最後に

 最後に、3章の中で「脱会カウンセリングをめぐる訴訟」と題して、裁判のことを詳しく書いていらっしゃいますが、間違いがあまりにも多いことを老婆心ながら指摘しておきます。
「告訴」と「提訴」、「刑事告発」と「告訴」、「控訴」と「上告」を混同していることなどについては、知り合いの弁護士さんが指摘しているでしょうから、省略します。

@鳥取教会襲撃事件
 鳥取教会襲撃事件について、刑事手続が不起訴処分・不起訴相当となったことをもって、「したがって、99年に(女性信者によって)提訴された民事裁判は、統一教会にとって信者たちが受けた暴行や長期間の拘束に対する責任を問う唯一の裁判だった」(p90〜91)となっていますが、実際には1998年8月に統一教会が襲撃に加わった3名を相手に提訴し、1998年10月には統一教会側の勝訴が確定しています。「唯一の裁判」という表現は間違いです。

Aアントール美津子さんが訴えた事件について。
 本では、この事件の被告牧師は「2名」となっていますが(p94)、実際には被告牧師は清水牧師一人だけです。
 また、「この女性(アントール美津子)は1997年と98年に2度の脱会カウンセリングを受けた」(p94)となっていますが、原告・被告側書面にある通り、第1回目の拉致監禁は1996年です。
 さらに、「(2度の脱会カウンセリング後)、合同結婚式に参加してアメリカ人伴侶を得た」(p94)となっていますが、裁判書面にある通り、合同結婚式への参加は1997年であり、第2回目の拉致監禁より以前のことです。つまり、アントール美津子さんは結婚した後においても拉致監禁されたわけです。それだから、櫻井さんも会ったというアメリカ人の伴侶、クリス・アントールが日本に探しに来たわけです。

B砂田さんが訴えた事件。 「統一教会員の女性(砂田さん)が、夫は強制改宗させられて自分と離婚したとして夫の家族を訴えた」(p98)となっていますが、砂田さんが訴えを起こした当時、まだ離婚は成立しておらず(夫はまだ離婚調停の申立てすらしていない段階)、「離婚したとして訴えた」は事実と違います。

 きちんと裁判の書面を読んでいらっしゃるのかどうか、ほんとうに心配になってきます。わずか9ページ足らずで5カ所も違っています。第3章以外でも間違いがあるのではないかとつい思ってしまいます。

 以上、長々と質問を書きつらねてしまいました。
誠実なご回答、ご教示を願って願っております。なお、この手紙は私信という形を取っておりますが、公開されてもかまいません。私はホームページを持っていませんので、いずれ機会があればどこかのサイトに全文の掲載をお願いしようと思っています。
 また、増刷の際には訂正も要求していますので、出版社の担当編集者のほうにも郵送しておきます。