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はなげのスキー活動報告
'02年2月16日(土曜日)
場所:白馬さのさかスキー場
朝、暖かな日差しが俺のまぶたを照らしだす。俺はおもむろにまぶたを開き、自分の体の各パーツパーツの調子を確認し始める。気がかりなのは約一月前に大自然相手に戦い敗れ粉砕された右手。俺はその気になる手をゆっくりと握ったり開いたり繰り返す。イケるか?イケる!!そう確信すると同時に今まで俺を包み込んでいた布団を跳ね除け、動き出す。それはまるで、百獣の王が獲物を見つけたかのようにすばやくかつ力強く。そこで、その動きに活を入れるかのように、焦るな!まだお前は手負いだ。安心するのはまだ早い!万全の体制で行けっ!!そう言い聞かすと、前日自ら造り上げたガードと手をテーピングでぐるぐる巻きにして戦闘準備を済ます。
久しぶりに使うマテリアルを赤い愛車に積み込み一路戦場へ向かう。戦場へ向かう道のりは短いが気が焦るせいかいつもより長く感じる。
焦る気持ちに耐えきれなくなりそうになりながら何とか戦場へたどり着く。
積み込んだマテリアルをすばやく取り出し戦場であるゲレンデへ乗り出す。徐に懐から優待券を取り出し、インフォメーションでたたずむ女性に差し出す。同時に戦いの場へ踏み込むための署名。
インフォーメーションの数名の女性が俺に軽い冗談を投げかけてきた。俺は全く動揺せず軽いウィンクと共にその場を立ち去った。
さあ、戦いだ!気になる右手を再び握り締め確認。頭を軽く上下に動かし、自らの体に確認を取る。
リフトという名の細いロープで繋がった輸送用の椅子に飛び乗ると数分で戦場だ。ゆっくりと切り込む準備にとりかかる。ポールを強く握り締め、再度確認。
イケェー!!天空へ突き出る無数の雪峰群中へ自らを突き進める...
そういえば、この数日前俺は風邪を引いた。当然、今日もまだ鼻水が垂れてくる。
雪の峰々と格闘するたびにそれは垂れ落ちそうになるが、気合で鼻の奥へ戻そうと頑張ってみる。
下半身は雪面と戦い、上半身(右手は)自分自身の恐怖心と、頭ではその重力との戦いだ。
激しい格闘の末、まるで俺を祝福するかのような平らな雪面へ雪煙を上げながら滑り降りた。
イケた!!そんな感激と同時に右手の様子を確認する(もちろん鼻の下も確認。)。まもなく、かすかに脈動のような鈍い痛みを感じるが、気になるほどではない。
大丈夫!!大丈夫!!!何度も自分の中でつぶやき、何度も何度も戦いの場へと自らを送り込む。
とうとう俺の焦るハートには歯止めが利かなくなってしまった。
飛んでみるか!?
そう思うと俺はまるでマッキンレーのようなエア台が立ちはだかるコースの上に身を投げ出した。近づいてくる峰に恐怖心を捨て去った俺は飛び込みそして飛び立った!!
エア台を蹴り出しながら、今から行うパフォーマンスをイメージする。こんなときに反射的にイメージするのはダブルツイスター。
これしかない!というタイミングでスキーを振り回すツイ!ツイ!問題は着地...ポールの突き方を注意しながら(頭部の鼻の奥方では液体がさらに激しく重力に従おうとするのと戦いながら)着地...着地が終わると再び雪の峰々が俺を出迎える...その先に再び見えてくるエア台...次のエアは??...ツイスタースプレット!...再びエアを成功させ、雪の峰々にも(もちろん液体との重力vs肺活量の戦いにも)打ち勝った俺は再び俺を受け止めてくれる平らな雪原へ滑り降りた。
エアの難度の低さなんて(もちろん実はちょっとだけ飛び出した鼻水だって)問題ではなかった。再びこの雪原へ戻って来れたことへの感謝で(鼻の中は鼻水で)いっぱいだった...
あるとき、リフトに乗り込もうとした俺に「よろしくお願いします!」と声をかけながら男が乗り込んできた。今日の俺はハードボイルド...今日の俺にはかかわらないでくれ...手負いのライオンは頭を上下にゆっくりと動かすのみ。そんな俺に恐れおののいたのかそれ以降奴は話し掛けて来ることはなかった。

しかし、久しぶりの戦いだ。さすがに体が鈍っている。ここらで、ブレイクを入れるとしよう。
俺はその戦場のすぐ下にあるカフェに入り、食事をいただくこととする。
テーブルにつくとグローブから久々の戦いで疲れた右手を取り出す...戦いの凄さを物語るかのようにちぎれ飛びボロ雑巾の様になったテーピングとガードがそこにあった。
よく頑張ってくれた。俺は右手とそれに巻かれた助っ人達を優しく撫で自分に気合を入れる。
コーヒー、サラダそしてピザで休息し、最後の戦いへと踊り出る。
最後は人の手により作られた戦場ではなく、自然が作り出したオブジェの広がる雪原へ、2本のリフトを乗り継ぎその雪原へエントリー。自然との戦いに俺は精一杯の回答として一気にその雪原を滑り降りた。
何の問題もなく山の麓まで滑り降りた俺の胸の中は、満足感で一杯だった。
すばらしい戦いだった。そして俺は復活した。戦士としての復活だ。
俺は、深い満足感と感謝を胸に、深く一礼をして戦場を後にした。
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ようやく滑れるって感じかな...!?

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