球団シリーズタイの12奪三振で9回を完投、大切な初戦を飾った。
「いつもと違うお客さんの声援にびびって緊張しちゃって。どうなるかと思いました」と、お立ち台で振り返ったように、立ち上がり調子が今ひとつだった。
しかし、3回表に西武打線のトップから3人を三振に打ち取ると、俄然エンジンがかかった。まず、3回裏の攻撃で自ら西武のエース・松坂から、この日巨人初となるヒットを放ち、清水のシリーズ第1号で生還、自分の足で先制点となるホームベースを踏んだ。
4回表、先頭・カブレラを見逃し三振に打ち取ったあと、四球、安打を許すなど少々もたつくが、続く5回、6回と連続して西武打線を三者凡退に抑え、6回で9奪三振と自己のシリーズ記録に並んだ。
5回以降は得点圏に走者を出さず、『13』という奪三振シリーズタイを目指した9回、カブレラにソロ本塁打を許すが、これはご愛嬌。「今日は上原」と原監督も言うように見事な出来だった。
昨日、シリーズ直前のドームで見た上原が、練習後、のぼせ上がったような真っ赤な顔で座っているのを見て、調子とスタミナが少々心配だった。そして今日、対決を楽しみにしていたという西武1番・松井選手に、いきなり初球をセンター前に運ばれ、誰もが「オイオイ」と思ったに違いない。しかしその後、驚異的な復元力で奪三振記録を作ろうかという好投を見せてくれるとは、さすが。
巨人軍のエースは、こうでなくては。
読売新聞メディア戦略局編集部 飯村 毅
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