0歳後半


寒い冬も元気にのりきり、初めての春を迎えたたける君。
暖かくなると同時にどんどん成長していった。生後5ヶ月、寝返りが出来るようになった。数日前から寝た状態から体を横に向けて、一所懸命寝返りしようと頑張っていたのだ。しかし、頭が重たいのでなかなか持ち上げられなかったようだ。腹ばいの姿勢で、両手を前について頭を懸命に支えている姿を見て、こんなささいな事にも感動をおぼえた。
我が家に帰って、まだ夜泣きは続いていたが実家にいた頃のように子どもが眠っている時でも休むわけにはいかなかった。子どもが眠っている間でないと、家事もろくに出来なかったのだ。主人も、夜泣きを経験して育児の大変さを実感したようだった。食事の後片付けをしてくれたりと、いろいろ協力してくれた。今思えば、この頃が一番しんどかった。
はいはいを始めるのは、少し遅かったように思う。7ヶ月の頃だった。腹ばいの姿勢でゴロゴロしていたかと思ったら、何だか今にもはいはいでこちらに向かって来そうな気配。主人が、「パパのとこまでおいでー!」と手を叩いて合図すると、ゆっくりと近づいて来たのだ。「頑張れー!」私も声援を送ると、一所懸命手足を動かして3,4メートルはいはいして来た。「すごいね。」とほめると嬉しそうに笑っていた。夏になって、どんどんはいはいでいろんな所に移動するようになった。時々かえるのように、ピョンピョンはねながら移動して周囲を笑わせてくれていた。
お盆休みに、実家に子どもと帰っていた時の事。スイカを搾ってジュースを作り、たけるに飲ませていた。おいしそうに飲む姿を見て、母がこう言った。「何かかぶと虫みたいね。」実は、私も少し前からこの大きな頭と、おでこはかぶと虫に似てるような気がしていたのだ。力持ちだし目はくるっとしてるし、時々ズツキしてくるし。本当にかぶと虫そのまんまだ。
はいはいをしたかと思ったら、すぐにつかまり立ちをしていた。台所のテーブルにつかまって、背伸びをしてやっと目線がテーブルの上にとどいていた。何があるのか興味深々だったのだろう。
そして、忘れもしない9ヶ月半の事。お盆休みを終えて、我が家に帰って来た日から夜泣きもなく朝までずっと眠ってくれたのだ。環境が変わった為なのか、たまたまなのか信じられないような気分だった。しかし、その日から夜も結構よく眠ってくれた。
離乳食も、1日1回から2回へ、そして9ヶ月目からは1日3回えと回数を増やしていった。食べ物の種類も増え、バリエーションも広がった。時々はベビーフードも利用したりしていた。最近のベビーフードは、栄養のバランスが良いのとその種類の多さに驚いてしまうほどだ。1回分づつの小包装になっていて、沸騰したお湯を少々注いでかき混ぜると、ペースト状になったレバー野菜とかさかな野菜などが出来るのだ。レバーなどは下ごしらえも大変なので、とても重宝した。食事の世話にはずいぶん慣れてきたものの、お昼寝の時間が足りなくて眠かったりすると、途中で嫌がって食べてくれなくなったり、コップやお皿を手で叩いてひっくり返そうとしたり本当にこれでもかって言うぐらい、私を困らせた。しかし、たくさんお昼ねさせていたらよく食べてくれる一方、夜なかなか眠ってくれなくなるのだ。食事と、睡眠のバランスをうまく調節していく事が大切だなぁと感じた。
時々は、抱っこして住んでいるマンションの駐車場や近くを少し散歩したりもしていたが、他の赤ちゃんのようにしょっちゅう連れて出かける事は困難だった。
夏の終わり頃、つたい歩きを始めた。テーブルや、家具につかまりながら自分の行きたい所に移動していった。そうかと思えば、家具と家具の1メートル弱の隙間を空間移動。その繰り返し。
さて、もうすぐ1歳の誕生日。そろそろ歩くかなぁ?と思っていたある日。
ふと見ると、台所でポツンと立っている。そして、2,3歩歩いた。「アー歩いてるー!!」主人と共に発見できた。よかったね。それは、1歳の誕生日まであと2週間という日の出来事だった。
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