「先手は媚薬」という格言は、NHKの囲碁講座で淡路九段が使ってました。
媚薬とは、誘惑に駆られる薬ということなのですが、
「先手であるが故に打ちたくなる」
ということですね。
例えば、アタリを打つと、普通は相手はツギますね。
アタリをする方は王様になった気分。右向けといったら右向いてくれる訳。
王様 「俺のいうことを聞けー、アタリだー。」
家来 「ははー、ツガさしていただきますー。」
王様 「どうだ、アタリの力はー」
家来 「なんとおっしゃられようと、威力絶大でござ
りまするー。」
家来の独り言
「でも、アタリをかけられたので、接ぐこと
が出来た。後で、反対からノゾク手には言う
ことを聞かなくてすむし、相手のコウ材も減
るし、総合的には、得しちゃったー。しめし
め。」
家来の独り言が碁の本質なのです。
もう少し概念的にいうと、相手の石に対する利かしというのは、1種類だけでないケースが多く、仮に3種類あるとすると、その内の1種類を打ってしまうと、残りの2種類の利かしを放棄したことになります。
打たずに残しておくと、3種類の手があるのと同じになります。3手の利かしの方法があれば、それらの3手が盤上にないけど、あるのと同じ効果があるわけです。
ただし、その利かしを打てなくなってしまう場合があり
ます。例えば、相手の石が弱いために、ノゾキが利く状
態があったとして、なんらかの理由で、その石が強くな
ったために、ノゾキが利かなくなるという事が起こります。
そういうことなので、利かしを打つ時期が大切なのです。
初中級者は、一般的に、利かしを打つ時期が早すぎる。
強くなるに従って、利かしを打つ時期を遅くする。効果的な利かしを打つには、遅い方が効果的かどうかの判断が易しくなるからです。
<右上> 黒がアテという媚薬を飲んだので白生き 13と14の交換は気持ちいいだけの、実質のない手だった <左下> アテという媚薬を飲まなかった黒が白を殺した。 C4のアテを打たなかったから、39という手が実現した |