音のお化粧(エフェクター)

お化粧の種類

 音のお化粧は、様々な「エフェクター」と言いわれる装置で行います。実際はその効果をかける装置がそれぞれ違う事から、それぞれの装置名で呼ばれることが多いと思います。また、いくつかのエフェクトが1台の装置でかけられる複合的なものもあります。
 その種類には、大きく分けると3つとその他に分かれます。

分  類

装置名

周波数の調整をするもの

イコライザー

時間的な効果が得られるもの

リバーブ

ダイナミックレンジに及ぼす効果

リミッター、エキスパンダー、
ノイズゲート

準備中

その他、特殊なもの

フランジャー、フェイザー、
コーラス、ボコーダー

装置名にはなじみの深いものや、知らないものもあるかもしれません。順に説明したいと思います。


イコライザー

 イコライザーはなじみのある装置ですが、これは特定の周波数の音をを大きくしたり、小さくしたりするものです。例えばハイハット用にマイクを立てて録る時に、低い周波数の音は本来ハイハットに含まれませんのでカットしてしまいます。また、ナレーションを録音するときに、息の音が入ってボコボコいうときには、超低域をカットしたり、声の明瞭さが足りない場合には中域を少し持ち上げたりします。トランペットに明るさ、又は派手さが必要なときには中高域を少し持ち上げたりします。皆さんがお持ちのステレオアンプについている高音(TREBLE)、低音(BASS)のボリュームもイコライザーの一種といえるでしょう。

方式には2つのタイプがあります。
1.グラフィックイコライザー

 1つは、「グラフィックイコライザー」と言われるもので、略してグライコなどと呼ばれます。スライドボリュームがたくさんついています。スライダーの数は数個から31個。ポイントはほとんど固定ですが、ポイントの数は多いので細かい調整ができます。録音にも使えますが、どちらかというと、ハウリングを抑えたり、部屋の周波数補正のためPAの現場などでよく使用されます。
2ch(ステレオ)タイプ SONY SRP-E210 \75,000

2.パラメトリックイコライザー

 もうひとつは、「パラメトリックイコライザー」で、周波数を設定するツマミ、増減するツマミ、中心周波数の広がりを決めるツマミがついています。ポイントは3〜5くらいが多いようです。録音にはこちらのタイプを使う事が多いようです。単体のものもありますが、ミキサーの各ch毎についている場合もあります。

3.複合型イコライザー

さらに、デジタルイコライザーで上記の2タイプの複合型のものもあります。価格は多少高くなりますが、それぞれの長所を兼ね備えたものです。また、デジタルタイプには設定した値をメモリーしておく機能もありますので、日をおいて同じ設定にしたい場合など瞬時に呼び出せますので便利です。
SONY SRP-E300 \158,000(税別)


リバーブ
ディレイ

  「エコー」という言い方をすると皆さんはカラオケをすぐに思い起こされる事でしょう。「もっとエコーを利かせて!」などとおっしゃる。さらに「上手に聞こえるように!」などと。それが正しいかどうかは別として、あの「ワ〜ん」というやつをエコーと思っている方がたくさんいらっしゃいます。実はこの業界では、この場合「エコー」という言い方は、あまりしません。「リバーブ」と言います。「エコー」は山彦の事だと思ってください。「ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー、ヤッホーという風に、繰り返すのがエコーです。もっとも繰り返しの間隔を非常に短くするとリバーブということにもなります。

ホールにおけるリバーブの概念を図に表すと以下のようになります。


まず、元になる音が出ると、まず、直接音が聞こえ、壁に反射した音が数ミリ秒〜数十ミリ秒遅れて聞こえます。これが初期反射音といわれるものです。そしてまた暫く遅れてあちこちに反射して遅れた音がたくさん聞こえます。実際には図にあるように1つ1つの音が分離して聞こえるわけではありません。ホールで手を「パン」と1回叩くと、「パー」と聞こえます。しかし、初期反射音や残響が聞こえるまでの時間を変えることでホールの大きさの違いを表現できます。長めにすると大きいホール、短めにすると小ホール、もっと短くすると普通の部屋。また、残響音部分がだんだん減衰して聞こえなくなるまでの時間を変えることでデッドな(響かない)ホールやライブな(響く)ホールを表現できます。

