棋力開発

 01 背中を考えるヒラキ
   A 模様の立体化とその妨害
<右上>
碁は常に全局を見て打つ必要があります。特に序盤は全局的な形で判断する必要があります。

左図の黒1と、下図の黒1を比較した、時左図の黒1が立体的だし、下図は白2のワリウチにより黒模様は立体化されません。
ヒラキの選択の基準として、その辺だけで判断するのではなく、盤上の全ての石をどう働かせ、相手の石を働かせないようにするかを考えて着手します。 白2は相手の石の連係を絶つ手ですが、左辺に打って自石に連係を保つことより、メリットが大きいと判断されて選択されたのです。
黒1をC10と打てば、白は右辺にワリウチをするでしょう。 黒1と打って、白2を誘って、黒3と3連星に打つという作戦です。黒1はこの辺だけでなく、全局的に中央制圧を目的とした着手です。
もし、白が黒の作戦を嫌って、白1と右辺を打てば、黒2と左辺が豊かになります。
 01 背中を考えるヒラキ
   B 広げれば隙がある
白1は広いヒラキです。黒は隙ありと黒2に打って来ます。 白の意図としては、誘いの隙をみせて、相手の侵入を誘い、その石を攻めて局面を誘導しようとします。。


棋力開発

 02 根拠のヒラキを効果的に
   A 根拠のヒラキは必要な守り
根拠のない石は攻められた時に、他の石や地に悪い影響を及ぼします。出来る限り、根拠を持ち、石を強くし、その力を利用して、全局的な得を図るのが良い打ち方です。
従って、根拠を持つためのヒラキは大変重要な手となります。

<右辺>
黒1が根拠を持つためのヒラキです。このヒラキによって、右上の星の石と協力し、大きな模様が出来る可能性が生まれました。

<左辺>
根拠を持つためのヒラキを打たなかった場合、白2と先着されると、白4が実現し、ここに白の根拠が出来ます。黒は上下の黒に根拠がなく、両方に根拠を持つことは難しいので、苦戦となりそうです。
<右辺>
白1は根拠のヒラキで大切な手です。
但し、黒2と右上の星からヒラキヅメされ、手抜きをすると、黒4と攻められます。
黒4に対しての受けは定石化されているので、それはそれで我慢もできますが、このヒラキを工夫することも出来ます。

<左辺>
黒8で手抜きして、白9とカカリ白の受けを見ます。白の受けに合わせて、適切なヒラキを打とうとするものです。
<右辺>
白1に対して、黒2のコゲイマ受けなら、白は3とカケツイデ、白5とヒラキます。これなら、黒2が一路遠いので、白への打ち込みが緩和されています。

<左辺>
白7に対して、黒8の大ゲイマなら、白9とカタツギして白11とヒラキます。黒8が遠いので黒C8も急所を外れています。
 02 根拠のヒラキを効果的に
   B 定石の最終手は全局を見て
定石は
1.実利と外勢に分かれる型
2.両辺に勢力を分け合う型
3.隅の地を取る側と辺へのヒラキを取る側に分かれる型 などがあります。
3の場合は、辺へのヒラキが最終手となることが多いのですが、この辺へのヒラキが根拠を持つ手となっており、大切で、
A.省略しないで打つこと
B.全局を見て工夫をすること
が必要です。

<右上>
白5が大切で、手抜きすると、黒5等とハサマれ、白3黒4の交換の為に、白のサバキが難しくなります。
また、白5は、下辺との関係で、Q12等と構えることも考えられます。

<左上>
白13も根拠を持つヒラキです。三立四析の原則からすれば、一路広くヒラクのですが、この場合は黒G14と先手で打たれる手がいやなので、白13が定石となっています。

<左下>
黒20が辺へのヒラキ。一路広くヒラクのもあります。
その場合は、白F4から、白E8が利くので下辺が白厚い形になります。
また、白がF4の守りを手抜きすれば、黒22があります。
黒22が打てると、左辺が黒厚くなるので、黒20は一路広い方が理想です。
<右辺>
黒6がこの定石の最終手です。
この形では、黒8と反対からカカルのが良い手になります。
但し、黒Q14と打ってあれば、黒R6と打つのが、右辺の模様を広げる手で、良い手になります。

