株式日記と経済展望

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『日本封じ込め』 ジェームズ ファローズ:著 日本はサウジアラビアより
もっと多くの点で重要であり、今後とも大部分の国よりも重要になろう。


2007年11月30日 金曜日

日本封じ込め―強い日本vs.巻き返すアメリカ ジェームズ・ファローズ:著

日本封じ込め

私はようやく、外交官がどんな気持ちでウソをつくかわかってきた。外交官というものは大義名分のためならば、ちょっとしたウソは平気でつけるように訓練されるものだ。

私はかつてサウジアラビアで、あるアメリカの高官がサウジの王族に、アメリカとサウジが「非常によく似ている」と話しているのを聴いたことがある。私は意地悪く、だれかが高官によく似ている例(たとえば広大な砂漠)を挙げてくれと質問すればよいと思ったが、彼がそんなウソをつく動機もわかっていた。

もしも彼が不必要に正直に「お互いの社会に共通点は何もありませんね」と一言ったところで、だれも喜ばせないし、石油の確保という本来の訪問目的を台無しにするだけだったろう。

アメリカ人はサウジ相手の場合と同じように、日本に対しても、いやそれよりも強く、戦術的に不正直な態度を取りたがる。外交官だけでなく、報道記者も同じだ。アメリカにとって、日本はサウジアラビアよりも、もっと多くの点で重要であり、今後とも大部分の国よりも重要になろう。

それにもかかわらず日米関係には薄氷を踏む脆さがあり、公然とモノを言うのは危険と思われている。アメリカと他の多くの国々との関係は強く、意見不一致を率直に議論し合っても、絆が切れるようなことはない。

たとえば、一九八九年初めのいやらしい"牛肉ホルモン〃の小競り合いでも、だれもアメリカとECが断交するなどとは思わなかった。ところがアメリカの日本スペシャリストの仲間(外交官、ビジネスマン、学者、ジャーナリストを含む)は日本に対して卒直に言うべき文句を本能的に抑えてしまう。

こういう戦術を取りたがる動機はわかるような気がする。日本で仕事をしたことのあるアメリカ人は大体アメリカ国内の露骨な対日偏見を知っており、それに調子を合わせようとは思わない。同時に、世界が束になって日本を排斥しようとしているという日本の絶え間ない不安感を悪化させるようなことは何もしたくない。

前に日本が仲間外れにされたと思ったのは一九三〇年代だったが、このとき、日本は国際的にさんざん鼻であしらわれてから、ファシスト国家主義の道を転げ落ちていった。ことの起こりはパリの平和会議で、日本が提案した人種差別反対の決議案がイギリスによって拒否されたことだったが、日本はこれを日本と白色西欧との人種的平等性の拒否と見てとった。

一九四一年、多くの海軍戦略家の間で、対米戦争は日本の破局になると広く信じられていたにもかかわらず、帝国海軍は真珠湾攻撃を断行した。日本の軍事指導部は西側は日本をボイコットで息の根を止めようと決定し、日本としても反撃してしかるべきだと思い込んだのである(現在も日本の学生はそのように教えられている)。いまの日本が再び軍事的侵略に突入するようなことはない。

それにもかかわらず、歴史と事の微妙さを知っているアメリカ人は、日本を追い詰めるようなことを言うのに二の足を踏む。しかし、今や日本はそのようにこわごわと扱うには重要過ぎる国になってしまった。過度に丁重になると、日米は両国間の対立を直視しなくなり、どんな頑固な日本たたき屋の悪口よりももっとひどく両国関係を危険に陥れるだろう。

予見できる将来、日本はアメリカにとって唯一の最も貴重なバートナーとなろう。それは次の三つの分野における日本の能力による。

第一は日米間の軍事的理解である。これによって日本は単独でなら必要な巨大な陸軍を建設する必要はなくなり、アメリカは太平洋における支配的勢力の地位を保ち、軍事予算の直接経費をほとんど増額する必要はなく、また対日防衛に走りそうな他のアジア諸国の軍備競争も阻止できる。

第二は財政である。日本はアメリカの資金源となった。投資資金を提供し、アメリカ政府の負債の多くをカバーしてくれる。第三はビジネスである。日米ビジネス関係はテクノロジー、市場、人材、資材その他の必要欠くべからざる要素を両国の企業に提供している。

以上三つの現実から、多くの人々、とりわけアメリカの外交官は第四の条件を想定したがる。それは日米両国の利害関係は根本的に衝突しないということである。が、この想定は誤っている。両国は友人として相互に相手を必要としながらも、双方の利害関係は根本的に対立しており、対立がないかのような振りをするよりも、現実に直面するほうがよい。

対立は、日本がその一方的、かつ破壊的な経済膨張を抑制する能力がないか、抑制する意志がないことから起きている。膨張が一方的というのは、日本が自国に対しては許していないことを日本の企業が他国に対しては行なっているからだ。

破壊的というのは、それが日本が最も恐れている国際的村八分そのものに至るからであり、日本その他の多くの国々を繁栄させた戦後の自由貿易制度をダメにさせるからであり、さらに究極的には日米のパートーナシップを維持できなくさせるからだ。

日本もこれらの結果のどれも望まず、それとともに必然的に起きるアメリカの国力の衰退も望んでいない。大部分の日本人はこれまでの経済的実績から、ともすれば傲慢になりがちな誇りを持っているにもかかわらず、アメリカが強力で、安定し、豊かで、相変わらず非共産圏のナンバー・ワンであって欲しいと願っている。

アジアにおける二〇世紀の日本の歴史から見て、日本は有数な軍事国家よりも、経済国家ないし文化的勢力として受入れられやすい。外交リーダーとしては、日本はまだ遅疑逡巡し、経験は浅い。

日本は勤勉によってどんなことが達成可能かを示してくれたものの、概して自国の問題に専念し.たがり、民主主義、資本主義その他どんな信条でも、説教は他国にやらせたがる。アメリカさえ余裕があるならば、たいていの日本政治家は経済以外のイニシアチブはアメリカに任せたがる。

ところが不幸にして、アメリカのこれらのリーダーシップのコスト支払い能力を脅かしている大きな外的脅威は、日本の抑制と均衡を欠く経済成長なのだ。世界の貿易制度を動かし続けてゆくには、最強の大国がある程度の犠牲を払う用意がなければならない。

たとえばイギリスがその自由貿易の黄金時代に、あるいはアメリカが第二次大戦以後に、国内で政治的反対を受けたにもかかわらず、全体として、市場を開放したようにである(日本と韓国はいま、アメリカの"保護主義"に文句をいっているが、月額一〇〇億ドルもの貿易赤字を出している国がどうして保護主義といえるだろうか)。日本はこれらの犠牲を払う様子をほとんど見せないし、相変わらずの膨張はいずれアメリカがそうする能力も弱めることになろう。

友人というものは、ときには破壊的な習慣を止めさせなければならない。日本はアメリカの破壊的なビジネスや金融のやり方について説教するのに都合のよい立場にあり、そうする日本政府当局者は増えるばかりだ。

しかし世界にとって、日本の破壊的な習慣のほうがアメリカのそれよりも有害となろう。もしも日本が自国経済の行き過ぎを抑制することができなければ、アメリカとしては日本とのパートナーシップを救うためにも、外部から制約を加えなければならない。(P96〜P99)


(私のコメント)
11月19日の「株式日記」でアメリカの最重要同盟国はサウジアラビアと日本だと書きましたが、無能なライス国務長官はサウジアラビアとの関係も修復できず、日本とも北朝鮮をめぐって亀裂を生じさせようとしている。かつては天才少女と呼ばれたのですが、国務長官になってからは空回りばかりが目につくようになった。

ジェームズ・ファロー氏が述べているように、アメリカにとって日本は最重要同盟国だ。日本を失えばハワイから南アフリカの喜望峰までの制海権を失う事になるからだ。サウジアラビアについても石油確保の意味から重要なのですが、アメリカ政府高官にとって日本政府との外交的交渉においては気骨の折れる交渉であるはずだ。

それにもかかわらずアメリカは、ソ連崩壊後において次は日本だとばかりにジャパンバッシングに来たのはなぜなのだろうか? それで日本国民が怒ってアメリカとの同盟関係を解消しようと思う事は十分想定できる事だ。事実、クリントン大統領は日本を素通りして中国に9日間も中国に滞在した。

この事は暗黙のうちにアメリカにとってのアジアの最重要同盟国は中国であることを示すものであり、その事が当時の橋本内閣が倒れる事の原因の一つになった。今年の安倍総理の辞任もシドニーでブッシュに冷たくあしらわれたのが原因である。アメリカにとって最重要同盟国であるにもかかわらず、日本の総理大臣がアメリカに対して強く出られないのは不思議でならない。

もちろん日本にとってもアメリカは最重要同盟国なのですが、日本の首相がアメリカを訪問してもアメリカのニュースにはほとんど報道されない。ヒラリー・クリントンの外交論文でも日本のことはほとんど触れられず、アジアにおける重要なパートナーとして中国を上げている。アメリカの外交戦略に大きな変更でもあったのだろうか?

それよりもアメリカにはっきりとものが言えない日本の政治家や官僚たちの卑屈な態度に原因があるのではないだろうか? 2009年から始まるヒラリー・クリントン政権では日本と台湾は見捨てられるのかもしれない。そして実質的に日本は台湾と共に中国の勢力下に置かれるのだろうか? そのように日本の政治家は脅されているのだろうか?

そのように考えないと日本の政治家の弱腰が理解できない。ならば日本はアメリカに切り捨てられてもかまわないような準備をすべきなのですが、自主防衛や日米安保廃棄の戦略は考えられていないようだ。しかしヒラリー次期大統領の外交政策では中国重視で台湾が中国に武力併合されてもアメリカは動かないだろう。ならば日本も覚悟を固める必要がある。

ジェームズ・ファロー氏は「日本封じ込め」という著書から分かるように親日派ではなくジャパンバッシャーの旗振り役の一人である。そしてこの本ではアメリカ内の親日派を手厳しく批判している。

ジャパン・ハンドラー

アメリカでは日本の言語と文化は主流の関心事ではないので、現在、日本語が流暢に話せる成人のアメリカ人の大多数は異例の経歴の持ち主ということになる。宣教師の子供として日本で成長した者もいれば、学生でモルモン教を布教するために来た者もいる。戦争中ないし戦争直後、軍の日本語プログラムで学んだ者も多い。

確かに、占領時代のエキスパートの幹部階級が過去四〇年間、アメリカの日本観に与えた影響は大きい(これにはフランク・ギブニー、ドナルド・リチー、エドワード・サイデンステッカー、ドナルド・キーンのような学者、作家から経済の権威者ジエームズ・アベグレンなどが含まれている)。

少数だが、高校ないし大学で日本を専門に勉強したアメリカ人もおり、現在、日本の貿易問題の批判者になっているプレストウィッツもそうだ。さらに日本勤務のため、徹底的な日本語訓練を受けた外交官がいる。

日本語学習に必要な努力をするということは必ずしも日本の文化、経済、ないし政治制度を尊敬することにはならない。しかし一般に、日本語を学ぷために何年間も費やし、日本に住んだ人間は当然のこととして、日本的な見方をするだろう。

一九五〇年代ないし六〇年代初期に初めて日本を知ったアメリカ人はしばしぱ優しい見方をする。彼らにとっては、日本はいつも貧しく、懸命に働き、長年苦しんできた小さな国であり、ゼロから始め、引き続き成熟する間、大きなアンクル・サムの理解と保護を必要とする国である。真の日本がもはや初期のかよわい芽でないことは言うまでもないが、昔の思い出は強い。

アメリカ国務省の日本スペシャリストは日本を守る特別に強烈な理由を持っている。国務省内における彼らの将来の昇進はいささか限られている。もしも日本を専門に選べぱ、米ソ関係の偉大なゲームから(日本そのものと同じに)取り残されてしまうし、海外勤務として真に満足できるのは東京のアメリカ大使館ひとつしかない(駐日大使はほとんどいつも政治的任命なので、日本スペシャリストが狙える最高のポストは国務省の日本部長と大使館の公使のふたつしかない)。しかし、アメリカの日本スペシャリストは内輪の世界では途方もない影響力を持ち、それを日米関係を強力に維持することに行使する。

日本在勤中、彼らはたいへんな厚遇を受ける。国家間の摩擦をいつも最小限に食い止めようと努カするという意味で、洗練され、コスモポリタン的で、本能的に親米的な日本外交官と政治家と交際する。

日本外務省の"アメリカ・ハンドラー"は長年、アメリカで教育を受け、勤務し(現在の北米局長はセントポール・スクール、ハーバード・カレツジ、ハーバード大学院の卒業生である)、彼らの多くは日本がアイゼンハワーないしケネディ時代に持った気前のよい兄貴分としてのアメリカ観を持ち続けている。アメリカ外交官は当然、東京でそのような人間との交際を楽しむ。そしてワシントンに帰任すると、フンク・ギブニーの言葉を借りれば、突然、大半の時間を議会で反日"野蛮人"に痛めつけられるのに費やすことになる。

日本の美徳(その安全さと調和、仕事における普遍的とでもいえる有能さ)はよそへ移ってみて初めて痛感される。東京で三、四年勤務後、ワシントンに帰任したアメリカ外交官は口汚いタクシー運転手、勘定のできない店員を相手にしなければならない。東京では名士なのに、ワシントンに戻ると、官僚組織の下っ端に戻る。

生活経験のあらゆる面からいって、外交官は日本に売り込もうとするアメリカ・メーカーよりも日本に好意を抱くことになる。アメリカで日本に関する素人が生かじりの意見を述べると、外交官は「それはそうだけれど、しかし」と反論できるだけの知識を持ち、またアメリカ人が日本の保護主義や排他主義をこきおろすとき、外交官は現在日本について言われる悪いことは二〇年前はもっと悪かったことを知っている。その結果、対日外交関係の運営で主として責任を持っべきアメリカ人は貿易に関する退屈な苦情で関係を壊すことに当然、反対の偏見を持つ。

マイク・マンスフィールドは彼自身、職業的外交官でも日本スペシャリストでもないが、十二年間にわたって駐日大使を務め、日本クラブの最も有名なメンバーだった。任期中、彼は分裂を強める大使館員の意見をまとめねばならなかった。彼らの衝突から、伝統的な日本スペシャリストの幹部と日本の貿易のやり方にますます攻撃的な批判を勧告する新興グループとの間の対立が露わにされた。

八五歳で退任したマンスフィールド大使は日本では文句なしに愛されていた。彼の在任中の業務に対する評価はいずれも、例外なく肯定的であり、心琴を打つものがあった。他方、マンスフィールドもいつも日本と日米関係を支持した。大使として行なったどのスビーチでもインタビューでも、彼は日米両国は"他に比類を見ない世界で最も重要な二国間関係。のパートナーだとカ説した。

大使館員の一部はマンスフィールドに全面的に賛成しーまた彼が日本に派遺された最も賢明で、最も建設的なアメリカ大使だという日本側の評価にも同意した。しかしハッキリと意見が違う館員もいた。すなわちマンスフィールドはもう一人の駐米日本大使となり、日本の貿易パターンに対して当然疑惑を深めるべきときにも、大使館を対日関係のグッド・ニュース配布機関に化したというのだ。

少なくとも私が運用を見た三年間、大使館は強硬派と柔軟派とのふたつに鋭く分裂しているようだった。商業上と政治上の利益の間の対立から、アメリカの対日政策にはいつも紛争があろう。しかし過去数年間、これらは昇進の決定、メモと電報の管理、報道機関に対する漏洩など、官僚戦争のかたちで闘われた一種の戦争のようになっていた。

政府内のたいていの闘争がそうであるように、東京のアメリカ大使館内の権力闘争も大きな政策問題だけでなく、官僚制度の瑣末な問題にまでわたった。大使館内の商務省派遣のトッブ・ポストを大使に次ぐ最高であり、館内二位の「公使・参事官」にすべきか、それとも商務事項を重視しないことの反映として、単なる「参事官」にすべきか。マンスフィールドの反対にもかかわらず、アメリカ議会は一九八八年、東京その他の重要な数ヵ所の任地の商務省派遣の参事官を(後に農務省派遣の参事官もそうだったが)、「公使・参事官」に昇格させるよう命じた。

そこでマンスフィールドは国務省の許可を得て、政務担当参事官も公使・参事官に昇格させ、日本に対する全般的な政策に変更はなく、国務省が商務省に屈したわけでないことを示した。マンスフィールド大使は演説のなかで、些細な貿易問題の究極的解決策として日米自由貿易ゾーンの設立を勧告した。商務省当局者はそれは日本側の解釈の仕方から、絶対にうまくいかないと言った(日本のほとんどの当局者は日米自由貿易地域を、日本で一般的な非公式カルテルの障壁には手をっけないで、すでに日本のほうがアメリカより安くなっている関税のような正式の障壁をなくすことだと思い込んでいる)。

日米牛肉・オレンジ交渉の際、大使館内の商務省の強硬派は毎日のようにワシントンに電報を送り、日本にもっと圧力をかけよと進言した。他方、柔軟派は日本にはもう譲れる余地はなく、アメリカが押せば押すほど、抵抗に遭うと反論した(結果的に、柔軟派が誤っていた)。

FSXがまだ茶の間の話題にならない一九八七年、アメリカ側交渉者は日本にF16をそのまま買うか、あるいはF16の技術を高度化した新型戦闘機を開発した場合、成果をアメリカに分かち与えるように提案した。「最もおもしろかったのは、国務省とアメリカ大使館の態度だった。日本側提案に反対した電報は館内の首脳部の手で変えられるか、ストップされたLとプレストウィッツは『日米逆転』のなかで回想している。

ごく短期間、東京に勤務したマイケル・エリーの闘争の話も有名である。彼は経験の深いエコノミストで、ヨーロッパが専門だったが、一九八五年、経済担当公使・参事官として、東京駐在を命じられた。彼は日本の貿易のやり方を、火星人が人類を見るような顔で見ていたが、たいていの場合、強硬派に同意した。これで彼はますますマンスフィールド大使とも館内の政務担当スタッフとも正面衝突することになった。

一九八七年半ばころには、彼は異動することになった。彼は自発的に止め、ブリュッセル勤務を命じられた。これは純粋な昇進だった。しかし彼の同僚の数人によると、彼が新しいポストに就きたがったことは、毎日の内部闘争がどんなに緊張したものだったかを示していよう。

.マンスフィールド時代に東京勤務だったある人が最近私に言った。「電報用紙に向かうとき、原稿を書く前から、日本がよく思われるようなことを書けば、検閲がすらすら通ることはわかっていた。たとえば日本市場は急速に輸入に開かれつつある、と書けば、だれも情報源、内部の見解一致の有無、ないし私がどこで証拠を入手したかというようなことを詰問しない。ところがなんかの形で日本を批判したものを書けば、何もかもスロー・ダウンする」

電話、コンピュータ、国際問のジェット旅行などのおかげで、大使が果たすべき仕事の多くが不要になっている今日でも、このような内部分裂は影響を与えずにはおかない。アメリカにとって世界で最も重要な大使館は二ヵ所か三ヵ所しかなく、在日大使館はそのうちのひとつだ。

重要な日米交渉は通例ワシントンよりも東京で行なわれ(なぜならば、通例アメリカが日本になんらかの政策を変えるよう要求しているから)、その際、大使館はアメリカ・チームの行動基地ともなり、情報源ともなる。大使館内の分裂はおそらくもっと広範囲なアメリカの日本観の変化の徴候でもあろう。

マンスフィールドをリーダーとする伝統的なジャパン・ハンドラーはアメリカ国内における日本たたきの火の粉を振り払おうとしているが、これは必然的に頭を持ち上げて来ざるを得ない貿易問題の重要性を抑さえることになった。マンスフィールド自身、日米間の貿易インバランスはすべてアメリカ側の落ち度だとしばしば言明しており、これは議論の余地のあるポイントだが、アメリカ大使の発言としてはおかしい。

一九八九年春、柔軟路線と強硬路線をもっとバランスよくミックスしたマイク・アーマコストがマンスフィールドと交代した。しかしアメリカのジャパン・ハンドラーの分裂はまだ残っており、長期にわたってアメリカの政策に影響を与えるだろう。 (P34〜P39)


(私のコメント)
アメリカの経済戦略としては、高い人件費のアメリカ国内よりもはるかに安い人件費のアジアに工場をシフトしてより大きな利益を得る戦略だった。しかしアメリカの工場で働く従業員にとっては職場の喪失となり、それがジャパンバッシングとして反映された。さらに中国は数十分の一のコストで生産できるからアメリカ企業にとっては当然の選択であり利益であった。

現在では米中の経済同盟がグローバル市場を支配している。経済から見ればアメリカと中国は最重要パートナーとなり日本の影は薄くなった。経済同盟がやがては外交的な同盟に変化していく可能性があり、このまま行けば米中によって日本は封じ込められるのかもしれない。そうならないためにはアメリカにも中国にも支配されないだけの軍事力をもつ必要がある。




サブプライムローン債権で、その正常な判断を狂わしているのが
『お金第一主義』の米国の姿勢ではないかと思います。


2007年11月29日 木曜日

『サブプライムローンの間違った判断』 11月20日 ケンミレ株式情報

◇サブプライムローン問題の構造

サブプライムローンとは信用度の低い住宅ローンです。もう少し具体的に言いますと、低所得者層や、過去に延滞や未払いなどの履歴がある“信用力の低い消費者”に、住宅購入資金を貸すローンということです。

このローン債権(債務者に対して支払いを要求できる権利)を、市場で売買できるように「債券」として販売したところ債権の支払い懸念が生じ、それによって債券価格も暴落・評価損が発生したということ。そしてその評価損の発生と、もともとの信用度が低いことから会計基準から引き倒され、引き当て金(負債)を計上しなければならないことで、サブプライムローン問題がここまで世界の金融市場と経済に悪影響を与えています。

しかし、良く考えてみますと「150兆円と言われるローンを組んだ人達の多くが支払いをしないのか?」ということです。別の言い方をしますと、もともとの発端である住宅ローンが不良債権になったのではなく、そこから派生した金融商品の債券価格が下落しただけではないか、それでどうして世界的な金融不安が発生するのかということです。

これは金融機関がつくったバブル市場と、金融当局の規制強化がもたらしたものではないかと思います。

新商品を作れば一時的には金融機関に利益が出ますが、それが崩壊した時の事を考えなければ、かえって金融機関を苦しめる、目先を追うことは決して得にならないということであり、これは誰でも知っていることですが、それでも過ちを繰り返し、その金融機関のエゴによる過ちで投資家が苦しみ、最終的には一般市民までが苦しむということになります。

つまり150兆円のサブプライム債券市場が『市場として機能するか』『市場として機能するためにはどんなルールと市場活性化策が必要か』など、金融機関が努力しなかったことが第一の原因で、投資家を守るという視点で『後先を考えずに規制を強化した』当局の責任が第二の原因です。

経済は「活況になれば次に不況がくる」ことは誰でも知っています。
ということは、サブプライムローン債権が将来行き詰まることは専門家には予想できた事だと思います。その正常な判断を狂わしているのが『お金第一主義』の米国の姿勢ではないかと思います。

加えてSIV問題も懸念されています。
これは銀行が隠れ企業(特別目的子会社)を作り、その隠れ企業でハイリスク商品に投資するというビジネスモデルまで作ってしまいました。銀行と離れていても『債務保証をしている』以上は銀行の中にあると同じなのに、法律の抜け道を使って投資運用会社を作り、そこでハイリスク商品に投資するというのは『見えないところで企業が動く』ことになりますから、ディスクロージャーの面からも問題です。

この動きはお金第一主義の『ホリエモン』や『村上ファンド』の思想と全く同じ思想だと言う事になります。

◇今後のサブプライム問題とSIV問題の行方と株式市場に与える影響

サブプライム債権の引き当ては20%、30兆円であり、今後まだ20〜30兆円の貸し倒れ引き当てを計上(費用の計上=損失の発生)しなければならないのではないかとの予想が専門家から出てきています。

つまり、サブプライム問題は道半ばであり、今後に何が起るのかは予測出来ないという状況になっています。加えて運用資産が50兆円あると言われているSIV問題でも、今後金融機関に資金ショート時の融資(不良債権に対する融資)という新たな不良債権問題の発生と、引き当て金の計上という問題が起きる可能性があります。

このような環境では『株を買う人は少なく、空売りする人が増加する』ことになりますから、サブプライム問題とSIV問題の方向性が見えるまでは株式市場は下げ続ける可能性が強いと言う事になります。

◇では、サブプライム問題やSIV問題の方向性が見えてくるのは何時なのか

米国は12月決算ですから、決算では『どの程度の貸し倒れをするか』がはっきりとすると思います。つまり、2月上旬までには『多くの米国の金融機関が決算発表をすると思いますので、その近辺でサブプライム問題などが一段落するのか、更に深刻な問題になるか』がはっきりとするのではないかと思います。

