死んだら動くな

局面は黒がK12に打ったところです。白の次の一手はどこでしょう。

黒K12を抜く手ではありません。
右上は手抜きするのが正解です。右上の白は死んでいるので1手打つ毎にコウだてが1つ減ります。
例えば、右下に白1と打ち込んで、コウで頑張れば、右上の死んでいる白も働くことになります。

右上は、比較的難しい死活なので分からない場合はやむを得ないと思いますが、分かっている場合でも、殺されたショックが大きいせいか、コウダテを減らすだけなのに打ち切ってしまう人が見受けられます。コウダテが減ること以外にも、手を進めると段々味が良くなってくるというメリットが黒側に出来てきます。
死んだら動くなの格言を理解して下さい。

断点ノゾクべからず

黒1のノゾキは良く打たれます。特に、下手側が打ちます。心理的に、将来とも、切ることにはならないと決めてしまっていることが多いようです。
白がG11とツグと白からのJ10の出に押さえることができなくなります。白G11は、現在は切っても取られますが、白J10の出切りを牽制する手になっているのです。
この図に限らず現在は切ることが出来なくても、将来切れる状態になる場合は、ノゾキを保留するのが良い場合が多いのです。

この様に書くと、ノゾキが打てなくなりますが、ノゾキによって相手の石の形が崩れる場合はノゾいても良い場合です。

後手の先手

定石形です。ここで黒番ですが、どう打つのが正しいでしようか?

<右上>
黒1は先手です。白2と打たれて、黒3が省けません。省くと、白3と切り下がられて黒先コウ2子が取られます。結局黒3と打つことになり、黒が後手になりました。

<左下>
ここで黒5とつぎます。放置すると、黒8で白2子が取られますので、白6、8と打ちます。この結果は、僅かに白は左下の方が得ですが、この形が出来るのは早い時期なので、この僅かの手より数段大きい手があるので、黒は先手を取って、大きな手を打つことになります。
黒5は、一見後手の様ですが先手になっており、このことを「後手の先手」と言います。

天狗の鼻ヅケ

白の急所を衝く黒の手筋はどこでしょう?

<右上>
黒1が「天狗の鼻ヅケ」という急所です。白2なら黒3です。

<左下>
黒5に白6と打てば黒7です。
黒が厚いので4線を押すと、強い方から石が動くことになり、2線を這うのも良くありません。
黒5が中間の着手ということになります。

ケイマのツキダシ悪手の見本

<右上>
黒1がケイマのツキダシです。このツキダシにより、黒2のツケコシの筋、右辺に黒石が打たれた場合の黒R14、S15等のツケが使えなくなっています。

<右下>
黒3はケイマのツケコシと言って手筋です。右上は黒先手、左下は黒後手ではありますが、白を隅に押し込めて、差は歴然としています。

<左下>
黒11も右上の黒1と同様の悪手。

<左上>
黒13のツケコシが手筋です。左辺がぴったり止まりました。

四死六活

六死八活という格言は辺の死活に関する格言で、2線に六子並んでいる形は死で、八子並んでいる形は生きということです。
四死六活は同様に隅の死活に関する格言です。
隅は活きやすく出来ているので六子並んでいると活きとなります。

<右上>
四子では、黒先でも死となります。

<右下>
五子では、黒先生き、白先黒死です。

<左下>
六子では、白先生きです。

<左上>
この形は白先黒死です。 一手目白A8でも黒死です。

ワタリ8目

ワタリの形は色々ありますので、大きさは様々ですが、ワタリの手のヨセとしての価値は概ね8目前後であるという意味です。
ダメが無い3子の石を取るのは6目ですから、それよりワタリの方が大きいことが多いことになります。

上下同じ形です。黒1とワタリを止める手と、白12とワタル手との差が出入り計算によるヨセの大きさということになります。
つまり、上の白地と下の白地の差は9目です。
黒1、白12の大きさは9目ということになります。
但し、黒から打つと先手ですから、白12は逆ヨセ9目です。
後手ヨセに換算すると18目ですから、9子のダメ無し石を取るのと同じ価値があることになります。

一に空き隅二にシマリ

布石の順序を示す格言です。

1.空き隅の占拠
黒1と隅を占めるのは根拠を得やすいからです。
白3〜黒4と他の空き隅を占めます。

2.シマリ或はシマリの妨害
黒5等のシマリが次の着点です。
白6は左上、左下のシマリもありますが、黒のシマリを妨害することも、シマリと同等の価値があります。
定石により、白12まで一段落ししたら、また、改めて、シマリか、シマリの妨害の手を打ちます。
黒13に対して働きかけても良いのですが、白14のシマリを打つことも大きな価値があります。

1隅、2辺、3中央

碁は、
1.一に空き隅、二にシマリで始まり。
2.辺に発展していまきす。
3.そして中央の戦いに発展していきます。

これが碁のオーソドックスな打ち方です。
但し、初手を天元に打ったプロがあったり、このオーソドックスな打ち方が最善かというと、断言できないのではと思っています。プロでも分からないということが碁の魅力を高めていることは間違い無いでしょう。

シマリの両翼理想なり、鶴翼の陣

右上の形が鶴翼の陣といって理想的な形です。 黒い鶴はいないかも知れませんが、黒石で作っても鶴翼の陣です。

消しは肩から

<上辺>
黒1が絶好の消しの手です。黒は攻められる石を作らないで白の地模様の削減に成功しました。

<下辺>
黒7と打っては白8と飛ばれ大きな地が出来ました。
6線ですが、黒1のカタツキにより上辺の白の地模様を削減しました。黒の勢力圏内では軽く消すカタツキの手法が良い結果を導き出します。

攻めはボウシからのケイマ

上辺の白の1子を攻めるのに、黒1とボウシをし、白2と逃げ出したら、黒3を利かし、黒5とケイマで攻めるのが良い調子の攻めです。
黒5で、J13と押すと黒が裂かれ形になります。
白1とボウシをして、黒2に対して、白3が調子の良い攻めです。
白3でL13やK12と押すと、白は裂かれ形になります。

様子を聞くのは高級手段

相手の受ける手に応じて、次の手を決めるというのは高級手段です。

白1が様子見の手です。白5を利かせて、白7と打てば、黒1子を攻める形になっています。
白11に対して黒12と打って、アテを拒否すると、白13、15で活きがあります。通常はこの活きは小さいので保留しておいて、後に打つことになります。
白1から打つのは同じ筋です。
黒4と打てば、やはり活きがあります。

白13と利かした場合、黒石が上の図より一路近いので、白15の方から利かすことになります。
コゲイマジマリの場合は黒1が急所です。
白2と外を大事にすれば、黒3、5で隅に息があります。

説明の都合上、直ぐに打っていますが、黒の活き自体小さいし、この図になると白の厚みが出来てしまいますので、実戦では、黒3以降はもう少し後に打つことになります。
仮に、黒3と打つ前に、白から手入れをされて取られても、黒はその一手で他の大きいところを打っているのだから、損にはなりません。