味方の多いところでは妥協するな

自石の石が多いところでは、妥協せずに、強く戦うことが必要です。
自石の少ないところでは、サバくとか、戦いを避けながら、打っている訳ですから、自石の多いところで強く戦わないと全局的に不利になります。

白1は互先の碁では無理な手です。
黒は自石の強いところなので、黒2と白の根拠を奪いながら、黒の根拠を得ます。
白3の封鎖に対しては黒4、6と強く戦います。
黒18で黒はキズを無くしました。
隅の黒と、右辺の白の攻め合いになります。
白19、21に対しては黒22と打ちます。
(黒22で黒23と打つと、白26のキリコミが手筋で白R15のアテが利いて、生き生きになります。)
以下石塔シボリで黒の取り番のコウになりますが、初碁にコウ無しで、黒が勝ち、碁も黒勝勢になります。

細かい変化は参考にしてもらえば良いのですが、ここでのポイントは、自石の多いところでの「心構え」です。
妥協せず強く戦って下さい。

一方地を囲うな

上辺に偏った白の配置は効率が悪いので、黒1に対する白2の定石の選択は良い選択ではありません。

効率が悪い理由は
1.お互いに生きている石だから、生きている石の近くは小さいという格言に違反している。

2.石の強さが盤面全体に影響する方が効率が良い訳ですが、2つの石の力は上辺にしか影響がないので、石の力という宝の持ち腐れです。

3.左辺、右辺の黒の石の強さは盤面全体に影響を与えています。
白は右辺を重視して、白1、3、5と打つのが良い感覚です。
白5までの分かれは、右辺の白3子の力が全局に良い影響を与えるという展開が予想され、互角の分かれです。

中地を囲うな

四隅取られて碁を打つなという格言もありますが、中央を囲って勝つということは大変難しいことの様です。

武宮九段(白番、中地を囲う名人はなんと言っても武宮正樹九段です)と林海峰九段の碁で、武宮九段が中地を囲って破れた碁を紹介します。

黒1から、三々に入り、中地を囲って貰おうとした林九段の作戦は 四隅を取って成功しました。
やはり、中地でもなんでも、厚みを地を囲う目的に使わないといけなくなっては勝ちは来ない様です。
結果は中央に約85目の白地が出来ましたが、右辺が65目の通しの黒地が出来、左上、左下にもそれぞれ15目ずつの黒地が出来て、盤面10目黒勝ちということになりました。
この最終譜からは右辺に通しの黒地が出来るとは想像しにくいですが、白が囲えば、黒も地が出来るということなのだろうと思います。

サバキを許さぬブラサガリ(鉄柱)

自陣に打ち込んで来た石を簡単にサバかせない手法にブラザガリ(鉄柱)があります。多くは、辺の星の石からのサガリです。

<右辺>
白1に対して、黒2がブラサガリ(鉄柱)です。黒2を打たないと、この地点に白に打たれ、サバキやすくなりますので、それを防止する訳です。

<左辺>
白11に対しても、黒12のブラサガリ(鉄柱)があります。
尚、白11で白B10なら、中央への出を止めるD12等が良い手です。


注.ブラサガリ(鉄柱)は自己の強いところで使う形です。相手が強いところで使うと、自己の石が重くなって、良い結果にはなりません。

石取って碁に負ける

石を取れば勝てるという単純なゲームでないところに碁の魅力があると言っている様に感じます。

左上で白は4子を抜き、その上8子も取り、左上の白地は約45目、右上の黒地もそのくらいあります。今後の戦い如何ということだと思います。


<注目して欲しいポイント>
後で取った、黒8子は、何れも生きている石にくっついている石ですから、取ってもヨセの意味しかない訳です。
生きている石の近くは小さい訳ですから、小さいところを打った白が必ずしも有利にならないのは当然と言えば当然です。