それまでの間は『株式市場が上昇したとしても短期で上昇が終わる可能性が強い』と考えておいた方が良いと思います。

言い換えますと、買わずに様子をみる戦術を取るか、買う場合でも『リバウンド相場が起ったら欲張らずに売る』ことが大事だと思います。

◇経済で国は破綻しない

戦争で国が滅びることはあっても、先進国が経済で滅びることはありません。今の世界経済はサブプライム問題やSIV問題で大変な事が起ると思われていますが、それはこの問題がずっと続くことが前提です。

1992年に円高と株式市場の暴落で日本経済が崩壊し、街には失業者が溢れると言われ、1995年の時も円高デフレで日本経済が崩壊すると言われ、1997年には都銀と大手証券の倒産で金融システム不安で日本経済は駄目になると言われていました。

昔、米国でS&L問題が起った時にも米国は巨額の公的資金を投入して経済危機を乗り切り、日本でも住専問題や銀行の不良債権問題で公的資金が投入されたように、経済事件で国が危なくなれば、国は公的資金を使って問題を解決します。

つまり、損得問題である経済問題は損得で解決出来ると言う事になります。したがって、今回のサブプライム問題も『何処かで先進国が動いて解決される』ことになりますが、問題は『いつ国が動くのか』ということです。

逆に言いますと、国が動くまでは株式市場は下げ続ける可能性が高いと言う事になり、それは2月初旬の先進国での2007年度決算=サブプライム問題の影響がはっきりする決算のあとから動きのではないかと思われます。2月に動くのか、3月に動くのかは、各国政府の準備能力次第ですから予想は出来ません。

米国のエコノミスト協会が発表した来年の米国景気ですが、前半戦は2%台初めまで成長率が落ち込むが、10〜12月期には3%成長まで戻すという意見が大勢で、景気後退を予測するエコノミストは20%しかいなかったということです。

今の米国は最悪期であり、このような時期は『弱気になる』ものですが、その時期でも米国の経済の専門家であるエコノミストは『米国景気は強い』と予測しています。

専門家の意見は当たらないと言われています。しかし、弱い時期には『マイナス材料がクローズアップされて、弱気の予想をするのが人間』ですので、強気予想が大勢をしめたということは、米国景気は予想よりも強い、そして米国景気に影響される日本の株式市場も『時間の経過』とともに回復してくるのではないかと思われます。

レポート担当 森田謙一



(私のコメント)
アメリカの住宅着工件数のグラフを見ると2000年前後のITバブルの頃に一つのピークを迎えていた。そして2001年に9・11テロ事件が起きてアメリカは大混乱が起きた。エンロンやワールドコムの破綻も相次いで起きて、これでアメリカも終わりかというような事件が立て続けに起きた。テロリストグループはそれが狙いだったのだろう。

しかしブッシュ政権はなりふり構わぬ手を打って大混乱を収めた。グリーンスパン議長も5%以上あったFF金利を1%台まで一気に下げて、株式市場を梃入れしてバブル崩壊を切り抜けることが出来た。しかしその結果として住宅バブルが発生してしまった。それはブラフを見れば分かるように、150万件台から200万件台へとバブルは広がってしまった。

FF金利が1%になるとサブプライムローンを利用した住宅投資が盛んになって、金利さえ納めていれば資産価値の上昇によってローン枠が増えてさらに消費が広がった。1%までFF金利が下がったのも日本がドルを買いまくってゼロ金利を維持し続けたからですが、2004年末ごろにはインフレを気にし始めてグリーンスパンは金利を上げ始めた。

金利が上がり始めると同時に住宅着工件数は急激に減り始めて2005年から住宅バブルの崩壊が始まった。しかしサブプライムローンなどは金利の支払いだけで済んでいたからすぐには問題化はしなかったが、今年に入ってからローン金利が引き上げられて延滞債権が増え始めて、今年の夏にはサブプライムローン破綻が始まった。

もともとサブプライムローンはバブルのアダ花のような住宅ローンなのですが、住宅の値上がりを前提としたローンなので住宅価格が下がれば延滞債権となり破綻してしまうことが分かっている債権であり、それだけなら問題は少なかっただろう。しかしサブプライムローンが証券化されてファンドに紛れ込んでしまったから今日の大問題になってしまった。

このような状況を見れば少しぐらい金利を下げても住宅市場が持ち直すとは考えられないし、サププライムローンが混ざりこんだ債権市場は買い手がつかずに流通がストップしてしまっている。最終的には公的資金が買い取って解決するしかないだろう。しかしそれだけでは問題は解決せず、結局は全部清算してみないと金額が確定しないからどうする事もできないだろう。

アメリカは金融テクノロジーと称してデリバティブで資金運用しているから、外部からどうなっているのか分からない仕組みで運用している。レバレッジを効かせて数倍から数十倍の利益や損失が出る仕組みだから清算しないと損失額も分からない。担保になっている物件も果てしなく債権が分散されているから回収するのも目処が立たない。

金融機関の決算にしても暫定的な決算しか出来ないだろう。いわば欧米の金融機関は時限爆弾を抱えているようなもので、デリパティブは金融派生商品であり決算には載らない。ケンミレでも書いてあるように子会社を使って投機をしているかもしれないし、飛ばしをやってごまかしているかも知れない。だからうっかり手を出せないのだ。

このような金融商品は上手く行っている時はいいが、破綻するととんでもない巨額の損失を出す。ノーベル賞学者のファンドのLTCMは想定外のロシア国債の破綻で巨額の損失を出して破綻しましたが、金融商品は想定外のことに対しては計算されていない。

日本のバブル崩壊は銀行が一手に不良債権を背負い込みましたが、アメリカのバブル崩壊は金融商品として全世界に広がっている債券が問題になっている。日本の金融機関もサブプライムがらみで損失を計上している。このように損失が早く確定できたところは傷が浅いのであり、欧米の金融機関は信用不安につながるからディスクロージャーは出来ないだろう。

バーナンキFRB議長が発表する損失額は発表のたびに拡大の一途をたどるだろう。それが欧米の金融機関への不信を招いて信用収縮が始まっている。金融問題においては信用収縮が一番の問題であり、日本のバブル崩壊も信用収縮が起きて十数年も跡を引いてしまった。

アメリカの住宅着工件数のグラフを見ると日本のバブル崩壊とちょうど裏表になっていることが分かる。90年初めには100万件を割っていた住宅は2005年には200万件以上が建てられた。それに対して日本は2005年頃から外国から不動産投資が入り始めて不動産価格の値上がりが顕著になった。このように世界的に流動する投機マネーがバブルを作り出していくのだ。




石油ピークは、アンナ・ニコルの乳房の、冷たい無感覚な整形
手術の驚異に具現化されたアメリカン・ドリームの死を意味する。


2007年11月28日 水曜日

サウジの巨大油田、ガワールは死んだ! 9月27日 マスコミに載らない海外記事

このところ、頭を振り両手を揉み合わせ「衝撃と驚異」のうちにテレビを眺めていた。すると、もう一つの平凡な有名人の出来事の話題が、マスコミの反響室に飛び込み、マスコミの24時間/7日不眠不休の正帰還増幅回路によって、今年最大のニュース、いや世界を揺るが文化上の出来事として出現した。今回は、…アンナ・ニコルが死んだという事件だ!

彼女を思う悲しみに沈んだ人々は、追憶するための通夜をして、静かに彼女の偶像的な人生を思い、彼女の魂の平安を祈った。一方、我々は彼女の子供の父権やら、彼女の著名人という立場の象徴的な意味をどう後世に伝えるかなどについて考えていた。彼女の早死にの事実をウイキペディアが整理するのを、我々はじっと息を殺して待っている。

彼女は、東テキサスのトレーラーにすむ貧乏人が、素晴らしい乳房をもった石油王の若妻に成り上がる技術的変身というアメリカ物語の典型だ。プレイボーイ誌ページの彼女のあらわな乳房が、我が国の偉大さをまたもや是認してくれている! 彼女はブラジャーの紐を引っ張りあげ、世の中の自分自身も引っ張り上げた。「風前のロウソク」のような命という彼女のイメージは、彼女は実際にアメリカ人の集団的な夢を生きたので、決して消え去ることはあるまいと想像する。偽の人生が、現実の物事とどうふれ合うかをみるのは、時として興味深い。

同じようなマスコミの行き過ぎた取材合戦こそないが、最近もう一人の大衆文化の女王が死亡したことが報道された。大半の人々は彼女の名前さえ知らない。現代の時代精神の象徴と言うより、マルクスが世界的資本主義の基盤だと論じた土台の一つだった。彼女はアメリカの特殊な社会組織の姿を可能にする具体的な物質的条件の欠くことのできない部分だった。彼女の名前はガワール、彼女はあらゆる油田の母親だ。彼女はかつて、サウジアラビア王国東部州の砂の下、長さ174マイル、幅12マイルにわたる甘美な軽い原油の正真正銘の海だったが、今や彼女も亡い。

ガワールはこれまで発見されたもののうちで、圧倒的な最大の油田だ。1948年に最初に採掘されてい以来、ガワールはおよそ600億バレルの石油を産出し、1948−2005間のサウジ産油の60−65%を占めていた。本当の各油田別の生産量はサウジ国家の秘密のままだが、ガワールは日産500万バレル以上、つまり地球の全日産量8400万バレルの6.5%を生産していると推定されている。

ガワールの死亡記事は既に書かかれてしまったのだが、サウジはこれまでのところ、関係当局が検死のために家に立ち入るのを防いできた。ガワールの死について、我々は受け売りの情報しか持ち合わせていない。こうした報告の中で、最も注目すべきは、投資銀行家マシュー・シモンズの本、Twilight in the desert: Coming Saudi Oil Shock

and the World Economy(邦題「投資銀行家が見たサウジ石油の真実」日経BP社07・3月刊)だ。ここ数十年に渡ってサウジ-アラムコ自身の油田技術者たちが書いた、公表されている技術報告書を元に、シモンズは、サウジの衰退しつつある産油量の姿を描き出している。状況についての彼の報告は、実にすさまじい。「サウジアラビアの石油生産がピークに達すれば(それゆえ、以後は永久的に産油量が減少することが避けられない状態になれば)とりもなおさず、世界も、ピークに達したのと同じことだ」と彼は主張している。2006年の数値は、シモンズの2005年の予言を追認するものに思える。

データに基づく石油分析のウエブ、Oil Drum(ドラム缶)の著者達は、いくつかの調査会社の生産量データを評価して、サウジの生産は、2006年には2005年より8%と途方もない低下をしていると主張している。ハラドIIIメガ・プロジェクトによる増加が無ければ、減少は14%に近かったろう。サウジアラビアは、今や公式にピークに達しており、サウジの生産ペースの減少は加速する可能性が高いとしている。ガワールはサウジ産油の60%を占めていることを想起されたい。

この地質学上の予言に相関しているのが、このニュースがサウジアラビア王国の政治的未来に及ぼすとてつもない影響についての彼らの予言だ。その予言は建設的なものとはいえない。テロリスト攻撃や、その後に起きる斬首、その後に起きる反乱、その後に起きるさらなく斬首、その後は、地上軍の到来 - アメリカ軍だ。

ガワールは、ここしばらく延命措置を受けていた。注水(水攻法)や水平ブラシ・ドリル法といった高度な採取技術の広範な活用は、油田の老化と切迫した生産衰退の顕著な特徴だ。油田に対するブラシ・ドリル法というのは、チョコレート・シェークを入れた紙コップに対するストローのようなものだ。それによって、美味しい部分を、素早く、効率的に、すっかり吸い出すことが可能になる。不幸にして、ガワールだけが危機的な状況にある油田というわけではない。

死亡記事は続々殺到している。「世界第二の規模油田(ブルガン)のクウェート石油生産は「枯渇しており」ほぼ60年の採油の後、減少している」と言うのがクウェート国有石油会社の会長の言葉だ。L・A・タイムズはこう書いている。「メキシコ原油のおよそ60%を供給している世界で二番目に大きな石油コンビナート、キャンタレルの生産は、2006年は一日平均178万バレルだった。これは2005年から13%の低減だ」。その発見のおかげでイギリスが過去20年間、石油輸出国になれた、有名な北海の海盆と巨大なフォーティーズ油田は、いまや急激な生産量低下を経験しようとしている。既に2000年、中国唯一の超特大油田、大慶も三途の川を渡るところだと聞いていた。これらの油田が、甘美な軽い原油という形で母親の乳を与えてくれ、それによって、アメリカの大衆文化の中で、大切にされ神格化されている世界の資本主義制度が育てられたのだ。

アメリカ人は、誰でも大きな夢と枯れた油田のことを知っている。1930年代に発見された東テキサス油田が、第二次世界大戦の騒然たる状況の中で、アメリカを超大国にするのに必要なエネルギーを生み出し、第二次世界大戦後のアメリカン・ドリームを作り上げるおぜんだてをしてくれたのだ。戦線から戻ってきた兵士達に、自動車、職、郊外の家。こうした夢は、東テキサス石油が水よりも安いという事実が永遠の条件だという仮定から生まれていた。1971年、隣接する48の州が石油生産地域としての頂点を過ぎて、この夢は潰えた。

実のところ、古い油田は本当に死ぬわけではなく、次第に生産が徐々に衰えて行ったり、時には劇的に減少したりする。興味深いのは、いくつか話題のニュースが変わるうちに劇的に色あせるに違いない、単なる文化上の安物の一つに過ぎないアンナ・ニコル・スミスが、実際にヴィッキー・リン・ホーガンとして、1967年にテキサスのヒューストンで生まれた人物だということだ。この町はアメリカと世界の衰退しつつある石油産業の中核だ。有名人になる前の彼女は、夢と運命をともにした油田労働者達の町のストリッパー兼ウエイトレスだった。

アンナ・ニコルの美しい乳房が地中に埋葬される時、アメリカの共同幻想つまり、あらゆる形の顕示的消費が永遠に続くという信念が、無意識のうちに肯定され、不滅とされる。俗受けする女王の一人が亡くなっても、濡れ手で粟という夢、気晴らしのためのドライブや大食、永久に続く娯楽、金目当ての結婚による、個人的な富の蓄積という規範が実現可能な、郊外でののどかな未来といった夢は、よみがえり、さらに強化される。整形乳房が、アメリカ人の集団的意識を植民地化する偽論理を養育する。欺瞞的なマスコミがあおるアメリカの楽観主義は、またもや舞台裏の現実をカーテンで一時的に隠し、国旗の赤白青でうわべの静穏さを装うだろう。

「ガワールは死んだ」と叫んで、日中カンテラを点けて歩いても、大半のアメリカ人にとっては、その人物が「折り紙付きの阿呆」だという証明にしかならない。石油ピークは現実のものになったのだ! この発言すらもが、大衆に全くの無理解という表情を引き起こす! 石油ピークは、アンナ・ニコルの乳房の、冷たい無感覚な整形手術の驚異に具現化されたアメリカン・ドリームの死を意味する。いや整形手術の終わりも意味している!

経済成長や、それがもたらすすべての物の終わりを意味している。アメリカ人の集団的欺瞞生活も、それを育成する現実の資源が枯渇し、歴史の灰となった後は、そう長くは続けられまい。我々の生きる世界が、これまで人工的なネオンの輝きを与えてきた太古の太陽から断たれてしまったことを自覚するのもそう遠いことではあるまい。

マシューズ・S・ミラー博士(MMiller33@ucok.ed)はセントラル・オクラホマ大学、人文哲学部講師。



(私のコメント)
「株式日記」ではアメリカという唯一の超大国の衰退を前提条件として世界戦略を考えてきましたが、日本政府や中央官庁などでは有り得ない事として、考えられている形跡が見られない。むしろいかにアメリカを支えていくかと言った、あなた任せの政策がとられている。政治家も官僚もその方が有り難いからだろう。

しかし世界のエネルギー事情を見てみれば、アメリカが唯一の超大国であり続ける事は物理的に不可能なのだ。中国やインドもエネルギー事情を考えれば高度成長を続けることは不可能だ。アメリカが超大国になり日本が高度成長を続けたのは石油が水よりも安い条件があったからであり、1バレル100ドル時代になると高度成長は難しい。

アメリカや中国は石油がぶ飲み経済をいつまで続けられるのだろうか? ドルとリンクされた元はユーロに対してじりじりと安くなり続けていますが、産油国もドル安に音を上げてユーロで支払えと言い始めた。中国も石油を安く輸入するには元高のほうが有利なのに損を承知で元安のままで買っている。

日本のような加工貿易国では輸出と輸入は収支がトントンなのが理想的ですが、政府の政策は輸出一本やりでドルを貯め込んでいる。理想を言えば円建てで貿易決済が出来れば為替問題はなくなるのですが、通貨も多極化してドル、ユーロ、円、元などの通貨をバスケット方式で持つようになるのだろう。

湾岸諸国も共通通貨を作って決済するようになり、ドルが世界共通通貨の時代は終わりに近づいている。ということはアメリカがドルを刷り散らかして「紙」で石油を買うことが出来なくなる時代が来つつあるのだ。


原油ドル建て表示の時代は終わる? 11月20日  田中 宇

原油価格をドル建てではなく「通貨バスケット建て」で表示するというのは、具体的にどのようなことなのか。詳しい説明はなされていない。しかし、12月5日の次回OPECサミットの前日、12月3−4日に、湾岸諸国(GCC)6カ国のサミットが開かれ、そこで6カ国が採ってきたドルペッグ制の見直しが行われるということと関連して考えると、OPECとGCCで何が構想されているのか見えてくる。

 12月3−4日のGCCサミットでは、ドルペッグを維持して対ドル為替の切り上げだけを行うか、もしくはクウェートが今年5月に行ったようにドルペッグをやめて、代わりにドルやユーロ、円、ポンドなど各種通貨を混合した通貨バスケットに対するペッグに切り替えるかという選択肢について検討し、決定する。(関連記事

 GCCは従来、6カ国がドルペッグを維持したまま、2010年には通貨統合するという構想を持っていた。もし12月3−4日のGCCサミットで、GCC6カ国の通貨をドルペッグから通貨バスケットへのペッグに変えることが決まった場合、GCCは通貨バスケットに対するペッグを維持して2010年に通貨統合するという構想に切り替えることになりそうだ。そして、12月5日のOPECサミットでは、今後の原油価格は、通貨バスケットにペッグしているGCCの共通通貨建てで表示する新制度について検討することになる。

 これまで原油の国際価格は、ドル建て一本だった。そこにOPECが「GCC共通通貨建て」の価格を導入することは、ドルが戦後60年間持っていた国際決済通貨としての地位を失うことを意味する。この地位喪失は、世界各国がドルを備蓄通貨として保有してきた従来の習慣を縮小させ、各国は米国債を買ったりドル建てで対米投資したりする額を減らすことになり、ドル下落に拍車をかけ、アメリカの金融相場は下落し、米国債は買い手が減って金利が上がる。



(私のコメント)
サウジアラビアのガワール油田もクウェートのブルガン油田も産出量が減り始めたようですが、原油は涸れ始めると急速に産出量は減り始める。アメリカの国内油田も70年代にピークを打って急速に石油井戸は涸れてしまった。メキシコ湾岸の海底油田もいつまで持つか分からない。そして2020年ごろにはアメリカの石油輸入は8割を超える。

電気は石炭や原子力で間に合うだろうが、交通手段はほとんどが石油に限られる。問題は紙に印刷したドルで石油を買い続けることが出来るかという問題であり、貿易収支が大赤字のアメリカがユーロなどの外貨を調達しなければ石油が買えなくなる時代がもうじきやって来る。

その前にサブプライムから発した金融危機がアメリカに追い討ちをかけつつある。イラク戦争は嫌でもアメリカ軍は撤退に追い込まれるだろう。足元の経済に火がつきつつあるからだ。アメリカは金利を下げればドルが暴落し、金利を上げれば債権や株がクラッシュする板ばさみだ。ベトナム戦後のような二桁インフレとドル安によって物を買うことが出来なくなるだろう。それは中国経済を直撃する。

つまり90年代から続けられてきたアメリカと中国によるグローバル経済体制が崩れる時がもうじきやって来るだろう。日本もダメージを負うが一番ダメージを負うのはアメリカと中国だ。一番バブルが膨らんだところが一番ダメージを負うからだ。

アメリカの石油王の妻となったアンナ・ニコルは、アメリカの夢をかなえた象徴のような女性ですが、石油王も亡くなり巨額な遺産が転がり込んだ。しかし拝金主義者の親族との遺産相続争いで不明の死を遂げた。アメリカンドリームをかなえたとたんに、とんでもない不幸がやってきたわけですが、アメリカの将来を予感させるような悲劇だ。




インテリジェンスとは膨大な情報の中から、宝物を拾い出して、
意味を読み解き、何がこれから起きるのか判断する作業です。


2007年11月27日 火曜日

重大な危機を迎えた日米同盟 11月26日 日経BP

手嶋
 わたしは米国が9.11のテロに見舞われたとき、NHKのワシントン支局長を務めていました。当時、さまざまな未確認情報が飛び込んで来て、議会やホワイトハウスが攻撃対象になっているとか、攻撃されたとか、情報が錯綜する危機の11日間を過ごしました。

 テロリストに対抗するためにジャーナリストは何をするべきか、米国当局はどうするか、世界はどうか、だれも解答を持っていませんでした。文字通り、闇の中を手探りで進む状態の中で、わたしはあることを思い出しました。

 実は、ちょうど数日前に佐々さんとワシントンで食事していたのです。まだ、ここにいるに違いないと、車でホテルに駆けつけ、佐々さんの身柄を拘束しました(笑い)。

 そのままスタジオにお連れして、話を聞いたのですが、危機管理やインテリジェンスとは何か初めて分かった気がしました。基本的なことは教科書に書いてありますが、やはり豊富な経験の中で鍛えられた人でないと、危機下で先を読むことはできないと実感したのです。

 インテリジェンスとは膨大な情報の中から、宝物を拾い出して、意味を読み解き、何がこれから起きるのか判断する作業です。

 しかし、そこで止まってはいけません。最終的なインテリジェンスレポートは国家のかじ取りを行う人に渡され、そこで高度な判断や行動に利用されなければならないのです。

 本日はこうしたことを踏まえて、東アジアというダイナミックに変化する地域の中で、日本が生き残るにはどうしたらいいのか議論したいと思います。

佐々
 安倍内閣が発足したとき、内閣機能を強化し、危機に対する対処を迅速化するために、内閣に情報を集め、決断し、行動するための機構を作ろうということになりました。

 それがNSC(国家安全保障会議)ですが、その設立のための準備として有識者諮問会議が組織されました。わたしもそのメンバーに選ばれ、最初の会合に出た時には、心底驚きました。

 なんと情報部門の人間が誰もいないのです。情報機能を持たないNSCなどあり得ないとスタッフに言ったら、「情報は別の会議でやるので、ここでは少人数でじっくりと議論していただきたい」と言うのです。

 組織の縦割りは、危機管理や安全保障ではやってはいけないことです。情報と意思決定、そして指揮命令が一体化していなければ、NSCなど機能しないのに、バラバラになっていました。

 すべてを統合しなければならないとわたしは何度も主張したのですが、結局、わけの分からない結論が出て、法案化されてしまった。しかし、国会で後回しにされたので、おそらく廃案に追い込まれるでしょう。(中略)

佐々
 6カ国協議、韓国と北朝鮮の南北会談によって、朝鮮半島のヘゲモニーは名実ともに日本から中国に移り、米国がそれを認めたのだと思います。その結果、排日核武装朝鮮半島が生まれ、その切っ先は日本に向かっている。

 これは米国の背信行為であり、ミサイルも拉致問題もこれでは解決しません。もはや日本は自分で自分を守るしかないのです。

 とはいえ、いきなり核武装はできるわけはない。まず、ミサイル防衛体制を作ることが必要です。そのためにペトリオット3型の緊急導入と、イージス艦のミサイル装備が急務です。

手嶋
 佐々さんは本来、強固な日米同盟論者だと思うが、その佐々さんが米国は日本に対して背信行為を行ったとおっしゃった。わたしもその通りだと思います。

 東アジアについて、米国は6カ国協議に委ね、その議長国に中国がなることを認めました。東アジアのヘゲモニーは中国に渡すということでしょう。

 しかし、まだ絶望するには早い。日本では官民、大学などが加わって、民を中心とした新しい危機管理も生まれつつあり、そこに期待しています。

志方
 来年は国際情勢も混沌とした不安定な年になるでしょう。イスラエルがシリアを攻撃する恐れや、トルコがイラクに進軍する可能性もある。台湾の動向に中国は神経をとがらせています。

