんとできないと多くの有権者に信じさせてきたレトリックのことだ.

反政府キャンペーンはいつも決まって無駄遣いと詐欺への反対という体裁をとってきた.キャデラックを転がす「福祉の女王」宛ての小切手だの,むだに書類ばかりつくってる役人の群れだの,そういうのに反対するかたちをとってきた.でも,もちろんこういうのは神話だ.右派が主張するほどの無駄や詐欺なんて控えめにみてもなかった.キャンペーンが功を奏したいまになって,ほんとうは何が攻撃対象だったのかぼくらは目にしている:すごい富裕層以外の誰もにとって必要なサービス,公衆全体のための街灯やほどほどの学校教育みたいな政府が提供しなきゃ誰もやらないサービスが攻撃対象だったんだ.

この長年にわたる反政府キャンペーンでもたらされた結果,それはぼくらが破滅的なまでに道を間違えたってことだ.いまやアメリカは明かりのない暗い砂利道で立ち往生している.



(私のコメント)
株式日記のホ−ムページ版の表紙には累進課税の復活を主張してきましたが、ポール・クルーグマン教授も富裕層に対する減税措置の廃止を主張している。富裕層にいくら減税しても貯蓄に回るだけで景気刺激にはなりません。デフレ傾向になれば富裕層はいっそう貯蓄志向を強めるでしょう。

先日も株式日記では富裕層に貯まっている1500兆円を動かす政策提言をしましたが、富裕層は投資を控えて貯蓄に回しているカネを投資に回させるには累進課税を復活させて、税金で取られるくらいなら投資に回そうという誘導が必要だ。法人税の減税でも今減税しても内部留保になるだけで投資には回らない。

むしろ法人税は増税した方が景気は良くなるだろう。もともと法人税を払っている企業はすくなく69%が赤字企業だ。僅かな黒字企業が法人税を払っている訳ですが、人件費をカットして浮いた利益を役員報酬や株式配当や内部留保にまわしている。正規社員を減らして非正規社員を増やしているわけだから景気が良くなるわけがない。

菅総理大臣は平均賃金が低下しているような状況で消費税増税を強行すれば余計に不景気になって税収は増えない。日本の輸出企業が円高で利益が出ないと言うのは高付加価値のある商品を作っていないと言うことであり、韓国や中国でもできるような商品を作っていては儲かる訳がない。

韓国や中国でもできるような商品を作っている企業が法人税が高いから出て行くというのなら出て行けばいいのであり、そんな企業は海外に出て行っても勝てるわけがない。高付加価値のある商品を作っているところは円が高くなろうが儲け続けているし、任天堂のゲーム機やトヨタのハイブリットカーは生産が間に合わない。

富裕層も同じで所得税が高いから海外に出て行くというのなら出て行かせればいいのであり、金の使い方を知らない金持ちが海外に行っても使わないのだから同じだ。私が金持ちならビルやマンションを買い込んで事業拡大を目指す所ですが、銀行がカネを貸してくれない。今ならビルでも利回りが12%もあるような物件がごろごろしているのですが、日本の金持ちは投資の仕方を知らないから現金で持っている。

投資で成功する秘訣は誰も見向きもしない時に投資してブームが過熱したころに売り抜けることだ。利回りが12%の物件がごろごろしているのに1%以下の銀行預金にしたままと言うのは馬鹿げていますが、銀行の貸しはがしや貸し渋りで投資した人が酷い目に遭って投資はもうこりごりと言った風潮を政府が作ってしまったからだ。

投資が減ってしまった分を国が国債で借り入れをしていますが、1500兆円の金融資産をどのように動かすかがデフレ脱却の近道なのですが、その為には政府が税制で投資へのインセンティブを作り出すことだ。その方が国債発行を減らせる近道だろう。その為にセカンドハウスローン減税を提言してみたのですが、富裕層への課税強化と組み合わせれば1500兆円が動くはずだ。

欧米の投資銀行なども日本の1500兆円の金融資産をいかに取り込むかが課題ですが、投資はこりごりだと現金で持っている人たちを投資に向かわせるのは至難の業だ。だから国が代わって借金して使っていますが多くが公務員への給料に消えてしまった。公務員はこれまた固い人たちだから金を貯めこんで使わない。

1500兆円の金を動かすには飴と鞭で動かさないと無理でしょうが、富裕層への課税強化とセカンドハウス減税で日本全国を別荘ブームを起こせばいいだろう。高速道路も無料化して安い費用で往来が出来れば地方の活性化にもなる。バブルの頃は日本中がゴルフ場開発ブームになりましたが、それだけゴルフをする人が多かった。

ゴルフの会員権も二束三文になり紙切れになってしまいましたが、富裕層が別荘を持ってゴルフ三昧でカネを使ってくれれば日本は再びバブル時代のような活気が戻ってくるはずだ。とにかくバブル潰しの為の税制改正がそのままになっており、不動産への課税が強化されて節税メリットがなくなってしまった。政治家は財務省任せの政治をしているから失われた20年になってしまった。


世界に広がるデフレ 8月9日 経済コラムマガジン

筆者は長年バブルとその後のデフレ経済の関係を取上げてきた。最近になって日本でもデフレ経済と過剰貯蓄の関係を指摘する者がチラホラ出てきた。先日もテレビに登場したエコノミストは「日本には金融機関に眠ったままの資金が300兆円(金額の根拠がはっきりしないが)もある。これが動かない限りデフレは克服できない」と発言していた。

そしてこのエコノミストは「この眠り続ける貯蓄に貯蓄税を課せ」と主張していた。アイディアとしては面白いが、しかし実際にそれが実施されればパニックが起ると考える。これまで筆者は、率直に政府がそれに見合う金額の借金をして、そっくり財政支出をすれば済むと主張してきた。

もし政府が債務を増やすことが問題なら、政府紙幣の発行という方法があり、さらにそれが困難なら国債を日銀が引き受ければ良い。政府やエコノミストは日銀が購入した国債が実質的に国の借金にならないことを国民に説明すれば良いのである。これは先進各国が少しずつ始めている政策であり、貯蓄税なんかよりよほどまともな政策である。

筆者は、バブル期の不動産取引が日本のデフレの原因と指摘してきた。もちろんそれ以外にも過剰貯蓄の要因がある。特に日本人の将来不安に備えた貯蓄が大き過ぎることもその一つである。また政府も異常に大きな公的年金の積立金を持っている。ストを全くしない労働組合でさえ、闘争資金の名目で組合費を集めて多額の預金をしている(おそらく何兆円もあると思われる。組合員に返せば良いのである)。

歴史的に見ても、バブル崩壊後に過剰貯蓄を伴ってデフレ経済に陥ると、各国とも為替の切下げ競争と保護主義に走る。そして場合によっては戦争である。第二次世界大戦にもその要素がある。まず軍事の需要がデフレ経済対策になる。そして戦争で互いの国の過剰生産設備を壊し合うことによってデフレが解消される(生産設備が壊されなかった米国だけは戦後もデフレが続いた)。

しかし人類も少しは賢くなっているはずである。何も戦争をしなくともデフレは克服できる。日本の場合、過剰貯蓄を「はやぶさ」などの宇宙開発や色々な学術研究に使うのも良い。必要な道路も造れば良い。エネルギー自立のために高速増殖炉を建設するのも良い(原子力アレルギーの人は反対するかもしれないが)。公的年金の補填に使うことも考えるべきである。要するに国民が喜ぶことにどんどん使えば良い。

需要がないから、長期金利が1%になっても収益が見込めず民間は投資をしないか、あるいは減価償却の範囲の投資しか行わないのである。経済がこのような状態になった場合には、公的投資と公的消費で総需要を増やす他はない。そして総需要が増えれば、民間の投資もジワリと増えてくるはずである。






アブダビの受注では、「原子炉をつくったことがないのにどうするんだ?」
と聞かれた韓国が、「隣に日本があります」と言って東芝に発注しました。


2010年8月9日 月曜日

元サムスン電子常務・吉川良三氏「サムスン電子の躍進に学ぶ、グローバル市場を見据えたものづくり」 8月4日 日経BP

(要点のみ)
ひとつ目は、新興国の、いわゆる社会インフラを攻めていこうということ。新興国市場におけるテレビや白物家電といった分野では韓国に勝てないし、いずれ韓国も中国に負けるかも知れないという状況にある。それなら新興国ではまだ未整備な点の多い鉄道、ガス、水道、発電といった社会インフラに力を入れていこうということです。日本は社会インフラの整備に関して高い技術を持っていながら、これまではグローバリゼーションのなかでうまくアピールできていなかった。たとえば昨年12月にUAEのアブダビで原子力発電所建設の受注があったことはご存知ですか? 日本勢は圧倒的な技術力で受注できると信じていたのですが、あとから入ってきた韓国に持っていかれてしまった。経産省にはこれがショックでした。「どうしてだ」と。皆さんおわかりですか? 韓国は原子炉なんてつくったこともないんですよ? 使ってはいます。フランス製を15基。でも日本では、東芝、日立などがきちんと自分で原子炉をつくっている。それでも負けたんです。何故かということですよね。これは後でお話ししますが、日本は技術立国として「技術技術」と言っていますが、技術が競争優位になっていないという大きな証拠なんです。日本人は世界に誇る技術をたくさん持っていると思っていますよね。それ自体は正しい。しかし技術が競争優位に繋がっていないし、利益にも繋がっていないんです。

もう「特許だ特許だ」と言っている時代ではないんです。新しいものを出したら公開して、仲間を増やしていくことが重要なんです。政府があれこれ騒いで争わなくとも、仲間を増やすことで皆が日本のつくった規格を守ってくれればデファクトスタンダードになっていきます。たとえば来年から地デジになりますよね。地デジにも規格がありますから、日本の総務省がグローバル化を目指して頑張っていた。ヨーロッパやアジアは相手にしてくれなかったのですが、南米はほとんど取ったんです。8カ国すべて、日本の規格で地デジを放送することになりました。しかしそんなことをやっているうち、規格はとったけれども地デジが映るテレビはぜんぶサムスンに取られてしまった。サムスンとLGはずっと見ていたんですよ。そして日本の地デジが南米を制覇しそうだとみた瞬間、一気呵成に生産していったんです。だから南米ではサムスンやLGのテレビが標準になる。日本が後から行っても、もう勝てないということで、また実をとられてしまった。総務省、NHK、パナソニック、シャープ、東芝、NEC…、彼らが連合になっていけばすべて取れていたんですよ。それを勝手ばらばらにやって国も知らんと言っているわけですから韓国に負ける。これがグローバリゼーションの大きな流れのひとつなんです。

原子力という話が出ましたので、ここで、冒頭でも触れたアブダビの一件についてお話ししましょう。アブダビでの受注は原子炉の技術勝負になったわけではないんです。石油はいずれに枯渇しますから、UAEとしては、今エネルギーを原子力発電に替えたかった。だから原子炉をつくる技術ではなく、稼働率が問題になっていたんです。韓国はフランス製の原子炉を15基保有していますが、その稼働率は90%。日本は55基保有していますが、稼働率は60%未満なんです。なぜかと言うと日本人のトラウマですね。長崎と広島。“原子”とつくと背筋が寒くなってしまう。ちょっとでもトラブルがあったら「反対!」となってしまうんです。そもそも原子爆弾と原子力発電はまったく原理が違うのに、です。日本では二次冷却水を貯蔵するタンクに少しヒビが入って水漏れすると、それだけで大騒ぎになって2〜3年止まってしまいます。でも韓国は水漏れしたってへっちゃらですよ。止めるわけがない。原子炉が爆発したら別ですが(会場笑)。世界中で300〜400基の原子炉があるにも関わらず、過去に爆発で人が死んだ例は2件しかありません。アメリカのスリーマイル島と旧ソ連のチェルノブイリだけ。もの凄く安全なんですよ。だからアブダビの受注では、「原子炉をつくったことがないのにどうするんだ?」と聞かれた韓国が、「隣に日本があります」と言ったら、「おおそうか。日本の技術は大したものだから、じゃあ発注しよう」ということになった。実際、韓国勢は帰国したらすぐ東芝に発注しました。要は運用技術がなかったんです。日本に頼んでも、何か起きたらすぐ止められると思ってしまう。それでは彼らも困ります。これは技術が競争優位になっていないという証拠なんですね。技術を競争優位に変えるためにはシステムとして戦わないといけません。韓国は韓国電力一社が前に出てきて戦いましたが、日本は、北海道電力、東京電力、関西電力…、7社がばらばらに動いていた。それをひとつにして売っていかないとだめだということです。

吉川:意思決定については、恐らく皆さんも「財閥で会長だからもの凄いトップダウンなんじゃないか」と思っておられるのではないでしょうか。でも実はそうでもないんです。まず、サムスンは地域専門家制度をはじめたときに5つの本社を置くという方針を立てました。韓国だけではだめだから、アジア本社、ヨーロッパ本社、北米本社、日本本社をつくり、それぞれの本社に決定権を持たせたんです。また、私は日本の三現主義と異なる“新三現主義”と言っていますが、サムスンでは「現地・現材・現人」が基本です。現地では製造だけではなくR&Dも行い、現地で材料を調達し、現地の人々を雇用する。すると、たとえばインドでは冷蔵庫に鍵が欲しいということになるのですが、そのスペックはインド人が考えていくようになるんです。そんな風にして、すぐに製品へフィードバックする仕組みをつくっていたのですね。それからEVについてですが、サムスンは会長がエンジン車で悔しい思いをした瞬間から、実は電気自動車に入り込んでいます。もうエンジンはいいと。実際にはCT&Tというベンチャーを使って電気自動車やっています。現在、EVでトップは中国のDYDですね。それから韓国のCT&T、シリコンバレーのベンチャー企業テスラと続き、日本は4番手です。下手をすると日本のEVは負ける可能性があるかも知れません。もう考え方がまったく違いますから。日本人はリチウム電池を研究して300キロ走らせようとしますが、これは東京と熱海を往復できるという基準なんです。でも、このあいだ日産副社長の山下光彦さんに聞いたのですが、DYDはすでに302キロ走るEVをつくっているというんですよ。で、「ウソだろ!」と思って行ってみたら3トンぐらいの自動車で、そのうちの2トンが電池だった(笑)。ただ、日本ならそれは自動車じゃないと言いますが、実際に乗ったら熱海に行って帰ってくることができてしまう。だから売れるんですよ。そのようにして、彼らはまず売って、その後から少しずつ小さくしていくという発想なんです。でも日本は小さくなるまで出さない。何かこう…、消費者の望んでいる目的を見失っていますよね。「電池を小さくして、できるだけ走行距離を伸ばし、さらに値段が安くなるまで待とう」なんて言っているあいだに市場を奪われてしまう。たしかにリチウム電池は日本の技術が最高ですし、EVでは特に重要なパワー半導体分野を日本が圧倒的に押さえていますから、強みは大いにあります。しかし企業単体でやっているとこれまでと同じように持ってかれてしまう。やはり今日お話ししたように、国家プロジェクトとしてやっていく姿勢が大事だと個人的には思いますね。