<左辺>
左上の白に対してのヒラキヅメを実現するために、黒12では、大ゲイマに打って、黒14を自然な手にする工夫もあります。
白C6等が残っていますが、左下の白の急所は黒D4なので、黒がD4に先着できれば、黒が大いに働いた打ち方になります。
<右上>
黒7がこの定石の最終手で、一路広いのもあります。
この様に堅く打つ場合は、黒9の打ち込みを狙います。

<左辺>
この様な配置で、黒11とヒラクと、白12を利かされ、白14、16等と打たれて、左辺の模様が大きくなります。
この様な配置では、黒11は一路狭くヒライて、白12に対して受けなくても良いようにしておくべきです。


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 03 バランスで守る弱点
   A 全局的バランス、高低のバランス
弱点がある時の対処法

1.直接守る

2.間接的に守る
  石の強弱のバランスで守る
  高低のバランスで守る

3.手抜き 
  攻められても、被害が少ない場合

<右辺>
黒1と打ちました。これは右辺全体の力で打ち込みに対処しようという意図の手で、石の強弱のバランスでの対処と言えます。
尚、直接守る手は、黒R11となります。

<左辺>
黒3も石の強弱のバランスで守る手法です。
白4に対しては、黒5、7と打ちます。全局的なバランスで弱点を守ったとも言えます。
<右辺>
黒1  高低(4線と3線)のバランスで守ります。
白2でR8と打ち込んでくれば、黒Q8と打って、黒は厚みを作ります。守る手がいつも地を得る手でないということです。黒からは黒3が好点です。

<左辺>
黒5はバランスが悪く、白C8、白C12の打ち込みを狙われます。
黒7と打っても、白8で模様の規模は大きくなりません。
 03 バランスで守る弱点
   B 石の強弱のバランス
石の強弱のバランスには
1.間接法  相手の弱点を衝いて自分の弱点を守る。
2.分散法  自己の弱点を分散し、一方の弱点を衝かれれば
       他方の弱点が消える形を作って守る。
の2種類があります。

間接法の例1

黒1、3  間接的に白Q8の断点を守っています。
白4    黒Q9のキリを直接守りながら、白Q8のキリを
      狙っています。
黒5    白Q8のキリに対しては、生き形で対抗
黒11   白P7の切りに対して、白を攻めることで対抗
黒15   白P7のキリには、右下生きがあります。
白18   N5と打てば、黒E14のシチョウが成立します。
間接法の例2

白1は隅を守りながら、白C12の打ち込みを見ています。ここで、黒の弱点は、白M17です。黒はこの弱点を守るのに、右辺の白を攻める黒2、4と打ちました。結果、黒の弱点を消した上、上辺が盛り上がってきました。
白1では、直接白M17と打つ手の方が厳しい様です。
分散法の例

原図の段階で、
白は実利を確保し、弱い石もない状態なので、上辺に打ち込んでも取られる心配は無さそうです。

ここで黒1、3と打ちました。
黒3までの局面は
1.白が上辺に打ち込めば、中央がまとまり
2.中央を消せば、上辺がまとまる
という形勢になっています。
一方を消せば、一方がまとまるという状況は、まさに「分散法」の効果です。


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 04 根拠のある石は強い
   A 厚い石と堅い石は戦いに強い
「厚い石」
発展性があり、模様形勢に役立つばかりでなく、近寄って来た相手の石を攻めることが出来る。

「堅い石」
相手に近寄られた場合に、相手を攻めることが出来る。 眼形のある石は戦いに力を発揮する。

<右上>
白の実利、黒の厚み。
白がこの黒に近寄っては攻められるし、黒もこの黒から小さくヒラクことはしません。白黒どちらからでも「厚みに近寄るな」です。

<右下>
黒石は白1と打たれるといっぺんに眼形が不安になります。 黒は攻められて、右辺、下辺に白地を与えそうです。

<左上>
上辺の黒は生きています。白から近寄ると攻められるだけです。また、黒からこの近辺に打つのは、少しの地が増えるだけです。従って、白黒共この黒の近辺には石を打つのは得策ではありません。

<左下>
下辺の黒は眼形がありません。白5と打って中央に追い出して攻めれば、白はいろいろな得を得るでしょう。
<右上>
黒は黒2と打って始めて厚みとなります。黒2がない状態は、眼形の弾力がなく、

