「カナメ(要め)石は大切に」と言います。
カナメ石とは、相手の石の切断に関連している石です。よく見て、カナメ石を見分けて着手を選択する必要があります。 <右上> 黒先で打つ場合、カナメ石がどれかを認識して打つ必要があります。 例えば黒1はどうでしようか。白14まで白は右上に地を作りました。黒先着したのに、この結果では不満足です。原因は、黒1の両アタリを打ったことです。両アタリで、白は両方逃げることは出来ませんが、逃げる石を選択することが出来たのです。そこで、白2と逃げました。以下、白14までの結果は、両アタリにされた白がカナメ石を逃げて全くの不利の状況を緩和出来ました。 <右下> 黒の手番なら両アタリにして、逃げる石の選択を白に任せる愚は選択せず、最初からカナメ石を取る手を選択するべきです。 黒15で、カナメ石がとれました。白はカス石を助ける愚を犯すべきでなく、手抜きして他を打ちます。 <左下> 黒17と切って来ました。この局面で、C5の石とD4の石はどちらが大切かというと、石数は多くても、2子の方が大切です。従って、白18、20とアテ白22と構えるのが正しい着手です。黒は11目の地が増えましたが、白は左辺に根拠を持ち、白有利な分れです。 黒は、こんなカス石を取っても小さいので、黒17で、22辺りにハサんで全体を攻めるのが良い手です。 <左上> この局面で黒23と切って来ました。ここで、左下の様に打つと、どうなるでしょうか。それは黒ありがたい局面です。どこが違うか。左下のF1にあたる地点の石が、左上にはありません。 もし、黒23の段階が白の手番であれば白E19(先手で切断)が良い手になります。 黒23と打って来た場合は黒F19が無いので、白5子が大切な石になります。白30に対して、手抜きすれば、白32のキリにより、黒3子が取られる手が残ります。 |
カナメ石は相手もなかなか取らせません。そこで、それらの石をじっくり攻めるという作戦も相手を困らせます。 <右上> 黒1と切って3と取るのは白4と切り返されて、白2子が取られ黒不満です。 <右下> この形のカナメ石はQ4の石なので、黒7から切って、空き三角の愚形を強要し、黒9によって自らを安定させ、白全体を攻めるのが良い作戦です。 <左下> 白14と打った場合、黒はツギを打つでしょうか。 中盤であれば、黒は手を抜くのが正しい判断です。つまり、黒F4の石は既に取られているのだから、黒E2、E3の石はカナメ石ではないのです。 そして、黒の手抜きに対して白がE1に取ったら、また黒は手抜きします。中盤の時期にこの2手を大きいところに打てれば殆どの場合、黒優勢になるでしょう。 <左上> 白E13が無い場合は違います。この場合は黒17とツギを打つでしょう。白18を打たないと黒E14と打たれると大変苦しい形になるので、白18と打つことになります。つまり、黒17を先手で打てたということです。 | |
カナメ石を見極めることは攻め合いをする時にも大切です。
<右上> 黒1と打ったら白2で黒攻め合い負けです。 <右下> 同じ形です。黒5と打つと攻め合いの結果はどうなるでしょう。見事黒勝ちになりました。 尚、黒5が サガリキリの筋で、右上の黒1の時、白が3と打てば、黒は2と打ち黒勝ちになります。 白O17、O18の石は攻め合いの場合、「枝石」と言います。 |
アタリは将棋の王手と同じで、切り札です。 将棋では「王手は追う手」、囲碁では「アタリアタリはヘボ碁の見本」という格言があります。 トランプでは切り札は最後の一番良いタイミングに切ります。 アタリに逃げたり、ツイだりするのは、多くの場合絶対的なものです。また、多くの場合、アタリは2方向から可能だったり、アタリを打たなければ反対からのノゾキが利くとか、アタリという手は色々な選択肢の1つということです。だから、アタリを急いで打ってしまうと、他の選択肢を放棄してしまうことになるのです。 場合によっては、アタリにしなければ、その選択肢がそのまま残っているから、それらの選択肢全てに石があると考えることすら出来る場合があります。 初中級者で、先手だからということで、安易にアタリを打ったりすることがあります。上記のことを理解するとワンランクもツーランクもレベルアップするのではないかと良く思います。 <右上> 中国の古棋書「玄玄碁経」にある「明珠出海勢」という問題です。白の1子をどうやって脱出するか。 アタリアタリで自石のダメを詰めるため脱出できません。 <左下> 白19、21の準備の後、25と切って初めて27とアテテ、脱出できました。 | |
