株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


米大手銀行は資本を維持するのに必死で、資金を貸し出していない。
まるで債務超過で、政府が出資しているから、存続できているにすぎない


2009年1月15日 木曜日

米株式市場が6週間ぶり安値、銀行の損失拡大懸念などで 1月15日 ロイター

[ニューヨーク 14日 ロイター] 米国株式市場は大幅下落し、6週間ぶり安値水準となった。世界的な銀行の損失拡大を懸念する見方が広がった。朝方発表された米小売売上高は景気後退の深まりを示す内容となった。

 S&P500とナスダックはそれぞれ3%超下落、ダウは30銘柄すべてがマイナスとなった。

 シティグループCは23%超急落。収益性やビジネスモデルをめぐる懸念が強まった。今週の決算発表では巨額の損失を計上するとみられている。

 モルガン・スタンレーのアナリストが英HSBCHSBAHBCについて、配当の半減と最大300億ドルの資本増強を迫られる可能性が高いとの見方を示したことも金融セクターを圧迫。また、ドイツ銀行DBKGnDBは、2008年10―12月期決算で48億ユーロ前後の損失を計上するとの見通しを示した。

 米商務省が発表した12月の小売売上高は前月比2.7%減。景気低迷が深まる中、年末商戦における消費の落ち込みが示された。

 ダウ工業株30種は248.42ドル(2.94%)安の8200.14ドル。

 ナスダック総合指数は56.82ポイント(3.67%)安の1489.64。

 S&P総合500種は29.17ポイント(3.35%)安の842.62。

 S&P金融指数は5.7%安。シティは23.2%急落。アナリストは、シティが傘下の証券会社スミス・バーニーの経営支配権をモルガン・スタンレーMSに売却することについて、シティ解体の前兆であり、同社が早急に資本を必要としていることの表れとみている。シティはこの日、予定よりも6日早い16日に第4・四半期決算を発表すると明らかにした。

 15日に決算発表を前倒しするとしたJPモルガン・チェースJPMは1.7%安。

 S&P小売指数は3.6%安。

 米原油在庫の増加などを背景に米原油先物が値下がりしたことを受けてエネルギー株も売られ、エクソンモービルXOMは3.6%、シェブロンCVXは3%、それぞれ下落した。

 米連邦準備理事会(FRB)がこの日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、08年末から09年初めにかけて米経済が引き続き弱まったことを示す内容となり、地合いを一段と悪化させた。



米政府がバンカメに追加支援検討、米銀への懸念強まる 1月15日 ロイター

[ニューヨーク 14日 ロイター] 関係筋は14日、米政府がバンク・オブ・アメリカへの追加支援について交渉中であることを明らかにした。同日の米株式市場では、シティグループの株価も23%急落。

 米大手銀行に不良資産や景気の悪化に対応できる自己資本があるかとの懸念が強まっている。

 関係筋は14日、米政府がバンク・オブ・アメリカへの追加支援について同行と交渉中であることを明らかにした。実現すれば、シティグループに続いて2度目の政府緊急支援を仰ぐ銀行となる。

 バンク・オブ・アメリカは、1月1日付で買収したメリルリンチの吸収が難航している。

 メリルは第4・四半期に大幅な損失を被り、関係筋によると、バンク・オブ・アメリカは昨年12月、米政府に対し、この損失によりメリルの買収を完了できない可能性を伝えた。同行と政府はそれ以降、交渉を続けているという。

 バンク・オブ・アメリカとメリルは10月、財務省の不良資産救済プログラム(TARP)のもとで合計250億ドルの支援を受けている。

 ウエストウッド・キャピタルのダン・アルパート氏は「米大手銀行は資本を維持するのに必死で、資金を貸し出していない。まるで債務超過に陥ったような経営をしており、市場も大手銀行をそのようにみている。政府が出資しているから、存続できているにすぎない」との見方を示した。

 14日の米株式市場では、シティグループの株価が23%急落、5ドルを割り込み、昨年11月の救済策発表後の最安値をつけた。

 同社の業績やビジネスモデルに対する不透明感が強まった。

 シティはこの日、予定よりも6日早い16日に第4・四半期決算を発表すると明らかにした。市場では5期連続の赤字が予想されている。決算発表では、大規模な事業縮小計画が発表されるとの見方が多い。

 関係筋によると、シティグループは、法人金融・投資銀行・リテール銀行に業務を集約し、全体の事業規模を従来の3分の2程度にする見通し。トレーディング業務も縮小し、不良資産は将来的な売却を視野に入れて別組織に分離する計画という。

 JPモルガン・チェースも、第4・四半期決算を予定より6日早い1月15日に発表する方針を明らかにしている。

 同社のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、15日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対し、2009年に金融危機が深刻化するとの見通しを示した

 同CEOは「経済状況の最悪期はまだ過ぎ去っていない。09年の大半で引き続き悪化するとみられる」と述べた。

 さらに「われわれのセクターでは、消費者ローンとクレジットカード事業が悪化する見通しだ」と加えた。



米住宅価格、今後さらに下落へ=ゴールドマン 1月15日 ロイター

[ワシントン 14日 ロイター] 米ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジャン・ハジアス氏は、米住宅市場について、大量の住宅が売れ残っているため、住宅価格は今後さらに急落する可能性があり、政府による大規模な介入が望ましいとのリポートをまとめた。

 同氏は、クレジット関連の損失予想を、昨年3月時点の1兆2000億ドルから上方修正し、総額2兆ドルを超える可能性があるとの見方を示した。

 2兆ドルの半分以上は住宅ローン関連の損失。残りは、商業用不動産、クレジットカード、自動車ローン、社債関連の損失になる見通し。

 同氏は、ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)が、2010年第3・四半期までにさらに20─25%下落する可能性があると予想。

 住宅価格は、様々な基準からみて標準的な水準かそれに近い水準にあるが、市場に大量の在庫があるため、標準値を大幅に下回る水準まで価格が下落する見通しという。

 同氏は、デフォルトの増加を防ぐため、政府が積極的な介入を検討することが望ましいと主張。

 デフォルトの防止には、不公平感が生じるリスクがあるが、住宅ローン金利の引き下げよりも、元本削減が効果的だとの認識を示した。

 状況がさらに悪化すれば、政府が「最後の家主」となって、安値で買い上げた住宅を家を失った人に賃貸することを検討する可能性もあるという。



(私のコメント)
ロイターのニュースを見てみましたが、アメリカ大手の銀行の経営危機の第二段が来ている。政府とFRBの700兆円もの大盤振る舞いで何とか動揺を食い止めようとしたのでしょうが、破綻の危機はあちこちから火の手が上がってきてオバマ政権では食い止められないかもしれない。

日本のバブルの崩壊は政府が何度も終息宣言を出しても収まらず15年以上もの長期不況になってしまった。これは時間をかけて不良債権を償却してきたから長引いたのであり、アメリカは政府の大盤振る舞いで克服しようとしている。しかしアメリカ経済は財政も経常収支も大赤字であり、信用がいつまで持つかが問題だ。

大手金融機関の損失の大きさもまだわからないし、投資銀行の内容も全く不透明で、関連ヘッジファンドの実態も全く分からない。分かってはいても公表すればまずいから公表できないのでしょうが、償却できる範囲内でしか損失を出せない。アメリカ政府による金融機関への資本注入で何とか持っていますが、政府もいつまでも資本注入は出来ないだろう。

シティもバンカメも二度目の資本注入になりますが、損失の全貌が明らかにならないと政府の救済策はかえって無駄金になりかねない。今や大きすぎて潰せないのではなく、大きすぎて救済できないと言う状況になりつつあるのではないだろうか? ロイターのニュースでも住宅価格の下落は続きそうですが、市場を建て直すのは徳政令を発動するしかないのかもしれない。

「株式日記」でも住宅ローンの徳政令を提案した事がありましたが、銀行もダイエーなどの大企業に対しては数千億円もの債権放棄が行なわれているのに住宅ローンへの債権放棄は全く行なわれていない。政府が指導すれば出来るのですが、政府の経済諮問委員会は新自由主義経済論者に固められて、銀行潰し政策が行なわれた。

アメリカは新自由主義経済の総本山だったのですが、いまやアメリカは社会主義国家になりつつある。住宅ローンの半額の債権放棄を行なえば債務者も返済は楽になり、その分が消費に回る。しかし日本は市場原理主義を貫いてダメな企業は潰す政策で潰してきた。確かにダメな企業は潰した方が長期的には正しい政策なのでしょうが、速く経済を立て直すには徳政令で救済したほうが早く立ち直る。

最終的にはアメリカ政府自身がデフォルトして借金をチャラにすればいいのかもしれませんが、中国や日本の持つドル債券も紙切れになるから一番被害を蒙る事になる。71年のニクソンショックのドル安や、85年のプラザ合意のドル安で借金を半分チャラにしてきたのですが、再び近いうちに第二のプラザ合意が行なわれるかもしれない。しかし今度はG20で行なわれてドルの基軸通貨体制も終わるのかもしれない。

最終的にシティやバンカメはどうなるのだろうか? 大前研一氏はナショナルバンクになるしかないと述べていますが、アメリカは日本の郵政を強引に民営化させたのに、アメリカは民間銀行を国営化して救済しようとしている。これは究極のモラルハザードであり、自分たちの損失をみんな国におっ被せて銀行経営者達は逃げ切るつもりだ。


シティバンクはもはやナショナルバンクになるしかない 1月14日 大前研一

そのシティバンクに対して米国政府は、現在のところ公的資本を450億ドル注入している。ブッシュ政権下の財務長官であったヘンリー・ポールソン氏が発表したシティバンクの救済措置は、この3000億ドルの「不良債権となる可能性のある資産」について、10%をシティバンクが負担し、残り90%についてはFDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:米連邦預金保険公社)と米国政府が保証する、というものであった。

 わたしは、このやり方は多いに問題があると思う。シティバンクがこの3000億ドルを自力で売却しようと努力し、それでもだめだったら保証しましょうというのなら話は分かる。しかしポールソン氏は、その前に保証を公約してしまったのだ。これは米国民に大きな負担を強いることになる。

 なぜこのような発言が出てしまったのか。理由は簡単だ。シティバンク前会長のロバート・ルービン氏(先週シティバンクの取締役を辞任する、と発表している)が元財務長官であっただけではなく、その前にはゴールドマン・サックスで上司であったからである。つまりポールソン氏は彼の弟子のようなものなのだ。「師匠の会社はつぶせない」ということで、何が何でもシティバンク救済を最優先としてしまったのであろう。ちなみにルービン氏の弟子筋は米国の政財界にも多く、オバマ政権で財務長官に指名されたニューヨーク連銀総裁のティモシー・ガイトナー氏、また、国家経済会議委員長となるローレンス・サマーズ氏(彼は今後FRBの議長になるとわたしは見ている)などもそうだ。

 ともあれ、ポールソン氏の救済措置によって3000億ドル中2700億ドルが不良債権化を免れたとしても、シティバンクはバッドバンク部門を切り離さなければならない。それが筋だ。

 実はシティバンクが抱える問題はそれだけではない。同行は住宅ローン証券化商品・消費者ローン証券化商品・その他の証券化商品(CDO:サブプライムローンの債務担保証券を含む)など、簿外に膨大な不良資産を抱えている。その額は実に1兆1440億ドル。これらが不良債権化したときにはもはや米国の国家予算をもってしても救済不能である。

 簿外に持っていったものはいずれ処分したら赤字部分だけが本体に戻ってくる。これはイ・アイ・イ・インターナショナルなどを簿外に持っていった旧長銀(現新生銀行)やカブトデコムを処理した北海道拓殖銀行などのやり方と同じだ。おそらくシティバンクも最も難しい証券化商品を簿外に持っていき少しずつ処分していこうとしているのだろう。しかし100兆円という資産を処分して、たとえ10%が毀損したとしても資本金が無くなるくらいである。ましてや今大問題となっている小口債券化した商品ばかりを簿外に持っていったということだから、その程度の損失では済まないと見ておいた方がよいだろう。

 先に「(シティバンクは)通常であれば即破綻は免れない」と書いたが、実はもはや救済不能の状態であるのだ。つまりシティバンクは「シティ」ならぬナショナルバンクになるしかない。だが、この1兆1440億ドルもの負担を米国政府が負ったとき、米国は沈んでしまう可能性が高い。

 以上がシティバンクの現状分析とその問題点のあらましである。





ヨーロッパのメーカーがハイブリッド車をなかなか発売しないのも、
ハイブリッド車の開発がむずかしいことを証明していると考えられます。


2009年1月14日 水曜日

「トヨタのEVには、三洋電機製リチウムイオン電池が……」(08/11/04) 日経エコロミー

パナソニックは、リチウムイオン電池シェア世界第1位の三洋電機を買収する方針を固めたといわれます。注目を集め始めたEV=電気自動車のキー技術は電池ですが、上記の動きは世界の自動車メーカーに少なからぬ衝撃を与えるのではないでしょうか。

 パナソニックは太陽電池事業をもっていません。買収に成功すれば、三洋電機が技術と実績をもち、需要が拡大している太陽電池事業を取り込むことができます。また、リチウムイオン電池事業では、パナソニックが世界5位、三洋電機が1位のシェアを握っていますので、シェアの大幅な拡大が可能です。この2つが買収によるメリットといわれます。 

 さらに、生産されれば、その量はパソコンや電動工具とは比べ物のならないほど多いEV用、ハイブリッド車用のリチウムイオン電池でも、三洋電機と共同戦線が張れれば他社に先行できる可能性があります。

 さて、自動車メーカーの命運を握るのは、次世代車開発技術です。中でも最近はEVが世界で注目されており、トヨタも参入を表明しています。

 トヨタは、2010年代の早い時期にEVを発売すると表明しました。それに先立って家庭のコンセントといった外部電源で充電が可能なプラグイン・ハイブリッド車を発売します。09年には事業者に、10年には一般のユーザーに向けて発売されます。

 また、先のパリモーターショーは、EVとハイブリッド車中心のショーでした。とくにEVは、各方面から熱い注目を浴びていました。EVは、次世代車の候補として確固たる地位を確立していきそうな勢いです。

このように注目を浴びるEVの命は電池です。もし、次世代車がEVに集約されることになると、自動車メーカーの命運を握るのは、まさに電池技術ということになります。性能、信頼性が高く、コストの安い電池を開発できた自動車メーカーが、新たな自動車再編のキャスティングボードを握るでしょう。

 現在、EVの開発あるいは販売を表明している自動車メーカーは、国内では三菱自動車工業、富士重工業、日産自動車、トヨタ自動車です。ヨーロッパではダイムラー、BMW、VW、アウディ、ルノー、プジョー、シトロエン、アメリカではGM、クライスラーです。ほとんどのメーカーが、EV開発・発売を表明しているといってよいでしょう。

 しかし、EVの開発、販売のキーを握る電池は、自動車メーカー単独では開発がむずかしいといわれます。上記の自動車メーカーは、いずれかの電池メーカーと技術提携あるいは資本提携をしています。

たとえば、注目の三洋電機はVWとリチウムイオン電池の開発で技術提携をしていますし、ホンダとフォードは共にハイブリッド車用ニッケル水素電池の開発で技術提携しています。プジョー、シトロエンは、三菱自動車工業とEV開発で技術提携をしました。三菱自動車工業のEVには、ジーエス・ユアサのリチウムイオン電池が使われていますから、上記2社の電池もジーエス・ユアサ製が考えられます。

 スマート、Aクラス、BクラスのEV仕様を発売するダイムラーは、搭載する電池を最終決定していませんが、実証試験を行うスマートには、超小型のリチウムイオン電池をたくさん組み合わせて使っています。このような電池は組電池と呼ばれます。アメリカのベンチャー企業のテスラー社では、ロータス・エリーゼを改造したスポーツEVを開発、発売していますが、使われている電池は直径18ミリ、長さ65ミリと超小型のリチウムイオン電池で、これを7,000本ほど組電池にしています。ダイムラーも、同じシステムを使うのではないでしょうか。

 ちなみに、この超小型リチウムイオン電池のサイズは規格化されたもので、三洋電機では同サイズのリチウムイオン電池を月産2500万本量産しています。リチウムイオン電池の生産実績では世界一といってよいでしょう。これをEVに転用することは可能です。もし、そうなると三洋電機はEV用リチウムイオン電池で、世界一の実績をもつことになります。

 一方、トヨタは1996年に松下電器(現パナソニック)と共同でパナソニックEVエナジーを設立、プリウス等ハイブリッド車のニッケル水素電池を生産しています。プリウスはすでに100万台以上販売されており、それに伴ってパナソニックEVエナジー製のニッケル水素電池も十分な実績を積んでいます。

 電池生産にとってもっとも重要なことは信頼性と品質の安定化の確保であり、それには長年の生産実績が必要だということを考えれば、トヨタは自動車用ニッケル水素電池の世界で他社が追い付けないほどの実績を積んでいるといえます。これは大きなアドバンテージです。

 しかし、リチウムイオン電池に関しては、いかにパナソニックに汎用電池の生産実績があるといっても、自動車用はこれからです。プラグイン・ハイブリッド車に搭載されるのはパナソニックEVエナジー製のリチウムイオン電池ですが、EVに比べると搭載量は少なく、信頼性と品質の安定化の確保は少しは容易だといえます。リチウムイオン電池に関するトヨタの慎重なアプローチがうかがえます。

 そこに、リチウムイオン電池で世界1位のシェアを持つ三洋電機が加われば、パナソニックEVエナジーのリチウムイオン電池事業はきわめて強力なものとなると考えられます。それが、世界のEVの潮流を見据えたものでないとはいえません。トヨタのEVに三洋電機製のリチウムイオン電池が搭載される日が来ないとも限りません。



「ハイブリッド車はトヨタとホンダ以外は作れない」(07/08/28) 日経エコロミー

では、ハイブリッド車にデメリットはないのでしょうか。最大のデメリットは、むずかしくて作れないことではないでしょうか。もっともトヨタにすれば、最大のメリットかもしれませんが。

 ハイブリッド車は、システムが複雑で、しかもモーターやインバーター、電池といった自動車メーカーとしては不得手な電気系パーツを数多く開発しなければなりません。もう1台、電気の自動車を別に開発するようなものです。そのために、開発費用が莫大で、時間がかかり、多くの開発エンジニアが必要になります。

 では、時間と費用をかければできるかというと、できないわけではありませんが、トヨタのハイブリッド車と同様な商品性をもたせられるかというと、かなり困難です。それは、エンジン、モーター、電池といった性格の異なる3つの要素をひとまとめにしてバランスを取るのがむずかしいからです。乗り比べると、トヨタのハイブリッド車の方が格段に良いということもあり得ない話ではありません。

 その結果、ハイブリッド乗用車の開発を放棄したり、なかなか開発が終わらないメーカーが出現しています。ホンダ以外は、なかなかトヨタと勝負できていません。もし、ハイブリッド車が次世代車として大きなシェアーを獲得するとなると、トヨタと、それになんとか追従しているホンダの一方的な勝ちレースになる可能性すら存在します。

 一方、自動車におけるCO2排出量の削減と、石油需給の逼迫を避けるには、世界の自動車メーカーがハイブリッド車を生産できることは好ましいはずです。ハイブリッド車の開発がむずかしいというのは、この点からはデメリットになるでしょう。

 また、ヨーロッパのメーカーがディーゼル車の優位性を喧伝しているのも、ハイブリッド車をなかなか発売しないのも、ハイブリッド車の開発がむずかしいことを証明していると考えられます。

 かの有名なフェルディナント・ポルシェ博士は、1896年にハイブリッド車を発表し、1902年から製造したといわれます。こんなに歴史の古いハイブリッド車ですが、現在に蘇らせるのは至難の業のようです。このことが、何年か先に生き残れるメーカーを選別することになるかもしれません。



(私のコメント)
最近は都内でプリウスのタクシーをちょくちょく見かけるようになりました。タクシーには少し小さい車ですが都内を走るには適しているのでしょう。まだ乗った事はないのですが発進停止を繰り返す時にはモーターで走っているからスムースで乗り心地がいいのかもしれない。普通のタクシーだとギアを入れ替えるたびにガクンとショックが起きる。

最近プリウスの新型が出たようですが、エンジンが1,8Lになり車体も一回り大きくなって燃費もさらに良くなっているそうです。ハイブリット車はトヨタとホンダが発売していますが、外国のメーカーはモーターショーなどでは華々しくハイブリット車の試作車を発表していますが、なかなか本格的な量産が行なわれていない。

ハイブリット車に並んで電気自動車もモーターショーでは各メーカーが試作車を発表していますが、電気自動車は試作するのは簡単ですが、自動車用リチウム電池の量産が行なわれていないから量産化は今年の夏以降になる。しかしリチウム電池でも航続走行距離が百数十キロ程度で、都内を走るにはいいがグランドツーリングには向かない。

だから当面はハイブリット車がエコカーとして注目されている。しかし日経エコロミーの記事にもあるように海外のメーカーは本格的なハイブリット車を発売していない。研究開発は各メーカーも盛んに行なわれているようですがなかなか成果が出ていない。エンジンやモーターや電池などのコンピューター制御が難しくてデーターの収集だけでも数年もかかるようだ。

電気自動車なら簡単なのかというと作るのは簡単でも量産化はまだ先の話だ。ネックとなるのは自動車用リチウム電池の量産化ばかりではなく、限られた電池のパワーを最大限に生かすにはコンピューター制御が必要だ。安全性の確保や全く新しい部品なども開発して作らなければならない。

エコカーとしてはヨーロッパなどではジーゼル車が作られていましたが、軽油がガソリンよりも高くなって排ガス規制も従来のジーゼル車では難しいようだ。だからヨーロッパのメーカーもハイブリット車を開発しているようですが、従来のジーゼル車では欧米の新排ガス規制はクリアできないと分かったからだ。

新型のプリウスは2,4Lエンジン並みの走行性能だそうですが、燃費もリッター21キロと1割も燃費が向上している。燃費が良くなる事は排ガス規制もクリアできる事であり、電気自動車が航続距離に制約がある以上、アメリカ市場にはクリーンジーゼルエンジンを開発するかハイブリット車を作るしか自動車メーカーの生きる道はないようだ。

自動車メーカーは年々厳しくなる環境規制に合わせて技術革新が求められていますが、ハイブリット車もクリーンジーゼル車も直ぐには出来るものではなく、電気自動車をより高性能化して作る事が未来の自動車の本命になるだろう。最近の自動車メーカーがEVの試作車を相次いで発表しているのもその為だろう。

このようにビックスリーならずとも自動車メーカーはエコロジーの波にさらされて日本の自動車メーカーも、いやでも電気自動車を開発せざるを得なくなっている。ホンダもクリーンジーゼルエンジンを開発していたのですが、延期してハイブリット化や電気自動車に切り替えてきた。CO2規制をクリアするには自動車が石油を使わなければ一番手っ取り早い方法であり、自動車用の電池がどこまで開発できるかにかかっている。


「間に合うか。ホンダの生き残り戦略」(09/01/05) 日経エコロミー

 ホンダは、中・大型車のCO2排出量削減技術としてディーゼルエンジンの開発を進めてきました。ところが、排ガス規制である日本のポスト新長期規制や米国のBin5規制通過の自信がなくなったのか、あるいはコスト的にハイブリッド車との競争力がないと判断したのか、軽油とガソリンとの価格差が少なくなったか逆転してガソリン車に対する優位がなくなったといった経済的理由なのか、開発を延期しています。それに代わって中・大型車をハイブリッド化するというのは、ホンダの環境対応技術の大幅な転換といってよいでしょう。

 ちなみに、ディーゼルには慎重だったトヨタは、いすゞ自動車とのディーゼルエンジンの共同開発プロジェクトを延期しています。欧州では軽油とガソリンの価格が逆転している国が多くなり、一時のディーゼル車販売の勢いが弱くなっています。また、ニッサンのX-TRAILクリーンディーゼルの例でいうとガソリン車比プラス50万円から60万円という価格は、ハイブリッド車に対する優位を失わせています。ディーゼルからガソリン・ハイブリッドへの転換は、世界的な傾向になっていくのではないでしょうか。

 ホンダのディーゼルからハイブリッドへの方針転換が成功するかどうかは、ひとえに電池の開発の成否にかかっています。大げさにいえば、ホンダの将来がかかっているといってもよいでしょう。



(私のコメント)
電気自動車かハイブリット車か、問題は電池の開発にかかっているのですが、中国のBYDやアメリカのベンチャー企業のテスラー社が電気自動車を発売していますが、円筒形のリチウム電池を7000個も組み合わせた電池を使っている。これでは自動車用としては危険であり、自動車専用リチウム電池を載せなければ発熱や寿命などで問題が起きる。

リチウムイオン電池も韓国や中国のメーカーも自動車用リチウム電池を開発しているようですが、これも自動車用となると簡単に造れるものではなく、量産化はさらに難しい。ガソリン車に代わって電気自動車が主流になるのは20年くらい先の話だろう。それまでの間はハイブリット車が繋ぐような形であり、徐々に電池の性能とコストが良くなっていって完全な電気自動車に置き換わるのではないかと思う。

しかしハイブリット車を作っているのはトヨタとホンダぐらいだし、自動車用リチウム電池を開発に成功しているのも日本のメーカーであり、自動車もますます技術力に差がつき始めている。携帯電話で日本はガラパゴスだという経済学者がいますが、自動車もガラパゴス化していると言うのだろうか? 技術開発力で外国のメーカーが日本についてこれないのが現状なのだ。




養老孟司、渡部昇一対談 日本がもっているというアメリカ国債なんか、
どうせ紙切れなんだから焼いてしまえ、といっているんです(笑)。


2009年1月13日 火曜日

WASP精神は地に堕ちた!(1)/養老孟司(東京大学名誉教授)、渡部昇一(上智大学名誉教授) 1月10日 YAHOOニュース

渡部
 イギリスの作家ギルバート・ケイス・チェスタトンの弟のセシル・チェスタトンが『アメリカ史』という本を書いているのですが、そのなかで私がいちばんハッとしたのは、「アメリカは中世抜きで発生した国である」と見ていることでした。アメリカを考えるうえで、これはじつに正鵠を射た見方だと思います。

 アメリカ建国の父となった人たちは、皆ピューリタンでした。もちろん新教徒ですから全部カトリックには反対です。アメリカで国を建てるとき何を理想にしたかといえば、彼らが読んでいたのは『旧約聖書』が主でしたが、教養としてもっていたのはギリシャ・ローマ文明の知識だったわけです。だからアメリカの多くの公的な建物もギリシャ・ローマ風に造られていて、中世的なゴシックは建てられていません。

 しかし、中世を抜かしたために、抜け落ちたものが2つあるというのです。1つは奴隷制度、もう1つは騎士道です。

 いうまでもなくギリシャ・ローマ文明は奴隷制度に立脚した文明でした。ヨーロッパ中世はその後1000年かけて奴隷をなくしたわけですが、それを無視し、ギリシャ・ローマに倣ったことで、アメリカでは大規模な奴隷制が復活します。

 また、騎士道がなくなったために戦争に対する考え方が変わりました。国際法は元来、騎士道を基にしています。騎士道で決闘した場合、どちらがよいも悪いもない。お互いが作法をきっちり守ればよい、と考えるわけです。だから、これを前提にした国際法では、戦争が悪いという発想はありません。ところがアメリカは、インディアンと戦って、インディアンの土地を奪っているのに、インディアンは悪者扱い(笑)。中世が抜けているから、敵を「尊敬するに値するもの」とは考えず、対等の敵とは見なさないわけです。

 第一次大戦にアメリカは参加しましたが、ヨーロッパにまだ力があったから、アメリカも従来のルールにだいたいは従いました。ところが第二次大戦はアメリカの独り勝ちだったから、そんな配慮もない。アメリカのルールに従って敗者を裁いたわけです。まさに日本はその犠牲者でしたね。