 こうした中で、日本にはミサイルが撃ち込まれる恐れもあるし、原発が特殊部隊に襲われる危険性もあるでしょう。日本は今後、情報、ハード・技術、システムを整備し、危機管理に本気で取り組む必要があります。



(私のコメント)
「株式日記」はニュースやブログなどから注目すべき事柄を選び出してコメントをつけているのですが、これも一つのインテリジェンスなのでしょう。突発的な出来事が起きた場合、最初に何をやるか決めておかなければならない。しかし日本は下からの積み上げ方式であり突発的な出来事にはトップは何も指示する事が出来なかった。

1995年の阪神大震災の時も村山首相は翌日の午前中まで淡々と通常の政務をしていた。9・11テロの時も小泉首相は「恐いねー」と感想を述べるのみだった。真っ先に世界にメッセージを発すべき立場だったのに何も用意されていなかった。大災害や戦争はあってはならないのだから考えてはならないと言う論理は滅茶苦茶だ。

また5年先や10年先の日本や世界がどうなっているか予測する事もインテリジェンスなのですが、政府の予測は外れてばかりいる。現状をそのまま一直線に未来を予測するからだろう。バブル崩壊前の経済予測を見てみれば政府がいかに先を見る目がないかが分かる。

今話題のサブプライムローンの問題も今年の2月には「株式日記」で大問題になると予測していた。その頃はマスコミも全くサブプライムなどと言う言葉も知らず、日本の金融機関が売り逃げようと思えばその頃なら出来たかもしれない。日銀の利上げも世界同時株安の原因になると指摘してきた。

長期的な先の見通しについても、アメリカの衰退について予測してきましたが、10年先にはアメリカは石油が枯渇してガス欠状態になって急速に国力の衰える時期が来るだろう。それと同時にドルの基軸通貨体制も崩れてくるだろう。にもかかわらず日本の政府や役所などはアメリカの繁栄は永遠に続くと思い込んでいるかのようだ。

中国の先行きについても軍事大国化と国内のひずみによる崩壊とがが予測されている。中国の軍事大国化は中期的な予測であり、国内の内乱による崩壊は長期的な予測だ。どちらも無理に無理を重ねているから先へ行けば行くほど問題は大きくなる。しかし経済界は中国に進出する流れは止まらないが、彼らも先が読めない人たちだ。

アメリカ政府にしても先が読めないのは同じであり、先が読めればイラクなどには戦争を仕掛けなかった。アメリカは池に落ちた犬であり、親米国家だったオーストラリアもアメリカを見限って親中派政権が誕生した。それでもブッシュはイラクからの撤退を決断できないでいるが、先に延ばせば伸ばすほど国内国外共に衝撃が大きくなる。

北朝鮮問題もアメリカの国力の衰えの現れであり、イラク戦争でアメリカは消耗して東アジアの覇権は中国に丸投げしようとしている。佐々氏や手嶋氏が言うように日米同盟は空証文であり、アメリカは日本を裏切って米中で日本から富を奪い取る事しか考えていない。

すぐ隣の朝鮮半島は核を持った国が出現したにもかかわらず、日本は核武装について考えることも許されてはいない。日米同盟は空証文であると識者が指摘しているにもかかわらず、日本の政官界はますますアメリカに依存しようとしている。しかしアメリカ側は日本は徐々に日米同盟からの離脱が進むと分析している。

佐々氏が指摘するようにNSCも縦割り行政であり機能しないと予測している。情報組織も人材がいなければ機能せず、組織をいくら作っても金食い虫になるだけで、社会保険庁のように1日五千タッチだけで仕事が終わるような公務員天国が出現している。

防衛省の守屋次官も腐敗の象徴であり、現場の自衛官も機密情報が中国に漏れてしまってノーガードだ。こんな状況ではNSCなどあっても無意味なのですが、根本的対策としてはスパイ防止法を作って最高刑を死刑にすべきだ。国会や官庁の中にも中国や韓国やアメリカの手先がいるようですが、彼らを国家反逆罪で捕まえるべきなのだ。

日本政府は官邸機能を強化して時代に対応しようとしましたが、首相を補佐する人材がいない。無能な役人は山のようにいるのに無能であり働かないのだ。そして天下り先を確保して渡りで退職金だけは数千万円ももらう。誰も国家のことなど考えず政治家も官僚も利権の甘い汁ばかりすする寄生虫なのだ。

「株式日記」では時代の先を見通して警鐘を鳴らしているのですが誰も動かない。結局は大災害や戦争が起きてから泥縄的な対応しか出来ないのでしょう。そして誰も責任を取らない。政治家や官僚は結果責任を問われますが、問題が起きるまで放置する無責任さを裁く法律はないのだ。



ネットにも外国の工作員が暗躍しているようです

   ∧__∧  着実に日本のっとり計画を実行していく
   < `∀´ >  ウリ達の力を思い知ったニカ?
__ (__つ/ ̄ ̄ ̄/_
    \/     /
       ̄ ̄ ̄

   ∧_∧  ウリ達は不当な差別を克服する為に団結し、     
  <#`Д´>  日本の各界に入り込む努力をしてきたニダ  
_ (__つ/ ̄ ̄ ̄/_  
   \/     /
      ̄ ̄ ̄

   ∧__∧
   < `∀´ >  ネットウヨ諸君は、現実社会で何か【 努力 】をしてるニカ??
__ (__つ/ ̄ ̄ ̄/_  「株式日記」を荒らしてネットウヨを撲滅するニダ
    \/     /





三島由紀夫氏追悼 没後37周年(第38回追悼会) ことしも
「憂国忌」に1000名が参加し、三島氏の憂国思想をさぐった


2007年11月26日 月曜日

三島由紀夫氏追悼 没後37周年(第38回追悼会) 11月26日 宮崎正弘

11月25日、池袋。小春日和に恵まれ、会場には長い列ができた。
開演までに一時間のあいだには音楽、最後の演説などのBGMが流れた。
会は政治学者の藤井厳喜氏が総合司会を担当した。
トップバッターには「開会の辞」として、文藝評論家の富岡幸一郎氏が登壇した。
三島由紀夫、森田必勝両氏の霊に黙祷を捧げた後、第一部のシンポジウム「あれは楯の会事件ではなかったのか」に入った。
パネリストは堤堯氏(元文藝春秋編集長)、中村彰彦氏(直木賞作家)。司会は花田紀凱氏(WILL編集長)が務めた。

途中、司会者の突然の指名で、評論家の宮崎正弘氏も登壇し、年譜を振り返りながら、三島氏が楯の会の構想を抱いて、『論争ジャーナル』を中心に学生の入隊希望者の人選をすすめ、第一回入隊の20人になぜ森田が参加し、その後、森田主導がなされていく経過かを、克明に追求した。
とくに堤氏は文春入社後すぐに三島由紀夫担当となってオリンピックの取材に同行したときから交友がはじまり三島氏から「君も楯の会にはいってくれ」と誘われたり、「俺を殺す一人の男がいる」というので、森田必勝をアルバイト先にまで訪ね、車座になって飲んだはなし。
中村氏は森田の伝記評論『烈士と呼ばれる男』を書いた経緯を、取材者の立場からえぐった。
現場にいた証言として、そのおりおりに遭遇してきた宮崎氏は、その一瞬の印象や雰囲気を、時系列に再現した。

このシンポジウムの記録は近く、小誌にも再録されるほか、来年発行のメルマガ合本にも収録予定。また雑誌『WILL』に紙上再録の計画がある。

ひきつづき第二部は三島氏が市ヶ谷台での最後の演説のなまなましい録音が流されたあと、檄文朗読(日本保守主義研究会)を漆原亮太、渡辺慧裕、福本哲の三人の学生が分担、記念講演に移った。
講演では「武士道の悲しみ  最後の特攻としての三島由紀夫」と題して、井尻千男氏(拓殖大学日本文化研究所所長)が一時間以上の熱弁を振るい、最後に「閉会の辞」を西尾幹二氏(評論家)がつとめた。

井尻千男氏の講演記録は12月22日発売の『月刊日本』で紙上再録される予定。
西尾氏の閉会の辞は「シンポジウムで、これまでまったく知らなかった三島―森田の関係と事件への伏線が時系列に論理的に語られ、こうした視点で考えたことがなかったので、全体の三島像を把握する上で参考になった。また井尻さんの講演は江藤淳、司馬遼太郎というふたつの「戦後」と三島の「伝統」との距離を比較されながらの熱弁で、とても感動的だった」と述べた。

 会場ロビィでは森田必勝遺稿集『わが思想と行動』の稀少本、ワック出版のDVD(映画ミシマ)。村松英子さんの『三島由紀夫 追想の唄』、鼎書房の『三島由紀夫研究』(季刊)など新刊本数種類の頒布がおこなわれ、盛会に終了した。
 散会後、希望者には会場に飾られた生花を分解して配布された。

  ◇
なお最後に司会の政治学者兼詩人である藤井厳喜氏が自作の詩(下段)を読み上げた。

  ♪
『正午だった』
     作 藤井厳喜

 正午だった
 役人たちは書類に埋まり
 財界人たちはカネ勘定に忙しく
 政治家たちは泥沼であがいていた

 正午だった
 真昼の光を浴びた
 一人の男がバルコニーで叫んだ
 誰も耳を貸さなかった
 戦には負けたが、
 サムライの
 誇りは捨てるなと叫んだ
 集まった男たちは彼をあざ笑った

 正午だった
 ひとつの窓は閉じられた

 男は切腹した
 若い男が
 彼の首を刎ね
 自ら切腹した
 
 正午だった
 男の身体から溢れた血は
 世界中の街角へ流れ出した
 鮮血は止まらず
 世界中の薔薇を染めた
 世界中の窓は開かれ
 世界中の鐘が鳴った

 正午だった
 日本刀は血にまみれていた
 腐った魚たちはまだ眠っていた

 正午だった
 世界はミシマの不在によって
 満たされた

 正午だった
 昭和四十五年十一月二十五日の
 正午だった

 その日の
 午後一時は
 永遠に
 来なかった



(私のコメント)
昨日は三島由紀夫没後37周年と言う事で、豊島公会堂で開かれた憂国忌に行って来ました。37年も経つと中年以上の人しか三島由紀夫の生前の姿を知らない。私は三島由紀夫の講演会などで生の姿を知っていますが、まさに文化人のスーパースターであり女性ファンも多かった。

私もミーハー的なファンであり小説には読んでもなじめなかったが、政治的なエッセイなどは読みあさった。戦後の日本は文化人と言えばリベラル左翼の代名詞であり、右翼とか民族派というと暴力団的なイメージが付けられてしまっていた。その中で三島由紀夫と石原慎太郎は異彩を放っていたのですが、現在には彼らのような若手の文化人のスーパースターがいない。

70年安保ぐらいまでは大学でも学生運動が盛んでしたが、現在の大学は政治的学生運動はほとんど無いといっていい。それくらい現代の若者はすっかりノンポリ化してしまって政治的講演会があっても若い学生を見かけることはまれだ。それくらい政治思想には無関心であり、戦後マスコミと教育ですっかりノンポリに洗脳されてしまったのだ。

「株式日記」はその名のごとく経済ブログなのですが、最近では政治ブログ化している。三島由紀夫が生きていたらどんなブログを書いただろうか? 自分で言うのもなんですが三島由紀夫の魂が乗り移って書いているのだろうか? 檄文などを読んでもらえば分かるとおり、60年以上たった現在も実質的にアメリカ軍に占領された状態は続いている。

それに対する政治家も官僚も文化人も学生も家庭の主婦も何の疑問も沸かないのだろうか? 冷戦時代なら日米安保もそれなりの意味があった。仮想敵国である中国にしてもアメリカの助けが必要であるとは思えない。むしろ中国は日本の軍事大国化を恐れている。だから在日米軍は日本の軍事大国化を押さえる為にあるといったほうがいい。

だからこそ親米ポチ保守派も親中左翼も日米安保賛成派であり、日米安保体制に批判的なのは三島由紀夫の流れを継いでいる愛国保守派のみだ。本来ならば左翼は共産主義者であるのならば反米でなければならない。沖縄の反米基地闘争も最近では変質して反日運動化している。キッシンジャーと周恩来との会談で日本を抑え込む事が話し合われたからだ。

90年代から続く日本経済の低迷は米中による日本抑え込みによるものであり、経済がわかる人間でないとそのような外交的構図が見えてこない。政治軍事の関係から見るとアメリカが日本より中国を重視するのは矛盾した動きに見える。1億3千万の日本より13億の人口の中国のほうが巨大市場であり戦前も現代もアメリカの目標は中国市場だ。

その為にアメリカは日本を二流国家に陥れて中国市場を独占しようとするのは理解できる。大東亜戦争も中国市場をめぐる帝国主義同士の戦いでありその構図は今も続いている。そして日本のマネーが中国に流されてアメリカに流れていく。気がついたときは日本国内は金もなく企業も中国に移転して、もぬけの殻になって二流国家に転落だ。

三島由紀夫が生きていたら82歳になりますが、現代の日本をどのように言うだろうか? それこそ現代の日本を見て発狂するかもしれない。若者達はアメリカ人のように金髪に髪を染め、ご丁寧にコンタクトで青い目をしている。Tシャツには星条旗がプリントされて、テレビを見れば松井やイチローがアメリカ国家を歌っている。

時代は三島由紀夫が切腹した頃より日本は離れてきてしまっているように見える。憲法改正もいまだに目処も立っていないし、防衛省の昇格も今年なったばかりだ。そして自衛隊は三島由紀夫が危惧したようにアメリカの傭兵化している。自衛隊の武器装備はアメリカ軍の情報がないと全く動けない。GPSがないとミサイル一つ飛ばない。

日本は国家としてのプライドも失い、国内に巨大なアメリカの軍事基地があっても誰も不思議に思わなくなっている。石原慎太郎は横田基地を取り返そうと努力したが実現していない。左翼は成田基地闘争ではあれだけ一生懸命なのに横田基地には何の活動もしないのは明らかにおかしい。

三島由紀夫は市ヶ谷の自衛隊で憤死したが、彼が最後の日本人であり、現代の日本人は日本人ではなくジャッパニーズなのだ。外交と防衛をアメリカの丸投げして恥ずかしいとも思わないのが現代の日本人だ。三島由紀夫の憂国忌は最後の日本人が死んだ慰霊の日なのだ。




民間低賃金労働者から見れば、エリート公務員も現業公務員も『恵ま
れた特権階級』であり、『公務員バッシング』で叩くのが昨今の流れだ


2007年11月25日 日曜日

双子の公務員特権から選挙結果を考える  11月20日 Munchener Brucke

民間低賃金労働者から見れば、エリート公務員も現業公務員も『恵まれた特権階級』であり、両者を区別することなく、『公務員バッシング』という一つのハンマーで叩くのが昨今の流れだが、構造的には公務員特権の温床は幹部の特権と現場の特権が共存調和しているのが特徴だ。現場を監督する立場の幹部が甘い汁を吸うために、現場にも甘い汁を吸わせせて、お互いに不問にするという構造だ。これに政治が絡み、保守政治家が幹部職員の特権と結びつき、ハコモノ行政の甘い蜜に規制。革新政治家が現場の特権に結びついていたのである。

 公務員特権にメスを入れたのは保守の方であった。国政レベルでは中曽根政権の国鉄改革がそうである。この改革は松田昌士(JR東日本会長)、葛西敬之(JR東海社長)、井手正敬(前JR西日本会長)の国鉄改革三人組など、エリート官僚が善玉であり、国労などの現業公務員が悪役というストーリで、この勧善懲悪劇に国民が拍手喝采し、新自由主義に対する国民の支持が確立し、労組は完全に悪役となった。

 もちろんこの時代にもリクルート事件など高級官僚の不祥事はあったが、「日本の官僚は優秀だ」という一般的認識が生きており、高級官僚に対する風当たりはさほど強くなかったのである。

 小泉時代の郵政改革とて、自民党自身の支持母体である特定郵便局を叩いた点は評価する向きもあるが、特定郵便局とて現場バッシングの延長に過ぎない。自民党は相変わらず現業公務員を叩くのが公務員改革だと言い続けていたのだが、この時既に国民の目はエリート公務員への問題視に重点が移りつつあったのである。

 完全に空気を読み違えたのが、年金問題での社保庁の労組バッシングであった。改革者気取りの元高級官僚片山さつきが、すべて現場が悪いようなプロパガンダを仕組んだが、総スカンを食ってしまった。産経文化人や田原総一朗や毎日新聞の岸井成格など安倍シンパのマスコミ人も現場悪玉説に同調するが、完全に不発に終ってしまった。

 国鉄改革時代には通用していたはずの「悪い現場をトップダウンで直す」という理論が通用しなくなっていたのである。正確にはトップが最善の策を以て改革に邁進していて結果が出ないのであればまだまだ現場バッシングは可能なのだが、トップが最初から「現場のせいにすればいい」的な態度で問題から逃げているので通用しないのである。むしろ責任を取らないトップの責任がクローズアップされてしまう。

 先の参院選では民主党が勝利を収めたが、郵政選挙の時のように労組を叩けば民主党も転ぶような現象は起きなかった。与党候補は民主党を批判する時に民主党=労組という常套句を使用するが、殆ど効き目がなくなっている。生憎テレビで労組を擁護する発言をするような議員がほとんど現れず、地元の講演会などに行けばそのような発言も散見されるようだが、そこまで執拗に取材してダメージを与えるマスコミ報道も存在しない*1からである。また長妻昭議員のように官公労に嫌われ相手候補の支援に回られて危うく落選寸前の状況に追い込まれても追求の手を緩めないような議員がいるので、有権者にいくら民主党=労組と宣伝しても伝わらないのであろう。

 逆に自民党の方が、現業公務員バッシングばかり熱心で、幹部公務員の特権を問題視しないばかりか癒着同罪ぶりが眼に余るようになってきた。幹部公務員の不祥事には大抵自民党議員が一枚噛んでいる。福田政権になっても自民党の支持率が低迷しているが、幹部公務員の特権と同じ蜜から決別し、この問題に正面から取り組まなければ浮上は厳しいであろう。ただ政権担当能力とは名ばかりに、官僚が我々のブレーンであるというのが自民党の党是であるから、官僚のコントロールは容易ではないであろう。

 先の大阪市長選挙にも似たような傾向が見られる。今回落選した自公推薦の関前市長は、2年前に自らの真を問うために辞任し出直し選挙に挑んだ。その際、それまでの与党の中から民主党からの推薦のみ事態し、自公の推薦で出直し選挙に挑み、この作戦が見事功を奏して再選された。この時は郵政選挙の直後で、大阪市内の選挙区で与党が完勝し、自公は改革勢力で、民主党は労組寄りの守旧勢力だという認識が残っていた頃だ。この時、民主党は前原体制に変わり、労組との関係見直しを謳い関係も冷却していたが、有権者の意識はまだ民主党=守旧派だったのだ。この選挙では民主党出身も佐藤恵候補も立候補したが、労組色が付くのを嫌い自ら民主党の推薦を断り無所属で立った。民主党は候補者すら立てられない酷い状況だったのだ。

 当選した関前市長は、それまでの妥協的な市政を改め改革に邁進し、その改革を評価する声も少なくない。それなのに今回の敗戦という結果は何だったのか?大阪市問題もやはり双子の特権で成り立っており、非常に有名な市職員の厚遇問題や同和優遇などの問題があると同時に不採算な第3セクター、公共施設、幹部職員の関連機関や関連企業への天下りの問題がある。関前市長は自民党側に付いてしまったために非常に自民党的な手法に傾斜し、双子の特権のうちの現場側の問題に傾斜してしまった。一方で幹部職員の天下りは一切不問にし、幹部職員の特権に対する甘さが目立った。また保育施設の廃止など、官が生んだ赤字を民の痛みに転嫁する財政再建策など不評を買った。これは最近の自民党の不評な政策にパラレルする。

 一方2年前はどん底の状況に追い込まれた大阪の民主党は息を吹き返したようだ。2年前はまだ組合を擁護するような発言をする議員も散見されたが、市議会の会派も労組出身議員を含めて改革路線に転じ組合寄りというイメージの払拭をはかった。また今回当選した平松邦夫が毎日放送出身というのもプラスに働いたと思われる。大阪市問題を最初に取り上げスクープを続けてきたのが毎日放送の看板番組である「VOICE」で、平松候補は「VOICE」の前身番組の「MBSナウ」の司会者であり、立候補直前まで同社の役員室長を歴任していた。

 与党側からは平松候補と市職員組合を結びつけるネガキャンが貼られたようだが、ほとんど効果がなかった。

 平松新市長の手腕は未知数だが、一部の人が指摘しているように市職員組合や部落開放同盟が発言力を増して、市政改革を逆行あせるという心配は余りしていない。海外の例では左派政権の時に労働問題が解決した例が少なくない。市職員組合や部落開放同盟は既に孤立しており、新市長や民主党にまで見捨てられたら誰も味方がいなくなるので、多少不満がある政策でも当面は従わざるを得ないであろう。逆に平松新市長が日和ったらいつでもリコールという危機が待ち構えており、安易な妥協はできない。



(私のコメント)
オーストラリアの占選挙は野党の労働党が勝利して政権の交代が行なわれますが、日本も野党の民主党に風が吹いている。オーストラリアのハワード政権は経済も順調で11年の長期政権でしたが失策がないのに政権交代する。日本も小泉・安倍の7年間の自民党の右派路線から左派よりに流れが来ている。

格差社会への批判を受けて民主党の「生活が第一」というスローガンが受けて参院選挙で民主党が大勝利した。ムード的にはイラク戦争に批判的な流れがあり、その点はオーストラリアと同じなのだろう。これではアメリカ政府からいくら圧力をかけられても、小泉政権の時のようなわけには行かないだろう。新テロ特措法を無理やり通せばオーストラリアのような事になるかもしれない。

それくらい世界世論はイラク戦争に批判が高まっているのです。今総選挙を行なえば民主党が第一党になるかもしれない。それくらい政府には批判の目が高まっている。小泉内閣にだまされたと言う恨みが根底にはあるようだ。経済は良くなったと言っても消費者の所得は下がり続ける一方だ。その批判が政府批判につながる。

消費者が貧しくなる一方で、公務員だけが安定した所得を保証されて「恵まれた特権階級」になっている。経済が上手くいっていればこんなに公務員が叩かれる事もないのですが、行政も大赤字を出していてもリストラがなかなか行なわれず増税で切り抜けようとしている。

景気が良ければ増税でも耐えられるのでしょうが、不景気で増税だから余計に景気が冷え込んでしまう。ならば景気を良くする政策に切り替えればいいと思うのですが、小泉内閣のように「痛みに耐えて構造改革」はいまだに続いている。今日のテレビでも竹中平蔵氏は改革はまだ半ばと言っていましたが、改革の痛みに国民は耐えられるのだろうか?

安倍総理は果敢に公務員制度改革に取り組んだが逆風にあって退陣を余儀なくされた。昔のように国家公務員が非常に優秀で経済も高度成長が続けられれば良かったのでしょうが、90年代に大蔵官僚のノーパンシャブシャブ・スキャンダルが暴露されて、日本も長い経済低迷が続くようになった。この時点で高級官僚の腐敗堕落が進んでいたのだろう。

Munchener Bruckeのブログにも書かれているように、幹部も現場も公務員の腐敗堕落が広まってしまって、お互いに馴れ合ってしまっている。このような「恵まれた特権階級」はそれなりの仕事をしてくれれば国民の不満も高まらないのでしょうが、国も地方も失政続きで大赤字を出し続けている。にもかかわらず責任を問われるのは政治家だけで多くの官僚は無傷だ。

日本の高度成長は官僚が優秀だからと言われてきた。しかし国も地方も財政赤字が慢性的になり経済も低迷を続けていると、官僚がはたして優秀なのか疑問がわいてくる。「恵まれた特権階級」なのだから待遇的には問題はないのだろう。問題は公務員としてのモラルの低下と能力の低下だ。どうしてそうなってしまったのだろう?