吉川:アキレス腱はいっぱいありますよ。ひとつは要素技術にあまりお金をつぎ込まないこと。今、サムスンが勝っているのは金と度胸でやっているものばかりでしょ? でもこれは負けることもあって、現に液晶テレビはほぼ撤退に追い込まれています。現場のほうでサムスンは4位か5位ですよね。サンドイッチ現象が起こっていますから。だから現在は中国で売れている電子デバイスや装置に方向転換をしているんです。積層コンデンサもばんばんやるし、半導体製造装置もやるし、フォトレジストにも手を出す。たしかにこの方向転換は脅威ではありますが、こういった分野だけはかなりの基礎技術が必要です。日本は基礎技術や要素技術が強いのだから、やはりその点を意識して“持っていかれないように”すること。日本はガードが甘い。人ごと持って行かれますよね。だから先日、御社の専務にもお話ししておきましたよ。「ガードが甘いから堅くしろ」って(笑)。



(私のコメント)
グローバル化の良い面を生かしているのが韓国メーカーであり、日本の技術者を厚遇で引き抜いている。日本の家電メーカーは経営難で多くに技術者を冷遇していますが韓国メーカーが引き抜いてサムスンなどには数百人の日本人技術者が働いている。ならば日本企業ごと買収してしまえということに将来なるかもしれない。

日本で開発されたものが、すぐに韓国や中国で作られるのも日本人技術者の引き抜きがあるからであり、特許でガードしようが管理を厳重にしても引き抜きでみんな機密が漏れてしまう。韓国企業が得意とする分野が日本とダブルのはその為であり、韓国企業は日本企業の影のようなものだ。しかしやがて影がより大きくなればサムスンがソニーを買収する事もありうる。

現在のアメリカは日本企業を目の仇にしており、トヨタを始めとして集団訴訟などで吊るし上げにあっている。それを回避する為に韓国や中国が影になって製品を作らせてアメリカに輸出しているという日本の戦略でもあるのだろう。アメリカにしても韓国や中国を叩くわけには行かないからだ。つまり韓国や中国は日本の影であり別働隊のようなものだ。

日本の技術が韓国や中国に流れるのは技術者の人的引き抜きがある限り防ぐ事ができない。日本で再就職しても300万か400万にしかならなくても韓国や中国でなら500万から700万円で引き抜かれれば防ぎようが無い。トータルで見れば日本の部品が韓国や中国に輸出されて日本の利益になる。

地政学的に見れば、日本、韓国、中国、台湾と一つの文化圏を形成しているのであり、アメリカは日中の結びつきが大きくなるのを恐れている。目に見えないところで日中の人的交流が進んでおり、ヨーロッパのEUのような共同体が出来ていくのではないだろうか? 戦前においては朝鮮半島や台湾は日本の領土であり中国の東北部も日本の一部のようなものだった。

だからアメリカは日本が強大化しないように分断化しましたが、極東アジア一帯が世界の中心になる事も考えられる。そうなる事を恐れてアメリカは日中の分断工作をしているのであり、中国や韓国の反日運動の背後にはアメリカの国務省がある。日本の民主党政権が出来てアジアよりの外交政策を打ち出したことでアメリカはG2戦略を棄てて中国との対決姿勢に転じてきた。その狙いは日中の分断だ。

日本の戦略としては、中国全土が民主化されることは無理だろう。しかし上海や大連や香港などは民主化して独立する事が可能だ。いずれも日本が一時的に支配した地域であり、中国がいくつかに分裂して極東の共同体として形成される事があるかもしれない。その障害となるのが在日米軍の存在であり、その為に日本は孤立化させられている。

わが国が80年代に“世界の工場”として君臨していた当時、韓国企業にあまりにも気前よく技術やノウハウを教示し過ぎたことを指している。 3月16日 株式日記


(本日の私のコメント)
今年上半期(1〜6月)の国際収支が前年同期比47・3%増の8兆5262億円の黒字となったニュースがありましたが、アジア向けなどの輸出が拡大した為だ。90年代まではアメリカが第一の輸出市場でしたが00年代半ばには中国向けの輸出入額がアメリカを上回るようになりました。アジアが豊かになれば日本の利益でもある事は明らかだ。

元サムスン電子の吉川氏の話によれば、サムスンはいち早くグローバル化戦略をとって5つの本社体制で「現地現在材現人」の地域化を進めて現地に合う商品作りで成功している。それに対して日本のメーカーは日本の本社が決めないと何も進まない仕組みであり、トヨタにしてもアメリカでの欠陥車があってもいちいち本社に報告して決める仕組みだった。

それくらいサムスンは輸出市場開拓に全力で向かっているのですが、日本企業は円高や貿易黒字などで慢心してしまって、いつの間にかサムスンに日本企業が束になっても勝てないほどに成っている。家電製品ばかりでなく原子力発電所もアブダビで韓国企業が受注に成功するなど世界を驚かせている。

しかし内容を良く見て見れば韓国は原子炉を作ってはいないし東芝に主要部は発注しなければならない。フランスのアレバに持っていかれるかより良いだろう。サムスンや現代などは基礎的な研究は日本に頼っている訳であり、中国などもパクリ商品で海外進出している。日本が経常黒字なのも韓国や中国企業に負けていると言うよりも、裏では着実に稼いでいる。

何事もひとり勝ちなのは良くないことであり利益を独占すれば周囲からの反発を招いて繁栄は長続きしない。デジタル技術にしても南米を中心に日本の方式が取り入れられていますが、技術を積極的に公開して世界標準を取りに行く為には韓国や中国などの協力が必要だ。日本メーカーは特許を取って囲い込んでしまってはガラパゴス化してしまいますが、世界標準を取れば利益は世界的なスケールで得ることが出来るようになる。

武田信玄の名言には「いくさというものは、六、七分の勝利で十分である。八分の勝利は危うし。九分、十分の勝利は、味方の大負けの下作りなり。」と言う言葉がありますが、80年代の日本はひとり勝ちして世界からジャパンバッシングを受ける事になった。だから日本の技術をアジアにおすそ分けをして地域全体で経済発展すれば叩かれずにすむ事になる。

韓国の企業の積極的な世界展開も摩擦を防ぐ為であり、サムスンやLGはもはや韓国企業とは言えないのであり、企業が栄えても国民はその恩恵が得られないのは日本と似ている。EV用の電池にしてもLGはアメリカに工場を作りましたが、日本は国内で技術開発を優先している。これなども世界標準の問題などがあり、日本だけの技術独占は日本たたきの元になる。

ある程度の技術公開はして世界標準が取れれば中核になる技術で大きな利益が得られる。原子力発電所の技術も同じであり中核の技術はアメリカや日本が持っている。武田信玄のような戦国の覇者となるためには勝ちすぎることは驕りを生んで恨みをかう事になる。日本の技術が人を通じて韓国や中国に漏れるのは防ぎようがない事ですが、世界標準化のためと割り切ることも大切だ。

造船技術も韓国や中国にお株を奪われましたが、大型船舶用のジーゼルエンジンは日本とヨーロッパの三つのメーカーしか作ってはいない。韓国で作っているジーゼルエンジンはライセンス生産なのだ。EV車やハイブリットカーの技術も公開してパソコンのウィンドウズのように世界標準化すれば中核技術で利益を独占できる。




ウソとは言わないまでも、明らかに偏った超悲観シナリオで、ましてや
日本のような先進国で食糧不足が起こるようなことはあり得ない。


2010年8月8日 日曜日

小麦先物相場、2年ぶり高値 異常気象で投機買い膨らむ 8月6日 朝日新聞

世界的な異常気象の影響で小麦などの先物価格が上昇している。ロシア政府が干ばつ被害を理由に小麦輸出の一時停止を決めたことを受け、小麦相場は約2年ぶりの高値水準に。大豆やトウモロコシ、コーヒー、ココアも上昇しており、将来的にはパンやめん類などの消費者価格の値上がりにつながる可能性もある。

 シカゴ商品取引所では5日、小麦取引の国際指標となる先物価格が値幅制限いっぱいの前日比0.6ドル(8.3%)高の1ブッシェル(約27キロ)=約7.85ドルで引けた。最近2カ月で約2倍の上昇ぶりだ。

 日本の小麦輸入量(食糧用)は年間約480万トン。6割が米国で残りの4割がカナダと豪州だ。「ロシアから輸入しているエジプトなどの中近東諸国が米国にシフトする」(大手商社)との見方もあり、米国産小麦の価格も値上がりする恐れがある。

 背景には、収穫減を見込んで投機筋が買いに入っていることがある。他の商品も同じ構図で、大手商社によるとたとえばコーヒーは、ニューヨークの先物市場で1年前より約6割高の水準だ。いずれ現物価格も上がれば、家計を直撃しかねない。

 ただ、今のところ、国内の企業は冷静な見方だ。

 小麦の場合、輸入は政府が管理しており、年に2回、輸入価格をもとに製粉会社への売り渡し価格を決める。3〜8月の価格を反映させる次の改定は10月。7月までの価格が低水準のため、製粉業界や商社は「急激な上昇はない」との見方が多い。兼松の下嶋政幸社長は「米国では小麦が豊作。投機マネーでしばらくは上昇傾向が続くかもしれないが、秋口ごろには戻ってくるかも」と話す。

 パン最大手の山崎製パンは、2007〜08年の小麦の高騰時に値上げに踏み切ったが、「今回は当面値上げはないと考えている」。仮に政府が価格を引き上げても、消費者の低価格志向が強いため、「デフレの中で商品への価格転嫁は難しい」(第一屋製パン)との声もある。



食糧危機のウソ@  1月5日 世界平和への旅

世の中には色んなウソがまかり通っている。ウソは大きければ、大きいほどばれにくいというは本当だ。気候変動やエネルギー枯渇など疑わしいものはたくさんあるが、今回は食糧危機のウソに焦点を当てる。

『「食糧危機」をあおってはいけない』(川島博之、2009年、文藝春秋)を読んだ。2007年から始まった食糧価格高騰は、サブプライム・ローンなどで余った金融資金が穀物市場に流入したために起こったもので、世界の穀物需給が逼迫したためではないと説いており、食糧危機のウソを一つ一つ暴いている。

そもそも食糧危機説は、ローマ・クラブという民間組織から委託を受けたMITプロジェクトチームが『成長の限界』という本を1972年に出版した時に始まったものだ。『成長の限界』では、「世界の経済成長や人口増加は地球資源の制約によってやがて限界に達する」「世界人口の幾何級数的増加に対して、食糧生産力は比例的にしか増加せず、工業化・都市化により農地も縮小していく」と結論付けている。1973年に第一次石油ショックが起き、原油価格と食糧価格が高騰したこともあり、『成長の限界』は世界中に知れ渡ることとなった。

第二のエポックは、アメリカの環境学者(ジャーナリスト?)レスター・ブラウンが『だれが中国を養うのか?』を1995年に出版した時だ。ブラウンは、急速に進む中国の工業化を分析しながら、耕地面積の縮小(工業化、砂漠化)と食生活の変化(肉食の増加)により、中国が一大穀物輸入国になり、世界の穀物を食い尽すと警告を鳴らした。

そして2007年から始まった食糧価格高騰は、「バイオ燃料の増産で穀物が足りなくなる」、というものだったが、1年ほどで穀物価格も落ち着き、いつも通り食糧危機は回避された。

誤解がないように言っておくと、本書では「世界全体でみると、食糧の需要過多は将来に渡って起こらない可能性が非常に高い」と言っているだけで、食糧支援は必要ないとか、飢餓が地球上からなくなる、と言っているわけではない。サハラ以南のアフリカでは紛争や貧困のために今後も食糧不足が続くだろうし、アジアの食糧輸出国の中にも政治的・構造的理由で、食糧支援が必要な人たちはいる。ただ、「人口増加に食糧生産が追いつかない」、というのは危機を煽るための方便で、よくよく検証していくとウソとは言わないまでも、明らかに偏った超悲観シナリオで、ましてや日本のような先進国で食糧不足が起こるようなことはあり得ない、ということを述べているに過ぎない。

細かな検証作業は次回以降書くとして、じゃあ何故そんなウソをつく必要があるのか、誰が得をしているのか、ということを考えてみたい。本書では、そこまで突っ込んでいないので、ここからはあくまで私的な考察だ。

まずパッと思いつくのは、アメリカなどの穀物メジャーだろう。石油価格が高騰すれば、石油関連会社が儲かるように、食糧価格が高騰すれば仲介の穀物メジャーに莫大な富が入り込む。途上国の農民の中から前回の食糧価格高騰で、ぼろ儲けしたという話はあまり聞かない。

次に考えられるのは、食糧輸出国、すなわち北米、ヨーロッパ、オーストラリアなどの先進国だ。これら先進国には日本の休耕田のような休耕地がたくさんあり、北米や旧ソ連、オーストラリアなどでは、農地の半分以上が休耕地で生産余力があるので、価格が高騰すれば、当然これら休耕地で生産を開始する。結果、政府は休耕地への農業補助金も削減できる。

そして最後に、世界を支配しようとする人々だ。昨今、総合安全保障という言葉がよく聞かれるようになったが、兵器やエネルギーと並んで、「食糧」は人間が生きていくのに欠かせない、安全保障上の主要な戦略物資の一つだからだ。食糧の価格と供給網を抑えている人々が世界を支配できると言っても過言ではない。

「食糧問題=農業問題」と考えている人もいるかもしれないが、食糧は、市場、貿易、流通網、バイオ技術など様々な要素の絡んだ、非常に政治的な物資である。人間が食糧を必要とする限り、それを支配の道具にしようとする人々、危機を煽って利益を得ようとする人々は後を絶たないだろう。