星の黒石に白がコゲイマガカリし、黒が一間にハサんだ定石形です。 <右上> 定石書では黒1が良いことになっています。この手のメリットは抜いた形が厚いということ。デメリットはシチョウアタリを打たれることです。 <右下> 同じアテでも、黒3とアテる手もあります。周囲の状況によっては、こっちの方が良い場合もあるかもしれません。 ただし、黒3に対し、直ぐには逃げずに、様子を見る作戦にでることも考えられます。 <左下> シチョが悪い時の代表的な手の一つですが、黒9とノビるのも定石です。白10を保留することもあるでしょう。 <左上> この黒17も定石です。アタリを打てるけど、意識して、打たないのです。 |
大切なことは、 1.前項の「アタリは急いで打たない」 2.本項の「アタリを掛ける方向の選択を適切にする」 です。 <右上> 黒1の目外しに白三々に入った定石です。 白8とアテを打ちました。白8が定石外れで、白は敗線を3本もハウことになりました。(ハワないと、押さえが先手になるからです)それと、白9とキル手も放棄したことになっています。 <右下> 定石は単に白16のハネです。黒はノビないでカタツギです。白18で一段落。 <左下> 白20に黒21とノビると、白26で、こっちをキラレ黒2子が苦しい形になります。 <左上> 黒31のアテも定石ハズレ。もし、黒31のアテを打ってない場合は・・・。 次図参照。 | |
<右上> 黒P18のアテを打ってないと、黒1からのヨセが打てます。 <右下> 白8とアテテ、白10と打ってR8の黒石を取ることが出来ますが、黒13のツケに対して抵抗出来ないので、黒有利な分れになります。 <左下> 黒21に対して、白22と打つと、黒23で白大損のワカレになります。 |
「愚形」とは石が働いていない形のことを言います。 お金の無駄使いと同じです。5千円の価値のものを1万円で買うようなものです。 「コリ(凝り)形」は愚形ほどでないけれど、やはり、石を働かせていない、ぜい肉がついた状態で、無駄な石が付いている形です。 <右上> 愚形の例。 <左上> 右上の図から不必要な石を黒5個、白2個取り除きました。 白はここだけで、3手を無駄にしていることになります。3子の置碁だと、もう置石のハンディは無くなっていることになります。 <右下> コリ形の例 黒R10の石が右下の黒石に近すぎます。(R10の石がR9にあれば愚形) <左下> 右下の形が出来る経過を示します。 目外しの白石とコゲイマの黒石の布陣では、コゲイマの黒石から黒1とヒラク手はコリ形に導かれることになり、黒1は悪手ということになります。 | |
<右上> コリ形の例 黒1に対して、白2とハネ、以下の手順で白12までになりました。 黒の形はコリ形です。眼形が豊富ですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」の格言の通り、二眼あれば良いのに4眼も5眼もあります。右上だけにこんなに手数を費やしてはいけません。黒3 までの段階と、白12までの段階を比較すれば一目瞭然です。 <左下> 白14に黒15と受けました。受けた段階の黒5子は空き三角の愚形です。この様な形になるのであれば、黒H3、H4の2子は捨てることも選択の範囲に入れるべきです。 尚、愚形回避の手は黒L3、K4等です。L3では黒2子を捨てる変化になるかも知れません。 |
相手を愚形、コリ形にさせる手を打つことも大切です。 <右上> 黒1が白4を強いる手。空き三角に満足して、黒5と守るのが本手。 黒1は利かした石なので、軽い石だと考えます。 <右下> 空き三角を避けて、白8と打つことは出来ます。しかし、黒9と押されて、白はヘボコスミになっています。 この後、白からここを打つ良い手はありません。黒からは黒13が良い手です。 <左下> 黒17のハネに白18とツケた場合は、黒19とワリコミを打ちます。 黒25までの形は、白26からの出切りはありません。 <左上> 黒33と予め守ってある形で、黒35と打たれたら、白36が形です。黒35、37がヘボコスミなので、黒41で左辺を打つ良い手がありませんが、白からは白42という良い手があります。 | |
<右上> Q14が打ってある場合は、黒1と低くハサムのが良い手です。 <右下> 黒O4と守ってない場合に、黒5と低くハサムと白10の後、白Q5の出切りが脅威となります。 <左下> 黒11は悪手で、黒E6と打つべきでした。白12から黒17までの形は黒の形が崩れました。この形をダンゴと呼び空き三角以上の悪形です。 |
上手(じょうず)まっすぐ、下手(へた)コスムという格言があります。 コスミには良い手もありますが、接触戦では悪手になるケースが多いのです。 <右上> 黒1は秀策流のコスミ。良い手です。 <右下> ところが、白石が1路近い黒3はヘボコスミということになります。 <左下> 白4と真っ直ぐオシ、白6とハネ、白10となると、白はノビやかな形です。 <左上> 左辺を打ちたければ、黒11とトビツケて、白ハネにはヒクのが正しい手で、定石となっています。 | |
