良い形の定義

     定義を理解することにより自石の理想形を知る
「白が良い形だ」と説明したら、「どこが良い形なのですか」と質問されたことがあります。
当然のことですが、良い形が分かれば、着手を選択する場合に、それを目指せば良いので、「選択が正しく出来る」というメリットがあります。

「どこが良い形ですか」という質問は、具体的にこの形が良いと言っているのに出て来た質問なので、「この形は良いのだ」、「良いものは良いのだ」という説明では説明になっていません。

そこで、具体的に、良い形を出して、どこが良いのかを明示しようと思います。 それをまとめて定義を作りたいけど、良い形の性質上無理なので、良い形の例示にとどまるだろうと思いますが・・・。

良い形 真っ直ぐの石

これが、質問の図です。白1は実戦では白2と打ちました。smile_aceが白1とトンダ方が実戦より働いて、より良い形だと説明した時に質問されました。
「仮に黒がワリコミを打ってきたら、白1と打って、黒ツギとなった場合にF6のキリがあるけど、それでも、良い形なのか」というのが、質問の趣旨です。

以下、項目毎に説明します。

1.格言「 上手まっすぐ、下手コスム」の観点から
 a.左上の白3子、黒3子の比較
  白3子に対する利き味は殆ど無し
  黒3子に対しては、白C8、E7、F8、G9など非常に多い。
 b.白1、3、5の形の良さ
  カギ型ですが、利きの無い形で、真っ直ぐと同等に評価します。

2.ダメの数の比較
 黒2以下の4子のダメの数5手(空き三角なのでダメが少ない)
   白F5の石のダメを数えても6手
 白1以下の3子のダメの数6手(黒2のダメを詰めて良い形)
 つまり、石の数が少ないのにダメの数が同じ=白の石の働きが良い。


変化を1手ずつ追いたい場合は |< で戻してください。

良い形 空き三角でない形

<右上の黒3子は良い形>
白1子のダメを詰めているので白が逃げようとするといろいろな制約があるので、白は取られているのに準じた形と言えます。

<左上の黒3子は空き三角と言って悪い形>
3子あっても、その内の1子はあまり役にたっていない。悪い形だというのは、左下の3子と比較すれば分かります。左上は左下より劣るから悪い形なのです。                                                         

良い形 斜交いに覗かれてない形

<右上の黒5子は良い形>
黒J8の石があると安定した良い形です。

<左上の黒4子は悪い形>
右上の黒J8の位置の黒石が白石に変わると黒大変悪い形です。
従って、E8 にどちらが打つかということは重要な問題となり、文字通り、急ぐところ、つまり、急所になります。

良い形 相手の石を裂いている形

<右上の黒3子は良い形>
黒の3子は真っ直ぐの形で白の2子を分断した良い形

<左上の黒2子は悪い形>
白3子により分断されて悪い形です。従って、K10、D4の地点は白黒いずれからも急所になります。

良い形 

良い形 

良い形 

攻めの効用

     「攻め」を具体例で示さずに言葉で示してみる
「攻めの効果」という言葉をよく聞きます。「攻めるということは、取ることではなく、攻めることにより得をすること」だとも言います。
ここでは、攻めの効果、攻めるメリットを言葉で説明してみます。

攻める効果、攻めるメリットは一言で言うと「利きが増える」ことだと思います。利きが増えると、着手を選択する場合に自分の着手は自分にメリットがあって、相手の着手にはメリットの少ない手を強要することが出来ます。碁が石の効率を争うゲームである以上、こういう状況が発生すれば、局面は有利になっていくはずです。

「攻めの効果」とはそういう着手の交換を実現させる点にあります。

「攻めても生かしてしまっては、生きられた石には幾分かの地がつくのだから、生かしては何にもならない。」と考えることも出来ますが、幾分かの地より、攻めることによって模様(地になる可能性、次に攻める可能性)を作ったり、地を作りやすい形にもっていったりということを、意図を持って出来るということが攻めるメリットなのです。攻められた結果出来る若干の地より、大きなプラスがあれば、攻めの効果があったと言えるでしょう。