はなげのスキー活動報告
'02年3月2日(土曜日)
場所:苗場スキー場

苗場その日はいつもの週末より早く目覚めるために目ざましをセットしてあった。俺は目ざましにはいつもテレビを使う。決して時計を信用していないわけではない。あの人を無理やり叩き起こそうとするけたたましいい叫び声が嫌いなのだ。その情報ボックスはあるときは音楽で。またあるときは女性のささやき声で俺をやさしく夢の中から呼び戻してくれる。
俺はそんなささやきでわれに帰ると淡々と出発の準備をはじめるのだった。
なぜ早起きなのか?そう今日は久しぶりに新潟は湯沢地区の苗場スキー場で奴等にモーグルを教示するため。いや、実はシーズン前に早割リフト券を購入していたためもある。
現地の待ち合わせ時間は9時。奴3時間の行程と考えれば出発は6時だな。起きがけ、布団の暖かみに出発を若干引きずられたが何とか出発。
高速に乗るや否や奴等にTEL。数回のコールのあと奴の声だ。起きてる。しかも車の中のようだ。よかった。と胸をなでおろし、奴らの様子を探る。奴らはすでに行程の半分ほどの位置まで来ているらしく、かなり余裕があるようだ。反面俺はというと暖かい布団のおかげで、若干時間を押し気味だ。ついついアクセルを踏む足に力が入る。
久しぶりの道だがほぼ完璧に道の先を見通せる。すばらしいコーナーワークとアクセルコントロール。ねずみ取りだって俺には全く無関係。長野側から新潟湯沢に抜ける峠道をまるでラリーストの様に掛けぬけ、暖かな布団のハンデを吹き飛ばし、奴らとの待ち合わせ場所でもあるスキー場の駐車場に愛車を滑り込ませた。
駐車場に車を止めるや否や携帯が騒ぎだす。すぐさま着信ボタンを押し電話に出た俺の耳に、何やら浮かない声で俺の所在を確認する奴の声が飛び込んできた。たかし確か先週もこんな感じの声で寝坊を伝えてきたな...ふと思い返しながら、奴の声に聞き入る。
なぜか意味不明な期待感が俺を少しだけ興奮させる。
現地には到着している。意味はよくわからないが、レンタルショップで何かを調達しているようだ。
“!!”なぜか俺の胸は期待に高鳴る。とりあえず、リフト券売り場で会う事とし、戦闘準備を整え現場へ向かった。
リフト券売り場へ歩み寄りながら、奴らを探す。確かダークグリーンのセッションズだったっけ...しかしそんなウエアを着た奴は見当たらない。更に目を凝らすと、小さいおじさんがこちらに合図するのが確認できる。しかし、その人物のウエアはディスカウントショップで二足三文で叩き売られているようなもの。セッションズの物ではない。
だれ?っと近づいて行く途中...“奴だっ!!”と気がついた。先程のなぞは苦笑いする奴からは聞くまでも無かった。
こいつ本当は狙ってやってるんじゃないか?奴2きっとそうだ。まあ(そんな事はどうでも)いい。久しぶりのメンツへの感動も打ち消され、俺は奴と一緒に来たたかしと苦笑しあうのが精一杯だった。きっと奴(たかし)の方が疲れていただろう。
早速滑ろうじゃないか。
売り場のすぐ脇にあるリフトに乗り、目的のモーグルコースのあるゲレンデ上部へと降り立つ。
軽い準備運動のあと早速滑りだしてみる。ひどい雪質だ。滑りだして1秒とたたないうちに、みんなに確認する。まるで、春スキーのような雪質だとみんなで確認しあいながらモーグルコースのチェックをする。コブも細かく、エア台も飛びやすそうに上を向いている。早く滑りたいと俺の全身の筋肉達が騒ぎだすのがわかる。急いで入場の手続きを済ませ、コースイン。いきなりエア台のあるコースに飛び込み、すかさずトリプルのマニューバを繰り出す。エアもターンもすんなりできる。やはり春スキーのように柔らかな雪質がこんな事をさせるのだろう。
俺はまだ手にガード+テーピングをしている身だ。G(クリックすると動画が見れる!)今日は奴らのすべりを見てやるんだ。そう再認識し、奴らの滑ってくるラインへと目をやる。
しかし、数ターンごとにコースアウトする奴ら。
まあ、たかしはモーグルをやろうという気も薄くお気楽エンジョイスキーなのだからそんなもん。やる気を出している割に腰の引けた滑りの奴に俺はやさしく声を掛ける。