<右下>
白3、5と攻められることになります。

<左下>
右下より一路狭くハサんでみます。この形は黒8、10が利く形なので黒12となった段階では、白7が黒石に近すぎて、攻められることが不利となります。

<左上>
白13しすぐハネるのは、黒16以下黒20と切られて白の苦しい形になります。
 04 根拠のある石は強い
   B がっちり固める威力
厚い石と堅い石は強い。
強い石は戦いに威力を発揮します。
がっちり固め、将来の戦いに備えるのは、弱点を分散する「足の速い打ち方」と対比して、「厚い打ち方」と呼ばれ、多くは「本手」を打つことにより、実現します。

黒1は「本手」で、白1子を取りきって、厚い碁になりました。smile_aceの好きな手です。

白2の後、黒3のスベリを黒1を打った権利として、利かそうとしたところ、白4の反発となりました。黒7までとなった段階で、黒1と本手を打った為、白C10、C8と打たれても、左上の黒は丈夫で安定しています。
黒1が無ければ、色々な利きを見られて、黒5以下は成立しません。
白1が本手です。
右下から下辺への黒模様が気になるところですが、
 1.白R6の打ち込み
 2.白R3の三々
 3.白O3のカカリ
 4.白M3のウチコミ
 5.白H3のウチコミ
等、黒模様には色々な手段があり、黒の手番であっても、それらを全て防ぐことは出来ません。
白1により、白が安定したので、右下の黒模様を制限したことになっています。


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 05 弱い石は行動が不自由
   A 弱い石は周辺にまで悪影響を与える
根拠が不安定で中央進出が容易でない石は弱い石です。そういう石があると、その石が攻められる時に、周囲の石に悪い影響が及びます。(逆の表現をするなら、弱い石を攻める場合は、相手の石を攻める時に、攻めの対象の石以外に何らかの損害を与えながら攻めるのが、旨い攻めです。

<右辺>
黒1から5まで、白を攻めながら、右上に地模様を作りました。

<左辺>
黒7、9に対して、左上の地模様を妨害した場合は、黒11、13とカラミ攻めをすることが出来ます。この攻めの予想される結末は、
1.白8以下の石が取られる。
2.白10の石が取られる。
3.下辺に大きな地が出来る。
のいずれか、あるいは複合した結果となるでしょう。黒は、それらを目標に攻めることになります。
黒は上辺の6子が弱い石、下辺の2子も不安があります。
一方白は左上の9子が上辺とのワタリを止められると危険になります。
従って、この白9子を補強しながら、上辺の白6子を他の白石と連絡させないように攻めれば良いということになります。

白1のキリから白7を利かせ、白9とハネダスのが厳しい攻めです。白7以下の石は黒に対して、色々な利きがあり、白は見た目以上に厚い石になったので黒のシノギは苦しいものとなるでしょう。
 05 弱い石は行動が不自由
   B フリカワリで弱い石を処理する
白1の二間トビに対して、黒2と二間の石をいじめに来ました。白は全ての石を助けるという考えを持たずに、軽く捌くという考え方で対処すれば、シノギは見えてくるものです。
例えば、黒4に対して、直接白の断点を守らずに、白5と黒石に働きかけます。右上が黒地になるのを是認し、自らの石の整備をします。この様に、相手にも与えて、自分はそれより少しだけ得しようと考えることです。
上辺でコウ争いが発生し、黒は下辺にコウダテをし、ツキヌキました。
白は下辺をサバクのにコウという手段を使うことにし、 白1から白5までコウにしました。黒18のコウダテに手抜きし、コウを解消しました。
黒20となっても白21で、被害を最小限に食い止め、全局のバランスが取れる状況です。


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 06 追い上げの攻めは根拠を奪って
   A 地を得しながらの攻め
よほど相手が放置していた場合は別として、攻めによって、相手の石を取ることはなかなか実現しません。無理に取ろうとすれば、自己の石の弱点を突かれて、自分の石が破錠する可能性の方が高いでしょう。
攻めの出発点は

1.相手の根拠を奪って攻める
  根拠を奪って、活きの形を作らせないことにより、
  相手に、以後の着手に制約を加え、得を図る。

2.相手を封鎖して攻める
  囲いの中で生きてもらうことにより他の石と分断し、
  自石を厚くする。活きようとする手が、相手を強くする
  手になることが多いものです。