90年代は総理大臣がクルクルと何人も代わった。そして最近は地方自治体の財政の行き詰まりと役人の汚職で知事や市町村長が代わる。大阪市の市長選もニュースキャスターの平松氏に代わった。大阪市は人件費も高くリストラとは無縁で市バスの運転手の給料が1000万円というのがざらだった。結局は組合が強いから市長ぐるみでお手盛り給料なのだ。

本来ならば夕張市よりも大阪市を破綻処理すべきなのであり、市職員の半数が希望退職したくなるような賃金カットをして粛清人事を行なわないと立ち直れないだろう。もちろん日本中が一斉にリストラしたら大混乱になるが、酷い所から破綻処理して行くべきだ。

自民党も、いまだに消費税の増税とかとぼけた事を言っているが、政権交代しないと現実が分からなくなっているのだろう。消費が低迷している事はわかっていても自分達の給料がいいものだから分からないのだ。新自由主義経済と言っても公務員は関係ないのであり弱肉強食は民間だけの問題だ。このような状況では総選挙では政府が負けるかもしれない。民主党の方が公務員のリストラはしやすいのかもしれない。問題は国民の意識だ。


夕張市の財政破綻が宮崎県知事選でそのまんま東の当選につながった。 2月4日 株式日記




地方公務員の人件費は年間31兆円かかっているが、地方の税収
は32兆円で、給料を払っただけで、すっからかんになる計算だ。


2007年11月24日 土曜日

民主党が政権を取るとどうなる?(その2) 11月23日 外交と安全保障をクロフネが考えてみた。

(前略)
国家公務員は、およそ24万人の自衛隊も含めて約90万人いるが、それに対して地方公務員はその3倍、約310万人もいるのだ。

巨大な地方公務員の集団。 その人件費は年間31兆円かかっているが、地方の税収は32兆円と言われる。 地方のお役所は、お役人に給料を払っただけで、すっからかんになる計算だ。

行政改革において、地方公務員の改革を忘れてはいけない。

 では民主党のマニフェストで地方行政はどうするつもりなのか?

それは”7つの提言”の4番目、”4.地域のことは地域で決める「分権国家」を実現する”に述べられている。

そこでは、地域のことは地域で決めるために、国の権限やお金を地方に移すべきだと民主党は主張している。

分権国家をつくるのは良いとしても、そうなると国から権力や財源(お金)を受け取る地方のお役所の責任は今以上に重くなるわけだが、破産状態にある北海道・夕張市のように、粉飾決算まがいの手法で借金をひたすら隠し続け、とうとう隠しきれなくなっていきなり破綻、放り出された市民が苦しんだという実例があるわけで、そうした地方のお役人の無責任体質が直らない限り、安易に権力と財源を移すのは危険だ。

地方が破綻しても”自己破産”は無い。地方の借金は新たな借金で返すことになるし、その利払いに国のお金が投入されることもある。

そんなお役所が続出すれば、地方から日本が破産してしまう。

 民主党は、地方行政の改革はどう考えているのか?

地方行政に関する記述は、民主党マニフェストの下の方に”政策各論”で、小さい字で書いてある。

繰り返すが、こういう小っちゃい字が一番重要かつクセモノなわけで、これを見逃すわけにはいかない。

 一番最後の7番目、”政と官”の”5.公務員制度の抜本的改革”を読むと、その真中あたりから行政改革とは関係の無いことが書いてある。

「労働基本権は労働者本来の権利であり〜 民主党は〜公務員の労働基本権を回復します」というあたりだ。

これは一体何なのか?

民主党が言う、公務員の労働基本権の回復とは、公務員がストライキをする権利のことである。

現在、日本の公務員には労働基本権のうち、団結権(つまりストライキをする権利)が認められておらず、団結権を行使した場合の刑事罰からの自由や、不法行為・債務不履行など民事上の責任に問われないという事が保障されていない。


つまり民主党は、「政権を取ったら、地方公務員にストライキをする権利と、ストをやっても刑事罰や民事上の責任を問われない権利を与えます」と言っているのだ。

 地方公務員は、ほぼ終身雇用が認められていて、しかも良く言われているように不況で苦しむ地方の民間企業で働くサラリーマンより総じて給料は高い。その上、国で働く中央官僚より待遇が良いとも指摘されている。

しかも地方公務員の数は、中央官僚の3倍だ。

公務員には先ほど述べた労働基本権が無いので、その代わりに人事委員会や公平委員会という機関が設けられているが、そうした機関が地方公務員の高待遇を認めてきたのだ。

 このような高待遇の地方公務員に労働基本権を回復してやる必要があるのだろうか?

民間企業に勤めているのだったら、労働者が労働基本権を要求するのは納得できる。会社経営者に対して、経営権の無い労働者の立場は弱いからだ。

しかし公務員の場合、勤めているのは自分が住む国なり地方自治体である。
公務員は参政権を持っているから、一票分だけ国なり地方自治体のいわば”経営権”を握っており、その意味で地方公務員は経営者であり労働者でもあると考えられる。

参政権を持つ公務員が団結して投票すれば巨大なパワーとなり、公務員の集団が地方自治体の実質的な”経営者”や”取締役会”となりかねない。

(現実に地方公務員は、自治労のような労働組合を組織し、集団化している)

経営者が自分の待遇改善を求めて自分が経営権を持つ会社でストをするというのは変な話ではないだろうか。

私は、公務員に労働基本権を回復する必要は無いと思う。

さらに、終身雇用と高い給料という格差社会の勝ち組。

”格差社会の勝ち組”地方公務員が、さらなる待遇アップを要求してストをする権利を民主党が与えるというのである。

それは単なる怠けではないのか? ストをやっている間、我々一般住民は、お役所のサービスが受けられなくなる。

 そもそも民主党が”3つの約束”の最初にあげている年金問題にしても、地方のお役所にいる年金担当の公務員が、でたらめな仕事をしたことが原因だったのだ。

公務員が、我々が年金保険料として納めたお金を自分のポケットに入れてしまったり、ちゃんと記録をつけておかなかったことが、消えた年金の原因だ。

さらに地方公務員は自治労という労働組合を結成し、お役所と驚くべき協定を結んでいたことは有名だ。

プロなら1時間で終わるキーボードの打ちこみ仕事を朝から夕方までダラダラやっても許され、45分働いたら15分は休むことが認められるなど、民間企業で働く人間には信じられない”ぬるま湯体質”である。

当ブログ関連記事・年金問題が争点らしい

これでクビの心配が無く、中央官僚や民間より給料が高いと来たもんだ。

物価が安い、地方に住む公務員なら、東京など大都市より生活費も安く済む。

民主党は、地方公務員に労働基本権を与え、さらに国が握っている権力と財源(お金)を地方に移し、”分権国家”をつくるというのである。

権力とお金がどんどん入ってくる地方公務員にとっては楽園で、我々フツーの国民にとっては地獄だ。

民主党のマニフェストのどこにも、地方行政の改革や地方の借金をどう返済するかが書いていない。つまり地方行政の改革はやらないということだろう。

それで地方のお役所から国が破産すれば、お札や預金通帳がパーになって、我々一般市民は巻き添えを食らう。

我々国民の怒りはどこへ向ければ良いのか?


 さて、民主党が政権を取ったら、なぜこれほどまでに地方公務員にやさしく、我々一般国民につらい政策をやろうとしているのだろうか。

先ほど言ったように、地方公務員の労働組合に自治労というものがある。

自治労の組合員は何と100万人。年金で不祥事を起こした社会保険庁にも自治労の傘下の労働組合”国費協議会”がある。

この自治労が民主党を応援し、自治労のメンバーが民主党から選挙に立候補して、国会議員になっているのだ。

先の参院選で比例でトップ当選した、民主党のあいはらくみこ参院議員は、札幌市のお役所で年金を担当していた元地方公務員である。

あいはらくみこHPのURL http://210.170.58.152/

つまり、民主党は自治労のような地方公務員の集団からの組織票で、選挙を勝ってきたのだ。

なぜ民主党がこれほどまでに地方公務員にやさしい理由がお分かり頂けただろう。


そして夏の参院選は、「消えた年金問題のA級戦犯」は地方公務員であったのに、国民は地方公務員が応援する民主党を勝たせてしまい、地方公務員の代表を国会議員としてトップ当選させてしまったのだ。

私が、参院選は国民のオウンゴール(自殺点)だったと言った意味が良くお分かりいただけたはずである。


 民主党の本当にやりたい事というのは、勝ち組である地方公務員の権利・利益をさらに拡大させ、国から権力と財源(お金)を奪って、地方のお役所と、民主党に一生懸命投票してくれる地方公務員の集団に分け与え、民主党にもっともっと投票してもらうということだろう。

しかしそれを正直に言ったんでは、公務員以外の国民が投票してくれない。

地方公務員のバラ色の生活と、一般国民の幸せとは全く関係が無いし、むしろバカを見るのは、公務員以外の有権者だからだ。

民主党が政権を取れなければ、地方公務員が喜ぶ政策が実行できない。

だから、天下り禁止など中央官僚をしめつける”行政改革”で、自民党より大胆な政策を打ち出して、民主党が行政改革を一生懸命やる改革政党であるようなイメージを一般国民に植え付け、

そうした民主党への良いイメージで国民に投票してもらって政権を取り、民主党が本当にやりたい事をやる。


簡単言えば、中央官僚というイケニエを国民にささげて、民主党に投票してもらい、政権を取ったあかつきには、民主党が本当にやりたいことをやるということになるだろう。

 民主党のキャッチフレーズ「生活が第一」には主語が無い。

(地方公務員の)生活が第一」が正しい読み方だと思う。

もし次回の衆院選で民主党が勝つのなら、それは国民による自殺点の2点目となろう。

民主党が本当にやりたい事は、マニフェストにしっかりと書いてあるし、後で国民が文句を言っても、「マニフェストにしっかりと書いておきましたが何か?しっかり読まずに投票した、あなたが悪い」と民主党に言われればそれまでだ。

公務員へのムダ使いで地方から日本が破産すれば、お札や預金通帳が紙くずになり、国民が巻き添えになる。

あなたはそれでも良いですか?


 ところで、ネットなどで民主党のマニフェストの内容にぜんぜん触れずに、「二大政党制を実現するため、民主党に投票しよう!」とだけ繰り返す人達がいるが、彼らは地方公務員の工作員なのだろうか?


(私のコメント)
国際情勢や金融情勢の事が続いたのですが、なんといっても国内情勢のほうが我々の生活問題に密着している。特にねじれ国会の問題は深刻だ。小泉構造改革は地方を切捨てる事なのですが、実態を知らない国民は小泉首相の構造改革を熱狂的に支持した。特に郵政民営化は地方切捨て政策なのですが、地方でも総選挙では自民党が圧勝した。

小泉マジックとも言うべきアメリカの広告宣伝会社の戦略を使って国民はそのトリックに引っかかってしまったのだ。だから安倍内閣に代わって魔法から覚めてしまうと、シャッター通りと化した商店街を見て国民は愕然としてしまった。地方経済を支えていた工場などは次々と中国に行ってしまった。構造改革が工場閉鎖をしやすくしたからだ。

いまや地方経済を支えているのは農業と地方公務員ぐらいしかなくなった。地方においては地方公務員は勝ち組であり、それ以外は負け組だ。地方公務員は終身雇用と年功序列に守られて給与水準は国家公務員よりも高いところもある。いわば地方公務員は現代の特権階級であり、公務員の息子は公務員といった階級が出来ている。

老人ばかりの地方にあって地方の役所だけは若い人が働いている。役所と農協しかまともな職場がないからだ。それ以外の若い人は大都会に出るしか職場はない。地方自治体も様々な村おこしや町おこしをやって活性化を図っているが失敗すれば夕張市のような破産公共団体になってしまう。

竹下内閣の時も地方創生と称して1億円のバラまきをやりましたが、結局は金塊を買っただけの所だけが大儲けをした。結局は金をばら撒いても地方には人材がいないから活性化するような産業が興せない。結局は農業しか産業がないから地方の税収も限られたものであり、税収のほとんどが地方公務員の給与に消えてしまう。

地方自治体の税収の多くは中央からの地方交付金によって賄われており、そのほとんどが地方公務員の給与に使われてしまって住民サービスに使われるのはほとんどない。だから地方には公務員関係者と農業関係者がほとんどであり、今まで自民党の基盤であった農家は小沢民主党の「農業の所得保障」で民主党に鞍替えすれば民主党が圧勝するのは目に見えていた。

地方公務員は自治労の地盤であり、自治労は民主党の支持基盤でもあった。このように考えれば小泉構造改革は自民党にとっては自殺行為なのですが、その結果が先の参院選挙に現れてきたのだ。今頃になって自民党も政策の修正を図っていますが、一旦地方が寂れると復活させるのはかなり難しい。そして夕張市のような破綻する地方が続出する。

今やらなければならない事は国家公務員の行政改革よりも地方公務員の行政改革の方が大きな問題なのですが、マスコミは国家公務員の天下りや汚職はやっても地方公務員の問題はほとんどやらない。地方公務員も腐敗や汚職の巣窟であり、宮崎県にそのまんま東が当選したのは地方行政の汚職があまりにも酷いからだ。

小泉構造改革の前ならば地方にも公共工事といった建設産業があった。今では公共工事は縮小されて地方の中小建設業は倒産が相次いでいる。これも自民党の支持基盤だったのですが弱体化した。だから本当の構造改革とはどうしたら地方が活性化するかということだ。

クロフネ氏が書いているように参院選は国民にとってオウンゴールであり、民主党が政権を取れば地方公務員にとってこの世の春がやって来ることになる。そして地方公務員は高給と終身雇用が保証されて現代の貴族階級になる。それを支えるのが都会の労働者であり、引き上げられた15%の消費税はほとんど地方の公務員の給与に支払われるのだろう。

政府税調の増税のオンパレードはこのような公務員天国の特権を守る為のものであり、国と地方の赤字財政は経済政策の失敗によるものだ。ならばどうしたら地方は活性化するのだろうか? 新幹線や高速道路を作ってもストロー効果でかえって地方は寂れてしまう。なぜなのだろうか? それは利用料金が高いからだ。

「株式日記」でも大都会で仕事をして週末は地方で暮らすような生活モデルを立てるべきだと書いた事があります。その為には高速道路の無料化が切り札になる。高速道路が無料化すれば新幹線料金や航空料金も安くなるだろう。私は東京と千葉との二重生活をしているが車で往復すると高速道路代だけで5千円近くかかってしまう。関東から外れれば1万円以上もかかる。これでは地方には住めない。

東京に集中した本社や工場も高速道路が無料化すれば地方移転が進むだろう。無理して土地の高い大都会で仕事をしたり生活する必要はない。日常は都心の超高層マンションに住み、週末は高速道路で那須のような別荘地に住めば栃木県も活性化する。冷え込んだ地方の不動産市場も活性化するだろう。

しかしそれが出来ないのは自民党の道路族が反対しているからだ。「株式日記」では2003年に次のように書いた。

高速道路無料化で56兆円の金が節約できる! 2003年10月26日 株式日記

<道路公団が民営化することによって、公団周辺の付帯事業が存続することになり、その利権を目指して青木氏らをはじめとした道路族が主導権争いをしている。民営化を推進している小泉首相が一番のキーマンですが、その周辺に問題がある。根本的解決策はこのような公社公団を廃止して国営化するか、不必要な公社公団は解散して天下りをなくすことだ。

高速道路の無料化は山崎養世氏が提唱した案ですが、道路公団の40兆円の借金をなくして、高速道路の有効活用をうたった一石二鳥の名案だと思う。小泉首相は「こんな馬鹿な案はない」「只より高いものはない」などといって大反対していますが、いまさらながら小泉首相の頭の悪さを露呈している。ガソリン代などに含まれる道路特定財源を一般化してその一部を借金の返済に回せば40兆円の借金は片付く。さらに金利負担も56兆円も安くつく。



なやましいのは高速道路無料化を打ち出しているのは民主党であり自民党は反対している。自民党が地方の支持を取り戻すには地方の不動産が値上がりするような政策が必要だ。今日のような三連休で都会のマンションでごろごろするよりも、自然のあふれる地方の自宅で三連休は過ごすべきなのだ。そうすれば地方の商店街も週末は買い物客でにぎわうはずだ。




大量のドルを保有する中国がドル売りを示唆したことで、ドルに代わる
基軸通貨として、欧州統一通貨ユーロの台頭を予想する声も出始めた


2007年11月23日 金曜日

高まるドル崩壊の懸念 「基軸通貨にユーロ」の声も 11月22日 IZA

■チャイナリスクで底値見えず

 欧米で“ドル崩壊”による経済危機の可能性を指摘する声が高まっている。サブプライム(高金利型)住宅ローン問題による米国経済への影響が見極めきれない中、大量のドルを保有する中国がドル売りを示唆したことで市場に混乱が広がった。急激なドル安は米国の輸入を大きく減少させるだけでなく、双子の赤字をドルの信用で支えてきた米国経済に致命傷を与えかねない。ドルに代わる基軸通貨として、欧州統一通貨ユーロの台頭を予想する声も出始めた。

 ◆「経済の真珠湾攻撃」

 「強い通貨(の値上がり益)で、弱い通貨の穴埋めをしなければならない」

 今月7日、北京で行われた全国人民代表大会(国会)で共産党の成思危・常務副委員長が、外貨準備の見直しにふれたこの一言が、世界の金融市場に衝撃を与えた。中国の外貨準備は世界最大の1兆4300億ドル(約158兆円)。このうち6〜7割を占めるといわれるドル建て資産の売却に動けば為替市場の混乱は避けられない。

 この発言で、英ポンドが26年ぶりに1ポンド=2・1ドルの壁を突破したのに続き、12日の東京市場でも円相場が一時1ドル=109円台に突入。ヘッジファンドなどが、ドル建て資産から金に乗り替える動きも活発化し、金は1980年1月に記録して以来の1オンス=850ドルの大台に迫った。米国にはインフレ不況が深刻化した70年代後半の「ドル危機の再来」と受け止めるエコノミストもいる。

 中国の外貨準備見直し発言は、12月に北京で予定されている次回の米中経済戦略対話を前に人民元切り上げで「目に見える成果」(ポールソン財務長官)を求める米国側を牽制(けんせい)する狙いともみられるが、欧州メディアは米中関係が悪化すれば、中国がドル下落に無防備な米国に「経済の真珠湾攻撃」(独誌シュピーゲル)を仕掛け、「切り札の“核攻撃”の脅迫」(英紙テレグラフ)が絵空事ではなくなると警鐘を鳴らした。

 予想以上の反応に驚いた中国人民銀行の易綱総裁補は14日、見直し案は「学者らの議論」として、ドル中心の運用姿勢を変えない方針を表明した。しかし、いつ暴落の引き金になるとも知れない“チャイナリスク”の存在が改めてクローズアップされたことで、市場は警戒を強め、サブプライム問題による米国経済の長期低迷予測と相まって長期的なドルの底値は見えにくい状況だ。

 ドルへの不信感を強めているのは、金融市場だけではない。ブラジルのスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンさんが、ドル下落による目減りをきらい、米家庭用品大手プロクター・アンド・ギャンブルの広告出演料3000万ドル(推定)の支払いをユーロ建てにするよう要求したことが先週、メディアをにぎわした。英紙ガーディアンによると、ニューヨークでは、外国人旅行者がパスポートを見せると、ドル建て値札を11%引きとする有名百貨店が現れるなど、消費の最前線にまでドル下落の混乱は広がりつつある。

 ◆「物々交換に逆戻り」

 ドル下落が続けば米国債が売れなくなり米長期金利が上昇。米国の企業収益や住宅投資を一段と圧迫する。このほか国際貿易を混乱させるとの懸念が強まっている。

 「ドル安に気をつけなければ経済戦争になる可能性がある」

 先週、ワシントンを訪れたサルコジ仏大統領は米議会の演説でこう警告した。目先のユーロ高ドル安で欧州の対米貿易赤字が拡大し、貿易紛争を招きかねないというわけだ。欧州だけでなく韓国輸出産業を代表する現代自動車の米国内売り上げも今年、過去9年で初の減少に転じる見通しだ。

 ドルが、貿易取引の決済などに使われる基軸通貨の座からすべり落ちる可能性も指摘されている。アラブ首長国連邦(UAE)のスウェイディ中央銀行総裁は13日の講演で、ペルシャ湾岸6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)が導入を検討している統一通貨についてドル連動構想を改め、複数通貨のバスケット制を軸にする考えを明らかにした。ドルは安定性に欠けると見切りを付けた格好だ。

 ドルが基軸通貨としての信任を失えばどうなるのか。米レーガン政権下で「レーガノミクス」を主導したクレイグ・ロバーツ元財務次官補は先週、インターネットラジオの番組で「ドルの崩壊は、最終的に世界貿易を物々交換の時代に逆戻りさせる」と指摘した。

 ドル下落の一方、誕生以来、ユーロの価値はドルに対して6割も上昇した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米証券大手リーマン・ブラザーズの為替部門の責任者、ジム・マコーミック氏は「ユーロをドルの後継(基軸通貨)にするという考え方は、かなり受け入れやすくなってきた」と話している。(佐藤健二)

                   ◇

 ■人民元が受け皿の可能性も

 日本総合研究所・牧田健主任研究員の話 ドル下落のペースに市場では危機感が高まっている。米国債の買い手が、かつての日本から、中国のほかロシアや中東諸国の国家ファンドなど不安定な資金の出し手にシフトしていることが市場関係者の不安の背景にある。ただ、中国は、一度に大量のドル売りに走れば、自らの保有資産の価値を減少させるため、緩やかに売却を進めることになろう。急激なドル下落には主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の協調行動も予想されるが、現状ではドル安防止への効果はほとんどない。さらに大きな枠組みでの国際協調が必要になる。

 米国の経済力は相対的に低下しているものの、基軸通貨としてのドルの需要がただちになくなることはない。ユーロは徐々にドルの受け皿としての存在感を増すことになろう。むしろドルの受け皿として使われるのは人民元になる可能性もある。将来的に米国に対抗できるのは中国だけだからだ。

 ドルが中長期的にどこまで下がるかの予想は困難だが、主要通貨に対し1995年時点の水準が底になるのではないか。(談)



新CEO 11月21日 松藤民輔の部屋

メリルリンチの新CEOへの報酬は約50億円。現金で17億円のボーナス。すごい。あとは株のオプション。彼に期待されている事は、メリルの解体か他との合併だという。

シティーの新CEOもゴールドマン出身、メリルもゴールドマン出身。ゴールドマンを中心とした米国金融の再編が始まるのだろう。シティーの損の異常さ、天文学的数字に対し、ゴールドマンは小さすぎると思うのだが。

財務長官もゴールドマン出身とくれば、ゴールドマンの意図が何か、やがて見えてくるに違いない。メリルがバンクオブアメリカと合併する可能性を早くも米国アナリスト達は言い始めている。

16000人のブローカーの顔も知らない新CEOは会社を切り売りするか、合併させて何十億円のストックオプションをもらうのだろう。凄い社会だ、米国は…。

さて、米国の崩壊は始まった。日本の株もボロボロ、中国の融資規制が何を引き起こすか見物である。


87年型かな 11月20日 松藤民輔の部屋

青が1946年。緑が1987年。赤が現在進行中の米国S&P500種の株価である。下のグラフの100のレベルが高値を付けた日とすれば、46年の青は93営業日、緑は71営業日で安値に達している。

赤の現在進行中の株価は10月11日に高値を付けている。2ヶ月から3ヶ月あまりで安値に到達する可能性が高い。僕の直観的分析では、緑の落ち方になる可能性が高い。

SIVというオフバランスされた問題が、各銀行から出れば、今一度、銀行株の暴落は近い。87年型の場合、35%の下げか?少し大きいが、これくらい落ちてもおかしくない。



(私のコメント)
サブプライムがらみで始まったアメリカの債券市場の崩壊はアメリカの金融機関に致命的な打撃を与えている。シティーの崩壊はその象徴であり、昨日の株式日記でも紹介したようにロックフェラー本人が日本にやってきたのは救済を求めにきたのだろう。ダメージを負ったのはもちろんシティーだけではなくこれから続々と表面化するのだろう。

不思議でならないのはニューヨークの株式市場が堅調なことですが、投資ファンドなども債券市場の崩壊で致命的ダメージを負っているはずですが、ファンドは株式を大量に保有している。なぜファンドは売り逃げないのだろうか? 危険信号が上がっているのだから売り逃げた方の勝ちであり、逃げ遅れたファンドが負けになるはずだ。

株が堅調なのはドル安で企業業績が良いからですが、起きているのは金融危機であり企業業績に関わらずファンドの解約で株売りが殺到する時がいずれやって来る。松藤民輔氏の予想ではもうじき大暴落が来ると言う予想ですが、何時ごろ起きるのだろうか?