“ストックはもう少し前にね...”“ちゃんとターンを入れてね...”“もっと板を横に向けないとスピードコントロールできないよ...”“吸収幅が少ないからもっとひざを動かして!”...
奴はなかなかうまく理解できず滑りをつかむ事ができないらしい。俺はそんな彼のために動画撮影できるカメラを持ち出した。これで理解してもらうしかないだろう。俺はそう思うとたかしに協力を願い奴の滑り(もちろん俺の滑りも)撮影してもらうのだった。
昼食のとき奴にその映像を見せる。何やら一人でウーンウーン...と“大”でも出るんじゃないかといううなり声を上げ悩む奴。そんな奴を見て俺とたかしは笑いをこらえるのだった。
食事のあとも引き続きモーグルとっくんだが、コースだけを滑るのもつまらない。
とりあえず午後一発目は自然コブ。大斜面下の男子スラロームコースの急斜面のコブをバンバン滑り降りる俺とたかし...奴は?と後ろを振り返ると2〜3コブ毎に転倒する奴...俺達は言葉を失い...その後平らな斜面でも指導をはじめる俺がいた。どう説明すれば奴は理解してくれるのか?
俺は奴に手を足に見たて、“コブの頂点で、こうキュッと板を引いて、グッと板のトップをコブの溝に突っ込むんだ!”なんて素敵な説明なんだ!!そう俺のハートに反比例して奴はポカーンと口を開けて不思議そうな顔で俺を見ている...“NO!!”の文字がまるで映画の予告のスーパーのように頭の中を通りすぎる。
理解してない...数回同じ説明を繰り返しても同じ反応の奴がそこに立っている。俺はどんよりとした空を見上げ、神様に微笑みを振りまくのだった。
何本か滑り、再度説明する。“体はライン上に置き、足をこう!こう!...”
すると...“ああ、そうか!!”奴が掴んだぞっ!!と言うような満面の笑みで俺に“完全に理解したぞ!”という情報を送ってきた。俺はそのインフォーメーションをうけとり、さっきとどう説明の仕方が違うのか?それこそ全く理解することができなかった。
たかしが転倒でスキー板を曲げたとやってきた。曲がった板では相当滑りづらいらしく、もう滑れないとの事。
俺も少し遊びたくなってきた頃であったため、板を交換してモーグルコースを滑る事とした。
俺の金具は開放値MAXまで閉めこんでありちょっとやそっとのショックでは外れない。奴の板は開放値8(単位不明)程度...俺が選んだコースは凝りもせずエア台のあるコースだ。
スタート...曲がっている板とは思えない滑りやすさ...エアはダブルツイスターでいいかな...と思い離陸...板を振り出す...“パキン!パキン!”乾いた音と共に足から板が離れていく...外れちゃったじゃん...と思いながら落ちていく板を上から眺め考えた。
ちょっと待て着地はどうする!?しかも手は骨折してる...(医者からはまだ...と言われている...)俺はトランポリンの練習の風景を思い浮かべた...腹から行こう!...足が雪面に届きショックが伝わって来る。当然それだけでショックを吸収できるわけはない。前方へ飛ばされ...その瞬間、さっきの考えの通り腹からダイブ!溝落ちに鈍い痛みを感じながら雪面を滑って行き、数個目のコブで停止...
溝落ちに激しい痛みを感じていたが笑ってごまかす。手は無事だ。急いで外れた板を回収し、再び滑りだしその場を逃げ出した。
俺はそのとき腹が痛いより恥ずかしい方が嫌だったのだ。
その後は板を戻して再び滑る...そうこうしているうちにすっかり体力の限界を迎え、スキーは終了となった。
結局、奴の微笑みは幻となっていた事を付け足しておく。

食事を済ませ、温泉でゆっくりした後帰路につく。湯沢の交差点で東京からやって来た奴らと、挨拶。
“ちゃんとレンタルウエア返却してきたろうな!?”との俺の質問に、“もちろんだよ!俺の免許証を質にとられてたんだから!!
となぜかたかしが答えた。
俺は変な違和感に襲われた。
確か奴の車で奴が運転して来たはずだし確かに今も奴が運転している...
どうやら、奴は免許証も忘れてきたらしい。

そんな違和感を感じながら、俺は愛車を走らせた。

忘れ物には気をつけよう...!!


Team Hanage
since 1997

| Ski Report | Ski top | back to HOME |