 養老
 たまたま知人と食事をしたときに似たような話になりました。たとえば、ヨーロッパでは機関銃の使用に心理的な抵抗があった。いわば無差別殺人ですからね。それを抵抗なく取り入れたのがアメリカ。つまり、「人間」とは見ていない有色人種を「処理」する発想が根底にはあったのだ、と。第一次大戦までは、戦争は「決闘型」でした。戦争するのはスナイパーで、1人ひとりが相手を狙って撃つ。歩兵は輜重を守ったり、スナイパーの背後を確保する役割を担っていた。そのような戦争のルールを崩したのがアメリカだというのは、きっと世界の常識となっているのでしょう。しかし皮肉なことに、そのアメリカがベトナム戦争ではゲリラ戦というルール外れの戦いでひどい目に遭いました。


渡部
 いま、金融危機も大きな問題ですが、そもそも何がおかしかったかといえば、1971年にニクソン・ショックが起き、アメリカが金本位制を守れなくなったことではないでしょうか。戦後30年近く続いた金本位制が崩壊して、ペーパーマネーが「基準」になった。そうなれば、基本が紙なんですからやがては「刷ればいい」ということになって、どうやっても極端まで行ってしまう。日本でも江戸時代に各藩で小判が足りなくなると藩札を刷ったものですが、それがいまでは世界的な藩札制度になってしまった(笑)。

 養老
 ニクソン・ショックは、やはり戦後世界史の大転換です。そのあとドルが、世界の基軸通貨になって世界中に回るようになりましたが、世界中で流通している膨大なドルがもしアメリカ国内に還流したら、どうなるか。アメリカとしてはそれに見合うサービスと物を国外に提供しなければなりませんが、そんなことはできるはずがない。

 ただでさえ赤字続きのアメリカを下支えしていたのが、日本であり、アジアの新興国でした。しかし皆、いずれ紙切れになるということは知っているわけです。あとは、それがいつかということが問題です。今度の金融危機はその走りでしょう。野口悠紀雄さんが『Voice』(平成20年10月号)で、先般の石油価格の上昇も、じつは金の価値を基準とすると上がっていないと書かれていました。結局、起こったことは何かといえば「紙幣価値の下落」なのです。これだけ紙くずを刷ってしまったものを、どう始末するか。私は、日本がもっているというアメリカ国債なんか、どうせ紙切れなんだから焼いてしまえ、といっているんです(笑)。

 しかも後始末をつけるにしても、そもそも実態が見えない。僕らの経験からしても虫の大きさを本気で測るだけだって大変な話なのだから、あまたの統計数字なんていい加減に決まっている(笑)。もちろんきちんとした数字を出せれば、ある程度将来の予測もつくのですが。

 渡部
 日本の金融機関だって、実際どれだけの被害額か、探しはじめたらキリがない感じです。中国もこれで潰れるんじゃないかという人もいるくらいですから。

 養老
 僕は、アメリカ社会は「物」で見たほうが確かではないかと思うのです。いまアメリカ人は1人当たりの平均で日本人の4倍、ヨーロッパ人の2倍のエネルギーを使っている。それこそアメリカは「全館暖房の国」なんですよ。僕も若いころ、人がいない部屋を暖めて、じつに無駄な国だと思った。結局、アメリカは安い原油価格で維持されてきた国です。安い燃料で大型トラックの大量輸送をしなければ、あの国はもたない。しかしそれが70年以降の40年で徐々に逼迫してきている。全館暖房なんて元来、不合理なのであって、できなくていい。そこを縮小してどこに向かうか。

 社会そのものをどう効率的に再構築できるかが将来、大きな問題となってくるでしょう。つまり、原油価格がいくらになったら、アメリカのどういう商売が潰れて、どういう商売が成り立つかをシミュレートすれば、基礎的な部分での社会の動きはある程度わかると思うのです。

 その点、日本の「円」って面白い通貨だと思う。石油のような資源が何もなくとも、結構崩れないでもっているわけです。その信用を支えるのは、「日本人が働く」ということ。日本製品の「信用」で食べているのです。その意味では、円は非常に実態に近い通貨だと思います。


 渡部
 アメリカ資本主義の勃興期の実業家は、やはりピューリタンで、あぶく銭を儲ける発想は全然なかった。その意味ではじつに実態に近かったといえる(笑)。儲けても、フォードのように財団をつくったり、貧しいときから収入の何割かを寄付しつづけるというメンタリティが主流にあった。これがWASPであり、それゆえ尊敬もされたのです。ハーバード大学もイェール大学も、元来は牧師をつくる学校でしたが、そこにどんどん寄付する人がいて、いい学者が世界から集まってくる。経済と道徳が結びついていたのです。

 やはりアメリカは、金本位制を捨ててから無責任感が出てきました。それからもう1つ大きかったのは、日本の儲けたお金をスッとアメリカの懐に還流させる仕組みをつくったこと。あれから彼らは悪いことを考えはじめましたね。

 ここ10年ほどで、サブプライムをはじめ、訳がわからないものを膨れさせた。それ以前はまだ、われわれにもわかる経済でした。ところが金融工学などという訳のわからないものが出てきた。「どうもわからない、いったい何だ」と見ていたら、要するにインチキだったわけです(笑)。

 経済の崩壊がアメリカから始まったのは、道徳が崩れたからです。サブプライムでも、払えないことが明白な相手に無責任に金を貸し、それを証券化して世界中に売り払い、さらに、そういう奇妙な金融商品を格付けする会社が出て、インチキ商品にトリプルAを付け出したから変になった。粉飾会計が明るみに出て2001年に破綻したエンロンの事件も、まさにモラルの崩れです。

 老子の言葉に、「知恵出でて大偽あり」というのがありますが、本当に大きなインチキが出たという感じです。ロックフェラーやフォードが生きていた時代には、小さなところではいっぱいインチキがあったでしょうが、やはり「大偽」はなかったと思うのです。そこは神と直接向き合うピューリタンの心をもつ人が多くいましたから。


 渡部
 カトリックでは聖書を読むのは神父たちだけで、しかも勝手な解釈をしないようにローマ教会が抑えつけていた。それが聖書を印刷し、庶民が読んで勝手に解釈するようになったのが宗教革命です。インターネットはさらにそれを上回る革命かもしれません。しかし、大学の論文の審査は逆に、すべて口頭試問になるかもしれませんな(笑)。

 養老
 プリミティブなところに戻らざるをえない状況に来ていると思いますね。最後にやはり顔を見て、1対1のシステムが復活する。そのときアメリカがどう行動するかですね。昔ながらの素朴な商売は需要を探すものでしたが、アメリカ型の資本主義というものは、むしろ需要そのものを作り出すものになっている。典型的なのがビル・ゲイツです。アメリカでも頭のいい連中は当然、オイルの終焉を見切っている。それを見切った連中が情報に動いた。しかもアメリカはモノづくりからも離れていってしまっている。これは結構危ないのではないかと思うのです。

 渡部
 戦前、日本製のリヤカーのタイヤはすぐダメになるのに、ダンロップのタイヤは壊れない。戦争になったとき私の母親は「こんなタイヤをつくれる国と戦争していいのかな」といっていましたが、まさにあのころは先進国とは、製造品のいい国だったのです。私が最初にアメリカに行ったとき、GE(ゼネラル・エレクトリック)の大きな冷蔵庫に感激して買いました。冷房機もGEで、じつはどちらもまだ現役で動いています。あの時代のものは少し電気を食うかもしれませんが、壊れない(笑)。しかしいまやGEは電気製品の製造を大幅に縮小しています。GM(ゼネラル・モーターズ)も大変な苦境にある。この2つのGは、われわれの世代にはアメリカの国力そのものだった。恐ろしいことに、そのシンボルが2つとも消えかかっている。

 養老
 モノづくりは結局、本気でどこまで作り込めるかという精神性が問題となるのでしょう。そこが至らないと故障や重大事故を巻き起こすことだってある。

 その点、情報産業は楽です。人命にかかわらない。「ソフトにはバグがあっても当たり前」というところがあります。しかしこれを続けると甘くなる。一度甘くなってしまうと、復活する方向へモチベーションを高めるのは非常に難しいのではないかと思う。だから、実体が非常に怪しくなり、世間を言葉で動かすことが中心になり、弁護士が増える(笑)。アメリカの文化はいま、やはり一種のエリート主義で、トップに行くのは弁護士です。そういう世界に慣れている人は、世界を自分がつくれると思っている。しかし、理系の僕らからすると、「勝手につくってるんだろう、おまえらが」としか見えない(笑)。たとえば医者になれば、人間の身体には「向こうの都合」があってどうにもならないことがある、と否応なく叩き込まれますから。しかしアメリカ人は案外そういう考えを無視するのです。だから乱暴なことをする。

 そのような社会が人間にとって幸せかどうかを、個々人の問題にしていかなければいけないでしょう。「人間そのものがどういうものか」とか、「人間の幸せとは何か」を考えない情報文化では、アメリカに未来はありません。グーグルだけあっても、人間食べてはいけませんから(笑)。

 渡部
 アメリカの振り見て、わが振り直せ、です(笑)。



(私のコメント)
アメリカは歴史の浅い国であり15世紀からの歴史しかなくアメリカには中世は存在しない。独立してから二百数十年しかない訳であり、その意味では新興国でありヨーロッパ諸国とは異なる。だから欧米という言い方はアメリカとヨーロッパを一緒にしたものですが、最近になるとやはりアメリカとヨーロッパの文化は異なると認識しなければならない。

歴史や文化が異なるだけではなく、宗教においてもアメリカのキリスト教とヨーロッパのキリスト教は国民の意識においても異なる。養老孟司氏と渡部昇一氏の対談でもアメリカとヨーロッパの違いを論じていますが、人種も言葉も宗教も同じだと同一に考えてしまいがちですが、歴史が異なるのは確かだ。

60年代くらいまではアメリカはWASPの国であり、ヨーロッパ人の新天地として発展してきた。しかし最近はヨーロッパ以外からの移民が増加して三人に一人は非白人となり、大統領もオバマ大統領の誕生で多民族国家としてのアメリカに変化しつつある。

戦後になってアメリカはグローバル国家となり、朝鮮戦争からベトナム戦争と世界の紛争に関与するようになって、難民という形で受け入れざるを得なくなってきた。古代ローマ帝国も領土は広がるにつれて領地からの人が流れ込んできて徐々にローマがローマらしくなくなっていって行ったようにアメリカもWASPのアメリカから変わってしまった。

だから日米関係においても60年以上も同盟関係を続けていますが、アメリカの変化を敏感に感じ取らなければなりません。駐日米軍最高司令官もライスという黒人の司令官になったしマッカーサーが乗り込んできた頃の米軍とは違ってきているのではないかと思う。しかし日本の政治家はいまだに進駐軍コンプレックスが酷くて60年前と変わりがないように見える。

ヨーロッパ人から見ればアメリカ人は植民地人でありバカにされているようですが、アジアにいるアメリカ人はその国に対する歴史認識はほとんど無く、在韓米軍の撤退が朝鮮戦争の原因となり、ベトナムの民族主義に対する認識不足からベトナム戦争を引き起こしてしまった。イラクに対する歴史認識もヨーロッパほどの関心は無く、イラクに自由と民主主義の国家を押し付けようとしている。

イスラエルに対する関心も旧約聖書からの知識によるのでしょうが、アメリカの福音派は聖書は完全務誤謬であり聖書に書かれた事が真実であると信じている。その事がイスラエルに対する絶対的な支持に繋がっているのですが、多民族国家化するとアメリカを纏めるものは宗教しかないのではないかと思う。だからイスラムを敵視して宗教戦争をイランに挑むかもしれない。

60年代にアメリカが大きく変わったように、71年のニクソンショックは金本位制から信用通貨となり紙幣を乱発するようになってきた。その原因となったのがオイルピークでありアメリカといえども海外からの石油に依存するようになりモンロー主義が成り立たなくなった。しかし石油に依存した生活はなかなか変えられずにいる。

アメリカ発の金融恐慌が起きたのは石油が147ドルまで高騰して石油頼みの経済が成り立たなくなったからであり、金融立国でアメリカの経済を維持しようとしたのでしょうが金融はゼロサムゲームでありカモがいなくなれば「ねずみ講」は破綻するのは必然だ。

アメリカ人は日本人の4倍の石油を使って生活していますが、鉄道網は発達しておらず物資の輸送は安い燃料が前提の大型トラックで輸送しなければ成り立たない。ソ連が崩壊したのもトラック燃料の確保に失敗して農家には農作物が大量に腐り、モスクワの食品店の棚は空っぽになったことでソ連は滅亡した。同じ事がアメリカにも起きつつあるのであり、石油はやがて再び高騰した時が危ない。

それに比べると日本はもともと石油が無いから、労働者の労働だけが円を支えている。それでも石油が高騰しても円は下がらずアメリカに比べれば脱石油化は進んでいる。オバマ大統領はアメリカの脱石油政策を行なうようですが、アメリカは日本やヨーロッパにも遅れを取ってしまった。

アメリカは60年代までは物つくり大国であり、アメリカの自動車は非常に堅牢であり、バンパーの鉄板からナイフも作る事が出来るくらいの車を作っていた。渡部氏の話ではその頃のGEの冷蔵庫や冷房機はいまだに動いているようですが、今ではGEは金融会社になりGMは倒産の危機に直面している。つまり物が作れなくなってしまった。

物が作れなくなれば金融とサービスで経済を成り立たせなければなりませんが、金融もサービスも物つくりがあって成り立つものだ。金融は情報産業であり騙しあいの世界でありモラル的に腐敗しやすい。サブプライム問題はそこから起きているのですが、金融工学は人を騙す手段であり複雑な計算式は騙すためのものだ。

日本の経済学者やエコノミストはアメリカの金融立国を目指せと言っていましたが、そんなことをしていたらアイスランドのように国家破綻していただろう。いったん物つくりのモチベーションを失ってしまうと復活させるのは難しく、中国が近代化に脱却できないのも物つくりのモチベーションの崩壊があったからだろう。日本も派遣切などで労働者も使い捨てが定着すれば物作り精神は崩壊するだろう。


モノづくり幻想が日本経済をダメにする―変わる世界、変わらない日本 野口悠紀雄:著

(書評より)
内容については、例えば、日本の近年の円安について、主要国からかつてのような批判が出てこないのは、ドイツやイタリアを除きアメリカやイギリスが脱工業化し、もはや工業国としての日本が脅威にならなくなったから等の鋭い指摘は、相変わらず素晴らしいと思う。
ただ、同氏の、日本は製造業を中心とした産業構造から、金融業を中心とする高度サービス業にシフトすべき、という従来からの主張に対し、今回も個人的に下記の疑問点が解消されることはなかった。
・鉄鋼業を代表に重厚長大産業をひとくくりに批判しているが、日本の素材産業は(エネルギー系を除き)部品産業と共に、国際的に高度な技術力と競争力をもっている企業が多いこと。
・グローバルにものづくりを展開する製造業の位置づけが不明。あるいは、アップルのようなソフトウェアとハードウェアを高度に融合させた製造業の将来性に関する視点が少ない。(一足飛びに高度金融業への転換を主張するより、これら「ネオ製造業」への転換の方が現実的かと思うのだが。)
・中国特需により、一時的に日本の製造業は息を吹き返しているにすぎない、と批判するが、BRICS諸国の発展は、中長期に日本の高度な機械製品の供給を必要とするのではないか。
金融業等の高度サービス業を主体とした産業構造への変革を主張するが、サブプライム問題に代表される不安定性を経済社会の中に内在させる問題性に関する視点が少ない。(実際、ロンドンのシティでは、ボーナスの削減はもちろん、レイオフが開始されたことも報道されている。)



(私のコメント)
野口氏は市場原理主義でありアメリカやイギリスの金融立国を見習えと言う事でしたが、アメリカやイギリスは日本やドイツの製造業に勝てなくなったから金融やサービス業に行かざるを得なかったのだ。要するにゴールドマンサックスなどのアナリストの受け売りが多くてBRICs戦略に乗せられているようだ。

「旧態依然の製造業を生き延びさせてしまった。しかしこのままでは、国境を越えて情報やサービスが駆け巡るグローバル化時代に生き残ることはできない。」と著書の宣伝文句では言っているが、製造業が産業の基本であり、農業ですらハイテク化していくことで競争力を高めていかなければならない。金融立国を目指す国がたくさんありますが、優れた製造業があってこその金融立国であり、製造業と情報産業は対立するものではなく相乗効果をもたらすものだ。

アメリカでもアップルのように製造業とソフト産業との相乗効果で業績を伸ばしているが、日本も単なる物作りだけではない付加価値のある製造業を目指さなければならない。




東大生は「真面目で、新しい物にも関心を持たず、理解力と記憶力が
いい」、だから成績が良かった人は30才までにつぶれてしまう。


2009年1月12日 月曜日

『「超」勉強法』でも丸暗記を提唱しているが・・ パンネーションズコンサルティンググループ

ベストセラーになった『「超」勉強法』の中で、野口悠紀雄・東京大学教授は自らの学習体験をもとに、英語上達のコツは文章を丸暗記することだ、と次のように述べている。
「私は、学生時代を通じて、英語の勉強は少しも苦にならなかった。方法は全く簡単で、教科書を最初から丸暗記したのである。このために特別の努力はいらない。単語の意味をひととおり辞書で調べたのち、朗読する。その際、難しい文法のことは考えず、また丸暗記しようと特別の努力もしない。単語帳も作らない。ひたすら朗読するのである」(同書48〜49ページ)
野口教授は、教科書丸暗記法は楽なだけでなく、単語を覚える際にも便利であるし、英文和訳や和文英訳にも応用できて、英語の成績は目立って上がると主張している。
この野口教授に限らず、英語学習のコツとして文章の暗記を勧める先生はかなり多いし、実際この言説を信奉してせっせとこれ丸暗記に努める学生も数多い。
だが、私が言っておきたいのは、野口教授のようなセンスのある人は、むしろ稀だということである。
多くの人はそれができなかったために、今でも英語が苦手なのだ。そういう人が、また英語を学習し直そうとするとき、学生時代ですらできなかったテキストの丸暗記などできるはずがない。もっと別な方法、もっと効率的な方法があるはずなのである。



(私のコメント)
グローバルな時代を迎えて外国語の習得の重要性は増してきているのですが、日本人の外国語能力は逆に落ちてきているようだ。テレビのニュースキャスターですら英語でインタビューできる人は希であり、ジャーナリストなどは外国人へのインタビューは必要不可欠であり、テレビや新聞社などの採用試験では英語能力などが重要な選抜基準だろうと思うのですが、それでも多くのアナウンサーは通訳任せなのはどうしてだろう?

政治家や文部省の役人が英語教育が重要だと認識するのは分かるが、自分が出来ないのに子供たちに無理やり教え込んでも英語が出来るようになるわけではない。語学学習では文章の丸暗記が必要不可欠であり、記憶力のいい生徒はマスターできるが、記憶が苦手な人には手も足も出ないだろう。「ローマ人の物語」の塩田七生氏は好奇心からラテン語とギリシア語を勉強したそうですが、秀才タイプにはそのような人はいない。

私も小学校の時から勉強嫌いであり試験勉強などしたことが無い。だから進学するときなども浪人になりかけたりして、英語の試験さえなければ東大にも入れただろうと思うくらいだった。英語は丸暗記と記憶力の科目だから普段から一生懸命にやらないと一夜漬けではどうにもならない。漢字の書き取りなども普段からやっていないといい成績は取れない。

つまり記憶力のいいがり勉ほど進学競争には有利であり、東大などで優秀な成績を取るのも記憶力のいい秀才タイプで、独創性や想像力のあるようなタイプの学生は排除されてしまう。もちろん学問には記憶力は非常に重要な要素ですが、それ以外にも創造力などがある。しかしペーパーテストだとどうしても記憶力だけが試されて、他の能力はペーパーテストでは選考できない。

だから東大を優秀な成績で卒業しても社会に出たらぱっとしない人がたくさんいる。マニュアルに書かれた事は記憶して出来るが、実社会にはマニュアル化されたものは少なく、その都度問題解決する創造力が試される。英語などは記憶力オンリーの教科であり、だから英語に偏った入試選抜は間違っている。野口悠紀雄氏が英語を丸暗記で覚えたというのは野口氏が記憶力型の秀才であるからだろう。

大東亜戦争に負けたのも陸軍大学や海軍大学を優秀な成績で卒業した人物が大将になったからであり、戦争はマニュアル通りには進まない。むしろ臨機応変な創造性が要求されるのであり、そのような人物は陸軍大学や海軍大学を優秀な成績では出られない。現在の中央官庁も同じ事であり、政府日銀官僚がバブル崩壊を防げなかったのも経済学の教科書には今のバブル崩壊の事など書いてはいないからだ。

実社会で活躍する人は記憶力のいい秀才タイプよりも、創造力のあるタイプであり、そのような人材は実社会の中から見つけ出すしかないだろう。だからグローバル時代だからといって英語力だけで会社の幹部を登用したら会社は傾くだろう。むしろ英語がダメでも新規事業などを立ち上げて成功させた人材を登用すべきだ。

文章を書くという事は記憶力と創造力の両方が必要であり、能力を見分けるには記述式のテストなどがいいと思うのですが、入学試験で記述式のテストはほとんど行なわれていない。○×テストなら採点は楽だが記述式テストだと採点が難しいから採用されない。入試など1点2点が合格不合格の成否を分けるのだからどうしてもマークシートや○×テストになってしまう。

閉塞感に満ちた現在社会においては記憶力のいい東大型の秀才でななくて、創造力型の天才タイプが求められている。天才タイプというのは自分の好きな分野は非常に努力して記憶出来るが他の分野は全くダメな事が多い。だから中小企業の社長などにこのようなタイプが多いのですが、日本がこれだけ経済発展してきたのも戦後の中小企業から大企業に発展させてきた本田宗一郎や井深大のような天才型の人物が活躍できたからだ。

だからグローバル時代だからといって英語学習にばかり力を入れるのは間違いであり、英語は英語屋に任せればいいのではないかと思う。しかし現実には英語屋がキャリア官僚になり大学教授になり大企業経営者になっているから日本は閉塞状況に追い込まれてしまったのだ。


境野勝悟の講演 「東大型か日大型か」

近年、受験競争が激化して全教科の試験成績が平均して良くないと東大には入学できなくなってしまった。そして、教員生活をつづけているうちに、栄光学園から毎年、東大にストレートで入っていく生徒の特徴、記憶力の権化のような生徒の特異性に疑問を抱くようになった。

 私は教育の理念は「努力」、勉強は努力だ!といってきた。そして、確かに努力して勉強すれば、5段階評価で、1の人は努力すると2に上がる。2の人は3に、3の人は4になる。

 ところが、4の人は努力してもやはり4で、5にはなれない。記憶力抜群の連中が5を独占しまっている。4の人が5に登ってもすぐ落ちてしまう。4の人は努力の人、5の人は生まれつきの人なのだ。

 本当にこれでいいのか。記憶力の権化だけが東大に入っていく今の教育はどこか間違っているのではないか。そう考えて、「長所だけの人間がいるはずがない。記憶力の権化のような生徒にも短所、能力欠点があるはずだ」と観察を続けて、東大型生徒の欠点を明らかにすることができた。

 それは、栄光学園の観察からわかったことで、『誰でも持っている2大基本能力、すなわち、記憶力と創造力には「たして10」という性質がある』ということ。したがって、記憶力の権化のような生徒は記憶力が10だから創造力は0、創造力をもっていない。だから、教えられたことしか記憶できないし、新しいことを工夫することができない。そして、この記憶力抜群の生徒の特徴は笑わない、笑えないということである。

 世の中に出ると、教えられないことを自分で考えて処理していかなければならない。教えられたことしか考えられない、正解のあることしかできない人間では、生きている問題の処理ができる筈がない。

 記憶力型の人間は、「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば並の人」ということわざ、そのものなのだ。

 大抵の人は記憶力と創造力をバランス良く持っている。だから、社会で仕事ができる。社会に出て、本当に活躍している人、組織のトップに立って成功している人は記憶力型ではなくて創造力型の人間なのだ。

 今、世の中で、営業の場で活躍しているのは日大型といわれる人。営業活動は相手の気持ちを受け取れなければ成立しないものだ。どんなスポーツでも、相手の気持ちを考えられなければ、自分だけがどんなに頑張っても絶対に勝てない。相手の気持ちなど誰も教えられない、相手本人が教えてくれることなどまずありえない。相手の気持ちは自分で読む必要があるのだ。そんな場に置かれる営業活動だから、相手の気持ちを考えられるスポーツ選手が社会で活躍できるのだ。

 ところで、創造力10の人間に記憶力がないわけではない。創造力型人間の記憶力には、大きな特徴がある。それは「記憶力の志向性」ということで、自分が興味を持ったものはさっと覚える、興味を持たないものは全然覚えない。

 この創造力型人間は中学時代に、何かを夢中になってやるようになる。夢中になってやると、中には二十歳になる頃には大人の中にはいっても一流といわれる力をつけるものもでてくる。昔のエリートといわれる人はこういう人たちだった。一芸に秀でた人、抜群だった人がエリートとなったのだ。

 記憶力型の人間は、「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば並の人」ということわざ、そのものなのだ。

 ある保険会社で聞いた話。昔は「今年の東大出はあれとあれだ」ということは、「何かあったら奴に聞け」という意味だった。最近では「今年の東大出はあれとあれだ」ということは、「何かあっても奴に聞いても無駄だ」という意味に変ってしまった。今、わが社で、金の卵だと言われている学生は「日大運動部の卒業生」なのだ。

 人間は長所がそのまま短所になる。短所はそのまま長所になる。小中学校時代に長所だった「真面目で、新しい物にも関心を持たず、理解力と記憶力がいい」、だから成績が良かった人は30才までにつぶれてしまう。とても経営者として成功するはずがない。

 自分の興味のあることしか勉強をしようとしない人、創造力型の人は他人の細かい異議には目を貸さず自分のやりたいことを強力に押し進めることができるので、大きな仕事をやり遂げることができるのだ。

 こうした創造力型の人が30代になっても花が開かない条件が一つだけある。それは青少年時代に、「お前はダメだ」といわれ、「俺はダメだ」と劣等感、コンプレックスを持ってしまった創造力型の人は30代になっても花は開かないのだ。



塩野七生の講演 「演題:21世紀にどう入っていくか」(98/6東京)から

疑いを持たない秀才よりも成績が悪くても疑いを持ったほうがいい

 私の出た高等学校は東京都立の日比谷高校です。今は知りませんが、私がいた頃の日比谷高校には、日本中の秀才が集っていたんです。私は秀才ではありませんでしたけれど。中にはノーベル賞を受賞した利根川進さんもいました。

 それで、そういう秀才たちが今どういうところに就いているのかというと、大企業の大変いいところか、それとも官庁のずっといいところにいる人が非常に多い。そして、最近は不祥事なんかが起きると、しばしば名を連ねています。

 そういう中にいて、少女時代の私は成績が悪かったものですから、どうして彼らは成績がいいんだろうと考えたんです。彼らがみんな記憶力がいいという事実は、やはり認めざるを得ませんでした。

 でも、記憶力というのは、今やコンピュータなどがあるわけですから、もう絶対に必要な能力だとは言えません。

 そして、次にわかったのは、そういう成績のいい人たちは、みんな、先生の話に疑いを持たない人たちだということでした。疑いを持たないから、先生の話がすうっと耳に入ってくるわけでしょう。

 ところが私を始めとする成績の悪い生徒は先生が言った一言がびゅっと頭の中にくると、その刺激で連想につながって、すっかりほかのことを考えてしまうんです。そのため、その後の先生の話は一切頭に入ってこないようになってしまう。

