今回ジャッキーを育てるに当たって、どんな風に子犬が訓練犬として完成されて行くか
  日々の記録をつけてみようと思います。ジャッキーの成長記録であり、訓練する指導手
  の訓練記録です。

  訓育をスタート
    ポイントは・・・・

  訓練士のコメント

 幼犬時は出来るだけ多く犬と遊んでやり、身体に触れてやる事が一番です。
 また、遊びの時間が長くならない事が肝心です。

2000/6/25
すみやかに食事が食べられるようになった。
ありとあらゆる物に興味を示し、独り遊びに夢中になる
2000/7/1
 一気に暑くなってきました。日中は日陰でゴロゴロと昼寝をしています。夜中の3時ごろから未明にかけて遊んでいる様子。
庭のあちこちに穴掘りをしています。耳が完全に立ちました。シェパードらしい顔立ちになってきました。
 背中の体毛が成犬の毛に変わってきました。朝夕の散歩にも自信が出て来た様子。人や車もジ〜ッと観察する様子が見えます。
今は自由にあそばせる事を主にして、ボールを追っかけたり、タオルを引っ張ったりして持来欲をつけさせるような遊びを心がけています。
2000/7/8
外部環境に馴致させる為に、近くの公園まで
 歩いて行 きます。 その際、いろんな物に驚いたり
 臆したりします。
 そういう時にはすかさず犬の身体に触って「よしよし・・」等の声をかけて安心させます。
また、初めての『首輪』に途惑いを示しますが、無理をせずに引き紐は出来るだけ長く保持し、強い圧迫をかけないようにします。
 公園では引き紐を外さず、指導手の近くに置き、あくまでも馴致
を心がけます。最初のうちは往復は道順を変えずに行う事が
肝心です。
紐付きのボールを追いかけるジャッキー 2000/7/19
環境に慣らしながら、に対する興味を引き出してやります、これは将来の訓練がやりやすくするためです、物はボールや布が良いでしょう。
写真では厚めの布地の中にボールが入っております、また紐をつけます、(余り長くならないように)紐を引
いて興味をそそります。そして犬と引っ張りっこをして遊びます。
ボールをとり込んで離したくないジャッキー 興味をもった犬は物を独占したがりますが、紐ははなさず堪えず指導手と犬との信頼の絆とします。
写真は独占したいと思いながら絶えず物に集中しております、物を外す時口にショックを与えない事が大事です。幼犬の時に繰り返し同じ遊びをしながら集中力と持続が出来るように養育してゆきます。また,犬の身体に触れてやることも大事です。
川へ跳びこむjakki 2000/7/30
環境馴致の手段として、少しづつ変化をつけていきます。その一つは「水」に対しての恐怖感を取り除く方法です。犬の性格〔性分〕が最初から全く恐怖心を持たない犬もいますが、一般的には怖がります。そのような犬に対する訓練の仕方で良い方法は、訓練士が一緒に水に入ってやる事です。それが出来ないとき
水飛沫が好きなjakki は出来るだけ浅い所から徐々に慣らして行きます。
ジャッキーは極めて水遊びも好きな犬です、自分から水の中に跳びこみ跳ね回り、既に犬かきで泳ぐ事も出来ます。この事は、この犬が素質として持ち合わせておりますので、この芽をつぶさない様に無理をせずあくまでも遊びの場所としてリラックスさせております。
2000/8/16
環境に慣らしながら、徐々に日々の活動の中で言葉に慣らして行きます。「制止」の言葉”いけない”
”待て”「ほめ」の言葉”よ〜し、よし”゛良し”等を状況に応じて発して徐々に言葉の意味を解らせて行きます。
その他に、“座れ””来い”等が大事な言葉です。
特に“座れ”は食事を与える時に食器を頭上に上げると必然的に腰が落ち座れの姿勢をとり、間単に理解させられます。
要するに訓練の要点は「制止」と「招呼」と「持来」の3点が重要事項です。特に、制止と誉め言葉の使い分けが大事です。
