NIPPON SERIES 2002
日本シリーズ第4戦(西武ドーム)10月30日(水)
▼今日のMVP

新時代の到来
日本一を決めファンに手を振る原監督
 原監督が目に涙を浮かべて宙に舞った。阿部は、河原の球を受けながら泣いていた。球団史上最短の戦いで手中にした日本一の栄冠は、それほど感動的なものだった。二岡の3試合連続猛打賞という金字塔がシリーズMVPをもたらし、この感動に花を添えた。
 今季プロ野球の悼尾を飾るにふさわしい試合だった。
 今シーズン中盤、キヨや由伸、阿部といったレギュラー陣が故障、ファームで調整するという大きなアクシデントの中、大輪の花を咲かせた斉藤が見事な先制2ランを放つ。先発の尚成が好投するも、失投から同点に追いつかれた直後、西武は第一戦で先発した松坂を送り込んだ。その松坂が、由伸にいきなりの死球。由伸はベンチに。
 原監督はここで、躊躇することなく代走にプロナンバーワンの俊足・鈴木尚広に代走を命ずる。是が非でも勝ち越し点をもぎ取るつもりだ。松井が三振後、キヨの打席で尚広が二盗、阿部が再度の死球で出塁すると、再び斉藤が左前打を放ち、尚広が一気に本塁を奪い、願ってもない勝ち越し点を奪う。そしてここで、江藤に代わった後藤が起死回生の三塁打を放ち、2点を追加し試合を決める。
 原監督の采配が全てツボにはまった形だ。おまけはキヨの適時打による駄目押しに、河原の抑え。『一戦必勝』という、今季の原スタイルの戦い方を集大成したような試合展開は、全国の巨人ファンを歓喜させたに違いない。
 原監督は今季、週に2回のペースで当ホームページに原稿を書いてくれた。采配ミスなどについても臆することなく明快な弁明を開示してくれた。ファンやスポーツ紙の記者が首をかしげていた疑問点が数日後には、この原稿によって氷解するのだ。原監督の明るく開かれた心情の吐露は、我々の野球観を変貌させたのではないだろうか。
 巨人軍・原監督がプロ野球界を牽引する、新時代が到来した。
 そして、ファンのみなさん応援有難うございました。
       読売新聞メディア戦略局編集部 飯村 毅