 ですから、当時は、疑いをもたないことが秀才になる一つの要因だ、なんて思っていたくらいです。

 しかし、そうではないんですね。やはり疑いを持ったほうがいいんです。何にでも疑いを持つということは、後々まで役立つことだなと、今はつくづく思っています。たとえ、学校の成績がよくなくても、疑いを持ったほうがいいということですね。

16歳の頃にはまったことに今もはまったままでいる

 はっきり言うと、先生の話に刺激を受けてほかのことを連想することは、決して欠点ではないのです。そういう刺激を受けた途端にそれに反応するというのは、好奇心が強いという証拠なのです。この好奇心だけは、私はやはり人並みにあったような気がします。

 16歳の頃、ある本を読んで、それでたちまち私は地中海世界にはまってしまいました。もうその年にはギリシャ語とラテン語をはじめました。当時はどこにも教えてくれるところがなかったので、独学で始めたんです。

 大学でも、ギリシャ語とラテン語を学びたいと思いました。それを教えている先生が東京大学にいらっしゃるので、私は東京大学を受けました。そうしたら、ものの見事に落ちちゃいました。

 当時の日比谷高校では、最初の3分の1はそのままストレートに東大へ行き、次の3分の1は一浪して東大へ行くという学校だったのです。一浪するぐらいは何でもなかったのですけど、私の場合は「どうも一浪してもは入れないなあ」と見極めをつけてざるを得なかったわけです。

 東大でギリシャ語を教えているという先生は、呉茂一という方でした。東大を諦めざるをえなかった私はどうしたかというと、その先生がほかに何処かの大学に出張講義をしておられるのだろうかと探したんです。そうしたら学習院大学でも教えていらした。で、学習院大学なら入れるだろうと思って受けまして、先生の指導を受けることができたんです。

 考えてみれば、私は16歳の頃にはまっちゃったことに、今もまだ、はまったままでいるんですね。それがよかったか、悪かったかは別として。

 しかし、本当を言うと、私の高校時代は孤独でした。ギリシャ、ローマなんていっても、同級生の誰一人として関心を持つ人がいなかったからです。誰にも理解してもらえなかったんですから。あの当時を思い出すと高校時代の同期会にはあまり行きたくない気もするのです。

好奇心が文明というものを生み出した

 好奇心を働かせることで他者から受けた刺激をもとにして何か新しいものを創造するという現象は、文明の発祥にしばしばつながります。

 一つの例が地中海です。なぜあそこで三大宗教のうちの二つまでが生まれ、哲学が生まれ、民主主義体制までふくめたすべての政体が生まれたのか。それは、舟で行き来する程度の交通手段しかなかった時代にとって、ちょうどいい大きさだったからだと思うんです。異分子がぶつかり合うのにちょうどいい広さだった。

 だからギリシャでも、ギリシャ文明の最初はアテネから始まってはいません。現在ではトルコになりますが、小アジアの西岸地帯のイオニア地方というところから始まりました。

 あの一帯には良港が沢山ありまして、オリエントのものとオチデント(西洋のこと)各地方からの物産が集ってきたんです。

 そうやって商品が運ばれてくるということは、人間が運ばれてくるということでもあります。人と物の往来が激しいということは、別の考えも入ってくるということです。

 そういうところには刺激があります。刺激を受けそれに反応することによって、始めて新しいものが生まれるのです。新しい物が生まれるというのは、つまり、いろいろの刺激というものを好奇心でフォローして、それを自分の中で耕すことによって成されるからでしょう。

 それは、例えば、饅頭一つ作るのでも違ってくるのです。小豆の代わりにクリームを入れてみたらどうだろうかというように。そういう小さいことにまで、何か違った要素が入ってくるのです。

 そうして、新しいものが作られていくわけです。この意味でも、好奇心というのは大切なんです。



(私のコメント)
役所にある提案をしても役人たちは「前例が無い」ということで提案は却下されてしまうのは、彼らが教科書に疑いを持たない秀才だからであり、だから正解のない問題にぶち当たると彼らの能力は全く生かせなくなってしまう。野口悠紀雄氏は類希なる記憶力で東大教授になれたのでしょうが、彼らのような秀才タイプの学者の書いたものは要するに受け売りばかりだ。

彼らは、「真面目で、新しい物にも関心を持たず、理解力と記憶力がいい」。それに対して塩田七生氏のような好奇心が旺盛であり、新しいものに対する関心が高いのは学校では必ずしも優秀ではないようだ。グローバル時代だから英語ばかりやるのも秀才たちの意見なのでしょうが、ラテン語やギリシア語こそ古代のグローバル言語だった。

私の小学生時代のあだ名は「天才」であり、興味のあるものはとことん勉強するが、興味の無い英語などはまるで出来なかった。塩田氏が言うようにこれからは記憶力よりも創造力が問われる時代であり、記憶力はコンピューターに任せてグーグルで検索すれば膨大なデータベースが手に入る。英語なども英語のウェブサイトは翻訳ソフトで読めるようになってきたから、貴重な学生時代を英語の記憶で使ってしまうのは才能の持ち腐れになるだろう。




本来、労働者派遣とは、必要なところに必要なだけ労働力を配置する
ために、特別に認められた制度である。賃金カットの手段ではない。


2009年1月11日 日曜日

◆派遣労働、新たな法整備着手で与党が合意 1月10日 読売新聞

与党「新雇用対策プロジェクトチーム」座長の自民党の川崎二郎氏、公明党の坂口力氏が9日、国会内で会談し、15日にも同チームの会合を開き、派遣労働者の待遇改善のための新たな法整備に向け、具体的作業に着手することで合意した。

 法整備は、派遣労働者の保護や派遣業の規制強化が柱。派遣労働に関する厚労省の指針を法律に「格上げ」するもので、派遣先企業が契約を中途解除した場合、〈1〉派遣元企業へ一定期間の賃金相当額を賠償〈2〉派遣労働者に再就職をあっせん−−を義務付けることなどを検討する。

 また、派遣元企業が受け取る手数料割合の上限を設定することを検討し、派遣労働者の賃金アップにつなげたい考えだ。

 手数料割合は、3割を軸に調整する方向だ。悪質な派遣元企業を排除するため、派遣業への参入制限を設けることも検討課題とする。


与党PTの派遣法改正案について 2008年7月3日 NPO POSSE

7月2日、朝日新聞は与党プロジェクトチームが派遣法改正案をまとめたと報道した。その主要な内容は以下の三点だ。

(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止
(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化
(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化
この合意をもとに、与党案を正式決定するという。

 正式な資料を見たかったので、とりあえず自民党に電話をかけてみたが、8日に正式な検討を行うので現在の所詳しい資料などを示すことはできないとのことだった。8日の夕方には正式な資料が公開されるらしい。したがって現在はこの新聞による断片的資料を検討するしかない。それぞれ何を意味しているのかを見ていこう。

○内容の概観

(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止
 これは、昨年話題になった「ネットカフェ難民」の温床とされる、携帯電話で呼び出されて一日限りで行われる派遣を禁止しようというものだ。主としてこれまでグッドウィルやフルキャストが行ってきた。それらの会社は今ではかなり悪名高くなってしまっている。ただ、一日限りの通訳など、仕事が高度で一日限り使うことが適しているものについては例外的に今後も残していこうという話である。 

(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化
 次に、手数料の開示。「マージン率」について規制しようということだ。まずは下の式を見て欲しい。派遣社員の賃金はこのように計算できる。 
派遣社員の賃金=派遣料(派遣先から派遣会社に支払われる)−派遣手数料(派遣会社の利益)

これをみるとわかるように、派遣社員の賃金は手数料が多くなればなるほど低くなってしまう。だからどのくらい中間で手数料を取られているのかを明らかにすれば、賃金が上がるということのようだ。

(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化、などについて合意した。
 最後に「専ら派遣」の規制強化について。「労働者派遣業」の趣旨は、必要なとき必要な場所に必要な人材を配置し、経済効率をあげることにある。だから、長く働き続ける労働者は、本来直接雇用(正社員や契約社員、期間工)で雇うべきなのである。特別な事情で短い間しか雇わないような仕事で変動が激しいため長期間同じ人を雇うことに適さない場合に対してしか、派遣されるべきではないというのが基本原則なのだ。
*(本来有期雇用にもこうした原則が適用されるべきなのだが、ここでは割愛する)
 したがって、一つの派遣会社が同じ派遣先会社だけに派遣することは禁止されている。それだったら、変動に対応していろいろなところに派遣して経済効率を上げる、という派遣本来の趣旨と矛盾するからだ。7月3日の読売新聞の記事も読んでみたが、今回はこの規制を進めて、グループ企業だけに派遣する会社も規制することを意図しているようである。

○何が問題か

 それぞれの改正内容の問題についてみていこう。

(1)日雇い派遣については、通訳など専門性の高い業務を除いて原則的に禁止


日雇い派遣は派遣業の一部であり、これを禁止するだけでは派遣全体の問題に切り込むことができない。例えば、先日秋葉原で殺傷事件を起こした加藤容疑者について、派遣の不安定な雇用環境が犯行の引き金になったのではないかとの議論がある。実際厚生労働大臣の桝添氏も、そうした認識から派遣法改正を急いでいるように見える。にもかかわらず、加藤容疑者のような派遣労働者はこの規制の対象には全く入ってこない。日雇い派遣も当然多くの問題を持っているが、それはあくまでも派遣問題の一部なのである。むしろ今回の改正で日雇いをやり玉にあげることによって、問題の全体が見えなくなる恐れがあるのだ。(わざと、それを狙ってこれを出しているのかも知れないが)

 労働者派遣は、99年まで原則として禁止されてきた。通訳など一部の高度な専門職に限り「例外的に」容認されてきたに過ぎないのだ。そうした専門的な職種以外で派遣労働が蔓延すると、低賃金や不安定化(クビが切られやすくなる)などさまざまな弊害が起こると危惧されていたからだ。

(なぜ日本の派遣法ではこうした低賃金と不安定が起こるのか。その理由は同一価値労働同一賃金原則の不在と、登録型派遣の容認の二点なのだが、これについてはまた稿を改めて論じたいと思う)

 しかし、財界の要求99年以降あらゆる業種に派遣することが認められてしまう。製造業について認められるようになったのは04年以降である。現在では加藤容疑者のいたような製造業の他、公務員や看護師、保育士、調理師、美容師、さらには高校の教師にまで広がっている。こうして広がった業種全般に、派遣による低賃金・不安定化は浸透しているのだ。こうした中で日雇い(特に物流業界などに広がっている)だけに焦点をあてて規制するだけでは、到底不十分であることは明らかだろう。

(2)派遣会社に手数料(マージン)の開示を義務化

次に、マージン率の規制はどうか。確かにマージン率を明らかにすれば、派遣会社が不当に利益を得ている場合発覚しやすくなるだろう。しかし、現実にそれが賃金状況を改善するための手段として、どれだけ役に立つのだろうか。

 派遣会社は当然、派遣するべき派遣社員を獲得するための競争をしている。賃金が高ければ高いほど、若くてまじめな社員を獲得できる。だから派遣会社同士の競争圧力で、ある程度マージン率は下がっていく仕組みになっているのだ。今回の規制をかければ、こうした競争がさらに激しくなるだろう。それは確かに賃金の改善に役立つ。しかし、前半で出した式をもう一度見て欲しい。
派遣社員の賃金=派遣料(派遣先から派遣会社に支払われる)−派遣手数料(派遣会社の利益

 派遣社員の賃金は、派遣料から手数料が引かれた額に等しい。この式では、いくら手数料つまりマージンが減ったとしても、元々の派遣料が低ければ絶対に賃金は上がらないのである。今回の改正でも、実際のユーザーである派遣先企業の派遣料金つまり派遣社員の賃金の大元には、直接影響しないのだ。

 さまざまな情報から鑑みるに、製造業の場合派遣料金はおおよそ非正規雇用で社員を雇った場合(期間工)の賃金と同じ水準らしい。それ以上の額だとあまりコストカットにならないからだ。したがって、例えば直接雇用の期間工の賃金が時給1500円で、派遣社員の賃金が1100だとすると、おおよそ差額の400円ほどがマージンになっている可能性が高い。この400円が派遣会社に入り、派遣会社者それを資金に募集の広告費や事務職の賃金などをまかなっているのである。派遣会社の資金はこの派遣料から引いたマージンなのだから、企業が払う社員の年金・雇用保険などの費用などもすべて派遣料から支払われている。派遣料金がユーザー企業の期間工と同水準ということを前提にすると、派遣社員はその賃金から、会社の分の保険料や会社の募集費用まで支払っていることになる。

 したがって、マージン率の規制や明示は必要だとしても、派遣料金が派遣先の社員の賃金よりも高くならなければ、おのずと格差や低賃金は生じるのである。

 海外の規制!
 ヨーロッパでは派遣先つまりユーザー企業の社員と派遣社員の賃金に格差がつくことを禁止している。そうするとどうなるか。派遣料金はかならず派遣先社員の賃金よりも高い水準になるのである。このように、単に派遣会社のマージン率を規制するだけではなく、派遣先企業をも射程にいれた規制を行わないことには、状況の改善は図られない。


(3)特定企業だけに労働者を派遣する「専ら派遣」についての規制強化

この点については、労働者派遣業の趣旨からいえば当然の措置といえよう。むしろこれまでグループへの専ら派遣の横行が容認されてきたことの方が異常である。

○終わりに

大分長々とみてきたが、このように派遣法改正案の内容は極めて不十分である。本当に意味のある改正をしなければならない。そのためには現実を描き出し、そしてそれを主張していくための社会的な力が必要だ。独りではこの流れは変えられない。公正を求める社会的な力が弱いからこそ、中身のない改正案が平気で出される。NPOやユニオンが連携して公正を目指す法改正が実現していかなければならない。

*7月25日「各党トップに聴く〜希望ある派遣法抜本改正を臨時国会で実現しよう!〜」
主催:格差是正と派遣法改正を実現する連絡会
 →http://haken-net.or.jp/

*ヨーロッパ型規制についての補足

派遣先の社員の賃金と派遣社員の賃金が同一になるように規制すべきである。
このように書くと、「派遣先のユーザー企業にとってはコストカットが派遣活用のメリットなのだから、派遣料金規制を行うとユーザーは派遣を使わなくなり、失業率が上がる」。などという反論が来そうだ。このような反論は極めて興味深い。

本来、労働者派遣とは、必要なところに必要なだけ労働力を配置するために、特別に認められた制度である。そのことによって、労働市場のミスマッチ(必要なところに人がいないために失業が増える)が緩和し経済効率が上がるからだ。


だから、高い料金を払い且つ労働者の雇用を安定させても尚効率が高まるメリットがなくてはおかしい。効率が高まるというのはそういうことだからだ。つまり派遣会社は需給調整を行い、経済効率を上げたために、労働者の賃金以上の報酬を派遣先から得て、その部分が利益になる。こうならなければおかしい。でなければ派遣会社の存在意義はない。

しかしここまで説明してきたように、現実におきていることは募集などの費用を労働者の賃金に転嫁するという事態である。本当に派遣労働で経済効率が上がるのならば、賃金を平等にしても利益が発生するはずなので、ヨーロッパ型の規制は問題ないどころか歓迎できるに違いない。

つまり、ヨーロッパ型規制に反対するのならば、結局は派遣で経済効率など上がっておらず、単にコストを働く者に転嫁しただけだということを、主張することと同じなのである。



(私のコメント)
今日の日曜日の討論番組では派遣労働についての話題が多かったのですが、派遣法についても、あまりにもずさんな法律で派遣会社の手数料なども規制が無くて派遣会社はピン撥ねし放題のようだ。また派遣先から解雇されても派遣会社は次の派遣口の斡旋もしないで派遣会社の寮も追い出されてしまう。

派遣先の会社は、派遣社員は何時でもクビが切れる低賃金労働者であり、派遣会社は派遣先に労働者を派遣してピン撥ねして手数料を稼ぐ就職斡旋会社だ。いわば民間のハローワークであり派遣会社の社員ではなっても派遣先からクビが切られれば派遣会社からも同時にクビが切られるようだ。だから寮も追い出されてしまう。

このような派遣労働の実態は派遣法が意図的に大企業に有利なように作られて、大企業は正社員を減らしてどんどん派遣社員に切り替えていった。そして今では派遣社員が3割を占めるようになり、欧米に比べても異常に派遣社員の比率が高くなっている。若年労働者の5割が非正規労働になり、企業のコストカットの手段になっている。

99年には派遣法は原則自由になり、04年には製造業にも派遣が認められるようになり、今日のような派遣労働者の大量解雇につながっているのですが、このような事は法案の審議が十分に行なわれていれば想定できた事だ。国会議員は法案の審議が仕事なのですが、役人たちに丸投げして法律が作られている。

今回は派遣労働者がトヨタやキヤノンなど大企業から大量解雇されたから大問題になりましたが、派遣社員の個々の首切りと寮の立退きは以前から行われていた事だ。しかし派遣労働者は社会的弱者であり泣き寝入りしてきた。秋葉原の無差別殺人事件の加藤は例外的な存在であり、多くがホームレス化していく。

大企業は正社員を減らして非正規労働者に切り替えることによってコストカットに邁進して企業利益を増大させてきた。その結果株式配当と役員報酬は倍になって、労働分配率は低下していった。大企業にしてみればこのような派遣労働を認めなければ工場を海外に移転させると脅してきますが、中国だろうが東南アジアだろうが出て行けばいいのであり、長い目で見れば泣きを見るのは海外に出て行った大企業なのだ。


中国におけるコスト上昇で外資系企業の撤退が続出 2008年4月25日 富士通総研


派遣切りを行なっている大企業も、景気が回復すれば人手不足で悲鳴を上げて外国人労働者まで海外から呼び寄せて「海外研修生」として働かせてきた。大企業から見れば工場労働者は人材ではなく物であり、景気が悪くなれば簡単に切り捨てる。


外国人労働者受け入れ…生活できる仕組み必要 2008年8月5日  読売新聞


日頃から財界や政府や自民党は少子高齢化で外国人労働者を受け入れる事に前向きなようですが、日本人の若年労働者でも景気が悪くなれば簡単に切り捨てていたのでは、日本から熟年労働者がいなくなり、未熟練の非正規労働者ばかりになる。この事は株式日記でも書いてきたのですが、日本の政府も大企業も長期的な経営が出来なくなってきたのだ。

大企業の正規労働者もこのような雇用環境が変わってくれば非正規労働者や外国人労働者に切り替えるぞと脅しつけてサービス残業を行なわせて実質賃金を引き下げている。国や地方に対しては法人税を安くしなければ海外に出て行くぞと脅しつけて法人税を安くさせているが、このような企業は海外に出て行かせればいいのだ。

トヨタやキヤノンが海外に出て行けば、国内には新しい自動車会社や情報家電会社が出来て来るだろう。アメリカ製のトヨタ車や中国製のキヤノンカメラを日本人が買うだろうか? 工場を海外に持っていけば品質管理もままならず労使関係も国内のようには行かないから、中国に出て行くと言うのは竹中平蔵と大前研一くらいだろう。

ならば派遣労働法はどのように改正すべきなのだろうか? やはりヨーロッパ型の派遣労働法制に変えていくべきだろう。同一労働同一賃金の原則は日本の派遣法には無い。セーフティーネットも無くクビを切られても派遣労働者が路頭に迷うのでは国の怠慢であり、小泉構造改革のイタミに国民は耐えかねている。だから今衆院選挙を行なえば自民党は大敗するだろう。国民は小泉純一郎にだまされたと思っている。

このような派遣法になったのも、経済学者やエコノミストのレベルが低くて、マスコミも役所や大企業よりだから、とんでもない法律が次々通ってしまう。欠陥だらけの法律が次々できるのも国民の政治に対する無関心が原因なのでしょうが、識者たちの低劣な意見がまかり通ってしまうのは国民の意識レベルにも問題があるからだ。


ニュースと感想  (1月10日b) 小泉の波立ち

こういうお馬鹿の代表は、例によって、池田信夫だろう。
 (1)
 日比谷公園の派遣村で苦しんでいる人がいる、というのを、馬鹿にして、鼻であしらっている。
  → 池田信夫 blog 1
 (2)
 「需要と供給」というのを、高校生レベルでのみ語っている。高校生並みの初級知識しかない。
  → 池田信夫 blog 2
 失業の発生を、小学校の算数レベルでのみ語っている。小学生並みのの初級知識しかない。
  → 池田信夫 blog 3
 上の二点(2,3)が成立しないということは、現実を見れば、簡単にわかる。中学生並みの知識があれば、簡単にわかる。
 実を言うと、彼が 2 で「高校生」と語っているのは、間違い。受給曲線の知識は、高校ではなく、中学で学ぶ。( → 出典 ) だから、彼は「高校生並みの知識しかない」のではなく、「中学生並みの知識しかない」のである。
 また、彼が 3 で語っているのは、「奴隷を禁止すると、奴隷が失業してしまう。ゆえに奴隷解放反対」というような論理。馬鹿げている。というか、馬鹿そのものかも。


(私のコメント)
日本の経済学者やエコノミストはバカが多くて、言っていることは日持ちがしない。竹中平蔵や野口悠紀雄や財部誠一や大前研一など名前をあげていけばきりがない。マスコミも臆病だから政府批判や大企業に反する経済学者やエコノミストはテレビから追い出されて干されてしまう。確かにトヨタやキヤノンはテレビCMの王者であり奥田会長の意見に逆らえばトヨタのCM料が入らなくなる。


「テレビも節度が必要」 奥田氏批判受け民放連会長 2008年11月21日 西日本新聞




米国と中国の相互中毒状態をニーアル・ファーガソンは「チャイメリカ」
と命名した。まさに恐怖の均衡であり米中抱き合い心中は避けられない。


2009年1月10日 土曜日

チャイメリカ 1月6日 中央日報

1980年代半ば、英国のある製薬会社が抗うつ剤の臨床試験を行った。 驚いたことに、喫煙患者の場合、一斉に喫煙欲求が消えた。 ニコチンと抗うつ薬が似た役割を果たしたのだ。 ニコチンは脳の中で快楽と関係がある化学物質ドーパミンの分泌を促進する。 喫煙者にとって禁煙が難しい理由だ。慣れた快楽と決別し、憂うつ・不安・焦燥と戦う決然とした意志がなければ、ニコチン中毒から抜け出すことは永遠にできない。

  新年の決意で甘い中毒との絶縁に苦しんでいる喫煙者だけではない。 米国と中国がちょうどこうした境遇だ。 両国はさる数十年間、お互いを中毒にさせ、双方にとって良い時代を謳歌した。 価格の安い「メード・イン・チャイナ」商品をどんどん買う米国があり、中国経済は2けた成長を継続できた。輸出で稼いだ莫大なドルを中国は米国国債に投資した。 そのおかげで米国人は我先にと融資を受け、大きな車や大きな家を買った。政府も国民も負債を恐れず人の金でぜいたくに暮らしてきたのだ。

  米国と中国の相互中毒状態をハーバード大教授(経済史学)ニーアル・ファーガソンは「チャイメリカ」(Chimerica)と命名した。 「チャイメリカ」が全世界を揺るがしている経済危機の背景の一つに挙げられている。 最近ニューヨークタイムズは「使うことを知らず貯めるばかりの中国が低利で金を貸したせいで米国の消費狂風、住宅市場バブルが触発された」と皮肉った。

  しかし誰の責任がより大きいかを問うのはおかしい。 米時事週刊誌ニューズウィークの編集長ファリード・ザカリアは著書『アメリカ後の世界』で密接にかみ合って動く米中経済を冷戦時代の「相互確証破壊」(MAD)に例えた。 米国とソ連がお互いを潰滅させる核兵器を保有したのがむしろ核戦争を抑止したように、米国と中国が経済的に「恐怖の均衡」状態を維持しているという意味だ。「チャイメリカ」による平和と繁栄も虚像にすぎないということだ。

  禁断の苦痛が大きくても米国と中国は中毒から抜け出し、健康を取り戻さなければならない。 米国は輸出競争力を改善して経常収支赤字を減らし、中国は消費を促進して輸出不振による景気沈滞を防ぐべき、というのが専門家の処方だ。 容易ではないが、それが両国を生かす妙薬なのだから仕方ない。   


2008年11月1日 INVESTMENT LIFE

米国大使(米中関係を担当するすべての高官)は中国に、中国とアメリカの国益は連動していると念押しする必要がある。さもなければ事態は途方もなく悪化しかねない。

エコノミストは左派も右派も、米経済には大規模な財政刺激策が必要で、今は財政赤字を心配している余裕はないという点で一致している。

しかし、総額1兆〜1兆5000億ドル、GDP(国内総生産)の7〜10%にも達する財政赤字を前に、誰かがアメリカの債務を買い取らなくてはならない。それが出来る現金を保有している国は、中国だけだ。

9月に中国は、米財務省証券を大量に購入しなくなった日本を抜いて、最大の対米債権国となった。

財務省に記録はないが、米公債の10%を保有する中国が国内外で最大の債権者であることは、ほぼ確実だ。中国には「アメリカの銀行」と続ける資金力はある。中国の外貨1準備高は約2兆jに達する(アメリカは730億j)。

しかし中国は、欧米が中国の輸出品を買わなくなり、自国の経済が急激に減速していることを懸念している。大規模な景気刺激策によって経済成長を、昨年の12%とは言わないまでも、年6〜7%には回復させたい考えだ。

中国は自国の成長を優先させる

中国が11月9日に発表した景気刺激策は総額4兆元(6000億j)近くになる見込みで、GDPの実に15%に相当する。

中国政府は雇用を維持し、労働者のストライキや抗議を最小限に抑えることを重視するから、必要なら数百億j規模の追加もいとわないだろう。

一方で、アメリカは財政赤字が拡大しても景気刺激策を打ち出せるように、中国どうしても景気刺激策を打ち出せるように、中国にどうしても米国債を買い続けてもらわなければならない。

アメリカは中国に対し、史上最大規模となる二つの財政拡大―アメリカと中国の財政拡大―に、同時に出資してほしいと頼んでいるようなものだ。

中国はそれに応えようとするだろう。米経済の活性化は彼らの利益にかなうからだ。ただし当然ながら、中国自身の成長のほうが優先順位は高くなる。

「中国とアメリカは同じくらい依存し合っていると思いがちだ」と、01年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは言う。

「だがもはやそうではない。中国が経済成長を維持する方法は二つある。一つはアメリカの消費者に融資すること。もう一つは、自国の成長を刺激する規模の消費ができるようになりつつある自国の市民に融資することだ。彼らには選択肢があるが、われわれにはない。」

歴史学者のニーアル・ファーガソンは素晴らしい新著『マネーの台頭』で、冷戦後の新しい国家の誕生を論じている。

彼が「チャイメリカ」と呼ぶその国は、世界の陸地面積の10分の1と総人口の4分の1を擁し、過去8年の世界の経済成長の半分を担う。

「しばらくは理想的な結婚に思えた。東チャイメリカ人は貯蓄をし、西チャイメリカ人はカネを使った」。東部は成長し、西部は低インフレと低金利を維持した。

ファーガソンも中国には選択肢があると考える。「中国はアメリカの消費を維持するためにもちろん努力するだろうが、うまくいかないと分かれば次の計画に移る」。

次の計画とは、財政支出の拡大と中国国内の金融緩和により、中国の消費を底上げすることだ。

「チャイメリカが一緒にいるなら、困難を切り抜ける道がみつかる。(今回の危機で)別れるなら、グローバル化にも別れを告げることになる」と、ファーガソンは言う。

近年の最も重要で困難な大使職は、疑いようもなく駐イラク大使だった。しかしこれからの10年、最も厳しく最も決定的なポストは恐らく駐中国大使になるだろう。


(私のコメント)
昨日の株式日記でも、アメリカの発行する巨額の国債をどこが買うのかという疑問を書きましたが、アメリカ政府は中国に期待しているのだろう。中国も生産品をアメリカに買ってもらわなければ高度成長政策は続けられない。このような関係は90年代から現在に至るまで成功してきたのですが、アメリカがコケれば中国もこける相互依存関係であり、株式日記でも米中は抱き合い心中するだろうと書いてきました。

これは日米関係で成功してきた経済モデルであり、国際金融資本は中国を新たなる投資先として選んで、集中的に投資してきた。ロックフェラーにしてみれば中国のような独裁国家なら労働者を安く使えるし、中国政府の要人を丸め込んでしまえば好きな事ができる。

78年からの改革開放政策も当初はなかなか上手く行かず、90年代になって外資を積極的に利用する事で高度成長の波に乗る事ができるようになった。外資には日本企業も入っているのですが、東南アジアなどでは高度成長が続くと人件費が上がり採算が取れなくなるのですが、中国は若年労働者が無尽蔵にいるから人件費の心配が無い。

それとは対照的に日米関係は貿易摩擦が悪化して日本叩きが行われるようになって、円高で日本の輸出企業は採算が取れなくなって行った。その結果、日本企業も続々と中国へ工場を移転させて貿易摩擦を回避しようとした。その結果、中国は世界の工場となり外貨準備を2兆ドルも溜め込むまでになった。

まさに「チャイメリカ」というべき体制が出来上がり、米中経済同盟が出来上がった。それに対して日本経済の地盤の沈下はじわじわと進んで90年代からの長期の低迷は「日本病」とも言われるようになり、一人当たりのGDPは18位まで落ちて太田弘子経済財政大臣は「もはや日本経済は一流ではない」と国会演説までする事態となった。

まさに米中経済同盟は成功して、日本は国際金融資本にとっての草刈場になるところだった。サブプライム問題から発生したアメリカの金融恐慌はまさに「神風」というべきものであり、リーマンブラザースは破綻してベアスターンズやメリルリンチは吸収合併されて、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは商業銀行への転換を余儀なくされた。

このような投資銀行はアメリカの金融立国における中心的存在であり、政権内部には投資銀行出身者が要職を担ってきた。そして米中経済同盟を進めてきたのも投資銀行でありBRICs戦略はゴールドマンやモルガンの経済戦略だった。日本に対して多くの規制の緩和や改革を要求してきて日本企業は丸ごとM&Aで買収される寸前に「神風」が吹いた。

まさに「チャイメリカ」は「世界の陸地面積の10分の1と総人口の4分の1を擁し、
過去8年の世界の経済成長の半分を担う」超大国なのですが、その戦略は曲がり角に立っている。中国は55兆円の公共事業で内需の拡大を図るようですが実現は可能なのだろうか?