写真は「待て」を教えています、声符で強く「まて!」と発しながら、視符で犬の面前に大きく手で制御し,更に人の態度、犬との間隔を持って毅然と動きを制止しています。
この成長段階では完璧な形は求めなくても良いですが、犬と安易な妥協は禁物ですし、この時期からも訓練と遊びのけじめを作っていくことが肝心です。
「待て!」の訓練
招呼とは・・・・・ 呼ばれたらすばやく飼い主の元に来る事
持来とは・・・・・ 物を保持し飼い主の元に持って来る事
声符とは・・・・・言葉、声の強弱,抑揚での指示
視符とは・・・・・ 犬の視覚で理解させる事
招呼の練習、呼ばれたら一気に走る!2000/9/6 
 招呼の訓練・・・・・・・訓練の最も基本的なものに「招呼」が有ります。
招呼とは、訓練犬が如何なる状況にあっても、呼ばれたら速やかに指導主のもとに来る事です。
 呼ばれた犬が,手元にこないと言う事は犬と指導主の信頼関係が築かれていないということです。ですから,招呼は訓連の最も重要な項目です。
それでは,訓練の仕方に入りますと,初めの内は(生後5ヶ月ぐらいまで)初めは,引き紐から犬を放さずにたえず指導主の手元に引きつけておきます。その際,ボールなどで遊んでいる時も,引き紐を外さないようにし、犬がボールを独占する事が無いように注意します。
 これはボールが犬と指導主の共通の遊び物で有る事を認識させます。
さらに、訓練が進む状態では写真に有りますように捜索用の引き紐を利用し、犬と指導主との距離を作った上で「来い!」と呼び捜索紐を引きます。それを随時繰り返して、招呼を確立して行きます。
 慣れるにしたがって捜索紐を細いものに替えたり、さらに離れた状態で犬を呼びこむ訓練を何回も続けます。又,一方では捜索紐をつけたまま、指導主が木陰に隠れるなどして導主の存在を意識づけする事も、犬と指導主の信頼の関係をより高める方法です。
2000/10/9選別作業と足跡追求の練習風景
選別作業練習 捜索作業練習中
招呼から脚側行進へ
 招呼を確実にするために同様の訓練を毎日続けます。
その際に、より確実にするためには紐をつけた状態を続けますが、紐は最初は太いものから小さく軽い物に、そして長いものからだんだん短いものに替えて行き、最後は紐なしに替えて行きます。
一方、招呼の理解が進むに連れて脚側行進ならびに脚側停座を教えて行きます。招呼をした際に停座を正面にしますが,その時に指導主と犬との間隔は詰めた状態にします。そして,そのあとの脚側停座に進みますが,最初の内は必ずしも正確な停座でなくてもかまわないと思います。しかし、正しい停座が出来た場合は犬の身体を軽くたたいて大いに誉めてやります。また、脚側についた場合はすぐに停座するリズムを教えます。最初の内は犬のお尻をチョット押す事も一つの方法です。停座の状態から脚則行進に入りますが,その際も指導主の太ももを「パン!」たたいて「あとえ!」の声符をかけて左足から前に進みます。(正しい停座は指導主が起立をした状態で左手が犬の首と交わる状態が良い停座です。
上の写真は足跡追求と選別作業の風景ですがジャッキーはこのレベルまであと5ヶ月を目標にしています。
2000/11/11
脚側行進をするジャッキー 脚側行進は招呼と同様に犬との親和の関係を如実に表す重要な訓練です。犬が指導主の左足にピタリと付、頭部が指導主の太ももにあり眼は指導主の目を見ている形が大事です。
 最初はナカナカそのように行きませんのでボールを使うなどして注意を引きます、また引き紐は右手で引き、左手で巧みに犬を誉めたり、犬の顔面に軽くタッチをし、たえず緊張感を与えます。又、ターンをする時は自分も腰をかがめて犬が回りやすくすることがやがて奇麗な回転が出来るもとです。