日本人は90年代のバブル崩壊と金融危機を身をもって体験しているからこれから起こる事がなんとなく分かります。そのきっかけとなるのが中国による経済の真珠湾攻撃だ。つまり中国がアメリカ崩壊の引き金を引くというシナリオは単なる脅しなのだろうっか? アメリカはEUのユーロと中国の元の挟み撃ちにあって両面作戦を強いられている。ドルが敗れればユーロが勝者になる。

日本の円はすっかり影が薄くなりドルに連動するようなローカル通貨になってしまった。ファンドはドルを売ってユーロを買いたいと思ってもEUはドルを買い支えるような真似はしないから欧米の為替市場は機能していないようだ。90年代は日本がドル売りを一手に引き受けたからドルは持ちましたが、今回のドル安は買い支えるところがない。

本来ならば日本の円がドルを買い支えるところですが、円がドルと連動していることで買い支える必要がない。ユーロからみると円はかなり安くなってしまっているからだ。だから政府日銀も動けない。ならば中国の元がドルを買い支えればドルは持ちますが、中国は日本とは違って損を承知でドルを買い支えることはせず、かえってドルを売ってくるだろう。

11月21日に書いたように中国人は命の恩人ですら裁判に訴えて金を取るほどの強欲な民族だ。アメリカ人もかなり強欲ですが中国人の拝金主義にはかなわない。昨日書いた米中同盟は、中国人を超低賃金で働かせてアメリカが一人勝ちする戦略ですが、最近では賃金も上昇して外資の優遇策もとらなくなりコストが上昇する事でインドなどに外資は移動し始めた。

中国経済が抱える問題は外資の下請け体質が抜けず、安かろう悪かろうと言った商品が横行して高品質のブランド商品が作れないことだ。だから僅かな元の切り上げでも競争力を失ってしまう。つまり中国人は日本人ではないということであり、日本のような自立した経済発展は難しいのだろう。つまり米中同盟も限界に来ておりどちらかの破綻が米中共倒れを招く。

アメリカ企業は中国で超低コストで作ったものを世界に売って利益を上げている。だから業績も良いからNY株式も堅調なのですが、中国人もようやくアメリカ企業の経済的植民地にされて来た事に気がついたようだ。超低賃金で働いて貯め込んだドルも値下がりしたら中国人の怒りは爆発する。だから時折ドル売り発言が飛び出すのですが、米中は一蓮托生で両すくみ状態だ。

日本企業も中国で中国人を超低賃金で働かさせて世界に輸出して儲けている。日中戦争では実現出来なかった事が今実現している。アメリカの軍事力が中国に対する押さえになっている。つまり日本はアメリカの尻馬の上に乗って儲けているのだから笑いが止まらない。しかし中国人はこのような状態で我慢し続けられるだろうか?

中国は超高層ビルが立ち並びハイウェーが建設されて車が大渋滞している。まさに日本で見られたバブル経済そのものなのですが、輸出依存経済であり主な輸出先がアメリカだ。そのアメリカ経済が変調をきたしてドルの動きが怪しくなっている。ドルの基軸通貨体制も揺らぎ始めて通貨の多極化が始まっている。

昨日も書いたように米中双方ともトロイの木馬を抱えており米中共倒れの構図も見えてきた。日本も大きなダメージを負うが米中のようなバブル状態ではないから傷は浅くて済むだろう。石油決済も外貨準備もユーロの割合が増えてアメリカも支払いをユーロでしなければならなくなり、ドルの乱発は出来なくなる。つまりアメリカの景気は確実に悪くなる。

そうなればアメリカ企業も銀行も、日本やEU資本に買い取られて切り売りされていくのだろう。シティーの日本法人も日本の銀行に買い取られるのかもしれない。中国もアメリカへの輸出がストップして軒並み「世界の工場」は操業停止に追い込まれる。そうなると労働争議が噴出して内乱状態になり、せっかく80年代からの改革解放の成果も水泡に帰すだろう。




米中経済同盟を知らない日本人』 山崎養世:著 ドライな中国人が、
みんなで我慢して給料カットやリストラに取り組むことなどできません


2007年11月22日 木曜日

米中経済同盟を知らない日本人 山崎養世:著

米中がお互いにトロイの木馬になる

経済でのチャイナ・アズ・ナンバーワンの時代はもう始まっています。中国は世界の工場です。経済同盟の相手であるアメリカはもちろん、ヨーロッパ、韓国、シンガポール、さらにはインドの企業も進出します。政治的に難しいからといって進出しなくては命取りになりますから、日本はもちろん台湾の企業も進出せざるをえません。中国経済の強さを支える根底は、低コストで人口世界一の労働力です。でも、それだけではありません。

南北に長い海岸線に面して工業地帯ができ、船で世界中から原材料を運び、作った製品を輸出できるから強いのです。南は香港、深洲、広州、中央の上海から北京と港町・天津、そして東北の大連や藩陽までが巨大な産業地域になっています。

さらに、世界に例が無いのが、大河.揚子江に沿った東西の地域です。内陸の重慶から河口の中国最大の経済都市・上海まで東西に2000キロの流域が、揚子江という大河に面して100万都市が連なる産業地帯に変身しています。日本の京浜工業地帯やアメリカのニューヨーク港や五大湖地方とはまるでスケールが違います。

中国は、東西南北を結ぶ鉄道、高速道路、船、飛行機の交通網を整備し、沿岸の都市の開発を進めています。東西南北の十字路に位置し、世界に開かれているのが上海ですから、今後ますます重要になるでしょう。

沿海部の生活はどんどん先進国型に近づいています。パスタや寿司も食べ、スーパーやコンビニで買い物をし、ファツションに気を使い、冷暖房のあるマンションや一戸建てに住み、テレビやパソコンを見て、携帯電話で話し、週末はドライブに行き、海外旅行を夢見る。銀行に預金し、生命保険に入り、マンションや株に投資もします。ローンも借ります。

こうして、沿海部は世界中の企業が競争する巨大な消費市場になりました。そして、中国の国内企業も伸びてきます。石油、通信、銀行、保険などの統制色の強い産業でも、家電、自動車、不動産、小売といった競争の激しい分野でも、株を上場した国営企業やたたき上げの民間企業の中に大きく成長する会社が出てきました。そして、まだ少数ですが、ITの分野において、フアウェイのような、世界市場への挑戦をする会社も現れました。

そうなると今後は、外資系を国内企業より優先するというこれまでの方針は消え、逆に中国企業を優先するという方針に変わっていくでしょう。そうなる前に進出して中国に生産の基盤を作り、消費者に支持されてシェアを取れるかが、日本を含めた外国企業の勝負の分かれ目になるでしよう。

世界中の企業が中国でいかにもうけるかが、世界の経済成長を決める大きな要素になってきたのです。中国の成長が早すぎれば、世界の資源や環境に深刻な問題を与えることは明らかです。また、アメリカを始めとした先進国の中に深刻な格差を生んでいることも確かです。かといって、中国の成長が止まれば、世界の経済も止まります。まして、1989年の天安門事件のような事件が再び起きて、世界と中国が断絶状態になれば、世界の経済は深刻な不況になり、株式市場は暴落するでしょう。

天安門事件は、世界の経済には影響を与えませんでした。日本でもアメリカでも、株式市場はバブルの破裂まで上昇を続けました。しかし今は違います。2005年に中国で反日デモが起きただけで、日本の株は暴落しました。もし反米デモやアメリカとの貿易の停止などが起きれば、アメリカの株も暴落するでしょう。もちろん、そのときは中国経済も大打撃を受けるでしょう。中国と世界、とりわけアメリカは、もうお互いに人質をとっているような相互依存の関係にあるのです。

中国の強さの源は、外国と比べたときのコストの安さです。それを、相当の部分、決めているのが為替のからくりです。中国の人民元は、89年以来ドルに対して2分の1になりました。アメリカ人から見たら中国のコストが2分の1になったのです。その間、中国は、経済制裁を受ける国から世界一の外貨準備を持つ国に変身しています。経済学の教科書ではありえない話です。

これが、逆に1971年からの円のように、3倍や5倍になっていたら、中国のコストは今の6倍や10倍になっていたことになります。そうなれば、いま年問2000ドルといわれる中国の人件費は、1万2000ドルや2万ドルにはね上がります。アメリカとさほど変わらなくなります。

すると、中国で生産しているアメリカ企業の利益は激減します。おまけに、中国で作った製品を、何倍にも値上げせざるをえなくなります。世界で売れなくなります。アメリカ企業の利益がさらに減ります。アメリカの株式市場は暴落するでしょう。

そんなことになれば、チャイナ・アズ・ナンバーワンは消えてなくなります。中国に外貨が入ってこなくなります。中国は、石油や食料を買えなくなります。アメリカ企業の中には、中国の従業員を解雇するところも出るでしょう。失業者が増えれば、車や家は売れなくなるでしょう。不景気になります。ストライキや反米運動が起きて、さらに事態が悪化するかもしれません。中国が米国債を買うこともなくなるでしょう。米中経済同盟が成り立たなくなります。

日本は、70年代、80年代半ば、90年代半ばの3回にわたり、最大で5倍にも及んだ円高を乗り切り、輸出大国の地位を守りました。日本は、1968年以来いまも世界第2位の経済大国です。たいしたものです。

しかし、いまの中国に、1年で2倍になるような人民元の大幅高に耐える力はありません。あとで説明するように、深刻な社会不安が起きるからです。アメリカも、急激な人民元の上昇は望みません。中国に進出しているアメリカ企業の収益が大幅に減って、景気が悪くなり、国全体の雇用も減って、国民全体が困ることになるからです。もちろん、世界の金融市場を牛耳るアメリカの金融機関も困ります。

人民元が急上昇したら困るのは、米中だけではありません。中国で生産を行う日本やヨー.ロッパなど他の国の企業も、急激なコストァップで利益が激減するでしょう。急激な人民元の上昇は世界の経済に急ブレーキをかけ、株式市場の急落を招き、チャイナ・クラッシュを起こすことになります。

こうしてみれば、世界中が困る人民元の大幅上昇が起きる可能性は少ないでしょう。かといって、人民元がいまのままの水準であれば、世界の経済に歯止めがかからず、資源と環境の問題、先進国での格差の問題はひどくなります。

結局、世界の経済には、急ブレーキでなくゆるやかなプレーキが必要になります。それが、人民元のゆるやかで安定した上昇です。そんな芸当を実現するためには、中国を先進国の経済安全保障の体制に入れなくてはいけません。プラザ合意の日米独のG3で始まったG8の体制の主要メンバーにし、世界経済への責任ある行動をとらせるべきです。それはまた中国の利益につながることです。

そうなれば、米中経済同盟が勝手に行動することに対する押さえにもなるでしょう。もちろん、中国の社会も、人民元が急に2倍になるようなショックには耐えられません。かつての日本が急激な円高をはね返したような力を持っていないのです。

なぜなら、円高をはね返したのは日本企業でしたが、中国経済の主役は外国企業だからです。.人民元が大幅に上がれば、アメリカなどの外国企業は、損を減らすために教科書どおりの対応をするでしょう。コストが高くなった中国での生産と輸出をやめるか小さくして、他の国に移すだけの話です。中国に外貨が入ってこなくなり、給料や家賃も入らなくなります。外国企業が出て行ってしまえば、中国の企業だけで世界の工場の地位を守ることなどできないでしょう。

ドライな中国人が、日本式に、みんなで我慢して給料カットやリストラに取り組むことなどあまり期待できません。より高度な製品を開発したり、新技術によってコストを大幅に減らしたりすることも、ほとんどできないことでしょう。中国製品は売れなくなります。中国の経済成長はストップします。

そうなると、中国の社会そのものがおかしくなります。これまでの、共産党の独裁は続けながら経済は改革開放するという、綱渡りの国の運営が行き詰まります。再び天安門事件のような形で、反政府運動が広がるかもしれません。そのときには、中国の成長に乗っかっている世界の経済も大混乱になり、株式市場は暴落するでしょう。チャイナ・クラッシュが世界を襲うことになります。

下手をしたら、米中経済同盟が、お互いに相手を破壊するトロイの木馬になるかもしれないのです。

そんなことを、世界のほとんどの国は望まないでしょう。とくに、米中両国にとっては絶対に避けたいシナリオです。かといって、いまのあまりに安い人民元が、中国での資源のムダづかいと世界の資源価格の上昇を招き、自分たちの首を絞めていることも、両国にはわかっています。

さらに、アメリカの中産階級を没落させてアメリカ国民の不満が高まっていることも、中国で貧富の格差が広がっていることもわかっています。そんな問題の解決のためには、人民元は上げていかなくてはいけない。でもそれは、アメリカ企業が中国から出て行かない程度のゆっくりとしたスピードにして、ショックを与えないようにしよう。両国の指導者がこのことに気が付いていなければおかしいでしょう。

中国もアメリカも、そして世界経済も、着実に成長できる程度に、人民元をゆっくり上昇させる枠組みを作り出す必要が出てきました。それが、新しいプラザ合意であり、中国がG8の国になることなのです。

そうなれば、中国経済は、量から質への転換をしていかなくてはいけません。外国から見たら中国での生産コストは上がるのですから、資源やエネルギーのムダづかいは減らさなくてはいけません。外国の技術に頼らずに、より高度なものを作ることができるようにならなくてはいけません。

中国企業も、経営の管理を学び、従業員の質を高め、研究開発を進めていく必要が出てきます。人民元が上がるのは、短期的には大変なことです。しかし、長期的にみれば中国企業は、特に物づくりの分野で、実力をつけていくでしょう。

それは、日本企業にとってさらに強力なライバルが出現することを意味します。いまでさえ、中国企業の安い製品は途上国でのシェアを広げています。将来、先進国でも中国企業が低価格品から高級品へとシェアを伸ばすときに、日本企業は追い上げられます。日本も新しい世界戦略が必要になります。

そのとき、米中経済同盟も大きな曲がり角を迎えます。ケ小平が生きていたころは、中国企業よりも外国企業を優先する経済特区を各地に作りました。それをフルに利用して経済を復活させたのがアメリカでした。

しかしこれからの中国の課題は、人民元が高くなる中でも経済が成長できるように中国企業を強くすることです。これからは、逆に国内企業優先が中国政府の政策となっていくでしょう。アメリカも日本も、戦略の練り直しを迫られるようになります。

もっとも、中国がそうした経済高度化に向かうには、越えなくてはいけないハードルがいくつもあります。なかには、独力では越えられそうにないものもあります。 (P86〜P93)


(私のコメント)
米中の狭間にある日本が生き残る為には、アメリカや中国の戦略の裏まで研究し尽くして日本の戦略を考える必要がありますが、日本にはそのような戦略を考えるところも無ければ考える人もいない。90年代の日本の狼狽ぶりは思考停止状態に陥り、マスコミの記者たちは盛んにアメリカのシンクタンクにまでお伺いに行った。

しかし米中同盟による日本たたきの戦略を考えたのはアメリカのシンクタンクなのだ。その辺の事情については「通産省国売り物語」に詳しく書かれています。もちろんそれはアメリカの国益を考えての事であり、日本に内部協力者がいて始めて出来ることだ。内部協力者とは政治家と官僚の事であり、彼ら自身はそれを自覚していないかもしれない。

米中同盟と言っても山崎氏が言っているように正式な同盟ではなく目に見えない同盟関係なのですが、日本人が米中同盟に気がついたのはつい最近のことだ。そのことを書いたのは山崎養世氏であり『米中経済同盟を知らない日本人』という本を見ればその実態が書かれている。山崎氏はゴールドマン・サックスにいた人であり、国際金融資本がどのようなことを考えているのかがある程度分かる。

今頃になって分かってきた事が悔やまれますが、アメリカがなぜ日本を敵視して中国に投資をするのかが分からなかった。日高義樹氏もクリントンが日本を二流国家に叩き落す戦略を書いていますが、90年代の日本はバブル崩壊で右往左往するばかりで政治的混乱で外資系ファンドのなすがままになってしまった。

アメリカからは執拗にグローバルスタンダードを受け入れろと言う圧力を受け規制の緩和が進んだ。規制の緩和は景気の良い時にすべき事であり景気の悪い時に進めれば弱肉強食で地方経済は切り捨てられてしまった。工場がどんどん中国に引っ越してしまって空洞化が進み、大手スーパーやコンビニが地方の商店街をシャッター通りにした。

昨日のNHKの「クローズアップ現代」では「検証金融危機10年」をやっていましたが、ゲストの大学教授が言っていたように潰さなくてもいい北拓銀行を潰し北海道は火の消えた所にしてしまった。夕張市の破綻は政府に責任がある。火の消えた地方は企業がどんどんつぶれて地方財政が破綻すればそのツケは国にやってくる。

アメリカの戦略としては、日本を借金の火の車にして97年の東南アジア諸国や韓国のようにIMFの管理下において、国際金融資本が主要産業を買い取る事でしたが、日本だけがなんとか持ち堪えた。最近ではサブプライム問題でアメリカ本国に火がつき始めている。ロックフェラーの金庫でもあるシティーバンクも大分危ないようだ。


シティ、日本が“国有化”!?アノ人が来日し根回しか 11月19日 ZAKZAK

 米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)問題で巨額損失をこうむった米シティグループ。その先行きを不安視する市場関係者が増えており、「サブプライム問題は端的にいえば、シティの巨額損失をいかに穴埋めするかということに帰結する」(在米金融機関幹部)とまで言われている。金融界では今、日本の金融機関がシティの支援に乗り出すのではとの観測も出ている。

 シティは2007年7〜9月期決算で、サブプライム関連の損失が約65億ドル(約7500億円)発生。さらに11月には、最大110億ドル(約1兆2600億円)もの追加損失が発生する見通しであることを発表、損失は合わせて2兆円規模に達する見込みだ。

 こうした状況を受けてシティの株価は急落し、10月初旬まで40ドル台後半で推移していたものが30ドル台半ば近辺まで下げている。

 「シティの株価が低迷から抜け出すには時間がかかるだろう。というのも、シティのサブプライム関連の損失は現時点で2兆円規模と見込まれているが、米国の金融関係者の間には『実際はその5〜10倍、10兆〜20兆円はあるのではないか』とみる向きもあるからだ。最終的な損失額はいくらなのか。そのあたりがクリアにならなければ、シティへの不安は払拭(ふっしょく)されないだろう」(在米金融機関幹部)

 そんななかで浮上しているのが、日本の金融機関がシティへの資本支援などに乗り出すのではないかという観測である。

 こうした観測が浮上してきた背景の1つが、ロックフェラー財閥のデビッド・ロックフェラー氏(92)が11月上旬に来日したこと。表向きは著書「ロックフェラー回顧録」(新潮社)を10月に出版したことを受けての来日とされるが、額面通りに受け取る金融関係者はいない。

 「デビッド・ロックフェラー氏は親日家として知られるが、それでも世界的な財閥の重鎮が本の出版くらいでわざわざ日本まで来たりはしない。シティはロックフェラーとつながりがあるとされている。来日の目的は、シティ支援の感触を確かめることだったのではないかとみる金融関係者は多い」(大手銀幹部)

 その支援について、先の在米金融機関幹部が次のように指摘する。

 「万が一、シティがサブプライム問題で重大なダメージを被るようなことになれば、信用崩壊から世界恐慌に発展する恐れすらある。最悪の事態を回避するため、米国側が日本にシティ支援を求めることは十分ありえる話だ」

 気の早い日本の金融界では、支援策をめぐっていろいろな観測が飛び交っている。



(私のコメント)
ロックフェラーと言えば三菱が80年代にロックフェラーセンターを買い取ってジャパンバッシングの火付け役となりましたが、実際にはビルの売買を仮装した数千億円の利益供与だった。だから今回もシティ救済という名の利益供与が行なわれるのだろう。またしてもアメリカの大銀行を日本が買い取ったと言う事でジャパンバッシングが再発する事だろう。

山崎養世氏が書いているように、アメリカ企業は中国を経済的植民地にして中国人を奴隷的低賃金で働かせてグローバル企業として利益を上げている。しかし中国が破綻すればアメリカ企業も破綻するわけで米中共倒れした時には、日本が米中を救済することが望まれる。

90年代は日本がアメリカの大攻勢に耐えましたが、10年代からは日本の反撃が始まる。中国は結局は安い商品しか作ることが出来ず、元を切り上げたら中国経済の致命傷になってしまう。日本が360円から80円までの切り上げに耐えた技術力は中国にもアメリカにも無い。結局は物作りの技術力が産業の勝敗を決める。

しかし政治家や官僚にアメリカや中国の内部協力者がいて「通産省国売り物語」が再発しかねない。80年代には日本の銀行が世界のトップ10位を独占するほどだったのに今やその面影も無い。米中同盟に挟み撃ちにされてしまったからだ。

いわば日米安保は愛の冷え切った夫婦関係であり、米中関係は愛人関係にある。やがては愛人に裏切られてアメリカは日本に援助を請うて来る事だろう。その場合は日本という正妻は迎え入れてあげるべきだろうか? アメリカもいくらドルが安くなっても製造業が復活する事はない。あるのは金融やサービス業ぐらいで農産物しか売るものが無い。

山崎養世氏が指摘しているように、アメリカにしても中国にしてもトロイの木馬を内在させている。どちらかが倒れれば共倒れになるのだ。日本はこの共倒れに巻き込まれないようにしなければならないが、そこまで考えている戦略家がいるのだろうか?




中国人は人間関係を金銭関係に変えてしまった。女性の誘拐売買
の問題は、改革開放以降に出現した道徳上の問題が大きい。


2007年11月21日 水曜日

中国の女性人身売買 11月19日 福島香織

■李楊監督インタビュー:
根強い女性蔑視、差別。女性売買の実態を映画で告発!
中国の女性に生まれるくらいなら、私は貝に生まれた方が幸せだと思う。

福島:女性の誘拐・人身売買問題を取りあげようと思ったのはどうして?

李楊:99年ごろからこのテーマを取りたいとおもっていたよ。99年当時、私はドイツで暮らしていて、親を訪ねて中国に一時帰国した。そのとき、新聞で、誘拐されて農村に嫁として売られた女性が、夫の暴力に耐えきれず、夫を殺して逃げてきてのに、逆に殺人犯として捕まって、銃殺刑に処された事件が報道されていた。私は思ったね、なんて悲惨な事件なんだ、と。彼女はきっと本当は善良な女性だったろう。それが誘拐され、だれも彼女を助けようとせず、それで彼女はこんな風に(殺人犯)になってしまったんだ。以来、ずっとこの映画を撮りたかったよ。「盲井」を撮ったあと、当局から国内での映画制作禁止処分を受けて、06年まで映画を撮れなかったから、このテーマを取材し温めてきたんだ。私は、これは社会問題を反映し、改革解放以来の中国人の道徳観、人間性の変化を観衆に問いかけることができると思ったんだ。


福島:(まったく、誘拐されて売られた被害者女性が夫を殺したからといって死刑になるなんて、中国の女性の人権って、う〜。)同じ女性として胸がつまります。きっと同じような境遇の女性がいっぱいいるんでしょうね。李監督は、誘拐され農村に売られた女性を何人くらい取材したんですか?

李楊:30人以上かな。それぞれに悲惨なドラマがあるよ。被害者はたいてい農村の娘でね、あるいは地方都市の娘。都市といっても、ほとんど農村かな。都会に仕事があるから、といって騙してつれてきて売る。ある娘は自分の恋人に騙されて売られたよ。その恋人は麻薬中毒でお金が必要だからと彼女をうってしまったんだ。親友に騙されたりね。遠くまでつれてこられて自力で帰ってこれない場所につれてこられるんだ。

福島:今もそんな女性、増え続けているですか。

李楊:つい最近も北京の娘が騙されて山西省の農村に売られてて135日間監禁されて、最近やっと救出された事件があったね。中国の法律では、(誘拐・仲買、販売者は厳罰に処されるが)女性を買った農民は処罰されない。中国では買った方は、罪に問われないんだ。この法律の不備がある限り、女性の人身売買はなくならいと思う。人は豚や鶏じゃないんだから、売買なんでできないんだよ。買った方の刑事責任を問わなくちゃ。

福島:(一応、法律上「収買誘拐婦女罪」というのがあって、買った方を裁く法律はある。だがmこれまでの裁判をふりかえると、いわゆる売春に従事させる目的で買った人は、懲役1年〜11年の罪には問われているが、確かに農民が嫁を買うことで、裁かれているケースはちょっと見あたらない。おそらく、買った方は、誘拐された女性と知らなかった、お金は女性の紹介料として払ったと主張すれば、それを覆すだけの証言は集まらないんだろう。あるいは10年一緒に暮らしていたりすれば、なおさらだろう。ご近所も地元警察も、その事実を黙認していたわけだし。)


李楊:誘拐されて売られた女性は最低10年は帰ってこれないんだ。90年代初め、つまり90年から95年が女性の誘拐・人身売買のピークだったかな。この間に公安当局に救出された女性は8万5000人以上。もちろん、救出されない女性の方がずっと多い。

福島:(公安省によれば2001年〜03年に救出された児童・女性は、4万2000人。21世紀に入っても、あまり状況は改善されていない)。背景はなんでしょう。

李楊:90〜95年のころは、農村には電話もなかったし、携帯電話だって普及していなかったし、騙されて遠くにつれてこられた日には連絡のとりようもなかったからね。17、18歳に売られて10年もたてば28歳、子供がひとり、二人いれば、もう彼女の生活も変わってしまい、戻ることもできなくなるし。今も人身売買事件があとをたたないのは、多くの社会背景があるね。多くの農村では嫁の来手がない。そういう辺境の地というのは、誰もが嫁に生きたがらない貧しい場所だから、貧困が原因ともいえる。そういうところでは、まともなルートで嫁をとるのはすごくお金がかかる。ならいっそ、買った方が安い。

李楊:また、中国の人口抑制計画「一人っ子政策」の影響もあるだろう。この政策は、各家庭に子供はたったひとりだけ、と決めている。みんな男の子がほしい、女の子はいらない。だから男女の出産比率が、女児100人に対して、男児が120人以上というアンバランスがおきている。女児100人に対して男児が130人という地方もある。
結婚年齢にたっしたとき多くの男性に、相手がいないわけだ。

福島:(一番最近の報道だと、女児100人に対し、男児122・85人で20年後には結婚適齢期の男性が3700万人あまる。私がそのときまで若かったらなあ!)