アメリカも公的資金で金融機関や自動車メーカーを救済するようですが、数百兆円もの資金を中国からの資金で賄えるはずがない。アメリカの経済戦略を担ってきた投資銀行は無くなり、銀行も企業も巨額の赤字と不良債権を抱えて、その規模は計り知れない闇の中だ。まさにアメリカと中国は抱き合い心中してもらうしかないのであり、アメリカや中国のような超大国が生き残れる時代は終わった。

アメリカも中国も、ソ連のように幾つかの国家に分解して生き残っていくしか方法は無い。それだけ地球規模のパラダイムの変化が起きているのであり、石油エネルギー文明が終わろうとしている。アメリカ文明は大型乗用車に乗って巨大スーパーで買い物をして大型の冷蔵庫に冷凍食品を詰め込んで生活してきた。中国も年間500万台もの自動車が売れて石油爆食時代を迎えた。その結果が1バレル147ドルの石油の高騰だ。

「チャイメリカ」は中国の奴隷的低賃金でアメリカの繁栄を維持しようとしたのだろうか? あるいは経済発展が進めば中国も民主化が進んで日本のような自由な民主国家になると思っていたのだろうか? アメリカも金融立国で恒久的な繁栄を維持できると思っていたのだろうか? そしてイラクを占領すれば石油は手に入ると思っていたのだろうか? そしてドルは印刷すればいくらでも使えるというドル基軸通貨体制がいつまでも続けられると思っていたのだろうか?

「チャイメリカ」アメリカ人と中国人の幻想の産物であり、日本からのマネー供給と技術供給が絶たれてしまえば投資銀行も巨大自動車メーカーも破綻して倒産してしまう。投資銀行は日本からの資金を調達して40倍から50倍のレバレッジで投資をしてきたが、日銀が金利を上げたとたんに歯車は逆回転を始めた。さらにアメリカのメーカーが作る自動車はガソリンバカ食いで商品としては売れなくなった。

80年代までは日本とアメリカとの「ジャメリカ」でアメリカの繁栄を維持できましたが、中国とアメリカとの「チャイメリカ」は破綻の兆しが見えてきた。アメリカと中国とは相互補完的ではなく利害が対立して石油などの資源を奪い合う事になれば「チャイメリカ」は幻想の産物である事が分かるだろう。アメリカはパートナーの選択を間違えたのだ。アメリカは日本から見放されればおしまいなのだ。




3年物の米国債入札では、特に海外の投資家を中心に需要が衰える兆し
が見られ、米国債市場のバブルが崩壊しかねないとの懸念が高まった。


2009年1月9日 金曜日

米国3年債の海外需要に陰り、バブル崩壊の兆しか 1月8日 ロイター

[ニューヨーク 7日 ロイター] 7日に実施された3年物の米国債入札では、特に海外の投資家を中心に需要が衰える兆しが見られ、米国債市場のバブルが崩壊しかねないとの懸念が高まった。実際に米国債市場が崩壊すれば、世界経済に深刻な影響をもたらす恐れもある。

 海外の投資家は5兆8000億ドルに上る米国債の半分程度を保有しているが、この日行われた300億ドルの3年債入札では、海外勢による落札額は通常を下回る水準にとどまった。

 米政府は金融システムや自動車業界の救済に必要な資金を調達するため、今年は約2兆ドルの債券を発行する計画で、この日の3年債入札も過去最大規模となった。

 海外の中央銀行による入札分を含む間接入札者の落札比率は約28%で、12月に行われた3年債入札の35%を大幅に下回った。

 米国の短期国債利回りは昨年12月中旬に、リスク資産から安全資産への資金シフトが加速したことで過去最低水準まで低下した。

 しかしアナリストによると、投資家はここにきて記録的な低利回りとなった米国債をさらに買い進むことを躊躇(ちゅうちょ)し始めた。それによって利回りが反転すれば、資金調達に苦しんでいる企業や家計の借り入れコストを押し上げ、低迷している景気に追い討ちをかけかねない。

 カボット・マネー・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ウィリアム・ラーキン氏は「年が明けてから、多くの投資家が利回りがいかに低いかをあらためて認識し始めた。相場の高さに腰が引けてきた」と指摘している。

 ラーキン氏によると、最近になって米国債が売られている理由の1つは、米国債に対する株式や社債の利回りスプレッドが過去最高水準に達したため、昨年末から投資家が株式や社債に打診買いを入れてきたこと。第2の理由は、世界全体でソブリン債の発行が増加しているほか、米国債の大量発行も控えていることで需給懸念が生じていることだという。

 その結果、10年物米国債の利回りは昨年12月中旬につけた過去最低の2.04%から50ベーシスポイント(bp)程度上昇した。

 海外の中央銀行は自国経済を支えるために資金を国内にとどめておく必要があり、米国の財政が著しく悪化すればなおさらのこと、米国債への投資を控えようとするだろう、と予測するアナリストもいる。

 もっとも、特に中国や日本など最も多額の米国債を保有している国をはじめとする海外の需要をすべての関係者が懸念しているわけはない。

 米連邦準備理事会(FRB)の週間データによると、海外の中央銀行は今のところ着実に米国債を購入している。

 JVBフィナンシャル・グループのチーフエコノミスト、ビル・サリバン氏は「それがすぐに変わるとは思えない。カストディ保有高は非常に力強い需要を示している」と述べ、景気の悪化が続けば安全性の高い米国債への需要はしばらく続く、との見方を示す。

 それでも、債券市場関係者は7日の3年債入札は不調だったとみており、入札結果発表後、相場は下げ足を速めた。

 シアトルのブローカー、D.A.デビッドソンのシニアトレーダー、メアリー・ハーレイ氏は「これまでの入札ほど海外勢の需要が強くなかったことは間違いない。彼らは資金を国内向けに使わなければならなくなっている」と述べた。

 短期債利回りの上昇は、大量の国債発行による影響をより受けやすい長期債利回りの大幅上昇の前触れとなる可能性がある。

 米国債への需要を占う上で、8日に実施される160億ドルの10年債入札が関心を集めている。



ドイツ入札失敗、イギリス借金危険水域で債券パニック テレグラフ 1月8日 今日の覚書

イギリスの国家債務は来年末までにGDPの70%近くまで爆増し、ドイツを追い抜いて先進国一の借金王になっちゃうぞ、とフィッチが警告。

「借金ダイナミクスからいえば、イギリスは『AAA』倶楽部の中でも群を抜いて最悪。そもそも財政事態がボロボロ」と同格付機関のソブリン・レート部長ブライアン・コールトン。

国が銀行救済費用や巨額の予算赤字穴埋め用の資金を、十分な資金を国際債券市場から同時調達するのは、どんどん難しくなるだろうとコールトン氏は語った。 イギリスの場合は、銀行救済だけでGDPの7%になる。

昨日、この危険は余りにも生々しくなってしまった…ドイツですら国債シーズン開幕を告げる、毎年恒例「シルヴェスター・オークション」で国債を完売出来なかったのだ。 投資家が引き受けてくれた10年ブントは、売り出された60億ユーロ中たったの2/3。

市場はフリーズしてしまった。 利回りが34ベーシス・ポイントも跳ね上がって3.29%になる中、ブントの価格は暴落した。 勿論、ユーロ経済圏全域でも同じような状況になってしまった。

「悲惨だね」とモニュメント証券のマーク・オストウォルド。 「20年間ブント・オークションを見てきたけど、ブンデスバンクが1/3も売れ残りを出すなんて初めてだよね」

今日のスペインとフランスの債券入札が計画通り実施されるかどうか、はたまた世界は、大量の国債が市場に溢れ返る中での「バイヤー・ストライキ」を目撃し始めるのか、トレーダーは鵜の目鷹の目だろう。

次の世界の金融システム危機は、既に債券バブルの噂を心配する国債自警団の反乱じゃないのかね、との懸念がある。 そんなことになったら、固定金利型モーゲージや社債用の金利まで上がるじゃないか。 中央銀行は債券を直接買い付ける(つまり「紙幣を印刷する」)ことで、時間稼ぎは出来るだろうけど、永遠にやるのは無理だしねえ。

アメリカだけでも、今年は2兆ドルも国債発行するんでしょ。 ヨーロッパ勢だって五十歩百歩だし。イタリア一国でも、巨額の国家債務をロールオーバーして、不景気対策費用を捻出するために、2,000億ドルも調達しなきゃいけないし。 フィッチ曰く、償還期限がやってくるから、アイルランド、ギリシャ、オランダ、フランスのオークション予定は詰まりまくりだねえ、とのこと。

イギリスは今年1,460億ポンド出すそうで。 昨日の20億ポンド分はスンナリ行ったけど、債務管理局は怖いのはこれからだろう、と警告してます。

債務管理局の親分、ロバート・スティーマンは、投資家のイギリスに対する我慢もそろそろ限界だろうねえ、と言っている。 「入札が失敗するだろうなんて予言しているわけじゃないけど、その可能性は否定出来ないし。だって凄い額を売るんだよ。一年前とは別世界だ」とブルームバーグ・ニュースに語った。

イギリスが皆が羨む「AAA」格付をキープする限り、債券市場からほどほどの値段で資金調達をすることは出来るだろうが、この格付も遂に完全に安泰というわけではないらしく…。

フィッチ曰く、2007年は対GDP比44%だったイギリスの借金は、2010年下旬には68%まで増加するだろうとのこと。 先進国としてはビックリ仰天の増加だよね。 普通はさあ、戦争でもやらなきゃ起こんないよ、こんなダメージ。


(私のコメント)
アメリカやヨーロッパでは公的資金による金融機関の救済や景気対策による財政出動が行なわれていますが、大量に発行される国債は誰が買うのだろうか? 当面はリスク資産を処分した投機資金が安全性を求めて国債を買うのでしょうが、アメリカではゼロ金利で買うだけのメリットはない。日本の国債なら円高で為替差益も考えられますが、米国債はドル安でわずかな金利では米国内では消化できないだろう。

売れ残ればFRBが引き受けるしかないのですが、FRBは日本などに買えと言って来るだろう。しかし日本や中国や産油国で買える米国債は100兆円ぐらいが限度であり最大700兆円もの財政資金の手当てはどうするのだろう? やはりデフォルトするかハイパーインフレでジンバブエ化するしかないかもしれない。

しかし米国債はドル建てで紙幣を印刷すれば償還できるから問題ないのでしょうが、とてつもない高金利で新規国債を発行せざるを得なくなるだろう。カーター政権の時も短期金利が20%まで跳ね上がった時がありましたが、そのせいでアメリカの産業は壊滅的な打撃を負ってしまった。今度やってくるハイパーインフレは20%ではすまないだろう。

日本の経済学者やエコノミストには、最近のドルや米国債の動きからアメリカ経済は心配ないと言うオッチョコチョイがいますが、国債発行が本格化してくれば昨日のロイターのようなニュースが多くなってくるだろう。3年物の米国債でも応札はわずか28%しかなく、売れ残った国債は全部FRBが引き受けているのだろう。現在のアメリカ国内には低金利の米国債は買う人がいない。

ドイツやイギリスも大量の国債発行が行なわれていますが、ドイツでは三分の一が売れ残ってしまった。おかげで利回りが跳ね上がってしまったそうですが、イギリスも大量の国債発行が控えている。これではいくら安全性を求めて国債が売れてはいても、これからはどうなるか分からない。

そこで注目されるのが日本の資金供給力であり、1500兆円の個人の金融資産だ。しかしアメリカもゼロ金利政策では利回りで米国債を買う人はいないだろう。どうしても買えというのなら円建ての米国債を発行させて利回りも高くする必要があるだろう。ドルの暴落は日本にとってもマイナスだから、円建て米国債で資金供給すべきだろう。

カーター政権時代もドイツマルクやスイスフラン建ての国債がありましたが、非常事態になれば円建てでも米国債が発行されるようになるだろう。円建てで米国債が発行されれば円売りドル買いが発生するから日本にとっても円高対策になる。


円建て米国債を大量に発行させ、公的資金の財源に充てさせる。日本政府は巨額の米国債を軸に国際円資産市場を整備する。 2008年10月29日 株式日記

金融救済プログラムでドル不足、財源不足に陥っている米国に対し、円建て米国債を大量に発行させる。すると米国が直接、日本円で資金調達し、信用力の高い米国債の円市場が成立する。日本企業もアジアの企業も円建て貿易決済する環境が生まれる。ここで日本政府は一挙に、円資産市場を整備する。日本の金融機関はここで初めて国際競争力を持つことになる。財務省、日銀の役割は非常に重要だ。

財務省はドル買い介入の権限と円建て債の条件整備につとめる。日銀は十分に円資金を市場に流し、円建て米国債の消化を助ける。日銀が円建て米国債を市場から買い上げるわけだ。



(私のコメント)
現在ドルや米国債を買って持っているのは中国政府ですが、これからも買い続けていくのだろうか? アメリカは金融恐慌で消費が大幅に落ち込んで年末のクリスマス商戦も5割6割は当たりまえの値引きで売っている。中国ではアメリカへの輸出がストップして多くの工場が倒産した。失業した工場労働者たちの不満は中国政府にも向けられるだろうし、倒産させられたアメリカに対する恨みが爆発する時が来るだろう。そうなれば中国政府はドルや米国債を買うことが出来なくなる。

産油国も石油の暴落で外貨の余裕が無くなりドルは買えない。ヨーロッパも足元に火がついているからドルは買えない。となるとドルや米国債を買えるのは日本ぐらいですが、ドル建てでは個人では買う人は限られる。となれば円建て米国債でしか売れないだろう。

オバマ政権ではジョセフ・ナイ氏が新駐日大使に内定したようですが、それだけ大物大使を任命して圧力をかけてアメリカ経済を助けさせようというオバマ新大統領の期待の現われだろう。それだけアメリカにとっては日本が命綱になっているのですが、それを自覚していないのが日本の政治家たちであり、アメリカ政府高官の前に出ると蛇に睨まれた蛙になってしまう。


米駐日大使にジョセフ・ナイ氏 オバマ新政権 1月8日 朝日新聞

【ワシントン=加藤洋一】オバマ米次期政権は、次の駐日大使に元国防次官補で現在ハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏(71)を起用する方針を固めたことが7日、明らかになった。ホワイトハウス、国務、国防両省で東アジアを担当する高官の人選も終えており、政権のアジア政策チームの主な顔ぶれが出そろった。

 政権発足前に駐日大使の人選が行われるのは異例で、オバマ政権の対日関係重視の表れと見られる。関係者によると、起用方針はすでにナイ氏に伝えられており、同氏は受け入れる方向だという。大統領による指名と上院の同意をへて正式な任命となる。

 ナイ氏はクリントン政権で国防次官補をつとめ、96年の日米安保のいわゆる「再定義」を担当した。ブッシュ政権が誕生する直前の00年と今回の大統領選を前にした07年の2度にわたり、アーミテージ元国務副長官とともに対日同盟政策の包括的な戦略文書「アーミテージ・ナイ・リポート」をまとめるなど日米関係に深くかかわってきた。

 軍事力など「ハードパワー」に偏らず、価値観や文化など「ソフトパワー」も外交手段として活用すべきだとする「スマートパワー」論の提唱者としても知られる。





日本の場合、融資額は不動産価値よりも「借り手の収入」「勤務先」が
重視され、その融資額が住宅価格の決定にも大きく影響しています。


2009年1月8日 木曜日

日本の住宅ローンは世界から見れば変則です 1月8日 日米住宅漂流記

日本の場合、住宅の価値が下がっても金融機関は困らない

 日本では、ローン残高以下に市場価格が下がっても、ローンを最後まで返済するのは、自己破産しない限り、致し方ありません。一方、米国では、ローン残高よりも住宅価値が下がると、「騙されたと感じる」ということです。このようなノンリコースで住宅金融が組まれている事実を前提に考えないと、米国の「サブプライムローン」問題についての本質を見誤ってしまいます。

 日本の場合、融資額は不動産価値よりも「借り手の収入」「勤務先」が重視され、その融資額が住宅価格の決定にも大きく影響しています。新築物件の場合、「将来、家を売却してもローン価格以上で売却できる」というマーケット価格ではなく、「借り手が借りられる額」の方に、物件価格が近づいてしまいます。

 日本の金融機関は、借り手の収入と契約時の勤務先さえ把握しておけば、その物件の価値の変化や減価を見ている必要はないわけです。住宅の資産価値が下がらないようにする努力が日本で欠けているのは、まさにこのことが原因です。

「借りるより買う方がはるかに得」にした、米国の住宅行政

 米国の住宅購入の仕組み、つまりノンリコースによる住宅ローンは、日本を除く世界中の先進国の住宅ローンの雛形となりました。

 米国では多くの人が持つことを許され、わずかな頭金さえ貯蓄すれば購入できたし、何よりノンリコースによって、安心して購入できたのです。また第2次世界大戦後は、帰還兵に対する住宅支援という理由で、若い人たちでも購入できるように、年俸の2.5倍が住宅の販売価格の目安で大量に住宅が建設され、事実、夫婦共働きであれば購入することができました。

 しかも常に低所得者向け住宅「アフォーダブルハウス」の開発に官民が一体となって取り組み、多くの補助金が投入されました。住宅を持つことに税制上の控除もありました。つまり米国の住宅政策は極めて社会主義的な傾向が強く、多大な補助金によって成り立ち、「借りるより買う方がはるかに得」であるように仕組まれていたのです。

 もちろん州政府によって住宅ローンの金利控除などは異なるので一概には言えませんが、海外から赴任してくる人たちが借りるより買うケースも多い。先進国の中で最も劣悪な医療保険制度と対照をなすのが、世界で最も優れた住宅政策であると言えるでしょう。

 この現実により、預金をするより住宅を購入する、つまり「預金をしない米国人」と言わしめました。しかもインカム(所得)の上昇と自宅の資産価値の自然上昇分をうまく組み合わせながら家を買い替え、その相乗効果によって個人資産を増やす方法が取られ、ほとんどの人々がその恩恵にあずかったのです。そして50、60年代から90年代と様々な経済状況の中においても概ね、住宅の投資は成功してきました。

米国の住宅ローン債権は、米国民の大きな信頼を得て、確実にマーケットで資金を潤沢に確保し、さらに国際的な金融マーケットでも人気の高い金融商品になりました。米国の住宅は、価値が上がっていくものと全世界が認めていたわけです。ただ、返済能力のない人にまで貸した「サブプライムローン」の問題によりデフォルト率が異常に上昇し、「マイホームの価値は下がらない」という米国の住宅神話は崩壊しました。

 サブプライムローンの問題が起きたのは、米国の住宅の価値が世界中から信頼されていて、まるでプライムローンのように過大に評価されてしまった点が大きいと思います。

日本では住宅価値が大きく下落するため、将来に向けて預金するのは当然

 もう一度、日本の住宅について考えてみます。日本では、集合住宅、戸建て住宅ともに、家を購入してひとたび名義が書き換えられたものは、中古物件となって大幅に価格が下がってしまいます。まして注文住宅などの個性的な家は、数年経つとほとんどが資産価値を失い、築後10年もすれば家を取り壊して更地にした方が、かえって高く売れるといったケースもあります。

 日本では住宅ローンを完済したら、住宅はすでに時代遅れの代物になり下がり、残存価値は無く土地価格で評価されます。このような状況では、住宅ローンの支払いのほかに将来に向けて預金するのは当然で、一般の人々が安易に株や投資に動かないのは致し方ないのかもしれません。

 さらに日本の住宅は償却資産であると決められていますから20年も経てばほとんどその価値はありません。この償却資産であるという心理的要因とノンリコースでない理由から、米国とは住宅造り、街づくりの前提条件が、つまりマスタープランがまるで違います。貸し方の金融機関も市場価格については関知しないわけではありませんが、物件価格に対する融資比率は、あくまでも本人のクレジットに負うところが大きく、融資額は本人の所得と勤務先の信用により決まるのです。 

 しかも日本では、万が一にも金融事故を起こしデフォルトすれば物件を競売に出し、残高に見合わない部分は本人もしくは連帯保証人から取り立てるのが一般的な融資条件ですから、家を失ってもまだローンを払い続けなければならない。それが怖くて売るに売れず、絶望的となる図式が社会問題となっているのです。

 米国では、「サブプライムローン」であってもノンリコースが前提で契約されている限り、日本の住宅ローンシステムと比較すると、はるかに「消費者保護」の立場にたって運営されてきました。

 住宅ローンがノンリコースであるかないかは、住宅を取得する者にとって、将来のリスクを考えると大きな違いです。欧米の住宅ローンがノンリコースであることは、社会基盤の整備と資本の論理が連携して確立されました。

 融資期間中は、朽ちることなく飽きられることなく、マーケットで再販できなければならない住宅。そこに20年の住宅ローンを融資するには、「豊かな設計デザイン」、住宅地を正しく維持するための「住宅地管理組合」、そして正しい販売価格を評価する不動産鑑定評価「アプレイザル」が連携し確立する必要がありました。これらはすべて、法律により確立されました。



(私のコメント)
最近の国会審議は非常にズサンであり、国会議員の多くは審議している法案の中身をよく知らない事が多いようだ。「朝まで生テレビ」でも「派遣法の改正は間違いだった」と述べていた国会議員がいましたが、後期高齢者医療制度でも法案がどのようなものか知らない国会議員が賛成投票していた。

そうなってしまうのは法案を作るのも施行するのも役人たちであり、国会議員のほとんどは現場のことが分からない。住宅行政も建設業者と国土省の役人が決めるのであり、耐震偽装があろうと規正法を決めているのが役人たちと建設業者なのだから、業者の内部告発が無ければ耐震偽装問題は闇に葬られたであろう。

日本の住宅ローン法制もおかしなものであり、銀行の都合と建設業者の談合で作られたものだろう。日本の住宅ローンは人に貸すものであり、担保となる住宅は補完的なものでしかない。だから銀行の担保評価はいいかげんなものであり、新築された分譲住宅価格に合わせて評価が決められる。

土地価格にしても公示価格や路線価格や固定資産評価額などいろいろありますが、どれも近隣売買事例などが評価基準になることが多い。だからバブルなどで給与所得が急に上がると住宅価格もそれつれて急に上がるのもそのせいだ。だからバブルの弊害を無くすには日本もノンリコースローンを導入してそれ以外は認めないようにすれば、銀行もいいかげんな担保評価が出来なくなる。

しかし日本の法律は業者と役所の都合で決められるから消費者の代表である国会議員の役割などほとんど無い。日本でノンリコースローンを法制化しようとしても銀行も反対するし建設業者も反対するだろう。それは新築建売住宅を高く売ることが出来なくなって銀行がリスクを負うことになるからだ。

現在の銀行ローンの中では住宅ローンほど安全確実なローンは他にはない。担保はちゃんとあるし返済不能になっても担保を処分して保証人に残債を払わせれば回収ができる。しかしノンリコースローンで貸した場合は担保の住宅を処分した価格でしか回収が出来ない。

日本で中古住宅の市場が発達しないのはノンリコースローンでない事が原因なのであり、日本では中古住宅の上物はほとんど価値がなく土地価格で売買される。税務署に物納する時も更地にしないと受け取らないから、宇和ものは価値がないと評価している事になる。

日本の建売住宅の評価額の大半は土地価格であり上物は添え物でしかない。だから安っぽい住宅が建てられて数年経ったら価値がなくなる住宅ばかりだ。これもノンリコースローンでない事が原因であり、建設業者の安普請の手抜き住宅が氾濫することになる。

本来ならば木造住宅でもしっかりと建てれば100年から200年は持つものであり、神社仏閣でも数百年の建物はたくさん残っている。ところが鉄筋のマンションでも30年も経てば解体されて立て直されることが多い。このように住宅やマンションが30年も持たずに解体されて人が代わるたびに建て直していたのでは国民の財産はいつまで経っても貯まらないことになる。

木造住宅にしても鉄筋マンションにしてもメンテナンスをきちんとすれば100年は持つはずだ。老朽化しても躯体がしっかりしていればリフォームすれば新築同様になるものであり、日本人はどうして住宅に金をかけようとはしないのだろうか? 確かに住宅設備は10年から20年で確実に使えなくなって交換工事が必要であり、特に配水管などの交換は重要だ。

しかし多くの建物は排水管などを交換出来るようにはなっていないから解体されて建てなおされてる。昔の集合住宅は内風呂も珍しかったしエレベーターもついていなかった。電気洗濯機も電気冷蔵庫も冷暖房空調機も無かった。だから昔の住宅は建て直されているのですが、これからも50年も経てば住宅設備は大きく変わるだろう。

これからの住宅はソーラー発電設備や燃料電池が普及して照明器具もLEDなどが普及していくしテレビもますます大画面になってリビングルームも変わっていく。だから住宅の長寿命化もライフスタイルの変化に対応できるもので無ければならない。オフィスビルもハイテク化して電気も大容量になっていく。

私は不動産業者だから古い建物を買い取るのが商売であり、リフォームして高付加価値をつけて貸すなり転売するのが仕事だった。だから建物の躯体はしっかりしているかとか、新しい設備を備える事ができるかなどが大きなポイントになる。現在ある多くのマンションは排水管がいかれても交換が出来ないから解体するしかないだろう。銀行の担保評価はそこまで見ないし、建物は古くなれば資産価値はないと見る。