大きなウソを見破るためには、マスメディアのトレンドに乗らないこと、地道な専門家の意見に耳を傾けること、そして、経験で培った自分の常識と思考を信じることだろう。


(私のコメント)
農業においても先進工業国ほど食料生産力があり、小麦や米なども工業製品と同じように資本と技術力のある国が主導権を持っている。途上国の農業は灌漑や肥料なども不十分だから収穫に波があり天候によって左右されてしまう。日本の米が余るようになって来たのも需要が減ったせいもありますが、天候に左右されずに収穫できるようになったからだ。冷害の時は別ですが旱魃や日照りの被害はあまり聞かない。

だからロシアの農業被害も異常高温のせいですが、灌漑設備があまり整っていないのだろう。ロシアの異常高温は6月から始まっており草原が異常乾燥して自然発火などでモスクワなどではスモッグでヨーロッパからの渡航制限が出るほどになっている。

異常高温と乾燥による森林火災は防ぎようがありませんが、ロシアの田畑は非常に広大であるにもかかわらず天候まかせの農業であり、ロシア革命などの背景にも旱魃などによる飢饉などがある。灌漑をしようにも河川の水量も限られるし、アラル海消滅に見られるように河川から水を引くと湖が無くなってしまう。中国なども同じような問題に見舞われている。

このためにロシアは90年代は食料をヨーロッパから輸入していたほどであり、ロシアは広大な田畑があっても輸出するほどの農作物は中東に小麦を輸出する程度で収穫量は多くない。それに対してヨーロッパやアメリカなどでも異常高温や旱魃などでギリシヤやアメリカなどでも森林火災がよく起きますが、小麦が不作になると言う事はあまり聞かない。

農業においては耕地面積の広さよりも水量の豊富さのほうが問題になる。耕地面積がいくら広くても雨が降らずに河川もなければ農作物は育たない。日本の場合は耕地面積は非常に狭いが水量が豊富で灌漑設備も整っているから異常高温や旱魃があっても米が不作になる事はあまりない。むしろ夏はカンカン照りになるくらい晴れた方が豊作になる。

北米やヨーロッパが生産調整しなければならないほど農作物が取れるのに、広大な耕地を持つロシアが食料飢饉が起きるのは途上国型の農業であるからであり、コルホーズやソホーズなどの近代的農業はプロパガンダに過ぎない。不作の時はヨーロッパから輸入するほどなのは農業が近代化されていないためだ。

金額から見れば日本は農業大国である事は先日も書きましたが、耕地が広くなければ多くの食糧生産ができないと言うのは神話なのだ。農業も一種の装置産業であり田畑が広ければ沢山の作物が出来る訳ではない。農作物を作るには水や肥料や除草などによって収穫を増やす事ができる。

それに対して途上国型の農業は、タネをまいて後は天候任せの農業であり、ロシアのように旱魃や高温で小麦は枯れてしまう。日本では7月から8月に欠けては雨らしい雨も降らずに山火事なども出ますが、旱魃で米が不作になった事はあまりない。むしろ冷害のほうが手のうちようがない。

現代の農業は機械化が進んで農作物も工場生産されるように作られる様になった。小麦や大豆やトウモロコシも品種改良して収穫を増やす事ができれば日本でも米のように余るほどできるはずだ。アメリカなどでは遺伝子組み換えで作るようになりましたが、旱魃に強い品種や病虫害に強い品種などで生産している。

方法を変えればトウモロコシや大豆なども一つの苗から大量に実を実らせる事ができるはずであり、そうなれば耕地面積の広さよりも水や肥料などを十分に与えて管理すれば日本などでも十分大量生産は可能なはずだ。日本が食料自給率40%と言う神話も農業予算がらみで作り出された数字であり、日本が農業大国になる事は可能だ。

問題なのは酪農などの家畜に飼育に大量の飼料が必要だから日本は大量の食糧輸入国になってしまっている。宮崎県の口蹄疫などで日本で大量の牛や豚が飼育されている事が分かりましたが、生活が向上すればそれだけ肉を食べる事になり、多くの食物が飼料用に消費されてしまう。

もし中国やインドが経済が拡大して生活レベルが向上すれば肉を大量に食べるようになって家畜用の飼料の生産は間に合わなくなるだろう。ロシアなども飼料用穀物を確保する事が出来ずにスーパーの棚から食肉が消えた事は記憶に新しい。ソ連の末期には農村地帯には大量のジャガイモが山づみにされて腐っているのにモスクワに店頭は空っぽであることがありましたが、ロシアとはそういう国なのだ。

アメリカやヨーロッパは政府からの農業補助があって農業振興が行なわれて生産の合理化が進んでヨーロッパも以前は食糧輸入国だったのに今では輸出国になっている。日本も適切な農業振興策が行なわれていれば輸出できるほどになるだろう。現に埼玉県ほどの面積の田畑が減反政策で放置されている。しかし今回の民主党の戸別所得補償制度はヨーロッパの制度とはかなり違うものであり、輸出産業として農業を育成して行くべきだ。

BRICsと言う言葉があるようにロシアは産業に関しては中国、インド、ブラジル並みの国家であり、少しの旱魃や高温被害で小麦の生産は落ち込んでしまう。だからプーチン首相が小麦の輸出を停止させたところで食糧危機が来るわけではない。元々は輸入国だったくらいだからだ。




直近のフードスタンプの受給者数も調べてみました。現在も受給者数の
記録は伸び続けていて、5月は4,080万人の受給者数となっています。


2010年8月7日 土曜日

【失業率】、9.5%と横ばい!生活保護者4,080万人の買物先はダラーゼネラルの9,000店? 8月7日 後藤文俊

労働省が6日発表した7月の雇用統計で、失業率は予想の9.6%を下回る9.5%と前月と横ばいだった。景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数(季節調整済み)は、前月に比べ13.1万人の減少と、2ヶ月連続のマイナスとなった。国勢調査用の臨時スタッフ14.3万人の減少が主因とされている。注目されている民間部門の就業者数は7.1万人の増加と、予想の8.3万人より悪い数字となった。また、6月の非農業部門の就業者数は当初の12.5万人減から22.1万人減へ大幅に下方修正された。さらに6月の民間部門も当初の8.3万人増から3.1万人増と大幅に下方修正された。

 就業者数を業種別にみると、製造業は前月に比べて3.6万人の増加となり、前月に比べてプラス幅が増大した。一方で、建設業は1.1万人の減少で、金融業も1.7万人の減少となり、依然として住宅や金融で雇用が改善していない状況だ。

 雇用市場は政府による景気刺激策で一時的に回復を見せたものの、施策が終了するとともに回復の弾みが弱くなってきている。

*トップ画像:2000年(1月)からの失業率と就業者数増減の推移グラフ。2ヶ月連続で就業者数が再びマイナスとなった。7月の失業率は、求職者数が減ったことで、予想(9.6%)を下回る9.5%と前月と横ばいだ。職探しを再び始める人が増えれば、失業率は向こう数ヶ月間は上昇し、その後は低下すると見られている。企業が採用に慎重だと予想された動きは先送りとなり回復はさらに遅くなる。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。予想通りというか、7月の雇用統計では、失業率の高止まりに就業者数の連続マイナスとかんばしくない数字がでています。なかでも6月の非農業部門の就業者数はマイナス12.5万人からマイナス22.1万人と大幅に下方修正されています。9.6万人ですから約10万人の修正!です。マイナスの大半が国勢調査用の臨時スタッフをレイオフしたものですから、大きな修正にはならないと思うのですがねぇ。で、民間セクターの就業者数も6月は当初の8.3万人から3.1万人に大幅に下方修正されました。5月は3.3万人から5.1万人に上方修正されています。毎月15万人程度の増加がありませんから、雇用の回復の足取りは遅いといわざる得ません。で、職探しをあきらめた人は、最終的には国にお世話になると思うのですが、直近のフードスタンプの受給者数も調べてみました。現在も受給者数の記録は伸び続けていて、5月は4,080万人の受給者数となっています。

フードスタンプ受給者数推移グラフ。受給者数の記録は伸び続け、5月は4,080万人となっている。昨年に比べて増加幅が小さくなっているのがせめてもの救いだ。

アメリカの人口を3億人とすると受給者の割合は人口の13.6%に達しています。で、グッドニュースとしては、毎日2万人の割合で増えていた昨年に比べ、今年は増加ペースは鈍化しています。それでも今年は一ヶ月当たり平均で36万人の増加となっています。で、フードスタンプ受給者の多くが買い物する先は、ダラーストアです。ダラーストアのダラーゼネラルは7月31日に9,000店舗目をオープンしました。すべて直営です。フランチャイズを除くとアメリカ小売業の中では最多の店舗数です。2010年1月末での店舗数は8,828店舗でした。つまり半年間で180店近く増やしたのです。決算を見ると第1四半期(2月〜4月)は既存店ベースが6.7%増と相変わらず好調です。ダラーゼネラルは35州に展開していますから、まだ成長の余地は十分あるといえますね。2010年は600店をオープン予定ですから、1ヶ月50店のペースです。加速や減速しなければ、ダラーゼネラル1万店舗目は2012年の3月頃になりますね。

 ところで、5月末、シカゴ市内に2店舗目のオープンを許されたウォルマートですが、3店舗目も速攻で承認されました。雇用の回復が遅いことが幸いし、ウォルマートの出店に弾みがついています。反面、お客はウォルマートからダラーゼネラルなどのに流出しやすいともいえます。


アメリカの失業者 8月3日 文弱の徒

NewYorkTimesで失業者のドキュメンタリーが2つあったので読んでみた時の覚え書き。

いまのところ、アメリカでは失業手当が99週間後に打ち切られる。
手当が切れたら、知人や家族にお金をもらって生きるしかなくなる。
失業手当を打ち切られた人は99erとか呼ばれている。
失業手当の給付期間が延長される向きはいまのところなさげ。
ドキュメンタリーに登場するのは2人とも、中年以降の、比較的低学歴の、独身女性。
所得を上げるために高い学歴を得ようとしたが、学費で借金がかさんでいくのが怖くなって挫折した。
失業手当を貰っていても、車社会のアメリカではガソリン代がどうしてもかかる。あと、携帯代も。それに家賃を加えると、あまり手元にはのこらない。
ローンが払えないせいで車を差し押さえられることを恐れている。
失業手当でまかなえる家賃の家は、トレーラーハウス。
家賃を滞納して追い出されたが、モーテルぐらいしか行くところがない。
ミールクーポンは自治体にもらえるが、引っ越したら申請し直さなければならない。
こういう状況で、ネット経由で孤独に職探しを続けること自体がものすごいストレスであることが伝わってくる記事である。



(私のコメント)
アメリカの失業率が9,5%だそうですが、フードスタンプの受給者は4000万人を越えるそうです。失業はしていなくてもパートの仕事しかなくて収入が低くてフードスタンプをもらっている人を含めると13,6%にもなるそうです。冒頭のグラフでも分かるように毎月着実に増え続けています。最近伸び率が減って来ているのは景気対策の影響でしょう。

日本の失業率は5%ほどですが、日本の失業率は職探しを諦めてしまった人は統計に入っていない。だから引きこもりの人やニートは失業統計には含まれてはいない。おそらく日本も欧米並みの10%近い数字なのでしょうが、日本の役所が発表する数字は高齢者の生存確認などがいいかげんだったようにあてにはならない。

しかしアメリカのフードスタンプ受給者が4000万人もいると言う事は驚くべき事ですが、政府が景気対策を打っても毎月のように数が増えている。アメリカでは99週間失業手当がもらえると言う事ですが約二年間だ。リーマンショックが二年前だから失業手当も切れてくる時期だ。

アメリカでは車がないと生活が出来ませんがガソリン代もかかる。失業手当が切れれば車も持てないしガソリンも買うことが出来ないから、都会の貧民街でフードスタンプだけで生活しなければならない。アメリカはバブル景気で都会の治安も良くなって来たと言う事ですが、再び治安も悪化してくるだろう。

失業していなくてもアメリカの家計も借金返済を最優先にして消費が減って来ていますが、フードスタンプで食品を売っている店だけが店舗を増やしている。日本にはこのようなフードスタンプの制度がありませんが生活保護のようなものだろうか? 後藤氏の記事では製造業が増えて建設業や金融業が減って来ている。

日本でもバブルの頃は建設業や金融業が羽振りが良くて製造業は円高などで空洞化が進んでいた。アメリカは金融立国を経済戦略としてきたから製造業は切り捨てられてきた。アップルのアイパッドやアイホーンなどは中国で作られており、アップル社の景気が良くてもアメリカ国内の雇用はなかなか増えない。

特に金融業で失業した人は他に転職するにしても建設業や製造業に転職するのは難しいだろう。オバマ政権では製造業を中国などから引き戻そうとしていますが、自動車や家電産業は戻っては来ないだろう。下請けとなる部品製造業などの会社もなくなり、製造ノウハウも失われてしまっているから難しい。

日本の製造業も下請け会社を切って工場などを中国やアジアに移転させていますが、アメリカの二の舞いになるのだろうか? アメリカも日本のように景気対策で公共事業などで失業対策をしていますが、国の借金が日本のように増えていくだろう。つまりアメリカも日本病にかかるのではないかと言う人が増えてきた。

アメリカも日本病にかかれば大統領に批判が集まりますが、首相は毎年のように変えることができますが大統領はいったん選んだら4年間は代える事ができない。どうしてもこの大統領はダメだとなればケネディーのように暗殺するしかない。オバマ大統領も暗殺されると言う噂もありますが、日本病にかかると政治家は受難の時代となる。




先週の欧米・東南アジアの新聞は、「米対中政策の転換」「ベトナムの
大勝利」などと大騒ぎだった。例によって日本のマスコミは報道せず。


2010年8月6日 金曜日

米、黄海に空母派遣へ 韓国との合同演習 中国の反発必至 8月6日 産経新聞

【ワシントン=犬塚陽介】米国防総省のモレル報道官は5日の記者会見で、韓国哨戒艦撃沈事件を受けた米韓合同軍事演習の一環として、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を黄海に派遣する計画を明らかにした。具体的な時期については明言を避けたが、米空母による近海での演習に中国が反発を強めるのは必至だ。