李楊:もうひとつ、法律の問題だ。49年から80年代まで、女性の誘拐売買はなかったようだよ。うん、83年前は少なくとも無かった。共産党が社会全体をコントロールしていたから、法律が非常に厳格だったんだ。今は誰も法律を無視している。

福島:(確かに文革時代は、女子トイレをのぞくだけでリンチで殺されていた。もっとも、情報統制が今以上に厳しかったという面もありそう。童養ソク(養女を買って嫁・労働力として養う習俗)はあったと思うが。ま、あれは、誘拐というより、親が売っていたのだろうが)

李楊:あと地方の保護主義もある。地方官僚は、女性の誘拐売買の実態を見て見ぬふりをしているね。だから私は映画のタイトルを「盲山」としたんだ。盲というのは、見えないということだ。心の盲目だね。改革開放以降、人の情は冷え切ってしまった。むかしはみんなお金をもっていなかったが、今はみんな金金金の拝金主義。これが人間関係を金銭関係に変えてしまった。女性の誘拐売買の問題は、改革開放以降に出現した道徳上の問題が大きいと思う。

福島:誘拐されて農村に嫁として売られた先で、夫や家族との間に愛情は育つんでしょうか。

李楊:育つわけないじゃないか。愛情なんて何もない。売られると、レイプされ、暴力をふるわれ、徹底的に反抗する気力をうばうんだ。どこに愛情がある?女性たちは故郷に帰りたいと願うが、そうやってレイプされて言うことをきかされた女性は、(伝統的な男尊女卑や貞操観がじゃまして?)たとえ故郷に戻れる状況になっても、帰るに帰れない。

福島:実は、私以前に、女性の売り買いをする河南省の女衒(女性売買の仲介人)を取材したことがあるんですが、彼がいうには、売られてきた女性を徹底的にレイプするそうです。何人もで何日もかけてレイプすると、恥ずかしくてもうふるさとには戻れないし、親もそんな娘が帰ってきてはメンツがつぶれるので、望まないそうです。その女衒は「俺は3000人の女をレイプした」とか言ってました。非常に人なつこい、明るい笑顔で。

李楊:その3000人レイプしたというのは、ほら吹いていると思うよ。一日毎日ひとりレイプしても10年くらいかかるだろう?

福島:私も、そう思った。(たしか、彼まだ28歳だった。でも、県の公安局長の娘を誘惑して結婚していたから、怖い者なし。奥さんにも会ったが、ドメスティックバイオレンスのせいで、顔に傷跡のある典型的な薄幸美人タイプだった。こいつ絶対エイズにかかっているぞ、死んじまえ、とか思いながら、平静よそおって取材するのしんどかった〜)。ところで、映画はどんなストーリー?

李楊:誘拐され農村に売られた四川省の女子大学生がヒロインだ。彼女は多くの誘拐された女性のように、故郷に戻ることをあきらめなくて、何度も脱走を試みるんだ。結末は映画をみてね。

福島:誘拐され売られる女性には大学生もいるんですか。

李楊:もちろん、大学生も博士もいたよ。でも待ち受ける運命は同じだ。知識があろうとなかろうと関係ない。

福島:でも法律の知識があれば、逃げ出して裁判に訴えることもできますよね。

李楊:たいていは、無理だね。売買人はたいていニセの身分証明書で、名前もうそだ。10年たってから逃げ出して、相手を訴えることは無理だ。逃げてきた人間にも人としての尊厳がある。夫にいじめられ、人にさげすまれ続けて、傷ついている人に、裁判所にいけば、とはいえないよ。

李楊:重要な問題は、人間性、人の醜さ、だろう。政府官僚は汚職にまみれ、警察も見て見ぬふり。

福島:それが映画のテーマですね。

李楊:中国人の人間性、仁の欠如。そうそう、最近こういう事件もあったね。南京市でおばあさんが車にぶつかってこけて足を折った。通りがかりの親切な人が、同情して彼女を病院につれていってあげたら、そのおばあさんは、その親切な人が自分にぶつかったから足を折った、と裁判所に訴えて、その人、結局治療費の半額を払わされた。
親切な人は自分が彼女にぶつかったのではない、と主張しても証明できない。裁判官は親切な人に言ったそうだ。「君がぶつかった犯人ではないなら、どうして彼女に親切にしたんだ?」。中国の道徳状況は、すべてがこの調子だ。



福島:うわ〜、中国の地方都市でありがちな話です。へたに人に親切にすればバカをみる、とみんなが思っている。これが他人への無関心につながって、犯罪をゆるしているんですね。日本も同じようなもんかもしれないけれど。

李楊:農村じゃ、誰かが豚を飼えば、村中の人が知っている。生きた人を買って、村人や地元役人、警察が知らないわけないじゃないか。誰も助けてくれない、誰も関心をもってくれない。そういう絶望的な中国社会を描いたつもりだ。


福島:ところで、よく中国の検閲通りましたね。

李楊:何度も何度もやり直させられたよ。君、中国の検閲制度の厳しさをしっているかい?結局国内版は、政府への批判的な部分は全部カットせざるを得なかった。あと結末も違うよ。国内版はハッピー・エンディング。

福島:(きっと、カンヌで公開された国際版は共産党の官僚や警察がグルの悪者で、国内版は共産党や警察が正義の味方で、ヒロインを救出して大団円なんだと想像。観ていないからわからないけれど)でも、いずれにしても、あなたの映画が国内で上映許可がでたのはすばらしいこと。

李楊:中国人に、中国社会が善良さを失ったのはなぜか、仁を失ったのはなぜか。そういうことを考えてほしいね。


(私のコメント)
ASEAN諸国会議で日中韓の首脳が会談しましたが、福田内閣に代わって日中も首脳交流が盛んになるようだ。安倍内閣も小泉内閣以来のタカ派政権でしたが、靖国参拝を封印して中韓との関係を改善させましたが、肝心の対米関係をギクシャクさせてしまった。このように日本は米中の狭間に立って難しい舵取りを迫られている。

経済面ではアメリカとも中国とも良好な関係がありますが、外交面や軍事面では日本は非常に難しい局面に立たされている。基本的には政治と経済は車の両輪であり相反する事は矛盾する。しかし日米同盟で中国とは台湾問題を初めとして対立していますが、経済交流は年々盛んになる一方だ。

中国も当面は経済最優先で日米と外交的対立は封印して微笑外交を続けるだろう。アメリカにしても中国にしても大きな国であり国内に大きな問題を抱えている。両国とも日本と密接であるだけに注意深く内政問題を見ていく必要がある。中国経済もオリンピックを迎えてバブル景気に沸いてきましたが、中国も総量規制を始めた。


中国政府、新規投資抑制に向け新たな措置を各省・地方政府に指示 11月21日 ロイター

[北京 21日 ロイター] 中国政府は21日、同国経済の安定成長に向けた取り組みの一環として、新規投資プロジェクトを抑制する方針を明らかにした。
 国務院は、各省や地方政府に対し、すべての新規投資プロジェクトが適切な認可を得ること、土地利用やエネルギー効率、環境保護の基準を満たすことを確実にするよう求めた。この命令は国務院によって17日に承認された。



日本のバブル崩壊も総量規制から始まりましたが、中国も日本のバブル崩壊を十分に学んでいるはずだ。つまり中国政府もバブル潰しに動いたのですが、上手くソフトランディングできるのだろうか? 中国政府が発表する経済データーは信用できないのですが毎年10%を越える経済成長がストップしたら中国国内はどうなるのだろうか?

年々反政府暴動の件数は増え続けていますが、経済成長を続けることで地方の不満を抑え込んできた。株式市場も乱高下を繰り返すようになり、不動産なども政府の規制が強まるにつれてバブル崩壊がはっきり見えてくるだろう。中国は経済発展すればするほど社会問題も大きなマグマを抱えており、経済が大きくなればなるほど崩壊した時の社会のダメージも大きくなる。

日本のバブル崩壊もフリーターやワーキングプアやホームレスの増加などの問題が出てきましたが成熟社会だからこの程度で済みましたが、中国の場合は改革解放以来の社会問題が一気に噴出するだろう。現在でも職のない流浪の民が大都市にたむろしていますが、工場などの操業停止が相次げば失業者の大群が暴動を起こすだろう。

改革解放前なら共産党の国家管理がしっかりしていたから貧しいなりに社会問題は押さえられてきた。しかし現代は李監督が答えているように中国人は拝金主義になり、経済破綻があらゆる犯罪の温床になるだろう。李監督は中国人の娘の人身売買の問題を映画にしたのですが、女性や子供への誘拐犯罪はとてつもない件数があるようだ。

中国人の人間性の欠如は共産主義による宗教への弾圧や儒教道徳の衰退が根本的な問題の源だ。その上に改革解放経済で中国人に拝金主義が広まれば、命の恩人ですら裁判に訴えて金を巻き上げるとんでもない事をする。日本の北九州市でも身元保証人になった日本人を殺した中国人の犯罪がありましたが、こんなことは中国では珍しくもないのだろう。

だから中国人を見てもへたに親切にしないほうが身のためだ。在日の中国人が増えるに従って大都会の繁華街のみならず地方の過疎地ですら犯罪が多発するようになりましたが、迷宮入りの犯罪は外国人が本国へ逃げてしまったから犯人は捕まらない。宮崎正弘氏は次のように書いている。



何清漣『中国の闇 マフィア化する政治』 11月18日 宮崎正弘

何清漣女史は続ける。
 「近年、多くの地方政府が農地を奪われた農民や立ち退きを強制された都市住民の抵抗に対処するため、意図的に黒社会の面々を手先に使うことが増えており、民衆を絶望の淵に追いやっている。一部の地方政府は黒社会と完全に結合し、民衆の抵抗を暴力的に制圧している」
 北京朝陽区の住宅街に真夜中に襲ってきた暴徒、ブルドーザが午前三時に出動し、居住家屋を壊して去った。地元マフィアと組んだデベロッパーの仕業だが、その背後には北京五輪開発に狂奔する地区共産党幹部の影もちらつく。
 奥地では、とくにダム建設のため農地を奪われたことに抗議する農民暴動が、つぎつぎと権力側の弾圧によって破砕され、地下にもぐる指導者。
 いったい、この国に「正義」はあるのか?
 評者(宮崎)が兼ねて指摘してきたように、中国は「大盗賊・石川五右衛門と火つけ改め・長谷川平蔵は同一人物」なのである。

 一方、十一月初旬に台湾最大の黒社会「竹連幇」のボスが死んだが、葬儀には数万の参会者、葬儀委員長がなんと台湾国会議長の王金平がつとめ、日本の住吉、香港のやくざ、中国大陸からは「新義安」や「14k」からも代表らが駆けつけた。
 マフィアの国際的な地下ネットワークが繋がっている事実を見せつけた。

 マフィアの国際化も顕著となって、従来の麻薬、売春、武器密輸の三大産業から、最近は「企業」を経営して表向きビジネスマンを装うのが中国の黒社会の特徴であり、誘拐、拉致の請負、ライバル企業などの恐喝に始まり、「密航の組織、人身売買、武器タバコ、乗用車、麻薬の密輸、開場での強奪殺人などの犯罪活動」を展開していると本書は指摘している。

 だからエリートは中国にいるのがイヤなのだ。なぜ、あれほど激しく非難してやまない日本とアメリカに、かれらは出たがるのか。
中国から逃げ出して、永住したがるのか。
 「中国のエリートが自分の子女や家族の未来を考えてあれこれ手配をしている姿は、彼らが中国の未来に何を感じているかを物語っている」

 権力とマフィアがぐるになって、腐臭を放つくにに、まだぺこぺこと頭をさげて貢ぎ物をしている日本政府や企業は、冷静にものごとを見つめる力さえ失っているようである。


(私のコメント)
このような国が経済発展しても貧乏なヤクザが金を持ったヤクザに変わるだけであり、昔は刃物を振り回すだけだったのが現代では核ミサイルを持って世界を脅すようになった。それに対して日本は丸腰のままで相手をしなければならない。アメリカに用心棒を頼んでいますが、いざと言う時に役に立つのだろうか。アメリカ自慢の原子力空母機動部隊も中国の潜水艦に脅かされている。




米国はGMOの種子やBSEの汚染の疑いがある牛肉を強引に
供給して、ひそかに日本人に対して人体実験を進めている?


2007年11月20日 火曜日

NHK特別番組より 米国は遺伝子組み換え作物を売る。

アメリカは食料の安定供給を保証しない。


コーン由来のバイオエタノール利用のまやかし 10月15日 ドイツタロウのD通信

本日のIZAの記事によるとコーン由来のバイオエタノールの先行きが不透明とのことである。私は最初からこれはうまくいかないと思っていた。どうしてかというとこのプロジェクトの動機がまったく不純だからである。そもそもバイオエタノールの原料となるのは,日本で盛んに開発している木屑や廃棄された有機物を有効に利用して初めてCO2の削減に対して、有効に利用できるのであり、食用や飼料として活用できる貴重な食料資源をこのようなところに利用することはまさしく本末転倒であるからである。どうしてアメリカの政権はこのような簡単な事も分からないのであろうか、また同盟国の日本は反論ひとつせず従順にこの政策に従い、受け入れているのであろうか?

私は以前の会社で農薬をやっていたので、ことの背景はすぐに分かった、即ちアメリカの大手農薬会社にモンサント社という会社があるが、この会社は自社の製品としてラウンドアップという除草剤を持っている、この除草剤は非選択性、即ちどんな草や作物を含めてすべての植物を殺草する機能を有しており、日本でも農耕地で収穫後の後処理などで幅広く使われている大型薬剤である。

しかしながらこの農薬の歴史は古くすでに西暦2000年前にそのすべての特許が切れており、世界的に中国よりの模造品が大量に出回っている。当方が現役であったとき、モンサント社はいろいろと特許論争を中国の製造メーカーに挑み自社製品の独占販売体制を維持しようと努めて来たが、結局そのいずれもがたいした成果を収めることが出来ず、中国品の台頭を許してきた。今日ではホームセンターの,園芸コーナーでグリホセートという農薬名でラウンドアップと並べられて販売しているのがまさしく中国製の模造品である。

ところがその後アメリカの政権がブッシュ政権となり、ロックフェラーなどのユダヤ系の企業との関係が強化されると同社の販売戦略は大きな転機を迎える、その転機とは20世紀後半に開発されたGMO(遺伝子組み換え)技術を利用して、このラウンドアップに抵抗性がある(散布してもかれることの無い)コーン、大豆や綿花、また米などが開発されたのである。モンサントはこの事実を正面から受け入れ、それらの技術をもつ複数の種苗会社を自社の子会社として買収し、農薬を売るのではなく、ランウンドアップに抵抗性のある種子を大量に販売することで金儲けをたくらんだである。

このことはまさしく、自然に交配され育種されることで人間の体に安全である有用な作物を自社の農薬の販売のために強引に、遺伝子組み替え技術で改造することであり、これは神をも恐れぬ行為であると感じた。しかしながら同社は皆が認める十分な安全性試験をすることなく、簡単な試験により人体に安全として認定させこれを強引に世界の市場に売り込んでいる。

またアメリカの新資本主義者はグローバルスタンダートの美名の下にアメリカの決定はすべてが正しく、他の世界の各国はこれを無条件で受け入れるべきとのことで、政治的、経済的圧力を掛けることで受け入れ圧力をかけている。

ここでもう一度確認しておくが、GMO種子の販売は対象作物の増収といった美名の下に、ラウンドアップといった限定された条件下でしか使えない種子を強引にかつ独占的に供給する極めて唯我独尊的な行為であり、そのために農家は奴隷のごとく従属させられまた我々消費者は、実態のつかめないGMO作物の食べなければならないといった脅威にさらされているのである。

この過程をつぶさに見てみると今でも大きな問題となっているBSE問題とあい通じるものがある、牛肉の増収を図るために肉牛に共食いとなる肉骨粉を飼料として与え、その上に成長ホルモンを可能な限り大量に使用し、出来る限り短期間に大きくさせ、潜在的なBSEが発症する前に出荷する現在の米国のやり方と同じである。因みに米国は牛の肉骨粉の牛への使用は法律で禁止されているが、他の家畜への利用は認めている。即ち米国内では農家は自由に肉骨粉の購入は可能であり、これが農家の判断で肉牛に使用されていることはありえないことではない。

以上だが、ここで問題となるのは、米国の掲げる政策は常に一部の金持ちをもっと金持ちにさせることを目標としており、それ以外についは同国民も含めて、海外の国の便宜は一切考えないというものであるのである。仮にその問題点に同国民が、疑問をもっても今の政治の仕組みは似通った共和・民主党しか選択の余地はなく、したがい結果としてどちらが勝っても米国の唯我独尊体制は変わらないのである。これは致命的な構造的欠陥である。

日本に至っては、これらの牛肉やGMO種子についての疑念の一般社会への情報開示を政府がマスコミを指導して抑えることで、極めて限られた情報しか入手できない、ここ欧州に住んでいると米国の牛肉やGMO食品は一律輸入禁止となっているのにもかかわらず、日本はなぜと率直に疑問に思う。

またマクドナルドが米国牛を使用していない事実をご存知であろうか、賢明な牛丼チェーンの一部も絶対に米国産牛肉を使わないことを宣言していることをご存知であろうか?またアメリカ政府がどのくらいAussieビーフを輸入しているかは発表が無いので定かではないですが、きっとブッシュ大統領やその側近また農務庁の高官などは、きっとAussieビーフ指定で牛肉を食べていると推測している。

米国はかつて原爆の威力を実証するために広島、長崎に投下して日本人を利用して人体実験をした。同じようにGMOの種子やBSEの汚染の疑いがある牛肉を強引に供給して、ひそかに日本人に対して人体実験を進め、いつコロイツヤコブ病が発生するのかを待っているというのが今の米国のスタンスではないかと思う?

またObentoなどといって、格安の駅弁が出回っているが、これもGMOライスで作られている可能性もある。結果として我々の子供の代や孫の代で得体の知れない奇形が発生する覚悟をしなくてはならないと思う。せっかく苦労した作り上げた我々の幸せをこのようなことで失わないように、しっかりとしなくてはいけないと思う。我々はそろそろこの現実にもたらされている拝金主義の災禍に対して、しかるべき防衛策をとるべきである。

さてここまで書けば賢明な読者の方にはお分かりであろうが、今回のコーン・バイオエタノール普及という米国政府の政策の背景には、一定の土地で増収が期待できるGMOコーン種子の販売を後押しする政策であったことが分かる。またこの会社の重役には前国防長官のラムズフェルド氏であることも、この疑いを増大させている。モンサント社にとって現在の穀物の値上がりはGMOコーン種子を普及するにもっとも都合の良い状況なのである。


アメリカを信頼しすぎると裏切られる。

アメリカの農家は遺伝子組み換え作物に切り替えて売る。


(私のコメント)
NHKの特別番組で「ファンドマネーが食を操る」をやっていましたが、ガソリン価格の高騰がエタノールの精製のためにとうもろこしが使われるために高騰している。そこにファンドマネーが介入して、とうもろこし価格が投機的に吊り上げられている。アメリカのとうもろこし農家の収入が倍増している。

従来から日本の商社から契約栽培してきた農家も、とうもろこし価格の高騰で近所に出来たエタノール工場に直接売ってしまって、日本の商社は悲鳴を上げている。アメリカ人とビジネスするときは義理人情は通用しないから、少しでも高いところがあればそちらに転売してしまう。

日本はアメリカに食料やエネルギーの安定供給を頼りきっていますが、最近のエタノール騒動を見るとアメリカがいかに信頼できないかが分かります。安全保障の面でも同じでありアメリカの都合が悪くなれば日本との同盟を捨てて中国に味方するかもしれない。大東亜戦争はその実例だ。

親米ポチ保守派のアメリカへの信頼は宗教的信仰に近いものがありますが、どうして日本人はリアリズムに徹した外交が出来ないのだろうか? NHKでは大河ドラマで風林火山を放送していますが、戦国時代の日本人は親子兄弟も信頼せずリアリズムに徹した外交をして、諜略を用いて敵を攻略して来た。

しかし現在の日本はアメリカを全面的に信頼して外交も防衛もアメリカに任せきりにしている。戦国時代にそんな事をする国があればすぐに乗っ取られてしまった。堺の町人達ですら自力で防衛していた。そのような歴史的教訓があるにもかかわらず非武装中立的非現実外交を主張する人もいれば、アメリカと組んでいれば大丈夫というおめでたい人もいる。

戦国時代的感覚からいえば、日本に正式な国軍もなく秘密諜報部もないのは独立国の体をなしていないのですが、それだけ日米安保を全面的に信用させられているからだ。しかし北朝鮮や中国から核ミサイルが飛んできた時、アメリカは全面核戦争を覚悟してまで反撃はしてくれないだろう。

食糧安保やエネルギー安保もアメリカに頼りっきりですが、信頼するしないの問題ではなく、自立した外交や自立した国防をとるようにしないとアメリカに裏切られるのは必定だ。戦国的感覚から言えば同盟国を裏切り敵と手を組む事など日常茶飯事の事だった。

今まではアメリカが圧倒的な軍事力と経済力を保有していたからアメリカと組む事は常識であったのですが、アメリカの国力に陰りが出てきた以上は日本も新たなる戦略を練ることは常識だ。しかし日本人の多くは新たな状況に対する認識もなければ新たな戦略を考えることもない。

「ファンドマネーが食を操る」では表面的な出来事しか報道できませんが、アメリカの大手農薬会社のモンサントの恐ろしい陰謀については何も触れてはいない。遺伝子組み換えい作物に関してもエタノール用とうもろこしなどで触れられているのみであり、本当の遺伝子組み換え作物の危険性については触れられていない。

エタノールを作るためにとうもろこしなどの食用作物を使うことは邪道であり馬鹿げた事であり、エタノールは食料ではなく木屑などを使用したセルロース系のエタノールを作るべきなのだ。しかしエタノールは金属を腐食させやすいといった欠点もあり、輸送などに大きなコストがかかる。


陰り見えたコーン・エタノール 渡辺浩生 10月15日

10月1日、米大手エタノールメーカー、ヴェラサン・エナジー社がインディアナ州に計画中の年産1億1000万ガロンの工場の建設停止を発表した。

 エタノール価格が5月から3割以上も落ち込み、収益環境が悪化したからだ。

 1月、ブッシュ政権は、2017年までにエタノールなど代替燃料を年間350億ガロン生産する目標を掲げた。政権挙げての旗振りに、工場はトウモロコシ産地の中西部を中心に、現在119カ所、86カ所が建設中だ。生産能力は昨年時点で48億ガロンだったが、今年は78億ガロンに拡大する。

 しかし、できあがったエタノールを消費量の多い東部、西部の沿岸部に運ぶのが一苦労なのだ。「腐食性が強く、既存の燃料パイプライン網では輸送できない」(米紙ニューヨーク・タイムズ)盲点があるからで、トラック、列車、船など高コストの輸送手段に頼らざるを得ない。石油もたっぷり消費される。流通インフラの未整備で需要が追いつかず、新設投資に急ブレーキがかかっている。

 「逆風」はまだある。全米科学アカデミー傘下の米国学術研究会議(NRC)は、トウモロコシ・エタノールの生産拡大が一部地域に深刻な水不足を招くという報告書を今月10日発表した。

 肥料の窒素成分が河川へ出し、酸素欠乏で海洋生物の生態系を破壊する危険も指摘。食料に依存せず、木くずなど食物繊維を原料としたセルロース系エタノールの開発を急ぐよう提言した。NRCは連邦政府や議会に科学的問題の助言を行う機関であり、政権に、計画見直しを促しているに等しい。


(私のコメント)
このようなエタノールの欠陥はNHKの番組でも触れられていなかった。作られたエタノールを専用タンク貨車で運んでいた理由がそれで分かった。さらに遺伝子組み換え作物で作られるようになると食用へは転用できず、農地は強力な農薬とそれに耐えられるGMO種子の作物に限られてしまう。つまりモンサントの子会社の提供する種子でしか育たなくなったしまうのだ。

アメリカ政府はエタノール生成の為と言って様々な補助金を出していますが、そのような企業にはラムズフェルドなどの元政府高官が重役に成っている。日本はアメリカの保護国であるがためにグローバルスタンダードと称して様々な規制撤廃を命じてきていますが、狂牛病の恐れのある牛肉や遺伝子組み換え作物などを売りつけて日本人を人体実験の代わりにしているのだ。

以前の株式日記でアメリカでミツバチがいなくなったことを書きましたが、原因としては遺伝子組み換え作物の花の蜜が影響してミツバチが死滅してしまったようだ。人間が遺伝子組み換え作物を食べた場合にもどのような影響が出るのかまだ研究されていない。

気がついたときはGMO作物によって日本人が死滅する可能性すらあるのだ。中国からは農薬入り野菜を売りつけられ、アメリカからは遺伝子組み換え大豆やコーンが混入したものを日本人は食べている。アメリカの農家は金になりさえすればどんなことでもするだろう。




王様と大統領 サウジと米国、白熱の攻防』 レイチェル ブロンソン:著
米国の最も緊密だった友好国の間ではここ十年間反米主義が顕著だ。


2007年11月19日 月曜日

王様と大統領 サウジと米国、白熱の攻防. レイチェル ブロンソン:著

米国とサウジアラビアとの関係については、これまで「安全保障と石油」の基本的な交換、という性格づけが一般になされてきた。一九七〇年代の半ば以降、サウジアラビアは常に手ごろな価格で、石油の供給を保証してきた。

米国にとっては危機の際に、石油を市場に迅速に供給できるというサウジの能力はこの国と良好な関係を維持することによるもっとも明白な利益だった。たとえば九月十一日の爆破テロの直後に、サウジは石油の価格を安定させるために、米国向けの供給を増加した。

また二〇〇三年に「イラクの自由」作戦が開始される直前には、石油生産を拡大して米国を支援した。ベネズエラとナイジェリアでの政治的な混乱によって、石油価格が劇的な値上がりをするのでは、とまさに懸念されていたときだった。

これと引き換えに米国は、サウジの指導者に、領土保全の保証をも含めた安全保障の傘を提供した。米国は一九五〇年以来、王国を対外的な脅威(時とともにそれはソ連・イエメン・エジプト・イラン・イラクと推移したが)から防衛すると、はっきりと明示的に誓約してきた。

この誓約は、一九七九年のイランのシャー(国王)の没落後には、今日のアル・カーイダなどをも含めた、国内での様々な挑戦に直面するサウジの政治体制そのものへの黙示的な支援へと進展した。

しかし「石油対防衛」という概念は、米国とサウジアラビアとの関係についての、説得カある説明ではあるが、それを強調しすぎると、サウジの歴代国王と米国政府を、ともに駆り立ててきた、両国の共通する戦略的な利益を、無視することになる。

米・サウジ関係の一つの重要な側面は、しばしば見過ごされてきたことだが、実はソ連との戦いにおける共通した利害にあった。「神を信じない共産主義」と戦う米国にとって、宗教的にコミットしたサウジほど、パートナーとしてふさわしい国家が、ほかにあっただろうか? 

