NIPPON SERIES 2002 日本シリーズ第2戦(東京ドーム)10月27日(日)
▼今日のMVP

日本シリーズ8年ぶり勝利の桑田真澄投手
お立ち台でファンに応える桑田(読売映像・鈴木一幸撮影)
 8年ぶりの日本シリーズ先発マウンドに立った桑田の立ち上がりは苦しかった。2番の小関に内野安打を許し、4番・カブレラに死球、5番・和田に四球で二死満塁。一打出ると、ビッグイニングにつながりかねない。6番・平尾の打席で桑田が二塁へけん制したが、カバーの仁志が球をこぼした。その瞬間、三塁走者の小関が本塁を狙ったが、仁志が透かさず好返球、阿部のブロック・タッチも見事で、スリーアウト。味方のプロの守備に助けられ、きょう一番のピンチを乗り切った。

 2回、3回と西武打線を併殺を含め3人ずつで仕留め、桑田は波に乗り始めた。シーズン中と同じスタイルで、コンビネーションで打たして取るピッチング。初回は21球を放って、スタミナが心配されたが、2回からは本来のリズムを取り戻し、球を魔法使いのように落としたり、曲げたりして、相手打者の読みを許さない。

 3回裏、先頭打者・桑田が中前に、日本シリーズ初ヒット。これが導火線となって、この回、打者一巡の7安打6打点の超ビッグイニングになった。

 4回、6回は連続安打を許したが、平常心を保ってコントロールを崩さず、低めに、丁寧にを合言葉に、西武打線にそれ以上、付け入る隙を与えなかった。7回112球を投げ込んで、1失点。

 桑田の日本シリーズ成績は、過去9試合に登板して、2勝4敗1セーブ。きょうの勝利で8年ぶりの3勝目を挙げた。肘の故障を乗り越え、さらに速球派から技巧派に衣替えしたニュー桑田になっての初勝利。

 日本シリーズでも、やはり桑田は、投げて、守って、打って、走って、野球を楽しんだ。そして、チームが勝った。

 読売新聞メディア戦略局編集部 竺原雄三