 モレル報道官は会見で、米韓両軍が黄海や日本海での新たな演習を計画しており、「空母ジョージ・ワシントンが黄海で演習する」と語った。

 米韓両軍は7月25日から合同演習の第1弾となる「不屈の意志」を実施。当初はジョージ・ワシントンを黄海に配置する予定だったが、「近海への外国艦船の進入は中国の安全を脅かす」と反発する中国に配慮し、最終的には日本海側に展開していた。

 ただ、米国側は当初から「演習は韓国沖で実施されるのであり、中国沖ではない」(ゲーツ国防長官)との姿勢で一貫しており、公海上に空母を展開することに法的問題はないとの見解を示していた。

 演習は潜水艦を想定した訓練などが中心で、断続的に数カ月にわたって続く。両軍の軍事プレゼンスをみせつけることで北朝鮮を牽制(けんせい)する狙いがある。

 また、モレル報道官は合同演習が防衛目的であることを強調し、報復行為に言及する北朝鮮の猛反発には「理由がない」と述べた。



大失態演じた中国外交、米中対立どこまで 8月6日 宮家邦彦

7月23日、ハノイで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)でクリントン国務長官が、南シナ海領有に関する中国側の主張を完膚なきまで論破したからだ。

 先週の欧米・東南アジアの新聞は、「米対中政策の転換」「ベトナムの大勝利」などと大騒ぎだった。ところが、例によって日本のマスコミは、一部を除き、ARFでも北朝鮮関連報道にしか関心を示さない。実に情けない話ではないか。

 今回は「また海の話か」と叱られるのを覚悟で、南シナ海の話を書かせていただく。今やこの問題は米中海軍のレベルを超え、米中両国間の戦略的対立に発展しつつある可能性があるからだ。まずは事実関係のおさらいから始めよう。

国務長官の爆弾発言

 クリントン米国務長官は7月23日、ARF会合後の記者会見で、米側の発言内容につき概ね次のとおり述べた。ちょっと長いが、内容は極めて重要なので、そのポイントを要約してみたい。

(1)他国と同様、南シナ海における航行の自由、アジア共通海域へのアクセスと国際法の尊重は米国にとっても国益である。

(2)米国は強制ではなく、協力的外交による領土問題解決を支持し、いかなる武力の行使・威嚇にも反対する。

(3)米国は中立的立場を守るが、南シナ海での領有権などの主張は国連海洋法条約に基づくべきだと考える。

(4)米国は2002年のASEAN・中国による「行動宣言」を支持し、関係国が新たな「行動規範」に合意するよう慫慂(しょうよう)するとともに、同宣言に従ったイニシアティブと信頼醸成措置を促進する用意がある


 内容的には伝統的な米海洋政策を踏襲したもので、特に新味はない。しかし、これほど明確かつ強硬な米国による対中警告も、最近では例がない。筆者の旧友でもあるワシントン・ポスト紙ポンフレット記者は早速、「米国の対中姿勢硬化」と題する記事を書いている。

 これまでの例から見て、その内容は米国政府関係者からの対中メッセージであると考えて間違いなかろう。筆者の知る限り、ワシントンでこの種の記事が「偶然に」、または記者個人の「推測」で書かれる可能性はほとんどないからである。

衝撃を受けた中国

 ARF会合では、南シナ海問題についてベトナムが口火を切り、米国を含む12カ国が中国の動きに懸念を表明した。特に、クリントン長官の発言を聞いた中国の楊潔?外相は衝撃を受けたに違いない。

 同外相は激怒し、直ちに退席したという。1時間後、ようやく戻ってきた楊外相は中国側の立場を長々と説明しながら、ベトナムやシンガポールの外相を横目で睨みつけていたそうだ。

 いかにも中国らしい「大人らしからぬ」言動ではあるが、それほど大きなショックだったのだろう。それはさておき、中国側は7月23日と26日に米側発言に対する強烈な反論を詳しく公表している。概要は次の通りだ。

(1)米側は中国側の事前の忠告を無視して、南シナ海の問題を会合で取り上げた。

(2)米側発言は中国に対する攻撃であり、「南シナ海情勢は深く憂慮すべきもの」といった事実とは異なるイメージを国際社会に与えるものである。

(3)南シナ海において平和は維持されており、ASEAN加盟の各国も脅威は存在しないと言っている。強制力を使っているのは、むしろ中国以外の国である。

(4)中国とASEANは南シナ海に関する「行動宣言」に合意しており、米国は2国間協議で解決すべき領土問題を国際化すべきではない


中国側の怒りの理由は、米国が言うことを聞かなかったからではない。楊外相個人の「面子」が潰れたからでもない。過去10年間中国が営々と築き上げてきた対ASEAN外交が根底から崩れ始めたことを、一瞬にして悟ったからである。(後略)


(私のコメント)
最近のアメリカの中国に対する融和と譲歩の姿勢に対して懸念していましたが、オバマ大統領の米中G2発言は日米関係を根底から覆すものだった。米中で21世紀の世界を作っていこうという発言は欧州や東南アジア諸国まで敵に回しかねない発言であり、日本では衆議院選挙で自民党が大敗して民主党政権が誕生した。

それくらい最近の米中関係は日本に対して大きな影響を与えるものですが、米中が接近すればするほど日本はアメリカとの距離を調整しなければならなくなる。これは脅しではなく鳩山内閣は沖縄の普天間問題で米海兵隊基地を国外移設を求めるほどになった。アメリカ政府は日本の突然の態度変更に驚いたのではないだろうか?

もし沖縄の海兵隊基地のグアム移転に成功すれば、その他の在日米軍基地も返還運動が巻き起こって全面撤退まで考えられる。米中が接近すればするほど在日米軍基地の存在意義は無くなり返還運動が起きてもおかしくはない。台湾にしてもアメリカに見捨てられた存在となり平和裏に中国に併合されるのは時間の問題となりつつあった。

そのような時に韓国の哨戒艦沈没事件が起きたわけですが、北朝鮮のプロパガンダ機関は盛んに自作自演説を宣伝していますが、田中宇氏や副島隆彦氏などが米原潜によるものとか座礁事故説などを振りまいていますが、哨戒艦の残骸を見れば魚雷か機雷などによって真っ二つにされたことは明らかだ。

私は北朝鮮の魚雷説をとりますが、あるいは中国が北朝鮮に命じてやらせたのかもしれない。そうしてアメリカの出方を見るつもりだったのかもしれない。だから中国は北朝鮮を徹底的に擁護せざるを得ない。中国は黄海を領海とみなしており外国の軍艦が立ち入る事に対する牽制の意味があったのかもしれない。

それに対して米韓は軍事演習の名目で黄海で大規模な訓練を行なうと発表しましたが、中国側の反発で日本海側に場所を変更せざるを得なかった。ここまでは中国側のシナリオ通りだったのでしょうが、アメリカ国内でも政府の弱腰に対する批判が出るようになった。これでは日本も米軍に基地を提供しているのに肝心の米海軍が逃げ腰では意味がなくなる。

これに対して今日のニュースで原子力空母ジョージワシントンの黄海派遣が発表されましたが、アメリカも堪忍袋の緒が切れたのだろうか? ASEAN地域フォーラムでのクリントン長官の発言は従来のアメリカ政府の発言を踏襲したものですが、それが中国を驚かすのは密約説が出回っていたからだ。田中宇氏は次のように書いている。


中国軍を怒らせる米国の戦略 8月2日  田中 宇

▼黄海は第1列島線の中国側

 米国の右派メディア(共和党系のWSJ)は「今回、オバマ政権が中国の反対を受けて譲歩し、空母を黄海に入れなかったことは、悪しき前例を作ってしまった。今後、中国が了承しない限り、米国は空母を黄海に入れないだろう。黄海は、中国の海になってしまった」と米政府を非難している。

 実は、黄海を「中国の海」にしたのは、米政府の今回の一回限りの譲歩だけが原因ではない。米国は昨年、中国に対して「米中で世界を二分する覇権体制を作ろう」と「米中G2体制」を提案した。中国は「わが国はまだ発展途上で、そのような体制に参加するには早すぎるし、世界覇権も狙っていない」と断った。だが中国は、G2体制の初期的な第一歩として、自国周辺の台湾、チベット、新疆ウイグル(トルキスタン)という、中国が「国内」と主張する3つの地域「3T」と、東シナ海と南シナ海という、中国が経済水域権(大陸棚)や領有権(南沙群島)を主張する2つの海域において、中国だけが国家主権(覇権)を行使する体制を容認してほしいと米国に求めた。

 米国はこの要求を容認したらしく、中国は今年初めから「3T地域における中国の国家主権を認めない言動に対し、中国は今後容赦なく攻撃し、潰すことにする」と宣言した。同時に中国は、東シナ海(琉球列島の西側)と台湾東部沖、フィリピンの西側、南シナ海(ボルネオ島からベトナムの沖合)をつなげた海域の境界線を「第1列島線」として設定し、第1列島線から中国の海岸の間は、中国の影響海域であり、他の国々の領有権主張や軍事進出、資源探査を許さないという方針を打ち出した。

米国では、中国が2つの列島線の構想を出したと説明されている。だが、G2を時期尚早と断った新参者の中国が、将来的な米中の影響圏の設定を、まだ世界最強の古参覇権国の米国に話を通さず、勝手に独自に設定するはずがない。米国の外交戦略を考案する奥の院である「外交問題評議会」が発行する雑誌「フォーリン・アフェアーズ」は今年「米国が第2列島線まで後退し、中国が第1列島線まで進出してくるのは、不可避のことだ」と主張する論文を載せている。2つの列島線は、米中が合同で話し合って決めたものに違いない。


(私のコメント)
黄海にアメリカの原子力空母が入れないと言う事は暗に黄海を中国の領海とするという密約があった事を証明するものですが、アメリカ政府は態度を変えて原子力空母が参加する軍事演習を黄海で行なうと発表した。クリントン国務長官の会見の後の発表だから黄海を公海とするアメリカの主張は、密約がなかった事を証明するものだ。

もし米中が第一列島線内の中国の覇権を認めることはASEAN諸国を裏切る事になり、日本やオーストラリアやインドまでもがアメリカから離反していく事になるからだ。アメリカ内でも中国と手を組む勢力と、中国を包囲する勢力が鬩ぎあっていますが、アメリカはどちらが優勢になるかでコロコロと態度が変わる。

だから日本の親米派と反米派が入れ替わってアメリカを牽制する必要がありますが、菅民主党政権はすっかり親米派になってしまった。これでは政権交代の意味がないのであり米中が接近すれば日本も中国に接近してアメリカを牽制すべきだし、米中が対立すれば共和党と自民党の反共路線に戻ればいい。

アメリカは中国の市場を目指して投資してきましたが、米中接近も日本という足場があるから出来る事であり、米中が接近しても日本が離反してしまったら中国市場も足場を失いパーになってしまう。南沙諸島問題もアメリカは見て見ぬ振りをして来ましたが、日本も尖閣諸島問題を抱えている。

アメリカが黄海に原子力空母を派遣して軍事訓練を行なう事は密約など存在しない事を証明するものですが、日本国内には田中宇氏のような工作員が密約説を振りまく。密約説を振りまく事で第一列島線内を中国の領海化を既成事実化させようというのだろう。それに対する返答が黄海における原子力空母の軍事演習だ。中国海軍も負けずに軍事演習をするようですが日本は関心をもって見ていなければならない。




マスコミが財政不安を煽るから経済が萎縮して需要がなくなってしまう。
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2010年8月5日 木曜日

社説:長期金利1%割れ 国債のバブルが心配だ 8月5日 毎日新聞

日本の長期金利が約7年ぶりに1%を切った。長期金利とは10年物国債の利回りのことで、市場で国債買いが進むと債券価格が上昇し、利回りは下がる。1%割れは、国債の大量保有者である金融機関の間で、依然として国債の購入熱が高いことを示している。

 背景にあるのが、日銀の超緩和政策を受けた金余りだ。企業の借り入れ需要が弱いため、金融機関はタダ同然で調達した資金を「とりあえず安全そうだから」とこぞって国債に投じている。米欧の景気見通しが悪化し、世界的に国債買いが活発化したことも、購入に拍車をかけた。

 この現象を見る限り、「日本もギリシャのようになる」と財政悪化への危機感を唱えた菅直人首相の言葉はウソのように思えてくるだろう。先進国一の借金大国ながら、国債は暴落するどころか大人気じゃないか、と増税や歳出削減に反対する人たちは言いそうだ。

 しかし、「値下がりしそうにないから」と国債を買いまくる今のバブル現象はむしろ警戒すべきだろう。財政がこれほど悪化したにもかかわらず、金利上昇という市場の警報装置が作動しないのは、日本国債の95%もが国内で買われているという特殊事情と関係がある。リスクに敏感な投資家が日本国債を手放し資金を海外に引き揚げる、といった心配がないため、みんなで安心している。(後略)



「財政再建」なんて自殺行為だ 8月3日 日経ビジネス 三橋貴明

「民間の資金需要がない」ことが真の問題

 この手の「言い訳」をする人々に共通する姿勢は、言っていることが非常に「定性的」であるという点だ。あるいは「イメージ」で語っていると言い換えても構わない。

 日本国債の金利の低さは、イメージ的あるいは定性的に考えず、定量的に問題をとらえようとすれば、簡単に説明がつく。単純に、日本国内に過剰貯蓄があふれ、資金需要に対して資金供給が大き過ぎるためである。銀行などの国内金融機関にあふれたマネーの運用先が見当たらず、「国債が買われるしかない」状況に至っているからこそ、日本国債の金利は世界最低なのだ。

 意外に理解していない人が多いが、銀行にとって預金残高とは「負債」であり、「資産」ではない。厳密に書くと、我々がお金を預けると、銀行のバランスシート(貸借対照表)上で、同額分の資産(現金)と負債(預金)が増える。

 誰でも理解できると思うが、現金をそのまま保有していたとしても、金利は生まない。それに対し、我々の預金に対しては、銀行は金利を支払う必要があり、実際に支払っている。金利を支払わなければならない「預金」という形で調達したマネーを、現金資産として保有しているだけでは、銀行は逆ザヤで倒産してしまう。預金が「借金」である以上、銀行は何らかの手段でそのお金を運用しなければならないのである。

 日本経済の真の問題とは、財務省の言う「国の借金!」とやらではない。1990年のバブル崩壊、及び97年の橋本政権による緊縮財政開始以降、国内のデフレが悪化し、民間の資金需要が全く増えなくなってしまったことこそ問題なのである。すなわち「民間の資金需要がない」ことこそが、日本経済の真の問題なのだ。(中略)