歴代のサウド王家の指導者たちも、無神論的なソ連と、社会主義を掲げる中東地域での、イデオロギー的なソ連の代理諸国からの脅威に対して、米国と同様の懸念を抱いていた。彼らのこの懸念は一族の国内的な正当性が、宗教的な聖職者たちとの長年の盟約に基づいている、という事実に由来するものであった。

ソ運のグローバルな影響力の拡大に対する米国とサウジの両国の恐怖心は、それぞれの宗教的かつ戦略的な現実を反映したものであり、それが、「石油と防衛」の利益を包み込む根拠を提供した。そして同時にそれは、一方で今日中東を燃え上がらせている一つの負の遺産をも生み出した。

相互の原理的な相違にもかかわらず、サウジアラビアと米国は最近の歴史を通じて、地政学的な戦略上の利害を共有し、それが双方の指導者たちを結びつけてきた。

米国は一九六〇年代に、サウジアラビアを支援し、ソ連の援助を受けるエジプトと対抗した。エジプトはイェメンでの代理戦争の最中に、サウジの領土を繰り返し爆撃した。一九八○年から八八年にかけてのイラン・イラク戦争に際しては、米国とサウジはともに協力して、イランの影響力の拡大を牽制した。

最も重要であったのは、米国にとってサウジは、冷戦の期間中ずっと、軍事的なアクセス、資金的な援助、そして政治的な支援を恒常的に依存できる、中東諸国のなかの数少ない国の一つだった、という事実だ。しかもサウジは、エジプトやイラクなどの近隣の多くの国々がそうであったように、ソ連に二股をかけて米国と競わせるようなことを、ほとんどしなかった。

サウジは三十年以上にわたって、反共主義の保守的な政権と、社会主義政権に対する反政府勢力の反乱を積極的に支援して、中央アジアから中米にかけての政治に大きな影響を与えた。

しかしサウジの政治的な支援は、実は一方でその宗教的な宣教と一体をなすものであった。サウジの援助にはモスク(イスラム教寺院)、マドラサ(宗教学校)、それに地方の聖職者をサウジの厳格な宗教大学に留学させての宗教教育が、付随していた。

両国の外交官たちが、常に強調した神話とは異なり、両国問の関係は必ずしも、スムーズなものではなかった。米国とサウジアラビアは、アラブ・イスラェル紛争をめぐって、繰り返し鋭く対立した。

サウジの指導者と市民たちは、ほかの国のアラブ人たちと同様に、一般的に米国のイスラエルヘの「不変の」支援に怒りを露にした。二〇〇一年のテロリスト攻撃から二か月も経たないとき、サウジアラビアの外相サウド・アル.ファイサルは、アラブ・イスラエル紛争に対するブッシュ政権の政策を「正気な者をも狂気に追いやる」と非難する発言をした。

他方、米国人がサウジを考えるときは、ハマス(訳者注・パレスチナ自治区のイスラム政治組織)のような最も過激な反イスラエル勢力に、巨額の財政援助を行なう国家を、思い浮かべるのが常だ。

米国のサウジに対する主要な兵器の売却は、最近では多くの場合、ホワイトハウスの外でこれに反対するデモを呼び起こし、デモの参加者たちはサウジによる反イスラェル勢力への財政援助に抗議するプラカードを掲げるのが常だった。

しかしながらこの厄介な分野においてさえ、両国の政府は長年の問に一般に認識されている以上に、より含みのある微妙な一連の政策を追求してきた。米国政府はしばしば、イスラエルヘの財政的な援助を留保し、また紛争当事者たちをメリーランド州のキャンプデーヴィッド(米国の大統領の別荘)に集め、あるいは最近の例では、パレスチナ国家の樹立を呼びかけるなどして、平和的な解決を強く推進する姿勢を示した。

サウジはその財政的なカを挺子に、エジプトによる激しいイスラエル非難の言論を(とくに一九六七年以降には)緩和させるとともに、シリアに対してもその非妥協的な対外政策を軟化させ、さらにはイスラエルの国家承認を示唆する提案さえ、(期待されたほどの明確さはなかったものの)二度にわたって行なった。

サウジの故ファハド国王は、王国のその時々の意図、目的に関わりなく、二〇〇五年までのフォード大統領以降の歴代の大統領に、当事国さえ同意するのであれば、二つの独立国家という解決案を支持する、と秘かに伝えた。

一九八一年には公式に、いわゆる「ファハド提案」を行ない、そこで「地域のすべての国家は平和のうちに存続すべきである」との、論議を呼ぶ(少なくともサウジ国内では)主張を展開した。

しかしサウジは、たとえイスラエルとパレスチナとの和平の実現のためであっても、サウド王家の利益は決して犠牲にしない、とする決意をいささかも揺るがさなかった。

二〇〇一年九月十一日の出来事は、米・サウジアラビア関係のあり方に一連の強い非難と深刻な疑問を呼び起こしたが、両国間の関係は実際には、これに先立つ十年以上も前から次第に悪化の一途をたどっていた。

あるサウジ人の著名な実業家は、事件の直後に私宛のeメールで、事件は民衆の怒りの激発であり、「起きるべくして起きた一つの事件だ」と痛烈に指摘した。冷戦の終結後、両国間の関係の基本的な支柱は、グローバルな現実世界の変容とともに弱体化していた。

にもかかわらず両国の政府指導者たちは、あたかも飛行機のパイロットが自動操縦に飛行を委ねるように、関係の再構築を忘れて、成り行き任せにしていた。二十一世紀の初めに噴出した、サウジアラビアと米国との間の激しい感情の対立はまさに、九月十一日のテロ事件の直接的な結果である。

しかしながら米・サウジ間の離間の始まりは、ベルリンの壁が崩壊した一九八九年十一月に、その根源を求めることができる。(P18〜P21)


しかし本題に入る前に、両国の関係の背後で現在展開されている、より大きな文脈にまず検討を加える必要があろう。

米国の対外政策の推進を、過去五十年問にわたって支援してきた同盟関係の多くが、現在悪化の一途をたどっている。米国の最も緊密だった友好国の間では、ここ十年間、反米主義が顕著だ。米国と欧州のパートナー諸国との、決定的に重要な連携関係について、誰でもよいから訊ねてみればそれは明らかだろう。

最近のライス国務長官による、欧州の指導者への熱い働きかけにもかかわらず、米国への憤りと苛立ち、そして信頼感の喪失はまさに驚くばかりだ。

「ピュー・グローバル調査計画」がまとめた二〇〇五年の報告書によれば「調査対象となった欧州人のほとんどが、安全保障と外交問題で米国とは一線を画する、より独立した政策の採用を欲している」とされ、また「米国に対する評価は、英国とカナダを除き、ほとんどの米国の伝統的な同盟諸国の間で、引き続き下落傾向にある」という。

国防長官ドナルド・H・ラムズフェルド(訳者注・二〇〇六年十二月辞任)は、フランスとドイツを「古い欧州」と表現したが、これがすでにギクシャクしていた両国との関係を、さらに波立たせることとなった。

二〇〇二年の選挙運動に際して、ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相(当時)が、反米的な選挙綱領を掲げて遊説し、再当選を果したことは、よく知られた事実である。首相は彼自身とドイツの外交使節団の利益を無視して、たとえ国連安全保障理事会の決議があっても、イラクとの闘いで米国と行動を共にすることはない、とまで公言した。

ドイツは、対イラク戦争が始まる直前の国連安全保障理事会の議長国だった。また長年にわたって、米国の信頼できるパートナーと見なされてきた韓国でも、状況は同じである。

二〇〇二年十二月、数十万人の韓国人が米国に抗議する街頭デモを展開した。これは二人の十四歳の韓国人少女を、装甲車で死亡させた二人の軍人が、裁判で無罪とされたことに対する抗議であり、また米国の北朝鮮政策に反対するデモでもあった。

韓国の専門家たちも指摘するように、そのような抗議デモは、何もこれが初めてというわけではなかったが、韓国のデモがドイツやサウジアラビアでの抗議と時期を同じくした事実は、多くの米国の伝統的な同盟諸国で、対米関係に極めて深刻な問題が起きていることを、はっきりと示唆した。

ジョージ.W.ブッシュの政権が、国際的な緊張を増大させたのは間違いないが、緊張自体は彼らのもたらしたものでは決してない。反米主義の高まりは、冷戦の終結以来のことである。

この高まりはたしかに部分的には、米国の問題の多い政策に由来するものではあるのだが、同時にそれはソ連の崩壊に由来するものでもあった。

今日、米国は何かをすれば、したことで非難され、何もしなければしないといって叩かれる。米国はチェチェン紛争に介入しない、と非難されているが、イラクに対しては侵攻した、と罵倒されている。

民主主義と人権の普及に、十分な努力をしていないと批判される一方で、エジプトやクウェートで少しでもそうした政策を推進すると、強い反発を受ける。

私は一九九〇年代の末に、ペルシア湾に接するアラブの小国で、スピーチをしたり、インタビューに応じたりしたことがある。その際私は、失意の表情を隠さない聴衆たちから「米国は一体、いつになったら世界で極悪のモンスターの一人、すなわちサッダム・フセインをやっつけるつもりなのか」と繰り返し厳しく追及された。

ところが二〇〇三年にブッシュ政権がようやく、サッダムを打倒したときには、サッダムの政権がいかに破壊的で、地域の不安定要因であるかを、われわれ以上に直接に、よく知っているはずの近隣の国々においてさえ、民衆は米国への支持をほとんど示さなかった。

人々が米国の介入を欲していたのは、裏庭で実際にそれが強行されるまでのことでしかなかった。冷戦下で正当化された米国の対外関係の多くは、いまや誰からも支持されなくなっている。

今日米国の政策決定者たちは、どの関係を維持し、またどのようにそれを維持すべきか、について新たな決定を迫られている。したがって、米国とサウジアラビアとの関係の、これまでの物語とそのこれからの展望は、両国間の関係を冷戦後の世界、とりわけ「九月十一日後」の世界で、いかに理解し、再編すべきか、についての物語に他ならない。 (P32〜P34)



(私のコメント)
昨日の株式日記で、アメリカにとっての最重要同盟国はサウジアラビアと日本だと書きましたが、事実日本とサウジアラビアでは対米外交では共通点が多いと思う。しかし冷戦崩壊後の関係で、アメリカは露骨にエゴイズムをむき出しにして自分勝手な行動を取るようになり、サウジアラビアも日本も反米感情が出始めてきている。

レイチェル・ブロンソンはアメリカの外交専門家ですが、サウジアラビアとアメリカとの外交的亀裂を『王さまと大統領』で指摘している。いわばアメリカ側から見た対サウジアラビア外交ですが、石油の供給や中東の和平に対する努力にもかかわらず、アメリカのサウジアラビアに対する評価は低いようだ。

アメリカにおいてはイスラエルロビーが大きな影響力を持ち、アメリカにおける反イスラム感情が大きく影響しているように思える。アメリカ政府や特に共和党保守本流とサウジアラビアの結びつきは特に強固なものがあり、ブッシュ家とビンラディン家との関係はテロ事件で有名になった。

アメリカとイスラエルとの関係は冷戦時代は反共産主義の拠点という意味がありましたが、冷戦崩壊後は周囲のイスラム諸国とのゴタゴタでアメリカのお荷物になりましたが、アメリカ国内に浸透したイスラエルロビーは連邦議会を初めとしてほとんどをイスラエル派にして親イスラムよりの連邦議会議員は数えるほどしかいなくなった。

それに対してサウジアラビアなどの石油大国は経済力があり、イスラエルのような議会工作などはあまりやっては来なかった。アメリカは世界最大の石油輸入大国でありサウジアラビアの重要性は素人でも分かる関係なのですが、あまりのイスラエルよりの外交はサウジアラビアにとっても不信感をもたらすものだろう。

アメリカにとってサウジアラビアと日本は安全保障と経済面での結びつきが大きくて、経済面ではアメリカに多くの輸出と溜まったドルの還流などでアメリカに貢献してきた。しかし冷戦の崩壊は安全保障でのアメリカの存在価値を低めるものであり、多くの親米国家がアメリカ離れを起こした。

さらに9・11テロ事件は、アメリカがいかに世界から嫌われているかを思い知らされる事件でしたが、テロリストの多くがサウジアラビア人だった。このテロ事件によってアメリカ人のサウジアラビアへの感情は決定的に悪くなり、サウジアラビアの王族も危機感を持つほどになった。

サウジアラビアにとっても日本にとってもアメリカは重要な同盟国であり、アメリカも同じような認識を持っていると思いがちですが、アメリカ人のサウジアラビアや日本に対する感情はほとんど無関心に近い。もしサウジアラビアがアメリカへの石油の輸出を止めるとか、日本もドルの買い支えを止めるとか言えばアメリカにとっては致命傷になるにもかかわらず関心は薄い。

空気や水のように必要不可欠なものほど関心が薄いと言うのと同じなのだろう。 日本の戦略的重要性もアメリカ人のほとんどは認識していないようだ。日本がアメリカ離れするとは誰も考えていないからなのでしょうが、冷戦崩壊後におけるアメリカのジャパンバッシングは長引く経済低迷の元になり反米感情が出てきている。

サウジアラビアは石油とドルとをリンクさせる事でドルを支えていますが、湾岸諸国には値下がり続けるドルとのリンクを外そうと言う動きが見られる。それもサウジアラビアしだいなのですが、アメリカのサウジアラビアへの認識の低さは対立感情を芽生えさせてやがては対立へとなりかねない危険性を持っている。

日本もサウジアラビアもアメリカへの協力的態度は評価されるべきものですが、冷戦崩壊後のアメリカの不遜な態度は多くの敵を産んだ。特にイラク戦争後のアメリカへの反感はあまり認識していないようだ。むしろなぜアメリカ人はそんなに反感をもたれるのか不思議に思っているふしもある。

アメリカは世界の警察官を自負して様々な国際紛争に首を突っ込んできた。それも反感をもたれる原因の一つですが、世界でダントツの軍事力を持っている以上は調停役を押し付けられるのは仕方がない。日本は憲法で軍事力を持たないと言う事で国際貢献を逃れてきましたが、それだからこそアメリカからも諸外国からも無視される存在になる。サウジアラビアも石油大国ではあっても軍事大国ではない。

アメリカがイラクにのめり込んで国力を消耗して、国内に引き篭もってしまったらサウジアラビアや日本などの経済大国は、アメリカの傘を失い独力で守らなければならなくなる。しかしサウジアラビアは人口的に軍事大国にはなりえない。中東は世界の火薬庫でアフガンからイラクへと広がりイランやサウジアラビアにも飛び火するかもしれない。

その場合、アメリカはサウジアラビアを守りきれるのだろうか? イラクの状況を見てもサウジの国民が反政府で動いた場合、アメリカは介入できるのだろうか? サウジの過激派は王政に敵意を持ているしアメリカにも敵意を持っている。そしてサウジが内乱や戦乱に巻き込まれたら世界に多くな影響をもたらす。それに比べると日本はなんと気楽な立場なのだろうか? 

『王様と大統領』は読み始めたばかりですが、アメリカとサウジアラビアの関係は日本にとっても重要だ。インド洋での給油活動もオイルロードを守る為にはやむをえない事だ。しかし日本は全てアメリカ任せにして国際貢献を逃れている。金ばかり溜め込んで何もしない国はアメリカにバカにされても仕方がないのだろう。


サウジアラビア閣僚、ドル崩壊警告 11月19日 今日の覚書、集めてみました

The dollar could collapse if Opec officially admits considering changing the pricing of oil into alternative currencies such as the euro, the Saudi Arabian foreign minister has warned

OPECは石油価格をユーロのような別の通貨建に変更することを検討している。
そう公式に認めれば、ドルは崩壊するかもしれない。(後略)


(アメリカはサウジアラビアと日本に見捨てられればおしまいだ。)




右翼も左翼も、アメリカは日本から出て行けと言い、中立の人たちも、
アメリカの言いなりになるな、と言う。これはもう、国民の総意とも言える


2007年11月18日 日曜日

独立宣言 10月25日 幸か不幸か専業主婦

以前、NHK「日本のこれから」(憲法9条について)番組編成のためアンケートを募集していると舎亜歴さんに教えていただき、回答して送ったら、NHKの方から連絡をいただいた。
番組出演はできないが、という前提でしばらくお話をしたが、アンケートの最後の「あなたの憲法9条に対するお考えをお書きください」に対する私の回答に興味を持ってくださったようだった。

「憲法9条を持っているだけで世界が平和になるわけでないことはわかるのですが、一方で、9条をそのまま持ち続けて、今までどおり自衛隊海外派遣に際してごたごたを未来にわたって続けていったとしても日本の国益としてはあまり変わらないのかな、という気はします。
しかし、問題はそういうあいまいな国家に生まれ育つ子供たちの精神の支柱のようなものがどうなるのかということだと思います。
個人は共同体である国家の一員である、ということ、そして日本という国も国際社会という共同体の一員である、ということを自覚し、世界に向かってあいまいでない態度を取れることがこれからの子供たちに求められるのではないかと思います。」

と、このようなことを書いたのだ。

番組スタッフは、この「子供たち」というキーワードについて詳しく聞きたい、ということだったので、

「態度のはっきりしないふわふわした国に育つ子供たちというのはいったいどういうことになるのか。家庭内で、あるいは国の中だけで国内の道徳だけ教えていれば人作りはそれで済む、という話ではないと思う」というようなことを説明した。

つまり、国が自主性を持たないと、日本を担うことになる子供たちが大人になってもやっぱり国際協力に関してああでもないこうでもないと繰り返し続けるだけではないか、それは国際社会の一員として発言力を持たないというに等しい、ということだ。

山本大成さんはこういう記事をお書きになった。→「米軍は何故、日本に駐留しているのか?」  
私はもっともなことだと思う。
改憲しなければならないのか、それとも解釈でなんとかできるのか、細かい論議は私にはわからないが、国防のシステムをはっきりさせておくことは重要だ。

「世界平和」を訴えるのは正しいことである。
ただし、それは、「憲法9条を守りましょう」などと言ってるだけでは実現しないことを知るべきだ。

金だけはあるがポリシーのはっきりしない日本のようなあいまいな国の言うことを誰が聞くものか。
しかも金の力だってちかごろはおぼつかない。

日本が世界平和を全世界に訴えるならば、まず、強くなることを考えるべきではないのか。発言に重みがあってこそ、世界は注目する。もういい加減に「唯一の被爆国」というお題目だけで世界は動かないことを知る時ではないか。

本気で世界平和を訴えたいならば、国連を乗っ取るぐらいの意気込みでやったらどうなんだ。

軍事大国になることは日本にはできないだろうし、ならなくてもいいと思うが、せめて、他国と同じように汗を流すことができるようにするべきだし、アメリカに対してものが言えるようになるくらいにしなければいけない。

山本大成さんは仰る。
「現状のシステムでは、私たち日本人の知らないところで決断が行われた戦争の片棒を知らず知らずのうちに担がされてしまう状況なわけです。」
「なによりも米国が勝手に起こす戦争にもの申せる立場を確保せねばなりません。」

私は普段から、このままアメリカに追従でも、憲法改正して自主性を持ってもどっちでもいい、と言っている。そして、それは個人としては本心なのではあるが、もし、自主独立の姿勢をはっきりと示すリーダーが現れたら、迷わずその人を応援する。それはこれからの日本人のためだからである。

世界の中の日本をしっかりとさせるということは、これから日本を背負って立つ子供たちの背骨をしっかりと育てるということでもあるはずだ。

外交というものは態度をはっきりさせれば済むというものではもちろんないと思う。時にはあいまいさも戦略として立派に成立するものだろう。よく知らないけど。
しかし、基礎のしっかりしていない家が外からの力で容易に崩れるように、土台があいまいな国家では外圧に耐えられない。

それがわからない人が、いつまでも日本をあいまいな国にしておいて東アジアの片隅で「憲法9条」「憲法9条」とさえずっているつもりなのだろう。

右翼も左翼も、アメリカは日本から出て行けと言い、中立の人たちも、アメリカの言いなりになるな、と言う。これはもう、国民の総意とも言えるので、事を運ぶのは簡単ではないか。

国を構築し直すということは、結果的に強くなり豊かになるということにつながるが、ただし、アメリカと距離を置くということは、すなわち、試練も伴うということでもあると思う。
豊かさを保ちつつ、毅然とする、ということを日本は今まで経験したことがあるのだろうか。

たぶん、辛い時代を乗り越えなければならないのではないか。
追従を続けて目先の楽チンを選ぶか、試練に耐えて未来の栄光を勝ち取るのか、そういうことではないのだろうか。
若い人に頑張ってほしい。よく勉強して力をつけてほしい。
そして、立派な政治家立派な官僚になっておくれ。
普通の国民は、国防のことも国際協力のことも本当は何もわからないのだ。
しっかりとした政府がうまくやってくれて、安定すれば、国民は幸せでいられるのだ。
政府が嘘をつこうが何しようが国民は安心してだまされて、幸せでいられるのだ。

・・・・・なんのことはない、これでは堂々めぐりではないか。

国民が本当のことを知って民意で国が運営されるというのが民主主義というものだと思うが、この国で(いや、どこの国でも)民主主義が機能するはずだなどというのは単なる幻想なのかもしれない。

思えば、防衛がらみの汚職、密約、機密漏えいなど、それらは正義を追及するだけで済む問題ではないのかもしれない。
それでも、国民は嘘つきの政府は許せないのだ。少なくとも対米外交においては。説明責任を追及せずにはいられないのである。

こちらを読んで嘘つきも辛いのだなあと思った。 いやなにも私は「国益について国民に説明のない今の日本の状態こそが、国民の『知らずにいる幸せ』だ」との喩え話だなんて言ってませんよ。言ってない言ってない。

試練の自立か、奴隷の幸せか。

しかし、選択はその二つだけではない。
試練を乗り越えた先の充足感があるはず、と思う。

何より重要なのは自主独立の精神だ・・・・ね?



