1手の着手は「点」です。それが「線」につながって辺や隅と協力して「面」を確保すれば、「地」になります。しかし、相手は、その線が重要だと思えば攻められるのを覚悟で妨害します。 <右上> 黒1、3、5、7はそれぞれ点ですが、それの集合は線になっています。そして、盤端と合わせて面が作られています。面が作られた時、地になる可能性が高くなります。 <左上> 但し、右上は効率は良くありません。同じ4手で左上に面を作りました。不完全な面ですが、これを妨害しようとすると、打ち込みが必要となり、攻められる原因となります。 <右下> 黒9の段階では、1対1なので、線の作成を妨害する白10が極端に攻められることはありません。 <左下> お互いに盤端を利用して面を作っています。 尚、左の図では3線、4線に線を作っています。2線に作るのは効率が悪く、5線6戦に作るのは相手が妨害しやすくなります。 また、作成した線の両側を利用することを考えれば、5線6戦でも有効なこともあります。左上の白2,4は線の左側を利用した面と右側を利用した面の両方を利用しているので、効率の良い線の利用法ということが言えます。 |
石の配置は、隅、辺、中央と分けて考えることが出来ます。また、隅や辺では盤端からどれくらい離れているかも重要な問題で、相手が線の構成を妨害してきたときには、その距離の影響がより鮮明になります。
<右上> 黒1の星の石は上辺、右辺、中央に発展性があり、上辺から掛かられた時に手抜きして、右辺からも掛かられた時に黒5等で中央へ進出することが出来ます。 <右下> 黒3の小目は右辺、下辺への発展と、隅への根拠の持ちやすさがあり、白10に手抜きしても、下辺への発展と隅への根拠獲得のいずれかが可能になります。白12は隅への根拠を奪った手なので、黒は下辺へ発展する手を打ちます。 <左上> 白18に対する黒19は隅への根拠を獲得する手なので、白は左辺への発展する手を打ちます。 <左下> 黒23に対して白が手抜きをすると、下辺へ発展をする手を妨害され、白は根拠を失って攻められることになります。 |
線を強固なものにすれば、「相手によって進入される恐れの少ない地」になります。しかし、その間に、相手も同じ手数だけ打っています。強固であっても、相手より効率の悪い線や面を作っていると、相手が有利になります。 <上辺> 黒石6個と盤端で作られた面は確実な地です。 <右辺> 上辺が3線なのに対して4線で作られる地は確実に大きい。 <下辺> 5個の石で作られる地の大きさは右辺の地以上になる可能性があります。 | |
<右辺> 黒1、3、5、7と打って次に8の点に打てば黒は理想形です。しかし、それが理想形なら当然相手は妨害してきます。完成寸前の妨害が一番効果のある妨害です。 <左辺> 黒は工夫をして、黒15を16の地点に打たず、15の地点に打つことが考えられます。その場合は白16と打つのが良い妨害で、この場合妨害された黒は白を攻めることにより、妨害されたマイナスを取り戻す必要があります。左辺は黒は妨害されましたが、左上に良い模様が出来ました。 |
線を省略して面を作れば、相手が接近してきた時、弱点が生まれます。その弱点を守るか、放置するかが作戦の分かれ道です。 <右辺> 黒2に対して白3と二立三析にしっかりした面を作りました。黒4と迫って来ても、中央への逃げ出しが可能なので、直ぐに受ける必要はありません。 <左辺> 一路広くヒラクと黒8と迫って来た時に、ある程度の損害を覚悟しなくてはなりません。黒10と打ち込まれて、白は根拠を失いました。ただし、白は1手を別のところに打っていますので、その程度のマイナスは容認すべきなのです。 | |
<右辺> 白1と星の石に働きかけ、黒2と守ったら、白3と大きな面を作り、白の意図通りとなりました。 <左辺> 黒は白5に対して、白の意図を外して、黒6と打つのも立派な作戦です。 |