「運用先がないマネー」は鬼門

 デフレ不況下にも関わらず、いや、むしろデフレ不況下だからこそ、民間の経済主体は支出を切り詰め、預金残高を積み上げていった。結果的に、銀行が貸し切れない預金残高である「預金超過額」が次第に拡大していった。

 預金超過額とは、
「民間に貸出先が見つからない、銀行の負債である実質預金残高」
 という定義になる。

 「預金超過額」という言葉がピンと来なければ、「過剰貯蓄」と言い換えても構わない。民間に貸出されない貯蓄、すなわち過剰になっている貯蓄を示すものこそが、預金超過額なのだ。

とにもかくにも、銀行にとって「運用先がないマネー」は鬼門である。何しろ、銀行にあるマネーは銀行自身のものではないのだ。我々一般の預金者から借りうけた「借金」なのである。逆ザヤを発生させたくなければ、銀行は何とかこの過剰貯蓄を運用する、すなわち「誰かに貸し付け」なければならないわけだ。さもないと、銀行から我々一般預金者への金利がストップする、あるいは銀行側が預金を断るような異常事態に陥りかねない。

 無論、そんな異常事態に達する前に、銀行は何とか手元の過剰貯蓄の運用先を見つけようとする。結果、当然の話として国債が買われているわけだ。

138兆2000億円が国債で運用されている

 日銀の「金融経済統計月報」によると、2010年5月時点で、国内銀行の実質預金残高から貸出金を差し引いた預金超過額は、159兆9000億円と、160兆円の大台目前になっている。この預金超過額のうち、およそ138兆2000億円が国債で運用されている。過剰貯蓄のうち、約86%が日本国債に回っている計算になる。(残りは米国債などの外国証券で運用されている)。

 銀行は国債を買う、すなわち政府にお金を「貸し付ける」ことで、政府から金利収入を得て、我々一般預金者への金利支払いに充当しているわけだ。

 こんな有り様で、日本政府が「財政再建!」の声に押され、何十兆円もの金額を償還した場合、いったいどうなるだろうか。たとえば、ある日突然、日本政府が銀行の保有する十兆円分の国債を償還(=借金を返済)したケースなどだ。銀行は果たして、喜ぶだろうか。

 とんでもない。

政府の負債残高を問題視し、国内需要を縮小させている

 過剰貯蓄の運用難に悩んでいる状況で、銀行が何十兆円ものお金を返済されたところで、嬉しいはずがない。何しろ、銀行が政府から返済してもらうお金は、元々は我々、一般預金者のものであり、銀行自身のものではないのだ。我々に金利を支払うために、銀行は再び何十兆円分のお金の運用先(=貸付先)を、死に物狂いで探さなければならなくなる。

 デフレに悩む日本において、何十兆円もの金額の運用先など、そうはあるはずがない。国債を償還してもらった銀行は、結局のところ、再び国債を購入する羽目になるだろう。何しろ、ほかに運用先がないのである。

 日本経済の真の問題は、「民間の資金需要がない」ことであり、政府の負債(いわゆる「国の借金!」)云々ではないのだ。

 むしろ日本政府の負債残高を問題視し、政府の支出(例:公共投資など)を削り取ることで、日本国内の需要を縮小させているからこそ、民間の資金需要が高まらないのである。しかも、現在の日本国債の金利は世界最低だ。

世界最低の資金コストでお金を調達できるわけであるから、日本国民の生活水準を高めるための投資を行うには、「今」が絶好の機会なのである。さらに言えば、1996年のピーク(約42兆円)時から、橋本政権の緊縮財政開始以降、すでに公共投資は半分以下(2009年で20兆円)の水準にまで削減されてしまった。結果、我々日本国民が現在の生活水準を維持することすら、このままでは不可能になってしまうのだ。

正しい「数値データ」に基づいた議論が必要

 日本政府は今こそ国債を増発すべきなのである。そして、子ども手当のように直接的にはGDP拡大に貢献しない「所得移転系」ではなく、公共投資などの「日本国民の生活水準を維持する」あるいは「日本の産業力を強化する」ための支出に振り向けるべきだ。



(私のコメント)
長期金利が1%を割ったそうですが、マスコミが政府の借金が大変だと騒ぐわりには政府の発行する国債が大人気なのはどういうわけだろう? 銀行が過剰な預金を持て余して国債で運用するものがないからこそ長期金利が低下する。このように資金需要が無くなってしまうのはマスコミが不安を煽るからであり、だから資金需要が無くなってしまう。

政府の経済政策も前向きな経済政策で景気を良くするべきなのですが、歴代の総理大臣は財務官僚に洗脳されて財政再建ノイローゼにかかってしまう。財政が悪化するのは不景気で税収が落ち込んでしまうからですが、景気が良くなれば税収も上がる。ではどうしたら景気が良くなるのでしょうか?

その為には、お金持ちや金を持っている企業が積極的な投資をするように促すようにすれば言い。今は株式投資にもいろいろ税金がかかるし不動産投資にもいろいろ税金がかかって投資意欲を失わせてしまっている。昔は株式投資にも制限内ならば無税措置があったし、不動産投資にも買換えや相続などで節税になるメリットがあった。

それらの減税措置がバブル潰しの為に無くなってしまって株式投資や不動産投資市場は冷え込んでしまった。現在のようなデフレの時は金持ちは現金を金庫にしまってしまって置いておいた方が儲かる。1億円を金庫にしまっておいて1%物価が下がれば100万円の儲けだ。これでは資金が固定されてしまってますますデフレになってしまう。

1500兆円もの個人金融資産がありますが、これの多くが投資に向かわず銀行や個人の金庫の中に眠っている。デフレが長く続けば使わずに置いておいた方がいいからだ。このような状況では国が呼び水になるような景気刺激政策が必要になりますが、三橋氏が書いているように公共投資は96年の42兆円から2009年には20兆円にまで削減されている。

個人や企業が借金をせずに貯金に走ってしまったら経済が回らなくなる事は明らかであり、投資を促進させるような政策を打ち出す必要があります。しかし橋や道路を作る投資は効率が悪くなって来ており、個人の住宅の建替え減税政策やセカンドハウスローン減税などで投資を促すべきだ。具体的に言えば利子分を全額減税するようにすればいい。

1500兆円の一割の資金が動けば150兆円であり、かなりの景気対策になるはずですが、建設業界も景気が良くなり減税しても税収も上がるはずだ。金持ちにしてももっと広い家が欲しいとか広い庭のあるセカンドハウスが欲しいと言う需要はかなりあるはずだ。しかしこのようなプランが実施すると言う話が出ないのはどうしてなのだろう?

バブル以前は都会でマンションで生活して週末は郊外の広い庭付きの別荘で生活すると言うライフスタイルが流行っていましたが、私もそれを見込んで千葉の別荘地帯の土地をあちこち買ってきた。しかしバブル崩壊で別荘ブームは消え去って別荘用地は草生す金食い虫になってしまった。リゾートマンションも沢山建てられましたが空き家だらけになってしまった。

バブルの頃は週末の特急列車はゴルフバックを抱えたレジャー客で一杯でしたが、今では日曜日でもゴルフバックを抱えた客は少なくなり、座席は空席が目立つようになりました。週末のゴルフができなくなるくらいサラリーマンの生活も厳しくなって来ているのでしょう。東京湾のアクアラインが800円になりましたが、まだ効果は未知数だ。

団塊の世代が定年退職すれば別荘地帯で生活する人が増えるのではないかと考えていましたが、むしろ都心のマンションで老後を過ごす事を選ぶ人が多いようだ。バブルの崩壊で都心のマンションも安く買えるから郊外から引っ越してくる人が多い。麻生政権の時の500万円までの住宅ローン減税でマンションは不景気でも売れているようだ。

これをセカンドハウスにまで広げて住宅ローンを利用できるようにして利息を控除できるようにすれば地方経済も活気づくだろう。日本経済は低体温症にかかってしまって、このままでは心臓も止まるだろう。手足にあたる地方はこのままでは壊死してしまう。これっを解決するには凍り付いてしまった1500兆円の金融資産を動くようにすればいい。

銀行などが国債ばかり買うのも政府に対する経済政策の不信があるからであり、セカンドハウスのローン減税や優良住宅への建て替えなどにも減税を適用すれば富裕層は住宅投資を始めるだろう。デフレを解消するには1500兆円の金融資産を銀行や金庫の中から出させる政策が必要だ。

財務省は増税ばかりに気が向いて景気対策には減税が効果的であることが分からない。エコカー減税で車が売れたようにセカンドハウス減税で地方にセカンドハウスブームが来れば建設業界も活気づいて税収も増える。ゴルフなどのレジャーも盛んになれば仕事も増えて賃金も上がっていくだろう。ところが財務省の役人は消費税の事しか考えない。




第三段階では、隷属民達が帝国に忠誠心を抱くとともに帝国と自己
同一視するようにさせなければならない。日本のエリートたちも同じだ。


2010年8月4日 水曜日

'RUSSIA AGAINST NAPOLEON The True Story of
the Campaigns of ‘War and Peace;Dominic Lieven'


ナポレオンを破ったロシア 太田述正コラム#3940 (2010.4.10)

2 ナポレオンの帝国・・序に代えて

 「帝国の創造は、通常、三段階を経る。ただし、これらの段階は、しばしば重なり合う。
 最初に来るのは、征服による帝国の形成と外からの脅威の除去だ。
 これに関わるのが、一般に、軍事力、外交的職人性、そして地政学的文脈だ。
 しかし、<こうして形成された帝国が>生き残るためには、様々な制度が必要であり、さまなくば、征服者とそのカリスマの死とともに瓦解してしまうだろう。
 これらの制度を確立するのが帝国の創造の第二段階であり、それは、第一段階よりもしばしば困難なことだ。
 とりわけ、巨大なる征服が短期間で行われた場合には・・。
 第三段階では、隷属民達が帝国に忠誠心を抱くとともに帝国と自己同一視するようにさせなければならない。
 とりわけ、前近代的な社会においては、隷属民達中のエリートに・・。
 ナポレオンは帝国形成の第一段階では偉大なる前進をとげた。
 次いで、帝国的諸制度の創造に向けて若干の歩を運んだが、彼の権力を正当化することに関しては、道はこれからだった。・・・
 ナポレオンは、決して全体主義的な支配者ではなかった。
 また、彼の帝国は、それほどイデオロギーで駆り立てられていたわけではない。
 逆に、彼はフランス革命に蓋をし、フランスの政治生活からイデオロギーを消滅させるべく最善を尽くした。
 征服された欧州における地方エリートの根絶についても、それはナポレオン自身の欲求や彼の権力をはるかに超えて行われたものだ。
 多くの欧州の政治家達はこのことが分かっており、そのような認識を踏まえて行動した。
 ロシアの初代米国公使のテオドル・フォン・デア・パーレン(Theodor von der Pahlen)伯爵(注1)は、1809年に任地に赴任するに際して、フランスの累次の勝利とその優越的支配状況にもかかわらず、50年も経たないうちに、<ナポレオンの帝国は、>欧州を覆し圧政を敷いたという空虚な栄光以外、何も痕跡を残していないことだろうと記した。

 それは、フランスに何の真の便益も与えることにはならず、フランスは人材と財産をその諸隣国から確保できなくなった時点で自らの人材と財産を蕩尽することになろう、と。 <更に、>フランスの現在の大きな影響力は、たった一人の個人の存在に全面的に依存している。
 彼の偉大なる種々の能力、彼の驚くべきエネルギーと激しい性格は彼の大志に上限を設定することを許さない。
 その結果、彼が今日死ねばそれと同時に、また、死ななくても30年後までには、彼は、現在における以上に状況を不整序なものへと導くだろう、と。
 こうして欧州で新しい30年戦争(注2)が続いている間に、新大陸の諸国がその力を著しく伸ばすことだろうとパーレンは付け加えた


ナポレオンを破ったロシア(その2) 太田述正コラム#3942 (2010.4.11)

3 大敗北に終わったロシア遠征

 「・・・恐らく、歴史上、このような希にみる軍事天才がこれほどの軍事的大災厄を被ったことはないだろう。・・・
 ナポレオンは、ロシア侵攻を450,000人で始めたが、そのうち、家に戻れたのは6,000人だけだった。・・・
 リーヴェンによれば、120,000人の兵士と40,000頭の馬には、一日分の食糧と糧秣だけでも850もの荷車を伴わせる必要があった。

 これに加えて、これよりずっと大きな分量の、火薬、及び病人と負傷者のための医薬品、そして天幕等の需品、が必要だった。・・・
 非正規戦士として育てられるコサック(Cossack)と、それよりはるかに優れたロシアの軽騎兵部隊に対して、フランス軍(ナポレオンはそれらに敬意を抱いており、自分の陣営に彼等のような存在が付いてくれていたらと願った)は最も恐れを抱いていた。
 地方の農民達からフランス軍部隊についての情報を得て、素早く機動することができたため、<コサックや軽騎兵部隊>は、フランス軍のうち糧秣を探し回っていた連中を容赦なく苦しめた。
 ナポレオンがモスクワに到着した時、状況は、彼と彼の枢要なる騎兵にとって、更に悪化した。
 当時、静止している軍は、馬に対するその地域の糧秣の供給を急速に根絶やしにしてしまうものであり、<フランス軍も>糧秣探しの出動を次第に遠征して行わざるを得なくなり、一層パルチザンに対して脆弱となって行ったからだ。・・・
 <結局、>ナポレオンは、ロシアに率いていった兵士の大部分を失っただけでなく、馬を175,000頭も失うこととなる。
 兵士は補充することができたし、実際、翌年の戦闘までにはおおむね補充することができたけれど、馬の方はそうはいかなかった。
 1813年には、フランス帝国中を漁り回ったにもかかわらず、29,000頭しか調達できなかったし、その大部分は最上の質のものではなかった。
 これが1813年の会戦でフランスの足を引っ張り、同年の夏と秋におけるナポレオンの運命を暗転させたかなり大きな要因となった。・・・」