<右上> 白から打つ場合は、白1又はR13です。白Q13はヘボコスミです。 <右下> 黒から打つ場合は、 黒2 白地を増やしてでも、右辺の勢力圏を拡大する手 黒N5 右辺の勢力圏を広げ、白の受け方を見た手 黒N4 中央にまで勢力を広げようとする手 黒M3 下辺開拓の足がかりを得ながら、 右辺を固める調子を求めた手 黒O5 ヘボコスミにつき考えなくても良い手。 <左下> 接近戦でコスミが良い手になることも、稀ですがあります。 黒4がその例です。 <左上> 左下と同じ形ですが、黒8と真っ直ぐに打つと白9と打たれ、 裂かれ形になり黒不利です。(黒8は少しでも強い石である白9等の石より遠い方が良いのです。) この様に裂かれ形を回避する場合に、コスミが良い手となるケースが多いのです。相手の石がより強い時には真っ直ぐの石は欠点を出すこともある訳です。 |
「オシ」や「ハイ」の真っ直ぐは、相手への当たりが強いけど、相手の後から行く手なので、つねに相手が一歩先行します。
そこで、追いつく爲にケイマを組み合わせます。 <右辺> 黒2とオシた後、黒4と足元を払って攻めます。 <下辺> 黒6のコスミは当たりが弱く、白7と大いばりで押さえます。 白9までの形は、黒の根拠が弱くなって、黒が苦しいほどです。 <左辺> 黒14のコスミは迫力がありません。黒C9のマガリなら良い手です。 | |
<右辺> 黒2、4、6といつまでも押していては、白が強くなります。 <下辺> 黒16とケイマに打って一歩先を行くのが石を働かせる手になります。但し、白K6からの出切りがないことが前提です。 また、白M5等の利かしがありますので、認識しておく必要があります。 <左辺> 黒18とオシて、黒20のケイマもあります。 <上辺> 黒24のコスミは白に楽をさせます。コスミは攻守いずれにも中途半端になりがちです。 |
碁では働きを失った石を腐った石といいます。 相手の強力な石に接触していたり、動き出しても相手に響かない石がそれに当たります。 相手の石は腐らせ、自石は腐らせないようにします。 <右上> 大ゲイマ受けから三々に打ち込んだ時の定石です。 白11は、白R14の石を腐らせない爲の手です。 <右下> 黒12と打たれると、白O3の石は腐った石となります。 <左下> 白13の打ち込みは白D6の石が黒22により腐った状態ですので、右上のケースに比較して、白13の打ち込みの時期を注意する必要があります。 <左上> この形で、シチョウが良い場合に、白23と切っても、黒24と守っておけば、上辺は安泰なので、白23と黒2子の戦いは黒有利です。(黒B15のハネツギも左上の白に利いています。 | |
<右上> 黒1は白2とヒラかれて、隅の地を守るという意味では良いのですが、白を攻めるには不十分です。 <右下> 黒3とコスミつけて、黒5と打つのが厳しい手です。 黒3の手自体は白4と白石を強くするデメリットがあります。 但し、白R6の石のサバキを拒否している大きなメリットがあります。 黒3白4が無い時における白R6の石のサバキの例 1.R4のツケ 2.R3の三々入り <左下> 白8と打てば、黒9により白の石が腐ります。 <左上> 黒11のツケでは白12、14で攻められない形が出来ます。 |
石を腐らせるテクニックを学びます。 <右上> この様な形の場合、黒を分断するのが第一ですが、単純に分断するのと、工夫をするのでは、石の働きが多いに異なります。白1以下、分断の目的は達成されましたが、白5とハサんで攻めようとしても、白自体2つの弱石となり、逆に攻められます。 <右下> 右下を生きても、4〜5目の小さい生きで、白Q4以下の2子が弱くなってしまい、白、大いに不利な形です。 <左下> ここは、白13と1目取らせ、白19と黒G3の石を腐らせるのが最善で、(この形は白F1、G1が利いており、)白大変有利な形です。 <左上> この形は、黒小目に対して、白一間高ガカリ、黒ケイマにハサム定石の変化から生じたもので、黒26が定石ハズレの爲、白有利な形になっています。黒26はC15が定石です。 | |
<右上> この形は黒の定石外れから発生したものです。(左上参照) 白1と黒N17を腐らせる手は不十分で、黒4まで黒の好形になります。 <右下> ここは、白5が急所で、白9まで利かせ、白11と打って白十分です。尚、白11で、Q7は白コリガタチです。 <左下> 黒が12を利かせて、14と逃げ出すのは黒は攻められることになり、歓迎出来ません。 (注.右下の石は無視して考えて下さい) <左上> この形が出来る手順です。白17は黒18のワタリを阻止している手で、そこを無理ワタろうとするのは良い結果にはなりません。 |