しかし欧米の建物は古くなってもゆったりと作られているから設備を更新してリフォームすれば新築同様で転売できるが、日本の建物は安普請でリフォームしてもどうにもならないものが多い。住宅ローン制度がノンリコースでなければならないと決めれば銀行も住宅の品質にも評価せざるを得なくなり、一戸建てのみならずマンションなども高品質なものになるだろう。


ノン・リコース住宅ローンを認めよ! 2008年3月17日 枝川二郎

<提言>

「住宅ローンについては原則的にノン・リコース・ローン(住宅を明け渡せば完済とみなされるタイプのローン)以外認めないことにする」

住宅ローンの呪縛がとけて、家の「質」も上がる

   ノン・リコース型の住宅ローンを導入する前提としては、家の価値がローン満期日まで大きく下がらないこと、つまり耐久性に優れた質の高い家であることが必要となる。住宅市場では住宅販売メーカーが最近、地球環境にやさしい「100年住宅」をうたって住宅の質のよさを競っている。ノン・リコース・ローンにすれば、借り手にとっては住宅ローンによる呪縛が軽くなるだけでなく、結果的に家の質も向上することになる。

   また、ノン・リコース・ローンに関する疑問で最も多いのは「ノン・リコース・ローンになると借り手のコストが上昇するのではないか」というものだが、わたしはその心配のもあまりないと考えている。

   それは――

   (1)いままでのような安普請の住宅の寿命が30年、銀行でノン・リコース・ローンのための審査を通った住宅の寿命が60年だと仮定しよう。家を30年後に壊して建て直すコストと比較すれば、たとえ建設費やメンテナンスなどに多めに金がかかったとしても、60年もつ家のほうがコスト的に有利なことは明らかだ。

   (2)人々のトータルな資金力には限度があるので、モノの値段はその範囲内で決められる。たとえば、金利が上がる(下がる)と住宅の価格が下がる(上がる)という現象が起きる。よって、一斉にノン・リコース・ローンにシフトするのであれば、値段の上昇はかなり抑えられると考える。

   (3)日本では建設関係の費用が非常に高く、コストを下げる余地が大きい。アメリカの大半の住宅はツー・バイ・フォーで建てられているが、地震や砂漠、竜巻といった自然環境や災害、アラスカ、ハワイ・・・の地域性などと多種多様な環境を耐えぬいてきた優れた工法でありコストも低い。ちなみに、大正時代にツー・バイ・フォーで建てられた東京駅の赤レンガ駅舎はいまなお現役で活躍している。

   (4)銀行としても、担保価値(金銭的価値)がゼロに近いような安普請の住宅が横行している現状がよいとは思っていないはず。不十分な担保をベースに低利で個人に長期貸付をするほうがむしろリスクが高いのではないか。質の高い住宅を担保に取ってきちんと管理していけば、銀行もノン・リコース・ローンのメリットを享受できるはずだと思う。

   (5)住宅建設は広範な経済効果を有する景気浮揚策となる。政府は道路や橋ばかりではなく住宅にもっと支援をするべきだ。政府が金利の控除の枠を与えれば、支払金利の実質的削減になる。

といった理由からだ。

なにがなんでも返済を強制する日本の「悪習」を正す

   優れた住宅は社会的インフラとして大きな価値をもつ。「悪玉」となったサブプライム住宅ローンにひとつ利点があったとすれば、それは米国民の住環境を前倒しで改善させたということだ。

   アメリカの普通のサラリーマンがどれだけ立派な家に住んでいることか。それに比べてお話にならないレベルにある日本の住環境。その質を向上させる第一歩として、さらには家が倒壊しても失業しても病気になってもローンの返済を強制する、わが国独特の悪習を正すためにも、ノン・リコース住宅ローンの導入を提言したい。





世界経済には、もはや覇権国家は存在しない。米国主導の時代が完全
に終わったのではないが、米国の信用と権威は落ちた。P・クルーグマン


2009年1月7日 水曜日

規制なき市場経済ない…ノーベル賞・クルーグマン教授語る 1月3日 読売新聞

世界金融危機は、市場経済は自由放任にしておけばうまくいくという信仰を打ち砕いた。1930年代の大恐慌後に採られた適度な規制を是とする哲学に回帰すべきだ。

 市場経済そのものが悪いのではない。市場経済はいまだに最善のシステムだが、金融には問題があった。

 引き金を引いたのは、米国の住宅バブルの崩壊である。元凶は、規制もされずに野放しとなっていた米証券会社やヘッジファンドなどによる「影の銀行システム」だ。

 大恐慌を教訓に、銀行への規制や金融の安全網が整えられた。だが、現代の金融の大半を支配する「影の銀行システム」は、実質的には銀行なのに、銀行のような規制を受けて来なかった。住宅ローンを証券化した金融商品などで、借入金を元手に自己資本の何十倍も投資するレバレッジ(てこ)取引を行い、バブルを膨らませた。

 タイタニック号の乗客が沈没するのを知らずに、別の乗客から保険を買ったようなものだ。金融工学を駆使した金融商品は安全だと信じ込んで、皆がバブルでリスクの膨らんだ金融商品を持ち合っていた。

 だから、いったんバブルがはじけると、今度はてこが逆に作用し、負の影響が直ちに世界中に伝わった。米国の住宅バブルと関係のない様々な国々にも、危機は異常なほどの伝染力で広がっていった。

 ◆超大型の財政出動を◆

 私たちは個々の融資を丹念に審査しなくても、金融工学でリスクを管理できると思い込んでいた。市場に自浄作用があるとも信じていた。しかし、結局、それは間違いだった。

 今はまず、政府・中央銀行による救済策が必要だ。大規模な財政出動や慣例にとらわれない金融政策などの対策を打たなければ、不況はこの先何年も続くだろう。新興市場にも深刻なダメージを及ぼし、金融システムに深い傷を残す。一時的な巨額の赤字をためらうべきではない。

 80年代のレーガン政権のスローガンは「政府は問題を解決しない。政府こそが問題だ」だったが、今必要なのは「政府こそが問題を解決する」なのである。

 世界経済には、もはや覇権国家は存在しない。米国主導の時代が完全に終わったのではないが、米国の信用と権威は落ちた。米国は経済政策について多くの国に口出しをして来たが、今やそれは難しい。

 「米国が父親役で、子供たちに何をすべきか諭す世界」でなく、将来の世界経済は、米国と欧州連合(EU)、中国、インドの4大勢力など大国間の駆け引きで動くことになるだろう。日本は、2番手集団の先頭といったところだ。

 米国の景気を回復させるには、大規模で慣例にとらわれない財政・金融政策を迅速に行うことが重要だ。

何も手を打たなければ、現在6%台の米国の失業率は、少なくとも9〜10%に達するだろう。失業率を1%押し下げるには、2000億ドルの財政出動が必要との研究がある。失業率が5%以下の「完全雇用状態」を実現するには、巨額の財政出動が欠かせない。

 財政赤字を懸念する声も聞かれるが、財政出動が将来世代を痛めつけることにはならない。今、経済をテコ入れしなければ、公共投資だけでなく、民間投資も冷え込んでしまう。経済を強くするため、あらゆる必要な手を打つことは、すべての人の利益になる。

 財政出動で最も効果があるのは公共投資だ。資金が貯蓄に回らず消費されるうえ、価値のあるものが最後に残るからだ。日本に比べ速度の遅いブロードバンド(高速大容量通信)網などの情報技術やエネルギー転換への投資など、あらゆることが行われるだろう。

 問題はスピードだ。公共投資は始めるのに時間がかかるが、景気の落ち込みは急速に進んでいる。社会保障給付や減税を組み合わせることが必要だ。1年目は失業者や地方自治体の支援策や広範な減税を行い、2年目以降は公共投資に比重を移していくべきだ。

 オバマ米次期大統領がこうした対策を打てば、米景気は2009年後半にはやや好転するのではないか。

 ◆ゼロ金利政策を支持する◆

 一方、バーナンキ議長の率いる米連邦準備制度理事会(FRB)は、慣例にとらわれない融資や資産買い取りを進め、08年12月にはゼロ金利政策に踏み切った。私はこれを支持するし、FRBは現実を正しく認識していると思う。

 つまり、米国は1998年当時の日本と同じ状況、金利を上下させる通常の金融政策が効かない「流動性の罠」に陥っているのだ。

 私は98年、日本銀行に対して、政策目標とする物価上昇率を示す「インフレ目標」政策を採用すべきだと指摘したが、この議論も再び活発になってきた。

 達成できると、国民に信じてもらうのは難しいが、現在の米国で実際に効果を発揮させるには「向こう10年間、物価を年4%ずつ上昇させる」くらいのインフレ目標が必要だ。

ゼネラル・モーターズ(GM)などの米自動車大手に関して言えば、死に至らしめるべきではない。ブッシュ政権のつなぎ融資は時間の猶予を与えたに過ぎない。今必要なのは、自動車メーカーを再構築し、自動車産業を救済するために真の努力をすることだ。

 多くの人々が示唆し、私も正しいと思うのは、メーカーに事業再構築のチャンスを与える形の「管理された破綻再生」だ。ただ、米連邦破産法11章は適用できないことはわかってほしい。車は耐久消費財で、アフターサービスを行うメーカーが3年以内に姿を消してしまうと思われたら、車は売れなくなるからだ。

 だから、政府による融資と保証を付けた形で処理しなければならない。それでも、うまくいくかどうかはわからないが、自動車産業は巨大で、景気後退のさなかに雇用が失われれば、大きな痛手になる。

 財政・金融政策がうまくいけば、私たちの孫の世代も、そんな不況があったのかと忘れてしまうだろう。まずい対応で今も記憶に残る大恐慌のようにしないために、やれることは何でもやらなければならない。



(私のコメント)
ポール・クルーグマン・プリンストン大教授は国際貿易理論への貢献で2008年のノーベル経済学賞を受賞を受賞しましたが、彼のインフレターゲット政策は日本の経済学界ではトンデモ論扱いである。インフレはコントロールできるものなのかは分からないが、インフレターゲット論を日銀官僚が理解できないのは経済学の教科書には答えが書かれていないからだ。

経済構造は年々進化して変わっていく。金利がゼロでも借り手がいなくなる現象は教科書には載っていない。従来はインフレが過熱してくれば金利を上げて調節してきた。しかしデフレになったら金利をゼロ以下には出来ないから他の方法で調整しなければならない。そこで日銀は量的緩和で対応した。

この量的緩和は銀行が持っている国債などを中央銀行が買い取る形で緩和するが、マネーは銀行でストップしてしまって貸し出しという形では市場には出て行かなくて、米国債などを買って海外に流出していった。そのマネーがアメリカでのバブルの原因にもなったのですが、金融の量的緩和は国債を買い取るよりも株式やCPを買って直接市場に出した方が有効だろう。銀行がリスクを取れなくなれば中央銀行がリスクをとる必要がある。

現在のアメリカのFRBがちょうどそれに直面しているのであり、ゼロ金利にして資産の買取などで市場にマネーを放出している。経済の教科書ではそのような事をすればインフレになると書かれていますが、実際に起きている事は信用収縮に伴うデフレ現象だ。

市場のマネーは銀行や株式市場で信用が創造されてマネーは数倍にも膨らんで流通して行く。しかしバブルオ崩壊が起きると信用の収縮が起きてマネーは市場から消えていく。それを防ぐには政府の財政出動で公共事業などでマネーをばら撒く必要がありますが、日本の政府日銀の財政出動は中途半端に終わってしまった。

もし90年代に現在のFRB並みに一気に300兆円ぐらい使うつもりで財政出動していれば、もっと早くバブル崩壊後の低迷から脱出できた事だろう。銀行が抱えていた不良債権も100兆円ほどであり政府が買い取っていれば済んだ事を小出し小出しで長引かせてきた。米政府とFRBの金融対策の規模は700兆円であり、これで失敗すれば米経済は破綻するだろう。(700兆円を何処で調達するのか?)

アメリカが直面している事に比べれば日本のバブル崩壊は規模が小さく国内で対応が出来た。しかし今回の金融恐慌は世界的規模であり、未だにどれくらいの損失規模であるのか見当もつかない。米政府とFRBは待ったなしの対応に追われて金融機関のみならずビックスリーの救済まで対応しなければならない。アメリカでなければIMFの管理下で再建が行われるべきなのですが、IMFで管理しろといっているのは「株式日記」ぐらいだ。

それでもドルの基軸通貨体制には揺らぎがないと言う意見も聞かれますが、ポール・クルーグマン教授が言うようにアメリカの経済覇権も信用も権威も地に落ちてしまったのであり、ドルの基軸通貨体制のあとの事も考えておかなければならない。フランスのサルコジ大統領はユーロを基軸通貨にしたい考えのようですが、EU諸国も問題を抱えておりドルからユーロへの基軸通貨の移行は難しい。

おそらくドルとユーロと円のバスケットが国際通貨として信任されて行くのではないだろうか? 昨日も書いたように90年代から日本はマネーの供給国であり、日銀の金利の上げ下げが世界経済に大きな影響を与えている。アメリカのバブル崩壊は日銀が金利をゼロから0,5%にまで上げたことが原因であり、逆円キャリーでアメリカの住宅バブルは崩壊した。

一昨日の「たけしのTVタックル」で評論家の三宅氏が「政府発行紙幣を50兆円出せ」と発言していましたが、テレビでも政府発行紙幣が語られるようになりました。普通は政府が国債を発行して日銀が買い取って紙幣が使われるようになるのですが、政府にも通貨発行権がある。通貨発行権と基軸通貨体制とはセットであり、米国債が買われるのは米政府にはドルを好きなだけ発行できるという特権があるのだ。

もちろん普通の国が紙幣を乱発すればジンバブエのようになってしまう。通貨発行権は日本やアメリカのような経済基盤が強固であり経済供給力の範囲内であれば通貨を発行してもインフレは発生しない。しかし政府日銀は日本のデフレギャップすら把握していないようだ。彼らの経済学ではデフレギャップは存在していないからだ。

麻生内閣では定額給付金が問題になっていますが、12000円というちっぽけな金額ではなく、1人につき百万円給付したらいいのではないかと思う。もちろん政府発行紙幣であり赤字国債は関係が無い。全部合わせても130兆円ですむから非現実的な話ではない。4人家族なら400万円で高級自動車が買える。10人の大家族なら家が買えるだろう。

冗談も休み休み言えという声が聞こえてきそうですが、ポール・クルーグマン教授が言うように「大規模で慣例にとらわれない財政・金融政策を迅速に行うことが重要」なのだ。もしかしたら12000円の定額給付金はテストケースであり、成功すればさらなる大規模な1人100万円の定額給付金が実行できるかもしれない。内需を拡大するには消費の拡大が必要であり、経済対策を打つよりも国民に直接給付した方が効果があるだろう。

もし1人100万円使えば5万円の消費税が戻ってくるし、所得税や法人税などの税収入で50兆円ぐらいの税収があるはずだ。消費税だけでも6兆円の税収になる。このような計算を財務省や日銀はした事があるのだろうか? このような常識はずれの理論は東大を出た秀才では無理であり、ノーベル賞級の天才学者でないと無理なのだろう。


財政出動を応援して日本の時代を創ろう! 1月1日 藤本龍夫

今年は、良い年になりそうだ。
第一に、日本国政府が、財政出動路線を選択している。
我々が、10年来主張してきた財政出動こそが、日本経済を立て直し、国民生活を向上させ、財政黒字を生み出すのだという主張が認められたのである。
今までのところ、財源に「埋蔵金」や国債発行を政府は、考えているが、それでは足りないことが今年は分かってくるだろう。現実的に考えれば財源は政府紙幣発行しかないことが分かる年になる。

もしも、そこに気がつけば、国民一人当たり12000円配布するより、一人当たり120万円配布することが可能となり、高度成長路線に切り替えることができる。
一般に保守派と言われる人達は国力の衰微には無関心であるが、軍事力の基礎は経済力にあることを考えて欲しい。
我が国の経済復活なくして、日本の独立はなく、それゆえ日本軍の復活はない。
(後略)





2006年4月、日銀はゼロ金利と量的緩和を停止します。それが、世界の
金融連鎖の中で最大400兆円相当のマネーを抜くことにもつながった。


2009年1月6日 火曜日

新年特別号:マネーと信用の根源をたどれば、信用恐慌が分かる 1月4日 吉田繁治

10.支払い準備率と信用創造

【準備率の秘密】
ここで例えば5%の「支払い準備率」を言う必要があります。5兆円の預金を預かったとき、政府規制で、銀行はその5%(2500億円)を支払い準備として、中央銀行の当座に預けるか、手持ち現金(他の銀行への預金)に残さねばならない。

銀行システム全体の信用創造は、5兆円÷(1−0.95)=100兆円が最大になります。4%なら125兆円です。

5兆円+5兆円×0.95+5兆円×0.95の2乗+5兆円×0.95の3乗+5兆円×0.95の4乗・・・・・=5兆円÷(1−0.95)=100兆円

(注)連鎖の途中で、5%以上を残す銀行が出ます。上記計算は、5%の準備率での最大信用の創造額です。

銀行の連鎖のシステムで、最初のA銀行への預金5兆円が、総額で100兆円の信用を創造するのですから、すごい。

紙幣ではない。預金のデジタル数字です。そしてその預金は、企業や個人への融資と、国債を含む有価証券の購入になる。この銀行システムが、現代社会に、普通の仕組みとして組み込まれています。

【バブルとバブル崩壊が宿痾になった】
以上から、投機とバブル経済を生む過剰な信用創造は、不況期に金利をゼロに向かい下げるので、現代社会の宿痾(しゅくあ)といっていいのです。過剰になった信用で、過剰な投資と消費が行われる。

返せない負債の極点付近で、銀行信用、株信用、不動産のバブルが同時崩壊し、信用恐慌が起こる。

【日銀のゼロ金利と量的緩和が果たしたこと】
世界の銀行システムの連鎖による、無からの信用創造(=マネー創造)の構造を知れば、日銀がゼロ金利を発動した10年前から、ジャパンマネーが、1年で約40兆円主に米国に流出したことの、重い意味も了解できるはずです。

1年40兆円は、5%の支払い準備率ならその20倍、つまり800兆円の、世界の銀行システムでの信用創造、つまり預金を生む。

【3%のスプレッドで動く】
国内をゼロ金利にすれば、マネーは3%以上のスプレッド(利幅)の利を求め、当然、より金利の高い海外に、資本逃避(キャピタルフライト)する。90年代以後の米国は、かつて日本より、ほぼいつも3%は金利が高かった。(注)今FRBはゼロ金利策。米ドルが売られることを意味します。

金利は、貸し付け、証券、株の投資の、利回り率も決めます。

【世界の資産バブル崩壊の遠因は、日銀だった】
2006年4月、日銀はゼロ金利と量的緩和を停止します。31兆円もあった日銀当座預金(金融機関の預託マネー:06年3月20日)を、3ヶ月の超短期で10兆円にまで、20兆円絞ったことが、世界の金融連鎖の中で20兆円×20倍=最大400兆円相当のマネーを抜くことにもつながった。

このため米国の不動産は、06年夏から下落地域が出た。

この策が、翌2007年になると、ファンドのキャリー・トレードの解消(返済)を手始めに、米国と世界の信用収縮を生み、世界の不動産バブルを崩壊させた原因と見ています。

残念ですが、日銀の頭脳には、そこまでの金融の想像力はなかった。(注)キャリートレード:金利の低い通貨で借り、金利の高い通貨の証券を買うこと。

日本の、800兆円の預金を中心にした個人金融資産は、世界の鯨のように、巨額です。それが、規制が緩くなった、世界の金融連鎖のチェーンで更に膨らんだ。

2000年はほぼゼロで、年々大きくなり、$62兆になった保険商品CDS(債務保証保険:07年末)も、金融機関が貸したり、あるいは社債、住宅証券を買うリスク感を減らしていたのです。

普通なら売れない、回収に無理があるサブプライムローンの、信用度がジャンク(くず)でも、回収を保証するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を掛ければ、額面償還と利払いをAIG等が保証するAAA証券に変わるからです。

回収保険を売ったAIG等は、保証料をプレミアムとして受け取り、史上最高の利益を出していた。2008年半ばまで、世界の金融は、金融保険のCDSやCDOを使って、ノンリスク金融とされた。信用バブルは、そのため、一層、膨らんだ。

言い換えれば、金融(=貸し付けと証券購入)につきものの、リスクを回収保険で消したことが人々のリスク感を鈍らせ、ファイナンスが極点まで行ってしまった。これが今回の金融危機を、信用恐慌に至らせた原因です。

あらゆる保険は、リスク率が想定範囲のときだけ成り立つ。計算を誤れば、全体が破綻します。それが、2007年から起こった。

(注)風船(信用=マネー)が膨らみきれば、極点での爆発は大きく悲惨です。日本のゼロ金利での世界の信用膨張を、海を超えた遠因とする破裂、つまり突然の世界恐慌は、必然だったのですが、それが、若干弱いものになったとも言えます。

信用恐慌によるバブル崩壊は、突然、返せない負債の変曲点(=臨界点)を超えたとき襲う。信用恐慌の前週まで、経済は、抜ける青空の、絶頂です。ドバイには、地上1000メートルのビルも企画させた。今、工事停止状態。

今回の恐慌は、以上のように、世界が初めて経験する21世紀の、デジタルマネーと保険料率を計算する金融工学が生んだ乗数金融型の信用恐慌です。姉歯事件の、耐震偽装に似ています。

前FRB議長のグリーンスパンが、本当は当事者責任の回避の目的で言った、「100年に一度」ではない。デジタルマネーやCDSは新しいからです。

90年代には、CDSはなかった。1929年にもなかった。新聞や論者は、枕詞に100年に1度と言う。これは、もうやめたほうがいい。対策を間違えるからです。

■11.銀行は負債額が資産額

ここで、信用創造する銀行のチェーン・システムを、注意深く見れば、最初の5兆円から、100兆円(20倍の信用:マネー)を創造した銀行システムの全体が、銀行の、自分のものではない国民から預かったマネーをもとに、社会の富のほとんどを所有していることにも気がつきます。

銀行は、ぺーパーマネーを貸す代わりに、普通、評価額から20%〜30%くらいの欠け目を見た財貨を担保にとるからです。

銀行にとっては負債の預金は、
・銀行システムを媒介に、
・金融機関の資産である貸付金、
・有価証券の所有、株の所有になって、
銀行が所有します。

企業やローンをもつ世帯を生かすも殺すも、銀行や金融機関の思惑によるものになる。

その上、金融機関が損をし、破産状態になれば、米国や日本のように、国家が国債を刷り(事実上無償で)貸し付け、あるいは資本注入し救います。

その金融株主の、世界の頂点が、網の目のようなネットワーク構造をもち、金融機関の最終資本の多くをもつ、(国際金融マフィアである)ロスチャイルド家や、ロックフェラー財閥、あるいは国家とは言いませんが、まぁ、たどればそういった仕組みです。

なんだか・・・社会が壮大なフィクションに思えます。大元は、近代社会が、個人や企業が所有するマネーのほぼ全額を銀行へ預金にしているからです。資本主義は、デジタルマネーとネットワーク型の金融資本よってそこまで行き着いてしまった。

▼消費財デフレと資産インフレの同居

19世紀型の、単純な一国資本主義では、過剰な信用創造(マネーの増加)は、インフレになった。しかし、2000年代は、逆に、消費財〔商品〕のデフレ〔価格下落〕の時代でした。

理由は、中国と旧共産圏(東欧)及びアジアが、資本と技術輸入によって、電子部品を使う高度な商品まで、先進国の10分1以下の低い労務費で作り、低い価格で大量に輸出するからです。

最近、望みの一眼レフ(ニコンD90)を買いました。中級クラスですが、凄い性能。ボディ価格は、8万円。シグマ製のレンズが約4万円。ニコンは、日本光学。日本製かと思っていたのにタイ製でした。国際分業と技術移転が、高度製品の領域まで来たかと、感慨深い。

こうしたことのため、1980年代までのようには、先進国のワーカー賃金が上がらない。賃金が上がらないと、購買力は増えません。

購買力が増えないと消費財のインフレは、なかなか起こらない。米国は違っていました。世帯が1年に100兆円分借金を増やし商品を買ったからです。

代わりに、世界では資産インフレを超えた資産バブルが、起こった。不動産は、後発国で作り、輸出することはできないからです。

次は、株による信用創造です。金融機関だけが無から信用創造するのではない。株も、将来利益を現在価値に還元するメカニズムで、大きなマネーの元になる信用を、創造します。

■12.株も信用創造

2007年10月の世界の株価時価総額は$63兆とピークでした。世界のGDPが$60兆ですからそれを超えています。

07年8.19に、欧州で始まったサブプライム・ショックは、バーナンキが言ったように、数十兆の損としか見られていませんでした。低金利と、前記の金融の連鎖による巨額な信用創造(実質的なマネーの増加)への想像力が、欠落していたからです。

株にも、銀行チェーンのような信用創造のメカニズムが組み込まれています。

▼株の理論価格

株価の理論価格は、
・次年度からの企業予想利益に、
・各年度のリスク率を掛け、
・期待長期金利で割ったものです。
(正確には、ファイナンス論でこうだとされる)

企業の、ほぼ確定した次年度利益(税引き後純益)を10億円と仮定します。翌年の、利益予想のリスク率を10%とします。そうすると、企業の期待純益は以下になる。

10億円+10億円×0.9+10億円×0.9の2乗+10億円×0.9の3乗+10億円×0.9の4乗・・・・=10億円÷(1-0.9)=90億円

これが、期待純益です。そして各年度の期待純益を長期金利(複利)で割る。現在の長期金利が2%、金利の変動リスク率を1%の幅(50%)とします。これを加味することは、各年度の期待純益に、0.97の各年度の累乗を掛けたことと同じです。

10億円+9億円×0.97+8.1億円×0.97の2乗+7.3億円×0.97の3乗+6.6億円×0.97の4乗・・・≒80億円=ファイナンス論の理論価値

80億円の理論価値と見なされる。予想PER(=株価の理論時価総額80億円/次期純益10億円)では、8倍と低い。(注)これが今の理論価格水準でしょうか。

1年前の07年秋の時点では、世界の主要株の実績PERは、15倍(先進国)から60倍(中国等の新興国)でした。理由は、世界経済の5%成長で、次年度より高い企業純益が、共同幻想で期待されていたからです。

1年で20%利益が増えると仮定すれば、以下のようになります。予想のリスクを10%とします。各年度の期待純益は、以下のように、増えます。

10億円+10億円×1.1+10億円×1.1の2乗+10億円×1.1の3乗+10億円×1.1の4乗・・・=純益は無限大

利益の無限大は、どう見ても行き過ぎです。大ざっぱに、将来15年分だけを、見るとする。理論株価は、実に、大ざっぱなものです。

これを、将来利益の割引現在価値(NPV: Net  Present Value)とも言う。賭のようなものですが、経済が成長する国では、企業純益はそれ以上に上がることが多いので、説得性はもつ。

10億円+11億円+12億円+13億円+15億円+16億円+18億円+20億円+21億円+24億円+26億円+29億円+31億円+35億円+38億円=319億円です。

これらの期待純益を、各年度の期待長期金利(複利)と金利の変動リスクで割引きます。金利が低いと、次第に無視できる要素になる。理論株価は、300億円に近づきます。結果はPER30倍です。先進国でも利益の期待成長率が高い企業は、PERは20倍〜60倍にもなる。

概略を言えば、「21世紀の世界経済は成長期に入った。特に、高度成長をする新興国の企業利益は大きくなる。BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)はPER20倍でも買いだ。」という論を、投資銀行1位のゴールドマンサックスは出した。

BRICsは、2000年代初頭に、ゴールドマンが証券商品を売るために作った言葉です。


株価の上昇は、その株を担保に、買える株を増やします。つまり、レバレッジでの投資が起こる。ここでも「信用が膨らむ」。つまり社会の、担保として利用できるマネーは増える。