「・・・欧米人が著したロシア対ナポレオンの<戦いの>歴史書の大部分はほとんど1812年だけに焦点をあててきている。
 <その一方で>ロシアの1813〜14年の軍事諸作戦は通常見すごされてきた。
 また、欧米の著者達は、ナポレオンと彼の1812年の巨大な軍、そしてロシアの冬にも焦点をあててきた。
 <しかし、>彼等は、ロシア政府の行動や軍事諸作戦など、ほとんど歯牙にもかけなかったのだ。
 <軍の>戦闘と機動にかてて加えて、この本は、政治的かつ経済的諸要素についても取り扱う。
 リーヴェンは、欧州と米国での本件についての説明においては、レオ・トルストイ(Leo Tolstoy<。1828〜1910年>)が1869年の小説、『戦争と平和』で行ったのと全く同じようにナポレオンに対するロシアの抵抗運動を描いてきたと述べる。
 すなわち、ごくありふれたロシア人達が彼等の古里の地の情熱的かつ愛郷的防衛のために団結したと・・。
 しかし、この著者は、欧米の学者達は、ロシア政府、及びロシア皇帝の軍における統率の貢献度に適正な考慮を与えていない、と述べている。・・・
 この本が提供する新たな諸洞察の一つが、著者がロシアの諜報機関がいかにナポレオンの軍事的かつ外交的秘密を入手していたかだ。
 リーヴェンは、1812年には、ロシアはナポレオンよりも深く考えていたと主張する。
 彼等は、ナポレオンが、勝つためには、在来型の正規戦による機動と火力を用いた撃破作戦を行う必要があることを知っていた。
 だからこそ、その代わりに、彼等はフランス軍に、いやがらせ、終わることなき小競り合い、そして悪路、あるいは道なき道を総計で数百マイルに及ぶ歩行を与えたのだ。
 ロシアは、自分の農場や村に火をかけ、侵攻者に資源を与えないようにした。
 それらすべての結果、巨人たるフランス軍は兵站上の悪夢に直面し、飢餓と敗北がもたらされた。

 リーヴェンは、ロシアの軍事面での進化についても描写する。
 1806〜07年の大災厄的作戦から始まり、ロシアは着実に訓練、編制、統率を改善した。
 1812年の(仏露双方にとっての)凄まじい諸戦闘の後、モスクワで再編成されたロシア政府は、軍の再建に着手した。
 1813年から14年にかけての諸会戦では、ロシアは、訓練場群と補給所群からその多くは600から1000マイルも離れていたところの、東欧において、50万人の兵士を展開し続けた。
 ロシア政府は、この前方展開を、長距離の兵站路沿いに補給所群を設けることと、プロイセン及びポーランドの政治勢力と合意を得ることによって維持したのだ。・・・
 そして最後に、リーヴェンは、1814年のロシア軍は、欧州へ、これまでとは異なった役割、すなわち、解放者として、その西側の隣人達をナポレオンによる圧政的外国支配から解き放ったのだ。
 もとより、ナポレオン及びナポレオン軍の最終的敗北は、英国とプロイセンの兵士達の手で達成されたことは事実だが・・。・・・」

4 終わりに

 要するに、ロシア軍は、ナポレオン軍を、戦略、戦術、情報、兵站のすべてにおいて上回っていたから勝利した、ということです。(装備には顕著な差はなかったのでは?)
 これは、恐らく、ロシアの皇帝や皇帝を支えた軍事・非軍事のエリート層・・その大部分は外国系や外国人との混血・・の集団的な能力が、軍事的天才ではあっても、たった一人であったが故に自ずから限界があり、また長年の活動により精神的に疲弊してきていたナポレオンを凌駕するに至ったからでしょう。
 では、そんなロシアが、どうしてそれから90年弱後の日露戦争には敗れたのでしょうか。
 幕末維新の激動期を経験したエリート層だけでなく兵士や銃後の国民達の力を結集できた自由民主主義的日本には、エリート層しか結集できなかったロシアでは一歩及ばなかった、ということでしょうね。
 ついてに言えば、現在のロシアが見る影もないのは、戦後のドイツが見る影もないのと同じであり、ドイツがユダヤ人に対するジェノサイドによりエリート層の多くを失ったのと同様、ロシアが内戦やスターリンによる粛清を通じ、エリート層の多くを失ったためである、と考えられます。



(私のコメント)
国会中継が行なわれていますが、沖縄の普天間基地問題などで菅内閣がいかにアメリカとの合意を最優先して、日本国民の合意が二の次にされている。鳩山内閣は少なくとも県外に移設しようと努力した事は認められますが、菅内閣は県外移転の意志はないようだ。

アメリカの軍事基地はアメリカの帝国支配の象徴ですが、アメリカの代理人であった自民党政権から民主党政権に政権交代して、何らかの形で変わるかと思われましたが自民党政権となんら変わらぬ形になっている。結局は自民党も民主党も日本支配統治の代理統治機関であり、イラクのマリキ政権やアフガニスタンのカルザイ政権と性質はほとんど変わりがない。

イラクにしてもアフガニスタンにしてもアメリカの軍隊が数万人も駐留していたら、政府はどうしようもない事は明らかだ。おそらくイラクやアフガンの民意はアメリカ軍は出て行って欲しいと言う事でしょうが、泥沼に嵌ってしまって動きが取れなくなっている。日本にも5万人の米軍が駐屯していますが、60年経っても出て行く様子が見えない。

実際にはアメリカが支配統治していながら国民はその自覚がなく独立国と思っている。鳩山首相がちょっとアメリカに反抗的だということで首を飛ばしましたが、菅首相はすっかり骨を抜かれて帝国アメリカの代理支配人として首相に選ばれた。これでは自民党と変わりがないのですが自民党はすっかり人材が払底してしまったので、民主党に代えたのだろう。

「ナポレオンを破ったロシア」という本の中で、「第三段階では、隷属民達が帝国に忠誠心を抱くとともに帝国と自己同一視するようにさせなければならない。」と書かれていますが、日本はもっとも帝国支配が上手く行っている成功例であるのだろう。占領統治費用も日本政府にほとんど負担させているのだからアメリカ政府は笑いが止まらない。

帝国支配統治を長期化するためには隷属国民のエリート支配層を形成して、アメリカの代理人である事が本人にとっては誇りであると思うくらいになれば本物だ。外務省や財務省のエリート官僚はアメリカ留学を通じてエリート階級が約束されて、天下りなどで特権的な地位を築くまでになっている。

戦後間もない頃は自主独立志向の国会議員もいましたが、今では自民党も民主党もアメリカの従属的支配を容認してアメリカ軍の駐留に対しても口出ししないようになってしまった。だから鳩山首相の駐留なき安保と言う理想は理想論として片付けられてしまっている。

ナポレオンは短期間の間にヨーロッパを一つの帝国として作り上げましたが、「フランスは人材と財産をその諸隣国から確保できなくなった時点で自らの人材と財産を蕩尽することになろう」と言う予言はナポレオンの帝国が滅亡してみると結果的に当たっている。ナポレオン戦争によって失われたフランスの有為な人材はあまりにも多く、末期にはナポレオンを支えられる人材がいなくなってしまった。

ナポレオンのロシア遠征は大敗北で終わった訳ですが、45万人の大軍の多くは同盟国軍であり支配下のプロイセン、イタリア、オーストリアなどの国から徴兵されて参加したものだ。無事に帰れたのは僅か6000名と言う事ですが、ナポレオンは兵をロシアに置き去りにしてフランスに逃げ帰ってしまった。多くのフランス人兵も失われたが多くが同盟国軍の兵士だった。

フランス軍は30万人、ポーランド軍は7万人、イタリア軍は5万人、ドイツ軍は8万人、戦死したと言う事ですが、ロシア遠征が大失敗で終わったとしても大陸軍は健在だった。しかしナポレオンが無敗でないと分かった事で求心力が失われて、各地で反乱が勃発してナポレオン軍は孤軍奮闘したが有能な人材を失ったフランス軍は各地で敗退を続けるようになった。

決定的になったのはロシア遠征で20万頭の軍用馬が失われた事であり、トラックのない当時は馬による輸送が主力だったから、騎兵のみならず馬車を引く馬も大砲などを引く馬も失われてしまった。ロシア軍は徹底した焦土戦術で馬の飼料となる餌に不自由する事となり多くの馬が餓死したり、兵士に食料として食われてしまった。

兵士は徴兵すれば何とか集められたが馬は払底してしまって、騎兵のみならず輸送用軍馬もなくなりナポレオン軍の足を引っ張った。大農業国であるフランスをもってしても軍用馬を十数万頭も確保する事ができなかったというのは意外ですが、騎兵が乗る馬と輸送用の馬とは違うから調達する事は難しい。

ワーテルローの戦いなどを見るとナポレオン軍の将軍や参謀に優秀な人材がいなくなったことが大きな敗因となっていることが分かる。帝国が滅びる時に共通する事は優秀な人材がいなくなってしまうことであり、ナポレオン自身も頭の冴えを無くしていった。

アメリカもイラクやアフガニスタンの大遠征を長期間続けていますが、ナポレオン帝国のロシア遠征やヒトラーのロシア遠征やソ連のアフガニスタン侵攻に匹敵するものになるのではないだろうか? いかなる大帝国でも遠征軍を長期間派遣するには莫大な戦費を消耗する。イラク戦争では毎月一兆円もの戦費を使っていますが、既に300兆円以上も使っている。

アメリカの強さは全世界から優秀な人材を集めてきたからであり、キッシンジャーやブレジンスキーもヨーロッパからの移民だった。オランダにしても大英帝国にしても世界覇権を取れたのはヨーロッパ中から優秀な人材が集まってきたからだ。そしてアメリカは二度の世界大戦でヨーロッパからの移民を集めて大帝国を築いた。

アメリカは長期にわたる戦争による疲弊で金融における主導権も失いつつある。アフガニスタンにおけるアメリカ軍の敗北は経済的にばかりでなく精神的なダメージでアメリカを衰退させていくだろう。ちょうどナポレオンがロシア遠征で敗れた後のヨーロッパで反乱が続発する頃と似たような状況になるだろう。中国はいろいろな意味でアメリカに逆らい始めた。やがては日本も真の独立を目指してプロイセンのように立ち上がるだろう。




大阪市のこども相談センターには日本全国から抗議の電話が殺到
しているそうですが、こども相談センターの職員の怠慢は明らかだ。


2010年8月3日 火曜日

大阪市のセンターに抗議殺到 平松市長「どうして突っ込めなかったのか」 8月3日 産経新聞

近隣住民から虐待を疑う通報を3回も受けながら事件を防ぐことができなかった大阪市こども相談センター(児童相談所)に、全国から数百件の抗議が殺到していることが2日、分かった。鍵を壊して室内に入る強制立ち入り調査(臨検・捜索)を見送ったことなどへの批判が大半で、平松邦夫市長もこの日、「どうして突っ込めなかったのか」と担当者の対応に疑問を投げかけた。

 センターによると、2日までに電話だけで100件以上の抗議が寄せられ、「日中は電話が鳴りっぱなし」(担当者)の状態。ファクスやメールなどもあり、「対応が手ぬるい」など厳しい意見が大半だ。

 児童虐待防止法の改正で平成20年4月から、虐待の恐れのある家庭への強制的な臨検・捜索が可能になったが、21年度までの2年間に実施されたのは全国でわずか3件。今回のように保護者や被害児童を特定できなければ、前段階の任意の立ち入り調査すらできないなど、多くの壁が立ちはだかるためだ。

 センターの担当者は「抗議を真摯(しんし)に受け止めなければ」としながらも、「保護者や児童の特定ができず、緊急性の高さを認識できなかった。どうすればいいか答えが見つからない…」と無力感を漂わせる。

 ただ、立命館大学の野田正人教授(司法福祉論)は「本気でやれば近隣への聞き込みで居住者を特定できたはず。まず子供の安全を第一に考えるべきだった」と話している。

 一方、厚生労働省は2日、児童相談所が虐待の疑いがあると通告を受けたうち、子供の安全が確認できていない事例がないか、全国の自治体に把握するよう要請した。

 長妻昭厚労相は2日に開いた緊急会議で、事件について「もう少しやりようがあったのではないかと強く感じる」と述べ、強制立ち入りも念頭に対応を強化するよう求めた。


生ゴミ、生米くらって餓死免れた! 鬼母に遺棄された5歳の「地獄絵」 2007年12月18日 J−CASTニュース

  苫小牧市の自宅に幼い長男と三男を1か月以上放置し、三男を死亡させて遺体を遺棄したとして、殺人と死体遺棄、保護責任者遺棄の罪に問われた無職・山崎愛美被告(21)の判決公判(杉浦正樹裁判長)が2007年12月18日、札幌地裁室蘭支部でひらかれ、懲役15年(求刑懲役20年)が言い渡された。裁判長が「幼い兄弟の飢えと苦痛は想像を絶する。計画的で非情で残酷な犯行」とまで形容した、「置き去り」のおぞましい実情とはどんなものだったのか。弁護側は「(被告の)不幸な生い立ちや、経済的な困窮」を挙げて情状酌量を求めていたが、判決や各紙の報道などから見える事件の実態はまさしく「地獄絵図」である。

事件は山崎被告が06年10月30日、自宅に鍵をかけた時から始まる。
山崎被告は長男と三男の存在を疎ましく思い、部屋に放置して餓死させることを考えた。山崎被告はチャーハンを食べさせたあと、12月初旬まで交際相手の家に行ったままで2人を放置。1か月間以上あとに再び自宅の鍵を開けるまで、2人の幼子は飢えのなかで苦しんでいた。幼い三男は餓死したが、長男は生の米や生ゴミ、冷蔵庫にあったマヨネーズを食べて命をつないでいたという。

   山崎被告は裁判のなかで、長男が生きていることに驚き、長男は「ママ、遅いよ」と駆け寄ってきたと証言している。その後、山崎被告は三男の遺体を交際相手の家にある物置に遺棄した。自分を放置したにも係らず「ママ、遅いよ」と駆け寄る長男の姿はなんとも哀れだ。しかし、生きていた長男にとっては、弟の遺体を横に生活した体験は地獄ともいえる。



インターホン越し悲鳴にピンと来ず 大阪・児童相談所の「職務怠慢」 8月2日 J−CASTニュース

 女性から最初に通報を受けたのが、3月30日。同センターでは、その日中に住民登録を確認したが、大阪市西区の分譲マンションの該当部屋は登録にはなかった。母親の下村早苗容疑者(23)が働いていた風俗店の事情らしく、マンション管理会社が又貸しの又貸しをしていた状態だった。