石の連絡で、線が形勢されます。その線は、盤上に引く目的により進行します。 しかし、どこまで進めば目的を達成したかの判断は、ケースバイケースで難しい場合があります。 <右辺> 白1の進入に黒2、4と攻めました。黒2は、白1のサバキを与えない手、黒4は白P16などの手を防ぎ、右上を地模様にする手です。 白は、白5、7、9と打って一団を強化しました。黒はこの段階で、これ以上の追求が出来ないことを知って、右下を黒10と守るのが好手だと知るべきです。黒10により、右下は地模様が地になりました。こういうタイミングが守るべき最善の時期、妨害する最善の時期となります。 <左辺> 黒12と白の一子をハサんで攻め、黒14と追求しました。白15に対して、尚黒16と追求すると、白は白17と打って隅を荒らします。 この段階で、白13、15の石を攻める厳しい手があれば良いのですが、ないので、左下を荒らされるマイナスだけが黒の負担となります。 |
一連の作戦行動がほぼ終わって、その部分をそれ以上打っても、効果が少ない状態を「一段落」といいます。 どの状態で、一段落と見るかは、全局的な判断が必要です。 この判断は難しいのですが、一段落かどうかを常に意識することにより、小事にこだわる着手は激減します。 <右上> 白5で一段落です。白5を省略すると、黒からこの地点に打たれ、根拠のない白は不利です。 尚、黒4の時右辺に白石が無ければ、黒は手を抜くことは可能です。この場合白に三々を打たれれば、黒はR11に打って根拠を持ちます。 <右下> 黒が右辺を重要視したい場合は黒10と打って、外勢を得ることも出来ます。黒18(黒18はP7に打つ定石もある)までが一段落。 <左下> 黒24の時、白25と打つ定石もあります。この場合は白43までで一段落となります。 |
部分的には石数が多い方が有利ですが、それは、それぞれの石がそれなりの働きをしている場合に限ります。働いていない無駄石があったら、その石の分割り引いて評価しないといけません。 また、隅は2つの盤端がありますので、「根拠を作る」「地を作る」という意味において辺より隅が有利ということが言えます。 従って、「石数」と「石の位置」を総合的に評価して、有利か不利を判断します。 尚、ここで有利不利とは石の働きが良い方を有利と表現します。例えば、石数が10対5の場合、殆ど10の方が局地的には有利だと思いますが、10の石の個々の働きが平均80%で、5の石の個々の働きが100%の場合は5の石の方が有利と考えます。 <右上> 黒4子、白3子の評価ですが、黒はR15の石が無くても良い程度の働きなので、白有利と考えます。 <右下> 同じ2子がそれぞれ3線を2間に開いています。互角と言いたいところですが、黒R3の石が根拠と地を確かにしているので、一般的には黒有利と言われます。一般的にはと断ったのは、辺は中央に近いという性格があるので、辺に大きな模様を作れる可能性があるので、そういう局面になったら、必ずしも黒有利と言えない場面が出てくるからです。 <左下、左上> 同じ形ですが、ここは先着した方が有利です。D5やD15が良い地点ですが、相手にそこへ先着された場合、次に打つ地点で、この近辺にはD5やD15と同じ程度の価値のある地点はないからです。 | |
<右上> 定石です。つまりこの分かれは「互角の一段落の形」です。 互角かどうかの判断をするのに、古来「手割」という考え方が取られています。不要な石を白黒同数取り除いた形で評価するわけです。 右上の形は黒3、7、9、白2、8、10を取り除いた形、つまり、 左下の形で評価して互角と判断します。 上の図の右下の様に隅を占めているから黒が有利という考え方もありますが、先着した方が有利になる形なので、互角と考えます。 |
<上辺> 右上は隅を占めているから黒が有利という考え方もあると書きました。但し、それはあくまでも部分的な評価であって、全局的な評価ではありません。 この上辺の図では、左上の白のシマリと右上の定石が協力した形であり、白の石の働きを倍化しています。つまり、この図は白良しです。 <下辺> 左下の定石は、右上と同じです。ところが、上辺と異なり、白の厚みが右下の黒のシマリで消されています。従って、下辺は明らかに白石の働きが悪く、黒有利です。 |