石の効率「手割り」で考えよ

「手割」とは、着手を分析(割って善悪を検討)するということです。分析する場合に、出来上がった形について、評価が出来ている形(例えば定石形など)と比較してみると、その形自体の評価がしやすいことを利用して、手順を変えて評価することになります。

例えば、出来上がった形が、定石形と同じところに石があったら、
1.定石形にどんな石が加わったのか
2.加わった石が良い手なのか
を判断するということです。

加わった石が少なければ、或は単純な加わり方になっていれば、判断しやすい訳です。つまり、
  分析対象形の効率評価
     =定石形の効率評価+付加された石の効率評価
定石形の効率評価は同等、つまり、評価差は0ゼロですので、
分析対象形の効率評価=付加された石の効率評価
になる訳です。

白1に黒2は当然の一着ですか?
では、白3に黒4も当然の一着ですか?
「黒4が当然で無いとしたら、黒2も当然では無い」これが手割りの考え方です。
手割りという考え方を説明するのは、上記で十分です。でも、じやあどこへ打ったら良いかという疑問があるでしょうから
  黒2は 右辺のヒラキ、N18のツケ、手抜き
  黒4は 左辺のヒラキ、E15の一間、手抜き
等です。E15は一寸固すぎるけど、黒4よりは良い手です。

黒6は白N3との出入りで大きな手です。
白7は白G3と比較して大きな手です。
この配置で
黒1の方が黒M17より価値がある理由は
1.左辺の星からのバランスが良い
2.白2のヒラキヅメより白C12のヒラキヅメの方が脅威
という2点にあります。

黒3と白4の価値比較では、下辺の星の石のスソが空いている分弱みになるので、下辺の方が価値があります。
高目定石の形をもとに、手抜き作戦が成立するか、手割りの考え方で検討してみます。

<右上>
高目定石です。白4のハネアゲに、黒5と取りたい方の反対を切り、黒7、9、11で1子を取った定石形です。ここまでは、定石なので、双方最善の着手です。
<右下>
黒13に対して、布石の段階で、黒13と打って来た時に、白4と受けるのが正しいか、手抜きが成立するかという判断について、手割りの考え方が答えを提示してくれます。
<左下>
黒15に対して、白が手抜きをすると、黒17が取る形です。
この形は、黒が9手、白が5手(取られた石も含めます)、つまり4手多く、黒が打っています。
そこで、手割りを考えるに当たっては、同手数を盤面から消去した形をつくり、その形で判断します。
白側の石は全部消去し、黒側の石の消去に当たっては重要でないと思われる石を消去します。
<左上>
消去した結果を示す時には、合理的な手順で考えます。
黒19 空き隅を先着した当然の手
黒21 シマリの当然の手
黒23 布石の段階では狭すぎる、多少不十分な手
黒25 悪手と言って良いほどの働きの無い手

ということになり、黒23、25が良い手ではないので、左下の様に死んでも、全局的には手抜きは成立するという結論になります。

<右上>
白としては、黒15が来る前だと、白26と打つ形が良い手です。 それを、先手で防がれたのでは、意地でも手抜きしたくなるのが道理なのです。そういう呼吸も感じてもらいたいところです。
棋譜を作ってみるとこんな布石になります。 黒は上図の左上の形よりも、厚みがありますので、黒の言い分もあると思いますが、白十二分に打てる図だと思います。

Don't play contact at same line. Play contact at different line.

They are notes at the connection and blockage in the side.
It 's necessary to avoid tsuke for height as which the stones of pincer and the stone being inserted are the same, because it makes a split shape.
However, it becomes more than four lines, because it often approve in case of three lines.

[on uper side]
Black 1 is a bad move, because a white stone and two black pincer ones are on the fourth line. According to white 4, black is a split shape.

[on the left side]
Black 7 makes a ponnuki by white.

[on the bottom side]
Black 17 is a good move, because black stones are on the third line and fourth line.

[on the left lower side]
Black 39 is a good move, because black stones are on the third line and fourth line.