分からないのが本質の未来の利益を分かるかのようにリスク率も加えて確率計算し担保にいれた。理論株価の根拠は、これしかない。

株式市場では、$64兆(5800兆円:07年10月:$1=90円換算)のマネーが作られたと言っていい。今これらは、約40%〜50%下げています。

株の信用総額は、3000兆円近くが失われています。この損は、世界の不動産の下落損にも、匹敵する。比較すれば、日本のバブル崩壊は小さかった。

2000年代が、金融と株での、過剰な信用創造をベースに、不動産と株価の資産価格を極点まで押し上げていたということを想定すれば、PER30倍は、いかにも変と分かったはずですが、多くの人はそう思っていなかった。

企業利益は史上最高で、世界経済は5%の高度成長、新興国は2桁成長と前提していたからです。

以上、本稿では、2007年までの過剰だった信用創造を解きました。次は、信用崩壊(=信用恐慌)後を、見極めねばなりません。原因を見なければ、正当な対策もない。


金余り終焉を懸念 BRICsも急落、世界同時株安日本銀行が世界経済の動向を左右する時代が来ていた 2006年5月25日 株式日記

(英紙)対外資産$3兆を抱えた日本は、まだまだ世界のトップ債権国だこの5年間、国際的な資産ブームの流動性の最大ソースは日銀だった 2008年1月8日 株式日記

ドルの孤独な下落は、世界経済の不安に直結する。すでに円は、日本人だけの円ではなく、世界の信用創造を担う通貨なのです。 2007年8月14日 株式日記

アメリカ経済終わりの始まり』 松藤民輔(著) ゼロ金利解除が意味するもの 2006年現在、円は世界の基軸通貨になった 2007年3月9日 株式日記


(私のコメント)
最近のテレビニュースを見ていると「100年に一度の・・・」とか「アメリカ発の金融大恐慌・・・」とか言った発言が目立ちますが、今回の金融恐慌はCDSとデリバティブのシステム破綻に伴う信用不安なのだ。日本で起きた事は単なるバブル崩壊ですが、現在の世界で起きている事は信用破綻であり、CDSやデリバティブの規模があまりにも大きいので、市場が疑心暗鬼になって機能停止になってしまっている。

どんなジャンク債でもCDSの保険をつければAAA証券に生まれ変わるのですから、アメリカの投資銀行は大儲けをした。しかし保険を引き受けたAIGは企業倒産が増えるに従って経営が破綻してしまった。いまやFRBが信用の引き受け手になっていますが、FRBの信用が無くなればアメリカが破綻する。

アメリカは金融立国が国家戦略だったから、CDOやCDSといったデリバティブに規制をかけなかった。規制緩和は市場原理主義からすれば当然のことであり、投資銀行からすれば規制されれば商売が出来なくなってしまう。規制するのがFRBの役目なのですがグリーンスパンは規制に反対した。

例えば不動産ローンの証券化は金融革命であり、ローン会社は債権を転売してノーリスクで商売が出来る事になる。同じく新興国に対する融資も証券化して転売して、CDSをつければAAA証券となって全世界に売られた。しかしいったんリスクが顕在化すると証券化ビジネスの欠陥が露になって証券の買い手が無くなってしまった。

金融工学と言えば聞こえがいいのですが、一種の『ねずみ講』であり一定条件でしか通用しない確率計算で計算している。しかしこのような事は90年代のLTCM破綻でもあったように、計算式は正しくてもリスク評価が間違っていれば『ねずみ講』と変わらないのだ。さらに金融工学ではリスクをも転売できる仕組みを考えたのですがそれがCDSだ。

アメリカのバブル発生は90年代から起き始めていたのですが、本格化したのはITバブルが破裂した後の住宅バブルが起き始めた時だ。当時は911テロ事件やイラク戦争が始まってFRBとしては何としても景気回復させる必要があった。

吉田繁治氏がメルマガで書いているように、日本の超金融緩和で日本からアメリカに毎年40兆円ものマネーが流れ込むようになった。その40兆円がアメリカに流れ込めば信用乗数で10倍の400兆円のマネーが流通するようになり、アメリカは空前の消費景気に沸いた。

ゴールドマンサックスは中国など新興国へのファンドを立ち上げて、中国は毎年二桁の高度成長を実現した。それはアメリカの金融立国戦略の柱になったのですが、日本から技術と資本を移転させる事で可能になった。その為には日本を円高にして投資を海外に向けさせる事であり、日本の輸出企業は工場を中国に移転させる事で円高を克服した。

中国は広大な工場用地があり無尽蔵の若年労働者がいて人件費は日本の20分の1ですんだ。だから日本の輸出企業はアメリカへの輸出で空前の利益を稼いだ。その結果、日本の空洞化が進んで中国から大量の安い日用品が輸入されてきて価格破壊を起こした。

日本はバブル崩壊の後の信用収縮によって株価も土地の価格も5分の1に下落してしまった。銀行も企業も過剰債務の整理に追われて日銀のゼロ金利政策はまだ続いている。その中で日本企業は中国への積極的な投資で順調に拡大して行ったのですが、国内では工場整理や人員整理が進んで非正規社員が拡大して行った。

まさに日本のマネーがアメリカの投資銀行に流れて、10倍に膨らんだマネーは消費を拡大して世界から物を買いまくった。さらに中国への投資でさらにマネーは10倍に膨らんでアメリカに帰ってきた。アメリカの投資銀行も手数料で莫大な利益を上げてきました。

その流れが変わったのは2006年4月の日銀によるゼロ金利解除であり、金利を0,25%上げただけで世界同時株安を引き起こすほどのインパクトをもたらした。アメリカの投資銀行やファンドはレバレッジを効かせた投資で30倍から50倍のレバレッジで投資をしていた。だから0,25%の金利でも影響は大きくマネーの逆流が起きた。

日本のマネーがドルの高金利に誘われて投資されることで10年近く円安傾向になり、輸出企業は円安利益を享受した。ところが日銀が金利を上げ始めて逆円キャリーが起きて円高になるようになった。アメリカの信用膨張による金融資産はGDPの10倍もの規模になり、日銀の金融引き締めでアメリカのバブルが破裂してしまった。だから世界中の為替が暴落する中で日本の円だけが上がっている。

これは日本が世界にマネーを供給してきた事の証明であり、日銀が世界の中央銀行の役目をはたしていることの証明だ。ところが日銀のはそのような自覚は無いようだ。

なぜ日本の円が信用創造の元本になっているのかというと、日本の産業技術競争力が高いからであり、80年代から日本でしか作れないものが多いからだ。製品ブランドでは韓国製や中国製でも中で使われている主要部品や素材は日本製だったりするものが多い。日本の経済学者などは物作りは止めて英米のような金融立国を目指せという人がいるが、金融テクノロジーの本質は詐欺でありいつかは破綻する。それに対して物作りは技術の積み重ねがあり、簡単には出来ないものだ。

吉田繁治氏の記事にもありますが、カメラのニコンD90という製品を買ったらレンズはタイ製だったということです。このように日本企業は国際化して製品が作られている。日本は90年代からGDPはぱっとしないのですが企業は世界に拡大している。それに対してアメリカやイギリスは工業製品では対抗できないので金融立国を目指した。しかしそれは今回の金融恐慌で戦略は破綻した。

物作りと金融ではどちらが儲かるといえるだろうか? 金融で儲けても10%の配当が出来るファンドは少ないだろう。それに対して物作りは1トン1万円の鉄で1台の車を作り200万円で売ることが出来る。任天堂のWiiの原材料の単価は1000円もしないだろうが製品は2万円で売られている。それだけ付加価値のあるものを日本企業は作り続けているから円が高いのだ。




今回のグルジア紛争は、アフガン平定の夢をも幻想で終わらせることに
なるかもしれない。アメリカはその感覚を理解する「正気」が欠けていた。


2009年1月5日 月曜日

覇権国 1月4日 熱いつぶやき

 でも、今朝は、午前中から毎日TV「サンデーモーニング」新春スペシャル「米国のたそがれ世界の危機」と題した特集番組を興味深く見させてもらった。
 有史以来、最初の覇権国はローマ帝国だったかもしれない。
 闘いによって手に入れた土地に建物を建てたが、それが実は廃墟となっていることに気づかず、平和と呼んでの奢りで滅んだ。

 1776年に独立したアメリカもこのローマ帝国と同じ運命をたどるのかもしれない。
 南北戦争を経て、19世紀末には広大な土地と豊富な資源を元に世界一の工業国となり、その後、1914年の第一次世界大戦で飛躍し、未曾有の好景気が訪れる。
 ところが、1929年 ウォール街の株価が大暴落したことにより、世界も巻き込む恐慌となり、アメリカは4人に1人が失業することとなる。

 これで、アメリカは終わりとはならず、1941年日本の真珠湾攻撃を皮切りに太平洋戦争に突入し、勝利したことにより、新たな強大なる覇権国として名乗りをあげる。
 ソ連との冷戦にも事実上の勝利をあげ、世界通貨の機軸は米ドルとなり、奢りが出たのかもしれない。

 その結果の一つが残念なことだが、2001年の9.11同時多発テロにつながったのかもしれないが、間違いなく、昨年のリーマンショックに代表される金融破綻への呼び水となったのだろう。
 だが、今後は中国やインドの第2勢力がその覇権国の地位を狙うのだろうが、もう覇権国なる概念がなくなるのではないか、と私はTVを見ながらひとりそう感じた。


覇権の終焉 中西輝政/著

グルジア戦争は棺に打たれた最初の釘

サブプライム危機よりも、もっと深刻に「アメリカ一極体制」と呼ばれた世界秩序を揺るがしているのは、この夏に勃発した「グルジア戦争」であろう。それは何よりも、ロシアがアメリカに対して「ここが君の限界だ。これ以上、君の『世界』は拡大できないぞ」と正面から線を引いて見せた点で、冷戦後のアメリカのグローバリズムの終焉を画するものとなった。

これはおそらく、二十一世紀の真の幕開けを告げる大きな「戦争」であったといってもよかろう。過去二十年問に、湾岸戦争、ボスニア紛争、イラク戦争など、さまざまな軍事衝突があったが、今回の戦争はそれらのどの戦争よりもはるかに重大な意味をもつ。グルジアでの紛争は、冷戦後のNAT〇(北大西洋条約機構)の東方拡大というアメリカの拡張志向の欧亜政策が、もうこれ以上は進めない「壁」にぶち当たったことを白日の下に晒した。そのことのもつ意義はきわめて大きい。

過去二十年のアメリカの世界戦略は「限界がない一つの世界」という理念のもつ力に基礎を置いていた。それが、「これ以上進めない壁」にぶつかり、そして二つないしそれ以上の世界という現実を受け入れるしかなくなったのである。アメリカはいまや「正気に戻るとき」を迎えたのである。

今回の戦争は、冷戦後二十年間続いてきた世界秩序の構造に、初めて正面切ってロシアが風穴を開けようとしたものにほかならない。それに対しアメリカは、おそらく今後も何ら効果的な対処はできないであろう。

冷戦終焉後のアメリカの覇権と称されたものは、湾岸戦争に典型的に見られたように、小さな「ならずもの国家」を力でねじ伏せることで世界にアメリカの力を印象付ける、という「心理戦」の技法に支えられたものであった。しかし今回ロシアは、親米国家というより「アメリカの橋頭堡」となっていたグルジアに大規模な軍事力を行使することによって、アメリカが主導する世界体制の終わりを宣告し、棺に最初の釘を打ったのである。

ソ連が崩壊したとき、アメリカではロシアまで一気に解体しようという動きがあった。その一つがロシアの内陸にある少数民族共和国の独立支援であり、そしてNATOの東方拡大であった。そこにはユーラシアを「世界に開かれたもの」にする、あるいは旧ソ連地域の奥深くまでもはやロシアの勢力圏と認めず、ロシア周辺まで追いつめるという、アメリカの国家戦略があった。

一九九二年春、『ニューヨーク・タイムズーがスクーブした冷戦後のアメリカの世界戦略を記した秘密文書には、アメリカの世界覇権実現を国家戦略の根本に掲げ、日本やドイツなどの台頭を抑えるとともに、ソ連邦が崩壊したばかりのロシアが復興しないよう、その芽を摘むことをアメリカの戦略としなければならないという内容が書かれていた。

この秘密文書が暴露されたとき、当時のチェイニー国防長官(現副大統領)は、「この文書はまったくの草案の草案の草案である」という有名を言葉で繕い、こうした文書があること自体が諸外国の誤解を招くとして、完全に撤回すると宣言した。そして本来の文書はこれであるとして、「冷戦後の世界の自由と民主主義」「市場経済の発展支援」「国連を中心とする地域紛争の抑制」「人権の促進」といった、聞こえのいい能書きの並んだものを公表した。

これは冷戦後のアメリカの世界戦略の底には、かなり大きな二重性があることを示すものである。いわば本音にあたる「密教」と公表するための「顕教」で、冷戦後はそのあいだの乖離が大きなものとなっており、アメリカはつねにその幅のなかで行動していることを示していた。そしてアメリカは、こと世界戦略に関しては、政権が代わろうともその基本を変えずに把持しつづける。今日まで続くその幅のなかに、「ロシアの復興を防ぐ」という戦略も入っているのだ。

実際、この対ロシア戦略は、民主党のクリントン政権によって体系化され、カーター政権で大統領補佐官を務めたZ・ブレジンスキーが九〇年代に著した『ユーラシアのグランド・チェスボード』(邦訳『ブレジンスキーの世界はこう動く』)のなかで、ほとんどロシアの解体を意味するアメリカの大戦略が明白に語られていた。そのトーンには、やはり「ニュー・エコノミー」論と同じ「それ行けドンドン」の響きがたしかにあった。

しかしこの夏、ロシア軍のグルジア侵攻に対し、アメリカはまったく手を出せなかった。あえて「一矢報いる」意味で、人道支援の名目でアメリカの地中海艦隊の軍艦三隻を黒海沿岸のバトゥーミ港に入れたが、ほとんど何の効果もなかった。本来ならブッシュ大統領が記者会見で厳しい非難演説を繰り返すほうが、よほど効果が高い。しかしそれすらできなかったところに、末期のブッシュ政権の無力さが表れている。

たしかに八月、ロシアのグルジア侵攻直後、モスクワの株式市場は暴落し、西側の外資は大挙してロシアから引き揚げた。しかし五〇〇〇億ドルの外貨準備をもつロシアは何とかもちこたえ、十年前の「ロシアのデフォルト」再現という西側の制裁手段は不発に終わった。逆に九月に入ると、ニューヨークが「リーマン・ショック」に襲われ、いまやロシアに対する"金融制裁〃どころではなくなった。グローバル・エコノミーの時代において、地政学とマーケットパワーは劇的に一体性を高めることがあるのである。

歴史は繰り返すというが、似たような構図は、イギリスとロシアがユーラシアの覇権を争った十九世紀の「グレートゲーム」の時代にも見られた。一八三〇年代、コーカサス地方で反乱が起こり、そこヘロシア帝国が介入したのである。それは許さじ、とイギリスの地中海艦隊がボスポラス海峡を通って黒海へと入り、同じくバトゥーミ港の沖合でロシアへの示威行動を繰り広げたのであった。

「グレートゲーム」の時代、イギリスとロシアとの対時は、バルカン半島、コーカサス、中央アジア、チベット、満洲、とユーラシアの各地で百年にわたって繰り広げられた。そのような歴史のあるところに、アメリカは踏み込んだわけである。大国とは似たような境遇に置かれれば必ず似たように行動するという地政学的な超時代性を感じさせる意味でも、まさに「歴史の終わり」ではなく、「歴史の浮上」とも呼びうる現象をここにも見て取ることができる。

一極体制は裸の王様

ヨーロッパ人にとっては、グルジアもウクライナもヨーロッパではない。これらをNAT0に加えれば、「ロシアが怒ることは明白だ」という感覚をヨーロッパ人ならば誰しもが抱く。しかし、冷戦後のアメリカはその感覚を理解する「正気」が欠けていた。「すべてのものには限界がある」という、旧大陸の論理を理解しようともしなかったのである。

冷戦後のアメリカの行動には、いわば「一極ボケ」に起因する危うさがつねにあり、「サブブライム」も「経常収支の赤字垂れ流し」も「NATOの東方拡大」も、すべてあの湾岸戦争以来の〃舞い上がり"のなせる業であった。

今回のグルジア紛争は、アメリカのアフガン平定の夢をも幻想で終わらせることになるかもしれない。

すでにアフガニスタンではタリバンが大々的な復活の兆しを見せている。そこへ、グルジア紛争によって米口対立が深まり、中央アジア情勢が一変した。アフガンで戦っているNATO軍は、物資を送る際にロシア領を通っている。米口対立がこれ以上激化すれば、アメリカを除くNATO軍は、撤退するしかなくなる。

イランの核問題にしても、これまでの国連安保理常任理事国としてのロシアの対米欧協調路線が、今後も続くとはかぎらなくなってきた。そしてわれわれにとって無関心ではいられない北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の場も、「米口中」の大三角形のあいだのパワーゲームの場ともなりかねない。それが日本にどんなインパクトを及ぼすか。現在の日本政治の崩れを前にして、やはり到底、楽観できる状況にはない。

こうした波及の大きさから見ても、今回のグルジア紛争は湾岸戦争やイラク戦争をはるかに超える、世界秩序的意味での大戦争なのである。とくにグルジア紛争は、小さな"ならずもの"のチンピラではなく、大国が正面切ってアメリカに対抗してきたとき、「一極体制」は裸の王様だったことを示した点で、とりわけ重大な意味があったのである。

ロシアのメドベージェフ大統領は、八月二十一日のロシアのテレビ局相手のインタビューで、「五つの外交原則」を打ち出した。

第一は、ロシア人が多く住み、歴史的にもつながりの深い親口地域にはロシアは特別な権利をもっているというものである。二つ目は、ロシア国民の生命と尊厳を守るというもので、今回の南オセチアヘの出兵も、それが大きな発火点となった。三つ目はロシアはけっして自ら孤立を求めないというもの、四つ目は国際法を遵守するというもので、そして五番目に挙げたのが「多極化世界の実現」である。

この「多極化世界の実現」は、ゴルバチョフ時代からポスト冷戦時代の外交目標として、ロシアが一貫して掲げてきたものである。そしていまロシアは明確な意思をもって、この目標実現に向けて動き出し、あっけなくアメリカの覇権に「風穴」を開けたのである。ここでも、この二十年間続けられてきた「多極か一極か」という議論の答えが出たのである。



(私のコメント)
昨日の4日のサンデーモーニングで「米国の黄昏と世界の危機」という特番を放送していましたが、正月の特番で時事問題を扱ったものでは唯一の特別番組になった。民放では硬い政治討論番組を放送しても視聴率は取れないから、くだらないバラエティー番組ばかりになってしまう。

正月早々からイスラエル軍がガザに侵攻して、経済では世界的な金融危機が広がっているにもかかわらずバラエティーばかりを放送し続けるテレビ局の常識は理解しがたい。だから「株式日記」ではその穴を埋めるように正月も休み無く書き続けてきたのですが、ブログなども正月ボケしたものが多くなってきている。

サンデーモーニングの中で金子教授が「イギリスは石炭で蒸気機関を作り綿織物を作り軍艦を作って世界の覇権を握り、20年代になって石油に代わって蒸気機関からエンジンに代わり自動車や化学産業が生まれ空軍で世界を支配するという大きな流れが生まれた。これは単なるバブルの崩壊で不況だという見方があるが、100年に一度という意味を考えてみると、覇権を支えていたエネルギーとか産業とか軍事力の基盤となっていたものが大転換を始めているのかもしれない」と言っていましたが、石油帝国アメリカの時代は終わりつつある。

石油の生産量は2004年ごろにピークアウトしており、1バレル=147ドルになってもOPECは増産する事が出来なかった。これはアメリカだけではなく世界が石油のピークアウトを受けたショックを受けるものであり、石油によって支えられてきた石油文明が大転換を迫られていると言う事である。

アメリカのビックスリーが事実上倒産して、トヨタも2兆円の利益から一転赤字になるのもショックの現れになる。石油が147ドルになれば漁船も動かなくなり航空機も燃料代が別料金になった。当然自動車も売れなくなり自動車会社も倒産する。軍用機も戦車も軽油で走っているから軍事予算は燃料費で高騰する。そしてアメリカの軍事予算はパンク寸前でイラクで身動きが出来なくなり、グルジアで戦争が起きてもアメリカ軍は動く事ができなかった。

グルジア戦争はちょうど北京オリンピックと重なって詳しい報道がほとんど無く、ネットでしか情報が入らなかった。株式日記でも何度か書いていますが「このようにヨーロッパから中央アジアではグレートゲームが展開されているのですが、アメリカは既に兵站が伸びすぎていてロシアの攻勢に応じきれなくなってきているように見える。」と書いていますが、事実アメリカ軍は動けなかった。

中西輝政氏の「覇権の終焉」という本は新書本サイズの小さな本ですが、麻生総理大臣も買って読んでいるそうです。グルジア戦争は単にグルジアとロシア軍の地域紛争のように見えますが、アメリカもロシアがこれほど早く反撃してくるとは思ってもいなかったのだろう。ロシア軍はソ連崩壊に伴って兵器のメンテナンスも出来なくなり、動けないという見方もあった。

日本近辺でもロシアの爆撃機が偵察飛行を再開し始めましたが、新冷戦時代がやってきた事を実感させる。それに対してアメリカ軍はイラクとアフガニスタンに足をとられて動きが取れないのですが、オバマ新大統領はアフガニスタンには増援部隊を送ると発言している。しかしロシアが反撃してきてタリバンなどに援助を与えたりすればNATO軍はおそらく撤退するだろう。ドイツやフランスはロシアに天然ガスや石油を頼っているからロシアとは対決できない。

そうなればイラクに続いてアフガニスタンでもアメリカ軍は孤立して撤退を余儀なくさせるだろう。それ以前にアメリカ経済が破綻して軍事費を大幅にカットしなければならなくなり、世界各地のアメリカ軍基地をも閉鎖に追い込まれることになるだろう。アイスランドは米軍基地があったところですが米軍が撤退した事で丸裸になってしまった。アイスランドは北極から大西洋への出口に当たるところであり米軍の撤退は理解できないのですが、それほどアメリカは追い込まれているのだ。

日本はアイスランドと同じく防衛をアメリカ軍に頼りっきりですが、もはやアメリカ軍は張子の虎同然なのかもしれない。それはグルジア戦争を見れば分かるのでありアメリカ軍はグルジアを見殺しにした。北朝鮮への不可解な妥協も日本への裏切りなのですが、日本はいつまでアメリカに防衛を任せておくつもりなのだろうか? おそらくアメリカは中国が台湾への軍事介入をしても動けないだろう。韓国や沖縄のアメリカ軍基地は空っぽだからだ。

事実上アメリカ経済は終わっているのと同時にアメリカの軍事力も終わっているのだろう。まだアメリカの海軍や空軍は健在だが国家の財政が破綻すればアメリカ軍自慢の原子力空母も原子力潜水艦も港に繋ぎっぱなしになって、解体費用を日本が出せと言う事になるのかもしれない。ほとんどの人がまさかと思うでしょうがグルジア戦争で動けなかったという事は、その後の金融破綻でますますアメリカ軍は動けなくなる。

アメリカの戦略はドイツと日本の台頭を抑え込み、ロシアが復興しないように抑え込む戦略だった。その為にアメリカは中国との見えない同盟を組んでイスラエルを通じて軍事技術などを供与していたらしい。だから人工衛星破壊実験をしたり、人間衛星を上げている。しかし中国はイスラエルを裏切りハマスにカチューシャロケットを供与している。アメリカは中国にも裏切られてドルや国債を売り叩かれる時が来るだろう。


ハマスの武器=カチューシャ・ロケットはやはり中国製だった 1月5日 宮崎正弘

さて、こうしたタイミングを狙ってハマスはイスラエルにロケット砲撃を開始した。ロケットはエジプトとガザの「国境」に何本かの密輸トンネルを通じて大量に運ばれ、「モスク」や「大学」などに隠匿されてきた。殆どのカチューシャ・ロケットは、今回の攻撃で、中国製と認定された。
 中国の「死の商人」ぶりが、またもや露呈された。

 さてさて、問題はイスラエルがガザ空爆のあと、地上戦に突入し、事態の長期化泥沼化を躊躇していないのは国内の選挙事情がおおきく絡む。
 げんに空爆以降、世論調査をみれば、圧倒ムードだったリクードと、カディマ率いるリブニ外相との人気が伯仲し、バラク国防相率いる「労働党」の議席も伸びそうな情勢となる。
 選挙日の二月十日をひかえ、ここでフランス仲介の停戦にイスラエルが応じることはないだろう。
 また地上戦のイスラエルの戦車にはPLAアッバス派が協力しており、要するにアッパス政権がガザにおいてハマスからの主導権回復を便乗して狙っていることも明らかになった。

 イスラエルも、パレスチナ各派も、それぞれの秘めた思惑のもと、乾坤一擲の賭にでたのだ。
平和ぼけ日本から見れば、この中東の現実、権謀術数は理解しがたい世界だろう。





野口悠紀雄や財部誠一のような日本の経済学者、エコノミスト、
アナリスト、経済ジャーナリスト、言ってることが日持ちがしませんね。


2009年1月4日 日曜日

サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論その3 2008年1月19日 中村正三郎

さて、本題。
 サブプライムローン問題で、欧米、中でもアメリカの金融業が総崩れになっ た今となっては、アマゾンで「シティバンク」「シティグループ」「メリル」 などアメリカの金融機関の名前で検索して出てくる本のほとんどはお笑いにな ってます。\(^O^)/

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061494384/showshotcorne-22/
財部誠一著「シティバンクとメリルリンチ (新書)」
の謳い文句は、
--- ここから ---
全米最大の不良債権を抱えたシティバンク、巨額の赤字を計上したメリルリン チは、いかに苦境を乗り越え、世界のトップ企業となったか。日本の個人資産 1200兆円市場を狙う両社の経営戦略を徹底解剖。
--- ここまで ---
です。笑えますねえ。\(^O^)/
 メリルリンチも昨日1兆5000億円の損失を発表しましたからね。 いかにも財部誠一らしい、チョウチン記事にみえます。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/09/07/514651
「噂の眞相」おかわりっ
http://iiyu.asablo.jp/blog/2006/12/24/1044928
須田慎一郎著「下流喰い―消費者金融の実態」
で書いたように、おれは財部誠一をあまり信用する気になりません。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822242080/showshotcorne-22/
青沼丈二著「金融はリテールで復活する―シティバンクの戦略」
の謳い文句は、
--- ここから ---
21世紀を勝ち残る銀行業の方向性を示したのが、本書である。
--- ここまで ---
です。これも笑えますね。\(^O^)/

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4831490393/showshotcorne-22/
笹子勝哉著「住友銀行が恐れるシティバンクの世界戦略」
 この本の謳い文句は、
--- ここから ---
日本の大手銀行のトップが熱い視線を浴びせる、世界最大の多国籍銀行・シテ ィバンク(シティコープ)の経営戦略、その高収益構造、金融商品開発力、そし て驚異の未来戦略を明かす!
--- ここまで ---
ですよ。ほんと驚異の未来戦略だったね。\(^O^)/
 シティバンク本に限らず、昨年までに出た金融万歳本は、現状、全部、お笑 いの本になりました。\(^O^)/
 サッカーやラグビーでいえば、全部、オフサイド。\(^O^)/
 また、そのうち、流れが変わって、同工異曲の金融万歳本がブームになるん でしょうけど。

http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462153
サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論

で、金融工学は悪くないという反論はエコノミスト連中からはないのかと書い たけど、週刊東洋経済2007/12/15号の巻頭「経済を見る眼」で、慶応大学経済学部教授池尾和人が、「証券化技術に罪をかぶせるな」といって反論していま す。