   厚労省のガイドラインによると、虐待通報では、48時間以内に確認を取らなければならない。そこで、センター職員は、多忙の中でやりくりを付け、翌31日に該当の部屋に出向いた。しかし、下村容疑者や2人の子どもには会えず、4月1、2日と3日間連続で家庭訪問した。それでも会えないため、同5日になって、管理会社に電話で問い合わせた。とはいえ、部屋の所有者などを聞いても、「世帯構成は分からない」との回答だけで、まったく情報が得られなかった。

   女性からは、4月8日、5月18日にも通報があった。が、部屋に行っても会えない状態は、変わらなかった。ただ、何度かは、連絡するように、メモを残してきたという。最後の通報の日に行ったのを最後に、その後は、何もしなかった。

「泣き声だけの通報では、張り込みや聞き込みなどはしていません」

   この事件では、3度も通報がありながら、下村早苗容疑者らが姿を見せるまで張り込んだり、マンションの近隣の部屋などに聞き込んだりしていなかった。なぜ、こうした対応をしなかったのか。

   大阪市こども相談センターの相談支援担当課長代理は、こう釈明する。

「今回は、泣き声の通報でしたが、こうした通報は、非常に多いんです。調べてみて、夜泣きだったり、子どもがぐずついていたりすることもあります。近所から疑われてショックを受ける人もいますので、風評を流さないよう、泣き声だけの通報では、張り込みや聞き込みなどはしていません。そうするのは、親が大声で怒鳴ったり、子どもを叩いている音がしたりといった場合です。今回は、こうした情報がありませんでした」


(私のコメント)
大阪市の2児放置死事件で昨日は政治的な面から切り込んで見ましたが、長妻厚生労働大臣も「もう少しやりようがあったのではないかと強く感じる」と述べていますが、現行法でも裁判所の令状を取るには保護者や該当児童を特定できなければ書類は作ることが出来ないから、法律の不備である事は明らかだ。昨日も書いたように民主党は刑事警察と行政警察との区別がつかないようだ。

大阪市のこども相談センターには日本全国から抗議の電話が殺到しているそうですが、こども相談センターの職員の怠慢は明らかだ。理由としては忙しいからと言う事ですが、担当者が現場を訪問してもカギが閉まっていて不在ということで放置されてしまった。その結果二人の子供が部屋に閉じ込められて餓死してしまった。水も飲めずゴミに埋まった部屋の中で泣き叫んでいた。

なぜ相談員は近所を聞きまわって状況把握をしなかったのだろうか? 結局は面倒くさいからアリバイつくりのために通知書を投函しただけで何もしなかった。管理会社に連絡して室内を点検する事は出来たはずだ。賃貸契約書には管理会社が設備点検など事情があれば立ち入る事が出来る事が決められているはずだからだ。この場合はゴミだらけにしていたのだから不在でも室内点検する事ができる。

長妻厚労大臣も大阪市の平松市長もこども相談センターに苦言を呈しているが、幼児虐待や育児放棄が行なわれている疑いのあるときは警察が対応しないと解決は難しいだろう。現行法では臨検は裁判所の令状をもらわねばならず3件しか臨検は行なわれていない。つまり対象の家庭は崩壊状態で公的な機関の救済がなければ子供は助けられない為だ。

大阪市こども相談センターの相談支援担当課長代理は、「泣き声だけの通報では、張り込みや聞き込みなどはしていません。」ということですが、1歳や3歳の幼児では泣く事でしか救済を訴えられない。単なる夜泣きかどうかは近所に聞いてみないと分からない事もあるでしょうが、大阪の事件ではそれすらもやっていなかったようだ。

下村容疑者自身の人格も壊れてしまっているのだから本人を責めてみても意味の無い事であり、周囲がどうして救ってあげることが出来なかったのだろう。容疑者は結婚当初からも長女を置き去りにして遊びまわっていたようだ。それらが原因で離婚に到ったのでしょうが、元夫も下村容疑者が二人の子供を育てられないことは分かっていたはずだ。なのになぜ子供を下村容疑者に任せてしまったのか?

最近の幼児虐待や育児放棄の事件はキリが無いほど起きてしまっていますが、幼児は親が守ってあげなければ生きていく事ができない。その親が育児放棄したら幼児は死んでしまう。それに対して児童相談所では対応が出来ないほど虐待件数が増えて来ている。最近では母親が「鬼」になってしまっている。

母親を「鬼」にしてしまうのは家庭が崩壊して育児の責任を母親一人におっ被せてしまうからですが、血のつながった親兄弟親戚関係も、もはや崩壊してあかの他人同然になってしまう状況が背景にある。ホームレスの問題にしても老人の孤独死の問題にしても兄弟や子供がいたとしても助け合うと言った関係ではなくなって来てしまっている。

そのような家族の崩壊が母親と子供の関係にまで崩壊が及んできて母親の子殺し事件が続発する事になる。オレオレ詐欺事件にしても親と子が普段から電話もしない関係が背景にあるからでしょうが、電話越しとはいえ子供の声が本人かどうかも分からない親がいる。兄弟は他人の始まりと言う言葉がありますが、親子は他人の始まりになって来てしまっている。

だから今回のような事件が起きると身につまされる人も多いでしょうが、国は少子化が大変だと言いながら、このような家庭の崩壊に対して何の手も打たなければ、幼児虐待や育児放棄はこれからますます増えていく事だろう。家族の絆がこれほど希薄になってしまったのはNHKが放送した「無縁社会」が象徴しています。

大阪市の2児放置死事件も苫小牧の事件も家にカギをかけて二人の子供を放置して餓死させた事件ですが、このようの母親を「鬼」にさせてしまうのは共通している。大阪の下村容疑者はホストクラブで遊んでいたし、苫小牧の山崎容疑者は一ヶ月以上も交際相手の男の家に居た。どちらも23歳とか21歳の若い母親であり遊びたい盛りの年齢だ。

ここまで母子家庭を放置して追い込んでしまう世の中が悪いのでしょうが、誰も救ってあげることもなく事件は起きてしまった。餓死させられてしまった子供も不憫ですが、老人の孤独死もこれから増えていく事だろう。親が子を殺し、子供は年老いた親を見捨てる。なんともやりきれない世の中になりましたが、餓死した子供も孤独死で発見される老人も家族に見捨てられた事が共通している。

家族が崩壊して孤立してしまった状況では幼児を公的な機関が救済しなければなりませんが、大阪市の児童相談所のようにおざなりな対応しかしてくれない。鬼母は仕方なくても行政が何とかしなければこれからも同じような事件が起きる。児童相談員も相談は出来ても臨検までは警察でないと無理だろう。しかし大阪のこども相談センターは警察には通報しなかった。児童虐待防止法がすぐには臨検できないようになっていたからだ。




大阪2幼児放置死亡事件で、警察官の立ち入り権を認められないと
児童虐待防止法改正した民主党は、不作為の立法責任が問われる。


2010年8月2日 月曜日

連日の悲鳴…やがて泣き声はやんだ 2児放棄、おしゃれの街の死角 7月31日 産経新聞

華やかな若者たちでにぎわう街の真ん中で、誰にも看取られないまま幼い命が失われていた。大阪市西区で幼児2人が遺体で発見された事件では、連日続く悲鳴のような泣き声と異臭に、マンションの住人の多くが異変を感じながら、悲劇を防げなかった。住人たちへの取材からは、都会の希薄な人間関係と、他人の家庭に踏み込むことの難しさが改めて浮かび上がる。(八木択真)

 事件発覚から一夜明けた31日朝、事件現場のワンルームマンション周辺は平穏さを取り戻しつつあった。下村早苗容疑者(23)の部屋を調べるために捜査員らが建物に入ったほかは、出入りも少なく、通行人も立ち入りを制限するテープに視線を送って通り過ぎるだけで、足を止める人はほとんどいない。

 かつては家具の街として栄えた大阪・ミナミの南堀江。近年は最先端のブティックや雑貨店がこぞって進出し、流行の服に身を包んだ若者たちが個性を競うように行き交う。ミナミの新しい顔として、大阪でも屈指のおしゃれな街に変容を遂げた。

 現場のマンションは、地区の目抜き通りにある。オートロックに立体駐車場を完備した近代的な造りで、住人の多くは、街に魅せられて移り住んできた一人暮らしの若者たちだ。しかし周囲の華やかな雰囲気に埋もれ、意識しなければ、そこにマンションがあることには気がつきにくい。

 下村容疑者と同じ3階に住む女性会社員(27)が異常に気付いたのは、今年の初めごろだった。連日のように聞こえる子供の泣き声と、使用済みのおむつを放置したような異臭。女性は管理会社に「虐待かもしれない。何かあったら遅い」と訴えた。管理会社はチラシなどで注意喚起したが状況は変わらなかった。

 受話器が上がっていたのか、子供がそれにすがるしかなかったのか、インターホン越しに、「ママー、ママー」という声や、激しい泣き声が廊下に響く異常な状態が続いたという。

 女性によると、泣き声は1カ月ほど前にぴたりと聞こえなくなった。同時に部屋を閉め切っていてもにおうほどに異臭がきつくなった。たまりかねて別の管理会社に通報したことで事件が発覚した。


 尋常でない泣き声には、近い階の住人のほとんどが気付いていた。児童相談所や警察に数件の通報があったことも判明している。

 しかし住人同士が顔を合わすことすら少ない都会のマンションで、他人の生活に立ち入って、異常の原因を確認するすべはなかなか見つからない。この女性も「もし虐待じゃなかったら問題になるかもと思って」と振り返り、「どうにかしてあげたかった」と自分を責める。家族連れが住むとは思えないマンションの雰囲気も、虐待を疑う気持ちに水を差した。

 マンション前で花を手向けていた近くに住む女性(39)も「気付いてあげられなかったことがショックで…。こんなことは二度と繰り返してはいけない」と涙をぬぐった。


大阪2幼児放置 強制立ち入り、個人特定がネックに  7月31日 産経新聞

大阪市で幼児2人の遺体が見つかり、母親が逮捕された死体遺棄事件。虐待ホットラインに3回通報し、大阪市子ども相談センターは5回も家庭訪問していた。しかし、平成20年4月施行の改正児童虐待防止法で可能となった強制立ち入り調査は行われず、結果的に2人の命は失われた。

 強制立ち入りは保護者が出頭要求に2回応じなかった場合などに、児童相談所が裁判所に許可状を請求して行われ、保護者や子供の氏名が必要だ。

 大阪市は「保護者や児童の氏名や年齢が分からなかった」と強制立ち入りを実施しなかった理由を説明しているが、厚生労働省は「母親に会えるまで自宅前で張り込んだり、近隣住民への聞き取り調査を行うなど、十分な対応ができていたのか検証する必要がある」と疑問を呈する。

 人権への配慮などから強制立ち入りを躊躇(ちゅうちょ)する関係者は多く、法改正以降に行われたケースはわずか3件だ。

 虐待問題に詳しい東海学院大の長谷川博一教授(臨床心理学)は「今回のケースは強制立ち入り調査をしていれば救えた命だったかもしれない。虐待が強く疑われ、住所も分かっていれば、立ち入り調査できる特例を認めるべきだ」と指摘。「立ち入り調査をしても虐待の立証ができなかった場合を考え、躊躇してしまう現状がある。立証できない場合に児童相談所が責任を問われることのないよう配慮するべきだ」と法改正の必要性を訴えている。



児童虐待防止法改正案−警察官の立ち入り権見送りについて  2004年3月5日

 児童虐待防止法改正案で、民主党の強い反対により警察官の親の拒否があった場合にでも立ち入り出来る権限が見送られたということだ。理由としては警察官の権限が拡大しすぎることと憲法に定める令状主義に反するというものである。この理由を聞いて刑事警察と行政警察を混同している典型だなと思った。確かに、行政処分に関しても令状主義の精神を及ぼすという考え方には別に反対ではない。しかし、事案の性質というものを考えなくてはならない。
1.何もどこの家にでも警察官が立ち入り出来るとしている訳ではない。児童のいる家に限られること。
2.一刻を争う緊急の事態が考えられること。→それ故、裁判所の事前審査には馴染まないということ。
3.家庭内問題故に、令状請求するだけの証拠(証言も含め)を集めるだけの機会が少ないということ。→2.と同じく裁判所の事前審査に馴染まないこと。また、同時に、事後審査にも馴染まないということになる。つまり、違法捜査と判断されてしまう蓋然性が高いということである。以上より民主党の裁判所の令状主義の要求は実質上、警察官の立ち入り権を無効規定とするものである。
4.本来保護者たる親が子の利益(しかも生命・身体)を危険にしているという疑いのもとにおいて、住居の平穏・親権が犠牲にされてもやむを得ない。→社会の要請というものを考える時に、それだけの世論が形成されつつあり、立法する必要性・合理性があるということ。民主党の行為は不作為の立法責任が問われてもおかしくないといえよう。(中略)

ところで、今回の事案のように、法律(立法)や判例の形成、、さらには進歩人や人権派と言われる人による世論形成による犠牲者というのは多かった。しかし、今回の事案においては国民のコンセンサスを無視した野党・民主党の反対は単なる反対の為の反対と評価することが出来る。
警察官の立ち入り権を認められないことにより死んだり傷害を負った児童は、恨むなら民主党を恨めというところである。さらにいうのなら、国民も警察や児童相談所を非難するのではなく、どこを非難するべきなのかをしっかりと頭で考えるべきである。


(私のコメント)
最近のニュースで児童虐待事件が多くなりましたが、政治がこの問題に対して適切な法改正を行っていない事が原因のようだ。幼児の場合、親の保護がなければ生きていけませんが、親が育児放棄してしまった場合は幼児は餓死してしまう。特に離婚の増加などで母子家庭が多くなり、母親一人で育てるケースが多くなっている。それに対して政治が動いていない。

民主党政権になって子供手当てが支給されるようになりましたが、母親たちからは保育園を充実して欲しいと言う意見が多い。来年の子供手当ても半額に減額されるようですが、目玉の政策も風向きが怪しくなっている。大都市においては待機児童の問題がありますが、安い公立の認可保育園が入れなくなっている。