 脚側行進の中に一連の動作を取りこんで行きます。指導主が止まった時犬も即座に座れの姿勢をとります。次に歩き始める足は左足が一歩です。最初は並足で進めますが、なれると共に早足、そしてゆっくりの足へと変化をさせていきます。そうしている動作の中で伏せを命じ、10数歩離れて招呼をして犬を呼んだり、あるいは「座れ」「待て」の状態で招呼をして呼び寄せたりします。
持来は今後の追求作業、物品選別作業へと続く大事な訓練です。犬本来は物を咥えるあるいは物を咥えて遊ぶという先天的なものを持っております。が、時に物を咥えない犬がいます。そういう犬には強制して物を咥える事を教えますが、基本的には同一のものと思います。
 持来の教えかたは対座してダンベルを咥えさせます。犬の口を開けてダンベルを口にくわえさせます。その時に「持って!」あるいは「咥えて!」の命令を発します。最初は歯に違和感を与えない程度にダンベルの引っ張り合いをする事も大事です。そうする事によって犬が保持知る事を覚えます。あくまでも物に対する興味と自分の物で有るという両方を同時に学ばせます。
 上記の訓練は咥えたものをポトリと落とす犬には効果があります。興味の薄い犬にはダンベルを身近に転がす等、物を動かして興味を引く様にしたら良いと思います。
また、咥えたまま引き紐をつけた状態で回りを歩かせ、犬に保持する事の喜びと自信を植え付けて行きます。
ダンベルを咥えて保持の姿勢をとるジャッキー(6ヶ月)
  ★ダンベルを咥えて保持の姿勢をとっているジャッキー(生後6ヶ月)         
2000/12/10
ジャンプ台を飛ぶジャッキー
「飛べ!」でジャンプ・・・
脚則行進をするジャッキー 招呼で指導主の前に停座
 服従訓練の仕上げに入りました。訓練の大事な事は招呼と持来と脚則行進です。今まで多少緩みがあっても大目に見てきましたが、この時期からはそういった緩みは許容せずにきちっとした事を犬に要求します。指導主と犬との信頼関係がそれを大きく左右します。すなわち、正確な形で犬に対する事が必要です。しかし、あくまでも正しい形が出来た時は多いに犬を誉める事を忘れてはなりません。犬は指導主の次の命令を待つ為にたえず緊張を連続させます。したがって指導主の眼,や指の動きに注視します。こう言う時にきょろきょろしたり、注意が散漫になる事は緊張が連続しているとは言えませんので、基本訓練を再度入れ直すことも必要です。
 ジャンプはただ単に飛ぶだけの事ではありません。美しい形で飛ばすことが大事です。その為にはジャンプ台と適度な距離で踏み切らせることです。その適度な距離はジャンプ台の高さと踏み切り場所が同じかそれより20%くらい離れている所に焦点を合わせて飛ばせます。
2001/1/8
選別作業の初期の練習   物品選別作業(初期の練習) 足跡追求作業中「捜せ!」    足跡追求作業中   「捜せ!」
いよいよ警察犬の受験科目にチャレンジです。
左の写真は物品選別作業です。今日から始めたばかりですので、選別台からの運搬作業を重点的に2〜3週間続けますが、選別台までの距離を変動させて運搬作業を確実にします。その後に、選別作業に入っていきます。

右の写真は足跡追求作業です。もう1ヶ月半実施しています。最初は草むらなど臭いのつきやすい所で擦るような感じで濃く匂いを付けて出発点に物品を置いたり、埋め込んだりして「捜せ!」の命令をかけて足跡を追わせます。紐は短いものを使い指導主は「捜せ!、捜せ!」と命令をしながら、やや後方からいっしょに進んで行きます。
物品にたどり着いた時に、最初は咥えさせ「伏せ!」をかけます。そして、誉めてあげます。
最初は距離を長くせずに3メートルぐらいの長さをしっかりマスターできるまで、何回も繰り返しそれが出来た段階で距離を延ばしたり、物品の数を増やしたりします。
これが足跡追求の初歩訓練です。