3.相手の石の中央進出を妨げながら攻める。
  封鎖出来ない場合に相手を辺や隅に追い込んで、
  勢力を作る

<右辺>
黒1により、地を得しながら白を追い出して、以後の白の着手を制限しようとします。
黒3はこの石が無いと、白S10によりワタリがあるので、黒の形を厚くしながら、ワタリを消した手です。この形で、白S10と打っても、黒S11でワタリは阻止出来ています。

<左辺>
黒5は白B10のワタリを阻止しながら、左上に白を封鎖して、黒の上辺を厚くしようとするものです。
白が2眼作ろうとする手が殆どの場合、黒の外勢を厚くする手となる時は、黒満足です。
黒1、3は黒の根拠を作りながら、白を攻めます。
白4と受けるのが相場ですが、もし受けなかったら、黒4と打って攻めながら下辺を盛り上げます。
また、白4で、O6などと下辺の黒模様を少しでも小さくしようと働いた手を打ってきたら、働いた手=薄い手ということなので、黒O9あたりから全体の白を逆襲します。
黒1が上から攻める手です。出口が沢山ありますので封鎖は出来ませんが、中央から打って下辺を盛り上げます。

白2と双方の根拠に関する要点を打たれた場合は、黒3と強い白にもたれて、サバキます。
 06 追い上げの攻めは根拠を奪って
   B 双方の根拠の要点を意識する
双方の根拠に関する要点は常に意識しておく必要があります。派手な上からの攻めより堅実な手と言えます。

<右上>
黒1は地の要点ではありますが、お互いに根拠を持っているので、中盤で打つ手ではありません。ヨセになった早い段階で打つ地点です。

<左上>
黒3の地点は、白が手抜きした場合に白の根拠を奪う黒5があります。

<左下>
逆に白6と打った時に、黒7と押さえると、白8が来ます。 白6に対しては、黒E6と打つのが良い手となります。
<右上>
この形は黒1が黒の根拠を確保する手として、大きい手です。白は後手で受ける訳にはいかないので手抜きですが、その場合、白6までとなって、白の辛い形になります。

<左下>
白は辛いからと白8と打った場合、黒は黒9と打ちます。
白8は右上の図との差が20目にもなり、大きいのですが、黒9が左上に対してどれだけの効果があるかという問題があり、左上の形によって、是非が判断されます。


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 07 封じ込めは進出を止めて
   A 進出のシン(芯)に一撃する
上からの攻めは、根拠を奪う攻めの効果が少ない時に行います。その攻めは全局的な視野を持って行う必要があります。 その手順上の特徴は
1.相手の急所を一撃し、相手の出方を見る。
2.相手の手に応じて、攻めを行う。

<右辺>
黒1と打つ、白2を待って黒3と相手の進出したい地点を奪う。白は、
1.白N10のコスミ
2.白O11のマガリ
3.白4のツケ
等を打って来るので、それに対した適切な攻めを行う。

<左辺>
黒7と打って、白8とトバれると、白が丈夫になっているので、白10に対して、黒11と損をしないといけなくなります。
黒1と、白の弾力を奪って(白を重くして)黒3と白の進出地点(芯)に先着します。
白4と地を作りに来たら黒は右上が黒地になります。
このようにして作った黒地は、攻められてやむを得ず作った白地に比較して大きいものです。

黒1で黒4と白の根拠を奪う攻めに来た場合、白3と打ちます。白はくつろいだ形になったので、白F16、白P17等を狙います。
 07 封じ込めは進出を止めて
   B 封じ込みの厚みをどう利用するか
右下の黒に対して、白T8のサガリの利く形です。従って、右辺は極端に薄い形です。黒1から7までを利かして白9と打って白優勢です。
白1、黒2となった時点で、L11の穴はあるものの、白に響かず、白が大変厚い形です。
右辺を攻めて、下辺を地模様にしました。また、白の厚みの直ぐ近くなので、左辺に白が打ち込むのも容易な局面です。


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 08 二重の目的を持った手を捜す
   A 一つだけの目的はかわされる
1つだけの目的をもった着手は、相手にかわされ易いので、2つ以上の目的をもった着手を選択します。
目的は下記の様に抽象的なもの、具体的なもの色々あります。
1.攻める
2.逃げる
3.地を取る
4.封鎖する
5.根拠を作る

<右辺>
黒1の目的
  黒2の封鎖
  黒3のハサミ
白2の目的
  黒1をハサんで攻める
  白Q16と右上に根拠を作る
黒3の目的
  黒R4とコスミツケて白を重くして攻める
  黒O4と下辺に展開する