 歴史的にみると、初期のリバーブマシンはスプリングを使ったものでした。スプリングを弾くとビヨーンという音がしますが、これを利用して響きを作っていました。その後、鉄板を利用したものが作られるようになりました。銅鑼(どら)の音を聞かれたこともあると思いますが、ドワーンという音から想像がつくと思います。現在はほとんどデジタルリバーブです。

 音楽ホールなどでは、ホールトーンといってホール自体の響きがあります。ステージで発せられた直接音も聞こえますが、その他に、壁や天井で反射した音も聞こえます。壁や天井の材質、形、容積などいろいろな要素によって様々な響きがします。録音をするときに適当な割合でこの響きが入っていればよいのですが、いろいろな制約により残響が足りない場合もあります。こんなときにリバーブを加えて編集をするといい感じになってきます。しかし、かけすぎは嫌味になりますのでバランス感覚が必要です。

あまり大きな声でいえませんが、しっかりとした演奏には、多少多めにリバーブをかけてもそれらしく聞こえますが、あまり上手くない演奏(音程が合わない、リズムがバラバラ、豊かさのない音など)の場合はリバーブをかけると、とってつけた様な、なんとも言い難い音になるのです。皆さんも、カラオケでそんな場面はよく、いや時々あると思います。(失礼)
 何でもかんでもリバーブさえかければ、上手く聞こえるというものではないのです。適切なエフェクトを適量混ぜる事によってのみ、その効果が出せるのです。適切とか、適量とかいいかげんな言い方ですが、音楽のジャンルなどによってもかけ方が違ってきます。
 例えばパイプオルガンなどは多少長めのリバーブをかけたりします。なぜなら元々パイプオルガンは残響の長い教会で演奏されるので、必然的に多少長くなります。クラシック系も長めですね。ジャズ系は曲によってずいぶん違います。バラード系のようにゆったり泣かせるような曲は多めだろうし、テンポのいい曲はちょっとしかかけません。また、パートによっても、例えばベースなどには原則的にかけることはありません。 元々その音楽がどんな場所で演奏されるかを考えたときに、その答えはほぼ出てきます。
 なお、最近はクラシックや合唱、邦楽系以外は、ほとんどPAを使用して演奏します。この時点でいろいろなエフェクトがかけてあることを知っておいてください。「何だごまかしじゃないか。」と言わないで下さい。演奏とPAとを含めたものが演奏なんです。

 そして、再生装置でずいぶん感じが違ってくるということも頭の中に入れておいたほうがよいでしょう。まともな(?)ステレオ装置で聞く場合は、結構残響成分も聞こえてきますが、小型のラジカセなんかだと微小な音はあまり聞こえてこないので、少し多めに。ただ実際は録音したものが他人の手に渡ったときに、これはラジカセで聞きなさいとか、100万以上のステレオ装置で聴いてとか、いえませんので、音を作るときの自分のモニタースピーカーを過信しない事が必要です。モニタースピーカーの難しさについては、別項で述べています。参考にしてください。

リバーブは、1種類だけではありません。先ほどの時間の値などもいろいろですが、種類もいろいろあります。ここではその種類についての詳しい説明は省略します。いずれ更新して詳しく説明したいと思います。

一番最初に書くべきことかもしれませんが、クラシック系の場合、出来るだけリバーブマシンなどは使わずに、マイクの位置調整で、直接音とホールトーンのバランスの良いところを探すことが大切です。ちょっと大変ではありますが、その方がナチュラルですっきりした録音になります。



ダイナミックレンジに及ぼす効果(リミッター、エキスパンダー)、その他特殊なもの(フランジャー、フェイザー、コーラス、ボコーダー、ノイズゲート)については後日追加します。



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