(私のコメント)
アメリカのトランスフォーメーション戦略と言うのは米軍基地を前方展開するのは止めて、アメリカ本土から機動的な部隊を必要に応じて派遣することであり、日本にある米軍基地は中継基地程度に縮小してもいいのではないかと思う。沖縄に駐留する海兵隊部隊もグアムに移転するのもその一環ですが、中国や朝鮮半島に近すぎるのだ。

日本にある米軍基地が中継基地で済むのならば那覇空港と佐世保港の二つくらいでいいのではないかと思う。あと100ヶ所前後ある米軍基地は自衛隊や民間に返却してもかまわないのではないかと思う。以前のアメリカ政府なら北朝鮮を敵性テロ国家にして米軍の必要性をアピールするはずですが、アメリカは北朝鮮と国交回復まで視野に入れて敵性国家とはしないようだ。ならば在日米軍の必要性はなくなる。

すでに冷戦体制が終わり、ソ連の核の脅威がなくなった以上は在日米軍の必要性は無くなったのですが、17年たった現在も米軍基地は縮小もされていない。これは日本を守る為というよりも占領政策を続けるためのものであり、日米安保がある限り日本の真の独立は無いということではないだろうか?

そう思われるほど、政治家と官僚とマスコミによるアメリカ依存が続いている。昨日も書いたように外交と防衛をアメリカに任せきりにしているから、日本の政治家と官僚は職務よりも自己の利権の拡大と自己の蓄財に一生懸命になるのであり、国民も難しい外交や防衛問題を考えずに済んできた。これは一種の愚民化政策である。

しかしアメリカもソ連の崩壊で日本を保護する必要はなくなり、露骨に日本からミカジメ料を取るようになり、毎年6000億円の思いやり予算や7000億円のグアムへの移転費用を要求するようになった。経済でも制裁をちらつかせながら過剰な要求を突きつけてくるようになり、それが日本の失われた10年の元になっている。

日本の政治家や官僚はアメリカにNOと言うことは許されず、冷戦時代の善意のアメリカを信じているままだ。しかし現実には11月11日に書いたように「クリントン大統領は中国と協力して日本を経済的な二流国家におとしめようと考えた」のだ。アメリカにとって中国は味方であり日本は敵なのだ。

ブッシュ政権に代わってジャパンバッシングは収まりましたが、2009年からのヒラリー政権では再びジャパンバッシングが再開されるだろう。それに対して日本はどう対応すべきなのだろうか? 日米同盟が日本にとってマイナスなら日米同盟を解消することも視野のうちに入れておくことも考えておくべきだろう。

アメリカにとっても日本と同盟するよりも中国と同盟した方が国益になると考える勢力が増えてきたようだ。その代表がクリントン夫妻であり最近の外交論文でもはっきりと中国重視を明言している。確かに軍事面で見れば日本の重要性はあるが、経済面で見ればアメリカにとって日本よりも中国のほうが重要なのだ。

日本にとってアメリカは最大貿易相手国でしたが、最近になって中国が最大貿易相手国になった。


中国、最大の貿易相手国に 2007年4月25日  読売新聞

<財務省が25日発表した2006年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、中国(香港を除く)との貿易額(輸出額と輸入額の合計)が前年度と比べて16・5%増の25兆4276億円となり、戦後初めてアメリカを単独で上回り、最大の貿易相手国になった。香港を合わせた中国との貿易額は2004年度から国別で最大となっていたが、日中経済の相互依存関係が強まる中、中国単独で日米の貿易額を超えた。>


アメリカが中国こそ最重要パートナーだと言うのなら、日本にとっても中国が最重要パートナーと2006年からなったのだ。中国市場をめぐって日米の企業が市場の奪い合いをするようになれば、日米関係が最重要という認識が間違いである事がわかってくるだろう。このような状況でも日本がアメリカの植民地である事は日本にとってプラスではない。

軍事的に見れば中国は軍拡は続けてもアメリカを超える軍事力は当面持てないだろう。ならば日米安保を解消されても中国との軍事バランスを取る程度の国力は日本にはある。このように軍事面と経済面とのバランスを取りながら日米関係を考えれば現在のような過度のアメリカ依存体制は危険なのであり、米中の連携で日本がカモにされかねない。

長期的に見ればアメリカと中国とが覇権を争うことは必然だ。石油の確保が戦略的重要課題ですがアメリカにとっても中国にとっても死活問題だからだ。アメリカは先手を打ってイラクを占領しましたが泥沼化して瀕死の状態だ。サウジアラビアや湾岸諸国も微妙にアメリカ離れを進めておりイラク戦争が裏目に出始めている。


中国を公式訪問したアブドゥラ・サウジアラビア国王 2006年1月25日 最近の中東情勢から

<今回のアブドゥラ国王のサウジ公式訪問について香港在住のアナリストは匿名を条件に「最初の訪問国に中国を選んだのは戦略的に正しい動きである」「中国は最も急速に成長している市場であり、サウジアラビアは販売すべき製品(石油)を持っている」と語り意義を再確認している。また人民大学(北京)のSi教授(国際関係論)も「中国は特にサウジアラビアに関心を持っている」「中国は石油の安定供給を求めている」と述べ、やはり今回の来訪の重要性を指摘している。>


アメリカは最重要な同盟国であるサウジアラビアや日本との関係をおざなりにしてやりたい放題の事をしていますが、いつかそのツケがやってくるだろう。アメリカと中国との覇権争いでサウジと日本が中国に寝返ったらどうなるだろうか? 90年代のアメリカは唯一のスーパーパワーでしたが、10年先は国内石油は枯渇して復活したロシアや軍事大国となった中国に囲まれる。それでもヒラリーは中国を戦略的パートナーとするのだろうか?




防衛省、外務省は日本に必要か? なぜならば外交防衛問題は
全てアメリカにおんぶに抱っこ。だから防衛省汚職は無くならない。


2007年11月17日 土曜日

米軍から離脱した独自の軍隊を日本が持つことについて 11月11日 日比野庵 本館

日本が独自の軍を持つことに対して、障害となりうる要素を検討してみる。

なぜ、改めて障害となる要素を検討しないといけないかといえば、日本が「独自」の軍を持つということは、独立国家として、自分の意思決定・国家戦略において国家運営をしていくということを世界に改めて宣言することだから。

障害となりうる要素として、考えられるものは、

 1.国内世論の反発
 2.世界各国の反応
 3.軍創設と整備に必要な費用の問題 (現自衛隊編成の是正のため) 
 4.軍の維持に必要な法整備(スパイ防止)と人員供給方法の確立

と思う。

上記の3.についてであるが、軍事評論家 江端健介氏は
 
自衛隊の装備と訓練は多くの場合極めて非実戦的で、また他の国が戦った実戦の教訓を学ぼうとする姿勢が希薄である。」

と指摘しており、この是正にも費用が必要と考える。

上記4つの要素に関して、情勢を考えてみると私見では在るけれど、

 1.大勢として自衛隊を国軍とするのに止む無しの流れ。

 2.殆どの国は自衛隊を既に軍とみなしてる。イラク派兵や国連での特措法の措置をみる限り、特亜以外に特に反対する国はないと思われる。

 3.米軍駐留費(2322億円/2005)をそのまま回すことで、なんとかできるのはミサイル防衛予算(2190億円/H19)くらい。H19年度の防衛庁予算概算要求総額は、4兆8636億円。なのでおそらく確実に国庫負担は増える方向と思う

 4.国内議論はおろか認識も殆どされていないのではないか?

個人的には4.が一番の障害と思っている。1.とは相反するけれど、1と4は密接に関係した問題。

国民意識的には自分は戦場になんかいかないと思っているんだけれど、誰かがいかなくちゃいけない。政治家は票を失うのが怖いので喋りたがらない。それにマスコミと特亜の工作防止も必要なのは当然のことになる。結構ハードルは高い。

以上のことから、上記4点に対してしっかりとした見通しを立てるまでは、日米安保を維持し続けていくことは、ベストではなくともベターの選択ではあると思う。


(私のコメント)
私はずっと自主防衛と核武装を主張してきましたが、防衛省の守屋事務次官の不祥事は出るべくして出た問題であり、防衛省と外務省は存在意義がなく自己決定力もなく、重要問題は全てアメリカが決定する下請け官庁に過ぎない。だから官僚たちの堕落ぶりは歯止めがなく、国を背負っている気概がないのだ。

政治家や官僚にとっては、外交も防衛もアメリカに面倒見てもらえるならこれほど気楽な家業はない。何か大問題が発生するたびにアメリカから高官がやってきて政府に指図して帰りますが、外交防衛に限らず経済問題にも同じことがいえる。

日本が独立国であるというのは国民向けの騙しであり、日本政府がアメリカ政府に対してNOと言う権利は無いようだ。ところがねじれ国会でテロ特措法に小沢民主党が反対して、アメリカ側の強い要請があるにもかかわらず、インド洋の給油活動が中止された。その為に安倍総理は辞任しましたが、福田総理も現在訪米していますが、総理を何人辞任させたところで、ねじれ国会では政府は身動きが出来なくなってしまった。

日本が独立国なら外交と防衛は政策が大きく変わる事はないのですが、自民党の万年与党政権ではその矛盾が出ることは無かった。ところが野党が参議院で多数となったことで小沢代表がNOと言えば法案が一つも通らなくなった。

野党が今まで政権を取れなかったのは外交防衛政策で自民党とは異なる政策だからとれなかったのですが、参院選では外交防衛問題よりも年金や政治資金が争点となって民主党が大勝利したのであり、民主党の外交防衛政策が国民に支持されたのではない。選挙が終わると年金や政治資金の問題は消えてしまって新テロ特措法が問題になっている。

これは日本の選挙民が未成熟である為に、一つの問題にYESかNOかと問われると有権者はそれに騙されて投票してしまう。9・11総選挙も民営化YESかNOかと問われて自民党が大勝利した。今度は年金問題が焦点となり民主党が大勝利した。いずれも外交防衛問題は選挙の争点となる事は無かった。

日比野庵のブログで書かれているように日本国民は外交防衛問題を真剣に考えることを避けてきた。具体的には憲法改正問題であり自衛隊を国軍とするかどうかの問題だ。それに対して自民党すら憲法改正は国民に問う事はまだしていない。

昨日の「太田光の私が総理大臣になったなら」で官僚の不祥事が議題になっていましたが、防衛省出身の太田述正氏が5兆円の防衛予算が本来の目的に使われていない問題を指摘していた。これは軍事評論家の江端氏の指摘も同じであり、自衛隊の装備と訓練は非現実的なものだ。

これは根本的には憲法改正しなければ解決できない問題であり、政治家も国民をその問題を避けて通ってしまっている。しかし平和憲法と日米安保とは二つでセットになっているものであり、アメリカも憲法が改正されると軍事力が強化されて日米安保が必要なくなるという恐れを持っているのだろう。

しかし自主防衛と日米安保は論理的には矛盾しないのですが、なぜアメリカは日本の自主防衛を恐れるのだろう。最近では中国のほうが軍事的脅威が大きくなってきている。このままでは日本はアメリカと中国の二大軍事大国に挟まれて管理されてしまうだろう。そしてアメリカが軍事的に衰退して中国が強大化した場合、日米安保も自動的に役割を終えてしまう。

自衛隊の装備が非現実的なものであり、北朝鮮を爆撃できる飛行機は無い。中距離ミサイルも無く核兵器ももちろん無い。原子力潜水艦も無く本格的空母も無い。しかし日本はこれらを作ろうと思えばできるのにアメリカが恐くてできないのだ。だから守屋次官のようなゴルフ三昧と接待のふざけた自衛官が出てくるのだ。




テロ支援国家指定解除は、日米同盟を傷つけるというメッセージがあり
米側も、小沢一郎の言動は日米の信頼関係を毀損している意図がある


2007年11月16日 金曜日

NSC,ペンタゴンでのやりとり 米側の小沢批判も 11月15日 島田洋一

「拉致議連・家族会・救う会訪米団」も、14日午前(現地時間)、平沼赳夫会長以下、議連本隊がワシントンに到着し、本格的活動に入った。

 先発隊長の西村真悟代議士(台湾に向け、すでに現地を離れる)が、ワシントンの空港で議連本隊と面談の時間を取り、申し送り事項を伝えてくれていた。

 昼食後、打ち合わせをし、午後3時15分から、ホワイトハウスの真横にある行政府ビルで、ジェームズ・ジェフリー大統領次席補佐官(安全保障担当)、デニス・ワイルダーNSCアジア上級部長らと面談した。

 つづいて、4時半からは、国防総省で、ジェームズ・シン筆頭国防次官補代理(東アジア戦略でかなめの位置にある)、デビッド・シドニー国防次官補代理(六者協議担当)らと会った。シン氏は日本語がかなり堪能だという。
 部屋の壁には、「拉致 日本は見捨てない」というキャプションの入った日本政府製作のポスターが額に入れて掲げてある。大使館スタッフに聞くと、いつもその位置にあるという。

いずれの場でも、平沼会長はじめ議連メンバーからは、アメリカ政府が、北朝鮮に対する宥和政策を進めるなら、日米同盟は危機に陥る、日米同盟を最も重視する人たちが米政府に深く失望することになる、とのメッセージが繰り返し明確に伝えられた。

米側は、真剣な表情でメモを取っており、最上部に日本側の意向がしっかり伝わるものと思う。

一度だけやや緊張した場面があった。

ペンタゴンで、中井洽(ひろし)・議連会長代行(民主党)が、壁のポスターを指さしながら、「大変ありがたいが、アメリカが北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するなら、アメリカは日本を見捨てたと受け取りますよ」と述べると、シン氏が真剣な表情で身を乗り出しつつ、「いま、あなた方は、インド洋でわれわれを見捨てていますけどね」と応えた。

言うまでもなく、テロ特措法の失効で、海上自衛隊による他国艦船への給油活動が止まったことを指している。
 その場は、平沼会長が、「私は無所属だけど、あの法案には賛成しました」と笑いながら取りなしたが、その他の場面で、「ミスター・オザワには言いたいことがあるが」といった発言も出た。

小沢一郎民主党代表の幼稚で無責任な安全保障“政略”は、明らかに、日米同盟を傷つけている。

こちらが、テロ支援国家指定解除は、日米同盟を傷つけるというメッセージを伝えようとしているのと同様、米側にも、小沢一郎の言動は日米の信頼関係を毀損していると伝える意図があるのだろう。


アメリカ内部のせめぎ合い 4月16日 島田洋一

二〇〇七年二月十三日、北京で開かれていた六者会議において、「二〇〇五年九月十九日の共同声明を実施するために各者が初期の段階においてとる措置」(以下、「初期措置」)が合意され、発表された。

ブッシュ政権下のアメリカ政治においては、北をあらゆる方面から締め付け、レジーム・チェンジを実現しようというチェイニー・ボルトン的路線と、核凍結と経済支援を引き換えに緊張緩和・平和共存を図ろうとする国務省・民主党的宥和路線のせめぎあいが続いている。今後も当面、その構図は変わらないだろう。

そうした中、金融制裁緩和という悪しきメッセージが発せられるなど合意文書外の動きも含めて「初期措置」の中身を見るとき、やはりブッシュ政権が、国務省・民主党的な危うい方向に傾いたという印象は否めない。ただし、北が確実に手に入れたといえるものはほとんどない(従って「北の一人勝ち」「金正日の高笑いが聞こえる」といった自虐的評価は、控えめに言っても先走りすぎだ)。

また、米政府による不正流用疑惑追及を受け、国連開発計画(UNDP)が、三月一日を以て、北朝鮮での開発支援事業を全面的に打ち切るといった制裁強化の動きも同時に見られる。

日本は、「一〇〇万トンの重油に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援」と引き換えに北が行う「すべての既存の核施設の無能力化」を、核施設の解体・海外搬出と厳しく解釈し、日本は解体費用を全額もつ、ただし途中のエネルギー支援には一切参加しないという立場を取るべきだ。

巷間言われる「北の核廃棄で最も恩恵を受ける日本」の「応分の負担」としてはそれで充分である。この方針なら、タダ乗り批判を受けることなく、同時にタダ取りされる心配もない。

二〇〇六年中間選挙において、民主党が上下両院で多数を取り、下院議長およびすべての委員長ポストを握ることになった。大統領制のアメリカでは、閣僚に議会審議への出席義務はないが、公聴会で証言を求められれば極力応じねばならない。民主党執行部は、今後公聴会を連発し、テロとの戦いの進め方につきブッシュ政権幹部を厳しく追及する方針を明らかにしている。

これが、ライス国務長官あたりには、相当プレッシャーになっているようだ。ラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、ボルトンなど対北強硬派が次々政権を去り、高官人事の承認権を持つ上院で野党民主党が多数を占める以上、いくらブッシュが、ライスにとって風よけになる強硬派を重要ポストに就けようとしても、議会を通らない。足元の国務省内部からは、北との話し合い、取引を勧める声しか上がってこない。対イラク、イラン、アフガニスタン政策などで熾烈な追及を受ける中、せめて北朝鮮問題では民主党も主張する話し合い路線で、と考えても不思議はないだろう。

その分、政権外の保守派が、国務省主導の宥和路線を牽制する声を上げるのは戦略的意味が大きく、ジョン・ボルトン前国連大使らの六者合意批判は、日本としても大いに歓迎すべきだ。

本連載でも取り上げたが、以前、最高裁判事ポストに、ブッシュが、立場の曖昧な側近のハリエット・マイアーズを指名し、共和党内部からの反発を買って、結局、撤回(形の上では、本人の辞退)に追い込まれた一件があった。その後、保守派が強く推すサミュエル・アリート判事が代わって指名を受けた。

北朝鮮政策でも同様の展開を望みたいところだ。その際、純然たる内政問題の最高裁人事とは異なり、“日本の出方”が最重要変数の一つになるだろう。

ボルトンが副所長を務める大手保守系シンクタンクAEIの研究員ニコラス・エバースタットとクリストファー・グリフィンは、「初期措置」合意は、米通貨偽造、ミサイル発射・核実験などを行ったゴロツキ国家に対し、金融制裁緩和、テロ支援国家指定の解除、エネルギー支援で応じた「降伏」であると酷評しつつ、「テロ支援国リストからの北朝鮮解除に向けたいかなる動きも、拉致問題の満足な解決を条件にする必要があろう。でなければ、アメリカにとって唯一の信頼できるパートナーを無視する危険を冒すことになる」「アメリカは、日本のリードに従い、北が非核化や他の問題において真の前進を見せるまで、北の破綻した経済への支援を拒否しなければならない」と、日本との連携によって原則外交を進める必要を強調している(『サン・ディエゴ・ユニオン・トリビューン』二〇〇七年二月二五日)。(中略)

今後の注目点

米保守派による「初期措置」合意批判のポイントは、以下のように整理できよう。

・北朝鮮への金融制裁(法執行)を一段と強化すべき時に、逆に緩和の方向に動くというのは大きな誤り。

・韓国政府が、北への無原則な援助を拡大するきっかけを提供した。今後、アメリカからブレーキをかけにくくなる。

・北朝鮮の人権問題に全く触れることなく、米朝国交正常化やテロ支援国家指定の解除に言及し、アメリカが掲げる理念を毀損した。

・拉致問題を置き去りにしてアメリカが北のテロ支援国指定解除を行うのではという疑いを日本に抱かせ、日米同盟を傷つけた。


北の狙いは、わずかの重油を得ることではなく、対話・平和共存ムードを醸し出して各国の強硬派を孤立させ、金融制裁の解除、国際金融機関からの融資、日本の経済協力金等々で、多額のカネを確保することにある。

米国内法の縛りで、「テロ支援国」に国際金融機関が融資しようとした際、アメリカ政府は反対しなければならないとされている。北にとって、テロ支援国指定の解除は、イコール国際金融機関からの融資に他ならない(返済は、日本が「過去の補償」をすれば払うなどと言いつつ、引き延ばせばよい)。そして、米国務省には、議会の抵抗で北への直接的援助は難しいため、国際金融機関からの融資後押しという間接的な形で取引を成立させたいとの思惑がある。テロ指定を解除し、「外交の柔軟度」を高めたいわけである。

この問題では、日本政府の動きがカギになる。日本としては、「拉致」がより強い表現で、テロ指定理由に書き込まれるよう、すなわち指定解除のハードルが一層高まるよう、ホワイトハウス、議会、人権団体に働きかけねばならない。ブッシュを挟んで、米国務省と安倍政権の綱引きが熾烈になりそうだ。



(私のコメント)
福田総理がはじめての外遊で訪米していますが、北朝鮮へのテロ支援国家からの解除が問題になるようだ。これは9月にシドニーで安倍ブッシュ会談でものぼった議題ですが、アメリカ側からのつれない返事で安倍総理は辞任に追い込まれた。福田総理も交渉が上手く行かなければ立ち往生するかもしれない。

アメリカ政府の内部事情も、2005年の中間選挙で議会が民主党が多数派となったことで、政府の高官人事が議会の承認を得なければならないことから、ラムズフェルドやボルトンといった北朝鮮強硬派の高官が次々外されて、国務省も北朝鮮融和路線をとるようになった。

このような状況になるとブッシュ政権も民主党優勢な議会攻勢に晒される事になり、ライス国務長官はかなりナーバスになっているようだ。あのようなひ弱なインテリ女性では強硬な議会からの突き上げはかなり堪えるだろう。その為には民主党に配慮して北朝鮮融和路線をとらざるを得ないのだろう。

このような状況になれば、日本が院外活動で強い圧力をアメリカ議会にかけなければなりませんが、従軍慰安婦問題を見れば分かるように在米日本大使館の動きは鈍い。日本大使館のロビー活動は主に経済問題に限られて、議会に対する人員は4人程度しかいないようだ。

民主党および国務省は北朝鮮に対して宥和路線をとるのは、親中派が主導権を持っているからだろう。人権活動家も中国や北朝鮮の人権問題に関しては融和的であり、日本に対しては60年以上過去の問題でもかなり強硬な姿勢を持っている。それによってブッシュ政権が困ればよいのであり、日米が分断されれば喜ぶのは中国だ。

この問題に関しては島田洋一氏が述べているように、北朝鮮問題に関しては日本の出方が問題になる。北朝鮮は日本を孤立させる事で外交の主導権をとろうとしていますが、日本が動かなければアメリカの強硬派もも動けず北朝鮮ペースに嵌ってしまう。

日本の外交戦略としては朝鮮半島から中国大陸・台湾・フィリピンなどの周辺諸国に対する外交は最重要なものである。今まではアメリカに全てお任せして商売に専念していればよかったのでしょうが、中国が軍事大国化するにつれて日本もバランスを取るように軍事大国化していかないと朝鮮半島や台湾などの情勢で日本が不利になってしまう。

日本の対北朝鮮外交もアメリカ任せにせず日本が主体的に動く必要がある。拉致問題が長い間マスコミや政府に無視されてきたのも北朝鮮との摩擦を恐れていたからですが、アメリカの影響力に衰退の兆しが見えてきた以上日本は主体的に行動を求められる。北朝鮮問題は日本にとっての試金石になるのですが、日本は民主的な北朝鮮を目指すべきなのだ。

日本には北朝鮮出身者が大勢いますが、朝鮮総連が彼らの意見を代表しているものではない。ほとんどの在日は民主的な北朝鮮を望んでいるはずだ。それに対してアメリカにとって北朝鮮とはどうでもいい国であり遠い国なのだ。だから金正日がどんな独裁体制でも、偽ドルを刷ろうが覚せい剤を密売しようが関係ないのだろう。

アメリカは中東の石油を押さえる戦略ですが、輸送ルートとしては海洋を押さえなければならない。だからこそ日本はインド洋で給油活動で協力しているのですが、当初から小泉政権は北朝鮮問題で協力が必要だから協力に動いたのであり、小沢民主党のような主張があるから、北朝鮮問題が無ければインド洋給油活動はなかっただろう。

最近のアメリカ政府の対日本外交は日本をなめているようなふしが見られる。それほど日本外交には主体性がなく、あっても強く出れば日本は受け入れると思い込んでいる。だからこそ対北朝鮮外交もアメリカの都合で日本を裏切る行動に出た。それに対して日本はインド洋の給油活動を停止させる措置に出たのですが、日本の抗議行動は上手く行くだろうか?

問題は日本と金正日との我慢比べであり、拉致問題で北朝鮮が明らかにしなければ日本は単独でも北朝鮮に対して追求していかなければならない。それに対してミサイル実験や核実験で揺さぶりをかけていますが日本は動かなかった。このように一旦方針が決まると日本は動かないのであり、アメリカも信用が出来ない国だという不信感が芽生えると、それを覆させるのは難しくなるだろう。



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