<左辺>
白4の目的
  黒D4への攻め
  黒D12への攻め
黒5の目的
  白4への攻め
  黒D12の石の守り
白6の目的
  黒D4への攻め
  黒5への攻め
<右辺>
黒1の目的
  白の根拠を奪いながら、黒地を拡大する
白2の目的
  白を補強しながら、黒の2子を攻める
黒3の目的
  黒2子を補強しながら、黒O3の動き出しを狙う
白4の目的
  黒O3を取り込みながら、下辺を厚くする。

<左辺>
黒5と先に飛ぶと白6と実利と根拠を兼ねた絶好点を打たれます。黒7と動き出しても白10でうまく行きません。
 08 二重の目的を持った手を捜す
   B 全局を総合的に見る
二重の目的をもった手のつもりでも、それが全局的に有効な手ではないというケースもあり、碁の奥の深さを示します。

白1は黒の急所で黒2を強要し、白3と先手で白3を打ち、左下に回りました。
白1は黒を攻めながら、白の形を整えるという手なので、二重の目的を持った良い手の様に見えます。
ところが、黒は、白5に対して、黒6から10と先手で切り上げ、黒12と封鎖を実現しました。白1、3は打ちすぎだったと思われます。
単に白1と打って、黒2と受けさせ、白3と打ちます。黒4で上図の様に打てば、黒が厚くなりますので、白1は事前に逃げている良い手になります。
また、黒4と押さえてくれば、白5、7で上の黒4子を攻めることになりますが、白1はその攻めの応援になっています。
つまり、こちらの白1の方が局面に合った良い手ということになります。
<右辺>
黒1は白の根拠を奪って攻めようとしています。白2には黒3で良く、白4のヒキに対しては黒5と、白への攻めと、黒M16を目的としています。 参考.白6に対しては、黒7で白の断点があり、白はうまく行きません。

<左辺>
黒23に対して白24が良い手です。
白24は、白F9を打って、白C12で黒23の一子を取る手を見ています。
従って、黒25とトンで白F7の強引な封鎖を拒否しながら、
1.黒H4で下辺を破る
2.黒C12でワタる
を見ています。


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 09 ウチコミは時期を考えて
   A ウチコミは得か
打ち込みは相手の地模様を破る手です。
例えば、星の石に対する三々打ち込みを初級者は極端に嫌います。でも、上級者は模様を破る手が必ずしも、破る側にプラスなになるとは思ってはいません。

打ち込みのメリット・デメリットは次の様なものです。
<メリット>
1.相手の地の大幅な削減
2.相手の根拠を奪うことにより、相手の石が弱体化する

<デメリット>
1.自ら根拠の無い石を作る
2.封鎖されて生きることになった場合は相手に厚みを与える
従って、打ち込みの時期、場所をよく吟味して、少しでもメリットの多い打ち込みを決行する必要があります。

<右辺>
白1の打ち込みは地を増やしながら、白の地模様を荒らしています。そういう意味では、マイナス面はないと考えるかも知れませんが、間違いです。
この打ち込みのマイナス面
1.白は攻められる石では無くなった
2.黒は中央への発展が難しくなっている

<左辺>
黒11とカケル手があり、下辺に黒模様を作ることが可能です。打ち込んだ方が得なのか、模様をはるのが得なのか、十分の吟味が必要な局面です。
<右辺>
この局面で、白1の打ち込みが成立します。白9まで、もし黒が打ち込みをされないようにQ12に打てば、黒地は20目弱の地が出来ます。
この20目弱の黒地は白1により、2-3目になってしまいます。でも、打ち込まれて、白が全ての面で得をしたかというと、必ずしもそうではありません。

<左辺>
白は白11と打って左上を模様化することを放棄しての打ち込みであったなら、白の打ち込みによるメリットは打ち込まないメリットに遠く及ばないことになるのではないでしょうか。
 09 ウチコミは時期を考えて
   B ウチコミは全局の問題
<右辺>
白1の打ち込みの成果はどうでしょうか?
結論として、白1の低い打ち込みは、右下の白の厚みが働いていない結果となっているので、白の打ち込みは失敗です。

<左辺>
ただし、実戦は黒14がキリであったので、白有利な結果になっています。