 近年の証券化は、劣後(エクイティ)部分を組成した金融機関が保有する構造 になっているから、そこを投資家がちゃんと注意すればいいのであって、問題は投資家サイドの安易な投資姿勢だったというのね。

 これ、通用する?
 格付け会社だってだまされたんだし(格付け会社は所詮その程度のものということね)、神様扱いだったグリーンスパンだって煽ったんだし、何もわからない個人にも無理やり貸付けまくったんだし。現場、現実を知らない学者の空 論といわれれば、それまでじゃないの?
 もっといい反論できなかったんですかね。

 たびたび俎上にあげて恐縮だが、野口悠紀雄は、かつて貧しい国だったアイルランドがITで復活して一人当たりのGDPでは日本を抜いたという話を書いていたけど、最近流れたニュースで、昨年の株価の騰落率では、日本は -6.55% で下から2番目だったが、アイルランドは -19.62% で最下位でした。これ、どういうことなの?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000113-mai-brf
<日本株>下落率高く世界で下から2番目 上位は新興国

 野口氏は、日本経済はモノ作りの産業構造で21世紀のグローバル時代では時代遅れ。そんな産業構造だから株価もだめなんて書いていたが、アメリカだってイギリスだってアイルランドだって、サブプライム一発で株価が大幅下落する程度の脆弱な産業構造ってことですよね。なんか、ダブルスタンダードで自説に都合のいいとこだけピックアップして都合の悪いところは無視して情報操作しているようにみえるけどね。

 メディアに登場する経済学者、エコノミスト、経済ジャーナリスト、経済誌 は、そういう手合いが多すぎませんか。

 アメリカはもう自動車産業は必要としない段階になったともいえるけど、逆に自動車産業が立ち行かなくなって捨てざるを得ないという言い方もできるわけで、要は見方ひとつ、形容の方法ひとつで、どうとでもなる気がしますね。

 イギリスやアイルランドが金融やサービスに産業構造をシフトさせ復活したと書いて日本の金融市場の開放を訴えた(これ自体はある程度必要と思う)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4831490393/showshotcorne-22/
野口悠紀雄著「資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略」
も、現状、オフサイドでお笑い本の仲間入りでしょうか。\(^O^)/

http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462155
野口悠紀雄のトンデモIT論
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/18/2518057
野口悠紀雄のトンデモIT論その2
http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/12/23/2525228
Re: 野口悠紀雄のトンデモIT論その2
で一部を指摘したように、ITでトンデモを書くのは専門外だからいいけど、本職でトンデモになるような本だとまずいんじゃないでしょうかね。

 ほんと、日本の経済学者、エコノミスト、アナリスト、経済ジャーナリスト、言ってることが日持ちがしませんね。消費期限、賞味期限とも今日か明日みたいな本が多いんじゃないか。
 アマゾンの素人評では評判がよさげな、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352452/showshotcorne-22/
水野和夫著「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492394826/showshotcorne-22/
武者陵司著「新帝国主義論―この繁栄はいつまで続くか」
も、いまとなって、どうなんでしょうか。

http://iiyu.asablo.jp/blog/2007/11/28/2462153
サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論
でも書いたように、やはり、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166603485/showshotcorne-22/
東谷暁著「エコノミストは信用できるか」(文春新書)
のほうが、当たってる気がする。


サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論その4 2008年3月12日 中村正三郎

週刊ダイヤモンド2008/02/23号、野口悠紀雄の連載「超整理日記」は、「サブプライム問題の本質は格付けへの全面的な依存」。

 「だから、サブプライム問題は、「ファイナンス理論や金融工学の利用によって引き起こされた問題」ではない。むしろ逆であって、「本来であればファイナンス理論や金融工学を利用して投資対象のプライシングを行なうべきであったにもかかわらず、それをしてこなかった」ことが問題だったのだ」

 それはそう思うが、野口さん、あんたが言っちゃおしまい。
 それを知ってて、金融立国を煽ったのなら詐欺的だし、それを知らずに金融立国を煽ったのならマヌケ。

 どっちにせよ、まずは、自分の不明を恥じて、読者に謝るのが筋。それをスルーして、自説を披露しても、ふざけるな、このヤローでしょう。

 まあ、厚顔無恥でないとやってられないのだろうが、何度も繰り返すけれど、メディアに登場する経済学者、エコノミスト、経済ジャーナリスト、経済誌は、こういう手合いが多すぎませんか。

 ベストセラー作家の野口氏は、週刊ダイヤモンドにも週刊東洋経済にも連載をもっているから、作家タブー。よって、経済誌で批判されることはない。経済学者、エコノミストは、本日も反省なし。\(^O^)/

http://iiyu.asablo.jp/blog/2008/01/19/2567707
サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論その3
でも書いたが、一方、ジョージ・ソロスは、ウケに入ってますね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270001534/showshotcorne-22/
ジョージ・ソロス著, 越智道雄訳「世界秩序の崩壊 「自分さえよければ社会」
への警鐘」
は、モロにきてるし、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140812257/showshotcorne-22/
ジョージ・ソロス投資と慈善の哲学 (NHK未来への提言) (単行本)
ジョージ・ソロス (著), 山本 正 (著)
も出たし。

 ただ、こういうのも5年10年経つと、また風向きが変わって評価が逆転するのもよくあることで、そうなったら、やれやれという気分。
 あ、この「やれやれ」は、がんがん行けという煽りの「やれやれ」じゃなくて、ぐったりしてため息まじりで「またかよ。はあ、やれやれ」の「やれやれ」。

 マスコミは、株屋と同じく上げ下げの手数料で食っている。マスコミの場合は、企業の株ではなく、人物の評価の上げ下げ。
 だから、ある人物を英雄として持ち上げて、次は奈落に突き落として、さらにまた持ち上げて、そしてまた突き落とすことを平気でやり続ける。

 マスコミ大衆の欲望がそれを望んでいるという半分の真実と半分の嘘を言い訳にして。またぞろ話題になっているロス疑惑三浦和義報道をみると、よくわかるし、ため息まじりの「やれやれ」になるのだ。


(私のコメント)
昨日は竹中平蔵慶応大学教授を批判させていただきましたが、日本の経済学者、エコノミスト、アナリスト、経済ジャーナリスト、のレベルが酷くて、彼らの書いた本は2年も経たずに古本屋で1冊105円で売られるようになってしまう。それだけ日本の経済学のレベルが低いという事の証明なのですが、まともな事を言っている経済学者が隅に追いやられてしまうのは問題だ。

日本人がノーベル物理学賞をもらう事はあってもノーベル経済学賞をもらう人は当分出てこないだろう。日本のバブル崩壊は経済学的には非常に重要な出来事であり、ノーベル経済学賞をもらったポール・クルーグマン教授やFRB議長になったベン・バーナンキ教授は日本のバブル崩壊の研究をしてきた人だ。

確かに日本のゼロ金利政策や量的金融緩和策などは、現在のアメリカでもやられていることであり、金融機関への資本注入は日本で試行錯誤しながら行われてきた事だ。だから経済学の研究材料には日本は事欠かないのですが、日本が学者はついに現在に至るまでも世界の経済学者から注目を集めるような本が書けなかった。

私が評価できる本としては2001年に出たリチャード・ヴェルナーの「円の支配者」や、同じく2001年に出たリチャード・クーの「日本経済生か死かの選択」などであり、株式日記でも何度かにわたって紹介してきました。しかし「円の支配者」はトンデモ本扱いされて、リチャードクー氏はテレビに出られなくなってしまった。日本では日銀を批判したり政府の政策を批判すればテレビに出られなくなる。

おそらくバブルの発生と崩壊の責任は政府日銀にあるのであり、90年代の金融政策の誤りを「円の支配者」で具体的に指摘している。日銀は金利は下げても量的に引き締めてバブル崩壊を大きくしてしまったのであり、大蔵省がいくらドル買いをして円を供給しても日銀は不胎化介入として円を回収してしまった。それらの政策は日銀内部にいなければ分からない。

リチャード・クー氏にしても企業の過剰債務が金融緩和しても効かなくなってしまう原因であり、企業に代わって政府が公共投資をすることが正しい政策であると主張した。しかしそれは小泉構造改革とは反する政策であるのでリチャード・クー氏は悪者にされてしまった。しかし現在では中国では53兆円の公共投資で経済危機を克服しようとしており、アメリカでもオバマ新大統領が新ニューディール政策で失業者を救済しようとしている。

それに対して政府日銀のしてきた事は公共投資をしても景気が回復し始めると増税で回復の芽を潰してきた。大蔵省官僚は財政再建を最優先して増税で財政の均衡をはかろうとしているが景気回復でしか財政の回復は出来ないと「株式日記」では主張してきました。

日本は円高なのだからそれだけ財政出動させる余力があるのであり、公共投資で円をばら撒かないとデフレ経済になってしまう。アメリカではバーナンキFRB議長がヘリコプターでドルをばら撒くようですが、実際にCPや不動産担保証券などを買ってドルをばら撒いている。おそらくファンドなどを通じて株なども買って株価も支えているのだろうと思う。

それに対して日本のテレビなどでは竹中平蔵氏などを始めとして金融立国論者が主流を占め、野口悠紀雄氏や財部誠一氏など、構造改革して金融立国論が主流を占めていた。物作りなど中国に任せて日本はアメリカやイギリスのような金融資本主義を目指すのが主張になっているのですが、竹中氏はまだ構造改革が足りないとテレビで言っている。


国富ファンドで金融立国の道へ・竹中氏がNYで講演 日経新聞(電子版)・2008年3月1日

【ニューヨーク=山下茂行】「国富ファンドの立ち上げなどを突破口に、日本は世界の金融センターを目指すべきだ」。竹中平蔵慶応大教授は2月29日、米ニューヨーク市内で日本経済の将来像などをテーマに講演した。日本経済新聞とのインタビューでは「金融業が力をつければ個人金融資産1500兆円の利回りが向上し、消費や税収などにも好影響が期待できる」などと語った。(07:00)


(私のコメント)
去年の3月はまだサブプライム問題も小さかったし、ゴールドマンサックスなどの投資銀行も威勢がよかった時期であり、日本のマネーを取り込んでアメリカの金融資本主義を支えようとしたのだろう。しかし竹中氏の言う通りにしていたら中国や中東の政府系ファンドのように財産を半分から四分の一にしていたところだ。

中村正三郎氏のブログは「金融立国 経済学者」でググッテ出てきたブログなのですが、日本の経済学者、エコノミスト、アナリスト、経済ジャーナリストは軽薄でその時の風潮に乗っかった事を書いていればいいのだろう。しかし金融立国論が破綻してしまうとケロッと忘れて他の事を言い出している。財部氏は今日のサンプロではフィンランドを見習えという事ですが、金融立国で破綻したアイスランドのことは忘れてしまったのだろう。

中村正三郎氏が言うように「マスコミは、株屋と同じく上げ下げの手数料で食っている。マスコミの場合 は、企業の株ではなく、人物の評価の上げ下げ。」が商売であり、ホリエモンを時代の寵児にしたかと思えば、起訴されたとたんにマスコミは手のひらを変える。マスコミはそれで飯を食っているのだから仕方の無い事なのだろう。

竹中平蔵氏も心の中では分かってはいても、政府の御用学者としてチンドン屋を続けているのかもしれない。そうでないとすれば本当のバカだ。小泉純一郎はブッシュ大統領の前でプレスリーの真似をしてご機嫌を取りましたが、御用学者は政府や日銀のご機嫌をとりながら学者としての地位を保っているのだろう。だから日本の経済学者はたいした本も書かずに大学教授になれるのだ。




「テレビ朝日」や「テレビ東京」は、自ら「市場原理主義」を推進してきた
経緯を踏まえて、竹中平蔵に対して「詭弁」を弄する機会を与えている。


2009年1月3日 土曜日

NHKスペシャル「新春ガチンコトーク!」より 竹中平蔵×金子勝
×岡本行夫×山口二郎×八代尚宏×斎藤貴男×勝間和代


市場原理主義者の詭弁−NHKスペシャルから− 1月 2日 植草一秀

元日夜にNHKが経済問題、国際政治をテーマに討論番組を放送した。「市場原理主義者」と「反市場原理主義者」の討論が行われた。

竹中平蔵氏と八代尚宏氏が「市場原理主義者」の代表として討論に参加した。旧外務官僚の岡本行夫氏も小泉政権の首相補佐官として「市場原理主義者」を擁護する発言を提示した。

竹中氏は「市場原理主義」の言葉を使われることを好まないらしい。「市場原理主義」は小泉竹中政治が実行した政策を表現する上で、もっとも的確な言葉であるが、的確であるがゆえにこの言葉が市民権を得ることに抵抗を感じるのだろう。

竹中氏の発言はワンパターンである。竹中氏の発言を要約すると以下のようになる。

サブプライム危機と言われるが、株価下落は日本の方が米国よりも大幅である。日本の不況深刻化には日本独自の理由がある。三つの問題がある。第一は「改革」が停滞して、経済成長の予想が低下したこと。「期待成長率」の低下が株価下落をもたらした。「期待成長率」が低下した理由は「改革」が逆戻りしているためだ。第二は「コンプライアンス不況」。さまざまな分野で規制が強化されて不況が生じている。これも「改革」の逆行が原因だ。第三は日銀の金融緩和が不十分であること。ゼロ金利政策解除、量的金融緩和政策の解除が不況深刻化の原因だ。日銀が金融緩和を強化して、「改革」を進めることが問題解決に不可欠だ。

これが竹中氏の主張だ。番組に出演したほとんどの識者が竹中氏の発言を冷ややかな視線で聞いた。

竹中氏は「分配の格差」、「生存権を脅かされる労働者」、「年金制度の崩壊」、「後期高齢者医療制度」、「セーフティネットにカバーされない多数の国民」の問題に対して、まったく解答を示すことができない。

小泉竹中政治は、財政収支の数字を改善させるために、内容を吟味せずに、社会保障費の削減に突き進んだ。社会保障費を毎年度2200億円削減する方針を定めた「骨太2006」。竹中氏は、「社会保障費そのものを削減しているわけではない。自然増が大きいから自然増を2200億円圧縮するだけだ」と言う。

人口の年齢別構成が急激に高齢化しているのだから、社会保障支出が増加するのは必然だ。自然増を圧縮するのは社会保障のサービス水準を切り下げることを意味する。社会保障費を削減することが、どのような問題を引き起こすのかについて、詳細を吟味せずに財政収支の辻褄(つじつま)合わせのために社会保障費の削減に突き進んだ。その弊害(へいがい)が至るところで噴出(ふんしゅつ)している。

社会保障費削減のひずみは、高齢者、障害者、低所得者、母子世帯など、経済的弱者を直撃してきた。斉藤貴男氏は「競争促進と言うが、競争を開始する時点での条件に大きな格差がついているのだから、正当な競争になっていない」と指摘した。

竹中氏は「がんばった人が報われる社会」が望ましいとして、結果における「格差拡大」を奨励してきたが、現実には、「一生懸命にがんばっているのにまったく報われない国民」がますます増大し、自由放任された金融市場のひずみを活用して、とても正当とは言えぬ不労所得を巨大に築いた人物を、竹中氏が絶賛しただけだった。

財政収支を改善するのなら、まず「天下り特権」などの「政治利権」を根絶するのが先決である。「官僚利権」を根絶し、セーフティネットを強化する「改革」が行われたのなら国民は賛同するだろう。しかし、現実は逆だ。セーフティネットを破壊して「官僚利権」が温存されてきた。

竹中氏は制度を変更することを「改革」と呼び、内容を示さずに「改革」が必要だと繰り返す。しかし、「制度の変更」には「望ましい制度変更」と「望ましくない制度変更」の二つがある。竹中氏が推進した「制度変更」は「望ましくない制度変更」だった。

小泉竹中政治は労働市場の規制緩和を推進した。八代氏もその中心人物の一人だった。竹中氏は働き方の多様化が求められたと言うが、製造業への派遣労働の解禁などの制度変更は、労働コスト削減を求める「資本」の要請を反映して決定されたものだ。「資本」にとっては、@労働者の賃金が安く、A労働者をいつでも解雇でき、B労働者に対する福利厚生を削減できる、ことが望ましい。

「資本にとって望ましい」ということは、「労働にとって望ましくない」ことを意味する。竹中氏や八代氏が推進したことは「労働」に犠牲を強いて「資本」に利得を与える「制度変更」だった。

このような制度変更を実施しつつ、解雇される労働者に対する保障を強化しなければ、深刻な不況が発生する局面で、労働者が厳しい状況にさらされるのは当たり前だ。

深刻な不況が日本を襲っている理由についての竹中氏の説明はまったく実情を説明していない。深刻な不況は「外需依存型経済」を強めた日本経済が、急激な海外景気悪化と日本円の急上昇に直面して発生しているものだ。

2002年から2006年にかけての日本の超金融緩和政策、および過剰なドル買い為替介入政策は、二つの重大な副作用を残した。ひとつは、米ドルに連動する形での日本円の他の主要通貨に対する暴落を招いたこと。いまひとつは、米ドルが日本円に対して下落しなかったために米国の金融緩和を長期化させてしまったことである。

米国の超金融緩和政策の長期化が米国の不動産バブルを生み出し、サブプライム金融危機発生の原因になった。サブプライム金融危機の遠因に日本の超金融緩和政策が存在することを見落とすことはできない。

2000年から2008年にかけて日本円は米ドルとともに他の主要通貨に対して暴落した。この長期円安が、日本の著しい「外需依存型経済」を生み出し、昨年7月以降の急激な日本円上昇の原因になった。竹中氏は日銀の超金融緩和政策をいまだに求めているが、日本の超金融緩和政策の副作用についての認識が完全に欠落している。

企業に対して、景気変動に連動する雇用削減を容認するのであれば、仕事を失う労働者の生活を支えるセーフティネットを強化することが不可欠である。竹中氏と八代氏がそのような施策実現に注力した形跡はない。政府は雇用保険の制度縮小を促進してきた。企業と政府の負担軽減が目的だった。

八代氏は正規雇用労働者と非正規雇用労働者の処遇均等化を主張してきたと述べたが、八代氏が主張してきたことは正規雇用労働者の処遇引き下げであって、非正規雇用労働者の処遇改善ではない。つまり、八代氏も竹中氏も「資本の論理」を代弁してきただけに過ぎない。

「市場原理主義」は「資本の論理」そのものである。「市場原理主義」を追求し続けた結果、日本社会の安定性が破壊された。「市場原理主義」を明確に否定して、「所得再分配」を強化し、国民の「生存権」を確実に確保するための「セーフティネット」を再構築することが求められる。

「市場原理主義者」はみずからの誤りを謙虚に認めるべきである。「所得再分配」、「生存権重視」、「社会民主主義」を重視する論者が「市場原理」を全面的に否定しているわけではない。「市場メカニズム」を基本に据えつつ、「市場原理」にすべてを委ね、「結果における格差拡大」を奨励する「原理主義」に対して、根本からの見直しを求めているのだ。

マスメディアが「市場原理主者」を単独で登場させれば、「市場原理主義者」は自らの過ちを隠蔽(いんぺい)して、自らを正当化する詭弁(きべん)を滔滔(とうとう)とまくし立てる。「テレビ朝日」や「テレビ東京」は、自ら「市場原理主義」を推進してきた経緯を踏まえて、「市場原理主義者」に対して「詭弁」を弄する機会を与えているが、視聴者は「詭弁」を見抜かなければならない。

「市場原理主義者」を総括し、「市場原理主義」から「人間尊重主義」、「社会民主主義」に明確に方向を転換することが求められる。



(私のコメント)
元日のNHKの番組で「新春ガチンコトーク」というスペシャル番組がありましたが、竹中平蔵と金子勝のバトルトークが面白かった。市場原理主義を是とするか非とするかはすでに結論は出ている。大企業は「派遣切り」で労働者のクビを切っているし、派遣労働者はクビを切られると住む家も追い出されてしまう。

日本の歴史には奴隷階級は存在しなかったのですが、トヨタやキヤノンといった国際的大企業は奴隷階級を必要としている。つまり正社員は非常に大切にするが非正社員は雇用調整の道具にされて人ではなく物扱いにされてしまう。派遣社員は人ではなく物なのだ。派遣社員は人件費から給与が支払われるのではなく外注費なのだ。

中川秀直元幹事長は外国からの移民を1000万人受入れ政策を提言していますが、現在でもブラジルやペルーなどから日系外国人労働者を受け入れていますが、それを1000万人に増やそうという事らしい。また中国や韓国などからの不法滞在労働者もたくさんいる。企業にとってはこのような低賃金労働者を求めているのであり、日本の若者であろうと外人であろうと関係ない。

日本の支配階級にとっては奴隷が日本人であろうが外人であろうがかまわないのであり、派遣労働の規制の緩和を進めて外国から多くの低賃金労働者を持ってこれるようにしたい。アメリカの識者からも盛んに日本も外国人労働者を受け入れろという政策提言がなされるが、日本はアメリカのような市場原理主義を受け入れるべきではない。

金子氏などが批判するのは規制緩和の負の部分の総括であり、規制緩和で輸出企業は儲けて内部留保をたくさん溜め込んでいるのに対して、雇用分配率は下がりっぱなしになっている。それにもかかわらず竹中氏は法人税を下げろとさらなる提言をしている。つまり竹中氏は大企業の犬でありアメリカの忠実なる犬なのだ。

市場原理主義とは資本家や経営者の論理であり、労働者の原理ではない。だから小泉内閣では労働分配率が下がりっぱなしだ。トヨタやキヤノンにとっては国内は市場ではなくアメリカが主な市場であり、国内の市場は労働分配率が上がって消費が増えなければ市場は拡大しない。

1991年に共産主義が破綻して2009年は資本主義が破綻する年となるだろう。アメリカでは金融機関や自動車メーカーが国有化されていっていますが、鉄鋼メーカーも国に救済を求めている。アングロサクソンの文化は弱肉強食の文化であり、敗者は市場から退場させられるのが原則だ。しかしアメリカ政府はその原則を棄てて社会主義国家になりつつある。

日本は以前から最も進んだ社会主義国家と言われてきましたが、竹中氏は市場原理主義を取り入れて会社は株主のものであるとする資本主義に変えようとした。その結果派遣労働者という社会の底辺から這い上がれない奴隷階級を作ってしまった。ワーキングプアといわれる人たちだ。

日本人はこれを肯定する事はないだろう。確かに小泉改革で大企業は豊かになりバブル期を上回るほどの利益を上げている。しかしその利益は内部留保されて労働者には回ってこなかった。そして株主や役員報酬は倍増した。これが金融資本主義ですが、格差を広げるばかりで貧しいものから収奪するものがなくなれば破綻する仕組みだ。すなわち金融資本主義とはねずみ講と同じであり鴨がいなくなれば破綻する。

アメリカは国家戦略として金融立国を目指してきましたが、アメリカ自らネズミ講のネズミになってしまった。アイスランドは金融立国として成功したかに見えましたが、一番最初に国家破綻してしまった。アイスランドは危険を知らせるカナリアであり金融立国はいずれこうなるという警告を発しているのであり、アメリカもいずれそうなるのかもしれない。

90年代から現在に至るまで絶えず米英などから改革しろという圧力をかけられて、英米型の資本主義を目標としてきた。確かにウォール街やシティは金融の中心地となり、日本も物作りから金融立国を目指せという学者が多かった。米英がバブル景気に沸いていればそれは正論に思えた。日本には個人の金融資産が1500兆円もあるのだから押しも押されぬ金融大国である。しかしアイスランドや英国やアメリカは外国からの借金で金融を行なっていたのであり、破綻すれば目も当てられない結果になる。

日本はバブルの崩壊の教訓から非常に慎重な金融で利回りも低かった。それに対して米英のファンドの利回りは高利回りであり、金融工学によるものといわれていた。しかし金融破綻してみると金融工学はペテンであり、金融工学商品は市場では売れないものになってしまった。ファンドの高利回りはレバレッジを効かせた運用によるものであり、本来は銀行のように規制されるべきものだ。ファンドは丁半博打をしてきたのであり、儲ければ自分のものであり負ければ政府に補填させてしまえば良いとしている。これではアメリカも破綻するのは時間の問題だ。

つまりアメリカは金融モラルそのものが腐りきっているのであり、竹中平蔵も日本をそのようにしようとしたのだ。誰だって税金を安くして非正規社員を増やして賃金をカットすれば大企業は儲かる。不景気になれば真っ先に派遣切りを行なっていますが、大企業の幹部も経営モラルが腐りきっているのだ。




アメリカの経済紙Wall Street Journalで「アメリカ合衆国は2010年に
6つの国に分割する
」確率は45〜55%の発動確率という記事が出た。


2009年1月2日 金曜日

将来のアメリカは独立当時の13州に戻る日が来るだろう。
日本はカリフォルニア共和国を分割統治する日が来る?