母子家庭になってしまって働こうにも保育園が無くては働けないし、私立の保育園は料金が高ければ利用が出来ない。大阪の事件は育児放棄で風俗店で働きホストクラブに入り浸っていたようだ。夫とも別れて実家からも離縁状態で孤立無援状態で育児放棄に到ってしまった。保育園に預けるなりしていれば幼児の命は助かっていただろう。

容疑者はどうしようもないバカ娘で、こんな母親を持った幼児が気の毒ですが、元夫や実家などにも相談した形跡が無い。この時点で容疑者の人格は破壊されていて一週間も子供をノマズ食わずでほったらかしにすれば死ぬことは分かっていて放置した。マンションの住民たちも異常な泣き声で児童虐待ではないかと警察や児童相談所にも何度も連絡が行ったのですが、立ち入りも出来ずに放置された。

児童虐待や育児放棄はもはや家庭が崩壊した状態で起きるものだから公的な機関が強制的に保護しなければなりませんが、このような事件が多発しているにもかかわらず法的な整備がなかなか進まない。2004年に児童虐待防止法改正が行なわれましたが、民主党の強い反対により警察官の親の拒否があった場合にでも立ち入り出来る権限が見送られたそうです。

今回の事件のように親が育児放棄してドアのカギを閉めて何処かに行ってしまったら、幼い子供は飲み食いも出来ずに餓死してしまう。あるいは親が食べ物を与えない事もあった場合も立ち入りが出来なければどうすることも出来ない。法改正で裁判所の令状がもらえれば立ち入りも出来ますが様々な条件があって実際には立ち入りは3件しか行なわれていない。

幼児虐待や育児放棄が行われている場合は幼児を家の中に隠したり玄関にカギがかかって入れない場合が多いから警察の力を借りないと立ち入りは難しいだろう。今回の事件もインターホン越しに、「ママー、ママー」という声や、激しい泣き声が廊下に響く異常な状態が続いたという事だから児童虐待が明らかなのですが、強制立ち入りができずに幼児は死んでしまった。これは民主党が警察の立ち入りを認めなかった為だ。

それでなくても最近の警察は民事不介入を恐れて家庭内の暴力事件には腰が引けている事が多い。しかし家庭が崩壊している状況では傷害事件や殺人事件が起きてからでは遅すぎる。昔のように近所の目が行き届く事も難しいから公的な機関が介入しなければ幼い命は救われない。

民主党は警察権力が拡大する事で児童虐待防止法改正案で憲法に定める令状主義に反するということで、裁判所からの令状がなければ強制立ち入りが出来なくなった。警察の違法捜査を恐れたからだろう。しかしこれは刑事捜査ではなく児童の生存・安全を確認するという行政措置なのだから警察権限の拡大ではない。

児童相談所は五回も家庭訪問しているが結局は二人の幼児の命が救えなかった。近所からの児童虐待の疑いもあって何度も通報があったのだから強制立ち入りが出来れば救えたはずだ。それを民主党の強い反対で改正は骨抜きにされてしまった。一番悪にのは母親自身ですが、元夫や母親の実家や近所の住民などが何とかできなかったのだろうか? 

児童虐待や育児放棄が行なわれると大人になったとしてもそれがトラウマとなって残り、自分が親になった場合に児童虐待や育児放棄の連鎖が起きる事が多い。容疑者のマンションがゴミだらけになり幼児のオムツなどで異臭がマンションの外にまでしたそうですが、そうなってしまったら公的な機関が幼児を保護しなければだれも保護してくれないのだ。民主党はそのような現実が分かっていないようだ。




FRBのバランスシートは今も2兆1000億ドル台に膨張したままだ。資金供給
のために1兆2000億ドルにも上るモーゲージ債や国債を購入したためだ。


2010年8月1日 日曜日

米国で「失われた10年」が始まる  7月29日 辻広雅文

 実は、この経済低迷の長期化させる本質についても、先の白川総裁の講演では念入りに解説されている。長くなるが、再び引用しよう。

 『マクロ経済政策は、経済の急激な減速に立ち向かう上で鍵となる役割を果たすのですが、万能薬ではありません。バブル期に蓄積された過剰の整理に目途がつかない限り、力強い経済成長を取り戻すには至りません。同様に、マクロ経済政策は企業がビジネスモデルを調整できないことに伴う生産性の低下に対処することもできません。この点は非常に重要ですので、若干説明を加えたいと思います

 『バブル期において、日本経済に蓄積された不均衡は非常に大きなものでした。1980年代のブーム期に、日本の企業は借入れを急速に増やし、設備投資は、1990年までの3年間に年率2桁のペースで拡大しました。
しかし、一旦バブルが1990年代初頭に崩壊すると、実体経済面で資源の稼働率が急速に低下するとともに、不良資産が増加し始めました。
結局のところ、日本は債務・設備・雇用の3つの過剰を大幅に蓄積していたのです。
このような大きな不均衡を解きほぐすのに長い時間を要することは明らかです。

日本経済は、金融システムが安定を取り戻したことを背景に、回復しました。しかし、日本経済の復活にとって同様に重要だったのは、ただ今申し述べたような過剰を取り除くことでした。過剰を解消していったことによって、日本の企業は、グローバル経済に生じた大きな変化に適応し始めたのです』

 白川総裁は、米国も日本と同様に産業界の構造調整こそが必要だ、と説く。

 『政策当局者は何でも達成できる訳ではないということも認識する必要があります。
日本の場合は、企業の債務・設備・雇用の3つの過剰が整理されるまでは、経済が持続的な回復に移行しませんでした。
今回の危機についても、同様のことが言えます。米国経済は、金融機関のレバレッジの増加や、家計の過剰債務、そして恐らくは金融産業の行き過ぎた拡大に対する調整が必要になっているものと思われます。
これは痛みを伴うことですが、避けては通れないプロセスです。日本の10年に及ぶ経験からみて、痛みの伴わない近道はありません』

 痛みの伴わない近道はない――米国は今、デフレとともに「失われた10年」の入り口に立っている。

 最後に付け加えよう。

 忍び寄る暗転を察して、米国政府が財政資金を追加投入したくとも、議会が許すはずがない。
他方、FRBは更なる金融緩和で対処しようとしている。
FRBのバランスシートは08年9月のリーマンショックまで8000億ドルから9000億ドルで推移してきたが、緊急危機対応で一気に2兆ドルを超え、今も2兆1000億円台に膨張したままだ。資金供給のために1兆2000億ドルにも上るモーゲージ債や国債を購入したためだ。
すでに政策金利はゼロ近辺に張り付き、超金融緩和状態にある。それでも、バーナンキFBR議長はさらなる資金供給拡大も辞さない覚悟を示しており、期限を迎えたモーゲージ債の購入再開を示唆している。
そのなりふりかまわない姿勢は、バブル崩壊の問題解決を再びバブルを起こすことに求めているようにすら写る。

 だが、白川総裁に代わって日銀の量的緩和政策を総括すれば、金融危機対策には有効だったが、景気回復策としては役に立たなかったことははっきりしている。
必要なのは構造調整であり、その主体は個々の企業であり、中央銀行ができることは限定的だ。むしろ、世界経済にとって有害だったという指摘すらある。
行き過ぎた金融緩和を続けたために“安い円”が大量に世界に供給され、米国その他に流れ込み、サブプライム問題を引き起こす一要因になったという指摘である。

 今こそ、米国は日本の教訓に学ぶべきである。


(私のコメント)
「株式日記」では「失われた10年」はリチャード・クー氏のバランスシート不況説を支持してきましたが、日銀の白川総裁の講演を見ても債務・設備・雇用の過剰を述べている。つまり企業や個人の過剰債務の整理がつかないと景気の回復には繋がらない。企業も個人も借金はもうこりごりであり、二度と借金はすまいと言う人はなかなか借金をしてまで消費や投資をしないだろう。

同じような経験は1929年以降のアメリカにありますが、けっきょく大不況を脱出するのに30年かかっている。借金で苦しんだ世代が交代して子や孫の世代になってようやく借金してマイホームなどを建てるようになった。住宅ローンの返済は30年以上もあり返済は一生かかってしまう。

多くの家庭が住宅ローンを返済不能になって住宅を失った。返済不能にはならなくても毎月の返済は非常に苦しい。バブルの頃は給料も毎年上がっていたし不動産価格も二桁で上昇していた。だからローンを借りて住宅を買う事は合理的な判断だった。銀行も企業がカネを借りなくなったので個人の住宅ローンに貸し出しを増やしていった。

バブル崩壊後は銀行は債権の回収を最重点にするようになり、借りた方も返済を最優先でするようになりその分だけ消費は減ってしまう。もし短期間に不況を解決したいのならば徳政令で借金をチャラにすることしかない。大不況を30年も経験するくらいなら政府が徳政令でチャラにしたほうが金額的には安く済むかもしれない。


痛みとは15%の消費税の事 2001年5月12日 株式日記

今日のテレビの「ウェークアップ」でも財政問題を扱っていましたが、評論家達も15%の消費税やむなしと言っていました。「構造改革のためなら痛みを伴ってもやむをえない」と言う意見に国民の65%が賛成している。その痛みがどういうものか分かって賛成しているのだろうか。

構造改革も不良債権処理もやったからと言って景気が好くなるとは限らない。学者や評論家は良くなると言っている。リィチャード・クー氏は疫病神のように言われている。景気回復が第一と言う政策は間違っているのだろうか。アメリカ政府も最近は「構造改革しろ」「不良債権を処理しろ」と言うようになった。アメリカ政府は日本経済の実状を良く知って言っているのだろうか。

景気回復が第一と言う政策は間違ってはいない。不況の原因は過剰債務にあるからだ。過剰債務は年月をかけて解決するか、債権放棄で処理して短期にかたずけるしか方法はない。おそらく政府はそのことを検討している筈だ。銀行は大きな損害を被るが、資産インフレで土地や株の価値が上がり不良債権が正常債権になり、問題は一気に片付く。

今は非常識な案としてまともには相手にされていないが、日本の歴史的に見れば徳政令は珍しい事ではない。株式買い取り機構も数年前は非常識として検討もされていなかった。国債も日銀が買取れば問題はない。金本位制ではないからいくらでも紙幣を発行出来るからだ。日銀の国債の買いオペの拡大や量的緩和はその第一歩だ。


(私のコメント)
以上の文は10年前の株式日記ですが、10年間同じ主張を続けているのに日本の政治は消費税増税で思考停止してしまっている。しかし辻広氏の記事を見てもらえば分かるようにFRBは1兆2000億ドルに上回るモーゲージ債やCDSや国債を買いまくっている。表ざたにはなっていないが株式の買い支えもやっているだろう。

10年前に株式日記で主張していた事をFRBがやっている。アメリカは住宅ローンに関してもノンリコースローンで住宅を放棄すれば借金はチャラになります。ところが日本の住宅ローンは住宅を放棄しても借金はチャラにならない。だからなかなか債務整理が進まない。企業にしても社長の個人補償までしなければカネが借りられないから、事業に失敗すると企業家は二度と立ち上がれなくなる。

このような弊害を「株式日記」では10年前から指摘してきたのですが、なかなか是正されない。ノンリコースローンも社長の個人補償免除も一部では行なわれていますが一般化していない。銀行側がリスクを負う事になるから一般化しない。いったん借金が焦げ付いたらとことん返済に追われて借金恐怖症を拡大させてしまう。これでは日本が不況から抜け出す事は無理だ。

金融の量的な拡大で金融危機は回避できても景気を回復させる事はなかなか難しいだろう。過剰な借金の整理が進まなければ、借り入れを増やして投資しようと言う気運が起こらないからだ。一度借金返済で苦労した人は二度と借金はしないだろうし、景気回復は子や孫の代になってしまうかもしれない。

日本に起業家が少ないのも事業に失敗すると一生借金返済に追われて人生がパーになってしまうからですが、社長の個人資産は保護されるようにすれば再起する事が可能になる。アメリカのように債権を証券化して転売すれば銀行もリスクを回避できるから合理的だと思うのですが、やりすぎればサブプライムローンのような事がおきる。

日本ではこのような金融革命がなかなか出来ないのは財務省の指導が厳しいからだろう。つまり財務省の役人の頭が非常に固くて金融とはどんなものであるかを知らないのだろう。竹中平蔵のように少しでも条件変更すれば不良債権だといった乱暴な論理がまかり通ってしまう。以下の文も1998年の株式日記ですが、金融のセンスのある人でないと理解できないだろう。


要注意債権処理法案私案 1998年7月3日 株式日記

アメリカではデフォルト(債務不履行)が発生した際の対処法も、日本の常識では考えられないような手法が有ります。その代表がDPO(ディスカウント・ペイ・オフ)と呼ばれる手法です。DPOは、債務者に支払不能もしくは遅延が発生した場合に、その債権を割引価格で債務者に買い取らせるか、別の金融機関に借り換えをさせる方法の事で、アメリカの不動産ローンでは頻繁に使われる手法です。キャッシュフローが確保されている収益不動産であれば、借り手がデフォルトを起こしても、貸し手はDPOを使って、なるべく通常の返済に近づけようとします。

アメリカの金融機関の考え方は、不良債権が発生する原因が、主に担保物件から得られるキャッシュフローが何らかの原因で減少し、ローン返済金額を下回ってしまうことからくることに着目し、キャッシュフローで返済が賄えるレベルまで元本を減額する事さえ認めてやれば、減額後のローン返済は継続できるはずだと言う事が前提に立っています。

つまり、貸し手側が債権を一部放棄する事にそう難色を示さない事が前提条件になります。アメリカでは、デフォルトを発生させるくらいなら、元本を減額してでも支払いを継続させた方が、債権者にとっても、債務者にとっても都合がいいと言う考え方をするのです。

アメリカ流のDSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)を重視するファイナンスでは、物件が生み出すキャッシュフローを上回る返済額の融資はありえませんので、与信の段階から手仕舞いの段階まで、キャッシュフローを重視する点において整合性がとれていると言えるでしょう。

以上は総合法令社の井出保夫著「不動産投資革命」より引用させていただきました。


(私のコメント)
今でこそJALに対する1000億円単位の債権放棄が行なわれていますが、住宅ローンなども返済が苦しい家庭には半額債権放棄をさせたらどうだろうか? 1000万円の住宅ローンなら500万円銀行に債権放棄させてあげれば返済額も半分に出来て住宅も放棄せずに済む。その分だけ消費に回って景気対策にもなる。このような発想が財務省の役人には出来ないから財務省の役人はバカだと書き続けているのです。



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