利き筋は後まで残せ

利き筋とは、相手の石に対する先手の権利のことで、早く使ってしまうと、十分な効果を出せないことが多いものです。
局面の進行状況に応じて、最も効果のある時に使うべきです。

<右上>
白P15、P16の石に対する利きには、黒1、黒Q16の利きがありますが、例えば黒1のアテを急いで使うと、手がありません。
黒1や黒Q16のアタリの利かしは絶対なので、どちらかは黒が打てますので、相手の手に応じて、どちらかのアテを使うのが良い利かし方です。

<右下>
黒7と白の応手を聞いて、白8と打てば、そこで始めて黒9からアテを打ちます。黒11で、大きなヨセが打てました。

<左下>
黒13に白14と打てば、今度は黒15と打ちます。白16なら、ヨセとは言えない大きな利を得ることが出来ました。

<左上>
黒19に形悪くクズミを打って来ても、黒29まで、これも大利です。
<上辺>
白のキリに対して、黒1のアテから黒5までは白6と守られて、黒不十分です。
黒3で黒L16のカケツギは、白手抜きなら、黒4と打って白の2子を取ろうとするものですが、まだ不十分です。

<下辺>
ここは、色々な利きがあるのを見越して、黒7から戦いに持って行くことが考えられます。結果黒19と取って、白の3子も弱体化して、黒良しの局面になりました。
黒7から、黒19までの13手はなかなか読めないにしても、白の2子取りがあるので、黒13、黒15、黒J3、黒H2等の利きがあると分かれば、なんとかなりそうな気がしませんか?

外から攻めるは死活の基本

死活においては、まず狭くしてから、急所に打つというのが基本です。

外から打つメリットは
1.外から打って相手の形が決まれば、急所が分かりやすくなる
2.急所から打つと生きた時に持ち込みになるが、外から打った場合は持ち込みにはならない。
3.外からでも、中からでも、いずれでも死ぬ場合でも、将来のコウ争いでの損(持ち込み)を考えると、外から打って殺したほうが得。

<右上>
黒1から打ってコウにしてしまいました。もし、コウで白が生きるようだと持ち込みになります。

<右下>
黒5と中に打ってセキにしてしまいました。

<左上>
白16と打ち欠けば単純な5目中手の死です。

<左下>
黒19と先手で、白を狭くして、やはり白を狭くする黒21、黒23の後に黒25の急所を打って白を殺しました。

両バネ一手伸び

辺や隅の攻め合いで、ハネが両方に先手で打てれば、自身の手数が一手伸びます。

<右上 両バネが利く形>
黒の2子は2手、白の4子は3手の攻め合いです。手が伸びないと黒負けになります。
黒1、3を利かして、黒5と打つと、白は黒2子へのダメヅメは後手になってしまうので、黒攻め合い勝ちになりました。黒の手数が1手伸びて、3手になったということです。

<右下 黒の3子について両バネが利く形>
黒の3子は3手、白の4子は4手の攻め合いです。
黒は両バネを利かして、黒15と打ちます。白16に対しても、黒17とダメを詰め、攻め合い勝ち。
やはり両バネで一手伸びたのでした。

<左上 一方のハネしか利かない形>
黒25で白26の妙手があり、黒29のアテには白30とコウにすることが出来ます。

<左下 両方のアテが利かない形>
黒33、黒35に対しては、タヌキの腹鼓(ツヅミ)という妙手で白無条件攻め合い勝ち。

両バネが利くと1手のび、片ハネしか利かない場合はコウの粘りが生じ、ハネが利かないと全く手が伸びない。 碁って良く出来てますね。

クシ形は生き形

クシとは髪の毛を梳(す)く櫛(クシ)のことです。

<上辺>
生きの基本形です。この形を知っていれば、実戦でこの形に近い形が出来た時、読みの助けになります。

<下辺>
この形の様にクシが欠けていると無条件死です。