アメリカ合衆国が6つに分割される日 1月1日 Garbagenews

アメリカの経済紙Wall Street Journalでちょっとした記事が話題を呼んでいる。その記事曰く「アメリカ合衆国は2010年に6つの国に分割する」というものだ。その予想を立てたのが、単なるSF小説家やアナーキストではなく、ロシアの重鎮的なアナリストであることも注目を集めている要素の一つとなっている

この予想を発表したのは、ロシアの元KGBのアナリストで、今はロシアの外交官を育成する外務省付の大学で学部長の座についているIgor Panarin氏。アメリカとロシア両国間についてはスペシャリストの一人である(いくつもの書籍を発刊しているし、クレムリンにもレセプションに、専門家として招待された経歴も持つ。政治学の博士号も持ち、アメリカの国家安全保障局(NSA)と同等のロシアのFAPSIにも勤務し、ボリス・エリツィン大統領のもとで戦略構築の経験も持つ)。また、今回の予想をして「中東情勢の不安定さや世界的な経済危機がアメリカに責があるような状況の現状は、まるで1990年代前後の世界中のごたごたと同じようなものだ。そして1990年代においてはすべてソ連(今のロシア)に責があるかのように結論付けられ、それが元でソ連そのものが崩壊しただけでなく、多くの『搾取された』領土から兵を引くことになった」とその前提を説明している。

また、アメリカに嫌悪感を持つがための予想でもなく、「アメリカ人は嫌いじゃないよ、でも見通しは決して明るくはないね」(he does not dislike Americans. But he warns that the outlook for them is dire.)と自分の予想に対し悲しみと共に肯定の言葉を告げている。

Panarin氏の具体的な予想は次の通り。

・2009年後半までに「移民の数が急増」「経済上の破たん、低迷が続く」「モラル、民意がさらに低下する」などの現象が発生。
・州単位での経済格差が拡大し、裕福な州は連邦政府との金銭的連携を遮断し、事実上連邦を脱退する。民族間の対立も激化する。
・これらが引き金となり、アメリカで内戦が発生し、当然のことながらドルが崩落する。
・2010年6月〜7月までにアメリカ合衆国は6つに分断されることになる。
・このシナリオは(Panarin氏曰く)45〜55%の発動確率。
・ロシアとしては強敵が勝手に倒れるのは悪い話ではない。ただし、ベストシナリオではない。相対的にロシアの存在価値、立ち位置は向上するが、ドルの崩落と貿易相手国としての「(まとまった形としての)アメリカ」の喪失はマイナスに他ならない。


そして具体的な分割内容は次の通り。

・カリフォルニア領域……「カリフォルニア共和国」(中国支配下、あるいは影響下)
・テキサス領域……「テキサス共和国」(メキシコ支配下、あるいは影響下)
・中央アメリカ領域……「中西部アメリカ共和国」(カナダ支配下、あるいは影響下)
・東海岸都市領域……「大西洋アメリカ(アトランティック・アメリカ)」(EUへの加盟、協力関係強化)
・ハワイ……ハワイ(中国か日本の保護下)
・アラスカ……アラスカ(ロシアに合併)

もちろんこのような話について「荒唐無稽(こうとうむけい)以外の何物でもない」という意見も多い。ロシア国内ですらテレビジャーナリストのVladimir Pozner氏などは「最近日に日に増加している反米主義をあおり立てるだけの論調で、こんなクレイジーな考えにはまともに論ずる価値もない」と吐き捨てている。

一方でこの「予想」はPanarin氏が昨年秋にイズベスチア(ロシア最大の日刊紙)掲載した論調にもスポットライトをあてている。そこで氏は「アメリカの対外負債はねずみ講のようなもの。中国とロシアが中心になって、財務的な監視をしなければならない」「アメリカ人はオバマ新大統領が奇跡をもたらすと信じている。しかし(2009年の)春が来たとき、その奇跡への想いが期待外れに終わっていることを認識せざるを得なくなる」とコメントしている。

Panarin氏は自分の「荒唐無稽」な予想に対し、元記事では次のように締めくくっている。

「かつてフランスの政治学者エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)氏は1976年にソ連の崩壊を正しく予想したんだ。15年も前に、だ。でも予想した時、トッド氏は皆の笑いものになったんだよ。
(He cites French political scientist Emmanuel Todd. Mr. Todd is famous for having rightly forecast the demise of the Soviet Union -- 15 years beforehand. When he forecast the collapse of the Soviet Union in 1976, people laughed at him.)」


ソ連はなぜ崩壊したか? 前大阪経済大学教授 上島武

連崩壊の原因

 つぎに、ソ連を崩壊に追い込んでいく要因として、わたしは三つあげます。一つは経済的要因、二つ目は政治的要因、三つ目は民族的要因です。ソ連はなぜ崩壊したかというタイトルのもとでは、「ゴルバチョフ政権はなぜペレストロイカに失敗したのか」という問題の立て方もありますが、今日はもっと大きく、ソ連の失敗した究極の原因を眺めてみようと思います。

 たとえば、一九八六年の四月、ゴルバチョフ政権がスタートした一年後にチェルノブイリ原発事故がおこります。世界の原発史上初の大事故であり、ゴルバチョフ政権にとって大変な打撃であったわけです。そこで直接的に失われた人命、経済的な損失だけではありません。じつにソ連の政治的権威が低下し、ソ連の技術、社会組織にたいする信頼感がいっきょにくずれていったのです。

 かつて帝政ロシアがにっちもさっちもいかなくなって、農奴解放のような社会改革をやらざるをえなくなりますが、その直接のきっかけはクリミア戦争に負けたことです。敗戦の原因は軍隊制度が遅れていることでした。それは、農村制度(=農奴制)が遅れていることでした。農奴解放によって、遅れた農村制度を改革しない限り、近代的な軍隊制度もできなかったわけです。

 それと同じことが、チェルノブイリ原発事故についていえます。ゴルバチョフは、これは国家的な敗北だと認識しました。この原発事故は、クリミア戦争の敗北と同様に、偶然でもなんでもなく、ソ連の技術体制と技術的な遅れを温存していた遅れた社会体制、政治体制に根ざしています。端的にいえば、チェルノブイリの事故を最初に知ったのはスウェーデンの観測所でありまして、ゴルバチョフはずっと後になって知らされました。そして、一番最後に知らされたのはチェルノブイリの周辺の住民でした。そこで大改革をやらなければならないとして、ペレストロイカを提唱したわけです。(中略)

もう一つは、重工業は当然、軍事工業と密接しているわけです。これに拍車をかけるのが軍拡競争、軍備の負担。この軍備の負担というのは、ソ連の責任じゃないよ、アメリカの責任だといえる。そういえば簡単なのですが、もっと端的にいいますと、ブレジネフが「わが国にも軍産複合体がある」といっています。重工業関係の政治家のいうことは重みがあるという。ソ連の軍事力の開発は二重の問題があったと思います。一つはアメリカの政策にたいする本当に適当な選択肢として、軍事建設がおこなわれていったかどうか。それから核開発、核兵器の増強をめぐる方針がほんとうにただしかったかどうか。

 それから、かりに、そこに問題がなかったとしても、国内的に軍需部門の官僚組織の力を党も国家の官僚組織もコントロールすることができなかったということです。

 そこから何が起こったかといますと、ゴルバチョフが大統領に就任したとき、ビックリしたことがたくさんあるんです。一つは、こんなにソ連の国家財政が赤字だとは知らなかった、と。統計上は全部黒字になっているんです。赤字の原因が軍拡競争であり、もう一つが補助金ですね。労働生産性の低さと計画経済の失敗で国有企業は赤字です。とくに農業部門は赤字です。これにたいする財政補填がものすごかった。

 もう一つびっくりしたのは、社会主義の表カンバンである社会福祉の水準でした。ゴルバチョフ時代に開かれた党協議会で、社会福祉・厚生文化担当の大臣が発言して、「ソ連の社会福祉水準は先進国並みとはすくなくともいえない」といいました。ある病気の対策のためにかけられている国家予算の規模からいうと、世界のなかで後ろから数えた方が早い。文明国のなかだけではないですよ、地球上の国のなかでです。ペレストロイカ以前なら、とてもこんな発言はできなかったでしょうね。ゴルバチョフは「お余りの部分となった国民消費と福祉部門」といいます。どういうことかというと、国家予算の配分の中で、まず重工業、軍事部門があり、運輸とか、なんとかがあり、それからずっといって、ずっと下にいってはじめて教育とか福祉がくるということです。

 われわれは、あえていえば長年シンパシーをもってソ連を研究してきたんですね。ですが、実際に生の人が見たことは違う。われわれは、ソ連は軍事大国だけじゃなくて、福祉大国であり、教育大国だろうとみていたのですが、そうじゃなかったんです。



(私のコメント)
今日は二日で、新春の初夢はいかがでしたでしょうか? 「株式日記」ではアメリカが崩壊して六つに分割されるという夢をご紹介します。「株式日記」ではアメリカとソ連とは兄弟国家であり、ソ連が崩壊した以上はアメリカの崩壊は必然であると予言してきました。ソ連は東へ東へと領土を広げていきましたが太平洋に突き当たって止まった。アメリカも西へ西へと領土を広げていって太平世に突き当たって止まった。

つまり国の成り立ちと体質がよく似ているのです。そして石油の時代が始まると共に両大国は超大国となり世界を二分するほどになった。おそらく後世の歴史家は20世紀を石油の時代と名付けるだろう。そしてソ連は国内石油生産がピークアウトすると共に崩壊してしまった。

アメリカはどうだろうか? アメリカはソ連が崩壊して一国覇権主義を世界に宣言したが、世界の石油生産がピークアウトすると共に経済もおかしくなり金融恐慌が起きて、世界帝国としてのアメリカは崩壊しつつある。おそらくアメリカの衰退はゆっくりと進んでフランスの哲学者のエマニュエル・トッドが予想するように21世紀の半ばには超大国アメリカは崩壊しているだろう。

なぜそのような予想が出来るかというと、アメリカもソ連も超大国となれた国力の源泉が石油にあるからだ。その石油がピークアウトすれば国力もピークアウトして衰退して崩壊してしまう。21世紀は石油の時代から、限られたエネルギーからどれだけ有効なエネルギーを引き出すことが出来る国が超大国として世界を支配する国となるだろう。

石油の代替資源も開発されているが、石油に勝る物は無く代替エネルギーを生産するためには石油エネルギーをさらに消費するものでは意味がないからだ。アメリカやソ連に比べて中国が超大国になれなかったのは国内に大油田が存在しないためであり、最近の高度経済成長も外資導入によるものであり、外資が引き上げてしまえば元の木阿弥になるだろう。

Wall Street Journalにアメリカ合衆国が六つに分割される記事が載っていましたが、単なる夢物語に終わるのだろうか? アメリカは中東の油田を支配するためにイラク侵攻しましたが、オバマ大統領の登場で16ヶ月以内にイラクから撤退する。つまりアメリカは中東の石油支配に失敗したのだ。それよりもアメリカ経済そのものが危機的状況になりドルの基軸通貨体制もユーロに脅かされる状況になった。

資本主義と共産主義は双子の兄弟のようなものであり、ソ連崩壊と共に共産主義は捨て去られた。しかしその事によって資本主義が勝ったことではなく、アメリカの資本主義は市場原理主義とか金融資本主義とか言われましたが、サブプライム爆弾が破裂して金融市場は機能停止状態となり、アメリカは危機的状況を迎えている。

新自由主義経済では生活の格差が拡大して貧困層が拡大する。まさにソ連崩壊末期においても貧困層が増大して、共産主義国なのに福祉政策は後回しにされて、生活消費物資を求めて毎日のように行列を作って確保しなければならなかった。アメリカにおいても最貧困層が増大して、ホームレスがテントを張って生活するようになり車上生活者も増大している。


エマニュエル・トッド著 「帝国以後」 「2050年前後にはアメリカ帝国は存在しない」 2003年12月15日 月曜日 株式日記


このように書いても私は反米主義ではないし、基本的には親米派なのですが、日本はアメリカが衰退したらどうすべきかを今から考えておかないと、アメリカは意外と脆く崩壊するかもしれない。政治家や官僚たちはアメリカに外交や軍事を任せて自分たちは利権を独り占めしていればいいのだから気楽でその方がいいだろう。

しかしこのままではアメリカと共に崩壊に巻き込まれてしまうのであり、アメリカは第一次大戦前の孤立主義に舞い戻った時に日本の防衛はどうするのだろうか? アメリカはソ連崩壊の時のように幾つかに分裂してしまうかもしれない。超大国は繁栄している時は一つに纏まるが衰退が始まると、各地に野心家が出てきて独立運動が起きるようになる。

中国も経済発展のみが国是であり、バブルが崩壊して停滞すれば中国も幾つかに分裂する時が来るだろう。米中ソのような超大国は石油が産んだ例外的な国家であり、国土が広大な多民族国家の繁栄は長続きしない。国家にも適正な規模があるのであり、ヨーロッパ諸国のように五千万人から一億人ぐらいが適正なのだろう。


真の国力とは経済的なものであり、その国カをアメリカ人はもはや持っていない。超大国アメリカというのは、神話にすぎない。 2007年1月31日 株式日記

アメリカの知識人や文化人の中には日本を見下したものの言い方をする人がいるが、彼らもヨーロッパの知識人文化人から見れば二流なのであり成り上がり者なのだ。だから最近のアメリカ文化の劣化は目を覆うものがあり50年後にはただの田舎国家に成り下がるだろう。エマニュエル・トッド氏は最後に次のように書いている。

《 二十世紀にはいかなる国も、戦争によって、もしくは軍事力の増強のみによって、国力を増大させることに成功していない。フランス、ドイツ、日本、ロシアは、このような企みで甚大な損失を蒙った。アメリカ合衆国は、極めて長い期間にわたって、旧世界の軍事的紛争に巻き込まれることを巧妙に拒んで来たために、二十世紀の勝利者となったのである。この第一のアメリカ、つまり巧みに振舞ったアメリカという模範に従おうではないか。軍国主義を拒み、自国社会内の経済的・社会的諸問題に専念することを受け入れることによって、強くなろうではないか。現在のアメリカが「テロリズムとの闘い」の中で残り少ないエネルギーを使い果たしたいと言うなら、勝手にそうさせておこう。 》




中国は、イスラエルがアメリカから盗み出した技術を、イスラエルから
秘かに安く買っていた。ところが2006年にイスラエルと大喧嘩になった。


2009年1月1日 木曜日

写真は29日にガザ近郊で撮影したイスラエル軍兵士


ガザ空爆 イスラエル、仏の停戦提案を拒否 地上戦への構え解かず 12月31日 産経新聞

【カイロ支局】パレスチナ自治区ガザ地区の空爆を続けているイスラエルのオルメルト首相は31日、治安閣議で、「ロケット弾攻撃が続いているのに停戦はできない」と述べ、戦闘を継続する姿勢を鮮明にした。フランスなどが進めるイスラム原理主義組織ハマスとの暫定停戦案を拒否したものと受け取られている。

 フランスはクシュネル外相が、ガザ地区への人道支援物資搬入のため48時間停戦を提案した。しかし、イスラエル側は「軍事作戦を継続する」としてこれを拒否。同外務省はその理由について、「ハマスが砲撃をやめる明確な保証が欠けており、この提案は非現実的だ」と述べた。一方、ハマスの報道官も「攻撃と(ガザ地区の)封鎖をやめれば検討する」と停戦案に否定的な姿勢を示した。

 イスラエル軍は31日、引き続きガザ地区を空爆したほか、予備役の人数を2500人増やし、地上戦への構えをちらつかせている。ロイター通信によると、これまでのパレスチナ人の死者は385人に上った。

 こうした情勢下、欧州連合(EU)は30日、パリで開いた緊急外相理事会で、近く閣僚級の代表団を現地に派遣することを決定。サルコジ仏大統領は1日、訪仏するリブニ外相と会談した後、週明けにイスラエルを訪問する予定で、仲介に積極的に乗り出す構えだ。

 停戦に向けた国際社会の動きも活発化しており、ブッシュ米大統領は30日にパレスチナ自治政府のアッバス議長と電話会談し、「持続的な停戦」のあり方を話し合った。国連の潘基文事務総長も米、ロシアなどと協議した。


暴走する国家恐慌化する世界 迫り来る新統制経済体制の罠, 副島隆彦、佐藤優,:著

中東諸国で核製造の連鎖現象が起こる

副島
今回のグルジア紛争とのつながりで、その南のイランをめぐって核兵器が使われる可能性はどうでしょうか。私は既に5年ほど前から、「やがて中東で核が使われる」と予測しています。このことは人類の歴史の法則からして避けられないこと(不可避)だろうと私は冷酷に考えています。

佐藤
私も副島さんの懸念を共有します。核が1回使われることになれば、堰を切ったように使用されるようになるでしょう。というのは、今後、核が使われないという蓋然性のほうが少ないからです。イランが核兵器開発に成功したら、その翌日にはサウジアラビァも核保有を宣言すると思います。

どうしてかと言うと、パキスタンの力ーン博士が開発した核は、サウジアラビアの資金でつくられているからです。オーナーに反対することはできません。そして次の瞬間、何が起こるかというとエジプトが核開発をします。シリアも始めるでしょう。そうしたら核開発はどこの国でも1〜2年でできます。そのときイスラエルは自国の核所有を明らかにします。そうなれば中東でイラン、イスラエル、エジプト、シリア、サウジアラビアの5力国が核を所有することになり、何も起きないことのほうが、かえって不思議です。

副島
核兵器というのは案外、今では簡単な技術なんですね。貧乏国でも持てる。だから王様や大統領たちが欲しがる。どんなにオンボロの原始的な核兵器(原爆)でも持ちさえすれば一等国だ。アメリカが脅えて対等の付き合いをしてくれる。インドとパキスタンの間で、核を撃ち合うという可能性もあります。パキスタンが保有している長崎型(プルトニウム型)の素朴な核が使われる。民族間の憎しみが背景にあるのは皆同じです。

佐藤
インドと中国で国境を争っているカシミールで、核が爆発する可能性も考えられます。相手に領土を取られるくらいだったら、核で殲滅してしまったほうがよいと暴走しかねません。2008年11月のインド・ムンバイでの同時多発テロ以降、カシミールを巡ってインドとパキスタンの間で不測の事態が生じる危険もある。

副島
冷酷な言い方をすれば、たかが核兵器一発で30万人くらいが犠牲になっても致し方ないと。

連鎖する核発射で第三次世界大戦が起こる可能性はあるか

佐藤
たぶん、今回のグルジア紛争が原因で第三次世界大戦になるとは考えられません。ただし、第三次世界大戦になるとするなら、次のようなシナリオになると思います。

イスラエルをイランなりが本気で潰そうとする。その場合、核ではイスラエルを潰せません。核で潰すよりも、ヨーロッパに圧力をかけてイスラエルとの通商をやめさせることです。その際、アメリカがかつての赤い力ーテン時代のベルリン空輸のような形で、アメリカ本土からイスラエルを助けるだけのことをやるかどうか。

私はアメリカはやらないと思います。それにヨーロッパ中でテロが連鎖して起こる。すると、テロのもとになるところの臭いところから全部切ってしまえ、ということで、イランとイスラエルがぶつかるかもしれません。そうなると必ず「非対称のテロ戦争」がどこかで起こると思います。

あとはヨーロッパに気をつけなくてはいけません。グルジアは一応ヨーロッパに近いから怖いのです。ちょっとしたことで何かが弾けてしまう可能性があります。

だから副島さんがおっしゃっているように、ヨーロッパとロシアはぶつからない。ロシアとドイツがぶつかるとか、ロシアとフランスがぶつかるとかいうシナリオは、「ペンペン草が生える状況になって、石器時代のような生活をしてもよい」、とヨーロッパ人が覚悟をしないかぎり起きない。天然ガスや石油の間題があって、ヨーロッパは弱みがあるのでロシアと対決するのは難しいと考えます。

他方ロシアも、天然ガスや石油の栓を閉じてしまうと、誰も買ってくれないとなると、いくら天然ガスがあっても、今度はロシアにペンペン草が生えます。ここのところは相互の依存体制、共感体制のようなものが出来て、そうなると「ロシア対ヨーロッパ」という形でのぶつかり方の蓋然性は少ないと思います。だから何があっても危険なのは中東なのです。

副島
そのとおり。人類の火薬庫は極東(東北アジア)と中東です。この2つの地域たが常に爆発する可能性を持っている。そして、ここには日本という工業製品の輸出で金を貯め込んだ国と、石油代金で資金を持っているサウジアラビアという2つの国があります。日本とサウジアラビアがアメリカの財布です。

極東という火薬庫では、2006年2月18日にクリストファー・ヒル国務次官補が、6力国協議のあとで、本気で本音をしゃべった。それは「もうアメリカは北朝鮮に関わりたくない。アメリカは(国務省としては)、逃げるぞ。帰るぞ」なのです。これが本音です。アメリ力の最高度の外交戦略家たぢの共同理解は、「アメリカにとっての北朝鮮問題はそもそも存在しなかった。だから間題も存在しないということなのです。そうすると、日本国内で北朝鮮問題(拉致間題)で騒いでいる人たちというのはどういうことになるのでしょう。

人間という生き物は、新しく手に入れた技術は必ず使うものです。だから中東で核兵器が使用される可能性は濃厚だと思います。日本は広島、長崎の先例を浴びているのでバカなことはしないほうがいい。

佐藤
人類が開発した犬量破壊兵器で今まで実戦において使われていないのは水爆だけで、あとは全部使われていますからね。

副島
先ほど佐藤さんがパキスタンの力ーン博士の核の闇市場から中東の主要な諸国に既に核技術は転移していると話されました。

そして私はこのパキスタンに核技術のうちの弾道ミサイル(弾道ロケット)技術を与えたのは北朝鮮であると言いました。だから北朝鮮がいちばん悪いことになる。ところが真実の相をあと一枚捲っていくともっと恐ろしい。北朝鮮の核技術はイランにまで届いているが本当は中国製だろう。北朝鮮を裏から支援しているのは中国という〃大後方"である。この大きな視点を私は、スタンフォード大学のフーバー研究所研究員だった故・片岡鉄哉先生から学びました。

でも私は、片岡先生が「日本も核保有すべきだ。そして自立せよ」と言うものだから、喧嘩になって先生とは別れました。私は反戦平和派です。刀(核兵器)など持って振り回すほうが愚か者だと思っています。核武装すれば自分が強くなったような気になる。その程度のリアリストぶる愚か者が日本の保守言論界に山ほどいます。包丁やピストルを振り回すと、自分自身を切りつけて大ケガをするものなのです。

実は中国は、イスラエルと縁を切って、アラブ諸国に近づいた、これが近年における巨大な世界的地殻変動の始まりです。

中国はイスラエルがアメリカ国防総省から盗み出した技術を、長年イスラエルから秘かに安く買っていた。ところが中国の指導部は、2006年11月にイスラエルと大喧嘩になった。イスラエルにしてみれば「中国よ。よくも裏切ったな」となる。中国にしてみれば、中東全域のアラブ諸国と仲良くして、石油を買って(油田の採掘権を押さえる)、中国の世界覇権を目指すのが大きな目標となった。これを〃大国堀起(和平堀起)"といいます。

それで慌てたのがアメリカ国務省です。それまでの北朝鮮に対する強硬な封じ込めの姿勢を大転換しました。腰砕けといってもいい。だからアメリカは「北朝鮮がテロ支援国家だとする指定を取り消す」と言い出したのです。

それで、アメリカとしては、北朝鮮間題を中国に丸投げすることにした。北朝鮮は中国の勢力圏にあるままにすると決めました。韓国人にしてみれば、民族統一ができなくなって怒っています。中国とアメリカが頭の上で勝手に決めてしまった。.

日本にとっても同じことで、米中対話で頭越しに何でも決められてしまうようになっています。「日米同盟で中国と対決せよ」と言い続けている者たちのオツムの程度がよくわかります。

ところが、さらに事実は小説より奇なりです。北朝鮮の核ミサイル(本当に2発あるらしい)の半分は、なんと北京を向いて狙っているというのです。これは本当でしょう。北朝鮮と中国の間にも緊張関係があるのです。

北朝鮮の金正日に次ぐナンバー2である金永南最高人民会議常任委員長(軍のトップ)は、実はアメリカのCIAの息がかかっている。この人物が核ミサイル(宇宙ロケット)実験をやって周辺国を驚かすのです。

2008年7月7日の洞爺湖サミットのとき、ブッシュ大統領が福田康夫首相(当時)に耳打ちしたそうです。「中国人は首都の北京を内陸部に移したいそうだ」と。福田首相は何のことだか理解できなかった。私はピンと来ました。北京の共産党の親玉たちは、北朝鮮が自分たちの北京に照準を定めている核ミサイルの危険から逃れるために、昔の洛陽のあたりにまで首都を移すということを本気で考えているはずです。



(私のコメント)
新年明けましておめでとうございます。なぜ御めでたいかというと年が無事に越せたからです。来年ははたして年が越せるのだろうか? 世界は金融恐慌で金融市場は麻痺してFRBが住宅担保証券を買って金融を動かそうとしていますが、トヨタですら銀行から金を借りるのに苦労しているほどだ。しかしこのような現状を分かりやすく報道するところが無い。

報道する新聞記者たちも専門書を読んで勉強する時間がないから何が起きているのか分からないのだ。何が起きているのか分からないから、大きな事件が起きると「株式日記」のようなブログにアクセスが集中するようになる。テレビや新聞は解説や状況分析が出来ないからです。

今日は「朝から生テレビ」を見ていましたが、構造改革が悪かっただの金融資本主義が悪いだのヘッジファンドが詐欺だのと、「株式日記」では何年も前から書いてきたことを言っている。日本は産業資本主義で物作りを大切にしてきたが、小泉内閣は日本にアメリカ型の金融資本主義を導入しようとした。そしてゴールドマンサックスのような投資銀行が日本のゴルフ場やホテルを買いまくって証券化して売り飛ばそうとしていた。

そのような風潮を煽ったのが田原総一郎であり、ホリエモンなどを一躍時代のスターにまで祭り上げた。しかし昨夜の朝生では派遣切りはけしからんと正反対のことを言っている。いかにジャーナリストが不勉強で先を見る目がないかを示していますが、アメリカの金融破綻も2年前の2007年3月にはアメリカのバブル崩壊の予告を書いてきた。


アメリカ経済終わりの始まり』 松藤民輔(著) ゼロ金利解除が意味するもの 2006年現在、円は世界の基軸通貨になった 2007年3月9日 株式日記


世界大金融恐慌の後には、アメリカを操る国際金融資本は何を仕掛けてくるのだろうか? もちろんそれは戦争だ。アメリカは金融破綻と実体経済のクラッシュで破れかぶれになって再び戦争に打って出る事だろう。それはオバマ新大統領になっても変わりが無く、オバマが言う事を聞かなければケネディのように暗殺されて処分されてしまう。

時事ブログなどを見ても、イスラエルとハマスとの戦争を扱ったものは非常に少ないのですが、今年は中東で核戦争が起きる年になるかもしれない。それを知るためには「暴走する国家恐慌化する世界」という本を読んでもらえれば分かるだろう。佐藤優氏はロシアとイスラエルの専門家であり、外務省時代からの情報ルートを持っている。

イスラエルとアメリカは一心同体であり、多額の軍事援助が与えられて軍事機密なども提供されてアラブ諸国との戦争に勝ち抜いてきましたが、イスラエルはアメリカを裏切って中国に軍事機密を漏らしてきたようだ。イスラエルの核開発はアメリカの援助によるものでしょうが、ケネディはそれに反対したから殺されたのかもしれない。

イスラエルはなぜ中国に軍事機密を提供したのであろうか? 中国で最近開発されたジェット戦闘機はイスラエルで開発された戦闘機とそっくりだ。イスラエルの核実験なども中国で行なわれたという説もある。アメリカはイスラエルに提供した情報が中国に漏れる事を承知で提供してきたのだろうか? アメリカと中国とが直接取引をすると目立つからイスラエルを経由させたのかもしれない。

つまりアメリカと中国とは裏では繋がっているのであり、中国の核もイスラエル経由でアメリカから伝えられたのかもしれない。クリントン時代には多核弾頭の技術が中国に提供された事が問題になりましたが、アメリカは日本には核は持たせないが中国には核を持たせるという戦略だったのだろう。これは政府の決定ではなく裏ルートで繋がっているグループがあるという事だ。

こうなるとアメリカという国は何を考えているのかまるで分かりませんが、日本はアメリカという国家の研究がおざなりで、それで大東亜戦争にも負けた。ブッシュ大統領が登場したときもネオコンという言葉すら日本人は知らなかった。アメリカのキリスト教はヨーロッパのキリスト教徒は違うらしい。福音派のキリスト教とネオコンとは深い関係があり、福音派の信者は中東における核戦争の後のキリストの降臨を信じている。

福音派の話になるととてもついて行けないのですが、それくらい今のアメリカ人は宗教に狂ってしまっている。福音派は聖書にかかれた事が真実であり、ハルマゲドンを信じている。ブッシュ大統領は神のお告げでイラク戦争に踏み切ったそうですが、このような人物が核ミサイルのボタンを持っているから恐ろしい。

イスラエルとハマスの戦争はやがてヒズボラも加わり、背後のイランとも戦争になるかもしれない。イランとイスラエルが戦争になればロシアとアメリカによる代理戦争になる。中東が核戦争になれば中東の油田地帯は核に汚染されて石油の輸出は長期にわたってストップする事になる。だから決して日本に無関係な事ではないのですが、ブロガー達は正月気分のようだ。


ブッシュ再選と『核戦争を待望する人々』“福音派キリスト教徒”の狂気じみた実態 2004年11月7日 株式日記


副島氏は本の中で人類の火薬庫は極東と中東だといっている。北朝鮮のミサイル技術は中東諸国に伝わり、パキスタンの核の技術は中東や北朝鮮に伝わっているようだ。パキスタンに核技術を伝えたのが中国とすれば、アメリカの核の技術がイスラエルに伝わり中国に伝わりパキスタンに伝わった。

気がつけば中東も核保有国だらけになって、いつかは核戦争が起きるだろう。イスラエルはCIA長官が明言しているから確実に持っている。ハマスやヒズボラに核が持ち込まれれば彼らは躊躇なく核を使うだろう。問題はそれがいつ起こるかですが、だから最近のガザ地区の問題は気になって仕方がない。

「株式日記」では2001年にイスラエルが強硬な態度をとり始めて、中東で戦争が始まる事を予言しましたが、1ヵ月後に9・11テロが起きた。という事はオバマが就任して数ヶ月以内に第二の9・11が起きるかも知れない。その事によってアメリカの新大統領を中東戦争に引きずり込むのがイスラエルの戦略だからだ。



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